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教科書 (3/31)

高校教科書検定 「日本の竹島、韓国占拠」 領土、正確な記述求める(産経)
 文部科学省は二十九日、来春から使用される高校教科書の検定結果を発表した。領土問題や北朝鮮による拉致事件、「ジェンダー」用語などでより正確な記述を求める検定意見が付けられ、出版社側が修正した。一方で、南京事件の犠牲者数について二十万人以上説が最有力とするなど近現代史を中心に不適切な記述が数多く残った。
 竹島(島根県隠岐の島町)と尖閣諸島(沖縄県石垣市)は、前回検定(平成十三年度)より記述が増え、地理歴史、公民では世界史、倫理を除くほとんどの教科書が記述。四十カ所ある記述のうち、半数を超える二十六カ所に日本固有の領土であることを明確にするよう求めるなどの検定意見が付いた。
 尖閣諸島については「北方領土、竹島と違い日本が実効支配しており『領土問題』ではない」との立場から意見を付け、「日本の領土である北方領土と竹島は、それぞれロシアと韓国に占拠され、領土問題となっている。尖閣諸島も日本の領土だが中国などが領有を主張している」などと、北方領土や竹島の扱いと区別する記述に改められた。
 北朝鮮による拉致事件では、解決していないことを強調するよう求める検定意見が目立った。「北朝鮮から帰国した拉致被害者たち」との写真説明に「解決済みであるかのように誤解する恐れのある表現だ」との意見が付き、「しかし、まだ拉致被害者全員の帰国は実現していません」と追加された。
 「ジェンダー」(社会的・文化的な性差)については現代社会や家庭科など三十八種類が記述。「男らしさ・女らしさ」の否定ととられる記述などに検定意見が付いた。「ジェンダーフリー」(性差否定)は、現代社会の二種類にあったが、検定によって消えた。
 一方で、検定をパスした不適切記述も相次いだ。南京事件の犠牲者は二十万人以上説が最有力とする記述が登場するなど誇大な数字が記述されている。慰安婦については「日本軍により慰安婦にされた女性」が「日本軍の慰安婦にされた女性」に修正されるなど、軍による強制連行に検定意見が付いたが、主語のない強制連行記述はフリーパス。慰安婦を取り上げた二十五種類中、「強制的に連行」が二種類、「連行」が二種類ある。
     ◇
 ■ABCから復習 学力低下深刻 広がる難易差
 高校生の学力について二極化が広がる中、教科書会社は難易度が異なる複数の教科書を申請。生徒の学力に応じて教科書を選べる採択対策が定着した。大学受験問題を掲載し、進学対策を鮮明にした教科書もあれば、一方で、中学で習う英語の「ABC…」の復習から始まるものも。学力低下の深刻ぶりも浮き彫りとなった。
 高一生向けの英語Iで開隆堂は、進学校向けの教科書の難易度を上げ、逆に学力の低い学校向けの教科書レベルをさらに下げた。進学校向けは、導入部分の説明文を日本語から英語に。全体の英文量も増やした。逆に、やさしい教科書では、アルファベットを列記、十カ所の空白を埋めるコーナーから始め、一文あたりの単語数も少なくした。中学校で習う「不規則動詞の活用表」を巻末に掲載。大半が中学の復習で占めた。
 このほか、文英堂や桐原書店なども難易度別に教科書を発行。桐原書店のやさしい教科書では巻末の単語リストにカタカナで読み方を振っており、担当者は「上位層の学力は落ちていないが、中位層以下が落ちている。bとdの区別がつかない生徒もいる。学校からは『やさしくしてくれ』との要望が多い」と話した。
 合格した三十四種類の英語I教科書を見ると、四種類が「ABC…」の復習を盛り込んでおり、現行の採択率に照らした場合、一割弱の十三万人がこうしたやさしい教科書で学ぶ計算だ。
 国語総合も同じ傾向。二社が、やさしい教科書を新たに作成、種類を増やし三種類に。このうちの一つは、これまでより文章もやさしく、写真も多用。音読でつまずかないようルビも増やし、大きさもノート大にして生徒が書き込んで使うタイプにした。
 数学Iでは三種類の教科書を出していた会社が今回、さらにやさしいタイプを出版。「少しでも教科書を開いてほしい」との配慮で方程式と不等式の章ではマンガが登場した。
 理科では、三社が理科総合Aや化学Iなどで発行種類を増やした。理科総合Aで、これまでより難しい教科書を出した会社は、過去のセンター試験問題を載せ、「発展的内容」の問題も登場させた。化学Iを三種類にした会社は、進学の有無や受験先の文系・理系の別を考えて編集。進学希望者向けには発展を多く入れた。


 竹島や尖閣についての記述が増えた、ジェンダーフリーの記述が消えた、拉致を解決済みと誤解するような文言を改めた、というあたりは「いい話」。しかし、南京事件の犠牲者数や慰安婦、強制連行に関しては、まだ問題が残っているようだ。朝鮮人に対する戦時の扱いを強制連行と呼ぶのなら、南方へ出征したうちのじいちゃんも強制連行されたってことになるのかね?

 韓国は潘基文外交通商相が大島正太郎駐韓大使を外交通商省に呼び、「韓国の主権を損なう」と強く抗議するなど、いつもの対応。ここはいつものことだからいいとして(いやちゃんと再抗議しとくべきだと思うが)、今回はロシアまでもが「南クリール諸島(北方領土)があたかも日本領であるかのような考え方が復活した」「戦後秩序の基礎を崩す」と抗議。まったくアレな国に囲まれたことよ…。


 さて、記事の後半に書かれている、学力レベルとしての教科書問題。
 アルファベットを復習する英語、平易でルビや写真も多用する国語、マンガ付きの数学。中学生の教科書ではなく、高校の教科書で、という話だからなんとも情けない。ただ、これは低学力校の話で、進学校向けの教科書は、逆にレベルを上げているという。現在使われている教科書が以前のものに比べ平易になりすぎていたと感じていたので、これは嬉しい話。
 
 誰もが高校に通うような時代ゆえ、そしてゆとり教育のせいでまともに義務教育を修了できていない者が多いため、低学力校は目も当てられない状況。九九のできない高校生の話は、決して稀な事例ではない。
 確かに義務教育でもないのに、子供に迎合するような教科書を作るべきではない。マンガを入れるなどの工夫は、学校が使用を指定しない参考書などで為されるべきだろう。しかし、ふつうの教科書に対応できない子供が多いのは、厳然たる事実ではある。

 その根源は小学校に求めることができる。実際に子供たちを見ていると、計算の練習量はおそらく私たちの時代の半分にも満たないだろう。週休二日などで学習時間が減っている上に、練習・演習を徹底させる雰囲気も学校にないため、塾に通ったり自分で意欲的に取り組むような子でなければ、覚えるべきことの半分も覚えずに小学校を卒業してしまう。実際に最近私が見始めた子供で、小学校では「普通」レベルだという子が、小学校の漢字の半分も書けないという例に出くわした。できる子は昔のようにできるのだが、「普通」のレベルは明らかに下がってきている。
 義務教育で教え込む量が減り、教え込もうという「授業の質」も低下し、そのうえほとんど全ての子供が高校に通うような状況とあっては、低位の高校での学力が惨憺たるものになるのは、当然の話。ゆとり教育の大幅な見直しと、高校全入のあり方を問わなければ、この教科書問題は解決しない。


 ついでに。小学校から英語というバカな話についても。というか、これに対する批判は一言で済む。異人さんの言葉よりもまず、おのれの思考の拠り所となる母国語をしっかりと学習させろ。まともな語彙力もない子供に英語を教え込んでどうなる?しかも、毎日みっちり教え込むのではなく、週一回か月一回しかやらないという話。ただの時間つぶしにしかならぬ。


 記事メモ。

中国側、機密執拗に要求…自殺上海領事館員の遺書入手(読売)
 2004年5月、在上海日本総領事館の館員(当時46歳)が自殺した問題で、館員が中国の情報当局から外交機密などの提供を強要され、自殺するまでの経緯をつづった総領事あての遺書の全容が30日判明した。
 本紙が入手した遺書には、情報当局者が全館員の出身省庁を聞き出したり、「館員が会っている中国人の名前を言え」と詰め寄るなど、巧妙かつ執拗(しつよう)に迫る手口が詳述されている。中国側が館員を取り込むために用いた中国語の文書も存在しており、これが、日本政府が「領事関係に関するウィーン条約違反」と断定した重要な根拠となったこともわかった。中国政府は「館員自殺と中国当局者はいかなる関係もない」と表明しているが、遺書と文書はそれを否定する内容だ。
 自殺した館員は、総領事館と外務省本省との間でやり取りされる機密性の高い文書の通信を担当する「電信官」。遺書は総領事と家族、同僚にあてた計5通があり、パソコンで作成されていた。総領事あての遺書は計5枚の長文で、中国側の接近から自殺を決意するまでの経緯が個条書きで記され、最後に「2004年5月5日」の日付と名前が自筆で書き込まれている。
 それによると、情報当局は、まず03年6月、館員と交際していたカラオケ店の女性を売春容疑で拘束。処罰をせずに釈放し、館員への連絡役に仕立てた。館員は同年12月以降、女性関係の負い目から当局者との接触を余儀なくされた。接触してきたのは「公安の隊長」を名乗る男性と、通訳の女性の2人だった。
 館員は差し障りのない話しかしなかったが、04年2月20日、自宅に届いた中国語の文書が関係を一変させた。文書は、スパイの監視に当たる「国家安全省の者」を名乗り、「あなたか総領事、首席領事のいずれかと連絡を取りたい」と要求。携帯電話番号を記し、「〈1〉必ず公衆電話を使う〈2〉金曜か日曜の19時―20時の間に連絡せよ」と指定してあった。
 館員は「隊長」に相談。すると約2週間後、「犯人を逮捕した」と返事がきた。文書を作った者を捕まえたので、問題は解決した、との意味だった。館員はこの時初めて文書は「隊長」らが作った可能性が高く、自分を取り込むためのでっちあげと気付いた。遺書には、「(文書は)彼らが仕組んだ」と悟った、と書いている。
 「犯人逮捕」を期に、「隊長」は態度を急変。サハリンへの異動が決まった直後の同年5月2日には「なぜ(異動を)黙っていたんだ」と恫喝(どうかつ)した。「隊長」は、総領事館の館員全員が載っている中国語の名簿を出し、「全員の出身省庁を答えろ」と詰め寄った。「あなたは電信官だろう。報告が全部あなたの所を通るのを知っている。館員が会っている中国人の名前を言え」と追い打ちをかけた。
 最後には、「今度会うとき持ってこられるものはなんだ」と尋ね、「私たちが興味あるものだ。分かるだろう」と迫った。
 約3時間、恫喝された館員は協力に同意し、同月6日午後7時の再会を約束した。館員は、「隊長」は次には必ず暗号電文の情報をやりとりする「通信システム」のことを聞いてくると考え、面会前日の5日に遺書をつづり、6日未明、総領事館内で自殺した。遺書には「日本を売らない限り私は出国できそうにありませんので、この道を選びました」などとも記している。
 「領事関係に関するウィーン条約」は第40条で、領事官の身体や自由、尊厳に対する侵害防止のため、受け入れ国が「すべての適当な措置」を取るとしている。遺書の内容は具体的で、それを裏付ける中国語文書も存在しているため、中国側の条約違反の疑いが濃厚だ。
          ◇
 外務省の鹿取克章外務報道官は30日夜、上海総領事館員の遺書の内容が判明したことについて「本件は、館員のプライバシーにかかわるので、コメントは差し控えたい」と述べた。


 有耶無耶にすると、また同じことを何の衒いもなく繰り返してくるよ。


次期首相 (3/29)

 次期首相、朝日新聞によれば、福田さんの人気が上がってきているそうな。

ポスト小泉は? 安倍氏47%、福田氏20% 本社調査(3/21朝日)
 「ポスト小泉」の人気トップは安倍晋三官房長官の47%で、次いで福田康夫元官房長官が20%で続いていることが、朝日新聞社が18、19の両日に実施した全国世論調査で明らかになった。
 次の首相にだれがふさわしいかを、有力とされる自民党の4人と「そのほかの人」の五つの選択肢から選んでもらった。安倍、福田両氏には大きく水をあけられて、麻生太郎外相5%、谷垣禎一財務相4%という結果だった。
 昨年10月の内閣改造直後の調査では、候補を絞らずに小泉首相以外の国会議員の中から自由回答で選んでもらったところ、安倍氏33%、麻生氏5%、民主党の前原誠司代表が3%で、福田氏と谷垣氏は2%だった。同様の聞き方をした今年1月は、安倍氏28%、福田氏5%、麻生氏2%、前原氏1%、谷垣氏1%で、福田氏が2位に上がっていた。
 今回は、候補者を絞って選択肢の中から選んでもらったところ、トップは安倍氏で変わらないものの全体の半数には届かず、伸び率では福田氏が最も大きかった。国民的な人気では安倍氏が圧倒的との見方も強い中で、福田氏の存在感が浮かび上がってきた形だ。
 ただ、自民党の総裁選との関連が深い自民支持層だけでみると、安倍氏への支持は61%と高く、福田氏は15%にとどまっている。

 朝日の質問の仕方にバイアスが掛かっているなんてのは周知の事実だが、2ヶ月あまりで4倍もポイントを伸ばしたというのは尋常ではなく、福田さんの人気が上がっているのはある程度事実なのかもしれない。

 朝日新聞が福田さんを応援したくなるのは、よく分かる。

憲法改正、周辺諸国の理解が必要・福田氏が講演(日経)
 自民党の福田康夫元官房長官は25日、都内で講演し、憲法改正について「日本を正しく理解してもらい、改正しなければならない。若干時間がかかるかもしれないが慎重にやるべきだ」と語った。憲法9条などの改正を警戒する中国や韓国などの理解を得る努力が必要との認識を明らかにしたものだ。
 消費税率の引き上げに関しては「財政赤字の返済に充てるか、社会保障に充てるかの議論になるが、まず返済に充てるべきだ」と語り、消費税の社会保障目的税化に慎重姿勢を示した。

 確かに周辺国と仲良くやるというのは一般論としては間違ってはいないかもしれないが、中国が日本に求めるのは自主的に国家を存立できない国、具体的には軍事力を持たず自前で自分の国を守れない国であること。自らの要求を突きつけやすい国であることを求める国に対し、理解を求めるなどお人好しにもほどがある。そもそも、その国の憲法はその国が決めることであり、他国からああしろこうしろと言われて受け入れるような性質のものではない。福田氏の発言は、中韓の内政干渉を認めるもので、このような発言をおこなう人物が首相として相応しいとは思えない。

 まぁ今の首相が相応しいかって疑問もあるけど。拉致に関してはいつも書いてるので、今回はこんな話を。

外資企業の献金緩和案了承 自民、今国会で改正目指す(共同)
 自民党の党改革実行本部は9日午後、党本部で総会を開き、日本に本社があり国内の証券取引所に上場している外資系企業の献金を認める政治資金規正法改正案を了承した。党内手続きと並行して公明、民主両党に共同提案を働き掛ける。今国会に提出して成立させ、即日施行を目指す。
 現行の政治資金規正法と総務省見解では、外国人と外国法人のほか、外国人や外国法人が株式の過半数を保有する企業の献金を禁じている。今年5月に御手洗冨士夫社長が日本経団連会長に就任するキヤノンなど有力企業でも献金できない例が多く、経済界も見直しを求めていた。


<政治献金外資規制>経団連要請で緩和案、自民と利害が一致(毎日)
 自民党が政治献金の外資規制を大幅緩和する政治資金規正法改正案の国会提出を決めたのは、日本経団連の強い要請を踏まえたものだったことが23日、分かった。経団連の要請は、経済のグローバル化で規制に触れる企業が増えるのを懸念したもので、企業献金のすそ野を広げたい自民党と利害が一致した。
 政治資金規正法は外国企業からの献金を原則として禁じる一方、外資比率が5割未満の企業の献金は総務省解釈で認めている。経団連と自民党改革実行本部が2月10日、東京都内で協議し、経団連側が「経済の実態に合わなくなっている。抜本的に見直すべきだ」とする文書を手渡した。
 文書は、国内上場企業の外資比率が急上昇していることを示し、「海外では、国内で設立され国内で活動を行っている企業については、外国人持ち株比率にかかわりなく政治寄付を行うことができるのが通例」と規制緩和の必要性を強調する内容だった。
 外資規制について自民党改革実行本部は昨年10月、三つの緩和案を内々にまとめた。しかし、外資比率による規制を残すことが前提で、今回決定した「日本に本社を置く上場企業であれば外資比率は問わない」との内容は、経団連の指摘に沿ったものだった。同党は今月17日、政治資金規正法改正案を了承した。


 とりあえずはキヤノンが献金できるようにってのが発端のように思われるが、外国人投資家の思惑が日本の政治に影響することはないのか、と不安を覚える。だいたい、助成金を導入するときに政治献金は廃止の方向で動いてなかったっけ?


 話がそれたが、ともかく、これから朝日の「中国大好きの福田さんを応援しようキャンペーン」はさらにヒートアップすることが予想される。安倍落とし麻生叩きの論調もいっそう強まるだろうし、それに絡んだ靖国批判も8月15日に向けて鋭意充電中だろう。
 社長の息子を守ることに今は手一杯だろうがな(大麻所持で捕まった息子は35歳だから親は責任とる必要はない。問題はなぜ2週間も表沙汰にならなかったかだ)。


 9月になったら小泉首相が「やはりもう1年首相をやらさせていただきます」とか言い出さないか、本気で不安だったりもする。


先へ進めて欲しい (3/27)

 朝鮮総連傘下の大阪府商工会への家宅捜索について。微妙に内容が変わってるんで、産経の記事をまた引用する。

原さん拉致 強制捜査 26年経過「犯行は継続中」(産経)
 大阪市の中華料理店員、原敕晁(ただあき)さん=当時(43)=が北朝鮮に拉致された事件で、警視庁公安部は来月中にも、国外移送目的拐取容疑などで辛光洙(シン・グァンス)容疑者(76)=地村保志さん(50)夫妻拉致などで国際手配=ら元工作員二人の逮捕状を請求する方針を固めた。逮捕状を取り次第、国際手配する。
 また警視庁は二十三日、原さんが勤めていた中華料理店を経営する在日朝鮮人の男(74)が犯行を手引きしたとして、共犯の容疑で自宅や店、男が理事長を務めた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の大阪府商工会など六カ所を捜索。男を任意で聴取した。
 他に国際手配されるのは、辛容疑者の補助工作員で、韓国で国家保安法違反の共犯の罪に問われた元服役囚(78)=韓国・済州島在住。
 調べでは、辛容疑者ら元工作員二人と男、既に死亡した商工会の元会長の四人は共謀し、昭和五十五年六月、原さんに「転職先を紹介する」ともちかけ、面接名目で宮崎県の青島海岸まで誘い出し、辛容疑者に引き渡した疑い。辛容疑者らがゴムボートや工作船に乗せ、北に拉致した。
 昭和六十年、同法違反容疑で韓国当局に逮捕された辛容疑者の取り調べの過程で拉致が表面化。辛容疑者は原さんに「背乗(はいのり)」した旅券法違反などの容疑で既に国際手配されていたが、警視庁は原さん拉致本件の容疑も固まったと判断した。
     ◇
 ■「判例」後押し 壁破る
 辛容疑者の原さん拉致への関与が浮上してから二十年以上経過した今、ようやく本格捜査に至った背景には、北朝鮮が原さん拉致を認めた事実や、地村保志さん(50)ら拉致被害者の証言を得たことで、辛容疑者の類似事件への関与が裏付けられたことがある。だが特に大きいのは、平成十五年に韓国の公判調書の証拠能力を国内で認める最高裁決定が出た点だ。
 辛容疑者が韓国で逮捕された昭和六十年、韓国の捜査員が警視庁側の依頼で辛容疑者を取り調べたが、日本の検察は当時、韓国当局による間接的取り調べについて「調書の証拠価値は低い」と判断した。政府が拉致のプロジェクトチームをつくった平成十四年、警視庁は原さん拉致の再捜査に着手し、原さんに「背乗り」した容疑で辛容疑者の逮捕状を取ったが、拉致本件は調書の証拠能力の壁に再び阻まれていた。
 一方、今回の強制捜査は国内の協力者を「被疑者」とする一連の拉致で初のケースとなった。
 国外移送目的や結婚目的の拐取(略取・誘拐)罪は公訴時効までの期間がわずか七年。国外にいる辛容疑者らは時効が停止しているが、拉致後も日本にとどまった協力者は既に時効が成立しているとの法解釈があり、大きな壁とされてきた。
 だが、小泉純一郎首相の初訪朝直後の十四年十月、参院外交防衛委員会で法務省の樋渡利秋刑事局長(当時)は「犯罪が終わっていないと見るのか、(拉致した時点で)既遂なのかは、学説がわかれる」と答弁。協力者の時効は未成立との解釈に、法務当局として一定の理解を示した。
 十二年に発覚した新潟の少女監禁事件で、九年前にさらわれそのまま軟禁状態だった事実が「継続犯」と認定され、拐取と監禁が一つの罪であるとの判例が出たことも、この解釈を後押し。地村さんらの証言で拉致被害者が北で監視下にあった生活状況も明らかになり、警視庁は「原さんも軟禁状態にあり犯行は継続中」と判断した。
 強制捜査に踏み切り、原さん拉致でも国際手配という流れを作ることで、「さらに北に圧力をかける狙いもある」(捜査幹部)という。
 警察当局は辛容疑者の捜査を優先する方針で、韓国に対する元服役囚の身柄引き渡し要求は当面行わないという。
     ◇
【用語解説】原敕晁さん拉致事件
 1980(昭和55)年6月、大阪市の中華料理店員で43歳の原敕晁さんが、北朝鮮工作員だった辛光洙容疑者らに拉致された。辛容疑者は85年に韓国で逮捕された際、韓国捜査当局に拉致を認め、原さんに成りすましてスパイ活動をしていたと供述。日本の警察当局は辛容疑者を旅券法違反容疑などで国際手配し、政府は身柄引き渡しを要求しているが、北朝鮮側は応じていない。北朝鮮側は原さんは拉致被害者の田口八重子さんと結婚、86年に肝硬変で死亡したとしているが、裏付ける証拠はない。


 北朝鮮の拉致工作の内容を解明する上で、公安の捜査は必要なものであり、ともかくその一歩が進められたことは、歓迎したい。
 ただ同時に、事件から26年も経って…という今更な感覚を覚えるのも正直なところ。小泉首相の3度目のサプライズなんて噂も出回っている状況で、圧力らしきものをかけてますよというパフォーマンスじゃないかという疑問が湧くのもまた、正直な感想。パフォーマンスと断定して今回の捜査をくさすことはしたくないし、まともなことをやった時には批判したくはないとは思うんだが、すっきりしない気分がどうしても残る。

 いずれにせよ、今回の捜索で終わってもらっては困る。拉致被害者と政府に認定された人は他にもいる。昨年4月に拉致認定された田中実さんも、工作組織メンバーのラーメン店店主に誘い出されて、ウィーン経由で連れ去られたと言われている。李秋吉という在日朝鮮人の実行犯の名が取り沙汰されている久米裕さんの件など、他の事案に関してもしっかりと捜査を進めてくれれば、今回の件に対する違和感も消え失せるだろう。

 また、事件の全容解明も必要だが、それは全て拉致被害者奪還につなげるためのものでなければなるまい。全容解明しても拉致被害者は帰ってこない、では話にならない。政府は、奪還を行うための施策を、次々に繰り出す必要がある。

 ついでに。記事には「辛容疑者の捜査を優先する方針で、韓国に対する元服役囚の身柄引き渡し要求は当面行わないという。」とあるが、辛だけに集中せずに、元服役囚の身柄引き渡し要求も行なってくれ。辛を捕まえても無意味だなどと言うつもりはないが、彼だけに集中するようなことはしないで欲しい。拉致実行に関わった者は膨大な数にわたるはずだ。


「拉致」への世論喚起、英・中・韓国語でパンフ…政府(読売)
 政府は、北朝鮮による拉致問題についての国内外の世論を一層喚起するため、総合的な広報活動を進めている。
 拉致被害者の早期帰国を呼びかけるポスター18万枚を全国に張り出すほか、英、中国、韓国各国語のパンフレットを作成する。

政府の拉致問題専門幹事会(議長・鈴木政二官房副長官)は24日の会合で、ポスターに掲載するキャッチフレーズについて意見交換した。各省庁から寄せられた200件以上の案から、「日本は見捨てない」「もう一度あなたを抱きしめたい」などを最終候補とした。ポスターは4月中旬に完成する予定。政府筋は「通勤通学で毎日ポスターを見て、問題意識を持ってもらいたい。それが北朝鮮への圧力につながる」と期待する。
 外国語のパンフレットでは、拉致問題の概要やこれまでの日朝協議の経緯などを説明する。内外の大使館や国際機関に配布する。
 このほか、横田めぐみさん拉致事件を扱った米国のドキュメンタリー映画「アブダクション(拉致)」の日本上映を支援することも検討中だ。

 以前当欄で国際的な世論喚起を、という意見を書いた記憶がある。だから当然、パンフレット作成は歓迎。ただ、単発で終わったらいけない。一つ一つ地道に行動に移すというのも分かるが、まだまだその先にやらねばならないことがある。


 朝鮮総連をテロ組織と名指しして、破防法の対象にしてくれれば、私も諸手を挙げて小泉さんを応援するんだけどな。


とりあえずメモ (3/24)

 次の更新は、おそらく来週月曜日になります。

 ひとまず、備忘録としてこの記事を引用しておきます。意見は、次の更新の時にでも書くとか書かないとか。

原さん拉致、総連系団体捜索 警視庁、北の関与解明へ(産経)
 北朝鮮による原敕晁(ただあき)さん=当時(43)=拉致事件で警視庁公安部は二十三日午前、国外移送目的拐取などの疑いで、原さんが勤めていた中華料理店経営者で在日朝鮮人の男(74)の自宅(大阪市淀川区)や中華料理店(同市天王寺区)のほか、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の在日本朝鮮大阪府商工会(同市北区)など関係先の家宅捜索を始めた。総連傘下団体が拉致事件で強制捜査を受けるのは初めてで、警視庁は総連の拉致関与についても解明を進める。
 経営者は、原さん拉致事件に絡む旅券法違反などの容疑で国際手配された元工作員、辛光洙(シングァンス)容疑者(76)=地村保志さん(50)夫妻拉致でも国際手配=の拉致実行を手引きした補助工作員とされる。
 調べでは、経営者は昭和五十五年六月、辛容疑者らと共謀。自分の中華料理店に勤務していた原さんに「転職先を紹介する」と持ち掛け、面接名目で宮崎県・青島海岸まで連れていき、辛容疑者に引き合わせた疑い。辛容疑者らがゴムボートや工作船に乗せ、北に拉致した。
 国家保安法違反の容疑で韓国当局に逮捕された辛容疑者の取り調べの過程で拉致が表面化した。
 経営者は当時、大阪府商工会の理事長だった。経営者とともに拉致を手引きしたとされる同商工会の元会長は既に死亡しているが、警視庁は平成十二年、韓国・済州島に捜査員を派遣し、辛容疑者の国家保安法違反罪の共犯で、原さん拉致に関与したとされる元服役囚から事情聴取。
 この当時、経営者からも事情を聴いたが、拉致への関与は否定していたことから、警視庁は今回の押収資料を分析して、さらに追及する方針。
 経営者は十六年一月、「北朝鮮に拉致された日本人を救出する大阪地方議員の会」から大阪府警に刑事告発されたが、辛容疑者の捜査を先行させていた警視庁に事件の担当が移されていた。
 経営者は日本在住のため、通常なら公訴時効が成立しているが、公安部は「原さんは北朝鮮で監禁状態にあり、犯罪は継続している」と判断、監禁容疑も加え捜索に踏み切った。警察当局は近く、原さん拉致容疑でも辛容疑者の逮捕状を請求する方針。
     ◇
 安倍晋三官房長官は二十三日午前の会見で、原敕晁さん拉致事件で警視庁が家宅捜索したことについて「今後しっかりと捜査を進め真相解明をしてもらいたい。真相がさらに明らかになれば日朝協議で容疑者の引き渡しを一層強く求めていくことになる」と述べた。
     ◇
 【用語解説】原敕晁さん拉致事件
 昭和55年6月、大阪市の中華料理店店員で43歳の原敕晁さんが消息を絶った。工作員だった辛光洙容疑者が1985(昭和60)年に韓国で逮捕された際、韓国捜査当局に原さんを宮崎県の海岸で拉致し、原さんに成り済ましてスパイ活動をしていたと供述。日本の警察当局は辛容疑者を旅券法違反容疑などで国際手配し、政府は身柄引き渡しを要求しているが北朝鮮側は応じていない。


めでたいこと、つらいこと (3/22)

 発売日の仕事帰りに買ったFF12。昨日の時点でプレイ時間25時間でミリアム遺跡。
 攻略本も攻略サイトも見ず、というか事前に雑誌で情報を入手することもせず、全くの情報シャットアウト状態なので、どんな評判なのか分かりません。しかし、たぶん評価は分かれているんでしょうな。
 私はFF11はやってないのだが、たぶん12と似たような戦闘システムじゃないのかな。戦闘やフィールドの雰囲気に、ルナティックドーンやディアブロを思い出した。コンシューマ機というより、PCゲーの匂い。
 また、最後まで行ったら感想書くかもしれません。まだLV25くらいだから、半分くらいかな。いつもより時間かかりそうです。


 で、FF三昧の日々でも、WBCは見逃さなかった。仕事柄、夜だと見られないので、昼間の試合はありがたい。
 めでたく世界一、気分がいいやね。
 願わくは、この大会が末永く行われ、「第一回大会優勝国」として記録され続けんことを。営業的には盛り上がったらしいので、たぶんやるんだろうけど。開催時期や試合方式など、考えなきゃならんことはたくさんありそう。韓国のいくつかの行動には腹が立ったが、やっぱ6勝1敗で決勝にいけないのは確かにかわいそう。


 FFを楽しみ、野球に盛り上がりつつも、頭から離れない問題。ちょいと前の話でみんな知っていようが紹介。

めぐみさん拉致現場視察駐日米大使(産経)
 米国のシーファー駐日大使が十六日、新潟市を訪れ、横田めぐみさん=拉致当時(13)=が北朝鮮の工作員に拉致された現場を視察した。米国の高位外交官が拉致現場を視察するのは初めて。めぐみさんの両親の滋さん(73)と早紀江さん(70)らも同行した。
 シーファー大使は視察後、記者会見し、「(横田さんの話は)私の一生の間で一番悲しい話だ。本当にひどいことが行われたと身近に感じた。ブッシュ大統領とは昔からの知り合いなので、また会うときにこの話をしたい」と述べた。
 シーファー大使は午前十時半ごろ、めぐみさんが当時に通っていた新潟市立寄居中前に到着。めぐみさんが拉致された中学校近くの丁字路や、自宅だった旧日本銀行官舎跡のほか、工作船が待機していたとされる海岸を見て回った。
 来月下旬、米下院の公聴会で証言する予定の早紀江さんは「(拉致現場に)来るのは嫌だが、現実に起こったことなので、それで苦しい思いをしている人がたくさんいることをお伝えしたい」と話していた。


 日本の自主的解決という選択肢を放り出して、アメリカに全て委ねるか、ってな考えも頭によぎってしまう話。当然、そんな選択肢を選べば、日本という「国家」の存在は消え失せるわけで、絶対に選んではならないのだけど。
 だいたい、シーファー氏個人の感情はともかく、一国家が同盟国という「友誼」だけで日本を助けてくれるはずがない。アメリカとて同じことで、アメリカはアメリカの国益になる行動しかとらない。最後の最後、自分の国を守るのは自分の国しかない。仮に拉致問題に関して本当にアメリカが解決してくれたとしても、アメリカが日本から手を引けば、自力で主権を守れぬ国は周辺諸国の草刈り場になるだけのこと。

 裏で小泉さんが何を考えているか考えていないのか知らんが、表立ってやらなきゃいけない行動もあるのではないか。北朝鮮への牽制のみならず、それを支援する韓国や中国に対する牽制行為として、目立った動きをとることが必要ではないか。経済制裁も、その選択肢の一つとして考えるべきだろうし、いつも訴えているような法整備も目に見えた牽制になりうる。

 シーファーさんが来てくれて、確かにその気持ちは嬉しいのだが、半面日本は…と考えると、感謝してはいられない。


決勝進出 (3/20)

 ほぼ絶望視されていた準決勝進出、しかしメキシコの活躍で奇跡の復活。
 そして昨日は、それまで不振にあえいでいた福留の代打2ランで勢いを付け、韓国に勝利。神風が吹いた…なんてありきたりな感想が思わず頭をよぎった。

 しかし、「戦いに対する敬意」を持たない人種が多いな、韓国は。

「勝つべきチームは僕ら」 尊厳守ったイチロー(産経)
 イチロー外野手(マリナーズ)が、野球人の誇りを懸けた戦いに完勝した。試合前の練習で告げられた初の3番で3安打、2盗塁、1打点。そして、これまでの2度の苦い思いを晴らすような6―0の勝利。しかし自らも含め、日本の選手が感情をあらわにして、韓国ベンチに向けてガッツポーズをすることは一度もなかった。
 「当然でしょう。野球はケンカではない。そんな気持ちでした」。しかし、今大会における韓国選手たちの振る舞いには闘志をかき立てられていた。
 例えば2次リーグで日本に勝利した後、太極旗をマウンドに突き立てた者がいた。この日、5打席目の邪飛を捕球した三塁手は、そのボールを打者のイチローに向かって投げつけた。それ以外にも敬意を欠く行為が連続。大好きな野球が冒とくされた、と強く感じていた。
 本当の強さやプライドは、プレーそのもので表現すべき。少なくとも、イチローの固い信条は日本野球で培われたものだ。「勝つべきチームが勝たなくてはいけない。そのチームは当然、僕らだと思っていた。きょう負けることは、日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」。
 絶対に負けられない韓国との3度目の顔合わせは、イチローにとってアスリートの尊厳を守る“聖戦”でもあった。
 そんな志に、日本代表のメンバーは完全に同調している。「本当にいい仲間ができました」。チームリーダーが、やっと満足げに笑った。(共同)

 ウィニングランはまだしも、マウンドの太極旗はいかんだろ。他国の土地に国旗をブッ刺すという精神構造は拙者には分からん。硫黄島じゃないんだから。
 ファウルボールをイチローに投げつけたり、お前は小学生か。

 あと一人、駄々っ子が。

【WBC】イ・スンヨプ「日本に負けたとは思わない」(朝鮮日報)
 イ・スンヨプは19日の準決勝終了後のインタビューで「もともとの目標であるベスト4進出に満足している。今日は日本に負けたが、すでに2回勝っているので日本に負けたとは思わない」と語った。

 この辺りは、まだ自国への自負心といえるので気にはならないが、

【WBC】イ・スンヨプ「ルールが間違っている」(朝鮮日報)
 イ・スンヨプ(30/読売)が「ルールが間違っている」と不満を口にした。
 19日、イ・スンヨプは準決勝終了後のインタビューで「最善を尽くした。6勝1敗だったがルールの間違いで脱落した。しかし今後韓国野球にナメてかかってこれないようにした点で意味があると思う」とコメントした。


 これは負けたチームの選手が言う言葉ではないだろう。確かに野球にトーナメント形式が相応しいのか、リーグの組み合わせはアメリカの作為丸出しだろとか、いろいろ議論はあるだろうが、負け惜しみという形で主張すれば、説得力はない。
 イ・スンヨプという男、日本に来たばかりの時、「東京ドームはライトが暗いから打ちづらい」というようなことをほざいていた男。逆境に立つと愚痴ばかり言うような小さな自尊心しかないご様子。


 もちろん、まともな応対ができる人もいる。すべての韓国人がスットコドッコイというわけではない。

<国別対抗野球>投打かみ合った日本 韓国は死球が命取りに(毎日)
◇「野球の質は日本が上」と金監督
 霧雨のサンディエゴは気温13度と肌寒かったが、今大会3度目となる日韓対決は熱気に包まれた。韓国ファンは試合前から、イチローにブーイングを送った。
 先発の徐在応(ドジャース)が上原と息詰まる投手戦を繰り広げ、六回まで両チーム無得点。しかし七回、3番手の金炳賢(ロッキーズ)が代打・福留に先制2ランを喫した。金が直後の小笠原に死球をぶつけたため、場内は騒然となり、両チームに警告が与えられた。この死球が韓国の命取りになった。暴投で二塁に進んだ小笠原に、里崎の二塁打で生還を許し、重い3点目を奪われた。
 4強入りすれば兵役免除の韓国は、大リーグの有力選手が勢ぞろい。6勝無敗で準決勝に進んだがWBC初代王者には届かなかった。ナインは歓喜に沸く宿敵に背中を向け、ダグアウトから去った。金監督は悔しさを抑えて「日本は最も組織されていたし、パワーもある。2回勝ったが、野球の質は日本が上」とライバルをたたえた。エース朴賛浩(パドレス)も「決勝では日本に勝ってほしい。大塚とイチローは友達だからね」とエールを送っていた。
(一部抜粋)


 今回の韓国は、強かった。相手チームの研究能力は高かったと思うし、雑なプレーのイメージが強かったが、実際には投手力と守備力で守り抜く緻密な野球をおこなっていた。宣銅烈さんが日本の良いところを取り入れたのかな…と妄想。

 あと。日本と韓国の差は愛国心の差、なんて意見をけっこう見かけたが、それはどうだろうか。勝負への執念、というのはあったかもしれない。WBCで活躍すれば、韓国選手は兵役免除が得られるし、プロリーグで活躍するより注目浴びるし、国民的英雄になればさらに金が入ってくるし。
 勝負の綾ってのは、愛国心だけで量ることができるほど単純なモノじゃないと思うのだが。


よく分からん謝罪 (3/16)

 まじめなネタを扱う精神力がないので、今日も軽い話を。

荒川の演技「1杯のご飯程度」 仏公共テレビが謝罪(朝日)
 フランス公共テレビは、トリノ冬季五輪フィギュアスケート女子の実況中継で荒川静香選手に対し不適切なコメントがあったとして、在仏日本大使館に手紙で謝罪した。日本政府は15日にも、同局の意図を関係者に伝える。
 問題視されたのは、リレハンメル、長野五輪フィギュア男子で連続銅メダルに輝いたフィリップ・キャンデロロ氏が、逆転の金メダルを決めた荒川選手の自由演技の実況で「茶わん1杯のコメに値する」と評した発言。意図は不明だが、局側は「ご飯1杯」が日本の食習慣に絡めた「たわいもない」という侮辱と受け取られる、と懸念したようだ。
 公共テレビからの手紙は3月2日付で、スポーツ局長から平林博大使あてに届いた。「貴国のチャンピオンの演技に対する当方の発言に、あなた(方)が驚きと怒りをおぼえたのはごもっとも。謹んでおわびし、このような過ちを二度と繰り返さないことを約束します」としている。
 大仰な文面に驚いた大使館が同局に確認し、キャンデロロ氏の発言とわかった。放送後、「日本スケート連盟の代理人」という仏弁護士から抗議の電話があり、謝罪を決めたという。

 「茶碗一杯のご飯に値する」という言葉の真意をぜひ教えて欲しい。「たわいもない」という侮辱に「受け取られる可能性がある」と言っているだけで、そういう意味だとは断定していない。謝罪文を受け取った大使館も、頭の中は疑問符でいっぱいだったのではないか。謝罪を読んだときの顔が見てみたかった。
 てか、代理人の仏弁護士って、本物なの?

 人に謝るというイメージが全くないフランス人だが、こういう変なところではいやに律儀なのな。


会津のケネディ (3/15)

 ここまで来ると、前原さんもかわいそうに見えてくる。菅さんのお笑い(というか笑われ)の雰囲気を身にまといつつあるように見える。

七転び八起きのはずが…前原代表の小法師、転んだまま(読売)
 民主党の渡部恒三国会対策委員長は14日、地元の民芸品である「起き上がり小法師(こぼし)」を幹部に配り、奮起を促したが、前原代表の分だけが転んだままになる“珍事”が起きた。
 渡部氏は同日朝の役員会で、「みなさんに差し上げたいものがある。雪の深い会津の冬でも春の来ない冬はない。七転び八起きだ」と切り出し、福島県会津若松市の民芸品である小法師を出席者に配った。
 鳩山幹事長らは机の上で転がし、起き上がってくる小法師に歓声を上げたが、前原氏が転がすと、小法師は倒れたままに。前原氏は「あっ、起きあがらない」と引きつった笑いを浮かべた後、自分の小法師を手に取ってじっと見つめた。
 幹部の1人は、「不良品が当たるのも、運のなさの現れだ」と偽メール問題などで逆風の真っただ中の前原氏に同情しきりだった。


 渡部さんが国対委員長になってから、まぁ確かに「永田は腹を切れ」みたいなまともなことを言ってはいるのだが、どうしても、由美かおるから電報(だったかな)をもらって喜んでいるシーンや、地元の講演で印籠を見せているシーンや、今回のような起き上がり小法師のシーンが印象に残ってしまう。民主党は本当に大丈夫だろうか、いやもう末期症状か、なんて考える人がいよいよ増えるのではないか、と。

 ただ、渡部さんがただの好々爺かと言われると、なんか違うような気もする。普通だったら「もっと政治にまじめに取り組んでくれ、由美かおるとか小法師とかのパフォーマンスは要らん」とか思うのだが、彼の場合、人が良さそうに見えて油断していると相手のペースに引き込まれてしまうような、そんな恐ろしさを感じる。一見軽そうなんだけど、その軽さが芯からのものなのかよく分からないというか、もし知人だったらいちばん警戒するタイプ。竹下さんの手法を受け継いでいるのかもという先入観がそう思わせるだけかもしれないが。


WBC (3/14)

 一応野球好きなんで、WBCは試合はリアルタイムで見ないまでもチェックはしている。アメリカ人審判による「誤審」で、逆に盛り上がってきたようにも思われる。
 「ありゃないよなぁ」と思う一方で、「さすがアメリカ」と思う気持ちも。1次リーグで危ない目にあったから、奴らも必死なのかな、と。

 我が国のチームが誤信の犠牲になったのになぜ冷静かと言えば、こんな記事を見つけたから。

【WBC】「明らかな誤審」に救われた米国(朝鮮日報)
 米国が世界の野球ファンを相手に厚顔無恥な詐欺劇を繰り広げた。実力では勝てないとでも思ったのだろうか。
 13日(韓国時間)、米国カリフォルニア州で行われた米国対日本戦で、勝負に決定的な影響を及ぼす「疑わしい判定」が発生した。
 3対3で同点8回表、日本は1死満塁で6番岩村がレフトフライを打った。3塁走者の西岡はレフトの ランディー・ウィンが球を取った瞬間、ホームに向かって全力疾走。ウィンがホームに向かって投げた球は大きく外れ、西岡は余裕でホームを踏んだ。日本が貴重な決勝点を決めたと思われた瞬間だった。
 米国代表監督が球審に「レフトのグラブにボールが納まる前に3塁ランナーがスタートした」とアピール。3塁審判はレフトの捕球を確認するために外野に向かっており、2塁審判が3塁ランナーの足を見ていた。アピールを受け入れた球審は2塁審判を呼び正確な説明を聞き、これによりセーフの判定が覆された。
 これに日本代表王貞治監督が強く抗議したが受け入れられなかった。日本応援団はブーイングを浴びせたが球審の耳には届かなかった。
 大会の中継を行うESPNは当時の状況を何度もスロー画面で繰り返し放送した。3塁ランナー西岡は捕球後にスタートを切っていた。明らかな誤審だ。
 この試合でアメリカは序盤から日本に主導権を奪われていたため、8回の失点は敗北につながるほかなかった。
 世界最強を自負するアメリカが「不当なホームアドバンテージでも勝てるなら厭わない」という本性を見せたわけだ。
アナハイム=クァク・スンフン特派員


 韓国がこともあろうに日本の味方をしている!
 かの国の法則が発動すれば、日本はこのままジリ貧、アメリカが優勝…ということになるのだが。誤審どころじゃございません。韓国がアメリカに勝ったりしたら、日本が残りを勝っても2次リーグ敗退する可能性が出てくるし。

 WBC、あんまり盛り上がってないって話も聞くが、はじめはこんなもんでしょう。サッカーのW杯だって、はじめから今のような世界規模の大会だったわけではない。何年も掛けて、立派な大会に育て上げて欲しい。とりあえず、2次リーグはアメリカで全試合をやって審判もアメリカ人、てのは来年からやめてくれ。ここを改良しなかったら、アメリカのためのアメリカによる大会という状態をいつまで経っても抜け出せない。


頑張ってるように見えるけど (3/13)

北朝鮮人権法案:自民チームが要綱了承 経済制裁発動盛る(毎日)
 自民党の対北朝鮮経済制裁シミュレーションチーム(座長・山本一太参院議員)は10日、党本部で会合を開き、政府に拉致問題の解決に向けた取り組みを促す「北朝鮮人権侵害問題対処法案」の要綱を了承した。今月中に法案をまとめ、自民、公明両党による議員立法で今国会成立を目指す。
 法案は、拉致問題が進展しない場合、政府は「特定船舶入港禁止特措法」「改正外為法」に基づく北朝鮮への経済制裁発動について、「国際的動向等を総合的に勘案」して「必要な措置を講ずる」と規定。当初は制裁発動を義務付ける方向で検討してきたが、内閣の外交権の制約は憲法違反の恐れがあるため、政府に裁量の余地を認めた。
 法案要綱は全6条からなり、「拉致問題の解決は国の責務」と明記し、(1)毎年12月10〜16日を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と設定(2)政府の取り組みをまとめた年次報告の国会提出(3)拉致被害者や脱北者に対する適切な施策を講ずるための国際的な連携強化−−なども盛り込んだ。【中田卓二】
毎日新聞 2006年3月10日 18時54分

 3日前の記事。最近、「圧力へ向けた流れ」が目立ってきてますな。昨日の「サンデープロジェクト」で森さんも「経済制裁した方が良い」というようなことを言ってたし。
 もちろんそうした流れ自体に反対するつもりはないんだけど、どこまで本気なのかという疑問はあるし、これまでの政府の対応を思い出すと、なおさらその感覚は強まる。

 「国際的動向を総合的に勘案して」というのは、確かにまぁその通りだなとは思うのだが、これまでその「国際的動向」を日本に有利な形にしようという努力を政府はしてきたのか…そう考えると、制裁を行わないためのエクスキューズでないかという疑いは当然出てくる。受け身で待っていても、日本が望むような国際的動向には成り得ない、もっと能動的な行動を政府に希望し続けているのだが。

 噴飯ものなのは、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」。できるだけ早期に拉致問題を解決させようという意思が、微塵も窺えない。拉致を交通安全くらいにしか考えていないのではないかと腹立たしい。


<対北朝鮮>保険付き郵便の検査強化、不正送金防止へ 政府(毎日)
 政府は12日、日本から北朝鮮に向けた国際郵便のうち、現金送付が可能な保険付き郵便物の検査を強化し、不正送金の防止に取り組む方針を固めた。このほか、不正輸出の取り締まりを強めるなど各種現行法を厳格に適用し、包括的な圧力強化に乗り出す構えだ。これにより経済制裁に準ずる効果をもたせたい考えで、13日の拉致問題専門幹事会(議長・鈴木政二官房副長官)で「厳格な法執行分科会」を設け、最終調整に入る。
 政府は北朝鮮への「対話と圧力」路線を崩しておらず、経済制裁法の適用は当面見送る方針。ただ、先月の日朝協議でも拉致問題に進展が見られず、鈴木副長官が各省庁に圧力強化策の検討を指示していた。
 北朝鮮への郵送による送金は保険付き郵便物(限度額48万円)に限り認められており、04年度は前年度の約3倍の1560通に急増、外貨獲得手段と指摘されている。限度額を超えた送金の可能性もあるとして、郵便法に基づく郵便局窓口での「引き受け検査」で送金主への金額確認を徹底し、場合によっては郵便物の開封も求める。年間の送金総額など実態把握も行う。
 また外国為替及び外国貿易法に基づき、国内の輸出関連企業100社を対象に、軍事転用が可能な機器が北朝鮮に輸出されていないか抜き打ち検査を行う。このほか(1)マネーロンダリング(資金洗浄)などの監視(2)海上パトロールによる麻薬取引などの取り締まり――なども強化する方針。
 「法執行分科会」は財務、法務、経済産業、警察、海上保安、金融の6省庁の部長、審議官級で構成される。【米村耕一】


 この記事もそう。やってること自体に反対する訳じゃないが、何を今更って感覚があるのが正直な感想だし、拉致が無くてもやらなければならないことをやってこなかった、ってだけの話とも言える。



おまけ1。

中国大使館スポークスマンのコメント(中国大使館)
 一部の報道機関によるいわゆる「中国駐日大使呼び出し拒否」の報道について、以下の事実を説明する:
 1、3月8日午後、外務省から中日関係について大使と意見交換したいとの連絡があった。正式の申し入れとの明示はなく、具体的なテーマの提示もなかった。
 2、たまたま当日大使主催の重要な行事などを予定していたため、双方が相談した結果、翌日に会うことにした。
 各報道機関には、今後中国大使館に関する記事を発表する際に、事実関係を当大使館と事前に確認するよう要望する。

 王毅くんが呼び出しをシカトしたのかこの文面通りなのかは知らないが、とりあえず中国が日本の報道機関の検閲を望んでいることはよく分かった。


おまけ2。

典範会議・岩男氏、寛仁さま発言批判 「時代錯誤」(産経)
 政府の「皇室典範に関する有識者会議」のメンバーである岩男寿美子・武蔵工大教授が、自身が編集長を務める海外向けの英文雑誌「ジャパンエコー」二月号に寄せた論文で、女系天皇に異論を唱えた寛仁親王殿下を「時代錯誤の考えには、驚くしかない」と強く批判していたことが十日、分かった。岩男氏はまた、寛仁さまが側室制度導入は「難しい」としているにもかかわらず、「側室制度を提案してきた」と事実と異なることも記述している。
 「ジャパンエコー」は海外向けに、英文で日本の論壇の論調などを紹介する隔月刊誌で、編集会議には外務省職員も参加。在外公館を通じ、欧米など各国の大学や研究機関に配布している。
 岩男論文は「日本の皇位継承者」と題し、「二〇〇五年十一月は、日本の皇室にとって二つの大きな進展のあった月だった」と書き出し、有識者会議の報告が提出されたことを自賛。メンバー構成や報告書の内容、反響などを紹介している。
 この中で、寛仁さまについて「天皇のいとこで、女性が皇位を継承できるようにすることについて疑問の声を上げ、旧宮家や皇室の側室制度の復活を提案してきた」と指摘。さらに「彼の時代錯誤(anachronism)には驚くしかない」と批判している。しかし、寛仁さまは昨年、福祉団体の会報に寄せたエッセーで、側室制度に触れてはいるが、「国内外共に今の世相からは少々難しいかと思います」と記され、「提案」したわけではない。
 また、岩男氏は、短期間で結論を出した有識者会議の議論に「拙速だ」との指摘があることにも「奇妙な反対論だ」と反論している。その理由として「この問題は実は有識者会議の設置に先立つ七、八年前から内閣官房内のグループによって研究されていた」と明記した。有識者会議が事実上、先行する政府の非公式研究を下敷きにした「結論ありき」の存在だったことを認めた形だ。
                  ◇
 【海外向け英字誌に寄稿】
 二〇〇五年十一月は、日本の皇室にとって二つの大きな進展があった月だ。まず、プリンセス清子の結婚があり、もう一つは「皇室典範に関する有識者会議」の報告書が提出されたことだ。
 提示された改正点は、継承者を男系男子に限定した現行制度の維持を主張する陣営から強い抵抗を受けている。だが、この男系継承を可能にしたのは、以前の制度で天皇に側室が置けたからだ。これは今日、賛同を得られるものではない。
 奇妙な反論がある。それは、こんな重要な問題で、一年以内に結論を得るというのは拙速すぎるというものだ。しかし、この問題は実は、われわれの有識者会議の設置に先立つ七、八年前に、内閣官房内のグループによって研究されていた
 もう一つの反対論は、われわれが皇族の意見を聞かなかったというものだ。しかし、天皇も皇太子も立場上、この問題に関しては意見を表明しないと示している。天皇のいとこであるプリンス寛仁は、女性が皇位を継承できるようにすることに疑問の声を上げ、旧宮家や皇室の側室制度の復活を提案してきた。彼の時代錯誤の考えには、驚くしかない。(要旨、原文は英文)

 やっぱり有識者会議は官邸の後追いをしていただけなのな。てか、日本の問題をなぜに海外で披瀝する必要がある?しかも事実をねじ曲げてまで?


JOJO (3/10)

 本屋で見かけた文庫版のJOJOを衝動買い。シュトロハイムの雄姿を思い出し、思わず手が伸びた。久々に読むと、やっぱ面白いわ。
 しかし、生まれてはじめてナチスの存在を知ったのはこの漫画だったため、長いことナチスのイメージ=シュトロハイムのイメージだった。今でも抜け切れてないかもしれぬ。


王毅くん、職員室に来なさい (3/10)

 日本の駐中大使が呼び出されてお叱りを受けるなんてニュースはよく見る、たまには駐日大使を呼び出して叱ったらんかい、などと常々思っていたのだが、一応やろうとはしたようだ。

中国外相発言、抗議の呼び出しを駐日大使が拒否(読売)
 中国の李肇星外相が小泉首相の靖国神社参拝を「愚かで不道徳なことだ」と表現した問題で、同国の王毅・駐日大使が8日、抗議しようとした谷内正太郎外務次官の外務省への呼び出しを拒否していたことがわかった。
 大使は「日程の都合」を理由に応じず、谷内次官は電話で抗議した。
 外務省は「外交儀礼上、極めて異例」と困惑しており、政府・与党には外相の発言や大使の対応への反発が広がっている。
 李外相は7日、北京での記者会見で、首相の靖国参拝を批判し、「あるドイツの政府当局者は私に、『日本の指導者がどうしてこのような愚かで不道徳なことができるのか理解できない』と語った」と述べた。
 これに対し、日本の外務省は8日、中国大使館に数回電話し、王大使が外務省へ来るよう求めたが、中国側は応じなかった。結局、夕方になって電話には応じた王大使に、谷内次官は「意見の違いはあっても、意見の表明では適切な表現を用いるべきだ」と抗議した。王大使は首相の靖国参拝に反対する中国の立場を主張して謝罪せず、激しいやりとりになったという。
 これに関連し、安倍官房長官は9日の参院予算委員会で、「外交のトップにある人物として、一国の指導者に『愚か』とか『不道徳』という言葉を投げつけるのは品位に欠ける。ドイツ政府当局者にあのような言葉を発する人がいるとは、寡聞にして知らない」と李外相を強く批判した。
 自民党幹部も同日、「都合が悪い時に呼び出しに応じないのは問題だ。『送金指示メール』問題と同様、批判する以上、『ドイツの政府当局者』がだれなのか明らかにするべきだ」と中国側を非難した。


 個人的心情を正直に申せば、国外退去にしてしまえ、という気分。まぁそんなことしたら同じ土俵に立ってしまうから、やったらいかんのだけど。

 念のため、発端になった話を載せておく。独裁的に権力を握った存在がいなかった日本と、ナチスドイツを同一に語るという愚かで不道徳な主張。
「ヒトラー」挙げ靖国参拝非難=公式会見で異例発言−中国外相(時事)
 【北京7日時事】中国の李肇星外相は7日、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が開会中の北京の人民大会堂で記者会見し、日中関係に関して小泉純一郎首相の靖国神社参拝を念頭に「中国や他国民は日本の指導者によるA級戦犯参拝を受け入れられない」と強く非難した。ヒトラーやナチスを挙げ、「ドイツの指導者は戦後、崇拝していない」とした上で「ドイツ人も、日本の指導者がばかげた不道徳な行為をなぜ行うのか理解できない」と述べ、小泉首相に反省を求めた。李外相はさらに、「米国人も1941年12月に発生した事件(真珠湾攻撃)を忘れていないし、日本侵略者はマラッカ(マレー半島)も空襲し、多くの民衆を傷つけた。このような例はとても多く、3時間かけても話し終わらない」と、日本の過去に対し強い批判を続けた。
 李外相の発言はドイツや米国の当局者らの話を引用した形になっているが、中国外相が内外記者の出席した公式記者会見でここまで対日非難を展開するのは極めて異例。こうした発言に日本国内の反中感情が高まるのは必至で、日中関係が一層悪化する恐れが強い。


 自分は呼ばれたときに出てこないことについては、やはり拙者も日本人だから腹立たしく思うのだが、同時に中国の傍若無人ぶりがよく伝わるからもっとやってくれいという気持ちもある。


 おまけ。韓国語を機械翻訳にかけただけなので読みにくいが。
[百ストップ] 球一つでお腹'烈士'になった背泳数
 イチローにデッドボール喰らわせた投手が、英雄なんだと。


なめてるのかなんなのか (3/9)

 尖閣を含めた海域の共同開発を提案するたぁ予測していなかったが、でも中国が採るおおよその方向性は予想通りと言える。

尖閣共同提案 政府、中国に猛反発 首相「協議は継続」(産経)
 政府は八日、東シナ海の日中中間線付近の石油ガス田開発をめぐる局長級協議で中国が提案した尖閣諸島と日韓大陸棚共同開発区域の周辺を対象とする共同開発案を拒否することを決めた。政府内にはわが国固有の領土である尖閣諸島を共同開発の対象にするよう求めた中国への強い批判が挙がっている。
 小泉純一郎首相は八日夜、局長級協議について「話し合いで解決していこうということだ」と述べ、中国側との協議は継続する考えを示した。首相は同日午後、二階俊博経済産業相を官邸に呼び、「多少時間がかかっても円満な解決をみるように一層努力してほしい」と指示した。
 一方、安倍晋三官房長官は同日の会見で、中国案について「受け入れられない」と拒否。わが国も試掘に踏み切るべきだとの意見が強まっていることについて、「そういう意見が強いということを中国に理解してもらいたい。われわれの権利として試掘できるが、日中の協議で友好の海にしたいという姿勢を示している」と述べた。
 中国は、北京で六、七両日に開かれた局長級協議で、日本が昨年九月に提案した日中中間線付近にある白樺(中国名・春暁)、樫(同・天外天)など四つの石油ガス田を対象とした共同開発案を拒否した。
 中国は尖閣諸島について、国連アジア極東経済委員会が昭和四十三年に周辺海域に石油が豊富に埋蔵されている可能性があるとの調査を発表した直後に突如、領有権を主張。また、日韓大陸棚共同開発区域は、日本と韓国が四十九年に署名した協定に基づき、石油や天然ガスを共同開発する区域になっている。
 政府は尖閣諸島周辺海域での共同開発を提示したことについて、「なぜ、わが国固有の領土で中国と共同開発をしなければならないのか。まったく理解できない。誠意を疑う」(日中関係筋)と反発している。


<東シナ海ガス田>中国提案 日本、北側海域の合意に期待(毎日)
 政府は8日、東シナ海のガス田開発をめぐる第4回日中実務者協議で中国側が提案した尖閣諸島周辺を含む共同開発案の分析と対応の検討に入った。中国側の提案は南北2カ所の海域に分かれており、南側については日本の尖閣諸島領有を否定しかねない提案のため、強く反発した日本側は7日の協議で「受け入れられない」と拒否した。北側は日中中間線(日本の主張する境界)にまたがる「龍井(日本名・翌桧(あすなろ))」ガス田を含む可能性があり、中国側の真意を見極めつつ、1カ月以内にも東京で開く次回協議で日本側の見解を示す方針だ。
 ◇日本、「尖閣周辺」案は拒否
 尖閣諸島は日本が実効支配しているが、国連アジア極東経済委員会が「周辺海域に石油が埋蔵されている可能性が高い」と指摘する報告書をまとめた1969年以降、中国や台湾が領有権を主張するようになった。70年代に商社などが試掘権の設定を政府に申請したが許可されず、石油資源があるかどうかは確認されていないのが現状。中国提案は石油権益の絡む領有権争いに火をつける可能性があり、「領有権問題など存在しない」との立場をとる日本政府が受け入れる余地はない。
 日本側は昨秋の第3回協議で、中国がすでに開発に着手している「春暁(同・白樺)」「天外天(同・樫)」とともに「断橋(同・楠)」と龍井の共同開発を提案した。これらの石油・ガス田は日中中間線をはさんで日本側にもつながっている可能性があり、日本側の地下資源が吸い取られないようにするためだ。日本側は春暁と天外天の開発中止と共同開発を強く求めており、これらを除外した今回の中国提案は尖閣問題がなくても日本側が応じられる内容ではない。
 それでも日本側が中国提案を持ち帰って検討することにしたのは、協議の決裂を避けるためだけでなく、「それほど変なボールを投げてきたわけでもない」(政府関係者)との見方もできるからだ。政府は中国提案の内容を公表していないが、政府筋は「北側の海域は龍井を含む可能性がある。まず龍井の共同開発に合意できるなら悪い話ではない」と語る。
 ただ、最大の埋蔵量が見込まれる春暁の生産開始に中国が踏み切った場合、「日本も試掘を進めて対抗すべきだ」との世論が強まり、日中関係が緊迫することも予想される。そのため日本政府は春暁の共同開発協議に入るよう引き続き中国に求める構えで、安倍晋三官房長官は8日の記者会見で「もう少し現実的な案を提案して欲しい」と中国提案を批判。小泉純一郎首相は同日夜、記者団に「協議を継続し、話し合いで解決していく」と強調した。【平田崇浩、宇田川恵】


 小泉さんは「多少時間がかかっても円満な解決をみるように一層努力してほしい」と話しているのだけど、円満解決を目指して時間をかければかけるほど、中国の好きなようにやられてしまう可能性はないのかね。

 今日の朝日朝刊では、中韓に対して毅然とした行動をとるよう求める意見を「ナショナリズム」と絡めて批判的に取り上げていた。毅然とした主張をすれば角が立ち、友好関係は築けない、ということだそうで。
 しかし、二階経産相を筆頭とする政府の「太陽政策」の結果が、我が国固有の領土・領海をも共同開発しようという、厚顔無恥な中国の提案である。江沢民の講話を刻んだ石碑を地元に建てようとした媚中派二階を経産相にした小泉さんの思惑も、私には図りかねる。

 ただ、中国の強硬姿勢は、日本をナメている以外にも別の理由があるかもしれない。
 あの国は、内部に問題が起きれば起きるほど外に目を向けさせる性向がある。ジャイアン面を全開にしているときほど内部は脆い、外骨格国家。今回の件は中国にとってチキンレースなのかも。なおさら日本は原則を主張し続けて欲しいですな。

 中国は近代国家でないのだから、「話し合い(という名の譲歩)」を基本にした外交を考えると痛い目をみる。中国共産党という名の皇帝による独裁支配で、秦始皇帝のときから変わってないんだから。



北朝鮮体制崩壊時の邦人救出、政府対応検討へ(読売)
 安倍官房長官は8日の参院予算委員会で、北朝鮮の現体制が崩壊した際の邦人救出について、「北朝鮮の拉致被害者、日本人妻をどうするかは大きな課題だ」と述べ、政府として対応を検討する考えを示した。
 一方、額賀防衛長官は、邦人救出時の自衛隊の活用について、「自衛権の発動として助けにいくことが、法的に整備されているとは思っていない」と述べると同時に、「外相の要請を受け、輸送が安全であるという条件の下で考えることができる」と語った。

 体制崩壊時の邦人救出は大事な問題だから勿論話し合ってもらわなきゃいけないが、私としては、体制崩壊にどういうパターンがあるのか、それぞれ日本はどう対応すべきかの場合分けを、政府にシミュレーションしておいていただきたいと思う。
 あと、額賀さん。「法的に整備されているとは思っていない」と言うならば、早く整備してくださいな。自衛隊が国民のために働いても事後に法律違反で捕まるような間抜けな事態を、早く改善してくださいな。


予想通りとは言え (3/7)

 金昭子問題の続報。

1週間保留「北」代議員に再入国許可書 家族会、救う会「大変口惜しい」(産経)
 名古屋入国管理局(名古屋市)は六日、日本に六人いる北朝鮮最高人民会議代議員の一人で、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)女性同盟委員長の金昭子氏(63)=愛知県小坂井町=が二月末に申請していた再入国許可書を約一週間ぶりに交付した。再入国許可書は即日交付が慣例だが、同入管は保留扱いとしたため、金氏側が抗議していた。
 これを受けて拉致被害者家族会の横田滋代表と「救う会」の佐藤勝巳会長は同日夜、「北朝鮮の国会議員にあたる金氏の再入国許可をしたことは大変口惜しいの一言」との共同声明を発表した。
 声明は「日本から北朝鮮に帰ることは全く自由だが、北朝鮮に渡って国会議員として政治活動をした上で戻ってくることは問題だ。次回はこのようなことがないように強く求める」としている。
 金氏は在日二世の特別永住者で、来月に北朝鮮訪問を予定し、昨年八月に再入国許可書の有効期限が切れたため、二月二十七日に再申請した。朝鮮総連などによると、許可書交付の際、入管職員は「事務手続き上、個別審査に時間がかかった」と説明したという。金氏は「今後も同じことが起きる可能性があり、理由を説明してほしい」としている。


 3日にこの問題が報道されたと思ったら、早くも許可が下りてしまった。
 入管が単独で厳しい措置を執ることは難しく、政府が対北朝鮮について厳しい態度で臨むと方針を固めていなければ、こうなるのも当然の結果。これまでの総連の行動を考えるに、おそらく、朝鮮総連から入管に対する抗議(という名のいやがらせ)が行ってただろう。政府の後ろ盾無くして厳しい態度を貫くのは難しかろう。

 北朝鮮に無理矢理連れ去られた人は祖国日本に帰ることができず、その犯罪者の片棒を担いでいるような人間は自由に祖国と日本を行き来する。この不条理を何とかして欲しい。永田の懲罰動議なんてどうでもいいから、日本国内で北朝鮮のために活動する人間を押さえ込む法案を考えてくれ。


 ところで我が国の総理は、こんなあんばい。

対北制裁発動、首相は慎重姿勢…参院予算委(読売)
 小泉首相は6日の参院予算委員会で、北朝鮮に対する経済制裁について、「制裁すれば、懲らしめれば、日本の思う通りにいくかというと、そういう問題でもない」と述べ、制裁発動に慎重な考え方を改めて示した。
 その上で「北朝鮮とは対話なしに様々な問題は解決できない。難しい相手だが、交渉しなければならないのが北朝鮮であり、金正日総書記だ」と語り、拉致問題などの懸案解決に向け、引き続き対話を重視する姿勢を強調した。自民党の片山参院幹事長の質問に答えた。


 「制裁すれば思う通りにいくか」と仰るが、制裁しないで思う通りにいく方法が首相の胸の内にはあるのだろうか。「制裁して思う通りにいかない」なら「思う通りにいく」べく施策を繰り出す必要があると思うが、それをしないのはなぜか。

 また、「交渉」という言葉に引っかかる。いや、北朝鮮に要求を飲ませようと意思伝達する場を「交渉」と表現するのは理解できるし、私も文脈上しかたなく使うこともある。しかし話し合って「返してもらう」ってニュアンスが出るようで、私は拉致問題に関しては「交渉」という語は極力使わないようにしているつもり。
 「交渉」に関してはもう一つ。もはや、北朝鮮の出方をうかがってからこちらの態度を決めるという段階ではない。北朝鮮が言うことを聞くのは、強硬な態度と手段を有する国。(実際に武力行使するかは別としても交渉の手段として)軍事力を憲法或いは特措法で定義したり、国内の北朝鮮分子を処断できる法律も必要だし、北朝鮮がどうこう言う前に日本がやっておかねばならないことが多すぎる。問われているのは北朝鮮の姿勢ではなく、日本が主権を守るための手段を有しそれを行使できるようにすることではないか。


 小泉さんのかような態度を見ていると、こんな話も危機感を抱きながらでないと聞けない。

首相が北朝鮮再訪問? 片山氏「サプライズ」(毎日)
 自民党の片山虎之助参院幹事長は28日夕、広島市内で講演し「小泉純一郎首相はサプライズ好きだから、もういっぺん可能性がある。北朝鮮(問題)かもしれない」と述べ、9月の自民党総裁任期切れまでに首相が北朝鮮を訪問する可能性があるとの見方を示した。
 片山氏は、日本との政府間協議で北朝鮮側が、日本の要求にはゼロ回答ながらも協議を継続する意向をみせたと指摘。一方で、首相が経済制裁発動に慎重な姿勢を示しているとして「残り7カ月で小泉さんが何をやるのか大変興味がある」と強調した。



一見圧力に見えるけど (3/6)

「対北」摘発を厳格化、首相官邸に分科会(読売)
 政府は、北朝鮮を対象とした不正輸出の取り締まり、出入国管理、密輸摘発などを強化するため、近く、首相官邸の拉致問題専門幹事会に「厳格な法執行分科会」を設置する。
 経済制裁の是非を判断する前に、現在の取り組みを強めることで、北朝鮮への圧力を増し、拉致問題などでの対応の変化を促すのが狙いだ。
 具体的には、財務、法務両省は入国管理と税関に人員を重点的に配置し、北朝鮮関係者や携行品などの監視を強める。朝鮮語に精通し、北朝鮮関連の犯罪捜査を経験した警察官らを入管や税関当局に出向させたり、併任させたりする方向だ。
 経産省は、外国為替及び外国貿易法に基づき、軍事転用可能な機器を扱う国内企業約100社への抜き打ち検査を年内にも行う方針だ。金融庁は、北朝鮮関係のマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の疑いがある取引を捜査当局に通告することにしている。
 また、海上保安庁は保安官の増員を検討しており、北朝鮮を出入りする船舶の入港検査を厳格に実施するほか、覚せい剤や密輸摘発のための海上パトロールを増やしたい意向だ。


 このこと自体に反対する気持ちはないのだが、何を今更という感が強い。拉致事件解決のために何をするかという話ではなく、不正輸出取り締まりだの出入国管理だのは、仮に拉致事件がなかったとしても国家としてせねばならない事柄。北朝鮮という国家の有り様を考えれば、そこに関わる問題に目を光らせるのは当然のこと。一見「政府もそれなりに頑張っているな」と見えかねないが、今まで緩めていたものを普通の状態にすると言っているに過ぎない。

 さて、その官邸の動きと呼応しているのかどうか、この話。中日新聞3月3日付の記事。

北朝鮮へ一時帰国許可保留名古屋入管、女性への説明拒否(中日新聞)
 一時的な出国に必要な「再入国許可書」の交付が保留されているのは不当として、愛知県小坂井町の在日朝鮮人、金昭子さん(63)が2日、名古屋入国管理局へ申し入れを行った。保留の理由の説明や局長への面会を求めたが同入管は拒否した。
 金さんはいとこの1周忌のため4月に万景峰号で北朝鮮へ行く予定で、2月27日に同許可書の発行を名古屋入管に申請した。これまでも数回交付を申請し、いつもその場で発行されていたが、今回は「審査が必要。後日連絡する」として発行されなかった。
 翌日、弁護士らと抗議すると、同入管職員は「局長判断になっている」と説明。その理由を「時節柄」「テレビ、新聞などでいろいろ報道されているようなこともある」などと話したという。
 金さんは日本生まれの在日2世。「自分の国に帰るのは人間の初歩的な権利。許可書を出さない理由も言われず、侮辱された気持ち」と話し、同行した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)県本部の李博之副委員長も「在日全体の問題」とした。
 再入国許可書は、出国した在日外国人が日本へ帰国する時に提示するパスポートのようなもの。法務省のホームページでは、申請から発行までの標準処理期間は「当日」。
 朝鮮総連中央本部も、何日も保留される事態は「聞いたことがない」とし「拉致問題に絡んだ北朝鮮バッシングの一環と感じざるを得ない」と話している。

 この金昭子なる人物、朝鮮総連中央本部副議長・在日本朝鮮民主女性同盟中央本部委員長であり、北朝鮮最高人民会議の代議員という肩書きを持っている。
 「自分の国に帰るのは初歩的な権利」……確かにその通り。ならば、北朝鮮に拉致された日本人も、日本に帰る権利を持っているのだが。だいたい、今回の話は「日本への再入国許可」が出るかでないかの話で、金昭子が北朝鮮に行くことには何の問題もない。金昭子の「自分の国に帰る権利」は現時点で既に保証されている。

 北朝鮮のために動く人間を自由に日本でのさばらせている現状がおかしいのであって、再入国許可が出ないのが通常の状態ではないのか。むしろ明らかに日本の不利益となる行動をとる人物に対しては、再入国禁止どころか国外退去を命ずるべきでは、と私は考えている。先週には「日本国内で情報工作などをおこなった北朝鮮籍の人間を国外退去に」って書いたしな。スパイを追い出すなんて当たり前の話だと思うのだが、反対の人も多いんだろうなぁ。


 一連の流れが、北朝鮮へ圧力をかけるという方向に進むのならばいいのだが、油濁法のように締め付けっぽいだけで実はザルだったという「見かけ倒し」の話になる可能性もある。現時点では、拉致事件解決に繋がるような次元の話ではない。
 金昭子の話が金昭子個人に対する話にとどまっており、「北朝鮮の利益のために動く人間」に対する措置となっていないように、政府の対北朝鮮の指針全体が見えてこない。そのため、冒頭の分科会も戦略に基づいたものというより、個別の目立った事案を処理するためだけのものではないかという疑念を抱いてしまう。

 北朝鮮が拉致を認めて4年。拉致事件解決の方針どころか、国内の親北朝鮮分子をどう扱うのかすら軸足が定まっていない。北朝鮮に言うこと聞かせるために軍事力を有して…というのはまだ当分先の話なのか。


冬季五輪、教育 (3/1)

 いつの間にかトリノ五輪が終わっていたそうで。ウィンタースポーツが大嫌いな私には興味がない話だったりする。スキーについても、寒いのになんでもっと寒いところに行って、リフトで登って滑ってリフトで登って滑ってを繰り返さなきゃならんのだ、と。冬はこたつでミカンだろ。
 そんな拙者でも、ハイライトで流れる荒川静香の演技は綺麗だなと感嘆する。「誰も寝てはならぬ」が大好きな曲というのもあるが、それをバックにイナバウアーを決める姿には、泣きそうになる。と同時に、コマネチみたいな感じで「イナバウアー」を一発ギャグにする芸人が出てくるんだろうなとも考えるのだけど。

 拙者が若い頃には、なんかアホみたいにまわりでスキーが流行っていた記憶があるが、今はどうなんでしょ。競技人口が多ければ、つまり裾野が広ければ、頂点に立つ人間のレベルも高くなる。今回の日本の不振を嘆くのであれば、アマチュアレベルの大会や日本国内で行われる小規模の大会から注目、応援してあげなきゃ矛盾してる。普段ウィンタースポーツに興味もないのに、期待を裏切られたとか言うのは変じゃないかな、と。

 裾野といえば、教育問題を連想する。そりゃできる子はできるのだが、全体的なレベルは明らかに低下している。とりわけ、練習量がモノを言う四則演算が、今の子供は多くが苦手としている。学校で電卓の使用を許しているくらいだから、話にならぬ。計算練習が足りないから、自然に身に付く比例の感覚も無い子が多い。教科書のイラストに描かれる子供(横に名前も書いてある)が、登場するたびに服装が替わっていたりして、「力入れる場所間違ってるだろ」とゲンナリしたり。
 じゃぁ思考力が鍛えられているかと言えば、一昔の基本問題が今の応用問題になっていたり、基礎的な計算能力や知識がないから発展的思考を動員するまでのレベルに至っていないから、結局思考力も鍛えられない。ゆとり教育は「伸びる子をのばす」ようなモンではなく、学校の教育レベルをいわゆる落ちこぼれに合わせるシロモン。一部のできる子は進学塾に行って才能を開花させるが、そうでなければまともな学力は身に付かない。小学校のテストなんて、90点で普通、80点だとヤバいってレベルだから、親も「うちの子は80点取れてるから安心」なんて子供の実情に気付かない。で、中学に行ってこんなはずじゃないと焦るんだな。

 さらには、問題は学校に限らない。親の甘やかしっぷりはうちらの子供時代からは考えられない。「子供が部活で疲れているようなので塾を休ませます」なんて親は、決して珍しくない。やりたくないことでもやらなきゃいけない時がある、って当たり前のことを躾けていないから、ちょっと分からない問題があると頑張ろうとせずにすぐに放り投げる。こらえ性がないから、勉強も身に付かない。

 ウィンタースポーツに関しては裾野がどうなのか分からないが、子供の教育に関する限り、かなり地盤沈下が進んでいると見る。少なくとも私の地域、私の接する子供に関しては。