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蒟蒻畑復活 (2008 11/28 0:00)

こんにゃくゼリー製造再開 マンナンライフ(11/26共同)
 兵庫県の1歳男児がこんにゃくゼリーで窒息死した事故を受け、原因となった商品「蒟蒻畑」の製造を一時停止していたマンナンライフ(群馬県富岡市)が、一部商品の製造を再開することが26日、分かった。
 警告マークの拡大や、ゼリーの品質変更など再発防止策が整ったためで、12月上旬にもスーパーなどの店頭に並ぶ見通し。
 同社によると、製造を再開するのは「蒟蒻畑」と「蒟蒻畑ライト」それぞれのブドウ、リンゴ、白桃の6種類。パッケージの表面の3分の1ほどのスペースで子どもや高齢者には食べさせないように注意喚起しているほか、個別カップにも警告マークを載せた。こんにゃく粉の割合を減らし、ゼリーそのものの弾力性も低くしたという。
 同社は「こんにゃくゼリーの特徴を理解してもらうように分かりやすい表示をして再発防止に努めたい」としている。


 製造再開にホッとすると同時に、「ゼリーの弾力性を低くした」というのが気になる。マンナンライフ以外の蒟蒻ゼリーのように、弾力のないボソボソしたマズいシロモンになっていないことを心から祈る。

 しかし、どう考えても「責任転嫁」の好例としか思えない蒟蒻ゼリー叩き。その理不尽に耐えて再発防止策を講じたマンナンライフに対し、まだ叩かねば気が済まない方がいる模様。

こんにゃくゼリー 製造を再開(11/26NHKニュース)
 NPO法人・日本消費者連盟の富山洋子さんは「表示を大きくすることで効果が見込まれるのか疑問だ。また、こんにゃく粉の割合を減らせば安全なのか、専門の検査機関で科学的に調べてもらわないと安心できない」と話しています。(一部抜粋)

 メーカーが食の安全に対し一定の責任を有するのは確かだが、子供や高齢者に食べさせるなという旨の注意書きが記載されているにもかかわらず、それを守らないような人間に対してまで責任をかぶるよう求めるのは酷ではないか。「専門の検査機関で科学的に調べてもらわないと安心できない」と言うのなら、餅も飴も食べないでもらいたい。

 だいたいこの「日本消費者連盟」なる団体。消費者の代表みたいな名前を名乗っているが、日本消費者連盟のホームページを見ると、「集団的自衛権の合憲化阻止」とか「憲法改悪阻止」という文字が見え、「消費者連盟」という名から想像するイメージとは、ちょいとズレがあるように思われる。また、全部を細かく見ていないので見落としているだけかもしれないが、アメリカの狂牛病についてはいろいろ意見しているのに、中国産の食品についての主張が見られないのだが…?


医療費を巡る麻生総理の発言 (2008 11/28 0:00)

「何もしない人の分を何で私が払う」医療費巡り麻生首相(11/27朝日)
 「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」。麻生首相が20日の経済財政諮問会議で、こんな発言をしていたことが、26日に公開された議事要旨で明らかになった。自らの健康管理を誇ったうえで、病気予防の重要性を訴えたものだが、保険料で支え合う医療制度の理念を軽視していると受け取られかねない発言だ。
 首相は社会保障費の効率化の議論の中で「67、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている、医者にやたらかかっている者がいる。学生時代はとても元気だったが、今になるとこちら(首相)の方がはるかに医療費がかかってない」と指摘。自ら日課にしている朝の散歩が役立っているとしたうえで、「私の方が税金は払っている。努力して健康を保った人には、何かしてくれるというインセンティブがないといけない」と強調した。


 マスコミの恣意的な発言の切り取りと思われる方もいるだろうから、議事録へのリンクも貼っておく。

平成20年第25回経済財政諮問会議議事要旨

(麻生議長) 67歳、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている、医者にやたらにかかっている者がいる。彼らは、学生時代はとても元気だったが、今になるとこちらの方がはるかに医療費がかかってない。それは毎朝歩いたり何かしているからである。私の方が税金は払っている。たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金を何で私が払うんだ。だから、努力して健康を保った人には何かしてくれるとか、そういうインセンティブがないといけない。予防するとごそっと減る。
 病院をやっているから言うわけではないが、よく院長が言うのは、「今日ここに来ている患者は 600人ぐらい座っていると思うが、この人たちはここに来るのにタクシーで来ている。あの人はどこどこに住んでいる」と。みんな知っているわけである。あの人は、ここまで歩いて来られるはずである。歩いてくれたら、2週間したら病院に来る必要はないというわけである。その話は、最初に医療に関して不思議に思ったことであった。
 それからかれこれ 30年ぐらい経つが、同じ疑問が残ったままなので、何かまじめにやっている者は、その分だけ医療費が少なくて済んでいることは確かだが、何かやる気にさせる方法がないだろうかと思う。


 言いたいことは分からないでもない。
 高齢化が進む日本では、医療費は増加の一途を辿っている。例えば、人工透析は一人当たり年間500万円かかるのだが、透析患者は27万人いると言われ、透析だけで年間1兆3500億円かかっていることになる。医療費の増大を食い止めるには、病気になる前にいかに食い止めるかが重要である。
 また、「自分は健康に気を遣って医療費はあまりかかっていないのに、なぜ自堕落な生活をしていて病気になった人間のために高い保険料を払わなきゃいけないのだ」というのも、感情論としては分かる。

 ただし、政治家、ましてや首相が言うような言説ではない。自分が直接必要でないとしても、必要とする人間のために負担をするという互助の精神は、税や健康保険の基本的な理念ではないのか。予防医学の重要性は確かだが、わざわざ保険の意義を否定したと受け取られかねない発言をする必要はない。ましてや、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金を何で私が払うんだ」という感情論は、首相の発言としては不適当といわざるを得ないし、マスコミが群がっても仕方ないだろう。予防が大切という主張は大いに賛同するところであるが、発言全体に問題がないとはとても言えない。

 インセンティヴについても、「喫煙者は保険料を上げる」くらいなら可能だろうが(それとて煙草税で補っていると考えれば保険料アップは不当とも言える)、どのような生活スタイルに対して保険料の引き上げ或いは還元をおこなうか、その線引きはかなり複雑な物であり、困難極まると思われる。そもそも、煙草を吸う人や、喫煙していた時期の自分の思考回路を鑑みるに、インセンティヴで不摂生をやめるようなら「健康」というインセンティヴで既にやめている、と思わざるを得ない(喫煙以外の不摂生もまぁ似たようなもんだろう)。

 さらには、議事要旨を読むと、与謝野さんのまとめを完全に無視した、話の流れからかなりズレた発言だったりする。

 マスコミの揚げ足取り…たしかに「病人の気持ちが分かってない」という言い方は、発言の論旨を取り違えた筋の悪い批判だと思うが、かといって批判しなくてよい発言というわけではない。メディアが失言を手ぐすね引いて待ってるのは分かってるはずだから、それを織り込んで発言してもらいたいものだ。



補正見送り (2008 11/27 0:00)

首相、2次補正は今国会見送り 会期「越年」の可能性(11/25朝日)
 麻生首相は25日、首相官邸で記者団に対し、追加の景気対策を盛り込む第2次補正予算案を今国会ではなく、来年1月早々に召集する通常国会冒頭に提出することを正式に表明した。ただし、民主党が会期内採決に応じない補給支援特措法と金融機能強化法の各改正案を成立させるため、来年1月上旬までを軸に会期を大幅に延長する方針だ。
 これを受け、与党内では、衆院解散・総選挙は来年度予算成立後の来春以降との見方が広がっている。一方、自民、民主両党は25日、首相と民主党の小沢代表による初めての党首討論を28日に開催することで大筋合意した。
 首相は25日、与党の幹部と協議した後、記者団に対し、「12月は税制改正、09年度予算編成に全力を挙げたい」として、2次補正提出の先送りを明らかにした。民主党は2次補正の審議に協力する姿勢を示していたが、「民主党が抵抗路線に転じた場合、会期を延長しても、予算関連法案まで成立させられるメドが立たない」(首相周辺)ためだ。
 会期の延長幅について、首相は民主党の出方を見極めたうえで、28日までに決める考えを示した。ただ、政府・与党内では、金融機能強化法改正案を参院が否決したとみなして衆院で再可決できる1月5日以降までの「越年延長」との見方が強まっている。
 首相はまた、「通常国会は早い時期に開会し、2次補正を早期に審議してもらおうと考えている」と語った。臨時国会閉会後間をおかず、1月上旬に通常国会を召集する方向だ。
 民主党は会期が延長されれば、同党独自の経済金融対策法案を提出し、政府・与党との違いを強調する戦略だ。


 「政局より政策」「景気対策重視」と言っていたことを思うと、やはり筋が通らない決定だといわざるを得ない。中小企業の年末の資金繰りに配慮するような発言もしていたのだが、補正予算先送りで資金繰りに困っている中小企業はいったいどうなるのか。

 これは、支持率に大きく影響すると思うのだが。


法の穴 (2008 11/27 0:00)

 反対の意思表示のためにメールしたりFAXしたりという努力にはまことに頭が下がるのだが、国籍法が一段落したら、他の法律についても「日本乗っ取り」に利用できる悪法はないかチェックをしていただきたい。法の抜け道なんて、今回の国籍法改正案に限った話ではなく、「日本乗っ取り」に悪用できそうな穴を持つ法律なんぞ、探せば幾らでも存在するんじゃないかと思ったゆえ。

 そういえば、「国籍法改正案は廃案が妥当」と言う人まで見かけて、最高裁判決の意味を理解しているのかと、ちょいと心配になった。



さらば六一〇ハップ (2008 11/26 0:00)

「ムトウハップ(六一〇ハップ)」を生産していた武藤鉦製薬が業務終了へ、すでに工場は操業停止(11/25GIGAZINE)
 今年前半に日本各地で相次いだ硫化水素による自殺を受けて、販売自粛要請を受けた入浴剤「ムトウハップ(六一〇ハップ)」を製造していた創業102年の老舗企業、武藤鉦(むとうしょう)製薬が業務を終了することが明らかになりました。
 すでに工場は停止しており、会社自体も業務を終了する予定であるとのこと。
 業務終了へと至った経緯は以下の通り。
 GIGAZINE編集部が武藤鉦製薬に電話で問い合わせたところ、武藤鉦製薬は10月いっぱいで「ムトウハップ」などを製造していた工場を停止したそうです。そしてカスタマーサポートなどのために一定期間業務を続けた上で、会社自体も業務を終了するとのこと。
 そしてその背景として、相次ぐ硫化水素による自殺を受けて日本チェーンドラッグストア協会が加盟しているドラッグストアに対して、今年の4月に「ムトウハップ」の販売自粛要請を行ったことが大きく影響しているそうです。
 これは「ムトウハップ」の全体の7〜8割がドラッグストアで販売されているため、販売自粛による売り上げの大幅な低下や大量の返品に加えて、販売自粛要請が7月いっぱいで解除されたものの、解除されたこと自体がドラッグストアに周知されておらず、ひどい場合は顧客からの問い合わせに対してドラッグストアが「会社が無くなった」などと回答していたことにより、販売の見通しが立たなくなったことが挙げられています。


 一部のバカのせいで、何の落ち度もない企業が潰れていく。世の中は理不尽な物とはいえ、何ともやるせない気分になる。マンナンライフがこうならないことを祈るばかり。


そのうち工具箱は考えるのをやめた (2008 11/26 0:00)

宇宙空間で行方不明になった工具箱、アマチュア天文学者が地上観察に成功(11/25Technobahn)
 【Technobahn 2008/11/25 10:23】今月18日、国際宇宙ステーション(ISS)で行われた船外活動中に宇宙空間で行方不明となった船外活動用の工具などを納めた道具箱をアマチュア天文学者が地上から観測することに成功していたことが22日、明らかとなった。
 この「画期的」な観測に成功に成功したのはオンタリオ州在住のアマチュア天文学者のケビン・フェトラー(Kevin Fetter)さん。フェトラーさんはISSの軌道要素から失われた工具箱の軌道を計算。その上でその軌道要素に従って実際に夜空を高速で移動する工具箱を天体望遠鏡を使った観測し、ビデオに納めることに成功した。
 今回、行方不明になった工具箱は大きさが30センチ前後の普通のバックのような形をしたもの。フェトラーさんによると明るさは8等星位としており、こうした小さな物体であってもアマチュア用の天体望遠鏡でも地上からははっきりと追跡できることが明らかになった形だ。
 今回、宇宙空間で行方不明になった工具箱、NASAによるとその価値は10万ドル(約1000万円)前後だと述べている。


 宇宙空間という非現実性と、工具箱という現実感たっぷりの物体が合わさったところに、何とも言えぬ味わい深さがある。まぁ現実味あると言っても、1000万円もする工具箱だが。

 ちなみに工具箱さんの位置は、ここで知ることができる。
REAL TIME SATELLITE TRACKING TOOLBAG
 秒速7km以上で飛んでる……



退屈しのぎの代償 (2008 11/25 0:00)

水兵を過失致死罪で起訴=「退屈だった」と供述−ロシア原潜事故(11/24時事)
 【モスクワ24日時事】ロシア太平洋艦隊の原子力潜水艦で消火装置が誤作動し、乗組員ら20人が死亡した事故で、同国最高検察庁のバストルキン捜査委員長は24日、正当な理由もなく消火装置のスイッチを入れた疑いで逮捕された水兵を同艦隊軍事捜査局が過失致死罪で起訴したことを明らかにした。有罪になれば、最高で5年の禁固刑となる。
 この水兵は徴兵ではなく、軍改革の一環として導入された契約制で軍務に就いていた。消火装置を作動させた詳しい経緯や動機は明らかにされていないが、一部のロシア紙は水兵が「退屈だったから消火装置のスイッチを入れた」という趣旨の供述をしたと報じている。水兵には精神鑑定が行われる予定という。


 この「退屈だったから消火装置のスイッチを入れた」とか、「34年前のペット処分を理由に元次官を殺した」とか、わけの分からん手合いが最近多すぎる。

 しかし、ロシアの原潜って、もろいシステムなのな。一人スパイを潜り込ませれば、無力化できるではないか。いや、本当は理由は他にあるのだけど、「そういうことにしておく」ってことなのか?


歴史観・国家観の教育は必要 (2008 11/25 0:00)

「歴史観」科目廃止も=統幕学校の幹部教育で防衛省(11/24時事)
 防衛省は24日までに、統合幕僚学校で1佐、2佐の幹部自衛官を対象に行っている「歴史観・国家観」の講義について、廃止も含めた見直し作業に着手した。日本の過去の侵略行為を正当化する論文を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長のように、偏った歴史教育が行われているのではないかとの疑念を払しょくするため、抜本的な見直しが必要と判断した。
 歴史観・国家観の科目は、田母神氏が統幕学校長時代に新設したもの。同氏は講師の選任にもかかわったとされ、08年度の講師6人のうち2人は、「自虐史観」によらない教科書づくりを掲げる「新しい歴史教科書をつくる会」の副会長と理事を務めている。
 浜田靖一防衛相はこうした講師陣の顔触れに疑問を呈しており、「バランスの取れた教育」を目指し、早期に選任方法を見直す方針だ。


 田母神作文に対する過剰反応とも、自爆の当然の帰結とも言える。

 幹部自衛官に対する歴史観や国家観の教育は、ぜひ続けて欲しい。当時の帝国主義や共産主義と日本との関係を理解したり、日本外交や陸海軍の行動についての問題点を検証したりするのは、軍の幹部になる人間なら身につけておくべき教養だろう。なぜ日本は負けたのか、次に勝つとしたらどうすればいいのかは、徹底的に検証して欲しいと思う(もちろん、そこに現在の価値観による道義的評価を与える必要は全くない)。
 日本は何も悪くないと失点を無視するような教育はどうかと思うが、かといって歴史観や国家観を蔑ろにしていいわけが無い。過去の戦に学んでいない軍隊は、信頼しがたい。



どっちが幼稚だか (2008 11/23 21:00)

 元厚生次官の連続殺傷事件。出頭した犯人だが、「34年前にペットを保健所に殺されたこと」を動機だと言っていることを筆頭に、出頭した場所や時間、はたまた無職なのに家賃の滞納がないなど、わけの分からんことが多すぎる。彼が殺害の実行犯ではないと主張する気は全くないが、本人が絵を描いたかどうかは少し疑問。

 さて。

 世代論は一定の指標を与えてくれるが、慎重に扱わないと粗暴な議論にしかならない。その分かりやすい具体例がこれ。

【元厚生次官ら連続殺傷】「今の40代は幼稚な人多い」識者コメント(11/23産経)
 評論家の大宅映子さんの話「40代といっても、昔と比べ、今は幼稚な20代に見える人が多い。子供のころからぬくぬくと育ち、見た目だけでなく、中身も20代の人がいる。バックグラウンドが分からないが、そんなに大した人ではないのではないか。最近は理屈なしに、恨みといった古典的な動機の範囲にも入らない理由で事件を起こす人がいる。仮に年金問題が理由だとしたら、奥さんは全く関係ない。常識がない人のことを考えても分からないが、逃げる気もなかったと思う。その気なら、もっと計画するでしょう」(以下略)

 仮に40代に幼稚な人が多いという印象が正しいとしても、今回の事件と結びつけることに何の意味もない。異常行動が目立っていた容疑者と、一般の40代を一緒くたにした議論など無意味だからだ。「ぬくぬく育つ」ことが問題なら、40代に限らず、60代以下はみんなそうだ。
 こういう中身のない意見を吐いて評論家を名乗ることこそ、幼稚ではないか。


反対はしない (2008 11/23 21:00)

 国籍法改正に関しては、自分なりに結論を出せた。DNA鑑定がなどが導入されれば良いが、そうでなくとも法令で偽装認知に対する審査を厳しく設定すれば、問題なし。大量に中国人や朝鮮人が流入するという「予測」は、未だ妄想の域を脱していない。ちなみに、二重国籍については急ぐ必要はないと思うし、外国人参政権は地方参政権であろうと大反対である。

 とりあえず、濡れ衣着せられて売国奴扱いの河野太郎さんは、かわいそうだ。このエントリでじゅうぶん理解できると思うんだが……。

 いろいろ読んでまわったが、城内さんのblogには、正直ショックを受けた。全面的に支持しているわけではなく、「どちらかと言えば片山さんよりはマシか」というくらいの認識ではあったが、あそこまで下品な書き方を晒せる露悪趣味の人間とまでは思っていなかった。大阪やアジアをバカにしすぎだろう。一般人の放言blogならまだしも、再び議員に返り咲こうという者の言説ではない。



経営が苦しいのは分かるけど (2008 11/21 0:00)

いすゞ、工場の非正社員を全員解約 年内1400人、中途打ち切りも(11/19日経)
 いすゞ自動車は19日、国内工場で働く非正規従業員(派遣従業員と期間従業員)約1400人との契約をすべて打ち切る方針を明らかにした。年内に全員削減、半数強は契約期間中の解約となる見通し。2009年初めから工場稼働率を落としトラックを当初計画に比べ3割減産する。世界的な販売低迷で自動車大手は減産に動いているが、非正規従業員の期中解約に踏み込むのは極めて異例だ。
 トラックを生産する藤沢工場(神奈川県藤沢市)とエンジン生産の栃木工場(栃木県大平町)で働く非正規社員が対象になる。藤沢工場では車両組み立てラインの操業体制を現行の二直から、来年初めから一直にする。これに伴い非正規社員を削減、正規社員のみの操業にする。
 09年初めからの減産により、いすゞの08年度のトラック生産台数は計画に比べ1割前後少なくなる見通し。日本と北米での販売不振に加え、需要が旺盛だった新興国でも、金融不安を受けたローン契約停滞で販売が急減している。


 今のうちに切れるところを切っておかないと、後でさらに大規模なリストラをおこなわねばならなくなる、ヘタしたら企業自体が…という企業の言い分は、理屈としては分かる。しかし、中小企業では、従業員の生活を守るため、いかにクビキリをせずに会社を建て直すか、社長は頭を抱えているものだ。それを思うと、社会的責任がより大きい大企業ほど、安易なリストラに走るのはやはり問題と言わねばならない。非正規労働者というのは、まことに企業にとって都合のいい存在である。

 トヨタはさらに悪質。

トヨタ 2000人無届け解雇/小池議員質問翌日に届け出/再就職支援なし(11/19赤旗)
 トヨタ自動車が、雇用対策法で義務付けられた「大量雇用変動の届け出」や「再就職援助計画」を提出しないまま大量の労働者を雇い止めし、国会で取り上げられた翌日に届け出ていたことが十八日までに分かりました。質問した日本共産党の小池晃参院議員にトヨタが回答してきたものです。
 トヨタは、減益でも六千億円もの経常利益を見込みながら二千人の期間労働者(有期雇用)を減らし、来年三月までに七千八百人を削減する計画です。社会的責任が問われます。
 同法では、人員削減(一カ月に三十人以上)を行う場合、届け出などを職業安定所に提出しなければならず、違反すれば罰金が課せられます。
 十三日の参院厚生労働委員会で小池氏は、同省がまとめた人員削減報告にトヨタの雇い止めが反映されていないと指摘し、届け出などは出ているのかと質問。太田俊明職業安定局長は、「出ていなければ適切に指導していく」と答えました。
 小池議員に対してトヨタは、職業安定所の指導を受けて十四日に届け出たと報告。期間満了による雇い止めは対象外だと誤って理解していたと釈明しました。しかし、再就職支援では「就労機会の情報を提供する」としているだけです。


 違法行為をしてまで雇い止め。しかもその人数、記事にある数だけで年度内に合計1万人近く。労働者というのは、少なくともトヨタにとっては好都合な「道具」であるようだ。奥田が「メディアの厚労省批判は度が過ぎる、スポンサー引き上げるぞ」とマスコミを恫喝したのは、厚労省擁護ではなく、自身への批判を牽制するためでないかと勘ぐりたくなる。

 ここで思い出されるのが、移民1000万人計画。彼らを労働者として招き入れた後、今回のような経済危機が起きた場合、その移民をどう扱うのだろう。企業は首を切れば済むかもしれないが、移民は日本に残り生活をしていかなければならない。彼らに対する社会保障コストを考えると、安易に労働力を得ようと外国人を導入することは、問題がありすぎると言わざるを得ない。日本人労働者ですら道具の扱いをするのに、移民労働者を奴隷のように扱わないと保証できようか。また逆に、移民の方を日本人より丁重に扱っても、それはそれで問題である。

 企業が従業員を大切に扱わなければ、内需はどんどん細っていく。従業員は生産者であると同時に、外に出れば消費者でもあるのだから。足下=内需を無視して外を志向したって、そんなものは砂上の楼閣に過ぎない。



元厚生事務次官殺傷事件 (2008 11/20 0:00)

 元厚生事務次官らの連続殺傷事件。以下は、この事件が政治テロであるという前提で書くが、当然のことながら、私憤など他の動機による事件の可能性も否定できない(犯行声明が未だに無いようだし、意外とかつての部下の逆恨みの可能性もある)。

 厚労省に対する怒りというのは多くの国民が持っているだろうし、責任をとるべきだと思うのになかなか追求が為されないことに対する歯がゆい思いも、おそらくは多くの国民に共通の物。
 しかし、そういった理不尽な状況を、殺害という行為で解消しようとする思考回路は、獣の所業である。理屈で割り切れない物があることを理解し、しかもそれに対して自暴自棄にならず、かといって絶望もせず、不断の努力を継続することが真っ当な人間の有り様だ。努力を放棄しテロに走るのは、例えば病気で死にそうな親のために、人を殺して金品を奪って薬を調達する行為であり、不意に訪れた主君のために子供を殺してその肉でもてなすような行為である。決して、「気持ちは分かる」などという言葉は吐けぬ。

 あとは、この加害者を擁護するような論調がある程度の支持を得ることがないよう、祈るだけだ。


 ついでに…この事件に絡んで、間抜けな話も進行していたようで。

【元厚生次官ら連続殺傷】毎日報道「ネットに犯行示唆」は誤報(11/19産経)
 元厚生事務次官の吉原健二さん(76)の妻、靖子さん(72)が刺されて重傷を負った事件で、毎日新聞は19日、事件の約6時間前にインターネット上に犯行を示唆する書き込みがあったと報じた19日付朝刊の報道が誤りだったとして、同社のウェブサイト「毎日jp」におわびを掲載した。19日付夕刊でおわびと経緯を掲載する。
 19日付記事では、18日正午ごろ、ネットの「フリー百科事典・ウィキペディア」の「社会保険庁長官」のページの中で、吉原さんの名前の前に「×」がつけられ、その下に「暗殺された人物」というただし書きがあったと報道。
 だが、実際の書き込みは事件から3時間ほど経過した後だったとみられることが、後になって判明した。
 毎日新聞社長室広報担当によると、取材を担当した記者が同サイトに掲載されていた、日本標準時より9時間遅い「協定世界時」による編集時刻を、日本時間と誤認したことが原因。
 書き込みの内容は、参考情報として、捜査当局にも伝えていたという。
 記事は東京、大阪で発行された最終版にそれぞれ掲載されたほか、一時「毎日jp」にも掲載されたが、間もなく削除した。
 ネット上では、ウィキペディアに問題の書き込みをしたとする人物が名乗り出て、「書き込みは事件後」と弁明するなどしたことから、誤報の可能性を指摘する声が噴出し、大きな騒ぎとなっていた。


 はじめは記事の削除だけでお茶を濁そうとしていたんだよな。今回はUTCとJSTの違いが分からなかったという、単なる無知を晒したに過ぎないのだが、トンズラしようとした事後の対応が悪すぎる。


被害妄想、選民思想 (2008 11/20 0:00)

 田母神さんの話題が出なくなったのは、マスコミがこれを議論したくないから?田最上さん批判は言論封殺?違うね。そもそも、田母神作文なんて、批判の俎上に乗せることすら恥ずかしい駄文。立場上の問題から騒がれただけであって、処分について一段落すれば報道が激減するのは当たり前。私がさんざん批判しているのも、作文した田母神さんに対するより、それを擁護し英雄視する向きに対するものである。
 もちろん、あれをきっかけに村山談話や歴史認識に関する議論が深まれば良いとは思うが、あくまで「そうなれば良い」程度のもので、あの作文を土台に議論を喚起すべきだと主張するほど、そもそも作文の出来が宜しくない。

 言論封殺という被害妄想は、自分たちの主張は正しいという思いと合わされば選民思想になる。それが暴走すれば、思想が正しければどんな行動も正当化されるという、いわばテロ容認の発想に至る。私が恐れているのは、そういうことだ。杞憂であればいいがね。



続・国籍法改正案 (2008 11/19 0:00)

 11/7の当欄でも触れた、国籍法改正案。天の邪鬼の拙者としては、ネット界隈で「改正反対」のうねりが強力であるがゆえに、逆に静観を決め込んでいた。二重国籍の話と混同したり、推測なのか妄想なのか分からない可能性で危機を煽る向きがあったんで、この流れとは距離を置いていた。

 もちろん、改正に絡んだ疑問点は私の中にもある。それは7日に既に書いたが、その時の内容を要約すると以下のようになる。

●偽装認知の横行はたしかに不安である。
●しかし最高裁で国籍法に関して違憲という判決が出ている以上、改正自体は行うべき。
●ゆえに法の悪用を恐れるならば、国籍取得に関して厳格なチェックをおこなうことと、罰則の強化が望ましい。
●罰則は軽いが、ただ偽装認知自体ではなく、偽装認知を利用した犯罪で刑を適用すれば、罰則の軽さは問題ないかもしれない。

 最後の点に関しては、次の文章で疑問は完全に氷解。

○○○!知恵袋 国籍法は改悪なんでしょうか? - いしけりあそび(11/16付エントリ)
 あと、虚偽届けの罰則がどうしたこうしたいっている人もいますが、認知は戸籍に記載されるので、虚偽認知をすれば、公正証書原本等不実記載罪&行使がついてきます(認知は父、国籍届けは認知した父に親権を認める国以外は母単独ですけど、共犯で併合罪になるでしょう)。こっちは最大で懲役5年ですから(刑法157、158条)マックス7.5年(47条)。虚偽認知をする人は、変なブログをあてにしないで専門家の意見を聞いてくださいね。(一部抜粋)
 リンク先へ飛び、全文読まれたし(ついでに18日のエントリも)。
 他にも、「『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会」の案内文に対する疑問点、DNA鑑定を義務づけることについての問題点なども、分かりやすく説明されている。私としては、改正案に反対する主張よりも、こちらの方に説得力を感じる。

 私の心の中に残る不安は、やはり偽装認知の危険性だが、可能性を考えればきりがないことを思えば、心配のしすぎという一言で済む話なのかもしれない。むしろ、外国人の日本での暗躍を恐れるのならば、国籍法改正反対に血道を上げるよりも、スパイ防止法制定で団結する方が効果的ではないかと思った。



イングヴェイ買った (2008 11/18 0:00)

 とりあえず、イングヴェイのCDジャケのセンスは、何とかならんものか。



 音質の悪さはいつもの通り。セルフ・プロデュースでなくまともなプロデューサを起用してほしい。クリス・タンガリーディスの時代は良かった。
 ティム・リッパー・オーウェンズのVoは、さすがにロブ・ハルフォードの後釜を務めていただけあって、アグレッシヴで巧いのだが、イングヴェイの音楽に合うかと言われるとちょいと微妙。透明感のあるハイトーンでなければダメというわけではないが、マイク・ヴェセーラには感じなかった違和感がある。Voが引っ込みすぎだから、そこが改善されれば印象が変わるかもしれないが。
 最も気になるのは、イングヴェイのプレイの荒さ。この人こんなにリズム感無かったっけとイライラする場面がちょこちょこある。

 不満はいくつかあれど、もちろん「イングヴェイだから」というレベルでの不満である。ちょっとメタリックだがいつものイングヴェイで、その点では安心して聞ける。もう一押しあれば最高!と言えるのに…というのもいつもの通り。


 音楽ネタ繋がりでこの話題も。

v.a.(洋楽) : 「究極のロック・バンド」のメンバー発表 / BARKS ニュース
 「究極のロック・バンド」のメンバーは、フレディ・マーキュリーとエリック・クラプトンとキース・ムーン――ロック・ファン御用達のゲーム『Guitar Hero World Tour』の人気投票で、こんな結果が発表された。
(中略)
◆究極のフロントマン
1.フレディ・マーキュリー(Queen) 28%
2.ジョン・ボン・ジョヴィ(Bon Jovi) 12%
3.ジョン・レノン(The Beatles) 10%
4.ロバート・プラント(Led Zeppelin) 7%
5.ボノ(U2) 6%

◆究極のギタリスト
1.エリック・クラプトン 19%
2.ブライアン・メイ(Queen) 18%
3.ジミ・ヘンドリックス 15%
4.スラッシュ(Guns N' Roses) 10%
5.デヴィッド・ギルモア(Pink Floyd) 5%
5.ジミー・ペイジ(Led Zeppelin) 5%

◆究極のドラマー
1.キース・ムーン(The Who) 16%
2.リンゴ・スター(The Beales) 14%
3.デイヴ・グロール(Nirvana) 11%
4.ジョン・ボーナム(Led Zeppelin) 9%
5.ニック・メイソン(Pink Floyd) 7%


 フロイドとゼップ、強い。フレディには納得、というかあんな素晴らしいフロントマンは存在しない、Voとして彼より優れた人はいるけれども。ドラマーにコージー・パウエルがいないのは寂しい。私個人としては、究極のロックバンドはリッチー、コージー、ロニーのRAINBOW。



市川トミさん死去 (2008 11/17 0:00)

拉致被害者市川修一さんの母トミさん死去 91歳(11/15朝日)
 78年に鹿児島県日置市の吹上浜海岸で北朝鮮に拉致された市川修一さん(行方不明当時23)の母市川トミ(いちかわ・とみ)さんが15日午後3時22分、くも膜下出血のため死去した。91歳だった。通夜は16日午後6時、葬儀は17日正午から同県鹿屋市輝北町上百引1930の上村葬祭輝北斎場で。喪主は夫平さん。
 トミさんは10日朝、自宅で倒れ、病院で治療中だった。息子の帰りを待ち続けて30年。再会はかなわなかった。


 息子さんに再会することなくこの世を去らねばならない無念はいかばかりか。ご冥福をお祈りします。

 日本だけでどうにかなる問題ではなく国際的な協力が必要であること、テロ国家であるがゆえに犯罪を犯した一個人を相手にするのとは異なる対応が必要であること、そのためどうしても時間がかかる…そういったことは頭で理解できても、それでも時間がかかりすぎという思いは拭えない。時間がかかってはいるが、着実に拉致解決への歩みを進めているのならまだしも、小泉元首相の平壌訪問から、スパイ防止法も制定されていないし、憲法改正への流れも(投票法が決まっただけで)頓挫した状態。拉致解決に至る具体的な戦略過程を煮詰めるべき拉致議連や救う会も、まともに機能していない。

 拉致された人を救えなければ、日本はそういう国だと見なされ、将来の拉致被害者を生み出すことになり得る。拉致問題は、拉致された人やその家族だけの問題ではなく、日本人全員に関わる問題だ。拉致被害者を奪還せねばならないのは当然として、同時に、二度と拉致される人が出ないためにも、拉致事件の解決は日本にとって必要不可欠だ。

 政府が次々に施策を打つことを、今一度希望する。


ノリさんのFA宣言 (2008 11/17 0:00)

 中村紀洋がFA宣言したが、ここは素直に送り出してあげたい。たしかに中日に残って来年も活躍してくれたら嬉しいが、去年日本一になったのはノリさんのおかげだし、じゅうぶんに恩返しはしてもらっている。新天地での活躍を祈りたい。

 落合の「一塁中村」という構想が気に入らなかったのかな。腰痛持ちだからこそのコンバートだと思っていたのだが。



ブタ (2008 11/15 0:00)

 昨日「来週前半まで忙しい」と書きましたが、忙しいのは、再来週前半まででしたわ。訂正します。

 で、今日の話題。

津南小版「ブタがいた教室」(11/14新潟日報)
 教室で飼育したブタをめぐる映画「ブタがいた教室」が話題を呼んでいるが、津南町の津南小学校の5年生児童67人が13日、飼育してきたブタとのお別れ会を開いた。「命」と「食」の大切さを学んだ子どもたちは3匹のブタと涙でさよならした。
 5年生の児童は、総合学習の一環で食用豚の飼育に取り組んだ。人間の食が動物の命と引き替えに成り立っていることを実感してもらうことが狙い。同町の養豚業者「つなんポーク」から3匹の子豚を買い取り、12月の出荷前まで約2カ月間、子どもたちが交代で世話をした。
 「ミルク」、「ヨンサマ」、「マーブル」と命名され、子どもたちの愛情を受けて育ったブタたち。40キロだった体重は90キロにまで増え、順調に生育した。
 お別れ会では、児童全員が呼び掛け形式で子豚の思い出を語り、「大切な仲間だよ」とメッセージを送った。別れの直前にブタはグラウンドに放され、気持ちよさそうに走って児童と最後の触れ合い。ブタがトラックに積まれ激しい鳴き声を上げ抵抗すると、子どもたちの多くは涙をぬぐっていた。
 樋口美蘭さん(10)は「最後の鳴き声を聞いて、かわいそうで、さみしくなった。短い間だったけど、命の大切さを教えてくれた」と目を真っ赤にして話した。


 「命を奪うことで我々は生きながらえている」という事実を教育することは、たしかに大切だし、私たちが食べる肉がどのように生産されるのかは、理解しておく必要がある。

 ただ、記事の学校のやり方は、なんか違うような気がする。

 動物を飼育する際、食用として育てる家畜と、愛玩用のペットでは、やはり扱いが異なるし、厳然たる境界があってしかるべきだ。しかし、津南小学校では、食用として育てる一方で、「お別れ会」なる物を開いて、しかも「大切な仲間」と子供に認識させている。これは、ペットの扱いである。ペットとして接していた動物が、殺されるべくトラックに詰め込まれる様子を見せるのは、残酷ではないか?「いや、それこそが肉を食べるということだ」と言う向きが現れるかもしれないが、「愛玩動物を食用にする」ことが異常だと認識できれば、食用家畜を「仲間」と認識させる異常さも理解できるはずだ。情が湧くような接し方を強いておいて食用に回すのと、食用として育てておきながら情が湧いてしまうのとは、まったく状況が異なる。

 どうでもいいが、「ヨンサマ」と名付けられた経緯が気になる。


業務連絡 (2008 11/14 0:00)

 来週前半まで忙しいので、更新が疎かになるか、更新しても中身がいつも以上にヘボまった状態になると思われますので、あしからず。

 忙しかったら更新する必要なんか無いのだが、7年以上やってると、平日に更新しないのが気持ち悪かったり。無理してるつもりはないんだけど。

 そういや、どうでもいい話だが、最近視界に黒っぽい小さな影がピュンピュンと飛ぶことが多い。「ん?」と思うともう消えているので、形とかまでは分からないのだが。これって、網膜剥離の前兆か何かか?



みぞゆう (2008 11/13 1:00)

 久々に「フロッピー麻生」と呼ばれていたことを思い出した。

「頻繁」を「はんざつ」=麻生首相、読み間違い連発(11/12時事)
 麻生太郎首相が12日、母校の学習院大学で開かれた日中両国の交流事業「日中青少年歌合戦」でのあいさつで、「頻繁」を「はんざつ」と言い間違える場面があった。
 首相は、用意した文書に目を落としながら、12月に日本で開かれる日中韓首脳会談に触れ「1年のうちにこれだけ『はんざつ』に両首脳が往来したのは過去に例がない」と語った。さらに、今年5月の四川大地震に関するくだりでは「未曽有の自然災害」を「みぞゆう」と読み誤った。
 首相は7日の参院本会議でも、自らの歴史認識を問われ、アジア諸国への侵略を認めた1995年の村山富市首相談話を「踏襲する」と言うべきところを「ふしゅうする」と答弁している。


 「ふしゅう」は恥ずかしいミスだが看過できた。「はんざつ」はまだ分からんでもない。しかし、「みぞゆう」はいかんだろ、そんな言葉は存在しないし。あれか、アメリカ人のくせに英文法がおかしいブッシュみたいなものか。

 語彙力がそのまま政治力に反映されるわけではないが、ちょっと哀しくなる話ではある。


私にとっての田母神問題 (2008 11/13 1:00)

 しつこいと思われているかもしれないが、思考力がないくせに思想ばかりいっちょまえの無能な人間が軍の高官だったこと、似たような人間が自衛隊にはたくさんいるらしいということ、そしてその有害無益な人間を擁護どころか英雄に祭り上げようとする人間が少なからず存在することに、嫌悪感と恐怖を感じているだけだ。そして、自衛隊に敬意を払うからこそ、自衛隊を危険視する輩を勢いづけるような行動をとった氏を、批判せざるを得ない。



根拠のない自信 (2008 11/12 9:00)

【田母神氏招致・詳報】(8)「yahooでは…58%が私を支持している」(11/11産経)
 田母神氏「国民に不安を与えたと、文民統制についておっしゃいますけど、今朝9時の時点で、私はYahoo!の『私を支持をするか』『問題があると考えるか』『問題がないと考えるか』っていったら、58%がですね、私を支持しておりますので、不安を与えたことはないと思います」(一部抜粋)

 すごい自信だ。どこぞのblogで「田母神さんのストレート勝ち」などという文を見たが、どうしたらそういう評価になるのか、ワケが分からない。

 一方、こんなデータもある。

日本テレビ世論調査(11/10)
 [ 問14] 麻生内閣は、航空自衛隊のトップだった田母神前空幕長が、懸賞論文で、第二次世界大戦について、「わが国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」などと主張していることは内閣の考えに反するとして、空幕長から更迭しました。あなたは、更迭は適切だと思いますか、思いませんか?
(1) 思う 59.8 %
(2) 思わない 21.7 %
(3) わからない、答えない 18.5 %
(一部抜粋)

 メディアが正しい情報しか流さないとは思っていないが、信用度でいったら、断然後者だと思うのだが。しかも、Yahooのアンケートでさえ、半分程度しか支持されていないわけで、自信を持って自分が支持されていると思うような数字ではない。


参考人招致 (2008 11/12 0:00)

 田母神さんが、参院外交委員会に呼ばれて持論をぶったらしい。参院のビデオライブラリで見ることができるそうな。「そうな」と言うのは、見る時間が取れないから。暇ができたら見るつもり。

 読売が、発言を要約している。長いがすべて引用する。

田母神氏・参考人招致の主なやりとり(11/11読売)
 11日の参院外交防衛委員会で行われた田母神俊雄・前航空幕僚長に対する参考人質疑の主なやりとりは次の通り。

 ◆懸賞論文紹介
 浅尾慶一郎氏(民主) 懸賞論文は自衛隊の誰に紹介したか。
 田母神氏 航空幕僚監部の教育課長に「こういうものがある」と紹介した。指示をしたのではないかと言われたが、指示をすれば多分90とか70なんぼという数ではなく、1000を超える数が集まると思う。

 ◆隊内誌への寄稿
 浅尾氏 (隊内誌の)「鵬友」昨年5月号に、論文と同趣旨の意見を発表している。寄稿の際に内局等から注意はあったか。
 田母神氏 なかった。

 ◆更迭の感想
 浅尾氏 航空幕僚長を解任された感想は。
 田母神氏 (過去の植民地支配と侵略への「深い反省」を表明した)村山談話と異なる見解を表明したことで更迭されたということだが、シビリアンコントロール(文民統制)の観点から、防衛相が「見解の相違がある」と判断されて解任するのは政治的に当然だろうと思う。私の書いたものはいささかも間違っているとは思っていないし、日本が正しい方向に行くために必要なことだと思っている。
 浜田昌良氏(公明) 良心の痛みを感じないか。
 田母神氏 論文を書いて出すのに大臣の許可を得ている先進国は多分ない。言論統制が徹底した自衛隊にすべきではない。政府見解で言論を統制するのはおかしい。
 浅尾氏 (隊内誌に寄稿した)1年前は問題にならなかったことをどう理解するか。
 田母神氏 今回は多くの人の目につき、マスコミ等で騒がれたからだと思う。
 犬塚直史氏(民主) 航空幕僚副長が、「辞職をするか、懲戒手続きの審理辞退の意思表示をしてくれ」と言ってきたことをどう感じたか。
 田母神氏 自衛官も言論の自由が認められているはずだから、言論の自由を村山談話によって制約されることはないと思っていた。副長には、「どこが悪かったのかを審理してもらった方が問題の所在がはっきりする」と申し上げた。

 ◆退職金
 浜田氏 退職金(6000万円)を返納する意思はあるか。
 田母神氏 意思はない。

 ◆アパグループとの関係
 浅尾氏 (代表の)元谷(外志雄)氏から資金提供やその他便宜を受けたことはないか。
 田母神氏 資金提供等は一切受けていない。

 ◆憲法改正
 浅尾氏 論文で集団的自衛権や武器使用について政府解釈と異なっていることを言っているが、政府解釈を変えた方がいい、憲法を変えたほうがいいと思って書いたのか。
 田母神氏 一般に話されているようなことをまとめて書いて、日本の状況はこうなっていると言っただけだ。今はもう改正すべきだと思っている。国を守ることについて、これほど意見が割れるようなものは直した方がいいと思う。


 悪びれる様子は全くない。

 たしかに、村山談話や自衛隊のあり方については、議論が進められることが望まれる。しかし、論文提出の経緯や、論文中の事実認識に問題があるのは確かで、その点すら反省していないのはいかがなものかと思う。
 「批判側は具体的な指摘をしていない」という意見をネット上で見かけるが、張作霖爆殺をコミンテルンの仕業にしたり、ハル・ノートはコミンテルンの策謀で作られたというあたりは、何の根拠もない珍説で、過去の歴史研究を引き合いに出しての批判は様々なメディアで開陳されている(起草者の一人ハリー・ホワイトがソ連と繋がっているのは事実としても、何人もいる草案起草者の内の一人がそうだからといって、コミンテルンによってハル・ノートが作られたとするのは飛躍に過ぎる)。

 田母神氏が結論として述べたい部分は、心情としては理解できるが、例えばあるカルト団体が「我が団体の教祖は宇宙の絶対的存在の声を聞くことができますが、その絶対的存在は戦争でなく平和を求めています。人間は平和を希求すべきです」と言った場合、結論が正しいからと言って、正論と擁護すべきものなのか。

「なぜ悪いのか分からない」田母神氏への擁護相次ぐ(11/11産経)
 自民党は11日午前、国防関係合同部会を開き、歴史認識に関し政府見解と異なる論文を公表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長を擁護する意見が相次いだ。
 防衛省側が歴史教育の在り方を見直す考えを示すと、衛藤晟一参院議員は「歴史認識を教育するなんてことを言ってもらったら困る」と批判。岩永浩美参院議員は「田母神氏の持論がなぜ悪いのか分からない」、土屋正忠衆院議員は「(防衛省が)歴史観を対象に懲戒処分しようとしたのは問題」と反発した。
 一方、玉沢徳一郎元防衛庁長官は「稚拙な知識で論文を書いていることが問題だ」と述べた。

 玉沢さんの発言に尽きる。付け加えるならば、軍人としての作法もわきまえないで主張をおこなうな、か。

 コミンテルン陰謀史観のもっとも忌むべき点は、日本が主体的に行動したという事実を完全に放棄し、かつての日本が陰謀に流されるのみのだらしない国家だと見下しているところだ。コミンテルン陰謀史観こそ、自虐史観と呼ぶべきでは無かろうか。


文民統制 (2008 11/12 0:00)

 軍人が上に逆らって…という批判は有りとは思うが、かといって「文民統制」まで持ち出すのはちょいと違う気もする。防衛相による更迭がおこなわれた時点で、文民統制は効いていると判断できるし。


給付金 (2008 11/12 0:00)

 おそらく効果は無いに等しいだろうし、選挙対策というのが露骨すぎると批判してきた給付金。批判、反対してきた身として、筋を通すべく給付金は受け取らないつもりだが、筋を通しきるには、カミさんや母親とのバトルを勝ち抜かねばならない。言行一致を貫けるか、黄白の前に平伏すか。



いい勉強になった (2008 11/11 0:00)

 田母神作文や中山発言は、保守系言論の底の浅さをまざまざと見せつけてくれた。思考より思想を大事にするようになったらおしまいだと言うことを、改めて思い知らされた。そうなっちゃいかんなと強く自戒。


便乗批判 (2008 11/11 0:00)

【小室逮捕】上沼恵美子、ブチ切れ TBSは差し入れで謝罪
 詐欺容疑で逮捕された小室哲哉容疑者(49)のわがままぶりをタレント、上沼恵美子(53)がバッサリ斬った。
 9日に放送された読売テレビ系関西ローカル番組「週刊えみぃSHOW」で、上沼は紅組司会を務めた平成7年大みそかのNHK紅白歌合戦の際、小室容疑者の横暴なふるまいに激怒したエピソードを明かし「あの人大嫌いなの!」とブチ切れた。
 上沼によると、当時の紅白では、もともと小室容疑者と紅組の応援をしつつTRFや安室奈美恵ら小室ファミリーを紹介する段取りだった。それが小室容疑者の遅刻で応援の部分は無しと急な変更を強いられ、さらに打ち合わせなく突然ステージに小室容疑者が現れ、「私を突き飛ばして」マイクを奪い、勝手に紅組の応援を始めたという。
 小室容疑者が遅刻したのは、当時交際中だった華原朋美が日本レコード大賞で新人賞に選ばれ、その付き添いだったことも暴露。「今日、初めて言った」と上沼は当時を振り返って怒り心頭で「その日から大嫌いなの」「もてへんかったと思いますわ」と吐き捨てた。この年、小室容疑者はH Jungle With tで浜田雅功とのユニットで出場していた。
(以下略)

 その時には言わず、小室を批判しても反撃がない状況の今になって、こういう話をする。全盛期には決して言わない、苦境に立つと途端にこき下ろす、愚劣極まりない人間性だ。マスコミ全体が、こういうもんではあるが。


村山談話 (2008 11/11 0:00)

 そういう考え方もありかと、感心した文章。

雪斎の随想録(11/10付エントリ): 日本の「盾」としての「村山談話」

 確かにその通りで、問題なのは、新たな談話を発表して謝罪外交を繰り返したり、村山談話を利用して別の売国行為にいそしむ行為なわけで、一度出てしまった首相談話は覆すのが大変である以上、村山談話を「利用」するという思考法は重要かもしれない。

 ただ、談話を利用するような強かな外交戦略を日本が有しているか、となると少々心許なかったりする。この辺りのプラグマティズムは、麻生さんだからこそ期待したいところ。



グダグダと雑記 (2008 11/10 0:00)

 冥福を祈れとは言わんし、生前の行いを批判するなとも言わん。だが、死を罵倒するのはやっぱり見ていてみっともない。2ちゃんは、まぁそういう本音が表に出てくる場所だから(肯定はしないが)致し方ないとしても、blogなんかで「ざまみろ」的な文が書いてあると、何で常識がないことを大っぴらにできるのかなと不思議に思う。「死者を冒涜していたのは筑紫」とかいう言い訳も見るが、仮にそうだとしても同じレベルに堕して平然としているのは、理解不能。そういう人間が、保守ヅラをして道徳なんか語ったら目一杯嗤ってやろう。

 それはともかく。

 筑紫さんの死因は肺ガンだそうで。かなりのヘヴィスモーカーだった彼のこと、肺ガンで死ぬのは本望だと納得していたのか、それとも最後の最後で後悔の念が襲ったのか、ちょっと聞いてみたい気がする。

 拙者は、禁煙して2年ちょっとになる。一日50〜60本吸っていたのをやめたのだが、そろそろ肺は綺麗になっているだろうか。禁煙のいちばんの効果は、健康になったとか咳が出なくなったとか脈拍が2/3になったとか……まぁそういうのも大きいのだが、何かをやろうとするときに「禁煙よりは楽だ」と思えるようになったのだが一番の収穫。禁煙の禁断症状よりつらいことなど滅多にない。食事の節制や運動で減量することなど、禁煙に比べればミジンコのようなつらさ。


 筑紫さんはネット上でボロカス、テレビなどでは礼賛といった雰囲気だが、テレビの方でよりボロカスに言われているのが小室先生。まぁ確かに詐欺は犯罪だし、どう言われてもしかたないとは思うが、TMに影響受けまくった人間として、心の片隅に「出てきたらウツと木根と三人、昔のような曲をやってくれ」という気持ちがある。
 逮捕されてから、YouTubeやニコ動で、TMやソロの動画を見まくっている。中学の時、クラスがTM派とBOφWY派で二分されていた頃が懐かしい。この辺りは、理屈じゃなくて感情。



筑紫氏死去 (2008 11/8 0:00)

筑紫哲也氏死去=記者出身、「NEWS23」前キャスター−番組でがん告白(11/7時事)
 ジャーナリストでニュースキャスターも務めた筑紫哲也(ちくし・てつや)氏が7日午後1時50分、肺がんのため東京都内の病院で死去した。73歳だった。大分県日田市出身。葬儀は近親者のみで行い、後日、お別れの会を開く。喪主は妻房子(ふさこ)さん。
 1959年に早稲田大政治経済学部を卒業、朝日新聞社に入社し、政治部記者や米軍統治下の沖縄特派員、ワシントン特派員などを歴任。週刊誌「朝日ジャーナル」編集長を務め、「新人類」「元気印」などの流行語を生んだ。
 編集委員に就任後の89年に退社し、同年10月からTBSの報道番組「筑紫哲也NEWS23」キャスターに。日々のニュースを鋭い視点で掘り下げるとともに、イラク戦争直前には同国入りするなど現場取材を続け、民放キャスターの代表的存在となった。
 昨年5月、同番組で初期肺がんを告白。その後数回番組に出演したが、今年3月にメーンキャスターを降板した。8月11日に放映された哲学者梅原猛さんとの対談が最後のテレビ出演となった。


 言論的には私とはほぼ正反対であるが、一抹の寂寥感は、確かにある。NEWS23を降りてからは殆ど影響力を持たなくなっていたとはいえど、かつてはオピニオン・リーダーとも呼ばれた人物。こうして亡くなると、やはり一つの時代の終わりを感じずにはいられない。ご冥福をお祈りする。

 「敵」とはいえ、人の死を(心の中のみならいざ知らず)大っぴらに言祝いでいる者は、この上なく醜い。ローズベルトの死に弔意を表した鈴木貫太郎のようでありたいものだ。


トヨタ減益 (2008 11/8 0:00)

 トヨタの減益を手放しで喜んでいる人って何なのかね?これを契機に従業員や下請けへの待遇改善を求めるなら分かるが、企業の崩壊を求める向きがけっこういる様子。下請けや社員の不幸まで望んでどうするのか。求めるべきは、人を巻き込むような崩壊ではなく、健全な形での発展だろうに。まぁ理想論っていえば理想論だが。



国籍法改正案 (2008 11/7 0:00)

 一部で騒がれているこの話題。

国籍法改正案を閣議決定=違憲判決の結婚要件削除(11/4時事)
 政府は4日午前の閣議で、最高裁の違憲判決を受け、父母の結婚を子の国籍取得の要件とした規定を削除する国籍法改正案を決定した。今国会での成立を目指す。
 改正により、日本人の父と外国人の母の間の子は、父母が結婚しているかどうかに関係なく、父親の認知だけで日本国籍を取得できる。一方、金銭を渡して日本人男性に虚偽の認知をしてもらい、国籍を取得する不正行為が懸念されることから、こうした「偽装認知」による虚偽の届け出を行った場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す処罰規定を新設する。 
 最高裁は今年6月、結婚していない日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた子供計10人が日本国籍を求めた訴訟の上告審判決で、結婚要件を違憲とし、原告全員の日本国籍を認めた。


 日本人父と外国人母との間に生まれた婚外子に対し、国籍取得の要件を緩和しようというもの。中川秀直の「移民1000万人計画」に反対する向きの人間は、まず不安を感じるだろう。私もそうである。

 ともかく、この法改正の発端となった判決の記事を引用する。

婚外子差別 国籍法は違憲 最高裁逆転判決 比人母の子に日本籍(2008/6/5東京新聞)
 結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から生まれ、出生後に父に認知された子どもたちが、国に日本国籍の確認を求めた二件の訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は四日、「両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法の規定は不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法一四条に違反する」との判断を示し、二審判決を破棄、原告全員に日本国籍を認めた。 
 国籍法の規定を違憲とした最高裁判決は初めて。大法廷の違憲判決は、二〇〇五年九月の在外選挙権をめぐる違憲判決以来、戦後八件目。
 結婚していない日本人の父と外国人の母から生まれた子(婚外子)が日本国籍を取得するには、出生後認知の場合、父母の結婚が要件とされる。裁判では国籍法のこの要件が違憲かどうかが争点となったが、大法廷は違憲無効と判断した。国会は法改正への早急な対応を迫られる。
 最高裁の判事十五人のうち九人の多数意見。三人は立法不作為による違憲と判断したが、うち二人は国籍取得を認めなかった。合憲は三人だった。
 多数意見は、両親の結婚要件は一九八四年の法改正当時は合理的だったとしたが、家族観や家族形態が多様化したことを踏まえ▽婚外子差別を禁じる条約を日本が批准▽諸外国は同様の要件を廃止−など社会的変化を指摘。原告らが国籍取得届を出した〇三年には、要件の合理性は失われていたと判断した。
 さらに「国籍取得は基本的人権の保障に重大な意味があり、子の不利益は見過ごせない」と言及。「日本人の父の婚外子にだけ国籍を認めないのは不合理な差別で違憲」と結論付けた。
 上告していたのは、日本人の父とフィリピン人の母から生まれ、出生後に認知された八−十四歳の子ども十人。一審の東京地裁はいずれも「国籍法の規定は違憲」として日本国籍を認め、原告側が勝訴。しかし二審の東京高裁は憲法判断をせず、「国籍を認める規定は国籍法にはない」としていずれも原告側の逆転敗訴とした。
(以下略)

 省略した後半に、判決の要旨が書かれている。

 「家族生活や親子関係に対するその後の意識の変化や実態の多様化」を根拠に現行法の不備を指摘する考えは、家族秩序を重視する保守的価値観の持ち主からすれば、すんなりとは納得いかない。
 ただし、最高裁で違憲という判決が出ている以上、政府はそれに応えた法改正をせねばならない。父親のみ日本人の場合に、親の婚姻が国籍取得の要件とすることが違憲と見なされた以上、婚姻を要件から外すことは、絶対の条件となる。(違憲判決に関しては、法律に無知な拙者はとりあえずwikipediaを参考にした。間違いがあれば指摘されたし)
 だから、「不逞外国人がたくさん侵入する」と叫んで法改正そのものを止めることはできない。法の悪用を恐れるならば、国籍取得に関して婚姻以外の部分で厳格なチェックをおこなえるようにすることと、罰則規定に関して改善を求めるより無い。

 まず、父親の認知だけで国籍が取得できるという点。DNA鑑定などが要件になっておらず、厳しいチェック体制は(報道されている限りでは)用意されていないようだ。スパイに協力的な日本人男性が制度を悪用する可能性は、ゼロではない。さらに言えば、二重国籍の採用が検討されている現状を考えると、日本国籍も有する某国人が制度を悪用、というのも夢想ではない。婚姻が要件のときでも「偽装結婚」が後を絶たなかったのだから同じことだ、という反論があるかもしれないが、偽装結婚よりも条件が緩くなる以上、虚偽を以て国籍が取得される可能性は高まるのではないか。

 もちろん、罰則が厳しければ、多少要件が甘くてもそれを抑止力として期待することができる。しかしその罰則規定だが、「「偽装認知」による虚偽の届け出を行った場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金」とのこと。うーん、かなり軽いような。そもそも偽装をどうやって見つけ出すのかが、今のところ明らかになっていない。
 ただ、偽装認知を利用して犯罪を犯した場合、偽装認知ではなくその犯した犯罪によって罰則を適用するという考え方である可能性はある。その場合、偽装認知のみの刑の軽さは理解できなくはない(それでもスパイを取り締まる法律がないのは大きな穴になり得る)。

 DNA鑑定が採用されても制度を悪用する輩は出てくる…つまり実子であっても国籍取得を犯罪や日本の不利益のために利用する可能性はある、だから法改正すべきでない、という意見もあるかもしれない。ただ、そこまでいくと、きりがない。法の網の目を完全にふさぐことはできない。既存の法律で取り締まるよりしょうがないだろうし、違憲判決が出ている以上いまのまま放置するわけにはいかない。

 ともかく、今のところ拙者の頭で分かる範囲内で感想を書いてみた。たしかに不安を感じる点が多いのだが、ネット上では危機感を煽るような文章ばかり目が付くので、逆に「法案の問題点を指摘する主張」に対しての反論を聞いてみたいところ。探しているけど、なかなか見当たらない。というわけで、現在のところ、法案に対する判断は留保。



対北追加制裁案 (2008 11/6 1:00)

対北追加制裁案を成案化へ 民主拉致対策本部(11/5産経)
 民主党の拉致問題対策本部(本部長・中井洽(ひろし)元法相)は5日の役員会で、北朝鮮による日本人の拉致問題や核・弾道ミサイル問題の解決に向け、日本独自の「テロ支援国家指定」などを柱とする追加経済制裁案の原案を了承した。今後、党としての了承を得るため成案化の作業を進める。会合に同席した拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表は、追加制裁案を歓迎する考えを示した。
 追加制裁案は、在日朝鮮人の再入国禁止、北朝鮮への輸出と送金の全面禁止、国内の北朝鮮関係団体の資産凍結−など「人、モノ、金」に関する厳しい制裁措置を盛り込んだ。拉致問題が解決されない限り対北支援を行わないとする北朝鮮人権法を改正し、独自のテロ支援国家指定を盛り込む。指定とともに網羅的に制裁措置を発動する仕組みを想定している。


 民主党拉致問題対策本部の案が、早々に民主党案となり、そしてその法案が成立するか、或いは自民党が同等の対案を用意して成立させるか、いずれにせよ動かない現状に何らかの変化をもたらすべく動いて欲しい。譲歩に対して譲歩で応える相手ではない以上、日本の姿勢と覚悟を突きつけるしかない。

 麻生内閣が、真正面から民主党案にぶつかることを心から願う。


佐藤氏の田母神擁護 (2008 11/6 1:00)

言論封殺、危険な兆候 - 軍事評論家=佐藤守のブログ日記(11/5付エントリ)
 田母神前空幕長の更迭問題は、淀んだ世間に一石を投じ、多くの意見が噴出しているが、ある意味で目的の一つは達せられていると見るべきだろう。
 中には、顔を隠して言いたい放題の者も居るが、それが「言論の自由」を満喫している証拠、その自覚が無いくらいこの国の言論は自由なのである。中には「想像」でものを決め付けているものも多いが、それまた「憲法」で認められた自由の一つ、大いに腹の底から意見を吐き出すが良い。
(以下略)

 お言葉に甘えて意見を吐くとしよう。

 まずいちばん脱力したのはこの部分。

 内容は私が見たところでは「幹部教育」に適した内容のものだと思っている。平易で理解しやすく、紙数に限りがある中で一般的な理解を求めた文である。素直に読んで見るが良いと思う。

 あんなトンデモ系の文章で幹部教育を施すなど、亡国の所業である。「学術系論文ではない」という言い逃れをしているのだが、学術論文だろうと一般論文だろうと作文だろうと、事実認識に間違いがあればゴミだし、新事実を提起するならまともな史料・文献を示すのは最低限のルールだ。

 愕然とするのは、このような筋違いの擁護が、この元空将一人の例外的事例というわけではない、ということだ。

空幕長更迭 - 軍事評論家=佐藤守のブログ日記(11/3付エントリ)
 そのまま羽田に急ぎ、千歳で旧軍の先輩と陸自の同期に迎えられて札幌に向かい、午後講演をした。第66回北海道偕行会全道大会という、陸士で言えば53期から62期までという旧軍関係者と陸自OBの集まりで、80歳以上の方々が大半だったが、懇親会では空幕長更迭“事件”が話題になった。
 色々と質問されたが詳細を知らないので返答できなかったのが残念だった。
 出席者の中からは、「第二の栗栖事件だ」「防衛省は何時までこんなことをやっている!」「事勿れの官僚どもと政治家が、自衛官の口を塞いでいる」「自民党もだらしない!」「昔だったら226だ!」などと意気盛んな意見が噴出したが、私は努めて旧軍末期の体験談や、自衛隊草創期の裏話を伺うようにしたから、その意味では大いに有意義だった。
(一部抜粋)

 「仲間だから」「近しい思想だから」という理由のみで、中身の吟味をまともにおこなわないままに情緒的反応をしている。論理性もへったくれもなく、情緒的な感覚のみで反応するような空気が、自衛隊OBを支配しているようだ(これもごく一部だけと信じたい)。ちょいと勇ましければそれに靡く流れが仮に世論の大半となれば、戦前と同様の空気になるのだろうなと若輩ながら想像する。言論封殺という被害妄想も、情緒的な団結意識と選民思想に拍車をかけているようだ。
 しかも、冒頭に引用した「大いに腹の底から意見を吐き出すが良い」という言い種からは、論文に批判的な物を見下している態度が見える。情緒優先に、選民思想まで追加されているようで、脱力感と同時に不安を覚えるのが正直なところ。

 そんな中、石破さんのような意見があるのは大いなる救いである。

石破茂(いしばしげる)ブログ: 田母神・前空幕長の論文から思うこと(11/5付エントリ)
 田母神(前)航空幕僚長の論文についてあちこちからコメントを求められますが、正直、「文民統制の無理解によるものであり、解任は当然。しかし、このような論文を書いたことは極めて残念」の一言に尽きます。
 同氏とは随分以前からのお付き合いで、明るい人柄と歯に衣着せぬ発言には好感を持っており、航空幕僚長として大臣の私をよくサポートしてくれていただけに、一層その感を深くします。
 日中戦争から先の大戦、そして東京裁判へと続く歴史についての私なりの考えは、数年前から雑誌「論座」などにおいて公にしており、これは田母神氏の説とは真っ向から異なるもので、所謂「民族派」の方々からは強いご批判を頂いております(その典型は今回の論文の審査委員長でもあった渡部昇一上智大学名誉教授が雑誌「WILL」6月号に掲載された「石破防衛大臣の国賊行為を叱る」と題する論文です。それに対する私の反論は対談形式で「正論」9月号に、渡部先生の再反論は「正論」11月号に掲載されています。ご関心のある方はそちらをご覧下さい)。
 田母神氏がそれを読んでいたかどうか、知る由もありませんが、「民族派」の特徴は彼らの立場とは異なるものをほとんど読まず、読んだとしても己の意に沿わないものを「勉強不足」「愛国心の欠如」「自虐史観」と単純に断罪し、彼らだけの自己陶酔の世界に浸るところにあるように思われます。
 在野の思想家が何を言おうとご自由ですが、この「民族派」の主張は歯切れがよくて威勢がいいものだから、閉塞感のある時代においてはブームになる危険性を持ち、それに迎合する政治家が現れるのが恐いところです。
 加えて、主張はそれなりに明快なのですが、それを実現させるための具体的・現実的な論考が全く無いのも特徴です。
(以下略)


「イモ畑」騒動への認識不足 (2008 11/6 1:00)

 北巣本保育園の行政代執行の話(「芋畑」の件)。

TBS:サンデー・ジャポンで事実誤認 番組で訂正、謝罪(11/3毎日)
 TBSは2日、10月19日のサンデー・ジャポン(日曜午前10時)の生放送で事実誤認があったとして、番組内で訂正、謝罪した。
 第2京阪道路の建設を巡り先月16日、買収に応じなかった大阪府門真市北巣本町の農地が府から強制収用の行政代執行を受けた。
 サンデー・ジャポンは同19日の放送で、府職員らが行政代執行に基づき建設用地に当たる北巣本保育園の畑のイモなどを抜き取り、園関係者や保護者が抵抗している様子を放映。映像前半、園児ら十数人が一列に並んでいる様子が映ったのを見て、コメンテーターが「子どもたちを使ってやるのは、(代執行の府の職員が)来るのが分かっているわけだから、執行妨害になる」などと保育園側を批判。代執行の現場に園児らを立ち会わせたとの前提でスタジオで議論した。
 放送に対し同園の松本剛一理事が「園児らが並んでいるのは前日の記者会見の際に撮影されたもの。代執行当日、立ち寄ったのは通園途中の2園児のみ」などと抗議していた。【手塚さや香】


 私は当欄で、「子供の為というなら芋畑に子供を連れてくるべきではない」という趣旨で、保育園側に批判的な文章をものした。たしかに校長が「園児を連れてくるようなことはしていない」という報道は目にしていたが、その言い分が事実かどうか疑わしく感じていたので、思考の根拠にはせず、正直に言えば訂正を放置してきた。しかし、TBSが謝罪したことで、「園児動員」は誤りだったと考えざるを得なくなった。となると、「保育園が子供を利用」という見方は訂正せねばならない。

 この件については、sokさんが分かりやすくまとめてくださっている。

sokの日記: 北巣本保育園への行政代執行報道でTBSが謝罪(11/4付エントリ)

 「園児動員」以外についても再考すべき点が多々あることに気付かされた。
 とりわけ、紹介されていたblogの中で「大阪芋畑闘争 疑問におこたえします - いしけりあそび」は参考になった。大阪府は行政代執行を行使して当然と思っていただけに、今回の執行が異例であることを知り、考えを改めさせられた。

 先入観や感情を除外して事象を捉えることは、難しい。ただ、それを改める機会が存在するのは非常にありがたいことだ。頼りにしつつ、自分の目も鍛えねばなるまい。



小室 (2008 11/5 0:00)

 TMをやめてプロデューサ業中心になってからはあまり見るべき物はないが、TMの10年間は、確かにいい曲を書いていたし、私もかなり影響を受けた。中学の時にはSY77やEOSを欲しがったもんだ。挙げ句の果てには、彼のモスキート・ボイスの中毒患者にもなった。
 プロデューサになってからの印象が強く、売れるために曲を書くというイメージが強いが、私の中では、やりたいことと売れることの狭間を渡り歩こうとした男、というイメージがある。アルバムの中には、プログレ色が強くてマニアしか好みそうにない曲も散見されたし、新しいことをやろうとしてでっかくハズすということもあった。

 好きだっただけに、このオチはやはりショックだ。木根さんくらいの立ち位置が、人間にはちょうどいいのかもしれない。木根さんの方がバラードはいい曲作るし。

 あと気になるのは、エイベックスの反応。

エイベックス、小室逮捕でglobeの全曲配信停止/CD発売中止

 この理屈だと、70年前後の海外アーティストの多くは、ドラッグまみれで概ねCD発売できない。まぁクレーム入れる人が出るから仕方ないんだろうけど、作品と作者は別物だろうに。


 (2008 11/5 0:00)

 西村さん、言論封殺に全体主義って……。

 的外れな言説でも、ちょいと勇ましければ盲信、礼賛するという風潮って、それこそあの戦争の遠因ではなかったか。あぁそうか、徹底的に大東亜戦争賛美だから、同じ思考回路でも当然なのか。



今日もまた (2008 11/4 0:00)

田母神前空幕長が記者会見、スーツ姿で謝罪・反省の弁なし(11/3読売)
 政府見解と異なる論文を投稿して更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(60)の処遇は3日夜、定年退職という異例の形で決着した。
 同日、東京都内で開いた緊急の記者会見。田母神氏は37年間にわたり愛用してきた制服ではなく、スーツ姿で登場。冒頭、「退職にあたっての所感」を読み上げたが、防衛省・自衛隊を混乱させたことに対する謝罪や反省の弁はなかった。
 「日本が悪い国だという認識は修正されるべき」「日本は侵略国家ではない」などの持論を繰り返した田母神氏。「戦後教育による『侵略国家』という呪縛(じゅばく)が国民の自信を喪失させ、自衛隊の士気を低下させている」とし、現役自衛官に対しても、「自分のことより国家、国民のことを常に優先した言動を取ってほしい」と神妙な面持ちで語った。
 論文が政府見解と異なる点に質問が移ると、田母神氏は「政府見解に一言も反論できないとなると北朝鮮と同じだ」と答えた。論文の懸賞金300万円については受け取るという。会見は20分余りで終了した。
 一方の防衛省。前空幕長の処遇を巡っては、本人が辞意を示さないため、懲戒免職も検討されたが、懲戒手続きには明確な規律違反や本人の同意が必要なため、長期化することを懸念。「組織として最もダメージの少ない方法」(同省幹部)として、異例の「定年退職」となった。
 定年退職ならば、一連の混乱の責任を取らないばかりか、数千万円の退職金も支給されることになる。同省幹部は「辞表を出して辞めるべき。組織のトップまで務めた人物の身の処し方ではない」と批判した。


 「やり方、主張に関する事実認識に誤りは多かれど、日本の現状を憂える人物だ」と、批判しながら多少同情的に見ていたが、この悪びれない態度に、もはや同情の余地は全くない。

 政府見解―この場合は村山談話に示されるような方向性だが、それが間違っているのは確かだ。しかし、政府の指揮の下に動く軍人に、政治的主張をおこなう自由は、無い(内部で意見交換するのは当然有りだろうが)。民間人に及ぶまで言論の自由がない北朝鮮を持ち出すのは、筋違い極まりない。
 軍人としての倫理を求めるのなら、同時に自衛隊の立場の向上(田母神氏も指摘した集団的自衛権の問題や武器使用基準の緩和など)もおこなわねば、自衛隊員には不満だろう。しかし、自衛隊の立場に問題があるからと言って、軍人(自衛隊員は公務員だが、国家に奉仕する公人という意味では同様だろうし、何より自衛隊には「力」がある)が政治に口出しして良いということにはならない。
 軍隊は、最も組織の統制が重要な集団であり、田母神氏がそれを蔑ろにするということは、自衛隊のレベルの低さをも示唆することになりうるのだが。例えば、石破氏は、内閣にある間は持論を引っ込め、政府見解に忠実であろうとした。彼は軍人ではないが、組織の歯車となる人間がどう行動すべきか、よく知っていたと言える。

 田母神氏に関する問題は主に、
●コミンテルン陰謀論に乗っかるなど、多くの事実誤認を元に主張したこと
●上の裁可を仰がず懸賞論文に応募したこと
●政府管轄の組織の幹部でありながら、政府見解に反する主張をしたこと
●軍の人間でありながら、戦略の無い意見の主張をおこなっていること

 1つだけなら「上が間違っていたら命を懸けて諫言するのも軍人の役目」と擁護できないこともないが、これだけ重なると、とても憂国の士などと擁護はできない。正論を吐くことと、放言することは、まったく違う。歴史認識以前の誤りが多数見られる文章しか書けないような人間が空自のトップクラスだったという事実に、不安を覚えずにはいられない。


自虐史観 (2008 11/4 0:00)

 仮にコミンテルンの陰謀にはめられたとか、或いはローズベルトの謀略に乗ったとか、ともかく日本が戦争に「ひきずりこまれた」ことが正しいとしよう。それで、日本の行為の正当性は担保されるのか?謀略にはめられたという弱さは責められるべき問題ではないのか?

 だいたい、「日本はかつて陰謀にやられて戦争するハメになりました」なんて、私は恥ずかしくて主張できない。それこそ「自虐史観」と呼ぶべき物ではないのか?「日本は自らの意思で堂々と戦争し、そして残念ながら敗れた」とする方が、よほど英霊の死に応える主張ではなかろうか。



段ボール城 (2008 11/3 0:00)

「段ボール城」築城! 映画制作の愛工大が完成(10/28中日新聞)
 来年の創立50周年事業として映画制作に取り組む愛知工業大学(豊田市八草町)の学生らが27日、映画用の段ボール製の城を同市広幡町の鈴ケ滝湖周辺に完成させた。
 完成した城は高さ約25メートルで土台は5メートル四方。モチーフとした国宝犬山城(犬山市)の高さを上回る。木で内側を組み、畳サイズの段ボール2000枚と、学生らがスーパーなどを回って集めた500箱で外壁を作りあげた。
 城は映画を撮影する「築城せよ!」製作委員会の美術担当が中心となって、9月上旬に作業を開始。愛工大の建築研究会のメンバーなど20人も作業に参加した。
 城作りに参加した工学部3年の宮本健太さん(21)は「一つ一つの作業は細かかったが、ここまでできるとは。感動しました」と話す。
 今後撮影を進め、31日のラストシーンの撮影で城は崩される。城の全景写真の公開は、来年7月ごろの映画公開まで控えるという。

 大学生にもなって紙工作かい……と思いながら記事の写真を見て、思わず吹き出してしまった。記事にもあるように、高さ25mで犬山城の天守よりも高いということで、かなり本格的。これはバカにできない、というか、感嘆することしきり。

 雨は大丈夫だろうか。あと、火計にはかなり弱そうだと思った。


また続きさ (2008 11/3 0:00)

 どんなに正論であっても、表現方法やタイミングによっては、黙っているよりも損害を出す場合があり得る。ましてや、論理が破綻していたり事実誤認があれば、敵に付け入る隙を与えるわ、同じような思想の持ち主だと言うだけで知的レベルを疑われるわ、「敵より恐ろしい無能な味方」になり得る。

 けっこう信頼していた人まで田母神「論文」を全面擁護したりしているのが、ちょっとショックだったりするわけです。



思想は近くても (2008 11/2 0:00)

 うちはたぶん保守系のサイトの一つと見なされてるんだろうが、最近、その保守系のblogと意見が異なることが多い。中山元国交相の発言や、神奈川県神田高校の「見た目で不合格」問題、田母神空幕長の「論文」の件である。

 田母神「論文」を、「書いてあることは事実なのに」「正論言えば潰される」と擁護する向きがあったが、何でもかんでもコミンテルンの仕業とする陰謀史観に、持ち出す論拠が一般書。いったいどこが「書いてあることは正しい」と言えるのか。こんな文章を容認するくらいなら、「すべて日本が主体的に行動しました、侵略と見なされても結構」とする方が、日本人の誇りを失わずに済むからマシだ。

 中山元国交相の発言も、日教組と学力の相関関係など証明のしようがないし、何より中山氏が証拠を出せなかった時点で、主張としては明らかに破綻している。日教組に問題があるのは確かだが、論理的に辻褄の合わない主張を歓迎するような向きを見ると、激しく脱力感を覚えざるを得なかった。

 神田高校の話もそう。校長がアホガキを不合格にしたことに対し、心情的には大いに賛同するところであるが、公表されていない基準を持ち出したことは、やはり問題有りとせねばならない。子供の道徳の問題と、受験基準の明確化の問題は、まったく別個の話である。

 いずれも、「自分が批判的に考えている者」に対して「批判的」であれば、いくつかの問題点を無視しても賛同するという姿勢が、多くの保守系blogに見られた。AとBが対立項である場合、Aに否定的であることとBに肯定的であること(或いはその対偶)とは同値でないはずなのに、Aに否定的であるとすぐにBに賛同する向きが多いし、Bを否定したら途端にAに賛同しているかのように見なす向きも多い。
 某所で見かけたのが、神田高校の件で、校長批判に対して「きちんとした身なりで受験に臨むのは常識」と述べる的外れな反論。校長批判がすなわち生徒擁護になると勘違いしているわけだ。

 賛成か反対かと単純に考えれば楽ではあるが、そう割り切れる問題の方が少ないわけで。田母神氏の文章の場合、主張として言いたいことは理解できるが、左巻きの反撃が容易に予想される以上、論拠や主張方法には注意すべきであった。となると、相対的には田母神氏の思想に近い立場にあっても、氏の行動は批判せねばならない。

 自分の思想に近い文章ほど、耳当たりの良い言葉ほど、気を付けて吟味する必要がある。左巻きの力は、かつてほどではないにしろ、やはりまだ強い。思想の正しさよりも思考の正しさを鍛えねば、左巻きの要らぬ反撃を受けることになってしまう。

 もちろん自戒も込めて…。



田母神「論文」 (2008 11/1 11:00)

空幕長論文要旨「わが国が侵略国家だったというのは正にぬれぎぬだ」(10/31産経)
 空幕長の論文の要旨は以下の通り。

 一、わが国は戦前中国大陸や朝鮮半島を侵略したといわれるが、実は日本軍のこれらの国に対する駐留も、条約に基づいたものだ。日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めたが、相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない。
 一、わが国は中国で和平を追求したが、その都度、蒋介石に裏切られた。蒋介石はコミンテルンに動かされていた。わが国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者だ。
 一、1928年の張作霖列車爆破事件も少なくとも日本軍がやったとは断定できなくなった。(文献によれば)コミンテルンの仕業という説が強まっている。
 一、満州帝国の人口は成立当初からなぜ爆発的に増えたのか。それは満州が豊かで治安が良かったからだ。侵略といわれるような行為が行われるところに人が集まるわけはない。
 一、日本が中国大陸などに侵略したため、日米戦争に突入し敗戦を迎えたといわれるが、これも今では日本を戦争に引きずり込むために、米国によって慎重に仕掛けられたわなであったことが判明している。米国もコミンテルンに動かされていた。ヴェノナファイルという米国の公式文書がある。
 一、東京裁判は戦争の責任をすべて日本に押し付けようとしたものだ。そのマインドコントロールはなおも日本人を惑わせている。
 一、自衛隊は領域警備もできない。集団的自衛権も行使できない。武器使用の制約が多い。このマインドコントロールから解放されない限り、わが国は自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。
 一、日本軍の軍紀が厳正だったことは多くの外国人の証言にもある。わが国が侵略国家だったというのは正にぬれぎぬだ。


 全文はこちら。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

 左巻きの反応。
『小学校から勉強を』 「低レベル」論文内容 識者らあきれ顔(11/1東京新聞)
 「わが国は日中戦争に引きずり込まれた被害者」という田母神俊雄航空幕僚長の文章に、近現代史に詳しい学者らはあきれ顔。内容をことごとく批判し「レベルが低すぎる」とため息が漏れた。
 「小学校、中学校から勉強し直した方がいいのでは」と都留文科大の笠原十九司(とくし)教授(日中関係史)は話す。空幕長の文章は旧満州について「極めて穏健な植民地統治」とするが、笠原教授は「満州事変から日中戦争での抗日闘争を武力弾圧した事実を知らないのか」と批判。「侵略は一九七四年の国連総会決議で定義されていて、日本の当時の行為は完全に当てはまる。(昭和初期の)三三年にも、日本は署名していないが『侵略の定義に関する条約』が結ばれ、できつつあった国際的な認識から見ても侵略というほかない」と説明。「国際法の常識を知らない軍の上層部というのでは、戦前と同じ。ひどすぎる」と話す。
 「レベルが低すぎる」と断じるのは纐纈(こうけつ)厚・山口大人文学部教授(近現代政治史)。「根拠がなく一笑に付すしかない」と話し「アジアの人たちを『制服組トップがいまだにこういう認識か』と不安にさせる」と懸念する。
 「日本の戦争責任資料センター」事務局長の上杉聡さんは「こんなの論文じゃない」とうんざりした様子。「特徴的なのは、満州事変にまったく触れていないこと。満州事変は謀略で起こしたことを旧軍部自体が認めている。論文は『相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない』というが、満州事変一つで否定される」と指摘する。

◆文民統制揺るがす
 小林節・慶応大教授の話 田母神論文は、民族派の主張と同じであまりに稚拙だ。国家と軍事力に関する部分は、現職の空自トップが言っていい範囲を明らかに逸脱した政治的発言で、シビリアンコントロール(文民統制)の根幹を揺るがす。諸国に仕掛けられた戦争だったとしても、出て行って勝とうとしたのも事実で、負けた今となって「はめられた」と言っても仕方がない。現在の基準や戦争相手国の視点で見れば、日本がアジア諸国を侵略したのは間違いのない事実だ。世界史に関する“新説”を述べるのは自由だが、発表の場にも細心の注意を払い、学問的に語るべきだ。

◆一行一行、辞職に値
 水島朝穂・早大教授の話 航空自衛隊のイラク空輸活動を違憲とした名古屋高裁判決に「そんなの関係ねえ」という驚くべき司法軽視の発言をした空幕長とはいえ、閣僚なら一行一行が辞職に値するような論文で、アジア諸国との外交関係を危うくするのは間違いない。自衛隊法は自衛官に政治的な発言を過剰なまでに制限し、倫理規程は私企業との付き合いも細部にわたって規制している。内容のひどさは言うまでもないが、最高幹部が底の抜けたような政治的発言をして三百万円もの賞金をもらうのは資金援助に近い。


 過去の政治を反省し批判することは、国家の進歩に必要不可欠である。しかしそれが行きすぎ、当時とは異なる後世の考え方を以て過去を断罪し否定することは、後出しジャンケンに過ぎず後世の人間の傲慢である。東京新聞の記事に出てくる教授連中は、日本人でありながら日本人とは離れた立場で日本を断罪しようとする、一体何者なのかよく分からない鵺のような連中だ。
 ちなみに、纐纈厚氏は「(北朝鮮への)経済制裁は、いうならば極めて軍事至上主義的な恫喝であり、それは戦争を辞さないとする強硬手段であると思います」「国際道義上、2000万人以上の人々が暮らしている国家と国交を結ばないというのは許されることではない」と述べるような輩(参照:朝鮮新報のインタビュー記事)。上杉聡氏が事務局長を務めている日本の戦争責任資料センターは、「従軍慰安婦」という虚構を未だに主張し、吉見義明や林博史、西野瑠美子のような人間と手を組む団体。笠原氏も、南京事件で10万人以上が殺されたと主張しているのみならず、無関係な写真を日本軍に拉致される女性の写真と誤用した人物である。

 「日本が侵略国家であったというなら、当時の列強で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい」という問いかけは、(あまり言い過ぎると「俺も悪いがお前も悪いという子供じみた話になりうるが)筋違いではない。また、後半の、集団的自衛権や武器使用に関する自衛隊の問題点については、すぐにでも議論を深める必要がある重要な論点だ。
 そのような点に触れずに批判する東京新聞のやり方は、少々卑怯である。東京新聞の記事の書き方も、じゅうぶん稚拙である。

 ただし、私も「田母神論文」には、同意する部分もあるのだが、気になる部分もある。

 例えば、満州某重大事件について、「近年ではソ連情報機関の資料が発掘され、少なくとも日本軍がやったとは断定できなくなった。「マオ( 誰も知らなかった毛沢東)(ユン・チアン、講談社)」、「黄文雄の大東亜戦争肯定論(黄文雄、ワック出版)」及び「日本よ、「歴史力」を磨け( 櫻井よしこ編、文藝春秋)」などによると、最近ではコミンテルンの仕業という説が極めて有力になってきている。」といったくだり。「コミンテルン陰謀説」については、確かに関与はあったと思われるが、主体であるとは言いがたいと思われる。もちろん一つの説として主張すること自体には問題はないのだが、論拠が一般書というのは、新説に説得力を持たせるにはちょいと弱いと思われる。また仮にコミンテルンが主体となっていたとしても、謀略に乗せられたことが問題とする見方もできる。謀略に乗ってしまったから「被害者」とするのは甘すぎる考えではないか。

 また、大東亜戦争が非白人国家の独立を促した、という主張も避けるべきではないか。そういった面があるのは確かだが、植民地支配されていた民族を貶めることにもなるし、日本人がその主張をするのは「自分の手柄を吹聴する」ようで、少々みっともない。

 さらに言えば、意見の主張にも戦略が必要であり、空幕長たる人物がこのような隙だらけの文章を書いたことも問題ありとせねばならない。自衛隊の空幕長がこのような文章を書けば、必ず左巻きの反論が為されるのはわかっていたはず。なおさら説得力のあるきちんとした文章を書いてもらいたかった。懸賞論文と言うことで、大学で書くようなレベルの論文でないのはしかたないかもしれないが、論拠の怪しい陰謀論を語ったことで、東京新聞の記事にあるような「敗戦利権の御用学者」から反論を喰らうことになってしまった。

 文章で触れられていた現在の自衛隊に関する問題点、すなわち集団的自衛権や武器使用基準の問題は、早急に解消せねばならない喫緊の課題であり、田母神氏の言及は非常に重要な意味を持つ。だからこそ、前半の稚拙な部分が残念でならない。

 村山談話はとっとと破棄されるべきだとは思うけど、更迭はやむを得ないように思う。