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改めて良いお年を (12/30 11:00)

 昨日のアノ記事で年を越してはあまりにもアレなので、今日が本当の最終更新。

 来年こそは、拉致問題や憲法改正で大きな進展を迎えて欲しい…というのは、もはや毎年の恒例行事になってしまっている。安倍政権が誕生して多少は期待値が上がってはいるが、中川秀直のような取り巻きの酷さに、それこそ「小泉さんに比べれば」程度の底上げにしかならない。
 政治に関心を持つ国民の数も、減りそうな気がする。小泉の「分かりやすい政治」で初めて政治に興味を持ったような人は、安倍さんの「分かりにくい政治」に嫌気を覚えるだろうし、そういう人のblogは少しずつ消えていくだろう。かといって、安倍さんに「分かりやすい」人気取り政策には走って欲しくない。参院選で退陣するものと思って、捨て身で拉致問題や国防に関して理念を実現すべく動いていただきたい。

 拙者にとっては、来年は、自らホワイトカラー・エグゼンプションに身を投げ出し、ついでに減量にいそしむ年とする。1日50本から禁煙できたから減量もできるだろ。



良いお年を (12/29 10:30)

 おそらく今年最後の更新になると思います。
 とか言いながら明日ふつうの顔して更新したりするので油断ならないのですが。

 次の更新は1月3日か6日になると思われます。今日の更新内容は、年をまたいで一週間近くこのサイトのトップを飾る重要な役割を担うものであり、その内容には非常に気を配らねばなりません。ということで、この記事。

旧朝銀破綻処理、公的資金41億円追加投入へ(朝日)
 在日朝鮮人系の金融機関だった朝銀東京信用組合の破綻(はたん)処理をめぐり、預金保険機構は、41億8000万円余の公的資金を28日に追加投入する方針を決めた。ある男性が架空名義で預金した脱税資金を払い戻す必要が生じたことが原因。脱税行為は7年以上前ですでに時効が成立しており、今秋、払い戻しを命ずる判決が最高裁で確定した。
 訴訟記録によると、東京都内で
パチンコ店を経営する男性(81)は、長年にわたり飲食店やパチンコ店の収入の一部を裏金にして脱税し、朝銀東京に設けた架空名義の口座に預金。その残高は50億円を超えた。
 朝銀東京は99年に経営破綻し、預金の一部を男性に払い戻したが、02年4月以降は架空名義だったことを理由に男性への払い戻しを拒否。同年12月、架空名義預金は整理回収機構に引き継がれた。
 これに対し男性は03年12月、34億円余の払い戻しを求め、整理回収機構を提訴。預保機構は「脱税資金を貴重な公的資金で払い戻すのは正義に反する」と反論したが、今年9月、最高裁で原告の勝訴が確定した。
 整理回収機構は、二審判決のあった今年5月に、
遅延損害金6億7000万円を含む41億円を男性に仮払いした。これに訴訟費用などをあわせた41億8400万円を補填(ほてん)するよう今月21日に預金保険機構に申請した。朝銀東京の損失穴埋めにはこれまでに公的資金2060億円が投入されたが、申請が通れば、2102億円に膨らむ。

 「脱税資金を税金で補填、あまつさえ遅延損害金や訴訟費用までお支払い」という、不愉快極まりないニュースで、年越しであります。激しく脱力したまま、年越しです。



このタイトル考えるのが億劫だったりする (12/27 21:30)

 週刊現代のアホ記事の話。やっぱり、既にあちこちで書かれてるのでちょっとだけ。
 記事自体の信憑性に関しては、ほとんどゼロと考えても良いだろう。11月に既に、横井邦彦本人がblogで同内容の文章を書いていたが、一見して「蓮池さんが余計なことを喋りすぎ」ということで論評するのもバカらしいものであった。詳しい突っ込みに関しては、「ぼやきくっくり」様12/27付エントリが分かりやすい。

 ただ、万が一この告発が事実だったとしても、それがどうした、というのが正直な感想だ。

 北朝鮮に拉致され、常に生命の危機を感じざるを得ない状況で、例えば家族を人質に取られて工作活動を強要されたとする。このときに非難されるべきは、強要に屈した拉致被害者ではなく、拉致を行いあまつさえ工作活動に従事させた金正日やその体制であるべきだ。
 
 個人的には、「拉致被害者が拉致されていた間におこなった工作活動に関しては、いかなる罪も問わない」、という特例を認めるべきだとすら思う。拉致事件の全面解決のためには、私たちが「拉致によって引き起こされた悲劇」を受け入れるだけの覚悟も必要だろう。「それがどうした」と受け止められるだけの寛容さ無しに、拉致被害者が知っていることの全てを話すことは難しい。
 
 国防や主権に関して真面目に考えてこなかった私たちが、主権侵害に鈍感だった日本のせいで苦難の人生を強制された拉致被害者を、責める資格があるようには思われない。


 ところで。
 我が地元で妙な条例案が…。
可児市だれもが輝く男女共同参画社会づくり条例案(pdfファイル)

 「もののふのこころ」様の12/26付エントリにて今頃になって初めて知り、自らの不覚を恥じているところ。皆さんも、自分の町に出されている議案には、常々目を光らせておくことをご提案させていただきます。知らない間にとんでもない条例案が出されているかもしれません。


ネタのない日は盧武鉉の日 (12/26 10:30)

 ネタがない訳じゃないけど、頭に余裕がないので、表題の内容で。
 「週刊現代」の蓮池さんに関する記事について書こうとも思ったが、まとめ切るだけの時間も余裕もないので、またの機会に書こうと思う(ま、予定は未定だが)。
 「情報工作だ」とか言ってるだけでは済まない問題なんだが、「横井はうそつき」で止まっている人が多いように思えるので。拉致被害者が工作活動に関わっている可能性を覚悟する必要もあるんじゃないか。それで責められるべきは、拉致被害者ではなく、北朝鮮であるべきだし。

 支持率5%台に落ち込んだ盧武鉉さん。盧武鉉ウォッチは、もはや取り立てて意味のある物ではなくなってきているが、あまりにもあんまりな話なので引用。

盧大統領「軍隊に行けば人間が腐る」(朝鮮日報)
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の常識知らずのたわ言も、ついにここまできたのか。常識ある一般人には思いもつかないような言葉が国家の最高指導者の口から発せられるのを目の当たりにし、ショックを受けたという人々の声が続出している。

◆「米国の尻に敷かれている」「軍隊に行けば人間が腐る」
 盧大統領は在韓米軍の第2師団の移転に反対する動きに言及し、「米国の尻に敷かれておいて、米国がバックについていると信じている。これが自主国家の国民の安全保障に対する意識だといえるのか」と述べた。また、徴兵制度を「人間を腐らせる」と表現した。一般国民が陰で口にする言葉ではあるが、軍の最高統帥権者たる者が、憲法上の国民の義務である兵役についてこのような表現を使うものか、という反発の声が多く出ている。
 盧大統領はまた、戦時作戦統制権の韓国軍への早期移管に反対している国防長官・参謀総長経験者らに対し、「自国の軍隊を作戦統制権も十分に行使できない軍隊にしておいて…」と非難した。だがこれは、韓米両国の大統領が同意しなければ作戦の統制ができないという事実から目をそらしたものだ。また、イラクへの韓国軍「ザイトゥーン部隊」の派兵を商売に例え、「商売は本当にうまくいっている」とも述べた。北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記をめぐる論争について言及した際には「やつらは完全に頭がおかしくなった」と表現した。このほかにも、「ゴーストップ(韓国の花札ゲーム)みたいだ」「悪口を言われて喜んでいる」などと、大統領の発言とは思えない罵詈雑言を連発した。

◆軍事戦略まで軽々しく口に
 盧大統領は在韓米軍の削減について、「米軍の要求に従ったものだ」と、韓米両国間の外交交渉の内幕を暴露した。また、機密事項であるはずの軍事戦略まで口にした。北朝鮮に常識があれば、戦争を起こすことはない、という趣旨で述べたものだが、専門家らは「北朝鮮内部の異変によって武力衝突に発展したり、(2002年の)西海交戦のような突発的な事態で戦争がぼっ発する可能性などを無視した発言だ」と指摘した。

◆「平和な時代であっても軍への冒とくがあってはならない」
 盧大統領の発言にショックを受けたという人々は、「いくら任期終盤だからといって、何という発言だ」という反応を見せている。建国大の申福龍(シン・ボクリョン)教授は「今に始まったことではないが、軍を冒とくする発言は全く理解に苦しむ。いかに平和な時代であっても、軍を冒とくすることがあってはならない」と批判した。また明知大の申律(シン・ユル)教授は「果たしてあれが演説といえるものなのか。“米国の尻に敷かれて”などという発言は、国家元首たる者が使う表現ではない」と話している。このような発言は外交紛争にもつながり得るというわけだ。
 青瓦台(大統領府)のホームページの掲示板にも、盧大統領の発言を非難する書き込みが殺到した。「あなたは1、2歳の幼児か」という表現はまだ上品な方だ。政界でも与野党を問わず非難の声が相次いでいる。野党ハンナラ党のキム・ヒョンオ院内代表は「ドラマ『太祖王建』に出てくる奴隷の末路を見るかのようで、とても哀れに思える」と述べた。同党の議員総会では、「精神病患者」(金容甲〈キム・ヨンガプ〉議員)、「サイコ(多重人格者)」(金淇春〈キム・ギチュン〉議員)といった激しい非難も飛び出した。また、民主労働党のチョン・ホジン副スポークスマンは「国民生活の問題が切実な中で、これほどまでに愚かな発言が現職の大統領の口から出てくるのかと、ただただ情けない思いだ」と述べた。

 自国を命を賭けて守る人たちに対し、国のトップが「徴兵制は人間を腐らせる」とのたまうとは、普通の思考回路では難しい。何か徴兵制に変わる国防の代替案を出すかと言えば、そうでもないようだし。この記事だけでもけっこうな破壊力を持つのだが、さらなる破壊力を有するのが記事中のこの写真。



 両手ポケットに突っ込んだ姿で演説する大統領なんて、見たことないのだが。



理想論ではあるけれど (12/24 23:30)

「塾は禁止」 教育再生会議で野依座長が強調(朝日)
 政府の教育再生会議の野依良治座長(ノーベル化学賞受賞者)が8日に開かれた「規範意識・家族・地域教育再生分科会」(第2分科会)で、「塾の禁止」を繰り返し主張していることが、同会議のホームページに掲載された議事要旨でわかった。しかし、再生会議が21日にまとめた第1次報告の原案には「塾の禁止」は盛り込まれていない。
 議事要旨によると、野依氏は「塾はできない子が行くためには必要だが、普通以上の子供は塾禁止にすべきだ。公教育を再生させる代わりに塾禁止とする」と再三にわたって強調。「昔できたことがなぜ今できないのか。我々は塾に行かずにやってきた。塾の商業政策に乗っているのではないか」と訴えた。
 JR東海会長の葛西敬之氏は「日本の数学のレベルは学校ではなくて、塾によって維持されている、という面もある」と反論したものの、事務局側は「公教育が再生されれば、自然と塾は競争力を失っていく。結果的になくなる」と同調、国際教養大学長の中嶋嶺雄氏も「野依座長のおっしゃったように塾禁止ぐらいの大きな提言をやらないと」と野依氏に賛同するなどひとしきりの盛り上がりを見せた。


 面白い提言だ。中島氏の言うように、「大きな提言をやらないと」いけない状況ではあるし。しかし、実現可能性は限りなくゼロに近い。さらに個人的な感情を言わせてもらえば、人の職を奪うな、と。まぁ塾が無くなったら他の仕事を探せば良いんだろうけど、何の資格も技術も持たない中途半端な学歴の持ち主が仕事を探すのは大変だぞ。

 そもそも、どうやって「普通以上」と「普通以下」を分けるのかという問題がある。また、それができたとしても、塾を禁じられた子の親は、お金があれば家庭教師を雇うことになるだけ。塾よりも家庭教師の方が費用がかさみ、いよいよ「お金持ちほど偏差値の高い学校へ」ということになる。

 「学校がしっかりと教育機関としての役割を果たす」ことができれば、教育格差の問題は消え去るし、もちろんそれは理想ではあるのだが、そのために手を付けねばならぬことは山ほどある。
 今の教師は、教育論や教育心理学を学んだりはしているが、講義術について学んでいるわけではない。塾や予備校であれば、講義の質が全てであるから、否が応にも授業の腕を磨かなければ路頭に迷うことになるが、教師は自身が意志的的かつ意欲的でなければ、授業技術を磨かなくとも職を失うことはない。職場環境をガラリと変えるか、或いは授業テクを教員免許取得のカリキュラムに入れる必要がある。

 また、教師が教育のみに力を注げないのは、教師の意識・意欲の問題だけでなく、子供のしつけの大部分を学校が背負わねばならなくなっている、ということにもある。むしろ、こっちの方が大きいかもしれない。学校に期待されている「もの」は、かつて以上に大きくなってしまっている。
 学校を教育機関として成立させるには、家庭や地域で子供のしつけを或る程度請け負う必要がある。学校が教育に特化する分、それ以外をどこかでカバーせねばならない。
 さらに言えば、給食費を出し渋る親がいるような世相では、子供のしつけと同時に保護者の面倒も見ねばならず、教育機関に特化するなど、現時点では夢のような話でしかない。

 公教育の再生は必要で、理想的には塾が無くとも公教育で十分な成果を上げるべきである。そのための方法論を一つ一つ積み上げて実践していくというのであれば、大胆すぎる提言ではあろうが、大きな意義を持つことになると思う。


 おまけで、不愉快極まりない話を。

「南京大虐殺」をテーマにした映画で、日本人の俳優募集ー中国
 第17回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞した「可可西里(ココシリ)」の陸川監督が、「南京大虐殺」をテーマにした新作映画のため日本人の俳優を探している。
星美伝媒グループ会社、中国電影製作会社、そして一部海外資金により、南京大虐殺がテーマとなる映画、「南京!南京!」が、製作費2億元(約30億円)をかけ、まもなくクランクインする。中国では、過去にも南京大虐殺関連の作品は数本作られていたが、国際的な反応は今ひとつ薄かった。しかし今回、第17回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞した「可可西里(ココシリ)」の陸川監督が制作指揮をとるとあって、期待は高まっている。この「南京!南京!」に多くの日本人を出演させたいという監督の意向により、いま制作チームが必死に日本人の役者探しに奔走しているという。募集しているのは17〜45歳の男性と20〜50歳の女性。陸監督はスピルバーグのシンドラーのリストを目指して、現在着々と準備を進めているそうだ。


 外務省よ、プロパガンダ映画の製作に対して、断固抗議して欲しい。
 しかし日本もナメられたもんやなぁ…日本人俳優を募集するとは。これに応じる「ある意味では度胸のある」奴はいるのか?



やりきれない結果だ (12/23 23:00)

「百人斬り」訴訟:遺族の上告棄却 最高裁(毎日)
 1937年に中国兵の「百人斬(ぎ)り競争」をしたと報じられ、戦後に処刑された旧日本軍将校2人の遺族が「虚偽報道で名誉を傷つけられた」として、毎日新聞社と朝日新聞社、柏書房、ジャーナリストの本多勝一氏に計1200万円の損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は22日、遺族側の上告を棄却する決定を出した。請求を退けた1、2審判決が確定した。
 1、2審判決によると、東京日日新聞(現毎日新聞)は37年11〜12月、南京へ向かう途中に2人が競って中国兵を切り倒す「百人斬り」をしたと報道。本多氏は朝日新聞社や柏書房から発行した本で百人斬りに言及した。
 1、2審は「具体的内容には虚偽、誇張が含まれている可能性がないとは言えないが、競争自体を記者の創作と認めることは困難」と判断。毎日新聞社については、提訴が記事掲載から20年を超えていることから、損害賠償請求権が消滅する除斥期間を経過したと認定した。【木戸哲】


 虚偽報道だという確たる証拠を挙げられなかったゆえに、この結果は妥当といえば妥当なのかもしれないが、つらい。虚偽報道であるという証拠を示せなかった一方で、百人斬り自体が、事実か否かを確定できない案件である。確証のない話を元に野田・向井両氏を批判してきた朝日や本多勝一のようなクズがのさばり、遺族の苦しみが救われないままだというのは、納得のいかない話だ。

 以下、2005年8月24日の当欄をまるごと引用する。リンク対象がリンク切れのものが多いが、そういった所は全文引用してあるので、問題なく読めると思う。


「百人斬り」報道、旧軍少尉遺族の損賠請求を棄却(読売)
 1937年に旧日本軍が中国の南京へ侵攻した際、2人の少尉が中国兵を競って切り倒す「百人斬(ぎ)り競争」を行ったとする記事で名誉を傷付けられたとして、少尉の遺族が毎日新聞社(当時の東京日日新聞)、朝日新聞社、柏書房の3社と、本多勝一・元朝日新聞編集委員に計3600万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。
 土肥章大裁判長は「真偽について見解が分かれ、歴史的事実としての評価は定まっておらず、明白な虚偽とは認められない」と述べ、請求を棄却した。原告は控訴する方針。
 原告は、「百人斬り」などでの虐殺を理由に、47年の南京軍事裁判で死刑となった向井敏明少尉と野田毅少尉の遺族3人。
 判決は、初めて百人斬りを報道した東京日日新聞の記事について、<1>2人が記者に話したことが契機となった<2>1人は報道後、百人斬りを認める発言をしたことがうかがわれる――などの点から、「虚偽、誇張が含まれている可能性が全くないとはいえないが、記者の創作とまで認めるのは困難」と判断した。
 判決などによると、同新聞は37年、4回にわたり、南京侵攻中の両少尉が、どちらが先に中国兵100人を切り倒せるか競争していたなどと報じた。
 本多氏は71年、朝日新聞に、百人斬りを事実とする中国人の証言を含む記事を載せ、単行本の「中国の旅」(朝日新聞社刊)にも収録。本多氏らが執筆し、柏書房が出版した「南京大虐殺否定論13のウソ」も、百人斬りが事実だったと記述した。


 昭和12年、東京日々新聞(現毎日新聞)が「野田毅、向井敏明少尉が前線で中国兵を斬り倒し、百人斬り競争をしている」という内容の記事を4回にわたり掲載。12月13日の4回目の記事では、野田少尉が105名、向井少尉が106名を斬ったことになっている。
 この記事を根拠に、両少尉は南京軍事裁判所で死刑とされた。
 昭和46年から、本多勝一は朝日新聞に「中国の旅」を掲載、その中で百人斬りに言及、大きな話題となる。それに対し、鈴木明氏『「南京大虐殺」のまぼろし』などで「百人斬りは虚構」という反論を展開。
 平成13年には野田マサさん(野田少尉の妹)が野田少尉の遺品から手記を発見、東京日々新聞の記事は浅海記者に持ちかけられた創作であったことが明らかとなった。手記の執筆時期は死刑判決が出てから処刑直前までと見られる。
 2001年6月18日付産経新聞記事をまとめてみると、手記には「被告等ノ個人的面子ハ一切放擲シテ新聞記事ノ真相ヲ発表ス」として記者との会話を再現、記者が6月18日に「ドウデス、無錫カラ南京マデ何人斬レルモノカ競争シテミタラ。記事ノ特種ヲ探シテヰルンデスガ」と話を持ちかけ、向井少尉が冗談で「ソウデスネ無錫附近ノ戦斗デ向井二〇人野田一〇人トスルカ、無錫カラ常州マデノ間ノ戦斗デハ向井40人野田30人…(中略)無錫カラ南京マデノ間ノ戦斗デハ向井野田共ニ100人以上ト云フコトニシタラ」と応じ、記者は「百人斬競争ノ武勇伝ガ記事ニ出タラ花嫁サンガ殺到シマスゾ」「記事ハ一切記者ニ任セテ下サイ」と二人に話した、と書かれている。
 さらに手記によれば、野田少尉は「被告等ハ職務上絶対ニカゝル百人斬競争ノ如キハ為ザリキ」と百人斬りを否定し、「記者ガ目撃セザルニモカカハラズ筆ノ走ルガママニ興味的ニ記事ヲ創作セルハ一体ノ責任アリ」と記者を批判。ただ同時に「被告等ノ冗談笑話ニヨリ事実無根ノ嘘報ノ出デタルハ全ク被告等ノ責任」と自分たちの問題も挙げている。

 「日本刀で100人も斬れるか」という初歩的疑問を合わせても、百人斬りは虚構である可能性が非常に高い。少なくとも、「事実である」と断定できる証拠は無いと言っても構わない。
 ただ、野田少尉は帰国して故郷の小学校で百人斬りを競争したことを述べている。新聞記事に合わせて吹聴したのか、それとも事実だったのか、この点に関しては判断は難しい。
 ゆえに裁判長の「歴史的事実としての評価は定まっておらず」という評価は正しい。
 しかし、歴史的事実としての評価が定まっていないことに関して、処刑された本人は勿論、遺族も大いに苦しんできたというのに、それに対しては「明白な虚偽とは認められない」と請求を退けるのは問題では無かろうか。

 私は百人斬りは事実でないと考えるが、大きく譲っても「事実とは断定できない」という線は絶対に譲れない。事実と確定していない事柄が、まるっきり事実として喧伝され、遺族は苦しんできた。「まちがいと断定できない」事実であれば、何を言っても問題無いというのだろうか。産経の記事を長いが引用しておく。

「事実なき報道、許すのか」 「百人斬り」訴訟棄却(産経)
遺族、父の無念晴らしたい
 「いくら表現の自由があるといっても、あり得ない事実を報道することがジャーナリストとして許されるのか」。「百人斬り」の責任を問われて処刑された向井敏明少尉の二女、田所千恵子さん(64)=千葉県成田市=は二十三日、謝罪広告掲載などの請求が棄却された判決後の会見で、憤りを語った。

 田所さんは会見で「『百人斬り』はなかったと確信している。明確にされなかったことが残念」と苦渋の表情。ただ「多くの激励でここまできた。感謝です」と前向きな姿勢をみせた。
 田所さんは、父の遺言状を持参して判決に臨んだ。「私の事は世界も正しく見てくれる日も来ます。世間様にも正しく知らせて下さい」−。中国の獄中から家族にあてられたもので、B4判のわら半紙に十五枚、家族への思いがつづられている。「父の願いを果たすことができず残念です」と唇をかんだ。
 田所さんは中学時代に「戦犯の子」と呼ばれるなど、苦痛を受けてきた。ただ、「百人斬り」もいつかは忘れ去られるだろうという淡い期待があった。
 だが昭和四十六年、本多勝一氏が朝日新聞の連載で紹介すると、定期的にメディアなどで取り上げられるように。百人斬りを事実とする出版物も刊行され、「史実」として授業に取り上げる学校も出てきたという。
 消え去るどころか、ますますクローズアップされる父の汚名。「職場でも、みんな腫れ物に触るように私に接するようになった」。そんな中、無念を晴らすのが娘の使命だと思い、今回の訴訟に踏み切った。
 判決では主張が認められなかったが、「まだ先がある」と気を取り直す。「日本が戦時中に中国で行ったとされる“蛮行”がどれほど間違いなのか、明らかにしなくては」。訴訟でも控訴する方針で、父の汚名をはらすつもりだ。

≪同僚カメラマン「作り話」を証言 疑問残る事実認定≫
 南京攻略の際に二人の旧日本陸軍将校が「百人斬り」を競ったとする報道が争われた訴訟で、東京地裁の判決は、「当時の記述が明白に虚偽とはいえない」としたが、「百人斬り」が極めて疑わしいことは多くの識者が指摘してきた。
 南京攻略戦は銃撃戦が主で、日本刀による“殺人ゲーム”は起こり得なかったとされる。また、野田毅少尉は大隊副官、向井敏明少尉は歩兵砲小隊長で、白兵戦に参加することはあり得ず、日本刀で百人斬ることも不可能とされている。
 両少尉は戦後の南京軍事法廷にかけられ、一貫して無実を訴えた。両少尉の弁護を行った中国人弁護士は、東京日日新聞記者が「この記事は、記者が実際に目撃したものではない」と明言していることや、その他の目撃者、遺体などの証拠が皆無であることを主張したが、法廷は新聞記事を唯一の証拠に銃殺刑を言い渡した。
 これに疑問を持ったノンフィクション作家の鈴木明氏は「『南京大虐殺』のまぼろし」で克明な検証の結果、冤罪(えんざい)を指摘し、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。
 記事を書いた東京日日新聞の記者は死去したが、同僚カメラマンは産経新聞の取材などに「あれは戦意高揚のための作り話だった」と明らかにし、今回の訴訟でも高齢をおして同様の証言を行っている。


 人の名誉を汚し、人に多くの苦しみを与えても平然としている男がここに。

「残念だ」と遺族=本多氏「当然の判決」−百人斬り訴訟(時事)
 「百人斬(ぎ)り」訴訟で遺族側請求を棄却した判決を受け、原告の旧日本軍将校の遺族側と被告のジャーナリスト本多勝一氏らが23日、東京・霞が関の司法記者クラブで、それぞれ記者会見した。
 遺族の1人は「百人斬りは物理的、理論的にもあり得ないと確信している。判決で『なかった』と明確に示されず、残念だ」と話し、「あり得ない武勇伝を書き続ける本多氏はジャーナリストとして許されるのか。書き得だ」と批判した。
 これに対し、本多氏は「全く当然の判決。もともと歴史上の事実で、疑問の余地はない」と淡々とした表情。「本来、歴史のテーマである問題を裁判に持ち込んだこと自体、南京大虐殺や中国侵略の事実を否定しようとするものだ」と指摘した。


 ジャーナリストでありながら事実検証を全く行わず、中国のプロパガンダに乗せられて、日本や日本人に多大な迷惑をかけ続けるこの男を、人間のくずと呼ぶことに些かの躊躇いも感じない。


参考サイト:「百人斬り事件」考






なに合意してるんだよ! (12/21 23:30)

40万発の遺棄化学兵器処理、「機構」設置で日中合意(読売)
 日中両政府は21日、外務省で、旧日本軍が中国に残した化学兵器の回収・処理問題に関する実務者協議を行い、2007年1月にも「日中遺棄化学兵器処理連合機構」を設置することで正式に合意した。
 同機構は、約40万発の化学兵器が埋蔵されている吉林省ハルバ嶺で回収・処理を行う事業などに取り組む予定だ。
 協議では、中国側が「化学兵器の被害国として、日本のこれまでの努力は評価するが、今のペースでは不満だ」として一層の努力を要請した。
 遺棄化学兵器の処理は、化学兵器の無害化を定めた化学兵器禁止条約に基づく国際法上の義務となっている。このため、約940億円に上る回収施設と2000億円以上の費用がかかるとみられている処理施設は、すべて日本政府の負担となる。巨額の費用がかかるため、与党内には事業の実施に慎重な声もある。


 この記事の書き方は気になるなぁ……最終段落の文脈だと、日本が処理費用を負担するのは当然だ、という風にしかとれない。確かに「遺棄化学兵器」であればその通りなのだが、そもそも「遺棄」なのかどうか、中国側の主張は全く信用に値しないのだ。

 終戦時に日本軍は、兵器の引き渡しをおこなっている。
 山形のシベリア史料館に、中国軍責任者の署名がされた「兵器引継書」が600冊も残されていたことが、今年9/3の産経新聞で報道されている。また、今年10月号の「正論」には、(中国が遺棄化学兵器が大量にあったと主張している地域で)化学兵器をソ連軍に引き渡した、という元日本軍兵士の証言が掲載された。
 中国に遺棄された兵器は、引き渡しの後に、ソ連や中国の軍によって遺棄された物と考えるべきだ。仮に大きく譲歩したとしても、「日本軍が捨てた」確証が無いというラインは譲れない。

 化学兵器禁止条約(pdfファイル)の第2条「定義」において、「遺棄化学兵器」とは、「1925年1月1日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器(老朽化した化学兵器を含む。)をいう。」とある。引き渡しが正式な手続きの上に行われていたとすれば、それは「遺棄」ではない。
 ゆえに、日本が「中国が謂う所の遺棄化学兵器」を処理する義務は、無い。

 中国遺棄化学兵器処理に関する日中間の覚書の署名(pdfファイル)において、
1.両国政府は、累次に亘る共同調査を経て、中華人民共和国国内に大量の旧日本軍の遺棄化学兵器が存在していることを確認した。旧日本軍のものであると既に確認され、及び今後確認される化学兵器の廃棄問題に対し、日本国政府は「化学兵器禁止条約」に従って遺棄締約国として負っている義務を誠実に履行する。

 と言い切ってしまっているのは痛いが、かつての認識が誤りであったことを認めてでも、負担処理は避けねばならない。金銭的な問題のみならず、日本軍の在りもしない「悪行」をまた一つ認めることになってしまうからだ。



画期的アイディア…なわけがない (12/20 16:30)

労働市場改革:正社員待遇を非正規社員水準へ 八代氏示す(毎日)
 経済財政諮問会議の民間メンバーの八代尚宏・国際基督教大教授は18日、内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムで、正社員と非正規社員の格差是正のため正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせる方向での検討も必要との認識を示した。
 八代氏は、低成長のうえ、国際競争にさらされた企業が総人件費を抑制している中、非正規社員の待遇を正社員に合わせるだけでは、「同一労働・同一賃金」の達成は困難と指摘。正規、非正規の待遇を双方からすり寄せることが必要との考えを示した。
 また、八代氏は現在の格差問題が規制緩和の結果生じた、との見方を否定し「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」と述べた。
 八代氏は、労働市場流動化のための制度改革「労働ビッグバン」を提唱しており、近く諮問会議の労働市場改革の専門調査会の会長に就任する予定。【尾村洋介】


 これが事実なら、八代って人はとてつもないアホじゃないか。それとも、私が頭が悪いだけで、実はものすごい妙案なのか?
 普通に考えれば、非正社員に待遇を合わせれば、正社員の待遇が悪くなるだけでなく、「正社員でさえこの待遇だから」と、非正社員の待遇がさらに悪くなる可能性がある。「格差社会を是正する」ために「国民みんなを低所得層に」なんて、画期的すぎて理解できない。「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」という考えから、なぜにこの結論が導かれるのか…。

 要するに、日本の労働者を中国の労働者のような状態にして、労働者の犠牲の上に企業だけは経済成長を続ける、という方策を推し進めるということだろうか。
 大企業が業績を伸ばせばいずれ国民全体もその恩恵に与る…理屈ではそうかもしれないが、企業は「国際競争力を付けるため」とか何とか言いながら、儲けた金を社員にまわすことは殆ど無いだろう。気がつけば景気が後退し、私たちは何の恩恵も授からぬまま、また大変な思いを何年も…。

 このまま行くと、社会主義革命が起こるんじゃなかろか。



侮辱されて平気なはずがない (12/20 16:00)

 あちこちで大きな話題となっている、この話。

本庁が刑事告発

 報告事項では、京都舞鶴市内の神社において、宮司を強迫の上、代表役員変更登記が行われた事件が発生したことから、神社本庁が刑事告発したことの説明があった。
 府神社庁の調査によれば、被告発人は「同神社の土地を買い取ったので、神社を潰す」などと言って宮司を強迫。被告発人らが総代会を開き、韓国人三人を新役人に選任している。
 脱税を目的とした神社乗っ取りと見られ、十一月二十二日には、同神社の社務所・石鳥居が撤去されたことが確認されている。
(神社新報18年12月18・25日合併号)


 神道を信仰するか否かに関係なく、他国の宗教を踏みにじり自儘な行為を行う者に対しては、最大限の侮蔑と怒りをぶつけるべきだ。
 ましてや神道は、宗教と言うよりは、生活の一部として日本人の心に根付いている。ふだん神様を意識しない者でも初詣やその他行事(七五三だとか)で神社に参拝することはあろうし、樹齢何百年という大木などに何となく畏怖を抱くのも、神道が心の奥底に染みこんでいるからだろう。引用した記事のような行為は、文化への冒涜であり、日本人や日本というくにに対する侮辱である。

 常々「わが国の文化を弾圧するな」だの「日帝は朝鮮の文化を破壊した、謝罪せよ」と言っている在日韓国人の仕業というのも、腹立たしさに輪を掛ける。在日の中でもとりわけ低レベルなウジ虫の仕業であるとは分かっていても。自分の文化を大切にするなら、同時に他国の文化も大事にせよ、外道め。



今日も徒然 (12/19 10:00)

 安倍政権を「小泉構造改革の後継政権」と捉えるべきなのか。教育改革や憲法改正を政権の課題としているところを見ると、いわゆる構造改革を、安倍さんはそれほど重視していないのではないか。というよりむしろ、構造改革の負の部分をなんとかしようと言うことで、再チャレンジだ何だと小泉の置きみやげに取り組んでいる姿を見ると、構造改革に積極的に賛同してはいないのかもしれない。
 もしそうであるなら、「構造改革路線を邁進できるか否かは、安倍さんのリーダーシップにかかっている」という期待の仕方は、とんでもない的はずれってことになる。

 構造改革が不要と言うつもりは毛頭無い。
 しかし、アメリカの言いなりになって、市場原理主義に走り、セーフティネットもろくに作らないで弱者を痛めつけるような構造改革ならば、要らない。金持ちのもとにのみ金が更に集まるような原理的な資本主義よりも、日本は共産主義的システムを巧く取り入れたヨーロッパのような修正資本主義の方が合うし、実際かつてはそのような社会であった。利権に群がる連中を斬り捨てる必要はあるかもしれないが、そのために、生まれつつある格差を無視することが許容されていいわけがない。

 今の経済的状況が、小泉さんの望んだ姿なのか、中途半端のうちに退陣しちゃっただけなのか、どちらかは分からないが、いずれにせよ安倍さんに大きな宿題が課されているのは確かだ。
 小泉さんの残した負の遺産を生産し、さらに安倍さんの理念を実現する政策でも効果を上げる必要がある。その点、安倍さんは大変だなぁとご同情申し上げる。何をやっても、前任者に比較されてしまうしねぇ。

 
 生活が苦しい者の代弁を、朝日新聞だとか毎日新聞だとか、或いは民主党や社民党にはしてもらいたいんだが、こやつらはあまりにもアレ過ぎるから、何の役にも立たない。まともな左派勢力が育たないと、日本はいつまでも足腰のしっかりしないフラついた国でいるしかないんじゃないか。保守勢力がまともかどうかはともかくとして。


 さて時事ネタ2つ。

加藤紘一氏が「テロルの真犯人」を出版(朝日)
 自民党の加藤紘一元幹事長が18日、「テロルの真犯人」(講談社)を出版した。8月15日に山形県鶴岡市の実家と事務所が右翼団体幹部に放火された体験をもとに、言論に対するテロが生まれる土壌を考察した内容だ。
 加藤氏は同書の中で、「『時代の空気』が靖国神社を参拝する首相を選び、テロで言論を封殺しようとする卑劣な犯行を招いた」と指摘。その背景に、靖国神社の「偏りのある歴史観」などが若者に影響を与えていると危惧(きぐ)している。
 加藤氏は事件後、96年に産業廃棄物処分場の建設にからみ、町長が襲撃された岐阜県御嵩町での暴力追放集会に出席するなど、「言論と暴力」をテーマに積極的に発言を続けている。新著でも「代議士として国民の負託を受けている以上、発言を曲げるつもりはない」と強調している。

 「偏りのある歴史観」ねぇ……自分は中道だとか、左でも右でもないということを、ことさら標榜して意見を主張する人は、あまり信用できん。「自分は真ん中だ」なんて、よっぽど自分の見識に自信があって、過去に思想的政治的なブレが全くなかった人なんだろうね。
 少なくとも、加藤紘一は自虐的かつ媚中の方向へ傾いているのは衆知の事実なので、そんな男が「偏りある歴史観」と他者を批判するのは片腹痛い。


長崎で中川昭氏「米国の原爆投下は犯罪だ」(産経)
 自民党の中川昭一政調会長は17日夕、長崎市内で講演し、第二次世界大戦で米国が長崎に原爆を投下したことについて「ああいうものを撃ち込むという米国の判断は本当に人道的にも許すことができない。原爆投下は犯罪だ」と述べた。
 中川氏は「二度と大量破壊兵器を使わせないために最大限努力しなければならない。核拡散防止条約(NPT)を維持するのは当然だ」と強調。「日本の周囲は核だらけだ。抑止のためと言うが、気にくわなければ使いそうな国が最近できてきた」と指摘し、北朝鮮の核保有に懸念を示した。
 中川氏は講演に先立ち、長崎市内の原爆資料館を視察した。


 その通り、原爆投下はアメリカによる非人道的行為である。
 ただ、アメリカと論戦になったとしても、とことんやり合う覚悟と戦略があるのかどうか。「良いこと言った」と評価したい気持ちもあるのだが、同時に今言わねばならないことなのか、という疑問もよぎる。



徒然 (12/17 21:00)

 精神的な忙しさは一段落。実際には何も変わってないが、気分的に快方に向かっただけで全く違う。入れ替わりに、物理的な忙しさがやってきたので、時事ネタにあんまり頭が向かないのは変わらないが。

 あんまりニュースに注意を向けていなくても、松坂の話は耳に入ってくる。他にもっと大きく扱うべきニュースがあるはずなのに、メディアはこればかり騒いでいたし。
 しかし、松坂の言葉はなかなかに印象的…僕は夢という言葉を好きではない。見ることはできてもかなわないのが夢……ただ、これは才能がある人間ならではの言葉だとも思う。夢の世界で妄想するのも、楽しいよ。虚しいけど。

 最後には、落ち着くところに落ち着いたのが、年俸の額。ボラスが言っていたくらいの額じゃないと日本人選手の評価を落とすことになる、なんて意見もあったようだが、「ゼニの問題じゃない。投げたいだけなんだ」と訴えて多少安めの額にした方が、日本人への印象は良くなるわけで、今回の決着は概ね歓迎。そりゃ日本人選手の評価を高めるためにはもうちょいゴネた方が良かったかもしれないが、銭にうるさいように見られるのはもっとマイナスじゃないかな。結果的には、日本人の美徳を示すことができたように思う。


 さて。

靖国神社は歴史から逸脱=元米大統領、参拝批判(時事)
 【北京14日時事】ブッシュ元米大統領は14日、北京で開かれたフォーラムで米中関係について講演した際、一部の日本人は第2次大戦の歴史を歪曲(わいきょく)していると指摘。靖国神社の展示物は「歴史から逸脱している」と述べ、小泉純一郎前首相の参拝を批判した。新華社電が伝えた。

 パパブッシュめ……という前に、この発言は事実か?新華社の報道を鵜呑みにするわけにもいくまい。誰か一次ソース探して…と人任せ。



麻生提言とアホ集団のエセ謝罪 (12/15 10:00)

 あちこちで既に話題だけども、一応。

北方領土解決へ4島「面積で2等分」…麻生外相が私案(読売)
 麻生外相は13日の衆院外務委員会で、北方領土問題について、北方4島(択捉、国後、色丹、歯舞)全体の面積を2等分する境界線を日露両国の国境とする新たな解決案を示した。
 民主党の前原誠司・前代表が「4島を(二つに)分けても、4島とも日本の領土に入るという認識が必要だ」と指摘したのに対し、外相は「北方領土を半分にしようとすると、択捉島の約25%と、残り3島をくっつけることになる。面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。現実問題を踏まえて交渉にあたらなければならない」と述べた。
 外相はさらに、「ロシアのプーチン大統領は強い権力を持ち、領土問題を解決したい意欲もある。この人のいる間に決着を付けなければならない」と語り、大統領の任期が切れる2008年5月までに解決の道筋を付ける意向を強調した。


 こういった観測気球を外相自ら上げて、大丈夫なのかなぁ。下手打てば、外相が返り血を浴びることにもなりかねないし、何より外交のトップが発言すればそれが日本の交渉の既定路線か、と言うことになってしまう。強気に向かっていって交渉のうちに妥協、と言うのが外交であり、交渉の前に外相がリアリスティックな路線を打ち出しては、ロシアに選択肢を増やすことになってしまうのではないか。
 それでも闘う麻生さん、という格好いい話なのか、孤軍奮闘の発露であるのか。

 ともかく、提言された内容は、悪い話ではない。北方領土周辺の漁場もかなり確保できる。ただし、ロシアがすんなり受け入れる可能性は、かなり低い。冷戦直後だったり、プーチン就任前後だったら可能性はあったかもしれないが、石油で儲けてイケイケになっている今のロシア相手では、足下を見られそうだ。

 日本に、高い外交能力があれば、と言う前提においては、悪い話じゃないのだが。


 そういえば、皇室冒涜集団が謝罪をしたようだけれども。謝るくらいなら初めからやるな。

他言無用プロジェクト
関係各位

今般、日比谷公会堂にて開催されました集会におきまして、ご皇室をパロディーとした寸劇を上演いたしまして、ご皇室を敬愛される国民各位に多大なご不快の念をお与えしました。
今後、ご皇室を寸劇でパロディーにしない由、堅く御約束申し上げます。
至らぬ点には、ご指導たまわりますよう、御願いもうし上げます。

平成十八年十二月十三日
風刺コント集団 他言無用
 松崎菊也
 石倉直樹
 すわ親治


 文法的観点からは、用語に大きな問題ないのだが(「お与えしました」は一応謙譲語ではあるのだが、「与える」と謙譲の「お〜にする」を共用するのはちょっと違和感あるな)、文脈も加味して読んでみると、悪意ある用語が目立ち、慇懃無礼ぶりはプンプン匂ってくる。

 「ご皇室」という言い回しや過剰な謙譲表現は慇懃無礼にしか思えないし、「ご皇室を敬愛される国民各位」という言い方も、「皇室への敬意の問題ではなく、表現方法における品格の問題」であることを分かってないご様子。「ご皇室を寸劇でパロディーにしない由。堅く御約束」の部分は、だれも皇室風刺をするなとは言っていないのに(繰り返すが、表現方法の下劣さへの批判であったはずだ)「言論封殺されました」と言いたいがごとし。ただ日本語が不自由な人という可能性もあるが、まぁ普通に読んで「こいつ反省してないな」と考えるべき文面だ。



いろいろ (12/14 0:00)

 ちょいと人生について考えていたりします。
 いや、別に転職しようとか離婚しようとかそういうわけではなく、おのれの生き様を反省しようか、と。仕事への入れ込み具合、家庭への関与、自己研鑽などが、なんとも中途半端に思えてきて、株取引やサイト更新に関して今までとは違った形を採るか整理するかして、日々の時間配分を変更しようかと考えとります。

 時事ネタ扱う形式がもしかしたら変わるかもしれないので…ということで。

 さて、あんまり頭を使う余裕がないので、扱うネタも軽めに。

図書館の本、傷だらけ…「切り抜き」「線引き」横行(読売)
 各地の公立図書館で、雑誌などから写真や記事を切り取ったり、専門書に蛍光ペンで線を引いたりするなど、図書を傷つける行為が増加している。
 中には、閲覧室で堂々と雑誌を切り取り、職員から注意されると「どうしていけないの」と反論する人もいる。
 公共の財産を傷つけてはいけないという最低限のルールを破る行為の横行に、図書館側は「社会全体のモラル低下の表れでは」とため息をついている。
 東京都世田谷区の区立中央図書館(同区弦巻)で被害が目立ち始めたのは5年ほど前から。徐々に悪化し、資料係の越後信子係長は「最近では1日2、3件のペースで切り取りや書き込みが見つかる」と話す。


 子供であれば厳しく叱るべきだし、仮に大人であれば、「どうしていけないの」などと言う人間として最低限の感覚すら持ち合わせないバカは、とっとと器物損壊で警察に突き出せばよい。人間ですらない者に対して、情けなど無用。

 図書館の本を傷つけるなんて、「公共の物だから…」という理屈以前に、気がとがめるものだと思うのだが……「お天道様が見ている」というような宗教的な道徳心はやっぱり大切だと思う。理屈も大事だけど、何でも理屈で納得させようとせず、「ダメな物はダメなのだ」という感性を教育するのも必要だろう。


 お次。

大手企業の冬ボーナス、平均88万…2年連続過去最高(読売)
 日本経団連が13日発表した冬のボーナス(賞与・一時金)の妥結結果の最終集計によると、大手企業288社の平均妥結額(組合員1人あたりの加重平均)は、前年同期比2・48%増の88万4072円と、冬のボーナスとして2年連続で過去最高を更新した。
 特に製造業は同3・62%増の88万3564円と3年連続で過去最高を更新した。アジア向けの鋼材輸出などが好調だった鉄鋼が12・31%増の112万4078円で3年連続で過去最高を更新。自動車も2・40%増の98万9000円と5年連続で過去最高となった。
 一方、非製造業は0・13%減の88万5240円と、わずかながら3年ぶりのマイナスに転じた。


 拙者もボーナスがあるだけマシな方だよな、いや、正社員として働けるだけ幸せ、などと考えてもみたが、やっぱり羨ましいモンは羨ましい。「お金のあるところはどんどん潤ってるんだよな、だけど下層の我々は」…みたいな感覚に陥って、ルサンチマン全開ですわ。
 共産党宣言を読み、革命を夢見る若者が増えたりしたら末期症状。今後数年間は共産党の議席数に注目だな(ウソ)。

 サラリーマンへの特別減税は廃止、ホワイトカラー・エグゼンプションで「どこがホワイトカラーやねん」という人に対しても残業代が出ないようになり、一方では企業に対しては減税をしたり。上で引いたボーナスの記事を見るに、企業が潤えば多少は労働者にも回ってくるようだが、それも一部の企業のしかも正規社員のみの話しだし、企業優遇の効果が下々まで染み渡ろうとする頃には、好景気も終わっているだろうし。

 負け犬根性全開だと、やっぱり共産主義的な発想になっていくな。


 最後。

<警察庁>北朝鮮テロのおそれ「治安の回顧と展望」で指摘(毎日)
 警察庁は11日、今年の治安情勢と今後の動向を分析した06年版「治安の回顧と展望」をまとめた。北朝鮮の動向について、日本政府の制裁措置への反発から「テロを含めた各種の対日有害活動を敢行するおそれが十分ある」と、国内の警戒警備を強化していくことを明らかにした。今年10月の核実験には「技術的な必要から複数回実施するのが一般的との見方もあり、再度行う可能性は否定できない」と、懸念を示している。
 北朝鮮が今年7月に弾道ミサイルを発射し、10月に地下核実験を実施したことで「国際社会の中で孤立を一層深めた」と指摘。さらに、ミサイル発射後の7月13日に第19回南北閣僚級会談が決裂したことなどに触れ、「ミサイル・核開発問題は南北対話にも影響を与えた」と分析した。
 日朝関係は、国交正常化や核、ミサイル問題を協議した2月の第1回日朝包括並行協議を「いずれの協議でも具体的な進展はなかった」と評価した。北朝鮮による対日工作については、北朝鮮による拉致の可能性のある行方不明者を調査する特定失踪(しっそう)者問題調査会が北朝鮮向けに行っているラジオ放送「しおかぜ」に対して5月ごろから妨害電波を発信しているとみられることなどを例示。今後も日本が解決を求める拉致問題について「解決済み」との姿勢を変えないまま対日非難を継続すると予測した。


 スパイ防止法の話は、全然国会で具体的な話になってきませんな。憲法改正のための国民投票法案すら先送りになりそうだし、民主主義国家の定めとはいえ、物事が動くのには時間がかかる。
 安倍さんも支持率がどんどん下がって、来年の参院選はいよいよ危なくなってきたのだから、小泉の郵政解散のごとく、その志すところを国民に問いかけ実行に移しまくってほしい。そうでなければ、長期政権は夢で終わる。中途半端に安全運転を志せば、安倍さんの持ち味は失われて所謂保守層にも見放され、小泉のパフォーマンスが好きだった層も当然離れていく。猪突猛進を求めてるわけじゃないが、いい意味での捨て身の行動に期待する。


 (12/13 11:00)

今年の漢字は「命」…ご出産やいじめ自殺問題など(読売)
 1年の世相を表す「今年の漢字」に「命」が選ばれ、12日、京都市東山区の清水寺で、森清範貫主(せいはん・かんす)が特大の色紙に揮毫(きごう)した。
 日本漢字能力検定協会(本部・京都市)の公募に、過去最多の9万2509票が集まり、「命」は8363票だった。秋篠宮ご夫妻に悠仁(ひさひと)さまが誕生されるという明るい話題の一方、いじめ自殺や飲酒運転による死亡事故など、「命の重みを痛感した年」という理由が多かった。2位は「悠」、3位は「生」だった。


 「命」の字を書いた方はインタビューで「命は最も尊い物で…」とか言っていた。もちろん、命は大切な物に違いないが、「命は地球より重い」といった類の言説には違和感感じまくり。そういった間違った価値観(と断言しちゃおう)が、ダッカ事件を招いたわけで。犯罪者の言い分を鵜呑みにして、世界にテロを拡散させる恐れを無視してまで乗客の命は守られるべきだったのか。命の危険を冒してまで守らなければならないものがある、領分があるということを、福田赳夫は理解していなかった(少なくともそういう行動をとった)。
 まぁ、ダッカ事件を出すまでもなく、命が地球より重いわけはありゃしませんわな。生命が無くたって地球は存在するし、宇宙は在り続ける。

 命なんて軽いモンだ、と言いたいわけではない。命を超える価値があるということ。それが分からないから、平気で「特攻隊員は犬死に」という言説が出てくる。いざという時に賭けるべき物であるからこそ、尊いのだ。

 ただ、皇室の「命脈」が保たれたという意味では、「命」という漢字が選ばれたことに何の異論も無し。


本日のヨタ話 (12/12 10:00)

 最近、「逃走する車に警官が発砲」というニュースが相次いでいるんだが、「発砲されるほどに危険な行動をとる逃走車」という話ではなく、メディアはあくまで「警官が発砲したこと」にニュース性を感じているようで。警官の発砲は人が犬にかみつくがごとき事象ってことか。あほらし。

 警察官が権力を恣意的に用いて国民に不利益が出る…という状況はもちろん回避すべきだが、必要なときに行使すべき「武器」まで奪うのは、治安維持のうえで得策ではない。


 メディアの情報の扱い方は、いまさら論じるまでもなく、かなり酷い。
 昨日の裏原宿での火災も、現代的喧噪の裏にある昔ながらの家屋での火事、ということで、格差社会とか「弱者に厳しい社会批判」とかへ持って行こうとする番組があったり…報ステのことだが。予想不可能というわけではなかったが、火災の起きた場所によってはそんな扱い方も可能なんだな、とちょっと感心。


 最後にちょいと残念な話。

<国民投票法案>今国会の衆院通過を正式断念 与党協議会(毎日)
 自民、公明両党は11日、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について幹事長、政調会長らによる与党協議会を開き、今国会の衆院通過を正式に断念した。民主党との修正協議は継続し、与党の調整は中川秀直、北側一雄両幹事長に一任する。協議会で中川氏は「衆院採決まで持っていきたいが、時間的に難しい」と説明した。

 国民投票のやり方についてでさえ、これだけかかっているのに、本題の憲法改正には、いったい何年かかることやら…。



実名発表への固執 (12/11 10:00)

「実名はメディアの原点」新聞協会、冊子で決意強調(産経)
 事件、事故の被害者や国家試験の合格者らについて、警察や官公庁の発表で匿名化が進んでいるとして、日本新聞協会は7日、実名発表の意義に関する考え方をまとめた冊子「実名と報道」を刊行した。「実名はメディアにとってすべての始まりで原点」とし、実名発表にこだわる決意を強調している。
 冊子で新聞協会は、メディアの使命である国民の知る権利への奉仕や公権力のチェックなどに実名が欠かせないとし、問題のある匿名発表の増加は見過ごせないと指摘。特に警察で被害者の匿名発表が広がる背景には、実名発表で考えられる被害者からの苦情を回避しようとする警察の対応も一端にあると分析した。
 実名報道を原則としながらも、人権尊重の立場から慎重に個別判断していることを説明した上で、実名が事実の重みを伝え再発防止に役立ったり、警察の不正追及に生かされたりした具体例などを挙げ、犯罪被害者や読者らに実名報道への理解を求めている。
 一方、代表取材でメディアスクラム(集団的過熱取材)防止を図るなど、取材される側の人権に配慮する工夫も紹介。「被害者や遺族と対立関係に陥る状況を作り出してはならず、時間をかけて理解してもらう姿勢が大切」と課題に言及、記者一人一人の意識向上が不可欠と結んでいる。
 150円。問い合わせは日本新聞協会(電)03・3591・4403。冊子は来年1月以降、協会のホームページ(http://www.pressnet.or.jp/)からもダウンロードできる。



■匿名報道 感情の希薄化を招く

 子供の自殺は、どうすれば止めることができるのだろう。報道するから止まらないのだ−という声もあった。では目をつぶっていれば、それでいいのか。11月、自殺した大阪府富田林市の中学1年、大川理恵さん(12)の父、和夫さんは会見し、「原因はいじめしか考えられない。理恵の名前を公表して、思い悩み自殺を考える子供たちに訴えたい」と語った。
 父親の思いを受け、産経新聞も実名で報じた。実名を出して悲劇の重さ、大きさを共有すべきだと判断したからだ。匿名の向こうに潜む「いじめる側」に、実名で対峙(たいじ)するしかないと考えたからだ。
 広島市で昨年11月、下校途中に殺害された小学1年、木下あいりちゃん=当時(7)=の父、建一さんは今夏、地裁判決を前に、実名で報じることを要望し、悲惨な性被害の実態についても報道することを求めた。
 「あいりは単なる小学1年生ではなく、きちんとした名前がある。あいりは性的暴行を受けて殺された。事件がそれだけ悪質だということを訴えていかなければ、周囲に分かってもらえない」。そう決意した父親のもとには、性犯罪の被害女性から「自殺を考えたが、思いとどまり、立ち直るきっかけになった」という内容の手紙も届いたという。
 全国の警察が今年10月中に摘発した酒酔いなど飲酒運転の件数は、昨年同月比で23.4%減の8794件だった。これは取り締まりの強化とともに、飲酒運転根絶の機運が全国的に高まった結果といえた。何が世間の目を厳しくさせたのか。それは福岡市で8月末、飲酒運転の車に追突され、博多湾に沈んだ一家の悲痛な叫びだった。
 亡くなった長男の大上紘彬(ひろあき)君(4)、二男の倫彬(ともあき)君(3)、そして一番幼い紗彬(さあや)ちゃん(1)。彼らの名を呼びながら母親のかおりさんは何度も暗い海に潜った。かわいい盛りの博多どんたくの衣装の写真が悲しみを色濃いものとして全国に伝え、激しい怒りが燎原(りょうげん)の火のごとく広がったのだ。
 匿名化により、共有すべき感情が希薄になることを、何より恐れる。(社会部長 別府育郎)


 実名報道に肯定的な被害者遺族の言葉を持ち出して、実名報道の有意性を説いているのだろうが……論理が逆さまという印象を拭い得ない。遺族が実名報道を訴えるなら、それを妨げる権利は誰も有してはいない。しかし、遺族が実名報道に消極的である場合に、マスコミに実名報道をする権利があると言えるのか。マスコミが実名報道をする権利・自由を有しているのではなく、その選択権は被害者遺族が有するべきだ。
 警察が実名発表をしなくとも、遺族が実名報道を望んでいるのであれば、マスコミはそれを報道することが可能だ。実名発表を原則にする必要など無い。

 匿名化により共有すべき感情が希薄になる…確かに分からないでもないが、匿名であっても伝えるべき問題点を明確にし、共有すべき感情を巧く伝えるのが、マスコミ人に求められる技術ではなかろうか。
 だいたい、メディアスクラムで二次被害を受けた遺族の苦しみ、怒りが、匿名報道への動きを加速させたのだから自業自得。表現の自由は保証されているが、他者の権利を侵してまで自由を主張することは濫用である。


タキオン (12/11 10:00)

 何の前触れもなく唐突に「タキオングッズってまだ売ってるのかな」と思い、ググってみた。タキオンが一部で流行っていたのは10年ほど前だが、最近は「ネオタキオン」なるものが登場しているらしい。

ネオタキオン総販売元 ネオプロダクツ

 タキオンは、光速を超える粒子のことで、アメリカの物理学者ファインバーグが提唱したもの。理論的に存在するだろうとは言われているが、検知に成功した者はまだ誰もいない。つまり、本当にタキオングッズを開発したのなら、学会に発表してノーベル賞をもらえ、という話。
 また、通常の物質が光速を超えることがあり得ないのと同様、タキオンは光速を下回ることが決してない。てことで、アクセサリの中に留めおく技術もまた、ノーベル賞モンである。
 しかし、上記紹介のサイトは、使われている言葉がいちいち面白い。「人類が初めて出会った高波動宇宙エネルギー」だの「粒子と言うよりは宇宙のフリーエネルギー」だの、トンデモ系のマニアにとってはヨダレが出て止まらないサイトである。

 タキオンほどデタラメだらけでないにしても、ゲルマニウムやマイナスイオンも信用できない。
 確かに医療器具として認可されているゲルマニウム製品もあるにはあるのだが、肩こりが治るとか血行が良くなるという効果は、医学的に証明されていない。マイナスイオンも同様。東京都は先月、いくつかのメーカーに対して「マイナスイオンの効果に科学的根拠無し」として指導をおこなっている。
 「いや効果はあった」という人もいるかもしれないが、プラシーボ効果かもしれんし。

 ふと思ったが、マイナスのプラシーボ効果もあるのだろうか。
 拙者、「禁煙セラピー」を読んでも全く禁煙する気にならず、逆に「禁煙セラピーでも禁煙する気にならなかった男が根性で禁煙してやる」と思い立って今に至る…くらいに、いろんな「効能」について懐疑的な人間だが、もしかしたら無自覚のうちに、得られるはずの効果すら逃しているのだろうか。

 どうでもいい話だが、プラシーボ効果かスパシーボ効果か分からなくなるときがある。



ヨタ話 (12/8 11:30)

 物理的に忙しいよりも精神的に忙しい方が堪える。具体的にやらねばならない仕事が目の前にあるよりも、何かやらなきゃいけないけどそれが何かはっきりしない方が、疲れる。

 てなわけで、あんまりニュースをチェックしてないッス。いや、目にはしてるけど、それで何かを考えるという気分にはなれず。午前中も時事ネタを調べる気になれずに、デイトレードで遊んだり。それで資金を減らした日にはさらに落ち込んだりするから世話ないのだが。

 そんな時にはくだらないニュース。

金総書記、平壌の会員制ゴルフクラブで11ものホールインワン達成 - 北朝鮮
 【平壌/北朝鮮 6日 AFP】金正日(キム・ジョンイル)総書記は、世界でも類をみないスポーツ施設であろう会員限定のPyongyang Golf Clubで、1ラウンドのうち合計11ホールでホールインワンを達成したという。金総書記の卓越した才能は、核兵器による瀬戸際外交にとどまらない。「将軍様」の個人崇拝の徹底化に尽力する北朝鮮の宣伝機関は、パー72、7700ヤードのコースで成し遂げた金総書記の偉業に、熱狂的な称賛を送った。写真は北朝鮮の外務省入口に飾られた金総書記の肖像(2002年8月26日撮影)。(c) AFP/Shingo ITO

 総書記がまた新たな伝説を打ち立てられました。さすがワープも可能な英雄の息子。

 しかし、これが「金正日の偉業の宣伝」として効果的だと、伝えている側は真面目に考えているのかね。金正日の顔色をうかがっているうちに、妙な方向へ暴走してブレーキも壊れた、ということか。
 人の頭の中をフローチャートみたいな形で読むことができれば、といつも思う。金正日も含め、けったいな思考回路の人の頭の中を、本のような形にして読むことができれば楽しいだろうな、と。岸辺露伴の「ヘヴンズドア」みたいな感じで(分かる人だけ付いてくれば結構)。金正日の頭の中では、瀬戸際外交だったり訳の分からん英雄譚をどう考えているのか、知ってみたい。アシダカグモの生態に興味があるのと同じ類のものかもしれぬ。



利権を潰して当たり前の状態に (12/7 0:00)

 前の科協絡みの捜査とは違って、拉致に関する情報に直接繋がる事案ではないと思われる。しかし、違法行為を取り締まるという当たり前の行動が採れるようになってきたことは歓迎すべきことだし、総連の勝手放題を止めるためにも意味ある捜査だ。

総連系団体、税理士法違反 元職員に逮捕状 兵庫県警、数カ所を捜索(産経)
 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の傘下団体「在日本朝鮮兵庫県商工会」(神戸市中央区)の元男性職員が無資格で税務業務をしていた税理士法違反事件で、兵庫県警外事課と生田署などは5日、同法違反で、同県伊丹市に住む元職員(36)の逮捕状を取り、事情聴取している。容疑が固まり次第逮捕する方針。県警は同日、容疑を裏付けるために同商工会や尼崎市の同商工会阪神経理室など数カ所を捜索した。
 調べでは、元職員は昨年ごろまで同経理室に勤務していた際、知人の税理士の名義を使い、商工会に加入する会社の税務申告など税理士業務をしていた疑いが持たれている。元職員は税理士資格を持っていなかったという。昨年、関係者からの告発で発覚。県警が捜査を進めていた。
 元職員は複数の会社の税務業務を引き受けていたといい、県警は税金を免れていた可能性もあるとみて慎重に捜査を進めている。
 商工会は、在日朝鮮商工業者の経済団体「朝鮮商工会」の45地方機関の一つ。県内に14支部・3経理室がある。


 朝鮮商工会の名が出たということで、『北朝鮮利権の真相』のP194、佐藤勝巳氏の文章から一部を引く。

 六七年、ある在日朝鮮人商工人の脱税問題をめぐって、朝銀東京の前身「同和信用金庫」が国税当局の強制捜査を拒否し、数百名の機動隊が導入され実力行使で調査が進められるという事件が起き、大騒ぎとなった。
 それ以来総聯は、全国の在日朝鮮人多住地域の税務署に抗議行動をかけ、ところによっては業務不能に陥る状況が出現した。また、税務申告時期にもあちこちで騒ぎを起こして、税務署の業務が停滞することは珍しくなかった。困った税務当局が朝鮮総聯との間で結んだとされるのが、「税金に関する五項目『合意』」である。この合意は七六年、社会党(当時)の故・高沢寅男衆議院議員の部屋で、総聯参加朝鮮人商工連合会役員と国税当局の幹部が取り交わしたといわれている。


 朝鮮総連と国税局が結んだ「五項目の合意」の一つが、「同胞商工人の税金問題は朝鮮商工会との協議によって解決する」という条項である。つまり、朝鮮人商工会に入っていれば、税金を一部或いは全額払わなくても済むという特権を得られるのである。当然、そうやって脱税された金は、総連へ上納され、北朝鮮本国へ送られる。

 今回の捜査が今回だけで終わらず、朝鮮総連から北朝鮮への金の流れを解明する動きへ繋がるよう、期待する。ぜひ、パチンコ方面へもメスを。


 総連のようなクズ組織は潰して欲しいモンだが、在日に関しては一方でこんな話もある。

拉致被害者を支援 東京韓商が義援金3百万円(電脳補完録)

 素直に感謝の意を表したい。
 韓国本国は、こんなことになってるのだが。

韓国が植民地統治に協力した「親日派」106人公表(読売)
 【ソウル=福島恭二】韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の直属機関、「親日反民族行為真相糾明委員会」は6日、日本の植民地統治に協力した「親日派」に関する第1次結果をまとめ、106人を「親日反民族行為者」と確定し、公表した。
 盧政権は「親日派」が残した財産の没収に向けた調査にも着手しており、委員会の調査結果が使われるとみられる。
 同委員会は、盧政権が進める歴史清算政策の一環として制定・施行された「反民族行為真相糾明に関する特別法」に基づき、日露戦争から1945年の終戦までの対日協力者を調べている。今回は、日露戦争が始まった1904年から日本統治への抵抗運動「3・1独立運動」が起こった1919年までが対象。1905年の日韓保護条約(乙巳条約)の韓国側代表の1人、李完用(イ・ワンヨン)らが含まれている。


 李完用は親日であると同時に、愛国者でもあったと思うのだが…韓国人との連携は常にその可能性をオープンに考えておくべきだとは思うが、韓国政府、少なくとも盧武鉉政権は絶対にアテにしたらいかんな。というか、敵だ。



虐め対策 (12/5 11:00)

 やっぱり「厳罰化」に文句を言う人が出てくるのな。だったら、どういう方策があるのか、理想論とは別に、喫緊の課題として「今できること」は何なのか、提示して欲しい。

いじめ対策、「厳罰化」効果に疑問=教育再生会議の緊急提言(時事)
 いじめを苦にした自殺が相次ぐ事態を受け、政府の教育再生会議(野依良治座長)がまとめた緊急提言に対し、有識者や与党内から疑問の声が上がっている。提言は加害者の子どもに別教室での指導を課すほか、いじめを助長・放置した教員の懲戒処分が柱だが、「厳罰化は根本的解決にはつながらない」とみられるためだ。
 提言は「見て見ぬふりは加害者」「家庭の責任は重大」などの8項目。これまで具体的な対策がなかったことから、教育再生を看板に掲げる安倍内閣として、問題解決に取り組む姿勢を示したものだ。


 「子供」を「子ども」と書いているのが気にくわないが、それは別の話。

 罰を与えておけば子供は言うことを聞く、とばかりに、しつけと調教を全く同一に考えるのは確かに困った見方だが、子供に迎合することが子供を救うことだと考えるのもまた、困りものである。いじめをするのは何か環境や社会に問題があるからだ、子供の言い分を聞いてやろう、という考えでは、結局その虐めた子供の主体性が無視され、自分の悪行は責任転嫁できるのだという誤った認識を植え付ける結果にしかならない。悪いことをしたら自ら責任を取る、そのことを教えずして何が教育か。

 できれば、学校内での暴力行為や恐喝に対して警察が介入できるように、という提言も欲しかった。



国が主催の集会 (12/4 0:00)

 政府も国民集会を開く。啓蒙も大切だとは思うが、奪還オペレーションのシミュレーションだとか、今後の北朝鮮を巡る国際状況のシミュレーションだとか、綿密な作戦立案を政府はやっているのか…と気にするのは心配性か?もちろん、このような企画は前政権ではあり得なかった話であり、安倍政権だからこその進展とは思うのだが、未だに「北朝鮮当局による人権侵害問題を考えてみませんか」というレベルにとどまっていることに、忸怩たる思いを抱かざるを得ない。

「拉致問題を考える国民の集い」を開催します(法務省人権擁護局)
 法務省人権擁護局では,北朝鮮人権侵害問題啓発週間行事として,国民の間に広く拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題についての関心と認識を深めることを目的に,「拉致問題を考える国民の集い」を,拉致問題対策本部と共催により開催します。
 「拉致問題を考える国民の集い」では,政府による現況説明,横田ご夫妻によるご講演,横田めぐみさんの写真展を実施する予定にしております。この機会に,我が国の喫緊の国民的課題である拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題を考えてみませんか。
 皆様の参加をお待ちしております(入場無料)。

日程  平成18年12月14日(木) 13時〜15時
会場  日比谷公会堂(東京都千代田区)
主催  拉致問題対策本部
     法務省人権擁護局
備考  12時から受付を開始します。
 入場は先着順とし,会場の許容人員(2,000名)に達した場合は,入場いただけないことがありますのでご注意願います。
 駐車場はございませんので,車での来場はご遠慮願います。

 あと気になるのは、読点に「、」でなく「,」を使っていることな。それ、日本語じゃねぇぞ。


残留孤児訴訟 (12/4 0:00)

 俺も書こうか、と思っていたが、あんた何様?日記さん経由で、sokの日記12/3付エントリ「中国残留孤児訴訟」を知り、細かく書くのをやめる。
 
 戦時と平時、やむにやまれぬ事情と組織による犯罪、という違いがあるため、残留孤児と拉致被害者を同列において語る論調には別の違和感を感じるのだが、国が為すべきことをやらなかったという点では、類似点も多く、「あんた何様?日記」筆者のなつか氏の意見には頷く点が多い。


思わぬところにギランが (12/4 0:00)

 思わぬところにイアン・ギランの名が出ていたのでびっくりした。



 X-box360用ゲーム「Blue Dragon」の挿入歌らしい。ファイナルファンタジーの音楽の産みの親ノビヨの曲を、DEEP PURPLEのVoイアン・ギラン(御年61歳)が唄う。
 イアン・ギランの全盛期は、甘く見ても「Live in Japan」の72年頃まで。パープルの再結成後は(84年以降)メロディの唄えないボンゴを叩くオッサンというイメージしかないのだが、植松の音楽でどのように唄っているのか、非常に興味が湧く。

 ちなみに、ジョン・ロードが抜けてドン・エイリーが入ったところまでは追っていたが、その後メンバーは変化無しですか?イアン・ペイスが抜けたら、もはや「劇団四季」みたいな意味合いで「ディープパープル楽団」と呼ぶべきだと思う。そして、500年経ってもパープルの名で活動し続けるのだ。


ヴィジュアル系謙信 (12/4 0:00)

 まぁ革新的な時代劇ということでは、こういう上杉謙信もアリだとは思うが、大河ドラマでやったらいかんだろ、とは思う。これ、謙信じゃなくって、敢えて言えば前田慶次郎の方だろ。

Gackt流「妖しく美しい謙信」誕生…NHK大河ドラマ「風林火山」(SANSPO)
 歌手、Gackt(年齢非公表)の連ドラデビューとなる来年1月7日スタートのNHK大河ドラマ「風林火山」(日曜後8・0)の扮装姿が11月30日、公開された=写真。
 背中にたれた長い髪、白い肌。戦国武将、上杉謙信もGacktにかかればこの通り。妖しく美しい謙信が誕生した。
 「乱世を鎮めたいという願いをかなえるため、自分を律し、欲を犠牲にしたところにひかれる」と謙信の魅力をあげたGackt。「謙信は狂気をともなうカリスマ。圧倒的な美しさと狂気を、画面上でどう伝えるか、どう表現するか考えることが1番楽しい」と話していた。異色の謙信に、中高年の時代劇ファンは異論を唱えるかも。本人は「ぼくだからできる謙信を楽しみにして欲しい」とGackt流を貫くつもりだ。


 映画自体はアレだったが、「天と地と」の津川雅彦演じる武田信玄は、肖像画から得るイメージとも近くて、大好きだった。あのダルマのような信玄の肖像画が実は信玄ではない、という説があることを知るのは、それから数年のちのことである。

 NHKのホームページを見てみれば、信玄もショボい。確かに「芋虫が苦手」だった信玄を表すには、好都合な配役ではあるかもしれない。信虎・板垣信方・甘利寅泰あたりを中心に一年間やって欲しいもんだ。



こんなやり方には誰もついて行くまい (12/1 22:00)

 「防衛省」の話は、今更あーだこーだ言う話ではないので、書かない。

 新聞に出ていた週刊新潮の広告を見て、気にはなっていた話を。既にあちこちで話題になっているだろうが、mumur氏経由で、http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1164875814/から転載。

1 エマニエル坊やφ ★ New! 2006/11/30(木) 17:36:54 ID:???0
◇特集 悠仁親王は「猿のぬいぐるみ」! 「陛下のガン」も笑いのネタにした「皇室中傷」芝居

 その瞬間、あまりの下劣さに観客も凍りついた。11月19日、日曜日。東京の日比谷公会堂で開かれた『週刊金曜日』主催の「ちょっと待った!教育基本法改悪 共謀罪 憲法改悪 緊急市民集会」である。会場を埋めた2000人近い観客の前で、悠仁親王は「猿のぬいぐるみ」にされ、天皇陛下のご病気もギャグにされる芝居が演じられた……。
 その日、東京は冷たい秋雨が降っていた。高橋尚子が参加した東京女子マラソンがあり、交通規制が都内に敷かれていたその時間に、日比谷公園の一角にある日比谷公会堂でそのイベントの幕は開いた。
 安倍政権への対立姿勢を鮮明にする左翼系週刊誌の『週刊金曜日』が主催する緊急市民集会である。同誌の本田勝一編集委員の挨拶から始まった集会で、問題のパフォーマンスがおこなわれたのは、午後2時半頃からである。司会を務めるのは、同誌の発行人でもある評論家の佐高信氏だ。
 「えー、今日は特別な日なんで、とても高貴な方の奥さんにも来ていただきました。この会場のすぐ近く、千代田区1丁目1番地にお住まいの方です」
 佐高氏がそう言うと、舞台の右袖から、しずしずと美智子皇后のお姿を真似たコメディアンが出てきた。
 黒いスカートに白のカーディガン、頭には白髪のかつらと、帽子に見立てた茶托を乗せている。(※参考:茶托 http://www.sala.or.jp/~matu/mihon20.htm)そして、顔は顔面だけおしろいを塗って女装をした男である。
 会場は、拍手喝采だ。
 「本日は雨の中、多くの国民が集まっている中、なんの集会だかわかりませんが」と切り出すと、大きな笑いが起こった。
 「そう言えば、先日、主人と一緒に、ソフトバンクの王貞治監督にお会いしたんです。王さんは“日の丸のおかげで優勝できました”と、仰っていましたが、この人が日の丸のおかげなんて言うのは、おかしいんじゃありませんか?」
 そう言って、コメディアンは笑いをとった。先日の園遊会で、王監督が、天皇陛下に話した内容を皮肉ったのだ。
 続けて、「そう言えば、去年は皇室典範を変えるとか変えないとかで、マスコミがずいぶん騒がしかった。でも、ウチの次男のところに男の子が生まれたら、それがピタッとおさまっちゃいましたね」と悠仁親王のことを話題に。
 そして、「今日は、実はその子を連れてきているの。ちょっと連れてきて」と言うと、スタッフが舞台の下からケープに包まれた赤ちゃんの人形のようなものを壇上の“美智子皇后”に無造作に手渡した。
 よく見ると、猿のぬいぐるみである。
 “美智子皇后”は、そのぬいぐるみに向かって、「ヒサヒト!ヒサヒト!」と声をかけながら、その猿の顔を客席に向けたり、ぬいぐるみの腕を動かしたりする。場内は大爆笑。
 大受けに満足の“美智子皇后”の芝居は続く。
 やがて、抱いている猿のぬいぐるみに向かって、「ヒサヒト! お前は、本家に男の子が生まれたら、お前なんか、イーラナイ!」と叫んで、舞台の左側にポーンと放り投げるパフォーマンスが演じられた。だが、このシーンで場内は静まり返った。
 若者の中にはクスクスと笑いを漏らす者もいたものの、さすがにここまで来ると観客の大半が凍りついてしまったのである。
 そして、ここで登場したのが『話の特集』の元編集長でジャーナリストの矢崎泰久氏と、作家であり、タレントでもある中山千夏さんだ。二人は何十年もの間、行動を共にしている“同志”である。

★静まりかえる観客
 「これはこれは、さる高貴なお方の奥さんではないですか。その奥さんにお聞きしたいことがあるんです」と、矢崎氏。
 「天皇なんてもう要らないんじゃないですか。天皇なんてのは民間の邪魔になるだけでしょ?」と聞く二人に“美智子皇后”は、「あら、アタシは民間から上がったのよ」と、応える。
 中山女史が、「そもそも天皇になれるのが直系の男子だけという方がおかしいでしょ? 男でも女でも、長子がなれるようにすべきじゃないでしょうか。それで、ハタチぐらいになったら、本人の意志で天皇になりたければなり、なりたくなければ一般人になってそれで終わり。普通の市民のように選挙権も持てるようにすればいい。そうしていけば、天皇家というウチはなくなります」と、持論を展開。
 すると、矢崎氏が、「そう言えば、今日はご主人が来てませんね?」と“美智子皇后”に尋ねる。
 「ハイ」「どこか悪いの?」と、矢崎氏。
 「ハイ。知っての通り、病でございまして。マエタテセン?じゃなかった、えーと、あ、そうそう、前立腺を悪くしまして。あまり芳しくないのですよ」「それはご心配でしょうねえ」「そうなんです」
 そんなやりとりが続いた後、突然、矢崎氏が、「それであっちの方は立つんですか?」 と、聞く。
 “美智子皇后”は面食らいながら、「私の記憶では……出会いのテニスコートの時は元気でございました」と、応える。
 場内はシーンと静まりかえった。
 天皇のご病気までギャグにされたことで、さすがに観客がシラけてしまったのだ。
 「笑い声なんてなかったですよ。何て下劣なことを言うのか、と思わず拳を握りしめてしまいました」と、当日、イベントに参加した観客の一人がいう。
 「その後も園遊会で来賓とお話をする両陛下の物真似で、笑いをとっていましたね。憲法や教育基本法の集会だと思っていたのに、結局、この人たちがやりたかったのは、安倍晋三のこきおろしと、皇室を中傷することだけだったんですね」
 だが、あきれるばかりの内容は、まだ続いた。
 今度は、元放送作家でタレントの永六輔氏が舞台に登場。永氏は、
「ここ(日比谷公会堂)は、昔、社会党の浅沼稲次郎さんが刺殺されたところなんです」
「君が代は、実は歌いにくい曲なんですよ」などと語り、アメリカの「星条旗よ永遠なれ」のメロディーで『君が代』を歌うというパフォーマンスを見せるのである。
 当日、集会に来ていた白川勝彦・元自治大臣がいう。「永六輔さんが、はっきりとした歌声で、君が代を『星条旗よ永遠なれ』のメロディーで歌いました。うまかったので、自然に聞こえましたよ。へえ、こういう歌い方があるんだ、とびっくりしたというか、妙に感心してしまいましたね」
 君が代を『星条旗よ永遠なれ』のメロディーで歌う──それは、この緊急市民集会とやらの“正体”がよくわかるものだったのである。

★“反権力”に酔う人々
 今回“美智子皇后”を演じたのは、劇団『他言無用』に所属する石倉直樹氏(49)である。 (※参考:他言無用 http://www.st21.co.jp/tagon/) 永六輔氏に可愛がってもらって、全国各地のイベントで活躍している芸人だ。「僕たち(注=メンバーは3人いる)は、テレビではできないタブーに切り込む笑いをやっているんです。持ちネタは、色々ありますよ。杉村太蔵や橋本龍太郎、それに創価学会だって、やってます」と、石倉氏がいう。
 「中でも最近は美智子様の芸が目玉になってきてますね。実はお笑い芸人として活動を始めた頃、ちょうど昭和天皇がご病気になって、歌舞音曲慎め、と仕事が次々キャンセルされたことがありましてね。その時、これはおかしいぞ、と思いました。16年経った今も、お世継ぎがどうのこうの、とやっている。何とも言えない怖さを感じます。美智子様のことは好きなんで、出来ればキレイに演じたいんですけどね」
 悠仁親王を猿のぬいぐるみにしたことには、「この小道具はよく使うんです。普段は、名前をそのまま言わないんですが、あの集会では、ついフルネームで言ってしまいました。(ご病気については)矢崎さんと中山さんに下ネタをふられ、乗せられてしまいました。僕は基本的に下ネタは好きではない。永六輔さんには以前、永さんがやっておられた渋谷の劇場にも出させてもらいましたし、去年は沖縄公演にも京都のコンサートにも出させてもらいました。京都では、僕が皇后で、永さんが侍従の役で、色々やりましたよ。僕自身は、これを(市民)運動としてやっているつもりはないし、あくまで自分が面白いと思うことをやっているつもりです」
 お笑い芸人としてタブーに挑戦する──石倉氏は腹を据えて演じているらしい。
 だが一方、司会を務めた佐高氏の反応は全く違う。
 「皇后を中傷する劇? いやいや、そもそも劇の中で皇室なんて一言も言ってませんよ」
と、こう語るのだ。
 「あくまで“さる高貴なお方の奥様”としか言ってないんですから。だから皇室の中傷などではありません。それは受け取る側の見方ですから、こちらがコメントする理由はありませんよ。そんなこと言うなら核議論と同じで、こっちも封殺するな、と言いたいですね」
 永六輔氏は、何というか。
 「僕はあの日、3時に来いと言われて会場に向かったんですけど、車が渋滞して遅れ、3時半に到着したんです。だから、そのコント自体、見てもいないし、全然わからないですよ。だから『週刊金曜日』に聞いてくださいな」と、知らぬ存ぜぬだ。
 石倉氏に比べて、二人は何とも歯切れが悪い。矢崎氏と中山女史に至っては、取材申し込みに対して、梨の礫だ。
 永氏は、かつて、童謡『七つの子』など野口雨情の名作を根拠もなく「強制連行された朝鮮人の歌」などと言ってのけ、関係者を激怒させた“前科”がある。
 その関係者の一人、作曲家のすぎやまこういち氏は、今回のことをこう語る。
 「そうですか。まだ(永氏らは)そんなことをやっているのですか。呆れますね。下品です。自分に置き換えて考えてみればいい。自分の孫が猿のぬいぐるみにされて、放り投げられたり、病気のことを揶揄されたりしてごらんなさい。人権に対する意識も何もない。彼らは、いつもは人権、人権というくせに、実はそれが彼らの正体なんですよ。」
 主催者である『週刊金曜日』の北村肇編集長は、同誌の編集後記でこの集会の模様をこう記している。
<冷たい秋雨の中、2000人近い人びとが集まった。不思議なほどに穏やかな空気が会場には流れ途切れなかった。永田町の住人に対する、満々たる怒りを深く共有しながら、しかし、そこに絶望はなかった>
 “反権力”とやらに酔った人々──彼らに付ける薬は、果してあるのだろうか。

ソース:週刊新潮 12月7日号 30-32ページ (エマニエル坊やがテキスト化)
(改行など一部改変)


 いちばん教育し直さねばならぬのは、こういった人種だな。皇室に対してどのような感情・思想を抱こうが自由だし、それを表現する自由を封殺しようとは思わない。しかし、表現されたものに対して、その品性下劣ぶりを非難し、人格を軽蔑する自由もまた我々にはある。人として最低限の道徳も持ち合わせぬ者に対し、侮蔑の言葉を抑制する義理など無い。そもそも、この件は、表現の自由という以前の話だがな。他人を不快にさせてまで享受できる自由など無い。
 少なくとも、批判を覚悟しての主張でないなら、黙っていろ、クズどもが。

 こんなやり方をしているから、左巻きはどんどん支持を失っているのだ。健全な左翼思想が育っていないことも日本の不幸ではないか。

 すぎやまこういちさんの言葉がすべてを表している。救われた。