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朝日の靖国記事について (7/31)

 今週火曜と金曜は、更新不可です。ご了承下さい。


 富田メモがあったから朝日が元気に靖国キャンペーンをやっているのか、元々靖国キャンペーンをやるはずだったところに富田メモというガソリンが撒かれただけなのか。8/15までこのまま突っ走るつもりだろうか。
 今日は、靖国関係は2本。社説と、若宮の風考計。若宮の方がネットにまだ上がっていないので、社説のみを一部削って引用。全文は、前日の当欄に引いておく。

千鳥ケ淵墓苑 追悼施設の位置づけを(7/31朝日社説)
 千鳥ケ淵戦没者墓苑を2倍に広げようという構想が持ち上がっている。自民党が中川秀直政調会長の提唱で検討チームをつくった。
 墓苑は特定の宗教にとらわれず、四季を通じて多様な団体がそれぞれの形式で慰霊行事を行っている。小泉首相も毎年訪れて献花している。
 ここを政府の追悼施設と位置づけて、首相らが靖国参拝に代えて訪れるようにすれば、いわゆる靖国問題は解消する。
 昭和天皇がA級戦犯の靖国神社への合祀(ごうし)に不快感を抱いていたことが明らかになった。それが参拝を中止した理由だった。合祀が持つ問題の深刻さが改めて浮き彫りになっている。
 A級戦犯の分祀という打開策と並んで、この墓苑拡充案が注目されることになりそうだ。
 今後の首相が、墓苑を事実上の追悼施設として受け止め、靖国神社とは距離を置く姿勢を明確にしない限り、解決にはならないだろう。
 位置づけをはっきりさせてこそ、外交的なメッセージにもなる。
 千鳥ケ淵墓苑に外国の首脳が訪問しないのは、単に狭く、不便なためだけではない。そのことを忘れてはならない。


 朝日の記事をためておいて月曜日にひとつひとつ批判の文章を書こう…と先週末の時点では考えていたのだが、量が多すぎるからやめ。とりあえず思いつくままに言いたいことを箇条書きしておくと、

1.富田メモの検証も行わずに「事実」と断定した形での意見主張は違和感を覚える。
2.昭和天皇のご意向を錦の御旗にするのはお前等が普段批判している行為ではないのか。
3.東京裁判やA級戦犯について理解していない人が多いんだから(朝日の世論調査による)、その辺りの基礎知識についてまず紙面で説明しておくべきだろう(朝日にはまともな解説は期待できないけれども)。
4.靖国以外の施設を代替施設として位置づけても、靖国の存在が失われない限り中韓が文句を言うのは収まらない。つまり、朝日は「靖国を潰せ」と主張している。
5.1950年代は国をあげて戦犯の名誉回復を行おうとしていた時期であり、そのための署名も4000万集まった。また合祀は戦争行為の後始末にもあたり、国が関与したことに何の不思議もない。というか、「旧陸軍関係 靖国神社合祀事務協力要綱(案)」は結果的に手直しされているんだから、「国が合祀を主導した」という見方は一面的すぎる。
6.完全政教分離を訴えるなら、宗教系の学校や施設への助成についても批判しろ。
7.靖国神社を訪問した外国要人は大勢いる。ブッシュ米大統領も靖国を参拝する予定があった(が、小泉首相がなぜか断った)。靖国も「わだかまりなく参拝できる施設」である(中韓除く)。
8.東條さんらだけを悪者にして済ませるのは不可能。特定の誰に責任があるわけではなく、強いて言えば日本全体が戦争に責任を有していた。ドイツがナチスに全ておっ被せたようにすれば済む話ではない。とりわけマスコミの責任を無視するわけにはいかない。

 他にも書かなきゃいけないことはあるんだろうけど、まぁいいや。

 自分の意思で「公表」しなかったものが、死後公表され、しかもマスコミによって影響力を与えられる。本人にとってこんな迷惑な話は無いと思うんだが。メモの真意よりもまず、今までそれが明らかにならなかった理由を慮るべきなんじゃないかな。



朝日の一連の靖国記事 (7/29、7/30追記、7/31追記)

 朝日のここ数日の「靖国ネガティヴキャンペーン」の模様をお送りする。
 朝日はすぐに記事を削除しやがるので、全文を引用してしまう。

靖国参拝 総裁候補は考えを語れ(7/25朝日社説)
 首相の靖国神社参拝に対する視線が変わってきた。
 朝日新聞の世論調査では、小泉首相が任期中に参拝することに反対する人は57%で、賛成の29%を大きく上回った。次の首相の参拝についても反対が60%を占め、賛成と答えた人のちょうど3倍である。
 ほかのメディアの調査でも、似たような結果が出ている。
 これまでの世論調査では、賛否が拮抗(きっこう)するか、賛成が反対を上回ることが多かった。いまの世論は明確に参拝反対に傾いている。
 その理由はさまざまだろうが、昭和天皇がA級戦犯の靖国神社合祀(ごうし)に不快感を抱いていたことを示す側近のメモが明らかになったことが大きい。
 今回の朝日新聞の調査は、これが報じられた後に行われた。参拝の是非をめぐる判断でメモを重視したかどうかを尋ねると、63%が重視したと答えた。
 A級戦犯が合祀された1978年以降、昭和天皇は靖国神社への参拝を取りやめた。その理由について、メモは合祀が問題だったことをはっきりさせた。それで民意がこれだけ変化したのだから、この発見の衝撃度が分かる。
 判断にどのような影響があったのかは、人によって違うだろう。ただ、これによって多くの人にA級戦犯や合祀について考えるきっかけを与えたことは間違いあるまい。
 A級戦犯がまつられた神社に、国民統合の象徴である天皇が参拝すれば、戦後日本が再出発の土台としたけじめがあやふやになってしまう。明らかになった天皇の発言からは、そんな憂慮と怒りが読み取れる。
 そこに日本の国を代表する立場の首相が参拝するのはふさわしいことなのかどうか。中国や韓国の反発に屈するのかといった、ナショナリズムをあおられる観点とは違うところから問題を考える契機になったとすれば、その意義は深い。
 自民党総裁選の有力候補と見られた福田康夫元官房長官が、靖国問題で国論が二分されている印象を与えたくないと、立候補を断念した。
 だが、福田氏の思いはどうあれ、首相が参拝を繰り返したことで「靖国」が日本政治の重要な論点となってしまったのは動かせない。
 総裁選がそこを避けて通るわけにはいかないのだ。参拝を是とするにせよ、否とするにせよ、候補者たちは明確に考えを語るべきだ。
 谷垣禎一財務相は、首相になれば「当面、参拝を見合わせる」と言い切った。安倍晋三官房長官は小泉首相の参拝を評価しつつも、自らのことには明言を避けている。麻生太郎外相は5年前の総裁選では参拝の意欲を語っていた。今の考えはどうなのか。
 行くか行かないかの踏み絵ではない。なぜそう考えるのか、この先、この問題をどう処理するのか、世論が次の首相候補から聞きたいのはそこである。

昭和天皇が海外記者と会見 宮内庁で文書控え見つかる(7/26朝日)
 終戦直後の45年9月25日、昭和天皇が米国のニューヨーク・タイムズ記者とUP通信(現UPI)社長に会い、開戦の経緯や戦後の日本が目指す方向などについて回答した文書の控えが、宮内庁書陵部で見つかった。通告なしにハワイ・真珠湾を攻撃したのは東条英機元首相の判断だったとする説明が事実と確認されたほか、戦争の反省に立って平和国家の建設を目指す意欲などが記されている。
 天皇が報道機関の質問に答えたのは初めてで、国際世論に訴えることで天皇に対する戦争責任追及を回避する意図があったとみられる。
 文書は、ニューヨーク・タイムズのフランク・クルックホーン太平洋支局長、UP通信のヒュー・べイリー社長がそれぞれ昭和天皇に面会した経緯を記録した式部職作成の「謁見(えっけん)録」(45年)の中にあった。事前に提出した質問への回答という形を取っている。
 クルックホーン氏への回答文は、これまで明らかになっていた幣原喜重郎元首相が作成した原案から複数の個所で修正されている。米国で重視されていた真珠湾奇襲攻撃について、「宣戦の詔書は、東条大将が使ったように使う意図はあったのでしょうか」という質問に、「東条大将が使ったように使われることは意図していなかった」と回答している。
 幣原原案では「戦争の作戦上の詳細は陸海軍の最高指揮官に任される」と名指しを避けていた。
 ニューヨーク・タイムズは9月25日付の1面トップの見出しで「裕仁、記者会見で東条に(真珠湾)奇襲の責任を転嫁」と報道。同紙記事を転載した同月29日付の朝日新聞は「天皇は『宣戦の大詔は東条のごとくにこれを使用することはその意図ではなかった』と語った」と報じた。
 当時、内閣情報局は「天皇陛下は伝統として個人に対する非難をしないはずだ」と記事を批判した。タイムズ紙は10月2日付紙面で記事は正確だと反論した。
 このため、研究者の間では「記事はクルックホーンの捏造(ねつぞう)ではないか」「連合国軍総司令部(GHQ)の意向で改変されたのではないか」などと論議を呼んでいた。今回の発見で、記事が回答文通りだと立証された。
 日本の将来についての質問には、「平和的な貢献により日本がやがて国際社会で正当な地位を再び占めることを望む」と回答。「銃剣によって、または他の兵器の使用によって恒久平和が確立されるとは思わない」とも述べている。一方で、幣原原案にあった「国家の教育制度の大改革が行われると思う」の部分は削除されていた。
 また、同紙の記事にある「英国のような立憲君主国がよいと答え」に当たる記述はなかった。記者に回答が手渡される前に、さらに修正された可能性もある。
 ベイリー氏への回答文では、日本の将来についての考えを問われ、「日本はいま、平和への新たな道を歩み始めたわけであるが、国民がその望ましい目標に到達できることを心から希望しており、そのためにあらゆる手段を尽くすつもりだ」と答えている。
     ◇
 今回の回答文は番組製作者の鈴木昭典さん(77)の情報公開請求がきっかけで存在がわかった。26日のテレビ朝日系「報道ステーション」で特集が放映される。

A級戦犯、広田元首相の遺族 「靖国合祀合意してない」(7/27朝日)
 東京裁判でA級戦犯として起訴、処刑された広田弘毅元首相が靖国神社に合祀(ごうし)されていることについて、孫の元会社役員、弘太郎氏(67)が朝日新聞の取材に応じ、「広田家として合祀に合意した覚えはないと考えている」と、元首相の靖国合祀に反対の立場であることを明らかにした。靖国神社は、遺族の合意を得ずに合祀をしている。処刑された東条英機元首相らA級戦犯の遺族の中で、異議を唱えた遺族は極めて異例だ。
 靖国神社へのA級戦犯の合祀をめぐっては今月、昭和天皇が不快感を示したとされる88年当時の宮内庁長官のメモが明らかになっている。
 弘太郎氏は広田元首相の長男、弘雄氏(故人)の長男。6人いた元首相の子は、全員他界している。
 A級戦犯が合祀された78年当時について、弘太郎氏は「合意した覚えはない。今も靖国神社に祖父が祀(まつ)られているとは考えていない」と話した。靖国に絡むこれらの思いは「広田家を代表する考え」としている。
 広田元首相は処刑された7人のA級戦犯のうち唯一の文官。外相当時に起きた37年12月からの南京大虐殺で、残虐行為を止めるよう閣議で主張しなかった「不作為の責任」などが問われた。一方で軍部の圧力を受けつつ終始戦争に反対していたとの評価もあり、オランダのレーリンク判事は「軍事的な侵略を提唱した日本国内の有力な一派に賛同しなかった」などとして、元首相の無罪を主張する意見書を出している。
 広田家の菩提(ぼだい)寺は故郷の福岡にあるが、遺族は元首相の遺髪を分けて鎌倉の寺に納め、参拝している。55年4月、旧厚生省は横浜で火葬されたA級戦犯7人の遺灰を各遺族に引き渡そうとしたが、広田家だけは受け取らなかった。弘太郎氏によると、戦犯遺族でつくる「白菊遺族会」にも参加しなかった。
 弘太郎氏は「靖国神社に行くことはあるが、国のために亡くなった戦没者を思い手を合わせている。祖父は軍人でもなければ、戦没者でもない。靖国神社と広田家とは関係ないものと考えている」と話した。
 靖国神社広報課は「広田弘毅命に限らず、当神社では御祭神合祀の際には、戦前戦後を通して、ご遺族に対して御連絡は致しますが、事前の合意はいただいておりません」としている。
 広田元首相の伝記小説「落日燃ゆ」の著者、城山三郎さんは「広田さんのご遺族の思いを聞いて、やっぱりそうか、との思いが深い。ご遺族の言葉に付け足す言葉はない。広田さんだったらどう思うか、どうしただろうか、熟慮したうえでの考えだと思う」と話している。
    ◇
 〈キーワード:広田弘毅元首相〉 1878年生まれ。1933年9月に外相、2・26事件直後の36年3月に首相就任。再度外相に就いた直後の37年7月、日中戦争のきっかけとなった盧溝橋事件発生。紛争の泥沼化を防げなかった。敗戦後、東京裁判に起訴され、48年12月、東条英機元首相ら他の6人のA級戦犯とともに巣鴨拘置所で処刑された。

■合祀決定権は神社に
 靖国神社の合祀の審査は戦前、神社を所管する陸海軍省が行ったが、戦後は宗教法人となった神社に決定権が移り、旧厚生省や各都道府県に照会した戦死者らの資料に基づき判断した。審査の過程で遺族の合意を得ることはなく、過去には太平洋戦争で戦死した台湾先住民の遺族らが「無断で祀るのは民族の意思に反する」として合祀取り下げを求めたが、神社側は「神として祀った霊を分けることはできない」と断っている。

合祀、国が仕切り役 都道府県別にノルマ(7/29朝日)
 日本が1952年に独立を回復して間もない時期に、国の管理下から一宗教法人として再出発した靖国神社の合祀(ごうし)事務は「国家プロジェクト」として動き始めた。国主導の合祀事務について旧厚生省が検討した原案のほかにも、都道府県にあてた一連の通知を朝日新聞社は入手した。そこから浮かび上がるのは、新憲法の政教分離原則との間で緊張関係をはらみながら、国と靖国神社、都道府県が共同で一大事業を進める姿だった。
 「合祀予定者の数は概(おおむ)ね20万人とし、各都道府県別の合祀予定者は別紙のとおりとする」
 独立回復から4年たった56年夏、厚生省は翌年春の靖国神社の例大祭に備え、何人を合祀するか都道府県に「ノルマ」を課した。8月8日付の引揚援護局長名の通知「援発三〇四六号」だ。
 停滞していた合祀を進めるため、この年から国と地方自治体が一体となって進めた3年計画の一環だった。10月末、11月末、12月25日と締め切りを3回設け、都道府県から年内に計20万人の合祀予定者を集める目標を掲げていた。
 この年の初め、全国戦没者遺族大会が開かれ、靖国神社を国の管理下に置く「国家護持」要求が決議されている。その後の10年にわたる運動が本格化する年でもあった。
 3年計画にあたり、新たな合祀の仕組みが編み出された。都道府県の担当者は戦没者の氏名や階級、本籍、生年月日、死亡時の所属部隊や死亡年月日などを「祭神名票」というカードに記入。それを厚生省経由で靖国神社に送り、その戦没者を例大祭の時期に「祭神」として合祀する――。
 同じ8月8日付で引揚援護局復員課長から出された通知「復員五八八号」は、「合祀予定者数は各都道府県別割当数の10%以内の増減は差し支えない」「靖国神社の作業の関係もあり、特に期限を厳守すること」と細かな注文をつけていた。
 都道府県によっては作業が停滞したところもあった。57年6月6日付の復員課長名の通知では、「示された合祀予定者の数に達するよう努力されたい」と「ハッパ」をかけた。通知は同時に靖国神社にも送られた。
 靖国神社が創立100年を迎えた69年。3月3日付の援護局調査課長名の通知は、都道府県の担当課長にこう指示した。
 「(靖国神社は)今秋創立百年記念の祭儀を実施する計画であり、終戦後24年を経過していることなどの関係からも、同社としてはこの際、戦没者の合祀については一段落したい意向である。都道府県においては祭神名票はその全部を提出するようご配慮願いたい」
 かつて陸海軍省が管轄した靖国神社は戦後、国の管理を離れたが、その意向を重視した通知だった。
 こうした合祀事務は87年3月まで続いたとされる。今も合祀は行われているが、遺族の神社への問い合わせで合祀漏れがわかったケースなどが多いという。
     ◇
 「もともと、靖国神社は軍の機関ですよ。厚生省は軍の残務整理をするところで、軍の業務を継承する私たちが戦没者の調査票を作って、靖国神社に送るのは当然でしょう。私も不肖の身をもって処理にあたりました」
 旧厚生省援護局で靖国神社に旧陸軍関係の「祭神名票」を送る仕事を担ったのは復員課(後に調査課)。その課長経験者の90代男性はこう当時を振り返った。
 敗戦後の45年11月30日に陸海軍省は廃止され、かつて軍が行ってきた靖国神社の合祀事務は、陸軍関係の「第1復員省」と海軍関係の「第2復員省」にそれぞれ引き継がれた。48年5月に厚生省に統合され、同省が担当することになる。
 この男性が調査課に配属された時には、祭神名票を使った合祀の仕組みは出来上がっていた。そして66年2月、調査課長名で靖国神社調査部長あてにA級戦犯の祭神名票が送られる。
 「どんな議論があったのか」との質問に、男性はこう答えた。「そこまでは知りません。(戦犯は)国内的には公務死として認められているから、靖国神社に名簿を送るのも事務屋として当然のこと。だれをまつるかを決めるのは、靖国神社の崇敬者総代会の判断ですから」
 海軍出身で援護局で復員業務にあたった千葉県内の男性(92)は48年に海外から引き揚げ、厚生省の呉地方復員部で仕事を始めた。未復員者の調査をし、生存、戦死、戦病死の整理をすることが担当だったという。
 「死亡が判明すると戦死公報を作り、関係都道府県に送ると同時に、靖国神社にも一緒に配っていたというのが海軍の実情。終戦前からの習慣のようなものでした」
 陸軍関係では戦没者の調査は地方自治体が担ったが、海軍関係では厚生省や出先機関の地方復員部で行っていたといい、合祀事務のシステムが違っていたとされる。
 戦後、憲法に政教分離の原則が導入された。だが、合祀事務に携わった担当者の意識は、戦前から途切れずに流れていたようにみえる。

靖国合祀、国主導の原案 「神社が決定」に変更(7/29朝日)
 戦没者の靖国神社への合祀(ごうし)をめぐり、旧厚生省が1956年2月の時点で、合祀者は国が決定するなど国主導で合祀事務を実施するとの要綱原案をまとめていたことが28日、朝日新聞社が入手した同省の文書で明らかになった。「厚生省が合祀者を決めて神社に通知する」「合祀事務の体系は(靖国神社が国の管理下にあった)終戦前のものに準じる」と記している。新憲法の政教分離原則に触れる疑いが濃く、2カ月後にできた要綱では、神社が合祀者を決め、国は照会に応じるものと変更されたが、独立回復後に国が主体的に合祀を進めようと構想していた実態が浮かんだ。
 文書は、56年1月25日付「旧陸軍関係 靖国神社合祀事務協力要綱(案)」と、それを解説した同30日付の「要綱(案)についての説明」。
 当時、戦後になって停滞した靖国神社への戦没者合祀を進めるよう遺族から要望があり、国会で議論になっていた。戦没者の調査をする都道府県の意見を聞くために、同年2月2日付の旧厚生省引揚援護局復員課長名の通知「復員第七六号」とともに、都道府県の担当課長あてに出された。
 要綱(案)によると、(1)戦没者の合祀をおおむね3年間で完了することをめどとする(2)合祀事務体系を終戦前のものに準じたものに改める――が「方針」に掲げられた。
 具体的な作業の進め方としては、都道府県が合祀予定者を選び、引揚援護局に報告。同局で審査したうえで合祀者を決定し、靖国神社に通報。それに基づき、神社が合祀の祭典を行い、神社作成の合祀通知状を市町村役場などを通じて遺族に渡す、とされた。
 その趣旨について、要綱(案)の「説明」は「戦没者の合祀は形式的には靖国神社が行い、国や都道府県はこれに協力する」としつつも、「実質的には国や都道府県でなければ実施不可能で、実体に即応するよう事務体系を改める」と指摘。「靖国神社で決定していた合祀者を今後は都道府県が選定し、厚生省で決定し、靖国神社へ通知する」と解説した。
 陸海軍省の管轄下にあった戦前の靖国神社では、だれを合祀するかは軍が選び、最終的に天皇が決めていた。要綱(案)では、靖国神社ではなく、国が合祀者を決定するといういわば戦前に近い形に改めようとしているのが特徴だ。
 しかし、この要綱(案)の中身は、2カ月後の4月19日付引揚援護局長名で出された通知「援発三〇二五号」に付けられた「靖国神社合祀事務協力要綱」では手直しされ、「神社の照会に対し、都道府県が調査し、引揚援護局がとりまとめる」「神社は合祀者を決定する」という表現に変わる。都道府県が「祭神名票」と呼ばれるカードに戦没者の氏名や本籍、生年月日、死亡地や死亡年月日などを書き込み、引揚援護局がまとめて神社に送る仕組みだ。
 実際、合祀事務はこの形で進められたが、国と靖国神社のどちらが合祀者を決定するかは今も明確ではない。靖国神社側は「国から送られてきた名簿に従って神社はお祀(まつ)りするにすぎない」と主張するのに対し、政府は一貫して「神社からの照会に調査回答しているだけ」という立場で、見解が分かれている。
 ただ、国は56年からの3カ年計画で合祀を積極的に進めた。翌春の合祀に備え、同年8月には年末まで計約20万人分の祭神名票を提出するよう都道府県に指示。合祀予定者のノルマを課したり、作業が遅れている都道府県には迅速化を促したりし、57年には年間47万人も合祀するなど合祀者数を急激に伸ばした実情がある。
 後に野党や宗教団体などから「政教分離違反ではないか」などと批判を受けて、70年11月に「合祀協力事務」を「戦没者の身分等の調査」に名称変更したが、その後も86年まで同様の形で合祀事務は続けられた。


靖国博物館 国が便宜(7/30朝日朝刊)(7/30午前11時現在ネット上にソース無し)
 靖国神社にある戦争博物館「遊就館」の展示品収集にからみ、旧厚生省が61年6月、都道府県に対し、BC級戦犯として死亡した人の遺書や顔写真などを出品するよう遺族へのあっせんを依頼していたことが29日、朝日新聞社が入手した同省の文書でわかった。戦後に廃止された遊就館が61年4月に「宝物遺品館」として一部復活した時期に、靖国神社からの要望を受けて対応していた。一宗教法人への国の便宜供与の一端が浮かび上がった。
 この文書は、厚生省援護局復員課が都道府県の担当課あてに出した61年6月27日付通知「復員第1051号」。「戦争裁判関係死没者の遺書等を靖国神社宝物遺品館に陳列するため出品のあっせんについて(依頼)」との表題がついている。戦争裁判関係死没者とは、連合国の戦争裁判で捕虜虐待など「通例の戦争犯罪」に問われたBC級戦犯を指すとみられる。
 巣鴨刑務所に収容されたBC級戦犯は、58年12月に全員が刑期満了となった。翌年、靖国神社は処刑されるなどしたBC級戦犯計25人を合祀。遊就館には「祭神」となった戦没者の遺書が収集されており、神社側が合祀を追えたBC級戦犯の遺書を集めるために国に依頼した可能性がある。
 通知は、管内に居住する遺族に出品依頼の趣旨を伝え、出品希望者がいた場合には都道府県を通じて、または直接神社に送るように指示している。
 通知に付けられた「出品要領」は、遺書について、1.亡くなる直前に直筆で書かれたもの2.内容は父母や妻子にあてたものか、裁判内容について訴えたもの――と内容を限定。なるべく死亡時に近い本人の写真1枚を付けるよう指定した。(豊秀一)

解説
 靖国神社への戦没者の合祀を国が主導して行うとする旧厚生省の原案が明らかになったことに続き、国が靖国神社の施設「遊就館」の展示品のあっせん役を務めていたことがわかった。靖国神社と国が密接に結びつき、憲法がうたう政教分離の原則が徹底されていない姿を示すものだ。
 戦前の日本では、神道に事実上の国教としての地位が与えられ、「国家神道」が軍国主義と結びつくことで国民を戦争へと総動員した。その反省に立って新憲法では政教分離の原則が盛り込まれ、靖国神社と国との関係を断ち切った。
 一方で、戦没者遺族を中心に「靖国神社は国のために命をささげた戦没者をまつる神社で、普通の神社とは違う」として「国が責任を持って面倒を見るべきだ」という主張が繰り返されてきた。
 その両者のせめぎ合いの中で、国はいかに、どこまで靖国神社にかかわれるかとの問いが戦後続いてきた。その摩擦が靖国問題の本質といえる。
 60年代から10年にわたって展開され、挫折した国家護持運動をめぐる賛否激しい議論は、それを表している。今盛んに議論されているA級戦犯の合祀・分祀問題が政治的に決着したとしても、こうした政教分離の問題はなお残るだろう。
 合祀事務に関する原案からは、政教分離の原則に配慮しない旧厚生省の担当者の姿勢がのぞく。展示品のあっせんのケースは、その端的な例示といえる。(豊秀一)


千鳥ケ淵墓苑 追悼施設の位置づけを(7/31朝日社説)
  皇居の内堀のひとつ千鳥(ちどり)ケ淵(ふち)は、東京でも屈指の桜の名所である。緑濃いその堀端の一角に、国立の千鳥ケ淵戦没者墓苑(ぼえん)がある。
 靖国神社にも近く、少し歩けば日本武道館に行き当たる。終戦記念日に政府主催の全国戦没者追悼式が開かれるところだ。この一角全体が、戦没者を悼み、平和を誓うためのゾーンであるかのような趣も漂う。
 この墓苑は政府が「無名戦没者の墓」として1959年に建てた。先の大戦で海外で亡くなった人のうち、引き取り手のない約35万人の遺骨が眠る。
 これを2倍に広げようという構想が持ち上がっている。自民党が中川秀直政調会長の提唱で検討チームをつくった。墓苑周辺にある公務員宿舎などをつぶして敷地にあてようというものだ。
 実現すれば、手狭な墓苑が使いやすくなるのは間違いない。もう一つ、この構想には首相の靖国神社参拝問題を打開しようとの狙いが込められている。
 墓苑は特定の宗教にとらわれず、四季を通じて多様な団体がそれぞれの形式で慰霊行事を行っている。小泉首相も毎年訪れて献花している。
 ここを政府の追悼施設と位置づけて、首相らが靖国参拝に代えて訪れるようにすれば、いわゆる靖国問題は解消する。その意味では自民、公明、民主3党の有志議員が提言した「新たな追悼施設」の考え方に近いと言える。
 だが、中川氏は「各国の首脳が訪問しやすくするのが目的で、新たな追悼施設を造るのとは違う」と強調する。遺族らの間に根強くある、靖国神社への思いとこだわりに配慮してのことだろう。
 墓苑が広くなれば、靖国神社との距離はさらに近くなる。一帯を追悼ゾーンととらえ、位置づけをあいまいにしたまま墓苑をその中心に据えられないかという発想のようにも見える。
 昭和天皇がA級戦犯の靖国神社への合祀(ごうし)に不快感を抱いていたことが明らかになった。それが参拝を中止した理由だった。合祀が持つ問題の深刻さが改めて浮き彫りになっている。
 A級戦犯の分祀という打開策と並んで、この墓苑拡充案が注目されることになりそうだ。
 戦没者をどう追悼するか、自民党内の意見は割れている。合祀にせよ分祀にせよ、あくまで靖国神社を「唯一の追悼施設」と考えていくのか。あるいは、別の施設を求めるか。墓苑の位置づけを玉虫色にしたまま拡大するのは、妥協策ではあるかもしれない。
 だが、今後の首相が、墓苑を事実上の追悼施設として受け止め、靖国神社とは距離を置く姿勢を明確にしない限り、解決にはならないだろう。
 位置づけをはっきりさせてこそ、外交的なメッセージにもなる。
 千鳥ケ淵墓苑に外国の首脳が訪問しないのは、単に狭く、不便なためだけではない。そのことを忘れてはならない。




昔の人は強い (7/27)

 カミさんの祖父が、川縁に落ちて肩甲骨・鎖骨・肋骨を骨折、額左側も10針縫う大怪我をしたので、昨日見舞いに行ってきた。脳にダメージがあったわけでもなく、見た目は痛々しいのだが、口も達者でとりあえず安心。
 聞いた話では、落ちて血だらけになった後、一緒に作業していた妻(義理の祖母)に発見されるまで頭にタオルを当て立っていたらしいし、救急車が車での時間に、妻のもってきた梯子を自力で登ったらしい。祖父は若いときの事故で左腕を失っているのだが、片手でなおかつ大怪我しているのに梯子を登る気概に驚嘆。

 私の祖父(明治40年生)も、たびたび怪我をするが決して痛いとは言わない人だし、その他様々な苦労を苦労しているように人に感じさせないし、過去の苦難についても、つらい思い出として語ることはない。戦争で南方に行き爆撃で仲間全てが死んだという話ですら、口では「大変だった」とは言うものの、(心中は分からぬが)どこか軽い調子で話していた。

 たまたま自分の周りにそういう人が多いというだけかもしれないが、戦争を経験してきた明治・大正生まれの人は、総じて苦難や苦痛に対して飄々としているように感じる。戦争を経験しているが故に、その後に経験する苦労など苦労に入らないように感じたのだろうか。或いは当時の教育も影響しているのだろうか。苦労を耐え忍ぶという教えが、今よりも徹底していたのかもしれない。

 私の周りの古老は、みな尊敬に値する人物ばかりである。
 ただ、そのような尊敬すべき人物を見るとき、翻って「自分は、自分たちの世代は」と、どうしても考えてしまう。彼らへの尊敬の念は、同時に今の自分に対する羞恥であったり劣等感であったりする。怪我をしたりそのほか大きな苦労があったときに飄々とできるだろうか、と身近な次元で考えると同時に、アメリカを相手に戦争したり焼け跡からはい上がってくるだけの気概を自分は持てるのだろうかとも考える。そして、そんな気概は今の自分には無いだろうなとも思う。特攻隊で戦死された方の遺書を読んでも、自分は到底かなわないと思い知らされる。

 拙者の「気概」は、小学校のキャンプで、軍手でカレーを煮ている飯盒を掴むという愚行を犯し、軍手が熱で溶けて素手で掴む状態になってしまったときに、「みなのカレーを守らねばならぬ!」と熱さを我慢してその飯盒を地面にゆっくりと置いたことがある、てなレベル。生涯で一番の自己犠牲の行動がコレ。そんなモンよ、拙者のレベルは。
 気概というより、「もったいない」という貧乏性が発揮されただけのような気もする。


 「もったいない」と言えば、小学校国語の教科書でよく見かけるこの方の話。無理矢理な繋ぎですまぬ。

嘉田・滋賀知事 所信表明 「新駅凍結の実行に努める」(産経)
 口調ソフト、意志固く
 滋賀県の嘉田由紀子知事(56)は26日、就任後初の県議会で所信表明を行い、公約の新幹線新駅(同県栗東市)建設凍結の実現を改めて主張した。「もったいない」の合言葉で当選し、大型公共事業の中止など大胆な政策転換を唱える嘉田知事だが、県議会は依然、新駅建設推進派が多数を占めるなど“少数与党”状態なだけに、今後も苦しい議会運営を強いられそうだ。
(冒頭抜粋)

 確かに栗東に駅は必要ないかもしれない。私も別に要らないのではと思う。しかし理念に対して支持できるか否かと、実行する能力が伴っているかどうかは別問題。まさか実現させる具体的な方策を考えずに知事になったんじゃあるまいに、と思いたいのだが、そのまさかの可能性が非常に高いような。
 でも、韓国大好き・盧武鉉大好きの国松よりはマシかな。

 ちなみに、栗東市では、前職が一応勝っていたんだね。

出口調査 新駅反対6割 嘉田氏 民主支持層の6割超も(京都新聞)
 前回知事選では、自民、民主、公明、社民各党に推された国松氏が、共産党の推薦候補との事実上の一騎打ちを制し、県内各地で六−八割の得票を獲得し、圧勝した。しかし、社民党が支持する嘉田氏が割って入り三人の争いとなった今回は、都市部のほか、郡部でも支持基盤を維持できず、嘉田氏の浸透を許した。国松氏の地元で争点になった新幹線新駅建設地の栗東市のほか、湖南市や高島市、犬上郡三町など十二市町で競り勝ったが、大津市など都市部で嘉田氏に票差を開けられ、追いつけなかった。(一部引用)

 いや、栗東市民の過半数(知事選で投票した人の、だが)が前職支持だからといって、新駅を造るべきだとは言わない。工事費の地元負担分約240億円の内、滋賀県は116億円を負担するようだし(参考:http://www.pref.shiga.jp/c/shinkansen/01.html)。
 ただ、既に進んでいるプロジェクトを破棄するのだから、現地の新駅推進派を納得させる(もしくは抑え込む)だけの力がないと、県政の混乱は避けられず、新駅以外の懸案についても足止めしてしまうことになる。
 社民党支持ゆえに「理念ばかりで能力が伴わない」イメージがあるのだが、「やっぱ社民党関係は…」となるのか、「なかなかやるじゃないか」となるのか、ちょっと注目している。隣の県だし。
 環境学者ということで、琵琶湖にはびこる外来魚の駆除をバシバシやってほしいなというのが滋賀県民じゃないけど拙者の望み。


 おまけ。
 朝日の騒々しい動きは、8月15日までこの調子で続くのだろうか。

昭和天皇が海外記者と会見 宮内庁で文書控え見つかる(7/26朝日)
 終戦直後の45年9月25日、昭和天皇が米国のニューヨーク・タイムズ記者とUP通信(現UPI)社長に会い、開戦の経緯や戦後の日本が目指す方向などについて回答した文書の控えが、宮内庁書陵部で見つかった。通告なしにハワイ・真珠湾を攻撃したのは東条英機元首相の判断だったとする説明が事実と確認されたほか、戦争の反省に立って平和国家の建設を目指す意欲などが記されている。(冒頭引用)

A級戦犯、広田元首相の遺族 「靖国合祀合意してない」(7/27朝日)
 東京裁判でA級戦犯として起訴、処刑された広田弘毅元首相が靖国神社に合祀(ごうし)されていることについて、孫の元会社役員、弘太郎氏(67)が朝日新聞の取材に応じ、「広田家として合祀に合意した覚えはないと考えている」と、元首相の靖国合祀に反対の立場であることを明らかにした。靖国神社は、遺族の合意を得ずに合祀をしている。処刑された東条英機元首相らA級戦犯の遺族の中で、異議を唱えた遺族は極めて異例だ。

 また、昨日はテレビ朝日「報道ステーション」で、「戦争放棄を最初に言い出したのは昭和天皇」という内容で特集を組んでいた。「富田メモ騒動」によって、昭和天皇のご意志が容易に世論を変えられると学習した朝日が、憲法9条を守るために昭和天皇を利用しようとしているようにしか見えない。
 お前ら、憲法の1条からちゃんと読めよ。



朝日とシンクロ (7/26)

靖国参拝 総裁候補は考えを語れ(7/25付朝日社説)

 昨日の拙者の文章のタイトルは「首相候補は靖国について語るべき」…。
 朝日の社説とほとんど同じになってしまってた……。

 ま、主張の背後にある思想や思考回路には賛同しないけど、しかし結論部分だけなら賛成ですわ。靖国について語る覚悟もないのに、戦後民主主義の精算なんか不可能。



首相候補は靖国について語るべき (7/25)

次期首相の靖国参拝、反対60% 本社世論調査(朝日)
 朝日新聞社が22、23の両日実施した全国世論調査(電話)で、次の首相の靖国神社参拝の賛否を尋ねたところ、反対が60%を占め、賛成の20%を大きく上回った。今年1月の調査では反対46%、賛成28%で、今回、反対が大幅に増えた。小泉首相が9月末までの任期中に参拝することについても反対が57%にのぼり、賛成29%のほぼ2倍だった。昭和天皇が靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を示していた発言メモが明らかになり、首相参拝の是非を考える上で、この発言を「重視する」と答えた人は6割を超えた。(冒頭抜粋)

 他社の世論調査でも似たような結果。そりゃ「昭和天皇メモ」と呼ばれるものが出てきて「昭和天皇はA級戦犯合祀に反対だった」と大々的に報道すれば、こんな結果になるのも当然か。というか、メモ報道→世論調査の段取りが良すぎ。

 記事末尾には有効回答の数が出ている。
《調査方法》22、23の両日、全国の有権者を対象に「朝日RDD」方式で電話調査をした。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は1898人。回答率は57%。
 「朝日嫌い」の方は、忙しくても朝日の調査に応えるようにしましょう。「朝日好き」の回答のみだと妙な結果になり、さらにそれを朝日が「世論」として報道する鬱陶しい状況になりますので。(ちゃんと日本人有権者から満遍なく対象者を抽出しているという前提での話だが…)

 気になるのは、靖国参拝に反対と答えた人のうち、どれくらいの人がA級戦犯の定義や東京裁判の不当さを知っているかということ。「東京裁判は正当な裁判だと思いますか?」という設問や、「『A級戦犯はB・C級戦犯よりも悪い』というのは正しいか?」というクイズを入れてくれると、どんな人間がどう答えているか一目瞭然なんだけど。

 最低限、
●東京裁判は戦勝国による不当な「裁判」である
●A級・B級・C級というのは罪のランクを示しているのではない
●戦犯は既に国会で名誉回復が為されている
●分祀は御霊を増やすことになる
 ということを知った上で、靖国について語りたいものだ。

 社会保険庁の悪事はとことん掘り下げて報道するのに(それはそれで必要だけど)、靖国に関する問題についてはまったく掘り下げてくれないマスコミも問題だが、政治家(というか安倍さんや麻生さん)も靖国や東京裁判に関する意見をはっきりと詳しく述べてほしいと思う。小泉さんが郵政民営化について赤カーテンの前で語ったように。それくらい、戦後民主主義の総括をするのに、靖国は避けて通れないイシューだと思うのだけど。

終戦記念日の靖国参拝明言せず 安倍官房長官(産経)
 安倍晋三官房長官は24日午前の記者会見で、終戦記念日の8月15日に靖国神社に参拝するかを問われ、「参拝するかしないか、したかしないか、いつ行くか行かないかを申し上げるつもりはない」と明言を避けた。そのうえで「国のために戦った方々に対して手を合わせ、ご冥福(めいふく)を祈り、尊崇の念を表するために参拝をしてきた。その思いは今も変わらないし、これからも変わらない」と述べた。

 8月15日に拘る必要は確かに無い。例大祭の参拝も有りだろうし、他の日に参拝したっていい。ただ、今まで8月15日に参拝してきたのだから、ここでそれをやめたとすれば「やはり腰が引けたのかな」と見えてしまうし、もし参拝しないのなら理由をはっきりと説明すべきだろう。
 また、「総裁選の争点になるのを避けるために明言を避ける」ってのにも賛同できない。争点にしたうえで国家観を語り、堂々と靖国に参拝すべきじゃなかろうか。首相になるためには多少の譲歩も必要……確かにそうなのだが、そんなことで首相になってもつのかなという疑問もわく。首相になればなおさら妥協するか否かを迫られる場面が増えるだろう。
 今は雌伏の時で、首相になれば次々に施策を繰り出す、という方針なら良いんだけど、どうも安倍さんは首相になったら調整型の首相になりそうな気がしてきたので。古いタイプの政治家が捲土重来を期す中、それに翻弄されていつの間にか退陣、とならないように祈る。そのためにも、己の信念を語り貫く姿勢は今から示しておいてほしいんです。


 北朝鮮関連で、いくつかメモ。

政府が「北からの入国厳格化」初適用 5人の入国を拒否(産経)
 法務省は24日、今月下旬に日本で開かれる在日朝鮮人主催の集会に参加する理由で入国を申請した北朝鮮籍者5人の入国を拒否した。同省入国管理局によると、北朝鮮によるミサイル発射を受け政府が決定した制裁措置に盛り込まれている「北朝鮮からの入国審査を厳格化する」との項目を初めて適用した。
 政府関係者によると、5人は今月下旬から約1週間の日程で、都内などで在日朝鮮人らが主催する遺骨返還に関する集会に参加する目的で、日本への入国の許可を求めていた。これに対し法務省は「入国を拒否しても人道的な問題にならない事案」と判断し、申請した全員の入国を認めなかった。
 法務省は北朝鮮がミサイルを発射した5日、東京入国管理局など全国8つの地方入管局と、成田空港支局など6つの支局の入国審査の担当者を集めて緊急会議を開き、政府が決定した北朝鮮への制裁措置を徹底するよう指示していた。
 政府は北朝鮮当局職員の入国を原則として認めず、当局者以外の入国審査も厳格にすることを打ち出しており、北朝鮮からの入国申請者の身分や目的を詳細に審査し、入国を厳しく制限している。
 政府筋は「法令や制裁措置の厳格適用で北朝鮮への圧力を一層強めていく」としている。

 当然のことを当然のこととして、粛々とやっていただきたい。


中国銀行が北朝鮮関連口座を凍結…聯合ニュース(読売)
 【ソウル=平野真一】韓国の聯合ニュースは24日、中国国有の商業銀行「中国銀行(BOC)」が同銀行マカオ支店にある北朝鮮関連口座を凍結したと報じた。
 凍結額や時期などは不明。北朝鮮によるドル紙幣偽造をめぐっては、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」が昨年9月に米国の金融制裁を受け北朝鮮関連口座を凍結している。
 今月訪米した韓国野党ハンナラ党の朴振(パク・チン)議員が元米ホワイトハウス高官から聞いた話として伝えた。
 この高官は、北朝鮮が米国の金融制裁後、口座をマカオから中国・珠海の中国国有銀行に移したため、米政府が追跡調査を行い、その過程でBOCが口座を凍結したと説明。中国側は事態の「敏感さを考慮」して発表を控えているが、「中国が対北朝鮮取引で事実上、制裁を加えているもので、北朝鮮はさらに苦しくなっている」と述べたという。


 聯合ニュースの記事はこれ。
中国も事実上の制裁、中国銀行の北朝鮮口座を凍結
 【ソウル24日聯合】中国銀行(BOC)が北朝鮮の米ドル紙幣偽造事件と関連し、北朝鮮口座を凍結したことが分かった。15日から米ワシントンで開かれた韓米議員外交協議会に出席し帰国したハンナラ党の朴振(パク・ジン)議員が24日、米前職・現職高官の言葉として明らかにした。
 朴議員は聯合ニュースの電話取材に対し、口座凍結は中国が北朝鮮との取引において事実上の制裁を発動したものだと述べた。米財務省が昨年9月に北朝鮮の米ドル偽造に関する一斉調査を実施し、マカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮口座を凍結すると同時に、マカオ内の中国銀行支店に対しても調査を行っていたという。ただ、中国側の情報については敏感性を考慮し発表されなかったものと思われる。
 北朝鮮政府はBDA口座の凍結を受け近隣の中国珠海所在の国営銀行などに口座を移したが、米国が調査を拡大するとともに中国銀行に対しても調査を続け、北朝鮮との取引を中断させたとされる。米関係者は、2400万ドルに達するBDA資金は規模は小さいものの、対外工作資金として賄賂(わいろ)供与や兵器部品の購入に使われるため、北朝鮮は神経をとがらせていると分析している。北朝鮮はさらに、2億〜3億ドルと推定されるシンガポール、オーストリア、スイス、ロシアの口座にも影響があるのではと懸念しているとみられる。


 中国のこの動きの実効性はともかく、中国が制裁と見られ得る行動に出たという事実は大きい。



専制君主制でも目指すのか、左巻き? (7/24)

 天皇制に否定的な意見を吐くことが多い輩ほど、「昭和天皇メモ」を利用して「天皇の言葉だから言うとおりにしろ」と言っている。はじめは「浅ましい」と侮蔑していたが、最近はそこに少しだけ「恐ろしい」という感情が入ってきた。自分の感覚に合うネタであれば、オノレの主張の論理的整合性など無関係に騒ぎ立てる姿こそ、奴らが右寄りをさして普段批判している「イケイケドンドン」である。
 ま、朝日はだんだんトーンダウンしているようだが。捏造と明らかになったときの逃げ道を確保するためか。
 そのうち殆ど報道されなくなって、「昭和天皇はA級戦犯合祀に反対されていた」という印象だけが確立していくんだろうか。

 「天皇の言うことを聞け」と主張する左巻きの感覚は、全く理解できない。それじゃ戦前と同じ…とはよく言われるが、明治憲法下でも天皇陛下のご意志が全て政治に影響を与えていたわけではなく、戦前と言うよりは絶対王政にしたいという主張に聞こえてくる。左巻きさん達は、自分の言ってることが分かっているのだろうか。大好きな日本国憲法にも反しているんだけど。

 よっぽど、「天皇にだって戦争の責任があるはずなのに、A級戦犯のみを悪者にするような発言をするなんて卑怯だ」という主張の方が、その主張を肯定するか否定するかはともかく、論理としては筋が通っている。

 あとは、検証能力皆無のマスコミ。どいつもこいつも「メモは昭和天皇のお言葉」という前提で報道しやがる。検証能力がないのなら、せめて「これからの検証が必要だ」と判断を留保しろや。



北朝鮮への兵器転用物資輸出、報告義務づけへ(読売)
 政府は23日、北朝鮮のミサイル発射への追加的な制裁措置として、北朝鮮と取引関係がある一部の国内企業に対し、大型トラック、チタン合金、炭素繊維などミサイル・大量破壊兵器の開発につながる恐れのある約40品目に関して、輸出先などの報告を義務づけるため、外国為替・外国貿易法の政令改正の検討に入った。
 輸出実態を厳しく監視し、第三国経由でミサイル関連物資などが北朝鮮に入ることを阻止する狙いだ。
 北朝鮮が今後、新たなミサイル発射の兆候を見せた場合など、政府が追加制裁が必要と判断すれば、北朝鮮への送金停止・関連口座の凍結とは別に、輸出規制を拡大する構えだ。
 15日の国連安全保障理事会の決議を踏まえたもの。決議は、国連加盟国にミサイル・大量破壊兵器関連の物資・技術などが北朝鮮に移転することを警戒、阻止するよう求めている。


 北朝鮮のミサイルに日本製の部品が多く使われてることは、かなり前から言われていたんで、今更な感もあるが、ともかくもこういった流れは歓迎したい。国連決議が通った以上日本が率先して締め付けを行わねば示しが付かない。


金総書記の秘書金玉さん、事実上ファーストレディー扱い(産経)
 【ソウル=久保田るり子】2年前、高英姫(コ・ヨンヒ)夫人と死別した北朝鮮の金正日総書記が、秘書だった金(キム)オクさんを夫人として迎えていたと23日、韓国の聯合ニュースが伝えた。(冒頭抜粋)

 TVで「キム・オクさん」と言ってるのを聞いて「オクさんが奥さんか」とくだらぬことを考えていたが、それどころではなかった。
 まぁ、外国の名前だから日本語だと変な意味になるってのはたまにあるわけで、ことさらあげつらう必要もないんだけど、でもねぇ…。
 インカ帝国の初代皇帝の名前よりはマシか。あれは教科書には載せられない。



朝日のすんごい作文、「昭和天皇メモ」 (7/21)

 下手な文章の見本を見つけたので、紹介。

自由は根付いたのか(朝日)
 サッカー日本代表の監督だったジーコ氏は、選手の自主性を重んじ、自由にプレーして、持てる力を発揮することを期待した。
 だが選手たちは、自由が身に付かず、指示には忠実だが、自ら判断して全力を出せるほど「成熟していなかった」。
 我が家のサポーター2人も、ドイツで12番目の選手のつもりで戦ってきた。試合中は「前へ、前へ」と念じた。だが日本チームは、技術力はあっても、それを100%使って勝利につなげる責任意識が足りなかった。やはり「成熟していなかった」のだ。
 サッカーはその国の文化の縮図であり、今の学生、サラリーマンの姿と重なる。
 思い出すのはマッカーサー証言だ。日本人は占領で得た自由を守れるのか、と聞かれ「日本人は12歳の少年で学びの段階だから、新しい思想が根付く」と言った。あれから55年、まだ自由は根付いていないのか。
 ところが小泉首相は、日本に自由は根付いている、と宣言した。ブッシュ大統領との共同文書「新世紀の日米同盟」によれば、「自由、人間の尊厳・人権、民主主義、市場経済、法の支配などの普遍的価値観は、両国の歴史的伝統に深く根差したもの」だ。
 これは中国を牽制(けんせい)する条項とされるが、日本自身、自信を持ってそう言えるのか?
 自由が根付いているなら、サッカー選手も学生もサラリーマンも、もっと生き生きと力を発揮しよう。自由には責任が伴う。そう思えば、全力を尽くす意欲が生まれよう。
 経済や社会のルールを破る自由、首相が何度も靖国参拝する自由など、自由のはき違えもなくなり、普遍的価値観に基づく現行憲法を押し付けと非難することもなくなろう。
 自由を根付かせ、ソフトパワーを強めることがいかに大切か、サッカーが教えてくれる。(曙光)

 書いてある内容がどうこうという以前の問題。サッカーからマッカーサー、靖国へと縦横無尽に飛び回る空中殺法ぶり。勉強はできるかもしれないけど頭はよろしくない、という子供の書く典型的な作文。
 小論文なら、10点くらいか。


 さて、話題になっている「昭和天皇メモ」だが、やはりダボハゼが食いついたようだ。
 
昭和天皇メモ、総裁選への影響など韓国でも報道(読売)
 【ソウル=福島恭二】昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀に不快感を示す発言をしていたことを示すメモが日本で報じられたことに対し、韓国の各メディアは20日、メモの発見が今後の日本の政治家による靖国参拝の動きや今年9月の自民党総裁選に与える影響などを中心に報じた。
 聯合ニュースは、メモに関する日本の報道を詳細に伝えたうえで、「『靖国』が北朝鮮のミサイルなど『安保(問題)』を抑えて、総裁選の最大の争点として浮上することが予想される」と指摘した。また、ニュース専門テレビ「YTN」は「小泉首相をはじめとした政治家の参拝にも影響を与える」と分析するとともに、「日本の政界内で提起されている『分祀論』が力を得るかどうか注目される」とリポートした。


 発端は20日の日経の記事。

 昭和天皇が1988年、靖国神社のA級戦犯合祀に強い不快感を示し、「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と、当時の宮内庁長官、富田朝彦氏(故人)に語っていたことが19日、日経新聞が入手した富田氏のメモで分かった。昭和天皇は1978年のA級戦犯合祀以降、参拝しなかったが、理由は明らかにしていなかった。昭和天皇の闘病生活などに関する記述もあり、史料としての価値も高い。
 靖国神社に参拝しない理由を昭和天皇が明確に語り、その発言を書き留めた文書が見つかったのは初めて。
 「昭和天皇が参拝しなくなったのはA級戦犯合祀が原因ではないか」との見方が裏付けられた。

 富田氏は昭和天皇と交わされた会話を日記や手帳に克明に書き残していた。日記は同庁次長時代も含む75-86年まで各一冊、手帳は86-97年の二十数冊が残されていた。
靖国神社についての発言メモは88年4月28日付で、手帳に貼り付けてあった。
 昭和天皇はまず、「私は、或る時に、A級(戦犯)が合祀され、その上、松岡、白取(原文まま)までもが。筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが」と語ったと記されている。「松岡」、「白取」はA級戦犯の中で合祀されている松岡洋右元外相、白鳥敏夫元駐伊大使。「筑波」は66年に厚生省からA級戦犯の祭神名票を受け取りながら、合祀しなかった筑波藤麿・靖国神社宮司(故人)を指すとみられる。

 さらに「松平の子の今の宮司がどう考えたのか、易々と。松平は平和に強い考えがあったと思うのに、親の心子知らずと思っている。だから、私はあれ以来参拝をしていない。それが私の心だ」と述べている。「松平」は終戦直後に最後の宮内大臣を務めた松平慶民氏(故人)と、その長男で78年にA級戦犯合祀に踏み切った当時の松平永芳・靖国神社宮司(同)を指すとみられる。
 天皇が参拝しなくなった理由についてはこれまで、「A級戦犯合祀が原因」「三木首相の参拝が『公人か私人か』を巡り政治問題化したため自粛した」との二つの見方があった。
 現在の天皇陛下も89年の即位以降、一度も参拝していない。


 メモの「私」が本当に先帝陛下かどうか、分からない。メモ自体の信憑性も証明されていない。これでいったい何を判断できようか、というのが正直なところ。
 だいたい、普段は天皇を蔑ろにしている輩ほど、天皇を政治利用するなといっている輩ほど、今回騒ぎ立てて「ほら昭和天皇もこう言っていた」と利用しようとする。浅ましい性根だ。
 88年4月28日というメモの日付の翌日後、 陛下は体調を崩されている。崩御されたのは翌年1月。メモ以後の陛下のお言葉との整合性を問うことができない。メモ以前のお言葉とのズレは指摘できても、「その時期にはお心変わりしていた」と言われれば反論しづらい。富田氏も既に亡くなった方で、メモの信憑性を「完全に否定」ことは筆跡鑑定でもしない限りほぼ不可能。日付も込みで捏造したとしたら、卑劣ではあるが賢い。

 まぁ本物としても、公的な発言ではないしなぁ。これで「分祀せよ」となれば、内々での発言が政治に利用されるということになるわけで、天皇は個人的な思いを私的な場所で述べることすら禁じられているのか、ということになりますわな。

 てか、「事実」と確定したかのように報道するマスコミどもはクズだな。検証能力皆無。


 しかしながら、仮に先帝陛下がどう思われようと、戦没者の慰霊は国を挙げてやらねばならぬ、私のその考えは決して変わらない。陛下のお気持ちを理由に靖国参拝に賛成したことはないし、そうしようとも思わない。先帝陛下のご発言によって主張を曲げるということはない。



俺達岐阜には夢がある (7/20)

 日曜のFC岐阜の試合、12600人も集まりました。目標は2万だったらしいのですが、大雨だったことを考えれば上々だったと思います。プロチームになってチケットが有料になったときにも、何千、何万と集まることを期待。

☆東海リーグ1部 第十節 矢崎バレンテ戦の結果について|最新情報|FC岐阜

 横断幕の「俺達岐阜には夢がある」って文句。ジョルノ=ジョバァーナみたいで良い。ゴリサンド、うまかった。
 現時点では圧倒的に強い。そりゃJでもやっていける人間が何人もいるから当然か。ただ、今はそれでも問題ないのかもしれないが、どうしても片方のサイドに攻撃が偏ってしまうとか、気になる面もあった。片桐が強力だからそうなってしまうんだろうけど。

 認知度に関してはまだまだこれから。みんなに知れ渡るにつれ、更に動員数も増やせるでしょう。



北朝鮮、嫌がらせ、陸自 (7/20)

 ミサイルを撃つ以外に北朝鮮がやれることと言ったら、6カ国協議参加国の中で最も迷走している韓国を揺さぶることと、日本にテロを仕掛けることくらい。

離散家族の再会中止、北朝鮮が韓国に通告(読売)
 【ソウル=平野真一】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の張在彦(チャン・ジェオン)朝鮮赤十字会委員長は19日、韓国の韓完相(ハン・ワンサン)大韓赤十字社総裁に書簡を送り、南北離散家族の再会事業の中止を通告した。
 11〜13日に釜山で開かれた第19回南北閣僚級会談で、韓国が北朝鮮のミサイル発射を受けて、同国から要請のあったコメ50万トンや肥料10万トンの支援を拒否したことへの報復措置。
 国連安全保障理事会決議を支持しながらも、制裁に批判的な立場を取る韓国を揺さぶることで、北朝鮮に対する国際社会の共同歩調を崩すのが狙いと見られる。
 書簡は、韓国側が同会談で<1>今年10月の秋夕(旧盆)に予定される離散家族再会に関する北朝鮮側提案の討議を拒否<2>コメ、肥料支援を一方的に拒否――したことを挙げて、「われわれを敵視する日米に同族間の人道的事業を売り渡す反民族行為だ」と非難。南北間では「離散家族再会はあり得なくなった」として、8月15日前後に予定されていた再会事業の取り消しや北朝鮮・金剛山への面会所建設の中止を宣言した。


 もしかしたら、韓国のこの動きを牽制する意味もあるのかな。

<韓国政府>拉致被害者救済へ 法案公表、秋の国会提出方針(毎日)
 韓国政府は18日、朝鮮戦争以後の北朝鮮拉致被害者とその家族を救済する「拉致被害者等救済支援法」を制定すると明らかにした。法律草案を公表、関係者の意見を聴取し、秋の定期国会に提出・審議する。支援対象は53年7月27日以降に拉致され「3年以上北朝鮮に滞在した者」あるいは「帰還していない者」とその家族。

 韓国でさえ北朝鮮の拉致に対する非難の声が高まれば、北朝鮮包囲網はよりきついものとなる。北朝鮮の狙いの本命は日本のお金だろうが、韓国という「二番手」の目もなくなれば、いよいよ追いつめられる。ただ、盧武鉉政権は文字通り迷走しているので、北朝鮮の態度に「悪かったニダ、やっぱり援助はやるニダ」となる可能性もある。


 そして、事実だとすれば盧武鉉を笑えないな、という話。

小泉首相が米朝直接対話促す 日米首脳会談で(朝日)
 「直接対話しないと進まない」――。小泉首相がブッシュ米大統領との会談で、北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向け、高いレベルでの米朝直接対話を促していたことが18日わかった。日朝国交正常化を目指して2度訪朝し、なお「対話」にこだわる首相の賭けだったが、大統領は慎重姿勢を崩さなかった。その直後に北朝鮮がミサイルを発射。国内外で「圧力」路線の勢いが増すにつれ、首相の働きかけが実を結ぶ可能性は薄れている。
 首相が米朝直接対話を呼びかけたのは、6月29日の首脳会談やその後の電話協議。複数の日本政府関係者によると、首相は会談で自身が2度訪朝したことに触れ、大統領に「北朝鮮は米国との対話を望んでいる。北朝鮮のような国は、首脳間で直接対話しないと物事が進まない」と指摘した。
(冒頭抜粋)

 国連の決議、麻生・安倍に丸投げしてくれて、良かった。


 北朝鮮がピンチになるといつも出てくるこの手の事件。

教職同中央が記者会見 朝鮮学校児童、生徒への嫌がらせ続発(朝鮮新報)
 「在日朝鮮人に対する人権侵害」
 朝鮮が5日に行ったミサイル発射訓練以降、朝鮮学校と生徒に対する脅迫、暴言、暴行が相次いで起きていることと関連し、在日本朝鮮人教職員同盟は14日、東京朝鮮中高級学校で記者会見を行った。教職同中央の具大石委員長(東京中高校長)、姜賢副委員長、西東京朝鮮第1初中級学校の愼基成校長、埼玉朝鮮初中級学校の高石典校長が事件再発防止を強く訴えた。
 朝鮮学校と同校生徒に対する脅迫、暴言、暴行事件は5日から13日の間に、日本各地で通報があっただけで110件以上にのぼる。愛知県では中級部2年の男子生徒が中年男性に「朝鮮人死ね」との暴言とともに暴行を受け、左あごに全治2週間のけがを負った。そのほか、朝鮮学校に「生徒を殺してやる」「火炎瓶を投げ入れてやる」などとの脅迫電話もあった。
 会見で談話を発表した具委員長は「在日朝鮮人に対する人権侵害であり、卑劣きわまりない犯罪行為だ。朝鮮に対する歪んだ感情の矛先が在日朝鮮人、とりわけ朝鮮学校児童、生徒たちに向けられていることに怒りを禁じえない」と厳しく非難。日本政府と各自治体に真相解明と取り締まり強化、再発防止のための措置を講じるよう強く訴えた。

 本当にそういう事件があるなら、同じ日本人として恥ずべきことだとは思う。
 しかし、わざわざ記者会見というパフォーマンスを行うところに胡散臭さを覚えるし、朝鮮総連とかではなく朝鮮学校に嫌がらせをするというのが理解不能(いや畠山鈴香みたいに理解不能な日本人はいるんだけど)。だいたい朝鮮学校も、政府や自治体に訴えるんじゃなく、警察に届ければ済む話だろ。
 個人的感覚を言えば、朝鮮学校の生徒はガラ悪くてとても嫌がらせする気にはなれんと思う。

 仮に嫌がらせが事実としても、そして嫌がらせはあってはならないことだと断じたうえで、本国に対して何も働きかけをせずにオノレらの権利だけを主張する姿勢にも問題はあると思うがね。


 さて、陸自が帰国する。

陸自、帰国は日航機 イラク撤収第1陣(産経)
 イラクでの復興支援活動を終えた陸上自衛隊隊員約600人が帰国の際、日本航空(JAL)のチャーター便を初めて利用することになった。第1陣の約200人の隊員は日本時間19日午後(現地時間同日午前)、迷彩服姿でJAL機に乗り込み、クウェートを出発。日本時間の20日午前に羽田空港に到着する。
 防衛庁によると、約2年半の派遣期間で、約5500人の隊員が日本とクウェートを往復しているが、JALや全日空は、乗員組合が強硬に反対してきたため、外国民間航空会社のチャーター便や通常の定期便、政府専用機を利用していた。
 陸上幕僚監部や統合幕僚監部では、6月20日の「撤収命令」を受けて輸送調整業務を本格化。5月には中国政府の介入で中国民航機が土壇場でキャンセルされる事態もあり、「国を代表してイラクに赴く隊員に申し訳ない」との意見が陸自や自民党などに強まり、JALへの期待が高まっていた。


 ともかく、無事に撤収を終えることができて良かった。
 しかし、イラク派遣時に議論された、憲法と自衛隊の行動の整合性の問題については、まだ何も解決していない。同種の議論は、敵地攻撃論に形を変えて今も続いている。また記事にあるように、自衛隊の存在を疎ましく思っている団体も存在する。
 自衛隊が日本の代表として堂々と行動し誇りに思える状況には、未だ至っていない。



米頼みを威張るなよ、岡崎さん (7/18)

 また肩こりが酷い。
 ドラムスティックをマッサージ機代わりにしているのだが、マイク・ポートノイモデルよりもやはり樋口宗孝モデルの方が太くて効く。うちには無いけど、コージー・パウエルモデルは最強に効きそうだ。

 てなわけで、今日はあんまり文章が書けません。書きたいことはたくさんあるんだけどなぁ、安倍ちゃんが発表した外交理念の話とか。


議長総括で北朝鮮ミサイル、拉致に懸念…サミット閉幕(読売)
 【サンクトペテルブルク(ロシア)=田中隆之、黒川茂樹】第32回主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)は17日午後(日本時間17日夜)、北朝鮮のミサイル発射や拉致、核問題への懸念を盛り込んだ議長総括を発表し、閉幕した。
 議長総括は、拉致問題の「早急な解決」を求めた。
 悪化する中東情勢については声明を発表し、レバノンの武装勢力のテロ行為を非難するとともに、レバノン攻撃を続けるイスラエルに自制を求めた。
 議長総括では、北朝鮮のミサイル発射について、北朝鮮を非難する15日の国連安全保障理事会の対北朝鮮決議を支持したうえ、北朝鮮に対し、「ミサイル発射のモラトリアム(凍結)に関する既存の約束を再確認するよう求める」として、2002年の日朝平壌宣言や6か国協議の05年9月の共同宣言に基づき、ミサイル発射の凍結を求めた。


 日本の声が取り入れられる状況は喜ばしいし、このこと自体は評価すべきなんだけど、これから日本が対北朝鮮圧力をかけるべく施策を繰り出さねば意味がない。また中国やロシアにペースを掴まれることの無いよう、矢継ぎ早の施策を政府に望む。パチンコと覚醒剤の取り締まりなら国内問題だからすぐに着手できるだろう。

 日本にとって、今は非情に重要な時期だと思うのだが、このお方の発言はなんとも呑気である。場面によって言うことが変わる、批判のための批判だ。

小沢氏批判、北朝鮮決議「最初の勢いはどこへやら」(日経)
 民主党の小沢一郎代表は17日、都内で開かれた小沢氏主宰の「政治塾」で講義し、国連安全保障理事会の北朝鮮非難決議に関連し「最初の勢いはどこへやら、(政府が求めていた)制裁という(国連憲章)7章の中身を削除せざるを得なくなった」と指摘、政府の外交を批判した。
 小沢氏は「珍しく日本が先頭に立って(制裁を求める)決議案を提案する事態になったが、強硬論を言う役割をさせられて、裏では米中、米ロの談合が行われていた。日本は米中、米ロの話し合い、米国の本音について何も聞かされていなかった」と述べた。〔共同〕


 今月5日にはこんなことを言っていた。

北朝鮮ミサイル:小沢民主代表が、経済制裁に慎重姿勢(毎日)
 【天津・衛藤達生】中国訪問中の民主党の小沢一郎代表は5日、天津市で記者団に対し、北朝鮮のミサイル発射を受けた経済制裁発動について「そんな簡単にできるものではない」と慎重な姿勢を示し、「圧力より対話」の姿勢を強調した。
 小沢氏は「経済制裁は強制力、軍事力を使うところまで行ってしまう。国民は冷静に考えないといけない」と指摘。政府の制裁方針について「本気で言っているのかと問いたい。6カ国協議もあるのだから、話し合いのなかで解決させていくのが良いと、現時点では思っている」と語った。

 制裁を強めたいのか緩めたいのか、どっちやねん。
 「強硬論を言う役割をさせられて…」の部分は検討の余地があるかもしれんが、ただ政権批判をしたいだけの言説には説得力はない。


日本、安保理で初の主導 岡崎久彦元駐タイ大使(産経)
 ≪日米制裁にお墨付き 日本外交「先手」で奏功≫
 制裁に強制力をもたせる国連憲章7章を削除したうえで国連安全保障理事会の北朝鮮に対する非難決議が採択されたが、この決着は評価できる。強制力のある決議が採択されても、中国が実質的に制裁を行うかどうかは疑わしく、実際に制裁を主導するのは日米だからだ。日米は決議で国連から制裁の"お墨付き"を得たことになり、目的は達したといえる。
 北朝鮮が再びミサイルを撃った場合、日米はさらに強い制裁措置に入ることができる。再発射の抑止にもつながるだろう。北朝鮮がミサイルを発射した理由として、米国との直接対話を求めていることが挙げられている。だが、ミサイル発射で事態を打開しようとする無理は通らないことを、北朝鮮に理解させることにもつながった。
 日本は初めて、国連安保理の場でイニシアチブを発揮したといってもいい。日本外交の従来の型では、事件が起こると「まず状況を把握してから」と各国の出方を見る。そのうち米国が態度を決め、それに付き合うというパターンだった。
 日本は今回、北朝鮮のミサイル発射後、迅速に制裁決議案を安保理に示し、安保理で根回しを進めコンセンサスをつくった。外交には「先(さき)んずれば人を制す」ということがある。中露は日本案に反対したが、日本の最初の根回しが基礎となり、そこを起点に妥協をしていったので、良い"歩留まり"で決着がついたといえよう。
 こうした結果を得られたのは、「小泉―ブッシュ」の緊密な日米関係のもと、「米国は絶対に同調してくれる」という確信を日本がもつことができたことが大きい。北朝鮮は「中国は庇護(ひご)せざるを得ない」という読みであえて発射した。安保理の協議の過程をみても、北朝鮮が頼りにできるのは中国だという形がはっきりした。ロシアは中国とは別の計算で、国際社会で発言力を維持するために米国と距離を置いたのだろう。
 北朝鮮の現体制が続くのなら、ミサイルや核、拉致問題の解決が今後とも主題となる。日米は今後も連携を強め、北朝鮮に圧力をかけていかなければいけない。(談)

 「米国は絶対に同調してくれる」という確信が、今回の「外交的勝利」の原因……もしそうだとしても、それは威張って言うようなことかなぁ。結局、アメリカに頼りっきりってことで、もちろん大国を利用して立ち回るのは外交の技なんだが、そういう「スネオ的態度」を以て「戦果」を称える態度は、違和感を覚えてしょうがない。


 最後。

サマワ支援で感謝状要請 陸自、地元州議長らに(共同)
 【クウェート市15日共同】イラク南部サマワで約2年半にわたって復興支援活動を続けた陸上自衛隊が、地元ムサンナ州評議会の議長らに対し、撤収する陸自に感謝の手紙を書くよう求める書簡を送っていたことが、15日分かった。現地での評価を日本国内にアピールする狙いがあったとみられる。
 共同通信が入手した書簡はアラビア語で記され、小泉純一郎首相が陸自派遣部隊の撤収を発表する2日前の6月18日付。小瀬幹雄・第5次復興業務支援隊長が署名し、州評議会のドワイニ議長に送られた。
 書簡は、陸自支援の成果を「派遣部隊員の奮闘の結果」と指摘した上で「陸自隊員を含む日本国民に、あなたの手紙を伝えたい」「あなたの手紙をいただきたい」などと要請。


 これが事実だとすると、ちょいとゲンナリするなぁ。ただ、共同が伝えているということで、記事通りの内容なのかどうかは疑問。
 明日肩こりが治っていてなおかつ時間があったら調べるかもしれない。どこかで検証しているサイトがあったら教えて欲しい。



北朝鮮決議 (7/16)

 土曜の夜はPCの電源を入れず、日曜は昼前から出かけていて(FC岐阜の応援です)、帰宅してようやく北朝鮮への非難決議のことを知った。

安保理で採択された北朝鮮決議の全文(産経)
 国連安全保障理事会が15日採択した北朝鮮決議1695の全文は次の通り。
【前文】
 一、1993年5月11日の安保理決議825、2004年4月28日の決議1540を再確認。
 一、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定を維持することの重要性を認識する。
 一、安保理は核・化学・生物兵器や(ミサイルなどの)運搬手段の拡散が国際平和と安全への脅威となることを再確認。
 一、核・化学・生物弾頭の運搬手段として使用され得る弾道ミサイルを北朝鮮が発射したことに、重大な懸念を表明。
 一、北朝鮮のミサイル発射凍結継続の公約違反に深い憂慮を表明。
 一、北朝鮮が(発射にあたり)適切な事前通告を怠り、民間の航空や海運を危険にさらしたことにも加えて懸念を表明。
 一、北朝鮮が近い将来にさらに弾道ミサイルを発射する兆候があることに、重大な懸念を表明。
 一、安保理は、この状況の平和的かつ外交的解決策を希求し、安保理理事国と国連加盟国が対話を通じて平和的かつ包括的な解決に向けた努力を歓迎する。
 一、北朝鮮が1998年8月31日、周辺各国への事前通告なくミサイル推進による物体を発射、日本近海に落下させたことを想起。
 一、北朝鮮が、核拡散防止条約(NPT)や国際原子力機関(IAEA)の保障措置があるにもかかわらず、NPTからの脱退を表明し核兵器追求を宣言したことに遺憾の意。
 一、中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国による2005年9月19日の6カ国協議共同声明の重要性を強調。
 一、特に北朝鮮の核兵器開発宣言に照らして、ミサイル発射が地域の平和と安定、安全を危うくすることを確認する。

【本文】
 一、国際平和と安全の維持に対する安保理の特別の責任の下で行動する。
 一、現地時間の06年7月5日の北朝鮮による複数回の弾道ミサイル発射を非難。
 一、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を凍結し、ミサイル発射を凍結するという既存の確約の再公約を要求。
 一、加盟各国の法律と国際法に従い、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発に、ミサイルやミサイル関連の品目、物資、商品、技術が移転されることを阻止するために必要な措置を、加盟国に要求する。
 一、加盟各国の法律と国際法に従い、北朝鮮からのミサイルやミサイルに関連する品目、物資、商品、技術の調達を禁じ、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発に関連したいかなる金融資産の移転も阻止するために必要な措置を、加盟国に要求する。
 一、北朝鮮に対し、自制を示すことと緊張を激化させる行動を控えることの必要があることと、政治的、外交的努力で不拡散問題に取り組み続ける必要性を強調する。
 一、北朝鮮に対し、前提条件なく6カ国協議に即時復帰し、05年9月19日の6カ国協議共同声明の迅速な履行に向けて行動することを強く要求。特に、すべての核兵器と進行中の核開発計画を放棄し、早期にNPTへの復帰とIAEAの査察を受け入れることを強く要求する。
 一、安保理は6カ国協議を支持し、早期再開を求め、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定と、検証できる形での朝鮮半島の非核化を平和的手段で達成する目的を持った、05年9月19日の6カ国協議共同声明の完全な履行に向け、協議参加国が努力を強めることを求める。
 一、この問題に引き続き取り組むことを決定する。
(共同)

北朝鮮大使、決議を全面拒否 「発射は国家の権利」(産経)
 【ニューヨーク15日共同】北朝鮮の朴吉淵国連大使は15日の国連安全保障理事会で、安保理が全会一致で採択した北朝鮮決議を「全面的に拒否する」と表明、自衛のための抑止力を増強するため、今後もミサイル発射を継続する意向を宣言した。
 また「一部の国」が北朝鮮を孤立化させるため安保理を利用していると日本や米国を非難。日本については「拉致問題」を国際化させていると批判、米国は昨年9月の6カ国協議共同声明採択から間もなく、金融制裁を科したと反発した。
 大使は5日(日本時間)のミサイル発射は通常の「軍事演習」の一環で「主権国家の合法的な権利」の行使と正当化し、いかなる国際法にも違反しないとの立場を強調。共同して北朝鮮のミサイルを迎撃すると威嚇している米国や日本に発射を事前通報するのは「ばかげている」と述べた。
 さらに日朝平壌宣言などで確認したミサイル発射凍結公約は既に無効化したと指摘。ミサイル発射について他国が取り上げたり圧力をかけるなら、北朝鮮としては「別の形でより強い物理的行動を取る以外に選択はない」と警告した。


対北朝鮮「次の措置」検討へ、米政府(朝日)
 米政府は、国連安保理が15日、対北朝鮮決議を全会一致で採択したことで、国際社会の懸念を示す「極めて明確なシグナル」(ボルトン国連大使)を北朝鮮に送ることができたと歓迎している。同時に、北朝鮮が決議は受け入れがたいとの立場を即座に表明したため、「次の措置」を関係国と検討していく方針だ。(時事)

<米国連大使>北朝鮮の拒否は「世界記録」とジョーク(毎日)
 【ニューヨーク坂東賢治】ボルトン米国連大使は15日、北朝鮮の朴吉淵(パクキルヨン)国連大使が非難決議受け入れ拒否を表明した直後、特に発言を求め、「今日は歴史的な日だ。安保理が全会一致で決議を採択したのに加え、北朝鮮が決議採択後45分で拒否するという世界記録を打ちたてた」と述べ、緊張した議場内が笑いに包まれた。
 朴大使は北朝鮮の独特の言い回しで、ミサイル発射を通常の軍事演習であり、主権国家の正当な権利と正当化し、決議採択については「安保理を悪用」し、北朝鮮を「孤立化させようとする数カ国の企て」と批判した。
 北朝鮮にミサイルや核計画廃棄を求める国際社会の一致したメッセージを送り、6カ国協議への復帰を求めることを狙った決議が実現した直後だけに、議場の参加者の多くは独自の論理の展開にうんざりした表情。大島賢三国連大使も協議後、「聞いていて悲しくなった」ともらした。


 もちろん制裁決議が得られれば良かったのだが、中露が常任理事国である限りそれはほぼ不可能。あくまで制裁決議を提出し、中ロに拒否権を発動させて「テロ国家のお仲間」というレッテルを貼り、中国に六カ国協議の議長国として責任をかぶってもらうという手もあったと思われ、「やっぱり譲歩しちゃったか」という思いは確かにある。
 しかし、一対一ではない多くの国の思惑が交錯する国連の場で、ともかく中国を議長声明案から譲歩させることに成功したのは確かで、その点に関しては日本としてはよくやったと言うべきだろう。
 日本の意志を表明するには、あくまで拘束力を明記した制裁決議がよかったのだろうが、どうせ拒否権発動で無に帰すくらいなら、今回の内容で中露を日米の対北朝鮮政策に少しでも引き込めるなら、まぁ有りかな、と。今回の流れの中で、中国が北朝鮮の動きに関してより責任を持って動かねばならなくなったのは確かだし。

 北京五輪も近いことだし、中国にはもっともっと強気で行ってもいいんじゃないか。

 また、北朝鮮は「世界記録(byボルトン)」で決議案を拒否してくれたので、今後また制裁決議を云々する余地は残された。アメリカも次の手を検討すると述べている。全会一致で採択できたことで、更に北朝鮮のお馬鹿ぶりをアピールできたのは、一応成果か。


 国連での決議が日本外交の勝利だろうと敗北だろうと、それをどう生かしていくかは今後の日本政府の行動にかかってくる。日本が本気だと言うことを世界に示さねば、日本が国際世論の中でイニシアチブをとり続けるのは難しい。
 制裁の網の目を潰す努力を早急に行ってさらに強力な制裁に踏み切るべきだし、北朝鮮に絡んだ金の動きを徹底解明して取り締まらねばならない。制裁により効力を持たせるため、特措法でも憲法改正でもとにかく軍事力行使にフリーハンドを与えねばならない。実際に行使するかどうかは別としても。拉致被害者の具体的な救出法についても議論せねばならないだろう(極秘裏に行っているのなら良いのだが)。
 ミサイルを受けて初めて動き出すというのも癪だが、何もしないよりはマシ。ミサイルを奇貨として、為すべき手をどんどん打って欲しい。

 国連で非難決議が通ったからオッケーてなモンではないし、国連は世界平和のために動く組織ではない。今回の一件は、日本人の一部が抱く国連幻想をぶち壊してくれるのではないかと期待している(お花畑左翼は除く)。
 最終的に拉致問題を解決できるか否かは、日本の行動にかかっている。



朝日頑張ってます (7/13)(7/16追記)

 月曜日はレインボー小坂、火曜日は吉田康彦、と強力なラインナップでお客様のニーズにお応えしたテレ朝のお昼の番組。親分の朝日新聞も、昨日今日と頑張っている。

 昨日の朝日新聞では、パール博士の発言を検証する記事が載っていた。本人の発言を殆ど引用せずに検証しているところは笑えるが。いわゆる「日本無罪論」を否定し、パール博士を「神格化」し日本の戦争を「正当化」する意見を批判する論調だった。「日米同罪」なんて言葉もあったな。
 さておき、パール氏を誰が神格化しているのか。そんな人は見たことないのだが。

 朝日の意図はおそらく、パールは親日ではなく、また日本を擁護しようとはしていない、と主張することだろう。しかし、パール博士が「偏り」を持っていないということは、つまり氏は「客観的」「冷静」に日本が無罪であることを論証したという結論に繋がるのだが、朝日は分かってるんだろうか。

 許せないのは、パール判事を日本批判に利用するのみならず、パール博士の影響力を過小に見せたいためか、「地元では無名」という面をわざわざ明記し氏を貶めようとしていること。

 で、今日の朝日は、昭和天皇の戦争責任を特集。
 日本国憲法がGHQによって1週間で作られ押しつけられたことを述べていた部分は、朝日なのにそれを書くのかと少し見直したが、それ以外は戦争責任の追及が為されないことを批判し、今からでも責任を問うべきだという論調のオンパレード。てか、記事の多くの部分を「昭和天皇に戦争責任を質問した記者」に割いており、結局はジャーナリズム賛美かよ、と。

 この「歴史と向き合う」って特集。まず歴史に向き合わなきゃイカンのは朝日の方じゃないかね。北朝鮮賛美とか珊瑚とか伊藤律とかVAWW-NETとか。


 おまけ。
 重村さんの本をご紹介。

(以下追記…というか書き忘れ)
 拉致被害者5人を北に返す約束をしていた、とか田中均の売国外交は以前から言われていたことなんだが、去年10月の月刊現代に載った田中均の言い訳記事を真に受けて「小泉外交マンセー」とやっていた人には、非情に意味のある本じゃないかなと思う。



地元クラブを応援しよう (7/12)

 W杯での日本敗退時に、地元のクラブを応援しますと宣言したので、PRしときます。東海社会人一部リーグで首位を走る、FC岐阜について。

「長良川に応援に来て」 FC岐阜選手が招待状配りPR(中日)
 【岐阜県】サッカーのFC岐阜の選手たちが、16日に岐阜市のメモリアルセンター長良川競技場で行われる東海社会人一部リーグの試合を、大勢の地元の人たちに応援してもらおうと4日、JR岐阜駅前で市民に手づくりの招待状を配ってPRした。
 おそろいの白のポロシャツ姿で来場を呼びかけたのは、森山泰行、伊藤哲也、平岡直起、片桐淳至の4選手。選手がそれぞれ直筆で「長良川で逢(あ)いましょう!」「試合を見に来てください」などどメッセージを書き添えたポストカードサイズの招待状を、「FC岐阜です。よろしく願いします」と言葉を掛けながら手渡した。
 16日の試合は午後3時キックオフで、対戦相手は矢崎バレンテ。アウエーで戦った1回戦は1−0で勝利。2日の全国社会人選手権東海地域大会では全国大会出場をかけて戦い、2−1で勝った。2戦2勝だが、競り合う展開が続き、油断できない相手でもある。
 6月4日に同じメモリアルセンター長良川競技場で試合をしたときは、7000人を超えるファンが応援に駆けつけた。FC岐阜では「「夏祭り」と題してファンに足を運んでもらえるよう展開している。2万人の来場を目標にしている」と力を込めた。
 招待状はお楽しみ抽選券も兼ねていて、住所と名前を記して長良川競技場に設置した応募箱に投函すれば、抽選でFC岐阜の選手のサインボールやTシャツなどが当たることになっている。試合は入場無料で、招待状がなくても観戦できる。

 入場は無料ですんで、お暇な方は見に行きましょう。私も参ります。


法解釈より法改正 (7/12)

 今週の「ワイドスクランブル」(テレ朝)は凄い。月曜にはレインボーブリッヂの小坂、そして火曜日は、北朝鮮擁護の第一人者、面の皮の厚さでは世界でもトップクラスの吉田康彦が登場。一緒に出てた葉千栄や川村さんがすんごくマトモに見えるほどの電波。黒田福美の「日本の反応はヒステリックで怖い」という発言ともども、強力な電波浴を提供してくれた。

 さて、その黒田に「ヒステリック」と言われてしまった、この議論。

<北朝鮮ミサイル>自衛隊の「敵地攻撃能力」…議論が再燃(毎日)
 北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、敵国のミサイル基地を攻撃する能力を自衛隊に保有させる議論が政府・与党内で再燃してきた。ミサイル防衛(MD)システムの配備が進んでいない現段階で弾頭を載せたミサイルを撃たれた場合、防御手段がないためだ。しかし、長距離ミサイルなど敵地攻撃を目的とした武器の保有を日本が避けてきたのは「専守防衛」の国是から。この見直しには国内や近隣諸国の強い反発が予想され、ハードルは極めて高いといえる。
 きっかけは「国民を守るために限定的な(敵地攻撃)能力を持つのは当然」と提起した9日の額賀福志郎防衛庁長官の発言。10日には「国民と国家を守るために何をすべきかという観点から常に検討、研究は必要」(安倍晋三官房長官)、「積極的に取り組む必要がある」(武部勤自民党幹事長)と同調する声が政府・与党内から相次いだ。
 政府は従来、自衛のためやむを得ない場合に限定し敵地攻撃は可能との憲法解釈をとる一方、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と長距離戦略爆撃機、攻撃型空母については「他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃型兵器」として保有を違憲としてきた。戦闘機の飛距離を伸ばす空中給油機はグレーゾーンにあったが、「防空能力の向上」などを理由に導入に踏み切った。
 北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言した03年には当時の石破茂防衛庁長官が敵地攻撃能力の保有検討に言及し、長距離巡航ミサイル「トマホーク」の導入論が浮上。中期防衛力整備計画を策定した04年には離島防衛などを目的に長射程の精密誘導ミサイル研究を始めようと防衛庁が動いたが、公明党などの強い反発で断念した経緯がある。ハードルの高さを知る防衛庁内は額賀長官の問題提起を歓迎しつつ、まずはMD導入の加速を優先する構えだ。
 そもそも、自衛隊は国土を守る「盾」の役割に徹し、敵国を攻撃する「矛」の役割は米軍が担うのが専守防衛。この見直しは集団的自衛権の行使など日米安保体制の根本的な変更につながりかねない。このため、公明党の神崎武法代表が10日、「そういう(敵地攻撃の)段階になれば全面戦争ということ。慎重に検討すべきだ」と否定的な考えを表明するなど、与党内の足並みもなかなかそろいそうにない。
 小泉純一郎首相も「議論するのは差し支えない」としながらも「日本が実際に攻撃を受けていない段階で先制攻撃的な形でそれをするんだというのは別問題。慎重に検討しなくてはいけない」と語った。【古本陽荘】


 「敵地攻撃能力」は絶対に必要。北朝鮮でも数百発のノドンを持っており、連射してくるミサイルをその都度MDで迎撃するより、ミサイル基地を叩いて発射能力を奪う方が合理的。また、国民の生命と財産を守るのが国の責務であるとすれば、1発目を甘んじて受けねばならない現状は、国としての体を為していないと言わざるを得ない。
 さらに、軍事力の裏打ちがなければ、外交の場でもまともに相手にされない。アメリカに守られているのみの現状で、どの国が、日本を一人前の国と認め、ある種の緊張感をもって付き合うだろうか。
 仮に北朝鮮が崩壊したとしても、防衛体制の強化は急務。怖いのは北朝鮮だけではない。東京に核ミサイルの照準を合わせている中共を忘れてはならないし、中共が消えてもいつ第二の北朝鮮、中共が現れるかは、分からない。
 

 こういう意見を左巻きは「感情的な主張」と斬り捨てるのだが、日本人に被害が出ても仕方ないとする意見の方が、よっぽど残酷で無責任な考え方ではないか。平和憲法に殉じて死にたければ独りで死ぬがいい。日本全体を巻き添えにするな。

 しかし。
 敵地攻撃能力を持つことについては賛成なのだが、今おこなわれている議論に賛成というわけではない。
 別に「軍歌の音」が怖いわけではない。しかし、現行憲法の問題点を脇に置いたまま、、法解釈のみで現状を乗り切ろうという感覚が、どうしてもいい加減で姑息なものに見えてしまう。
 敵地攻撃が可能であるとの法解釈が可能かどうかを考えるのではなく、憲法を改正して明確な根拠を以て敵地攻撃を可能にするのが、筋ではないか。憲法改正には時間が掛かるというのであれば、とりあえずしばらくは特措法で防衛体制を規定し、早急に憲法改正を行うよう努力する、とすべきではないか。
 法解釈で敵のミサイル基地を攻撃することは可能かもしれない。しかし、戦力不保持を前提とする現行憲法の下で、法解釈の間に合わせのみで防衛力強化を進めれば、必ず歪みが生まれる。
 実際、自衛隊のイラク派遣の時に既に歪みは生じていた。事実上の戦地に赴くのに、テロリストに対して攻撃する術を、自衛隊は中途半端にしか持たされなかった。声かけて威嚇してそれでもダメなら撃ってもいい…って、そんなアホな規定が話題になった。後に不審車両には危害射撃が可能になったと記憶しているが、だいたいそんな議論が出ること自体がおかしな話。



 韓国は「やはり」の反応。韓国の代弁をしっかりやってくれる共同の記事を引用。

日本の先制攻撃論を批判 侵略主義的傾向と韓国(共同)
 【ソウル11日共同】韓国青瓦台(大統領官邸)の鄭泰浩報道官は11日、北朝鮮のミサイル発射を受け日本の閣僚らから先制攻撃論が出ていることに関連し「日本の侵略主義的傾向を示したもので深く警戒するしかない」と厳しく批判した。
 李炳浣大統領秘書室長を中心に開かれた会議のブリーフィングの中で語った。会議の終わりごろには盧武鉉大統領も出席、日本の閣僚らの発言に強く対応していくとの方針について報告を受けたという。
 日韓は小泉純一郎首相の靖国神社参拝や竹島(韓国名・独島)問題などで対立が続いているが、ミサイル発射への対応でも立場の差が鮮明になり、北朝鮮問題をめぐる協力関係が崩れ対立が次第に顕著になっている。


 侵略能力が日本ほど低い先進国も珍しいんだけどな。これこそ「大騒ぎ」じゃないのかね。てか、このご時世で朝鮮半島を「侵略」したって、何の得にもならん。安心してくれ。

追記:「大騒ぎ」の部分、元々は「バカ騒ぎ」としていたが、修正。日本を「大騒ぎ」と非難した韓国を揶揄する意味で「バカ騒ぎ」という用語をしたのだが、韓国政府が発表したのが「大騒ぎ」か「馬鹿騒ぎ」かという問題提起をしているサイトがあるのを知り、またそのサイトの信憑性が確認できないのに弊サイトが「大騒ぎは誤訳」という見解を持っていると解釈されるのを避けるため、「大騒ぎ」に修正した



北朝鮮より自分の身を案じたら? (7/11)

 昨日、テレ朝の「ワイドスクランブル」見てたら、レインボーブリッヂの小坂が出ており、思わず「なんで?」と声を出してしまった。お前、こんなところに顔出してる場合か?増元さんもこんな奴の隣には座りたくなかろうに。

水谷建設、北朝鮮ビジネスも投資…NGOなど捜索(読売)
 中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)の脱税事件で、東京地検特捜部は9日、東京国税局と合同で、同社から資金援助を受けていた北朝鮮の人道支援活動を行う民間活動団体(NGO)や、過去に同社からリベートを受けたと国税当局から指摘された出版社などを捜索した。
 また、10日午前から準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京都千代田区)の捜索も始めた。
 水谷建設は、北朝鮮ビジネスへの先行投資や受注した福島県内の原発関連工事を巡って多額の資金を拠出しており、特捜部などは、不正な経理処理で捻出(ねんしゅつ)された資金が含まれていないかどうか調べている。
 東京都中央区にあるNGO「レインボーブリッヂ」本部には9日、東京地検の係官ら約10人が捜索に入ったほか、小坂浩彰事務局長の都内の自宅の捜索も行われた。同団体は北朝鮮に食料や衣料品を送るなどの支援活動を行っており、2002年11月には小坂事務局長が、拉致被害者の横田めぐみさんの娘と確認されたキム・ヘギョン(ウンギョン)さんと平壌のホテルで面会するなどした。


 小坂については、「ぼやきくっくり」7月10日付にてくっくりさんが詳しく書いておられるので、丸投げ。
 「(国連での日本の動きについて)日本は孤立してますよ」とか「めぐみさんが本当に義州の病院に行ったのなら(帰ってこられないようなところだから)死んでいる可能性が高い」とか、相も変わらず北の工作員ぶりを発揮。
 水谷建設の裏金の行方が解明され、そこに群がる様々な人物と北朝鮮との繋がりが明らかになってくれば、当然小坂も無傷ではいられまい。北朝鮮を擁護している場合じゃないだろうに。

 しかし、テレ朝の意図はいったい何なのか。小坂を「北朝鮮の事情通」と考えているのか、「イタい奴代表」として呼んだのか、或いは逮捕直前の時の人として視聴率を狙ったのか。


 制裁決議案は、先送りされた模様。

中国外交のメンツ懸け説得=国際社会と連携で覚悟−北朝鮮ミサイル問題(時事)
 【北京11日時事】北朝鮮のミサイル発射問題で国連安保理が、武大偉中国外務次官による訪朝の推移を見極めるため、中国の働き掛けに応じる形で制裁決議案採決の延期を決めた。これを受けて中国政府は、説得が不調に終われば北朝鮮への影響力低下が国際社会に露呈し、6カ国協議の枠組み維持に影響すると見ているのは確実だ。拒否権発動という国際社会を裏切る選択肢を選びにくいという覚悟を決めた形にもなり、中国外交のメンツを懸けた説得工作が本格化する。

 中国が仮に説得に成功すれば、北朝鮮内部の強硬派と改革派の対立はより強まり、金正日政権はさらにガタつくだろうし、説得に失敗すれば制裁決議をいよいよ通しやすくなる。それでも中国が制裁に反対するなら、北朝鮮もろとも中国を追い込むという選択肢も生まれる。……それだけの外交ができるかなと未だに信用しきれない部分もあるのだが。

 中国の動きに注目が集まっているが、ロシアはどうなんだろ。棄権するだろうと言われているが、拒否権発動はあり得ないのだろうか。大っぴらに意見を述べていないことが却って不気味なんだが。



どうなる制裁決議案 (7/10)

弾道ミサイル実験は失敗=インド(時事)
 【ニューデリー9日時事】インドは9日、核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル「アグニ3」(射程3500キロ)の初の発射実験を行った。PTI通信によれば、当局は当初、発射は成功したとしたが、その後上空でミサイル下部の切り離しができず、目標落下地点には到達しなかった。
 関係筋は同通信に対し、切り離しできなかった原因について「設計上の失敗」と述べ、実験が事実上失敗したことを認めた。同ミサイルの射程は隣国パキスタンだけでなく中国の主要都市を射程内に収めるため、成功すれば同国を刺激する可能性もある。


 なんでこのタイミングに……インドは非難されないのに何で北朝鮮だけ非難されるんだ、ってな話になったらどうするんだ。というか、それが狙いかな。サミット開催などもあって表立って北朝鮮擁護ができないロシアが、裏で手を引いてるとか。

 こっちは中国が裏工作した成果だったりして。ま、盧武鉉なら自分の意思で言いそうな言葉でもあるが。

日本の対応を批判=北ミサイル、どの国も標的とせず−韓国大統領府(時事)
 【ソウル9日時事】韓国青瓦台(大統領府)は9日、北朝鮮のミサイル発射に関する声明を発表、「日本のように夜明けから大騒ぎをしなければならない理由はない」と、強硬姿勢を示す日本の対応を批判した。さらに、「テポドン発射の可能性は事前に広く分かっていた事実だ」として、安全保障上の問題として扱うことに否定的な見方を示した。
 盧武鉉政権はミサイル発射で日本に比べ、対応が遅れたため、野党や地元有力紙から批判を受けていた。今回の声明は、そうした批判に反論する形で、北朝鮮に対する融和政策を正当化している。今後、北朝鮮をめぐる日本や米国との連携に影響を与える可能性もある。
 声明は、ミサイル発射について「わが国の安全保障上の危機だったのか。どの国も非常事態を発令しなかった。どこの誰を狙ったものでもなかったからだ」として、韓国や周辺国にとって危険性は極めて低いとの見方を示した。


 日本国内にも、アホな発言をする方は何人もいる。そのうちの一人を紹介。

鳩山幹事長 北朝鮮問題で首相のアジア軽視の外交姿勢批判(毎日)
 民主党の鳩山由紀夫幹事長は8日、東京都内で行われた党の会合で講演し、日米両国などが国連安保理に提出した北朝鮮への制裁決議案に中国とロシアが慎重姿勢を示していることについて「(日本は)近隣諸国に認められた国として活動してきたか。小泉外交が破たんした結果だ」と、小泉純一郎首相のアジア軽視の外交姿勢を批判した。
 また、「郵政造反組」の無所属議員との関係修復を目指す自民党内の動きを「小泉さんが終われば自民党はまた元に戻るから(党に)戻っておいでよ、とささやきが聞こえるようだ。冗談じゃない。なぜあの(昨年9月の)総選挙が行われたのか」とけん制した。


 中共に媚びていたら日本の言うことを聞いてくれる、なんて保証は全く無いんだけど。てか、中共さまに認めてもらう必要があるのか?未だに東亜細亜は冊封体制の真っ只中ですか。


 日本時間の今夜にも、国連での決議の行方が決まるようだ。麻生外相も強気の姿勢を崩していないし、大島国連大使も頑張っているみたいだねぇ…ってことで、8日の朝日の記事。

北朝鮮制裁案 官邸強気、中ロ牽制、欠席・棄権狙う(朝日)
 北朝鮮のミサイル発射問題で、中ロが反対する制裁決議案提出を日本が主導したのは、首相官邸の強い意向からだ。「北朝鮮の仲間だから、反対するのか」(政府高官)とあぶり出す戦術は、郵政民営化法案の反対組を「抵抗勢力」とみなした手法に似る。国連安保理の採決で中ロが拒否権を行使しないよう牽制(けんせい)し、欠席か棄権に追い込みたい考えだ。
 「普段のバランス感覚と気配りにあふれた日本の代表団とは、とても思えない行動だ」
 国連本部の廊下やラウンジでは、しゃにむに決議採択へ突き進む日本の姿に驚きの声が繰り返し交わされた。日本の国連外交筋は「こちらの事情がどうあれ、今回は官邸の判断だ」と明かした。
 ミサイル発射翌日の6日。小泉首相は記者団に言った。「中国だって、ロシアだって、北朝鮮がどんどんミサイルを発射してもいいですよ、とは言えないでしょう」
 安倍官房長官の強硬姿勢も際立つ。7日の会合で「間違っても北朝鮮の挑戦的な行為に、何かシンパシー(共感)をもっているという誤解を受けることがあってはならない」と言い切った。
 98年に北朝鮮がテポドン1を発射しても、安保理は報道向け声明を出しただけ。北朝鮮はミサイルや核の開発を続けた。麻生外相は8日、大阪市での講演で語った。「相手は増長した。過去から学ばずに何を学ぶのか」
 小泉政権の強硬姿勢は国内世論にらみの面もある。9月の自民党総裁選を控え、自民党内からは「この局面では北朝鮮や中国に毅然(きぜん)とした態度を示すことが大事」(中堅議員)という声がある。
 もちろん、それなりの勝算もあるようだ。北朝鮮に気をつかう中ロ両国だが、国際社会の警告を無視した国を擁護し続けるのは難しいはず――。そんな計算だ。
 中国は北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の議長国。ロシアは自国で初開催の主要国首脳会議(G8サミット)を1週間後に控える。「中国も何とかしなければ、と思い議長声明案を出してきた。ロシアはG8諸国の中での突出を避けるはずだ」と政府高官は読む。
 ロシアを説得できれば中国は単独で拒否権を行使しない、という見方も政府内にある。麻生外相は7日夜、ロシアのラブロフ外相に電話で「ミサイルはナホトカ沖合に着弾している。安全保障上の重大な問題だ」と呼びかけた。G8メンバーの独、伊両国の外相に協力を求めたのも、ロシア揺さぶりが狙いだ。
 とはいえ、中ロがそろって賛成に転じるとは考えにくい。どちらかが拒否権を使えば、決議案は廃案だ。そこで政府が狙うのは、両国に欠席か棄権してもらい、決議案を通すこと。麻生外相は8日の講演で「いろんな国に『欠席してくれ』と(言っている)」と明かし、戦術を認めた。


 「国連の中で初めて日本外交が機能している」とか「日本外交の勝利」なんて意見もテレビやネットでよく見かける。仮に中国が拒否権を発動したとしても、北朝鮮を擁護したことで国際的孤立は避けられない状況になる、と。
 私としても、日本が外交で毅然とした態度を示しているのを見るのは嬉しいし、国連で成果を上げられるよう望んでいる。
 ただ、中国が国際的孤立を恐れて意見表明を渋るような国とは言い切れない。糠喜びの場合の精神的ダメージは相当なものなので、あまり期待せずに見ておきます。本当に成功したら、喜び倍増ってことで。
 まぁ、中国が拒否権発動したら、六カ国協議の議長国として責任をすべてかぶってもらえばいいのだが、やはり国連での制裁決議が成立した方が日本にはプラスだからなぁ。

 でも、国連で制裁決議が出たとしても、それで万事解決ってわけじゃない。経済制裁の「ザル」の部分をなくす努力や、制裁の後をどうするか考えておくことが国会議員には求められる。左巻きが「これをきっかけに軍事力強化に流れることを恐れる」なんて言ってるが、その恐れを現実のものにしないといけないし。
 ようやくの制裁発動や国連での動きは、確かに今までの日本を考えれば大きな成長だろうけど、拉致問題の全面解決というゴールにはまだまだ遠い。



確かに運はいいかもしれんが (7/8)

小泉首相「運が良かった」=プレスリー邸訪問中でなく−北朝鮮ミサイル発射(時事)
 小泉純一郎首相は6日夜、首相公邸で自民党の武部勤幹事長ら幹部と会食した。出席者によると、首相は北朝鮮のミサイル発射に関し、「プレスリーの所にいる時に撃たれていたら格好が悪かった。帰ってきてから撃ってくれて、運が良かった」と語った。首相は先の訪米の際、ブッシュ大統領とともにテネシー州メンフィスのエルビス・プレスリーの邸宅を訪れ、プレスリーの物まねなどに興じた。

 緊張感のない男だ。
 「国民を安心させるためにお気楽を装っている」とか「安倍さんが際立つように一歩身を退いてやってるんだ」とかいう意見が出てくるのかね。「お見事!小泉さんと安倍さんの連係プレイ」とかドイツのおばちゃんが言いそうだな。



拉致も理由 (7/7)

北への制裁発動、拉致問題も理由=安倍官房長官(時事)
 安倍晋三官房長官は6日午後の記者会見で、ミサイルを発射した北朝鮮への制裁措置に関し「ミサイル発射が契機だが、拉致問題について誠意ある対応をとってこなかった。それらを総合的に勘案して今回の制裁になった」と述べ、拉致問題も考慮したことを明らかにした。

 この発言、あまりマスコミでは取り上げられていないような。安倍さんも、しつこく何回も「拉致による制裁の意味合いもある」と言ってくれ。ミサイル撃たれてやっと制裁、という印象を少しでも薄める努力をして欲しい。


ザル法というならザルのない法を作れ (7/7)

北朝鮮経済制裁:国際的連携を優先し改正外為法適用見送り
 政府は5日、北朝鮮への経済制裁で、改正外為法に基づく措置については今後の動向を見極めながら追加措置として検討するにとどめた。同法を適用すれば、北朝鮮への送金停止、資産凍結、貿易の停止などの措置が可能になるが、第三国を経由した送金や貿易による抜け道があり、日本単独での制裁は実効性が未知数。このため、まずは国連安全保障理事会での非難決議の採択などを求め、国際的な連携を優先させる考えだ。
 04年2月施行の改正外為法は制裁発動の要件を「わが国の平和と安全の維持のために特に必要がある時」と規定。国連決議がなくても、日本独自の政治判断で制裁に踏み切ることができることになっている。
 安倍晋三官房長官は5日の記者会見で、送金停止なども検討課題とする一方で、「北朝鮮がどう対応していくか。今後、安保理でどのような議論がなされるか。米国などと緊密に連携して理事国に働きかけていく」と述べ、当面は事態の推移を見守る考えを示した。

 「抜け道があること」など、法律ができたときから分かっていたこと。ザル法であるならば、抜け道を無くす或いはザルの目を細かくするというのが、国会議員の仕事だろうに。中国や韓国が日本に協力してくれるのを前提とすることが、ただの夢想であることは疾うに分かっていたはず。中韓を日本ペースに引きずり込むだけの外交力があるなら話は別だが。
 「抜け道だらけなのでやりません」って、国会議員が己の職責を果たせていないことを示しているだけじゃないか。

 経済制裁の裏打ちになる軍事力に関しても、この4年で目立った進展は無し。憲法改正については、国民投票法すら決まらない状況。サボっていたツケが、制裁せざるを得ない今になって降りかかってきたと言えないか。


 そういえば、小泉首相が未だに「対話と圧力」って言ってるのについて。
 彼自身がどういう考えのもとで言ってるかは知らんが、「対話」を完全に放棄するのは軍事力を以て北朝鮮をぶっ潰せる力と覚悟を持った国の首相だけ。「対話の窓口は開いてるよ」と言っておくのは当然のことで、それ自体を批判するのはちょいとおかしい。
 ま、言葉は別として、行動としてはガンガン圧力かけてほしいとは思うがね。今までの小泉総理の行動を思うと、なおさら。「圧力の後に向こうが求めてくる対話」は必要であるが、「こちらから譲歩する対話」は不要。小泉首相が後者を念頭に置いているのであれば、当然批判の対象。


 ついでと言っちゃなんだが、北朝鮮の言い分も見てみる。

ミサイルめぐる北朝鮮外務省報道官発言全文(YONHAP NEWS)
 【ソウル6日聯合】北朝鮮は6日、外務省報道官の発言として、ミサイルを発射した事実を公式に認めた。発言は朝鮮中央通信記者の質問に答える形で行われ、「自衛的国防力強化のための軍事訓練の一環」と主張した。
 以下は北朝鮮が発表した外務省報道官発言の全文。

「朝鮮民主主義人民共和国外務省報道官は、われわれがミサイルを発射したことと関連し6日、朝鮮中央通信記者の質問に次のように回答した。
 わが軍隊がミサイルを発射したことと関連し、現在米国とそれに追従する日本のような一部の国が、違反だ、挑発だ、制裁だ、国連安全保障理事会に付託だ、などと言いながら、なにか大きなことでも起きたかのように奔走している。
 今回行われた成功的なミサイル発射は、自衛的国防力強化のため、わが軍隊が正常的に行った軍事訓練の一環だ。
 主権国家としてのわれわれのこうした合法的権利は、どのような国際法や日朝平壌宣言、6カ国協議共同声明のような二国間あるいは多国間合意に拘束されない。
 われわれはミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に加入した加盟国でもなく、したがってこの制度によるどのような拘束も受けることはない。
 1999年にわれわれが米国と合意した長距離ミサイル試験発射の一時凍結(モラトリアム)について述べるなら、それは米朝間で対話が進行する期間に限ったものだ。
 しかしブッシュ政権は、先の政権がわれわれと交わしたすべての合意を無効化し、米朝間の対話を全面的に遮断した。
 すでにわれわれは2005年3月にミサイル発射一時凍結合意がどのような効力もないことを明らかにした。
 2002年にわれわれが日朝平壌宣言で日本と合意した長距離ミサイルの試験発射凍結も同様だ。
 われわれは日朝平壌宣言で、『宣言の精神に基づきミサイル発射の保留を2003年以降さらに延長する意向』を示した。
 これは日朝間の国交が正常化され、われわれに対する日本の過去清算が行われることを前提としたものだ。
 しかし日本当局は、われわれが拉致問題を完全に解決してやったにもかかわらず、自らの義務はなにひとつ履行しなかっただけでなく、むしろ米国の対北朝鮮敵対視政策に積極的に便乗し、拉致問題を国際化するなどわれわれの善意を悪用し、日朝関係全般を原点に戻した。
 こうした中でわれわれがこれまでミサイル発射を留保してきたことは大変な度量の表示だ。
 2005年9月19日の6カ国協議共同声明は、朝鮮半島の非核化実現のため各国がすべき義務を規定している。
 しかし米国は共同声明が採択されすぐにわれわれに対する金融制裁を実施し、これを通じた圧迫をさまざまな面から加えており、われわれを標的とした大規模な軍事演習のような脅威で共同声明の履行過程を全面的に妨げている。
 こうした中でわれわれだけが一方的にミサイル発射を保留する必要がないというのは、だれにとっても明白だ。
 事態がこうなったにもかかわらず、わが軍隊が自衛のため正常的に行うミサイル発射が、地域情勢を緊張させ、対話進展を妨げているという主張は完全に現実から目をそらした無理強いの論理だ。
 力の均衡が破壊されるとき、不安定と危機が造成され、戦争まで起きるということは歴史の教訓であり、今日のイラク情勢が見せる国際関係の冷酷な現実だ。
 万一われわれに強大な自衛的抑止力がなかったなら、米国は、悪の枢軸、核先制攻撃対象に指定したわれわれを何回も攻撃しただけでなく、朝鮮半島と地域の平和が完全に破壊されていたはずだ。
 結局われわれのミサイル開発と試験、生産と配備は、北東アジア地域の力のバランスを保障し、平和と安定を保障する主な要因となっている。
 われわれがミサイル発射について事前に通報しなかったと、挑発だなんだと言うことも言語道断だ。
 われわれと交戦関係、技術的に戦争状態にある米国が日本と組んで、すでに1か月前からわれわれがミサイルを発射すれば迎撃すると騒いでいる中で、彼らにミサイル発射をあらかじめ通報することは実に愚かなことだ。
 米国と日本はわれわれの周辺で多くのミサイルを発射しながら、一度でもわれわれに通報したことがあるだろうか。
 6カ国協議の共同声明で公約した通り、朝鮮半島の非核化を対話と交渉を通じ平和的に実現しようというわれわれの意志は今も変わりがない。
 しかし、わが軍隊のミサイル発射訓練は、最初から6カ国協議とは無関係だ。
 わが軍隊は今回と同様に今後も自衛的抑止力強化の一環としてミサイル発射訓練を継続していくだろう。
 万一だれかがこれに文句をつけ圧力を加えようとするならば、われわれはやむを得ず他の形態のより強硬な物理的行動さえ取らずにはいられないだろう。


 「すでにわれわれは2005年3月にミサイル発射一時凍結合意がどのような効力もないことを明らかにした。2002年にわれわれが日朝平壌宣言で日本と合意した長距離ミサイルの試験発射凍結も同様だ。われわれは日朝平壌宣言で、『宣言の精神に基づきミサイル発射の保留を2003年以降さらに延長する意向』を示した。 これは日朝間の国交が正常化され、われわれに対する日本の過去清算が行われることを前提としたものだ。」だそうです。北朝鮮の方が勝手にミサイル撃って平壌宣言を反故にしたくせに、勝手なことを言うもんだ。
 ただ、「日朝間の国交が正常化され、我々に対する日本の過去精算が行われることを前提とした」という部分は、少し引っかかる。北朝鮮の我田引水の解釈ならいいのだが……ねぇ。

 一応平壌宣言を引用しておく。

日朝平壌宣言
 小泉純一郎日本国総理大臣と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長は、2002年9月17日、平壌で出会い会談を行った。
 両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。

1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
 双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。

2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
 双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
 双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。
 双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。

3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。

4.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。
 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。
 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。
 朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。

 双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。




「拉致による制裁」に (7/6)

政府の「当面の対応」要旨(共同)
 北朝鮮のミサイル発射を受け政府が発表した「当面の対応」要旨は次の通り。
 【対北朝鮮措置】
 一、北朝鮮側に厳重抗議しミサイルの開発中止、廃棄、輸出停止を求める。
 一、万景峰92の入港を禁止。
 一、北朝鮮当局の職員の入国は原則として認めず、その他の北朝鮮からの入国についても、審査をより厳格に行う。北朝鮮船籍の船舶がわが国に入港する場合、乗員らの上陸は、原則として認めない。
 一、在日の北朝鮮当局の職員による北朝鮮を渡航先とした再入国は原則として認めない。
 一、わが国の国家公務員の渡航を原則として見合わせ、わが国からの北朝鮮への渡航自粛を要請する。
 一、わが国と北朝鮮との航空チャーター便については、わが国への乗り入れを認めない。
 一、北朝鮮の今後の動向を見つつ、さらなる措置を検討する。
 【国際社会における連携】
 一、国連安全保障理事会などでしかるべき対処がなされるよう働き掛けを行う。
 一、6カ国協議関係国間の協議、主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)などあらゆる機会を活用し、調整・情報交換を行う。


 北朝鮮の暴走に対応できるようにするための防衛力強化もぜひ。制裁に踏み切ったのだから、軍事力強化は喫緊の課題。軍事力の裏打ちのない経済制裁では、効果も半減してしまう。

 しかし、どう見ても「ミサイル発射による制裁」だなぁ……拉致では制裁しないけどミサイルでは制裁する、という印象になってしまう。拉致と核は包括的に解決せねばならない、と小泉首相はいつも言っていたのだから、今回の制裁こそ、拉致とミサイルを絡めていただきたいのだが。拉致問題に進展がない限り解除はしない、と明言して欲しい。
 あと、万景峰の入港禁止が半年間って話。解除期限もカードとして使えるんだから、期限を明言しない方が良かったんじゃないかな。



ミサイル (7/5)

 「1発だけなら誤射かもしれない」という意見を封じるために、北朝鮮はわざわざ6発もぶっ放してくれた。しかし、この期に及んで「男の人は、こういう話になるとやけに高揚する。 私は今回のことで、再び軍国日本に戻るんじゃないか、いつか来た道を進むんじゃないかと不安になる」などとヌかす山崎ナントカいう女性作家は何なんだ(テレ朝「スーパーモーニング、発言内容を7/6に修正)。

行うことができる全ての制裁措置を検討していく=北朝鮮ミサイル発射で官房長官(ロイター)
 [東京 5日 ロイター] 安倍官房長官は5日午前に会見し、北朝鮮がミサイルを発射したことについて「極めて憂慮するべきものである」との内閣官房長官声明を発表した。また、北朝鮮に対しては、経済制裁を行うことを念頭においているとし、行うことができる全ての制裁措置を検討していくとの見解を示した。
 官房長官声明では、今回の北朝鮮の行為について「国際法上、問題であると同時に日朝平壌宣言にあるミサイル発射モラトリアムに反する疑いが強い。また6者会合の共同声明とも相容れない」と位置づけ、「厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」と非難した。その上で「北朝鮮が6者会合へ早期かつ無条件に復帰することを強く求める」とした。
 また、声明では日本側の対応に関し「今回の発射に対しては、我が国として厳しい措置をもって臨む。今後、速やかに、我が国として法に則った措置を決定し、改めて発表する」と法的措置の検討を明らかにするとともに、国際社会の平和と安定の観点からも「北朝鮮の発射は厳しく糾弾されるべきもの。国連安全保障理事会においてしかるべき対処がなされるよう働きかけを行う」と表明した。


 で、明確な平壌宣言違反なので、こうなるわな。ま、今までも遵守していたとは言えないけれど。

北朝鮮船舶の入港禁止 発動へ(NHKニュース)
 政府は、北朝鮮がミサイルを相次いで5発発射した事態を受けて、北朝鮮に対する厳しい措置の検討を急いでおり、北朝鮮の船舶が日本に入港するのを禁止する経済制裁を5日中にも発動する方針を固めました。
7月5日 9時34分


北朝鮮弾道ミサイル発射=テポドン2含む5発−政府、安保理付託要求、制裁発動へ(時事)
 安倍晋三官房長官は5日午前、首相官邸で2回にわたり緊急の記者会見を行い、北朝鮮が同日未明から早朝にかけてミサイル5発を発射したことを明らかにした。3発は日本から数百キロメートル離れた日本海に落下した。米国のハドリー大統領補佐官は、1発は長距離弾道ミサイル「テポドン2号」と確認した。安倍長官は声明を発表し、「日朝平壌宣言に反する疑いが強い」と指摘。経済制裁も念頭に「厳しい措置」で臨むとともに、国連安全保障理事会への付託を求める方針を明らかにした。また、北朝鮮には外交ルートを通じて厳重抗議する。
 安倍長官などによると、ミサイルは5日午前3時半ごろ、同4時ごろ、同5時ごろ、同7時15分ごろ、同30分ごろの5回発射された。発射地点は北朝鮮の北東部と南部の2カ所。発射されたのはすべて弾道ミサイルとみられ、最初の3発の着弾地点は「ロシア沿岸から200−300キロ、日本から数100キロ」。わが国の被害に関する情報は今のところない。
 安倍長官は声明で、「わが国を含む関係各国の事前の警告にもかかわらず、発射を強行したことは、わが国の安全保障や国際社会の平和と安定、大量破壊兵器の不拡散の観点から重大な問題」と批判。「北朝鮮に対して厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」とした。
 さらに制裁措置に関しては「今後、速やかに法にのっとった措置を決定し、改めて発表する」とし、「国連安保理においてしかるべき対処がなされるよう働き掛けを行う」と表明した。


 制裁発動はいいのだが、こんな状態で発動したら、それは明らかに「ミサイル発射に対する」制裁ということになる。「拉致に対する制裁は別物である」、或いは「拉致に対する制裁も含まれているからミサイル問題解決でも解除しない」と明言しないようだと、拉致問題解決のための制裁にはならないのでは、と不安がよぎる。


 日本のEEZを荒らしている韓国の海洋調査船に当たれば良かったのに…と考えたのは私だけでしょうか。


オシム (7/5)

 中田が引退で大騒ぎしたり、オシム監督万歳ってな風潮のマスコミさんですが。
 裾野を広げて結果的に頂点を高くしようというのが日本サッカー発展の道筋だろうに、オシムをジェフからシーズン途中に引っこ抜くことには問題ないのだろうか…てな発言は、テレビじゃ聞かれない。
 なんかオシムを礼賛する声が大きいのだけど、確かにオシムは素晴らしい指揮官だとは思うが、4年でW杯決勝へ日本を導けるかといえば、そんな簡単なモンでもなかろう。4年後にオシム叩きの嵐が巻き起こるような気がしてならないのだが。

 うちの親が生きている間に決勝Tへまた行けるかなぁ、わしが生きている間に優勝することがあるかなぁ、てな考えなので、呑気なものです。



同じことの繰り返し (7/4)

金英男さん発言、事実ただす=安倍官房長官(時事)
 安倍晋三官房長官は3日午後の記者会見で、横田めぐみさんの夫だったとされる韓国人拉致被害者金英男さんと家族の再会に関し、「より正確に把握、分析する必要がある。まずは韓国政府に詳細な情報提供を求め、適当な機会に改めて北朝鮮側への申し入れを行いたい」と述べ、英男さんの発言内容を確認した上で、北朝鮮に事実関係をただす考えを示した。

 事実関係を糺す……なんだか、何年も前から同じことを言っている。
 もちろん、嘘を分析することで明らかになる事実もあろうし、北朝鮮が非道であることを示すネタは多い方が良いだろう。ただ、北朝鮮は、事実関係を問い詰めて正直に答える国ではない。もはや、事実関係を糺すなどと相手の出方に受動的に反応している場合ではなく、日本の側から積極的にアクションを起こすべき時期ではないか。

 そういえば安倍さん、先月末にはこんなことを言っていた。

経済制裁は最終圧力=安倍官房長官(時事)
 安倍晋三官房長官は30日午前の記者会見で、拉致被害者家族らが北朝鮮に対する経済制裁の発動を求めていることについて「北朝鮮側が誠意ある対応を示さなければさらなる圧力を検討しないといけないが、経済制裁は最終的な圧力と認識している。そこに至る間で、さまざまな圧力を検討し実施している」と述べ、現時点での制裁発動には慎重な姿勢を示した。

 確かに武力行使という手段を持たない日本にとっては、経済制裁は最終手段かもしれない。しかし、安倍さんはかつて経済制裁の実行を訴えていたはず。ここで消極的になった理由については、ぜひできる範囲で説明してほしいものだ。総裁になって拉致を解決するための権力を得るため…と信じたいけど。

 統一協会とのつながりについては、きっちり精算できたのだろうか。総裁選に通って首相になった後でまたこの問題が再燃したら、燃え広がり方は今の比ではないだろう。火種を抱えたまま首相を目指すより、今の内にしっかり説明して反省すべき部分は反省して出直した方がいいんじゃないか。最近のマスコミの世論調査で、また安倍さんの支持が伸びているのが、ちょいと不気味だったりする。安倍潰しと日本の政治の空白を狙うなら、首相になった後でスキャンダルを出す方が効果的だもんなぁ。考えすぎ?


 韓国みたいにファビョる必要はないけれど、やるべきことを毅然とした態度で粛々と行わねば、北朝鮮のみならず、韓国にも中国にもナメられ続けることになってしまう。

韓国が海洋調査を開始、竹島周辺は11日ごろか(読売)
 【ソウル=福島恭二】韓国政府は3日、竹島(韓国名・独島)周辺を含む海域の海流調査を開始した。
 同国南東部沖から始め、竹島周辺の調査は11日ごろになると見込まれている。同調査に対し、日本政府は自制を求めるとともに、日本の排他的経済水域(EEZ)内で実施された場合、海上保安庁の巡視船を出動させるなどの対応を取るとの姿勢を示しており、日韓間の緊張が再び高まる恐れもある。
 2日夜、韓国南部の釜山港を出港した国立海洋調査院の調査船「海洋2000号」(2500トン級)は3日午前、南東部の蔚山沖で調査を始めた模様だ。17日までの日程で、竹島周辺海域までの海流や水温、塩分などを調べる。
 韓国海洋水産省関係者は3日、予定通り調査を行っていることを明らかにしたが、調査地点などの詳細については言及を避けた。調査日程も公表されていないが、調査船が同海域に入る場合、海洋警察庁の警備艇2隻が護衛に当たる方針。


尖閣諸島付近に中国の調査船 海保が中止要求(朝日)
 沖縄県の尖閣諸島の南西から北方にかけての東シナ海で2日朝から約19時間、中国の海洋調査船「東方紅2号」が科学的調査らしき活動を断続的に行った。日本の排他的経済水域(EEZ)内で、事前通報制度による通報もないことから、第11管区海上保安本部の巡視船「もとぶ」は無線などで調査の中止と退去を求めた。外務省も中国政府に抗議した。
 中国の調査船は午前5時50分ごろ尖閣諸島・魚釣島の南西約24キロを航行しているのが確認された。その後170キロ余北上しながら、計4回海水や海底の泥を採取し、3日午前0時28分、EEZの日中中間線から中国側に出たという。


 これだけでも腹立たしいのに、中国の代弁をする日本人がいるから始末に負えない。

海洋調査 中国が遺憾表明 小沢代表と唐氏会談「政府は許可せず」(産経)
 【北京=船津寛】民主党の小沢一郎代表は3日、中国を訪問し、北京市内で唐家●国務委員(前外相)、中国共産党の王家瑞対外連絡部長と相次いで会談した。唐氏との会談では、尖閣諸島付近の日本の排他的経済水域(EEZ)内で中国の調査船が事前通報なしに海洋調査をしていた問題が話題になり、中国側は遺憾の意を表明し、近く日本政府に説明する意向を示した。
 唐氏は、4日に胡錦濤国家主席が小沢氏と会談することを正式に伝えた上で、「小沢氏が民主党代表に就任し、他の重要な政治家と訪中したことは、中日関係を高度に重視していることの表れだ」と強調。小沢氏も「民主党も私自身も、日中関係の重要性を認識している」と応じた。
 民主党側の説明によると、中国側は海洋調査について「中国政府の許可を得ずにやった」などと釈明したという。
 また、唐氏は北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議に関し、「新しい提案を関係国にしており、各国とも前向きに受け止めている」と説明したが、具体的な提案の中身は明らかにしなかった。
●=王へんに旋




A級戦犯は日本にはいない (7/3)

 8月15日に向けて、今以上に靖国参拝について各メディアや「知識人」が騒ぎ出すことだろう。既に靖国神社を特殊法人にしようとかいう話も出ているし、無宗教の国立追悼施設を作ろうという話は未だに消えていない。A級戦犯など日本にいないということは各所で言われている。しかし、一般には「A級戦犯=悪い奴」という図式は定着してしまっている感がある。その先入観を、この本は打ち砕いてくれるだろうか。サヨクさんこそ読んでほしい本なんだけど。



 書かれていることは本当は「当たり前」のことばかりなのだが、それが当たり前として世間で通用しているかと言われれば、決してそうではない。小林よしのりの功績は、当たり前のことを世間一般に敷衍してきたところにある。確かにネット言論に対する反感にはなじめないし、これまで述べてきたこと全てに同意するわけではないが(むしろ初期ゴー宣は好きでない)、氏の果たしてきた功績は大きい。

 誤植が多いのが珠に瑕。急いで出版したということなのだろうか、それにしてももったいない。


橋龍 (7/3)

 橋本龍太郎さん、亡くなってしまいました。
 媚中の部分とペルー大使館立てこもり事件の時の「アンパン総理」ぶりは絶対に許せないんだけど、行財政改革や首相権限の強化については、評価できる部分もある人だと思う。少なくとも森や村山や細川よりは上…って比べる対象がアレか。

 死んだからって批判の手を緩める必要はないけど、死んだこと自体を「ざまぁみろ」と言うのはいかがなモンかと。
 



生きているからこそのデタラメぶり (7/1)

 金英男さんと母姉の面会行事は、ひとまず終了。
 誰もが予想した内容に、「頭をけがした影響で鬱病」という医学界に衝撃が走る証言も追加された、ろくでもない記者会見。しかもその怪我は、存在しない交通事故によるものだとか。
「交通事故の事実ない」 金さん発言に早紀江さん(共同)
 横田めぐみさんの夫だった韓国人拉致被害者金英男さん(44)が再会した家族に「めぐみは3歳の時に交通事故に遭った」と話したことに対し、めぐみさんの母早紀江さん(70)は30日、「そのような事実はない」と否定した。
 早紀江さんは「初めて聞いたとき、ただただびっくりした。うちの家族の誰も交通事故に遭ったことはない。めぐみは普通の子供として健康に育てた」と話し、「なぜこのようなばかばかしいうそをつくのか全く理解できないし、不気味だ。いいかげんにしてほしい」と不快感を示した。
 金英男さんは29日の記者会見で、めぐみさんについて「幼い時の事故で脳に大きな損傷を受け、結婚前から病的な症状があった」と述べた。


 しかし、この馬鹿馬鹿しい「脳に怪我」という新しい話、ある意味収穫だったかもしれない。今になっていきなりその話が出てきたのは、めぐみさんに直接聞いたからではないか、と思われるからだ。
 勿論、適当な作り話としてでっち上げただけという可能性もあるし、12年前以前にそういった話を聞いていた可能性もある。しかし、前者は北朝鮮としてはあまりにリスクが大きいし、後者ならもっと早くにこの話が出ていたはずだ。

 嘘か本当かギリギリのラインで攻めてくれば、「もしかしたらめぐみさんは亡くなっているのでは」と言いたい奴らが活気づきもしようが、こうまであからさまにデタラメと分かる話をされれば、反日親北工作員の方々も動きようがあるまい。また、明らかに嘘だと分かる話をせざるを得ないということは、めぐみさんが生存している何よりの証拠となる。

 「横田めぐみさんに話題を集中させる」ために三文芝居を打ってきたのだとしたら、効果は多少あるのかもしれない。拉致被害者は横田めぐみさんだけではないということを忘れてはならない。


 北朝鮮の行動に対して日本はどう動くか、ではなく、いい加減日本が主体的に行動すべき時だ。いつまで受け身の姿勢が続くのか。

 小泉さんは訪米していた。ブッシュさんが横田さんとの面会の話を持ち出して拉致に言及したのは一つ成果かもしれないが、具体的な約束を取り付けたわけではなさそう。だいたい、ブッシュ大統領ではなく、小泉首相自らが、日本の能動的な行動を訴えるべきだった。

 たしかに、ブッシュとの仲良しぶりは伝わった…てか、ブッシュの方が熱を上げてるな。切り返しの巧みさ、人を魅了する技は、人によっては軽薄で受け入れられないものだろうが、最近の日本の首相には無い利点。サミットなどでも自然と人の輪の中心になってしまう部分は、評価すべき点だ。それは認める。
 ただ、そういった人間的魅力を生かして施策を繰り出してきたかと言えば、十分であったとは思えない。郵政解散のような明確さと思い切りの良さを、なぜ拉致問題や安全保障の面で発揮しないのか。

 金正日に苦しめられる人々の姿を見た後で、「Love me tender」とか言ってる姿を見てしまうと、悪いけど気分が悪いのよ。