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世界は圧力、日本は対話? (10/31)

 北朝鮮包囲網と呼びうる物が形成されつつあるように感じられる。

国連人権報告官、日本人拉致を懸念=EU、来月2日にも非難決議提出(時事)
 【ニューヨーク27日時事】国連人権委員会のウィティット特別報告官(北朝鮮問題担当)は27日、総会第3委員会(人権)で同国の人権状況について報告し、日本人拉致問題に「深刻な懸念」を表明した。同氏は「北朝鮮に拉致され、現在も生存している日本人の帰国を直ちに実現すべきだ」とする日本政府の主張に「効果的かつ迅速に」回答するよう北朝鮮に求めた。
 一方、国連外交筋によれば、欧州連合(EU)は、北朝鮮による「外国人拉致」に触れた上で、同国の人権状況を非難する決議案を11月2日にも第3委員会に提出する方針だ。


拉致問題で全面協力を約束 米人権特使、訪日へ(共同)
 【ワシントン28日共同】北朝鮮による拉致被害者家族会の増元照明事務局長(50)らは28日、米ワシントンの国務省で、北朝鮮人権問題を担当するレフコウィッツ大統領特使と初めて会談、特使は拉致問題解決のため「可能なことはすべてやる」と述べ、全面協力を約束した。
 昨年成立した北朝鮮人権法に基づいて今年8月に任命されたばかりの特使に対し、増元さんらは早期訪日を招請。特使も「是非行きたい」と応じ、近い将来の訪日が決まった。
 特使はまた、経済制裁を含め北朝鮮への圧力強化の必要性を訴えた増元さんらに同意。「圧力を伴う対話が必要だということを関係国に話していきたい」と語った。


 「人権」というキーワードで、国際世論は日本を味方しようとしている。問題は、ここで日本がどのように意思表示をするか、具体的には「拉致問題解決をどのラインに設定するか」「拉致事件解決のために日本はどのような戦略を有し、どのような戦術を実行するのか」をはっきりさせねばならない。拉致問題に対する日本の姿勢が明らかにされねば国際世論にこれ以上の高揚を求めることなど不可能であるし、「北朝鮮への援助によって北朝鮮人民への人権侵害が解消される」という理由で結局は拉致問題が置き去りにされる危険性すら有している。「人権」は利用の仕方によっては強力な武器にもなりうるが、扱い方を誤れば問題の拡散と先延ばしという結果を生みかねない、諸刃の剣だ。

 次の日朝協議、そして次の6者協議は、まさに正念場だろう。
 そしてそれらを前に、日本は毅然とした態度を示さねばならないのだが、日曜日の朝、フジテレビの「報道2001」で山崎拓が恐ろしい発言をしていた。まずはニュース記事から抜粋。

北朝鮮、拉致問題解決の機運=山崎自民前副総裁(時事)
 自民党の山崎拓前副総裁は30日午前、フジテレビの報道番組に出演し、北朝鮮による日本人拉致問題について「拉致問題が解決しないと国交正常化はできないので、問題解決を本格的に進めようという機運が北朝鮮側にも出てきている」との見方を示した。
 ただ、山崎氏は「何をもって拉致問題解決というかは難しい」とも指摘。北朝鮮が譲歩する可能性もあり得るとの認識を示した上で、北朝鮮の今後の出方について「これだけ誠意をもって対応したのだから、日本の国民世論を(拉致問題決着で)まとめてくれという方向に出てくると思う」との見通しを示した。


北朝鮮に解決の機運 山崎氏、拉致問題で(共同)
 自民党の山崎拓前副総裁は30日午前、フジテレビの報道番組で、北朝鮮との国交正常化交渉について「拉致問題の解決に向け本格的に進めようという機運が北朝鮮側にも出てきている」と述べ、進展に期待を示した。
 山崎氏は、衆院選での与党大勝により「(小泉純一郎首相が)国民世論の強い掌握力を持っていることが立証されたので、(北朝鮮側は)そういう意味で期待している」と指摘。「小泉政権の間に国交正常化をしたいという考え方が北朝鮮の中にある」との見方を強調した。
 新たな国立戦没者追悼施設建設に関しては、20日にソウルで会談した韓国の鄭東泳統一相から「前に進めることで誠意を示してもらえないかという趣旨の話があったことは事実だ」と要請があったことを認めた。


 さらに、電脳補完録に引かれていた山崎拓の発言の一部を、引用する。

村山晃嗣・同志社大学教授 大きな前進があることを期待しますけども、2点ございまして、一つは拉致問題で大きな前進があってもですね、核の問題で進歩がない時にですね、日本は国交正常化にまで進めるだろうか、というと少し厳しいものがあるんじゃないかと思うんです。ですから、拉致だけでなく、この核の問題が、両方前進しないとなかなか国交正常化というのは道程が遠いような気がいたしますし、もう一つは、拉致問題を解決する、と言った時に、一体どういう状況になったら解決になったと我々が思うのか。政府がそう思われても、いったん火のついた世論は、それでは解決していないという風に思う可能性があって、その辺が少し私は不安材料として残っているような気がしてます。
山崎拓 その点はね、ほとんど同意見でございましてね、まぁ、少しという副詞を用いられましたけどね、あのう、核問題の解決はですね、少しばかし必要なことなんではなくて、これはもう絶対的に必要なことでございます。日本民族の、あるいは日本国家としての長い将来考えました時にですね、朝鮮半島の非核化が保障されるということは、絶対的に必要なことでございます。で、それと、今、村田先生がおっしゃいましたね、何をもって拉致問題の解決とするかというところが非常に難しいんでですね、あのう、その点はですね、小泉総理の、まぁ、英断というかね、それを北朝鮮側も期待してると思います。これだけ誠意をもってこちら(北朝鮮側)の方は対応したんだから、ここは日本の国民世論をまとめて下さい、という出方をしてくると私は思います。

 世界は圧力、日本は対話、合わせて「対話と圧力」ってことか?

 拉致問題解決のラインは、「小泉総理の英断」によるのだ、と山崎拓氏は答えている。しかも、それは「北朝鮮が期待する物」だと言う。明らかに、帰還した5名以外は死亡とするなど適当なラインで幕引きとし、国交正常化交渉に早期に乗り出そうという姿勢だ。
 これが山崎の暴走という可能性もあるゆえ、小泉首相が全く同じ考えを抱いていると断言することはできない(小泉首相が山崎氏をどこまで信用しているかも疑問だし)。しかし断言はできぬだろうが、その可能性は非常に高いと判断せざるを得ないだろう。小泉首相の許し無くして、ここまで踏み込んだ発言を行うものだろうか。

 自民党の圧勝という結果を受けて、憲法改正或いは自衛隊派遣の特別法を制定することも、北朝鮮の情報工作を防ぐ法律を作ることも、以前よりは容易くなったろう、それに民意を背景にした首相というのは国際社会でも説得力あるしな……なんて考えていたが、それはすべて「小泉首相は拉致事件を放置して国交正常化を進めようとは思っていない」というのが大前提。「小泉首相が国交正常化へ向かわないよう注視せねばならない」と書きながらも、心の片隅では、世論を読むのに長けている首相ゆえ、国民の多くが望まないであろう北朝鮮との国交正常化へ進むことはあるまいと高を括っていた面もあった。そこまで小泉もアホじゃあるまい、と。だが山崎発言で、もしかしたらそこまでのアホである可能性が高まったと言える。今日の内閣改造で「山崎拓外務大臣」なんて話になっていたら、目も当てられぬ。

 拉致問題において「風向きが変わるか」という期待を先日書いたが、ヤマタク発言でまた訳が分からなくなってきた。要するに、確固とした戦略が政府にないということではないのか。まともな戦略がないから、まともな発言が出てきたりアホな発言が出てきたり、照準が定まらないのではないか。
 また、田中均がチョロチョロと顔を出しているのも気にかかる。国交正常化の露払いをやっているのではないかと疑わしいのだが…田中均外交を再評価する意見が出てくるようになったら、いよいよ国交正常化も怪しいと見るべきか。


 「Dr.マッコイの非論理的な世界」さんが10/28付エントリーで述べておられるように、自衛隊が北朝鮮に乗り込む方策を具体的に考えるなどの次元に到達しているのが、普通の国のあるべき姿であろう。確かに憲法9条で骨抜きにされ、自主独立の気風を醸成することからやり直さねばならない日本にとっては、非現実的な話と悲観せざるを得ないのだが(しかしマッコイ氏の提言は非常に重要な物であり実現可能性が薄かろうと訴え続けねばならないことだろう)、それでも「できる範囲内で最大限の努力を行う」のは必要であり、世界的に北朝鮮糾弾の動きが出ている中で「国交正常化」を匂わせる発言をすることすら大問題と捉えるべきだ。


 てか、小泉さんが本気で拉致問題の解決を目指しているのなら、首相の意志に反するアホなこと言った山崎さんは、除名処分と言うことでお願いします。


参考:蓮池透さん講演(2005年10月29日青梅にて)
 被害者家族の言葉、というより、後半はとりわけ拉致事件解決を願う者すべての心情を包括されている内容だと思う。ぜひご覧下さい。



おまけ。
韓国国家記録院が憲法の原本紛失、監査院調査で判明(読売)
 【ソウル=中村勇一郎】韓国の公文書を保管する国家記録院が、1948年制定の韓国憲法の原本を紛失していたことが27日、明らかになった。
 監査院が初めて実施した調査によると、国家記録院はまた、52―62年の改正憲法の原本も重要書類としてではなく、一般書類として保管していた。
 その一方、記録院が大統領関連の重要資料として保存していた文書の73・9%が資料としての価値がない一般文書だったという。
 行政自治省も48年から62年にかけて使われた韓国建国後最初の国印を紛失していたほか、条約の関連文書など重要文書約15万枚を一般文書として大学に預けていた。

 憲法の原本を紛失?韓国では、憲法の原本は保険証券や印鑑証明と同じレベルか?(それ失くすのもかなりアレだが)


大人しい日本世論に憤る朝日タン (10/27)

 靖国カードの威力が落ちたのを受けて、朝日は相当焦っているご様子。

靖国と隣国 静かさを甘く見るな(10/28付朝日社説)
 韓国の潘基文外相が来日し、町村外相と会談した。きょう小泉首相とも会う。首相が靖国神社を参拝した後、「雰囲気が適切でない」と先送りする方針だったが、一転、訪日となった。
 外相は来てくれた。ソウルなど街の様子は落ち着いている。町村外相の来訪を拒んだ中国でも、今春のような反日デモの騒ぎは見られない。静かな対応ぶりには私たちもほっとしている。
 そうした反応に、首相は「冷静でいいと思う」「靖国だけが問題ではない」と語り、口ぶりには余裕さえ感じられる。
 毎年、靖国参拝を続けたことで、中韓もいくら反発しても仕方ないとあきらめたのではないか。「靖国カード」はもはや通用しないことがようやく定着してきた――。もし首相がそう考えているとしたら、大きな間違いというものだろう。
 潘外相は、ただ握手をしに来たのではない。訪日を取り消して参拝に抗議するよりも、乗り込んで韓国の憤りや基本的な立場を直接伝えた方が得策だと判断したからだ。
 人々の反応は冷静でも、だから参拝は容認されたということではない。その裏で日本に対する不信といらだちが積み重なり、心の底にたまっていることを見過ごしてはならない。
 経済や人、文化の結びつきがこれだけ太くなると、日本との関係を切ろうにも切れないことを、中国や韓国は百も承知だ。だから関係をむやみに悪くさせたくないと、それなりに腐心している。
 中国政府は参拝直後の外務省声明で、「両国の無数の先人たちが積み重ねてきた成果を顧みず、誤った道を突き進んできた」と首相を名指しして批判した。矛先を首相に絞ることで、日本との関係は大事にしていきたいというメッセージを込めたのだろう。
 首相の靖国参拝に対する中韓の姿勢は厳しいままである。その影響は、ビジネスや観光など多方面に出ている。
 深刻なのは、4年間も日中の首脳往来が途絶えていることだ。今後も首相の在任中はほぼ絶望的だろう。日韓の首脳交流もどうなるかわからない。
 第三国での国際会議の際に会うのとは違い、首脳が相手の国を訪ね合うことは、国民との交流をはじめ相互理解を深める貴重な機会のはずだ。なのに、それが失われてしまう。
 参拝に込める首相の思いはどうあれ、結果として、東京裁判を否定したりする勢力を勢いづけ、「日本は過去を清算できない」という負のイメージを世界に広めている。
 首相の靖国参拝への批判や懸念は、シンガポールやマレーシアといったアジアをはじめ、欧米各国でもメディアに取り上げられた。米下院のハイド外交委員長も「(参拝でアジアでの)対話が疎外されるとしたら残念だ」との書簡を日本側に送った。
 静かに広がる批判の重さを、首相は読み間違ってはならない。

 中韓の代弁を行うのはいつも通りだが、今回は、あまり大きな騒ぎにならなかったのを残念がる姿勢がありあり。読みようによっては、「騒ぎをなんとしても作り出すぞ」という決意表明にも見える。かつてほどの影響力を行使できなくなった焦りも読み取れ、なかなかに趣深い社説となっている。
 ちなみに、投稿欄や素粒子などを使っての「天皇制廃止論」の普及に、朝日は乗り出した模様。曰く、「国の姿を考え直す時期だ」とか「男系男子しか認めないのは男女平等に反する」とか「共和制を考えよう(by素粒子)」とか。朝日の訴えることの反対をいけば日本は上手くいきますから、やっぱり女系は認めない方が吉でしょう。



北朝鮮問題:日朝対話再開へ 「拉致」「清算」で応酬必至、国交正常化の糸口探る(毎日)
 11月3日からの開催が決まった日朝政府間対話は、日本側が拉致問題の解決を最優先課題とするのに対し、北朝鮮側は日本の植民地支配に伴う「過去の清算」を要求、激しい応酬が展開されるのは必至だ。ただ、対話を重ね国交正常化への道筋を見いだしたい点では、両政府の思惑は一致している。政府は、北朝鮮への強硬論が根強い国内世論や、6カ国協議の進展をにらみながら、難しい交渉を迫られそうだ。
 町村信孝外相は26日の記者会見で「拉致問題でどこまで説得力のある回答、説明があるのか。それを見極めることなしに国交正常化交渉に入っていくことはありえない」と強調した。
 実際は「来年9月の小泉首相の党総裁任期切れまでに国交正常化に向けた道筋を見いだしたい」(政府筋)のが日本政府の本音。外相があえて拉致問題解決を強く打ち出したのは、国内で対北朝鮮強硬論が再燃すれば、対話が再び暗礁に乗り上げるとの「懸念の裏返し」と言える。
 これに対し、北朝鮮は「日本政府が敵視政策にしがみつくなら、現在の対決状態を爆発ラインへと導く結果になる」(今月4日の朝鮮中央通信の論評)と日本国内の強硬論をけん制している。
 町村外相は会見で、拉致・核・ミサイル問題の包括的協議に加え、北朝鮮側が求める「過去の清算」も含めた「広範な問題についての議論」を行う考えを明らかにした。拉致問題に特化しないことで対話を継続させ、6カ国協議での核問題の進展に伴うエネルギー支援や食糧支援再開などの「カード」をちらつかせ、拉致問題解決の着地点を探る方針だ。【高山祐】

 3段落目の内容が非常にひっかかる。「来年9月までに国交正常化への道筋を付けたい」というのが政府の本音であり、国内の対北朝鮮強硬論はその邪魔になるという考えを持っている、と。後半は具体的な発言ソースが無いので、記者の想像である可能性もあるが…。

 ならば具体的言説で評価しようとすると、町村外相の言葉「拉致問題でどこまで説得力ある回答があるかを見極めないで、国交正常化交渉はしない」というのも、また問題だ。「拉致問題の解決無くして国交正常化はない」という姿勢を政府は示していたはずだが、そこから一歩も二歩も後退している。「拉致問題の解決」「説得力ある回答」のラインを政府がどこに置いているかが見えないため、政府の姿勢を疑わざるを得ない。

 また、「過去の清算も含めた広範囲な問題についての議論」という考えは、「スーパーモーニング」に出演した時の田中均の発言と合致する(9/27「世迷い言」参照)。つまり、未だに政府は田中均の描いた青写真に合わせて動いているということになる。
(最近彼は雑誌にもいろいろ書いているようだが、拉致を認めさせて適当なところで手打ちして、植民地の補償を行い国交正常化へ進む…という道筋に関しては特段変わったことは述べていない。最終目的は国交正常化だと断言している。)
 
 こういう話があるから、諸手を挙げて期待することができないんだよな。


靖国を巡る風向きの変化 (10/27)

国立の戦没者追悼施設の建設議連、自公民3党が合意(読売)
 自民、公明、民主3党の有志議員が25日、無宗教の新たな国立戦没者追悼施設の建設を求める超党派の議員連盟を設立することで合意した。
 追悼施設建設は、小泉首相の靖国神社参拝に反発する韓国政府も求めており、立法府の立場から施設建設に前向きな姿勢を示すことで、韓国や中国との関係改善につなげようという狙いもある。
 3党の有志は28日に議連幹部会を開催し、2006年度予算案に追悼施設調査費の計上を求める方針を決める見通しだ。議連の結成は、先週訪韓した自民党の山崎拓・前副総裁が、公明党の冬柴幹事長と協議し、民主党の鳩山幹事長に打診した。公明党の神崎代表、民主党の前原代表も議連のメンバーに加わる。自民党の武部幹事長は「党内にはいろいろな意見がある」として、不参加の意向を表明した。
 公明党は、今月17日の首相の靖国神社参拝後、追悼施設の調査費計上を首相官邸に繰り返し働きかけてきた。神崎代表は25日、「公明党だけでなく超党派の動きになったことで、実現可能性が高くなる」と歓迎した。
 また、首相は25日夜、首相官邸で記者団に、「(議連結成は)聞いていないが、それはそれで結構だ」と述べた。
 ただ、自民党内には、山崎氏の動きと、韓国の潘基文外交通商相が訪日拒否を一転させて27日に来日することになったことに関連があるとの見方もあり、「取引のようなことをやって、国民がどう受け止めるか心配だ」(閣僚経験者)との反発も出ている。

 「無宗教の追悼施設」という欺瞞をなぜマスコミは追求しないのか。靖国参拝を「政教分離に反する」と主張する向きは、なおさら「追悼施設は宗教施設だ!」と糾弾すべきじゃないのか?
 追悼は死者を慰める行為であり、死後の幸せを祈る姿勢はとりもなおさず「宗教」と結びついてしまう。だいたい、無宗教であるならどのような形で慰霊すればよいのだ?手も合わせられない、十字も切れない、頭も下げられない、ただ立ちつくすのみか?

 多宗教の追悼施設ならばまだ話は分かる。靖国神社での慰霊を求める陣営とガチンコで議論すれば良かろう。しかし、無宗教追悼施設という概念は詭弁でしかなく、議論すべき価値など全く無い。作りたきゃ作ればいいが、誰も来ないだろうね。

 記事にも韓国の外交通商相が予定通り来日する話を載せているが、中国や韓国の反応が案外に大人しいのも、この「新しい追悼施設建設」の話が絡んでいるのではないかと気になる。


 しかし、この追悼施設の話に対して「それはそれで結構だ」と述べた小泉総理。靖国神社に対する思い入れはそれほど深くないかと思いきや、以下の記事ではなかなかの姿勢を見せている。

靖国批判「理解に苦しむ」 小泉首相、米紙会見で(産経)
 米コラムニストのロバート・ノバク氏は24日付米紙ワシントン・ポストで、小泉純一郎首相が同氏との会見で、靖国神社参拝について「主要な問題ではない」との見方を示し「どうして行うべきではないのか、理解に苦しむ」と述べたことを明らかにした。
 会見は、17日の靖国参拝の3日後に官邸で行われた。参拝を歴史認識問題と位置付ける中国などは参拝に激しく反発、日中外相会談を中止するなど抗議の姿勢を強めている。
 ノバク氏の東京発のコラムによると、首相は参拝に関連し「日本をライバル視する見方が強まり、反日感情がつくられることは中国指導部に有利だ」とも言明した。
 また「中国内には長年の教育により60年前の(日本の)政権がいまだに存在するとの現実離れした認識がある」と述べ、中国での激しい反発の背景に反日教育があるとの見方を示唆。中国で進む軍事力の増大について「注意しなければならない」と指摘し、中国側に軍事情報の透明性の向上を求めたとしている。(共同)

 国内メディアには適当な反応をしただけ、海外メディアには本音を話す…というのはかなり好意的な見方だな。
 小泉総理にとってのディフェンスラインが「靖国参拝を行うこと」であり、いわゆる保守人士が訴える8/15参拝や神道形式に倣った参拝方式などは、彼の基準項目には入っていないということなのだろうか。

 しかしながら、政府見解として、実にまっとうな意見が飛び出してきた。

靖国問題で政府答弁書決定 「戦犯」は存在せず 公式参拝であっても合憲(産経)
 政府は二十五日の閣議で、さきの大戦後、連合国によって「戦犯」とされた軍人・軍属らが死刑や禁固刑などを受けたことについて、国内法上は戦犯は存在しないとの見解を明確にした答弁書を決定した。首相の靖国神社参拝に関しては「公式参拝」であっても、宗教上の目的ではないことが外観上も明らかな場合には、憲法に抵触しないとの見解を改めて示した。いずれも民主党の野田佳彦国対委員長の質問主意書に答えた。
 答弁書は「(極東国際軍事裁判所やその他の連合国戦争犯罪法廷が科した)刑は、わが国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」と指摘。A、B、C各級の「戦犯」は、国内では戦争犯罪人とはいえないことを明確にした。
 この問題で自民党の森岡正宏厚生労働政務官(当時)は今年五月、「(戦犯とされた人々は)罪を償っており、日本国内ではもう罪人ではない」と発言したが、細田博之官房長官は「政府見解と大いに異なっているので論評する必要もない」と述べていた。
 また、答弁書は首相の靖国参拝に関し、「戦没者の追悼を目的とする参拝であることを公にするとともに、神道儀式によることなく、宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合は、憲法二〇条三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはない」との見解を改めて表明した。
 靖国参拝について藤波孝生官房長官(当時)は昭和六十年、「首相、閣僚が国務大臣としての資格で戦没者の追悼を目的として、靖国神社の本殿、社頭で一礼する方式で参拝することは、憲法の規定に違反する疑いはない」との政府統一見解を発表している。
 首相の靖国参拝をめぐっては、大阪高裁が拘束力を持たない「傍論」で靖国参拝を「公的行為」と認定。憲法の禁止する宗教的活動に当たるとしたが、政府見解はこれを真っ向から否定した。


 東京裁判の正当性に直接言及しているわけではなく、むしろ国内法で裁かれたわけではないから国内法上は戦犯はいない、という理屈だ。だったら国際的には戦犯はいるのかという話になるが、ただし、「東京裁判は戦勝国のデッチ上げ裁判だ」という主張をオブラートに包んだ表現、と好意的に読み取ることも可能。いずれにせよかなり踏み込んだ発言であるのは事実であり、評価すべきだろう。当たり前の内容なんだがね。

 ただし、「戦犯は存在しない」と主張するのであれば、先に言及した「無宗教の追悼施設」などなおさら無意味な計画であると思うのだが。その辺り、この政府答弁書と追悼施設を「結構」と言った小泉首相の発言と、整合性が感じられない。「韓国や中国を黙らせる手段」としての追悼施設建設計画と考えれば分からなくもないが、それなら戦犯は存在しないという政府答弁をこのタイミングで出すことに合理性が見られない。この掴み所のなさも小泉首相の特徴ではあるが。アホを泳がせてあぶり出すために「それはそれで結構」と言ったのならそれはそれで策士゚∀゚)


 さて、質問主意書を出した民主党の野田氏も評価したい。

「反対派の論理破綻」民主・野田氏(産経)
 民主党の野田佳彦国対委員長は、首相の靖国参拝に関して政府に提出した質問主意書で、「『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない。戦争犯罪人が合祀(ごうし)されていることを理由に首相の靖国神社参拝に反対する論理はすでに破綻(はたん)している」と主張した。A級戦犯合祀を理由に、首相の靖国参拝を批判する前原誠司代表らと一線を画し、波紋を呼びそうだ。
 野田氏は「サンフランシスコ講和条約と四回に及ぶ(戦犯釈放を求める)国会決議と関係諸国の対応によって、A級・B級・C級すべての『戦犯』の名誉は法的に回復されている」と指摘。その上で「社会的誤解を放置すれば、『A級戦犯』の人権侵害であると同時に、首相の靖国参拝に対する合理的な判断を妨げる。『A級戦犯』に対する認識を再確認することは、人権と国家の名誉を守るために緊急を要する」と訴えている。
 また、講和条約一一条の和訳をめぐり、「外務省訳の『裁判』は『判決』の間違い」との指摘があるにもかかわらず、政府が「東京裁判などの『裁判』を受諾した」としている問題に言及。「裁判を受諾した場合は、日本は『南京大虐殺二十数万』や『日本のソ連侵略』などの虚構も含め、満州事変以来一貫して侵略戦争を行っていたという(裁判の)解釈を受け入れたことになる」と批判した。
                  ◇
 【野田氏の質問主意書要旨】
 民主党の野田佳彦国対委員長の質問主意書の要旨は次の通り。
 「A級戦犯」と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない。戦争犯罪人が合祀されていることを理由に首相の靖国参拝に反対する論理はすでに破綻している。「A級戦犯」に対する認識を再確認することは、人権と国家の名誉を守るために、緊急を要する。
 「A級戦犯」として有罪判決を受け禁固七年とされた重光葵は釈放後、鳩山内閣の副総理・外相となり、勲一等を授与された。同じく終身刑とされた賀屋興宣は池田内閣の法相を務めている。これらの事実は「戦犯」の名誉が国内的にも回復されているからこそ生じたと判断できる。
 重光、賀屋らの名誉が回復されているとすれば、同じ「A級戦犯」として死刑判決を受け絞首刑になった東条英機以下七人、終身刑ならびに禁固刑とされ、服役中に獄中で死亡した五人、判決前に病のため死亡した二人もまた名誉を回復しているはずである。
 「A級戦犯」とは、極東国際軍事裁判当局が事後的に考えた戦争犯罪の分類であり、法の不遡及(そきゅう)、罪刑法定主義が保証されず、法学的な根拠を持たないと解釈できる。

 前原代表よりも、私は野田氏の国対委員長就任を喜んだ。9/19の本欄で、憲法改正に絡めて「国対委員長の野田は、有事法案で自民党と妥協した歴史を持っているし、多少期待してもいいんじゃないかな」と書いた。「なんでも反対」という態度に拘ることがないため、野田氏の存在は憲法改正などにプラスに働くと考えていたが、今回「靖国問題」に関してプラスに働いた。野田氏の主意書は実にまともな理論に貫かれており、このような与野党間の対話は歓迎したい。てか、冒頭引用した記事での山崎とか冬柴とか鳩山とか前原とか神崎とかのアホウぶりが目立ってしゃぁない。


 なんだか風向きが変わってきたように感じる。この風向きの変化を、ぜひ拉致問題にも。

 電脳補完録−別館の「生存を前提に交渉、引き延ばしなら経済制裁の環境も整う」によれば、細田官房長官は、「特定失踪者の調査を疎かにはしない」「対話を引き延ばすなら制裁の環境が整う」という内容の発言を行ったのだが、こちらも「風向きが変わりつつある」と読んでもいいのだろうか。
 補完録の記事を見ていただくと分かるように曖昧極まりない答弁ではあるが、僅かながら政府の姿勢に変化が出てきたと見ることは不可能ではない。似たようなことを言って結局何もしてこなかった前科があるのであまり大きな期待を持つべきではなかろうが、靖国に関する流れの変化と同様に、拉致問題に関しても風向きが変わることを期待してやまない。
 おそらくは、アメリカが北朝鮮と対峙する準備を進めており、日本政府がそれに乗っかろうとしているのではないか(参考記事:大量破壊兵器の空輸阻止へ 米、北朝鮮とイランを警戒(共同))。依然として拉致事件解決のラインをどこに定めるのかはっきりとした主張が見えないので、手放しで政府を支持することはできないが、ともかくも動きがあることを期待し、政府の動きを注視したい。

 総選挙で大勝し世論の支持を得ている首相というのは、それだけで国際社会では権威を増すもの、それを小泉総理には有効に活用してもらいたいところだ。



 おまけ…と呼ぶには重すぎる、この話題。

女性・女系天皇容認で一致 皇室典範改正案を提出へ(朝日)

 女性天皇は問題ないが、女系天皇はなぁ…。旧宮家の復活について、本当に真剣に検討したんだろうか。確かにいきなり宮家が復活しても多くの人にはピンと来ないかもしれないが、男系で連綿と受け継がれてきた皇統の歴史をここで終わらせてしまうことと、どちらがより良いか比較できるよう材料を提供するのがマスコミの仕事だろう。

 女系天皇を認めるかどうかに関し、私の懸念は以下の通り。
1.万世一系が途絶えることで国際社会での日本皇室の格が落ちること
2.女系での継承を経るにつれ皇室廃止派に論拠を与えてしまうこと
3.2000年以上続く伝統に終止符を打つことの意味はたかだか数十年単位のスパンでは理解しきれないこと

 宮家が廃止されたのはGHQの手による。アメリカの「日本骨抜き計画」の一つが、今になって作動している…というのは穿った見方か。


 真の意味でのおまけ。
盧武鉉・韓国大統領 独自外交、自画自賛/日米離れ、東アジアで「積極的調整」(産経)
 アジアのバランサーとか戯れ言ほざく前に、お前の頭のバランサーをなんとかしておけ。


愛国心の話と毒ガスの話 (10/25)

 昨夜は久々に「NEWS23」を見たのだが、「愛国心」というテーマで、サッカーのサポーターたちなどを取材していた。2002年のW杯で愛国心は盛り上がったが、今年のW杯アジア予選でのサポーターの盛り上がりは今ひとつ、みたいな内容だった。他にも、若者に「愛国心」について質問し、あまり意識してないというような答えを引き出していた。「愛国心なんてブームみたいなもの、若者は愛国心なんて意識してませんよ」とでも言いたいのだろうか。
 だいたい、決勝と予選で盛り上がりが違うのは当たり前のことなのに「下火になったサポーターの熱」という見方は浅薄極まりないし、今までのこの番組のやり口を思い出すに付け「どうせ愛国心についてまじめに考えていない奴らばかり選んで放送してるだろ」と思ってしまう。

参考写真:有名なアレ


 おまけに、最後には「わけの分からない市井の映像+ヘッポコな音楽」でキャプションは「愛国の風景」……馬鹿にしてるだろ、筑紫。
 「愛国心の『国』とは何を意味しているのか、国土か国家か」みたいなことも言っていたが、「愛する郷土を守るためには信頼できる力のある国家が必要」という感覚は筑紫には無いらしい。
 ついでに「多事争論」では、「共謀罪」というタイトルで、「拷問で4人が死んだ横浜事件みたいなことになるよ、治安維持法みたいになるよ、曖昧な法律は怖いよ、泥棒することを相談しただけでも捕まるよ」なんてムニャムニャ言っておりました。泥棒の相談なんてしませんので問題ないです、あっしら一般人には。

 久々に見た筑紫タンだったが、やっぱりこいつには信念とか思想が感じられない。いや、思想的には明らかに左巻き人種なのだろうが、ファッションとして或いは知識人としてのイメージを重視した結果のなれの果ての姿が現在の状況であり、彼が普段から主張している内容について、彼自身それほど大きな責任感を感じてはいないだろう。自らの意見に自負がそれなりにあるならば、「〜という意見もあります」なんて用語は出てこないはずだ。


 今の日本人が愛国心をあまり意識していないのは、確かかもしれない。「国のために」と考えること自体が悪であるかのように教育するのが、戦後民主主義を絶対のイデオロギーと考える日教組の愚者どもだったからだ。それの極致が、「日の丸・君が代反対」の運動であろう。

 だが、意識はしない愛国心だが、持っていない人が殆どかと言われれば、そうではないように感じる。自らの家族を大事に思う、自らの故郷を大事に思う、そのような感覚で日本を捉えている人は多かろう。この場合の「国」とは、国土・文化・言語など総体としての「くに」である。
 「くに」を大切にしようという気持ち、自らの拠り所とする気持ちは多くの人が持っていよう。そして、その気持ちに意識的であればあるほど、それを守りたいと考えることになるだろう。「くに」を守るためには、外交力、軍事力、経済力、治安維持能力…すなわち「政府の能力」を求めざるを得ない。ここに「くに」のみならずstateとしての「国」を意識するに至る。
 違いは、「国」がどういう物であるべきかについて意識的か否かの違いだけであって、愛国心は程度の差こそあれ、殆どの人が持っているんじゃないかと私は感じている。

 「お国のために」というのも右翼の専売特許ではなく、また消防士や警察官や自衛官のような文字通り命をかけて働く人のためだけの言葉でもなく、たとえば製品開発の際に「人の役に立つような物を」と意識すれば、それは「国のために」働いていることになるのではないか。働いている人、それぞれがそれぞれの形で社会に貢献している、その共同体、社会の総体は結局は「国」という物であろうし、その意味で誰しもが国のために働いていることになるのではないか。

 愛国心をやたらととっつきにくい崇高な物にしようという傾向が、そしてとりわけ左巻き連中にあっては「死を覚悟すること」と結びつけて「怖い物」にしようという意図が見える。確かに愛するものを守るにはある程度の覚悟が必要ではあるが、わざわざ愛国心を「素人には手が出せない物」にする必要はあるまい。本来は誰もが持つ当たり前の感情であるべきなのだから。


 さて。話は変わってこの記事。先週20日の物。

「遺棄兵器30−40万発」 政府修正答弁 中国主張の5分の1(産経)
 旧日本軍が中国に遺棄したとされる化学兵器が、政府が当初説明していた約七十万発ではなく、三十万−四十万発にとどまることが十九日、分かった。内閣府の高松明・遺棄化学兵器処理対策室長が衆院内閣委員会で答えた。約二百万発とする中国の主張が科学的根拠を欠く不当な主張であることが裏付けられただけでなく、処理事業の見直しも迫られそうだ。
 高松氏は泉健太氏(民主)への答弁で、遺棄化学兵器について「三十万発から四十万発と推定している」と述べた。高松氏の前に答弁した細田博之官房長官は「約七十万発あり、そのうち、六十七万発余りが吉林省のハルバ嶺にある」としていたが、泉氏の指摘を受け、「推定だが三十万−四十万発ではないか」と修正した。
 日本政府は平成八年、化学兵器禁止条約に基づき、中国における遺棄化学兵器を約七十万発と申告していたが、十四年十月から十一月にかけ、埋設範囲と数量を正確に把握するため磁気探査を実施。中国外交部と日本政府が委託した民間業者が探査にあたった。

 その結果、実際には申告の約半分である三十万−四十万発と推定されたという。三年前に判明していた数量を明らかにしてこなかったことについて、内閣府は産経新聞の取材に対し、「今春の国際会議では三十万−四十万発と発言している」と意図的に情報を秘匿したわけではないと説明している。
 遺棄化学兵器処理事業で日本政府は、来年度から四年間で九百七十三億円をかけ、ハルバ嶺に処理関連施設を建設することを決定。事業は有償、無償資金協力を合わせた十六年度の対中政府開発援助(ODA)の新規供与額(約九百億円)と同規模の巨大プロジェクトとなっている。
 ただ、外務省OBの一人は「本来、旧日本軍から武装解除で引き渡しを受けた中国、ソ連に管理責任がある。そういう議論をきちんとやらずに国民に大きな財政負担を強いようとしている」と批判。複数の場所に処理施設設置を求める中国側の言い分を受け入れた場合、最終的な拠出額は一兆円を超えるとの日本側試算もあり、遺棄化学兵器の数量が半減したことは処理事業をめぐる今後の日中交渉に影響しそうだ。

 官房長官もいい加減な認識なんだなとよく分かった゚∀゚)
 さらに言えば、その30万発も本当に日本の遺棄した物なのか、さらに精査する必要があるのではないか。

 ポツダム宣言には、「九 日本國軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復歸シ平和的且生産的ノ生活ヲ營ムノ機會ヲ得シメラルベシ参照サイト)」とある。武装解除が降伏の条件として明記されている。
 実際に、1945年10月16日、つまり終戦の僅か2ヶ月後には、マッカーサーが日本軍の武装解除が完了した旨の声明を出している。大陸の支那派遣軍約100万は蒋介石の国民党軍へ、満州の関東軍約50万はソ連軍(一部共産党軍)へ、武器を引き渡している。
 もちろん一部の不届き物が存在して幾らかが遺棄された可能性は否定しきれない。しかし、短期間に武器移譲が行われたことを考えれば、日本軍はきちんと命令を守り、スムーズに引き渡しが行われたと考えるべきだろう。その後、ソ連から化学兵器を譲られた中国共産党が、内戦後、処理に困って遺棄した、というのが真相ではないか。

 つまり、武器の管理権限は国民党やソ連へ移っており、ゆえに「日本軍が遺棄した」と主張する根拠も無い。『日本国政府及び中華人民共和国政府による中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書(99年7/30)』には、「1.両国政府は、累次に亘る共同調査を経て、中華人民共和国国内に大量の旧日本軍の遺棄化学兵器が存在していることを確認した。旧日本軍のものであると既に確認され、及び今後確認される化学兵器の廃棄問題に対し、日本国政府は「化学兵器禁止条約」に従って遺棄締約国として負っている義務を誠実に履行する。」とあるが、本当に日本軍が遺棄した物かをきっちりと調べる必要がある。仮に「遺棄」だと認められる物が存在するのであれば、それを処理することには私は反対はしない。逆に言えば、遺棄した物でもないのに処理するのはまっぴらだ。「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」には、「第一条 一般的義務 3.締約国は、この条約に従い、他の締約国の領域内に遺棄したすべての化学兵器を廃棄することを約束する」とあり、遺棄であると証明されない限り日本側に処理する義務は生じないはずである。

 中共も、毒ガスの処理をしたいわけではなく、日本から得た金の一部で毒ガス処理をやるフリをして、殆どの金はピンハネしようという腹だろう。「自衛隊を毒ガス処理に派遣します、経理も含めたすべての事業は日本側が受け持ちます、中国の人員は必要ないです」と言えば、大人しくなるかもしれない…甘いか。そうなると次には「補償要求」が待ってるんだろうな。


安倍氏入閣? (10/24)

制裁効果なかった北朝鮮〜船の9割が保険加入(東京新聞)
 無保険船の座礁が相次いだのをきっかけに、無保険船の日本への入港を禁じる改正油濁損害賠償保障法が今年三月に施行されたが、施行後に入港が激減していた北朝鮮船の約九割が保険に加入し、入港実績も法施行前の水準に回復していることが二十二日、分かった。北朝鮮船の大半が老朽船で保険の新規加入は困難とみられていたため、政府・与党内には「改正法施行が事実上の経済制裁になる」との思惑があったが、経済制裁効果はなかったことが明確になった。
 同法改正は山口県や茨城県で無保険の北朝鮮貨物船が座礁したまま放置され、撤去費用を地元自治体も負担せざるを得ない状況が続いたのがきっかけとなった。
 改正法は燃料油の汚染損害や船体撤去費を船主が賄えるよう、百トン以上の船舶の入港に船主責任(PI)保険の加入を義務づけている。
 北朝鮮船は昨年、約百隻が延べ約千四十回、日本の港に入港した。保険加入率は二〇〇三年の時点で2・5%と極端に低かった上、保険加入が困難な老朽船が多く、改正法施行で大半が入港できなくなると予測されていた。
 しかし、保険に新規加入して国土交通省に入港に必要な証明書交付を申請する船が相次いだ。同省によると、大半の北朝鮮船は英国領バミューダ諸島の保険会社と契約。一部がニュージーランドの保険会社と契約していた。両社とも昨年設立された会社だった。
 証明書を交付された百トン以上の北朝鮮船は九月末現在で八十七隻。対象外の百トン未満を合わせると、同法施行前に日本に来ていた北朝鮮船の約95%が入港できることになる。
 税関関係者によると、北朝鮮船の延べ入港回数は、同法施行直後の三月は約三十隻と昨年同期の約25%に落ちたが、八月には約六十隻に増え、九月は延べ約百五十隻に急増。施行後初めて昨年同期の水準を上回った。豊作だったマツタケを運ぶ船が目立つという。
 国内の損害保険会社の話では、PI保険は自動車の車両保険に当たる船体保険とセットのため、数百トン級だとPIが年間数百万円、船体はより高い年間保険料が必要。北朝鮮船に多い築二十年以上の老朽船は船体保険の加入を断ることが多く、自動的にPI保険にも入れなくなる。
 ある損保会社は「北朝鮮の老朽船は一律に断る」としており、北朝鮮船は国内損保の審査基準では、保険契約できなかった可能性が高い。
 北朝鮮船と契約した保険会社の補償能力について、国交省海事局は「契約実績や保険金支払い実績も審査し、問題ないと判断した」と説明。同省幹部は「同法改正の目的は船舶の安全性確保であり、北朝鮮対策ではない。経済制裁と絡めて論議すべきではない」と話している。


 記事末尾の国交省海事局の言葉を見るにつけ、外務省と国交省の意思疎通が為されていなかった、或いは外務省が油濁法に制裁の効果をハナから求めていなかったと読み取れる。「事実上の制裁になる」という思惑を本当に与党や政府が持っていたとしたら、甘すぎると弾ずるほか無い。油濁法に制裁の効果は殆ど無いだろうと、多くの人は予想していた。
 少なくとも制裁をより効果的にするにはどうしたらいいかに関するケーススタディとして役立ててくれと願うばかり。


自民・安倍氏、初入閣に意欲示す(読売)
 自民党の安倍晋三幹事長代理は22日、都内の専修大学で講演し、11月の内閣改造・党役員人事について、「私自身はどんな立場になろうとも、全力で小泉改革を進め、さらにきめの細かな改革にしていきたい」と述べ、初入閣などに意欲をにじませた。
 また、安倍氏は、小泉首相の靖国神社参拝で悪化する日中関係について、「中国からの公費留学生の数がまだまだ少ない。思い切って増やして、反日にならずに日本を知ってもらうよう、我々も努力をしていかねばならない」と述べ、中国人留学生受け入れの大幅拡充などによって関係改善を進めていく必要があると指摘した。


 安倍さんが拉致議連の会長代行になったら「小泉首相への挑戦だ」と断言しておきながら、上記のような話があると「入閣したら裏切りだ」とか、なぜ「一つの行動」でその人のすべてを判断しようとするのか、その思考回路は私にはよく理解できない。もちろん、「北朝鮮と国交正常化します」と言ったらそれだけで評価がひっくり返るのは分かるのだが、安倍氏のこれまでの言動を考えれば、今回入閣するかしないかと言うことが、彼の政治信条を量る唯一の試金石になるとは思えない。仮に入閣しても、それが小泉完全支持を意味するとなぜ言い切れるのか(小泉支持の人の「安倍さんが入閣したから小泉さんも北朝鮮には毅然とした考えを持っている」という意見にも、この理屈は適用できる)。「首相にならなければ何も行動できない」という理由から「反小泉は掲げない」というのは、政治家として当たり前の感覚だろうし。

 思い入れが強い相手ほど、自分の考えと違う部分が出てきたら「裏切られた」と感じてしまうのも、分からなくはないが。
 ただ、「総論賛成・各論反対」という考えを持てずに自分と全く同じ考えの人間しか認めないようになってくると、結局は「誰も支持できない」状態になってしまう。それならば自分で立候補するしかないわな。


 おまけ。
 ぼやきくっくりさんのところで紹介されていた「東海新報社」のコラム、『世迷言』。同じタイトルで書いているということもあり、親近感わくね。


軽い話題で (10/23)

 日曜日なので、軽くこんな話から。

大仁田タイゾーに自爆…事務所訪れるも不在で門前払い〜秘書がアポ入れ忘れ逆ギレ(ZAKZAK)
 頼まれもしないのに自民党の杉村太蔵衆院議員(26)の“教育係”を買って出ていた同党の大仁田厚参院議員(47)が19日午後、杉村議員の事務所を電撃訪問。だが、杉村議員は不在で門前払いを食らいトホホな結果に終わった。大きなお世話の売名行為はいつまで続くのか?
 大仁田議員は19日午後1時20分ごろ、衆院議員会館にある杉村議員の事務所前にスーツ姿で登場した。だが“教育係”を買って出たわりには20分も遅刻するいきなりの失態ぶり。その後、大仁田議員は杉村議員の秘書に書面を手渡して「大人としての対応をしてもらいたい」と申し出た。
 だが、本人不在ですぐに事務所から立ち去り、集まった約20人の報道陣の前で会見。大仁田議員は開口一番「なぜ杉村さんはいないんだ。オレよりヒマなはずだろう」と、不満をぶちまけた。
 そもそも「なぜ杉村氏にこだわるのか」と理由を問う質問に、大仁田議員は目を見開き「杉村さんは若い人に影響力がある。そういう人があいさつできないでどうするんだ。先輩であるオレが『違う』というのはおかしいのか」と意味不明な“答弁”をし、逆ギレした。続けて、「オレはまだ、一度も杉村氏に会ってない。やっぱ新人だろ。先輩にあいさつぐらいあっていいだろ。今後は杉村氏がオレのところに出向いてくるべきだ。それが筋だろう」と、強引なイチャモンをつけた。
 また、大仁田議員は当初、杉村事務所にアポイントを入れたとしていたが大仁田議員の秘書が直前まで連絡を入れていなかった不手際が判明。大仁田議員は「なんであいさつするだけでアポが必要なんだ」と、これまた逆ギレしてみせた。

 まぁ面白おかしく書いている部分も多分にあるだろうが、それでもやはり、なんで大仁田が教育係をやりたがっているのか、理解できない。佐藤ゆかりや片山さつきに教育できるほどの脳みそがないから、与しやすそうなタイゾーにねらいを定めたか?郵政の時のヘタレぶりを打ち消そうと必死なんだろうね。
 私は杉村氏を、議員として以前に社会人としての規範すらなっていないという理由から全く支持していないのだが、それでも、大仁田に狙われている部分に関しては同情してしまう。いくら何でも大仁田に教育はされたくあるまい。前国会の郵政法案採決で棄権したヘタレに何を学ぶことがあろうか。


 んで、既にもう有名になったか?この話。

朝日新聞、靖国問題で社内乱闘…40代社員が暴行(ZAKZAK)
 朝日本社で「真昼の決闘」−。小泉純一郎首相(63)の靖国神社参拝をめぐり、朝日新聞社員2人が激論の末、むなぐらをつかみ殴りかかるなどの大ゲンカに発展。暴行を受けて負傷した社員が、社内から110番通報し、警視庁築地署の署員が駆けつける騒ぎとなっていたことが21日、発覚した。不祥事続きの朝日は夕刊フジの取材に事実関係を一部認めたものの、「被害が軽微」と詳細には口をつぐんでいる。社員の一人は全治10日間のけがを負っており、立派な傷害事件なのだが…。(冒頭抜粋)

 ふだん中国や韓国の横暴に対して、或いは北朝鮮に対してすら「話し合いで解決を」と言っている者が、意見の違いで乱闘。もはやギャグでしかない。


 生物の話題二つ。

<謎の微生物ハテナ>筑波大の研究グループ、砂浜で発見(毎日)
 同じ生物なのに、半数は藻を食べて動物のように暮らし、残り半数は植物のように光合成で生きる海洋微生物を、筑波大の研究グループが発見した。このような生物の発見報告はなく、研究グループは「謎の」という意味で「ハテナ」と呼んでいる。海洋微生物から植物への進化を解き明かす可能性があり、14日付の米科学誌サイエンスに発表される。
 この微生物は長径約30マイクロメートルで、単細胞のべん毛虫の一種。和歌山県の砂浜で偶然、見つかった。この微生物は体内に藻を持ちもともとは緑色。細胞分裂して二つに分かれると、一方は藻を受け継ぎ緑色になるが、もう一方は受け継がず無色の細胞になるという特異な性質を持つことが分かった。
 無色の細胞は口のような器官が発達して藻を与えると食べることも確認した。研究グループは、これらのことから微生物の半数は親から受け継いだ藻で光合成しエネルギーを生み出す「植物型」、半数は捕食した藻をエネルギー源として生きていく「動物型」であると結論付けた。
 海洋微生物が植物に進化する過程では、べん毛虫のような微生物が藻を取り込み、藻の葉緑体だけが発達。藻のその他の器官は退化し、葉緑体のみが残ったと考えられている。
 研究グループの井上勲教授(植物系統分類学)は「“半植半獣”ともいえる生物の発見は、海中の単細胞生物が植物へ進化していくステップの一端を示しているのではないか」と話している。


 動物型と植物型に分裂する微生物…クールだ。人間も光合成できたら楽だろうな、日向ぼっこしていたらお腹いっぱいになる、てな具合に。ついでに酸素も吐いて、エコロジカル。

驚異の「鉄人」幼虫、雑誌付録に 学研が採用検討(朝日)
 零下200度の低温に耐え、濃度100%のアルコールも、沸騰したお湯の熱さもへっちゃら。驚くべき生命力をもつアフリカ産の小さな蚊の幼虫が、科学教材として来年にも登場しそうだ。「科学と学習」などで知られる学習研究社(東京都大田区)が、独立行政法人・農業生物資源研究所(茨城県つくば市)の研究に目をつけ、新雑誌の「ふろく」への採用を検討中だ。
 奥田さんらは、ナイジェリアで採取した幼虫を研究室で大量繁殖させることに成功。奥田さんのこれまでの研究では、零下197度の液体窒素に1週間▽濃度100%のエタノール溶液に1週間▽チューブに入れ90度のお湯に1時間、それぞれの状態に乾燥幼虫を置いても、水を与えると、1時間後には動き出した。
(一部抜粋)

 これまたサイバーな幼虫。人間はより進化の進んだ生物といえるが、それもソフトの面での進化に限った話。人間はソフト=脳みそを進化させた姿といえるが、昆虫さんたちはハードの面で進化を進めたと言える。筋力なんか凄まじいですからな、彼らは。このユスリカの幼虫は、その「ハードの進化」の究極の姿ですかね。太陽系が滅んでも、別の惑星系にまで浮遊して生き延びていきそうだ。
 ただ、付録はやめてくれ。日本の生態系に影響でないか心配だ。


軸が見えない前原発言 (10/20)

中国の顔色見ずに試掘を・東シナ海ガス田開発で民主代表(日経)
 民主党の前原誠司代表は19日午後の党首討論で、中国が東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を強行していることを採り上げ、「地下構造が日本につながっているようなところで、中国がガス田開発をしてどんどん吸い上げる状況になっている。春暁では後20日でパイプラインが通じ、吸い上げられる。見て見ぬふりをするのか」と小泉純一郎首相に迫った。
 また、経済産業省が帝国石油に同海域での試掘権を付与したことにも言及し、「だったら試掘するのが本筋。国連海洋法条約では既成事実を積み上げた方が勝つ。日本は中国の顔色を見ているだけではなく、しっかりと試掘して日本の権利だと主張すべきだ」と訴えた。

 これに対して、小泉首相は「中間線のガス田開発については立場の違いを乗り越えて、協調していくことが重要。こういう大局的な方針の下に話し合いで解決していこうと(中川昭一)経産相らに指示している」と述べた。

 前原さん、すんげーマトモ。というか、「協調が大事」と発言する小泉首相が腰抜けに見える。
 と思いきや、

前原民主党代表が初の党首討論、得意の外交と靖国で切り込み(ロイター)
 前原代表は、「私は、A級戦犯が合祀(ごうし)されている間は(靖国神社を)参拝しないが、亡くなった方への哀悼の気持ちは持っている」としたうえで、首相に対し「神社に行く時は頭(こうべ)を垂れるものだ。しかもポケットからさい銭を出してチャリン(と放り投げるなど)、亡くなった方に対して失礼だ」と批判のボルテージを上げた。小泉首相は、「時間切れなので、次回に譲りましょう」と述べ、討論を終えた。

 「亡くなった方に対して失礼だ」は勇ましい発言なれど、A級戦犯を持ち出した批判は「あぁまたか」という感も。ただ、その辺りは主観的問題だから、まぁ措くとしても…

「首相は参拝すべきでない」 民主党の前原代表が東京で講演(京都新聞)
 民主党の前原誠司代表が17日、就任1カ月にあたって東京の日本記者クラブで講演した。小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「A級戦犯が合祀(ごうし)されており、首相は参拝すべきでない」と強く批判した。併せて「『遷座』という手法でA級戦犯を他の神社に移すのは可能との考え方が神社関係者の中にある」として、神社本庁や靖国神社に検討を促す考えを示した。
 前原氏はA級戦犯に関して「内外で被害者を出した戦争の責任を負うけじめが必要。死後は神仏になるという考えもあるが、政治は結果責任であり、現役政治家の甘えにつながる。人生を終えても責任を取り続けるからこそ、国民の負託を受けている」と、政治家としての姿勢を訴えた。

 党首討論2日前の講演での発言を見ると、「あちゃー」という感じ。政治家の死後にもその人に対する批判行為は行われるべきだろう。むしろそれが不可能ならば歴史を学ぶこと自体が不可能になってしまう。しかし、A級戦犯は国会の全会一致を以て名誉回復が為されており、また実際に裁判を受けて死刑を執行されている。裁判が実質、戦勝国による報復リンチだったとしても、戦犯の行為を裁くという裁判の建前の元に、東条英機らは「判決の執行」を以て政治的責任はとっているのだ。前原氏の発言は、責任追及と政治的批評を混同した議論としか思えない。
 だいたい、A級戦犯を仮に分祀したとしても、中国はおそらく次には「B・C級戦犯を分けろ」と言い出すことだろう。中国を前にしては、妥協は罪なのである。

 さらには、「遷座」というのはご神体・ご祭神を他の場所へ一時移すこと。もちろん、A級戦犯込みでのお引っ越しとなるはずなのですが。靖国神社を空っぽにしたいという陰謀なのか?


 まとめてみると、前原氏のスタンスはよく分からない。岡田とか福島瑞穂とかのような一本筋が通った左巻きではなく、理解できる部分と不可解な部分を併せ持った感じ。甘い見方をすれば勉強不足ゆえのブレとも感じられる。いずれにせよ、現時点では到底支持できないというのは変わりないけども。


 「プロテクトX」さんが、10/19付エントリーで、党首討論の靖国関連部分のテキストを起こされてます。
 10/18には、うちも以前「分祀したらA級戦犯が日本中にお祭りされることになるぞ」と書いたことありますが、それを画像にしてわかりやすく説明されてます。てか、「分祀賛成派」になりそう゚∀゚)


靖国に関する私感 (10/19)

 中国は今回の参拝に対しては案外大人しいらしい。4月のような反日デモはネット上でも呼びかけされていないという。素直に考えれば、「反日デモの暴動は下手打ちゃ己の身に火の粉が降りかかる」と中共が考えた結果であろうが、マスコミさんたちは「中国はちゃんと冷静に対処してますよ、配慮してますよ」と伝えたがっている、ってのは穿った見方か。
 まぁ大人しいとは言え、内政干渉自体はきっちりとこなしてきているわけで、日本にとってそれほど差異があるわけではない。

 官房長官や一部閣僚や一部新人議員などは、小泉首相の今回の参拝が「私的参拝」であることをアピールしている。小泉首相も言葉には出さないが、態度で以て私的参拝とアピールしていた。
 それが、中国に対する配慮のゆえか、違憲判断に対する配慮のゆえか、心中までは分からない。ただ、前者であればいくら配慮しても向こうは文句を言うときは際限なく言ってくるのだから無駄であるし(いくら配慮しても向こうは暴れると言うことを日本国民にアピールすることは無駄ではないかもしれないが、そんなのは一般人にはもはや常識レベルじゃないの?)、後者であれば宗教色を完全に排除するような原理的政教分離は不可能であると主張すれば済む話。
 「政治的」感覚で言えば理解できなくもないのだが、あまりにも「他者の意見」に気を遣いすぎではないか、という気がしてしまう。

 私の個人的主張は措くとして、靖国への慰霊を首相が公式に行うべきか、或いは他の宗教施設を作るか、A級戦犯をどう扱うか、日本の意志をどう位置づけるかについては、真剣に話し合う必要があるだろう。ただし、中国や韓国の意志とは無関係な場所でそれは行われるべきだ。「他国に配慮」というのは聞こえのいい話ではあるが、自身の信念無くしての配慮は「日和見」と呼ぶべきだろう。
 日本人が靖国をどう考えるか。多くの参拝者、A級戦犯に対する国会全会一致での名誉回復、歴代首相の参拝に対し85年までは非難が為されなかったこと、これらを考えれば答えは出ているように思われるのだが、中国からの批判を経てその概念は希薄化し明確な指針が失われてしまったようにも感じる。国家に殉じた方に対する慰霊という、国の根幹に関わる問題ゆえ、国家が明確な概念を保持し示し続ける必要がある。

 小泉首相はもしかしたら彼なりの慰霊に対する概念を持っているのかもしれない。しかし、私的参拝という形を採ることで、その概念が曖昧であるように見えてしまう。政治家としては様々な配慮が必要だという意見は理解しつつも、やはり私としては、信念を明確に示した堂々とした姿を見たかったというのが正直なところだ。(10/24誤字修正「違憲→意見」)

 慰霊の方法というきわめてドメスティックな問題にさえ何らかの配慮を示さねばならないという部分に、大きな問題が横たわっているように思えてならない。


私的参拝はいいけど公式参拝も (10/18)

 1978年10月17日、いわゆるA級戦犯が靖国神社に合祀された。今日は、その27年後に行われた首相の参拝に関しての話。

 首相には国のトップとして、国のために亡くなった方に対して、ちゃんとした形での参拝をお願いしたいとは思うのだが、今回の参拝を批判する気はあまりない。拝殿前の参拝にとどめ、文字通りのポケットマネーからお賽銭を投げ入れ、二礼二拍一礼もなし。近所のオッサンが朝のジョギングの最中に神社にお参りすることに対してガタガタ言う筋合いがないのと同様、こんな「私的」を前面に押し出した参拝に批判を言う気は全くない。
 こう書くと「批判」と受け取られるかもしれないが、それはちょいと違う。私は「8月15日もしくはその他特定の日に国のトップとしてきちんとした形で参拝を行う」ことを訴えてはいるが、それ以外の日の参拝を禁ずる主張をするつもりはないし、それこそ毎日気軽に参拝してもそれはそれで構わないと思っている。あくまで、「国のリーダー」としての参拝が必要だという主張は曲げるつもりはないが。今回の参拝を以て「首相の公約していた参拝」と為すのであれば、「私的な非宗教的形式でなければ参拝できない」という事実を残すことになってしまい、それは参拝を違憲と判断した大阪高裁などの言い分を判決と同様に受け入れたことになってしまう。

 今回のような形の参拝を行うことに対して、反対はしない。ただ、「公人として堂々と参拝する日」もしっかり設けていただきたい、ということだ。

 
 さて、ダボハゼがどう反応したかを引用しまくってみる(ダボハゼを引用する拙者もダボハゼだということは認めた上で…)。

 まずは中国と韓国。
「断固反対」と中国大使 報復的措置の可能性も(共同)
 【北京17日共同】中国の王毅駐日大使は17日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を受けて「中国政府は小泉首相のいかなる形式での靖国参拝にも断固反対する」との談話を発表した。中国側が対日姿勢を硬化させるのは必至で、従来の首脳相互訪問拒否に加え、経済、文化など政治以外の分野で報復的な措置に踏み切る可能性も否定できない。
 中国では同日未明の有人宇宙船「神舟6号」の無事帰還で祝賀ムードが広がっていただけに、首相の靖国参拝で冷や水を浴びせられた形だ。新華社通信は、靖国参拝をただちに報道した。
 胡錦濤国家主席は9月3日の演説で、日中関係に多くの時間を割き対日重視を堅持する姿勢を表明。中国としては、抗日戦争勝利60周年の一連の記念活動に一区切りを付け、関係改善の機運をつくろうとしていた。


大統領の年内訪日見送り示唆=小泉首相靖国参拝で韓国(時事)
 【ソウル17日時事】韓国の青瓦台(大統領官邸)報道官は17日の記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を受けて「盧武鉉大統領の日本訪問について『検討している』と言えない状況になった」と述べ、参拝に抗議して大統領の年内訪日を見送る可能性を示唆した。両首脳は先に、盧大統領が年内に訪日して小泉首相と会談することで合意していたが、同大統領が「(日韓の)歴史問題の核心」と見なす案件で、厳しく対応する姿勢を示した。

靖国参拝に中韓反発、関係悪化は必至の情勢(読売)
 小泉首相が17日午前、東京・九段北の靖国神社を参拝したことは、中国、韓国の強い反発を招いた。
 小泉首相は、靖国参拝について、不戦の誓いと戦没者への敬意を表したいとの立場を強調した。
 しかし、李肇星中国外相が阿南惟茂・駐中国大使を呼んで強く抗議したほか、韓国も12月に予定されていた日韓首脳会談の先送りを示唆するなど、中韓両国と関係がさらに悪化するのは必至の情勢だ。

 ◆韓国が首脳会談の先送り検討◆
 【ソウル=平野真一】韓国の青瓦台(大統領府)当局者は17日、小泉首相の靖国神社参拝を受け、12月開催予定の日韓首脳会談の先送りを検討していることを明らかにした。
 両首脳は年2回程度、交互に相手国を訪問する「シャトル外交」を展開、今年は6月にソウルで開催したが、次回会談は来年に先送りされる可能性が高いと見られる。
 青瓦台報道官は同日午後、参拝について「日本政府は韓日関係と北東アジアに及ぼす否定的な影響を深く認識し、責任を負わなければならない」と指摘。その上で、盧武鉉(ノ・ムヒヨン)大統領の年内訪日計画に関し、「きょう以降は(日程を)検討しているとは言えなくなった」と述べ、中止あるいは延期となる可能性が高いことを示唆した。
 報道官はまた、11月に釜山で開かれるアジア太平洋経済協力会議首脳会議の際に検討されている日韓首脳会談の可能性についても、「特に検討したことはない」と述べた。

 ◆中国外相、異例の直接抗議◆
 【北京=竹腰雅彦】中国の李肇星外相は17日夜、中国外務省に阿南惟茂・駐中国大使を呼び、小泉首相の靖国神社参拝について、「中国政府と中国人民は強い憤慨を表明する」と抗議した。中国外相による直接の抗議は異例で、靖国問題に対する中国政府の厳しい態度を示すものだ。
 今週末で最終調整されていた町村外相訪中が不透明となるなど、日中関係への悪影響と一層の関係冷却化は避けられない情勢となった。
 阿南大使は抗議を本国に伝えるとした上で、「参拝はあくまで私的なものだ」と説明。李外相はこれに対し、「良識ある人はそのような弁明を受け入れられないだろう」と反論した。
 一方、訪中していた谷内外務次官は17日、北京で中国の戴秉国・筆頭外務次官と日中次官級の総合政策対話を実施。北京の外交筋によると、この場でも中国側は、首相の靖国神社参拝について厳しく抗議。同筋は今月23、24日で最終調整されていた町村外相の訪中決定について、なお時間がかかるとの見通しを示した。
 今回の靖国神社参拝は、11月に韓国・釜山で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)など国際会議を利用した日中首脳会談の実現や、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議での日中協力などにも影響を与える可能性がある。


 「中韓と仲良くするために靖国参拝はやめるべし」って意見がマスコミや左巻き学者を中心にあちこちから湧いているのだが、小泉さんが参拝しなかった1年10ヶ月の間に中国や韓国が何をしでかしたかをよく考える必要があろう。
 ●日中国境線付近でのガス田開発
 ●政府謹製の反日デモ
 ●常任理事国入り反対の運動
 ●教科書への不当な干渉
 ●潜水艦での領海侵入
 思いつくままにあげるだけでこんなに。靖国参拝をしていない時期であっても、中韓の行動は決して穏当になることはない。むしろ、反日デモの様子を見るにつけ、年を追うごとにエスカレートしているとも言える。「靖国参拝回避」は「日中或いは日韓友好」の十分条件ではない。むしろ他のあらゆる面において妥協を求めてくるようになり、日本の国益を損ねることこの上ないだろう。「外交をスムーズに進めるために参拝を回避せよ」という違憲は詭弁にすぎない。

 どうでもいいことだが、韓国の方はまた国旗をお食べになっているようで。

 以前にも、日の丸を食っている人がいた。大好物のようで。


 次に、どこの国の人間か分からない者たち。
<靖国参拝>野党各党は一斉に強く反発(毎日)
 小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対し、野党各党は17日午前、一斉に強く反発した。中国、韓国との関係悪化への懸念に加え、大阪高裁で9月30日、首相の靖国参拝に対する違憲判断が出された直後の参拝だけに、政教分離の観点からも批判の声が上がった。
 民主党の前原誠司代表は同日、衆院議員宿舎前で記者団に対し「極めて遺憾だ。大阪高裁で違憲判決が高裁レベルで初めて出ており、政教分離の原則からも(参拝を)考え直すべき時期に来ている。慎重な対応をしてほしかった」と述べ、無宗教の戦没者追悼施設の早期建設を強く求めた。
 鳩山由紀夫幹事長は毎日新聞の取材に「戦争を賛美するために国が作った施設だという靖国神社の本質を分かっていない。戦没者慰霊は詭弁(きべん)に過ぎず、中韓両国の国民には、日本が軍国主義に染まってきているというメッセージになってしまう」と懸念を示した。
 共産党の志位和夫委員長は記者会見で「戦後60年という節目の年に、自らの信条を国の利益の上に置く態度だ。総選挙で圧倒的多数の議席を得たことを背景に、数の力のおごりも働いているのではないか」と批判した。社民党の又市征治幹事長は「大阪高裁で違憲判決が出ているなかで、極めて遺憾だ。首相自ら憲法を踏みにじっている。意固地になって、アジアの人たちへのおもんぱかりをまったく無視している」と記者団に語った。


<靖国参拝>「非常に残念だ」 記者団に河野衆院議長(毎日)
 河野洋平衆院議長は17日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「首相の信条かもしれないが、必ずしも国民の総意を代表するものだとは受け取れない。慎重にやってほしいと思っていたので非常に残念だ」と述べた。周辺諸国との関係については「また高いハードルができてしまったのではないかと心配している」と懸念を示した。衆院議長公邸で記者団に語った。

靖国参拝、日中関係の悪化避けられぬ=自民・加藤氏(時事)
 自民党の加藤紘一元幹事長は17日午前、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「行くべきではなかったし、行ってほしくなかった。日中関係の悪化は避けられない。日本外交を展開する上で蹉跌(さてつ)をきたす」と述べ、強い懸念を表明した。山形市内で記者団に語った。

 マスコミもそうなのだが「違憲判決が出ている」という言い方はやめていただきたいものだ。あくまで「意見」としたのは傍論部分であり、「違憲判断」とするのが正しい言い方だろう。ただこれでも「判断と判決の区別」を明確にできる人が大多数というわけでもないだろうし、傍論の性質が分からない人も多いだろうから、明確に「法的拘束力を持たない違憲判断」とか「裁判官の独言でしかない違憲の意見」と長ったらしく書くべきで無かろうか。
 また、靖国神社を国が管理する多宗教の施設にしようと言うならともかく、無宗教の追悼施設という「あり得ない物」を作ることを訴えるなとも言いたい。「無宗教」なのに「追悼」するというのは、球技じゃないサッカーの試合みたいなもので、絶対に存在し得ない。その辺りの話については「過去の世迷い言」8/16付・8/20付にも書いてあります。


 一方、日本人よりも日本人らしいお言葉。さすがは塾長。
「よかった」と李登輝前総統 小泉首相靖国参拝(産経)
 訪米中の台湾の李登輝前総統は16日のニューヨークでの講演後、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したことについて「それはよかった」と語った。共同通信の質問に答えた。
 李氏は15日の共同通信との会見で「一国の首相が自分の国のために命を亡くした英霊をお参りするのは当たり前。外国が口を差し挟むべきことではないと思っている」と述べ、参拝に強く反発している中国をけん制していた。(共同)

 中国の言い分を全身に浴びたいのならば、ここがおすすめ。
朝日新聞ニュース特集「日中関係」


 以下傍論。
 中国や韓国が何を言おうと、参拝は続けるべき。中韓との外交がうまくいかなくなるという懸念があるかもしれないが、中国は自国の利益になることはやるし、ならないことはやらない。首相が靖国参拝を続けて決して屈しないということを中国が理解すれば、利益にならない靖国カードを使うことはやめて別のカードを探すことになる。中国にとって「靖国」が問題なのではなく、「靖国カードで日本がどう動くか」が問題なわけで、日本としては意志を貫徹するより良い方法など存在しない。
 だいたい、経済的に完全に切れた場合に困るのは中国も同じなのだから、日中関係が断絶状態になることはあり得ないだろう。靖国による直接的な実害がでているわけではないから、靖国参拝を元にして経済活動も遮断という実害だらけの行動は採らないはずだ。
 韓国はよう分からん。何もしなくても勝手に斜め上に飛んでいくから、配慮するだけ無駄ということは明確に言えるのだが。


拉致事件解明への契機となるか (10/17)

 負け戦なのかしら。必死で、ドイツ在住の日本人まで巻き込んで、というよりぐるになってクライン孝子潰し工作を展開しています。日本も(ドイツ同様)名誉毀損訴訟は可能で親告罪として、代理人が警視庁捜査二課聴訴班に訴えることが出来るのに。もっとも訴訟に持ち込まなくても、犯人はかなり絞りこめそう。
とか、
 私などその朝鮮総連に関する悪を堂々と指摘するものだから、成りすましを含めどれだけ嫌がらせのメールが舞い込んできているか。
 とか、被害妄想とか自意識過剰にしか見えないのだが、クラインさん。読者のメールを無批判に載せるってことで情報収集には役立つかと思っていた時期もあったのですが、あそこじゃなくても知り得る話ばかりだし、あそこ独自の話はしばしばデタラメだったりするし(デマ流しても訂正せずに平気だもんなぁ)。

 発言に対する無責任さでは同類といえる筑紫哲也、筑紫といえばTBS…と強引につないでおきまして…。
 TBS買収に関しては、堀江のニッポン放送買収の時よりも、冷静な反応が主流のようで。ただ、「TBSは左巻き報道局だから、買収されてまともになれ」という感じの意見には、全面的には承服し難い。確かにサンデーモーニングや筑紫哲也ショーのような番組もあるが、一方で「報道特集」のような番組もあるわけで。「TBS=売国テレビ局」という単純なもんでもなかろうに。


 さて本題。土曜日に書いた通り、朝日が紙面には出さなかったこのニュース。引用中心になるけれどもご容赦を。

医薬品を無許可販売、総連系など11か所捜索(読売)
 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の傘下団体「在日本朝鮮人科学技術協会」(東京都文京区)の関係者の男2人が、医薬品を無許可で販売するなどしたとして、警視庁公安部は14日午前、薬事法違反(無許可販売など)の疑いで、同協会や財団法人「金萬有科学振興会」(足立区)など関連個所計11か所の捜索を始めた。
 容疑が固まり次第、2人を同法違反の疑いで逮捕する方針。
 調べによると、2人のうち1人は昨年5月〜今年4月、薬局開設や医薬品販売の許可がないにもかかわらず、未承認医薬品セット6組を、顧客2人に対し計約9万3000円で販売。また、別の1人は今年4月〜9月、この医薬品セットについて、ホームページで「ガン、エイズを撃退する」などと広告した疑いが持たれている。
 医薬品を無許可販売した疑いが持たれている男は、製薬会社の経営者で、同社で医薬品セットを製造していたという。

 捜索を受けた金萬有科学振興会は、在日朝鮮人科学者の研究に対する助成などを目的に、同区の「西新井病院」の院長(91)が1982年4月に創設した財団法人で、事務所は同病院内にある。
 傘下団体が捜索を受けたことについて、朝鮮総連は「捜索を受けたことは知っているが、詳しい事情が分からずコメントできない」と話している。

(2005年10月14日13時32分  読売新聞)

薬事法違反 医薬品会社社長ら逮捕 朝鮮総連系団体も捜索(毎日)
 無許可で医薬品を製造販売したとして、警視庁公安部は14日、医薬品会社「エムジー製薬」(兵庫県芦屋市)社長、玄丞培(ヒョンスンベ)(69)▽インターネット関連会社「メディア・コマース・リボリューション」社長、鄭明洙(チョンミョンス)(53)の両容疑者を、薬事法違反(無許可販売、未承認医薬品の広告)の疑いで逮捕した。
 調べでは、玄容疑者は、高麗ニンジンなどから作った「不老参シルバー」の販売許可を得ていないのに、昨年5月〜今年4月、東京・世田谷の男性など2人に計6セットを約9万3000円で販売した疑い。鄭容疑者は今年4〜9月、厚生労働相の承認を受けていないこの医薬品を、自社が運営するインターネットサイトで「ガンやHIV(エイズウイルス)に効く」などと広告した疑い。
 玄容疑者は雑誌で「自分の肺ガンを手術せずに朝鮮人参で治した」と紹介され、その効能をアピールするなどしていた。
 玄、鄭両容疑者は、在日本朝鮮人総連合会の傘下団体「在日本朝鮮人科学技術協会」(東京都文京区)の副会長で、玄容疑者が財団法人「金萬有科学振興会」(足立区)の理事。公安部は、エムジー製薬に加え、両団体など計11カ所を捜索し、医薬品原料や資料などを押収した。

(毎日新聞) - 10月15日10時14分更新

 捜査に抵抗して暴れ回る朝鮮人の奮闘については、あんた何様?日記さんが10/15と10/16付日記で画像を紹介されてます。とりあえずその中から、「謝罪しる」に次ぐ造語を紹介。

 在日の新兵器「ハマーン」。響けハマ〜ン叩けハマ〜ン。
 ちなみに、捜査受けた場所はVAWW-NETと同じ住所。
 それにしても、多くの張り紙たぁ用意がいいね、誰がこいつらに捜査の情報をリークしたんだろ。

 総連側の言い分はこの通り。
〈総聯に対する政治弾圧−強制捜索〉 朝鮮出版会館襲撃 暴力的に封鎖、総聯に対する政治的弾圧の一環(朝鮮新報)
 日本の警察当局は14日、科協に対する強制捜索を口実に朝鮮出版会館を封鎖し、約5時間にわたって会館内の業務を中断させる行為を敢行した。警察当局は弁護士の再三にわたる立会い要求を完全に無視したばかりか、病人や妊婦をも入れなくした。

弁護士の立ち会い拒否

 警察当局は13階建ての出版会館建物のわずか一部屋を捜索するのに100人以上の警察官を動員した。

 警察当局は「捜索理由を明らかにせよ」「わざと騒動を起さないでほしい」という出版会館側の断固とした抗議を無視し機動隊を発動させた。不純な政治的目的をもって敢行しようとする捜索に対し、会館を守ろうとする職員らを捕まえ、首を締め引きずり倒し、暴力的に押しかけ、入口を封鎖した。
 機動隊は電動のこぎりや斧、棍棒、警棒で武装し、職員らを威嚇した。会館内のある女性事務員は、斧で殴られそうになった。手足に傷を負った職員も多い。若い男性職員らは、服を引き裂かれ、めがねや所持品を破損させられた。
 また、機動隊は会館入口にバリケードを張り、2重、3重にならんで封鎖し、会館前の歩道も通れなくした。さらに、約20台の車両で会館を囲み、物々しい雰囲気を煽り立てた。
 そればかりか、長時間が過ぎたので女性が手洗いに行けるように責任者に取り次いでほしいと再三要求したが、報告しに行った警官は5分後に来るといい残して2度と戻ってこなかった。

43点押収
 捜査官らは、午前10時13分から午後1時22分まで、科協の黄附^会長一人だけを立ち会いさせ、科協事務所内を捜索し、被疑事実と何の関連もないコンピュータ、会議録、ネームプレートなど43点もの各種資料を押収した。
 会長が捜査官に対し「関係のない物は持っていくな」と指摘すると、ある捜査官は関係の有無は自分たちが判断すると言いながら手当たり次第、押収しようとした。

朝・日友好に水差す

 被疑事実と何の関係もない総聯の傘下団体に対する強制捜索は、総聯のイメージを曇らせ、総聯と在日同胞を離間させようという明らかな政治的弾圧であり、朝・日友好親善に水を差そうとする陰謀である。

 この日、警察官と公安関係者らは早朝から会館周辺を巡回しており、テレビ局を含む記者たちも9時前から会館入口に待機していた。大々的な演出で周辺住民ら日本市民の総聯に対するイメージを悪くさせようという意図が明々白々だ。
 看過できないのは、公安部と一部極右新聞が結託して、拉致問題と総聯を関連させようとしていることだ。
 日本のメディアは「総聯の不正が明らかになるだろう」「病院関連施設に日本市民が監禁されていた」としながら何ら関係のない総聯を誹謗中傷している。
 日本警察当局の不当千万な会館襲撃に各地同胞、活動家らは怒りの声を上げている。

 「差別されてる朝鮮総連」という構図を作りたいのだろうが、朝鮮総連がヤクザな組織だってことはもはや日本の常識。差別され虐げられている存在が逆に我が儘放題が可能であるという事実に、多くの日本人は単純に疑問を持ち始めているのでね。
 薬事法違反容疑についての捜索なのにここまで抵抗するという様相が、我々としては非常に奇異なものに映る。具体的に言えばオウム真理教が強制捜査を食らうときの様子とそっくりであると感じる。つまり、「やましいことが他にもたくさんあるのだな」と私たちは認識するのである。

 実際に、西新井病院は拉致の舞台であることが疑われている。

北朝鮮系病院を捜索 関連会社の薬事法違反容疑(産経)
 警視庁聴取 「藤田さん拉致関与」病院関係者が説明
 北朝鮮系の総合病院「西新井病院」(東京都足立区)が関係する会社が無許可で医薬品を販売していた疑いが強まり、警視庁公安部は十四日、薬事法違反容疑で病院内にある財団法人「金万有科学振興会」や兵庫県伊丹市の製薬会社など関係先計十一カ所を家宅捜索した。病院関係者が、特定失踪(しっそう)者問題調査会(荒木和博代表)が「拉致濃厚」としている藤田進さん=当時(19)=について「拉致に関与した」などと公安部の任意の事情聴取に説明しており、藤田さん失跡についても慎重に捜査を進める。
 ほかに捜索を受けたのは、財団法人「在日本朝鮮人科学技術協会」(文京区)など。
 調べでは、西新井病院が関係する会社は昨年五月から今年四月にかけ、厚労相の許可を受けないまま医薬品を販売。さらにがんやエイズを撃退すると効能をうたった広告を、インターネットに無許可で掲載した疑い。
 同病院は昭和五十八年に平壌に、総合病院を北朝鮮側と合弁で建設したことで知られ、病院長は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中枢とも関係が深いとされる。
 一九八七年の大韓航空機事件で服毒自殺した北の工作員「蜂谷真一」こと金勝一=当時(69)=の偽造旅券に使われた旅券情報を入手したとして、公安部が行方を追っていた在日韓国人の李京雨工作員が昭和六十年、肝臓がんで一時、同病院に入院していた。李工作員はその後、北に帰国して病死したとされる。
 藤田さんは東京学芸大一年生だった五十一年二月七日、「警備員のアルバイトで新宿に行く」と埼玉県川口市の自宅を出たまま失跡した。
 特定失踪者問題調査会が昨年八月、北朝鮮による拉致の可能性を否定できないとして、藤田さんを「拉致濃厚」と発表。家族が国外移送目的略取罪で刑事告発していた。公安部は政府による拉致認定を視野に捜査を進めている。
≪物証なく、慎重に捜査≫
 「藤田さんの拉致に関与した」−。警視庁公安部の任意の事情聴取に、衝撃の“告白”をした西新井病院関係者の発言の真偽は「物証が何もなく不明」(警察幹部)。だが、同じ人物とみられる男は、特定失踪者問題調査会に平成十五年一月、匿名で電話をし、同様の証言をしたうえ「名字は『チョウ』で貿易業を営んでいる。日本人です」と話したとされる。
 昨年十二月には、調査会側と面談。「西新井病院関連の千葉の保養所に一時監禁されていた藤田さんを車で新潟に連れていき、(北朝鮮の工作員の)男に引き渡した」と具体的に証言している。犯行に加担した理由については「脅された」と説明、反省の言葉を繰り返したほか、病院の内情について話した。
 男は日本のパスポートを提示したが身元は確認できなかったという。
 公安当局者は「病院関連の車の運転手をしていた人物」と指摘する。
 だが、十四日の家宅捜索には、男の証言の中にあった保養所などは含まれず、警視庁幹部は「あくまで薬事法違反の捜査」と強調。別の捜査関係者も、「男の供述に関心はあるが、何も具体的な証拠が示されておらず、内容を精査する必要がある」と慎重な姿勢を崩していない。
(産経新聞) - 10月14日15時15分更新


 25〜35年前、拉致事件が頻発していた当時、千葉県海上町周辺は、在日の企業・従業員が多く関わる「砂鉄」「水あめ」生産の盛んな土地であり、それらは「大町ルート」によって新潟・富山へ輸送され、そこから北朝鮮に輸出されていた。また、朝鮮総連直営のパチンコ店も、大町ルート上には多く存在している。「大町ルート」と北朝鮮の拉致工作は深い関わりがあると考えられている(参照:電脳補完録の「大町ルート」に関する資料「aoi blog」より真鍋貞樹氏の講演内容、大町ル−トに関する部分)。西新井病院も、この大町ルート上に存在しており、その保養所も大町ルートの起点近くにあるという。ここに、「今回の家宅捜査を契機に、拉致実行の実態がいくらかでも明らかになれば」という期待が生まれる。可能ならば、朝鮮総連自体にも切り込んでいき、破防法の適用まで漕ぎ着けることができればとも思う。

 北朝鮮との交渉を前に、「そっちが我が儘言うなら総連を潰すぞ」という牽制の意味を込めた、官邸のゴーサインを受けた上での家宅捜索……であるならば、今後の政府の動きに多少の期待もできる。逆に官邸の圧力を跳ね返しての公安の活躍とすれば、公安の頑張りにはエールを送れど先行きには不安を覚えることになる。まぁいずれにせよ憶測にしかならないのだが。
 もちろん、野中を退場させたり古賀の影響力をそいだのは小泉首相の功績であり、それが今回の捜査に繋がっているという見方はできよう。ただし、それが結果的な物なのか能動的な行動のゆえなのか、或いは北朝鮮問題に絡んでの行動なのか他の理由なのか、それが分からないゆえ一概には賞賛できぬ。

 朝鮮総連に斬り込まないことには、拉致事件は解決できない。朝鮮総連が事実を知っているからと言うだけではなく、朝鮮総連に毅然とした態度を示せるだけの覚悟を持たねば、本国北朝鮮との対峙も覚束ないだろうという意味もある。
 最も恐れるのは、「捜査したけど拉致関連の話は裏付けできませんでした」という結果。「朝鮮総連は拉致と関係ない」ってことで手打ちになるのがいちばん怖い。


 おまけ。
小泉首相、靖国神社を参拝(読売)
 小泉首相は17日午前、東京・九段北の靖国神社を参拝した。
 同日から始まる靖国神社秋季例大祭に合わせての参拝とみられる。
 小泉首相の靖国参拝は2004年1月1日以来で、2001年4月の首相就任以降、5回目。
 首相の靖国参拝については、A級戦犯が合祀(ごうし)されていることを理由に、中国や韓国が参拝中止を求めていた。


 やはりこの時期に参拝してきましたな。


一言だけ (10/15)

 更新は日曜日か月曜日になります。朝鮮総連系の病院への家宅捜索についても、そのときに書きます。
 しかし、一つだけ言わせてください。

 朝日新聞10月15日付朝刊(名古屋版)に、全く記事が載っていないのはどういうことだ?1面から隈無く見てみたが、まったく記事がないぞ!(もし「こっそりとここに載っていた」というのがありましたらお教え下さい)


安倍さんはどういう考えだろうか (10/14)

安倍晋三自民幹事長代理が会長代行に−拉致議連(電脳補完録)

 いくつかのサイト・blogで話題になっている。概ね、安倍さんの会長代行就任を歓迎する論調。私も、安倍さんが拉致議連を取り仕切ることに反対の気持ちなど持とうはずがない。膠着状態の拉致問題に、一筋の光明を見る気持ちでもある。

 ただ、これを「安倍氏の小泉氏への挑戦の気持ちの表れ」と見るのはどうなんだろ。果たして安倍さんの心中や如何に。次の内閣改造で安倍氏がどのようなポストに置かれるのか(逆に言えば安倍氏がどのようなポストを受け入れるのか)或いは無役となるのか、その辺りが明らかにならないことには、はっきりした判断はつけられない。
 別に推測として間違っているというわけではないし、むしろ私も「安倍さんには小泉さんと対立してでも正しいと考える主張をしてくれ」という気持ちを持ってはいるが、まだ「事実」と断定する気はない。そういえば、「先の衆院選の本質は、小泉や武部、飯島が仕組んだ拉致問題の封じ込めだ」なんて意見も見かけたが、何を根拠に「断言」できるのか、不思議でしょうがない。「本質」という言葉を多言する人は、往々にして本質を理解できていないように感じる。

 そもそも、小泉首相が日朝国交正常化を進めたがっているのかどうかについても、私は疑問に思っている。もちろん、「国交正常化へ向かわないように」と論陣を張ることには何の意義もないのだが、小泉首相が現時点でそれを望んでいるのかどうかは、はっきり言えば私には断言できない。おそらく一回目の訪朝の頃は日朝国交正常化を望んでいたとは思う。しかし、世論の動向に対する嗅覚は人一倍の小泉首相が、現状で国交正常化を断行しうるのかという疑問が、頭から離れない。山崎拓は正常化したがっている様子ありありだがね。

 こんなニュースもあるから、「国交正常化はあり得ない」と呑気に構える気つもりも無いのだけれど。
「遺骨」返還で柔軟姿勢 日朝協議前に北朝鮮高官(共同)
 【平壌13日共同】北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)外務省アジア局副局長は13日、日朝政府間協議再開を前に平壌市内で共同通信と会見、別人のものと鑑定された拉致被害者横田めぐみさんの「遺骨」について、日本政府が返還できないなら、鑑定調査の詳細などの説明を聞く用意があるとの柔軟姿勢を示した。小泉純一郎首相が3回目の訪朝を希望するなら歓迎する意向も表明。拉致問題で手詰まり状態の日朝関係の局面打開を探り、政府間協議を国交正常化交渉につなげたいとの判断があるとみられる。
 昨年11月の第3回日朝実務者協議以降、日朝関係の実務責任者である宋副局長が日本メディアと会見するのは初めて。政府間協議の時期、場所については「当初は10月中旬に平壌で」と日本側に伝えたが、「まだ決まっていない」とした。


 おまけ。
毒キノコ 公邸で小泉首相が発見、騒ぎに(毎日)
 首相公邸の前庭にキノコが自生しているのを小泉純一郎首相が見つけ、13日発行のメールマガジンで紹介した。しかし、これが毒キノコの可能性が高いことがわかり、ちょっとした騒ぎになっている。
 公邸玄関脇のシラカシの根元に4センチほどの茶色の傘を広げたキノコが数本生えていた。シラカシは今年初めに植えられたもので、樹木か土に菌が紛れ込んでいたようだ。首相は12日朝にキノコを見つけ、メールマガジンでは「食べることができるのか早速調べてみたい」と楽しみにしていた。
 ところが、官邸職員が図鑑で調べてみたら毒キノコの可能性が高いことが判明。首相も13日夜、記者団に「まさか官邸に毒キノコなんて」とビックリ。官邸事務所は14日にも専門家に調査を依頼し、毒キノコなら処分する方針。


 一国の首相が毒キノコで倒れたなんて洒落にもならないので、気をつけてください。


発言の責任よりも発言の自由だとさ (10/13)

NHK特番問題:弁護士ら申し入れ「朝日は正当性主張を」(毎日)
 NHK特集番組が政治家の圧力で改変されたと朝日新聞が報道した問題で、朝日が「記事に不確実な情報が含まれ、反省したい」との見解をまとめたことに対し、「報道・表現の危機を考える弁護士の会」(梓澤和幸・代表世話人)は11日「記事には真実相当性があり、朝日は正当性を堂々と主張すべきだ」とする秋山耿太郎(こうたろう)社長あての申し入れ書を提出した。同会は「記事の核心部分は真実だった。記者が真実と信じた相当の理由以上の裏付けが調査報道に必要だとなると、記者の意欲をそぎ、ジャーナリズムの権力監視機能を減退させることにつながる」などと指摘している。

 何故「記事には真実相当性がある」と断定できるのか、この弁護士会は何か証拠をつかんでいるのか、全くもって不明である。そう断言する証拠があるなら、朝日新聞になりかわってその証拠を示せばよいのだが、それはしないらしい。まさか朝日の主張のみを根拠に「証拠がある」としているわけではなかろう、仮にも弁護士になるだけの脳みそがあるのなら。

 …と思いきや、梓澤和幸という弁護士のホームページを見てみると、このページで「NHK問題」と題して意見を主張している。何やかんや書いてあるが、安倍・中川両氏が「日本の前途と歴史教育と考える若手議員の会」という「特定のイデオロギーに染まった政治家である」ということと、「南京虐殺や従軍慰安婦問題は事実である」という中韓の主張そのままの歴史観によって、朝日寄りの思想・思考を開陳しているにすぎない。政治的圧力の問題を云々するならば、中川氏がNHK側といつ面会したのか、NHK側が修正作業を行ったのはいつなのか、が明確に分からねば証明できないのに、それらを無視して「こういう思想の政治家がそれに反する番組に対してイチャモンをつけた」という見方のもと、「思い込みと決めつけ」で論を進めているから話にならない。

 朝日の主張に「相当の理由」など存在しておらず、ゆえにこの弁護士軍団の意見は全く意味を為さない。彼らの主張は、「新聞社が真実だと信じれば捏造だろうと思い込みだろうと記事にして構わない」と言っていることになる。

 「発言には責任が伴う」のは当たり前のことだが、彼らの考えとしては、「責任を意識することで発言することに対して萎縮してはならない」、つまり「発言の責任よりも発言の自由を優先する」という、典型的なサヨク的人権派の考え方だ。
 戦後民主主義が人権の概念をより普遍的に浸透させたということで、人権に関心を強く持つ人種はどうしても戦後民主主義=サヨク思想に固まってしまうのかねぇ。


 なお、梓澤和幸という弁護士。鳥取県の人権救済条例に反対するなど、HPを眺めると肯ける意見も多少あるのだが(それでも反対の理由はおそらく私とは全く違うと思われる)、どうにも「サヨク的歴史観」が視界を曇らせているようで、有事法制に関する文では、一番はじめに「韓国弁護士の話」を持ってくる始末。日本の主権の問題で、なぜに韓国人が口を出す必要があるのか。

 さらに梓澤和幸について述べておくと、彼はあのイラク3バカ帰国の際の(本人不在の)記者会見を取り仕切った男であり、「3人はPTSD」などと、とても信用できない主張をした人物。(本当にPTSDだったら80人を前に講演なんてできねぇだろ、高遠)
イラクで市民誘拐 帰国会見、本人出席できず
 18日午後10時から羽田東急ホテルで開かれた“イラク人質事件”の記者会見は、3人のご家族と弁護士(家族側の代理人の中心=梓澤和幸弁護士)などのサポートグループ、精神科医のみの出席となり、本人たちは出席できなかった。

 「報道・表現の危機を考える弁護士の会」は、8月5日付けで自民党に「朝日新聞社に対する取材拒否を撤回せよ」という要請文を出しているが、賛同者の中に梓澤和幸がいるのは当然だし、大谷昭宏や喜納昌吉はいいとしても、九郎政宗 (「CLick for Anti War」主宰)の名を見てちょっと驚いた。


 ともかくも、弁護士軍団による朝日の援護射撃のニュースでございました。朝日ももう有耶無耶にしたいだろうし、援護射撃はよけいなお節介でしかないんじゃないのかな。


 おまけ。
元彌 また“お騒がせ”プロレスに参戦
 狂言師の和泉元彌(31)がプロレスデビューする。きょう12日にも本人が参戦会見を開く。舞台となるのはエンターテインメント路線を進める「ハッスル」で、主催のドリームステージエンターテインメント(DSE)が以前から獲得に乗り出していた。注目のデビュー戦は11月3日の「ハッスル・マニア2005」(横浜アリーナ)でレイザーラモンHGやインリン様らと競演する。
 むかし彼が能楽協会を追い出された頃、スーパー歌舞伎に倣ってスーパー狂言とか電流爆破狂言とかやればいい、ってこの欄で書いたのだが、何年か経ってそれが現実になろうとはなかなかに感慨深い(電流爆破はやらないって?)。


状況を作り出す国に (10/12)

 北朝鮮への対応を早急に行えと言うのは、拉致被害者家族がご高齢だから、或いは拉致被害者を早く救出せねばならないから、というだけではなく、北朝鮮に「対策」を立てる時間を与えるべきでないという理由もある。

 私は、経済制裁を即時断行すべしという意見ではない。経済制裁の「恫喝」としての威力を上げるために憲法改正など国内問題を整備してから制裁すべきだということはここで何度も書いてきた。ただし、アメリカや国連が「核」に関して制裁を行うようであるならば、拉致問題が埋没しないようにそれより前に日本が「拉致」に関しての制裁を行わねばならないということも、ここで書いてきた。「早急に行動を」というのは経済制裁に限った話ではなく、日本政府が拉致に関して精力的に行動する姿勢を示すこと全般を指す。そういった姿勢を見せることが、すなわち北朝鮮への牽制になるし、うまくいけば北朝鮮を日本のペースに巻き込むことが可能であるはずだ。現状は、まるっきり北朝鮮ペースで動いていると言わざるを得ない。

 いずれにせよ、先手を打たねば日本の意思など表明できようはずもないし、仮に他国の協力を得るにしろ先手を打つことで初めて主導権が握れる。「状況をよく見て」というのと、「状況に任せて」というのは、全く似て非なる物だ。

 経済制裁に慎重であるべきと言う意見、とりわけその理由に「日本単独では効果がないから」という意見に対して、もしそれを肯定するとしても、日本政府が「経済制裁を行うための準備」をしているとは到底見えない。小泉首相が「国交正常化を望んでいる」かどうかは心中までは読めないので措くとしても、積極的に動きを作ろうとしていると見えないのは事実だ。確かに国連で拉致が取り上げられたり、アメリカが制裁の動きを見せたりしてきているが、それは日本政府が積極的に働きかけて状況を作ったゆえではあるまい。アメリカはアメリカの論理で、国連は国連の論理で動いている。むしろ、増元さんらがアメリカに渡るなど「被害者家族や民間組織が動いた結果」というべきではないか。

 郵政法案の是非を国民に問うたように、拉致問題に関しても国民に語りかけてほしいのです、小泉首相には。


 日本の動きが鈍い間に、北朝鮮への援助網が形成されつつあるようだ。

韓国、増える北支援 米との亀裂、鮮明に(産経)
 韓国の今年の直接支援はコメ五十万トン、肥料三十五万トンで一兆ウォン(約一千億円)超。民間支援は薬品から農機具まで六千万ドル(約六十六億円)で、盧武鉉政権の二年半で二兆三千五百億ウォン(約二千三百五十億円)、これは金大中前政権の一兆二千六百億ウォン(約千二百六十億円)をはるかにしのぐ。
 最近は、朝鮮労働党創建六十周年(十日)の芸術公演「アリラン」に韓国から約一万人が訪朝。北朝鮮に落とす外貨収入は一千万ドル(約十一億円)が見込まれるなど、有形無形の支援は拡大の一途だ。
 韓国統一省は「同胞への当然の支援であり国際支援とは立場が違う。また北朝鮮が人道支援を断ったのは緊急支援の時代は終わったからで、いまは開発支援を希望しているのだ。韓国は農業や畜産など技術支援を行う」と主張している。
(一部抜粋)

 韓国だけではない。

中国、対北投資が活発化 経済安定で脱北者抑止?(産経)
 中朝の経済交流は、昨年あたりから急速に拡大している。中国側の統計によると、昨年の中朝貿易は、総額で約十四億ドルと、前年から約四割増えた。また、韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、中国企業の対北朝鮮投資は、昨年八千八百五十万ドルと、対前年比で実に約七十倍となった。
 具体的な金額は不明だが、中国による無償援助も増えている。朝鮮中央放送は五日、金正日総書記が中国の無償援助で平安南道に完成したガラス工場を竣工式を前に事前視察したと報道。金氏は「中国政府はわが方が試練を経験している困難な時期に近代的なガラス工場を提供してくれた。兄弟的な友情をありがたく思う」と述べた。(一部抜粋)

 これで、「北朝鮮に援助するなんて…」と中韓を非難することはできない。彼らには彼らの論理がある。それを制することができなかった日本政府のあり方こそ問題にすべきだ。後手に回っているから、先に「状況を作られる」のだ。
(小泉首相が動けない理由は、日本に軍事力がないとか国交正常化したいとか松茸もらったとか、そういうところとは別次元にあるんじゃないかとも思えるのだが…いずれこれについて書くかもしれない。)


 日本政府には以下のことをまずお願いしたい。
1.拉致事件の解決のラインをどこに置くのか明確に示してほしい
  当然、「すべての特定失踪者を含めた被害者を北朝鮮が帰すこと」とすべき
2.特定失踪者について早急に拉致被害者認定を進めてほしい
  そのために、「調査会」に該当する政府組織を作ってほしい
3.憲法改正やスパイ防止法、自衛隊の国軍化などの国内整備を早急に進めてほしい
  その際、拉致事件解決にそれらがどう必要なのかを国民に積極的に説明し支持を得てほしい

 こうして日本国内を固めた後に、
4.拉致事件を旗頭に北朝鮮の人権問題を国際的に訴え、日本の行動に対して国際的支持を得る。
5.ルーマニアやタイなどの他の拉致被害国との連携を模索する。

 あくまで1〜3の後で、4と5。自国のことが片付いていないのに他国に協力要請なんかしても笑われるだけだし、日本の立場が埋もれてしまって不利益を被る結果になり得ない。一昨日書いたように、まずは日本が自分の足で立つこと、これがまず原則。

 そして、私たち国民は、「ポスト小泉は拉致問題に精力的に取り組む人物でなければ支持しない」という意見でコンセンサスをとるようにしなければならない。あと1年で小泉首相は辞める、また退陣を訴えてもその実現可能性はほとんどゼロ、ゆえに「その後」を睨んだ意見展開をしておいた方が建設的ではなかろうか。私も小泉首相は拉致問題に関しては全く支持していないのだが。
 そして、「日朝国交正常化反対」という意思表示も必要か。まさか現時点において小泉首相がそれを強行するとは思えないのだが……甘いかな。


 その前に、このカルトどもを何とかせにゃならないな。
公明党:永住外国人地方選挙権付与法案、今国会に提出へ(毎日)
 公明党は11日、日本に永住する外国人に地方選挙の選挙権を付与する「永住外国人地方選挙権付与法案」を今国会に提出する方針を決めた。同法案は衆院解散で廃案になっていた。与党内では自民党に慎重論が根強く、公明党単独で法案を提出する見通し。



 一昨日の予告通り、日本赤十字のパキスタン地震への義捐金募集について。
1.受付方法
    郵便振替
2.口座名義
    日本赤十字社
3.口座番号
    00110−2−5606
4.受付期間
    平成17年10月11日(火)〜11月30日(水)
5.通信欄の記載
    振替用紙の通信欄に「パキスタン北部地震災害」と明記して下さい。
6.振替手数料
    振替手数料は免除されます。

 個人的感情として言えば、北とつながりのあるパキスタンよりもインドの方の被害に援助したい気分なんだがね。


憲法改正を待ち望む (10/11)

 現行憲法の前文。
 日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,われらとわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と,わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し,政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し,ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであつて,その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基くものである。われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは,いづれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて,政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は,国家の名誉にかけ,全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。


 新憲法前文の原案。
 日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に、天皇を国民統合の象徴として戴き、和を尊び、多様な思想や生活信条をおおらかに認め合いつつ、独自の伝統と文化を作り伝え多くの試練を乗り越えて発展してきた。
 日本国は国民が主権を持つ民主主義国家であり、国政は国民の信任に基づき国民の代表が担当し、その成果は国民が受ける。
 日本国は自由、民主、人権、平和、国際協調を国の基本として堅持し、国を愛する国民の努力によって国の独立を守る。
 日本国民は正義と秩序による国際平和を誠実に願い、他国と共にその実現の為協力し合う。国際社会に於いて圧制や人権の不法な侵害を絶滅させる為の不断の努力を行う。
 日本国民は自由と共に公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実をはかり教育の振興と文化の創造と地方自治の発展を重視する。自然との共生を信条に豊かな地球環境を護るため力を尽くす。
 日本国民は大日本帝国憲法及び日本国憲法の果たした歴史的意味を深く認識し現在の国民とその子孫が世界の諸国民と共に更に正義と平和と繁栄の時代を内外に創ることを願い、日本国の根本規範として自ら日本国民の名に於いて、この憲法を制定する。


 前文よりも一つ一つの条項の内容がどうなるかの方が問題、とりわけ9条がどう変えられるかに関心があるので、あんまり前文には関心がないのだけど…しかし、「太平洋と日本海の波洗う美しい島々に」は悪くないね。「日本海じゃないニダ!東海ニダ!」とかホザいてる国への牽制にもなりそう゚∀゚)

 しかし吉田ドクトリンの精算にこれだけ時間がかかるとは、もしかしたら吉田茂本人も思っていなかったかもしれない。「金が儲かるなら不平等条約でも結ぶ」という考えのもと、経済を何より優先した吉田ドクトリンは、鳩山・岸が改憲を成せなかった後、池田・佐藤の代で世界二位の経済大国となることである種の完成を見た。小笠原変換・沖縄返還といった戦後処理も終わり、佐藤の次の内閣で日本の本来の意味での自主独立=自主憲法制定に動くべきだったのだが、田中角栄によって「経済優先主義」が「政治による利権分配」へと歪められ今に至っている。
 確かに、自由や平等の概念を浸透させ経済的に豊かな生活をもたらしたという点において、戦後民主主義や吉田ドクトリンは一定の役割を果たしたとは言うべきだろう。しかし、今や義務を無視して自由を主張するアホが跋扈し、国民のみならず国家すらもその責務を忘れかけている始末。一定の役割を果たしたとは言え、戦後民主主義はもはや舞台を降りるべき時期に来ているのは明白だ。むしろ、遅すぎたくらいだ。

 さはあれど、憲法改正の動きが少しづつ進んでいるのは、何も進まないよりは歓迎すべきか。憲法を変えるだけですべてが変わるとは毛頭思わないが、国民としての責務や自主自立の気風が育つきっかけにはなるだろうし、そうせねばならないだろう。

 そういえば、昨日の筑紫爺さんの番組で、「9条改正に肯定的な人・否定的な人が半々」てな世論調査の結果を報じていた。反日メディアの攻勢もどんどん強まるんだろうが、こういった問題こそ、政治家の方たちが改憲の必要性についてきっちり説明して支持を広げてほしいものだ。


国家としての立脚がやはり原則 (10/10)

 別にアホみたいに忙しいわけでもないのだが、何だか仕事に対して気合いがいつものようには入らない。というか、際限なく寝ていたい状態。早くも更年期だろか、30前なのに。そういえば性欲が完全消滅したような気も…。


パキスタン地震、死者1万9千人超…3万人強死亡説も(読売)
 8日に発生したパキスタン地震による死者は、少なくとも2万人以上になりそうだ。JICA専門家の日本人も犠牲になった。記事を見ると、カシミールが多く被害を受けているようで、山岳地帯ということもあり救助は難航していることだろう。ということは、まだ把握されていない被害者がたくさん存在するということになる。なんとも痛ましい話だ。赤十字社が義捐金募集を始めたら、当欄でもお知らせしたいと思う。


 さて、久々にこの人の話。
野田聖子氏も郵政法案に賛成へ(日経)
 郵政民営化関連法案に反対した無所属の野田聖子元郵政相(岐阜1区)は9日、岐阜市の事務所で記者会見を開き「法案反対という自らの政治的主張は完敗した」と述べ、郵政民営化関連法案に賛成する意向を示した。
 野田氏は賛成へ転じる理由として、与党大勝の選挙結果を挙げ「法案が完ぺきなものでなくても、民営化のスピードを上げろという国民の声として理解した」と話した。
 自民党本部から衆院選挙区支部の解散を求められたことについて、野田氏は「やむを得ない」とし、解散準備を進めていることを明らかにした。予想される除名処分は「仮の話なので答えられない」とした。
 野田氏は7月の衆院本会議の採決では反対票を投じ、衆院選でも「法案には未熟な点が多い」と指摘していた。
 選挙後、自民党岐阜市連が野田氏に「選挙結果を踏まえて判断してほしい」と法案に賛成するよう求める要望書を提出するなど、地元でも賛成への転向を求める動きが活発化していた。〔

 野田氏は、郵政法案賛成派として送り込まれた佐藤ゆかりの向こうを張って前の選挙では当然した。郵政賛成の佐藤ゆかりvs郵政反対の野田聖子という構図での戦いであったという印象を私は持っている。当然、「郵政法案に反対だから」という理由で野田氏に投票した人も多かろう(郵政に関係なく野田氏に入れた人も勿論いようが)。ここに来て「賛成」に回るというのには、やはり違和感を覚えてしまう。
 いろんなしがらみがあるのではあろうが。


 次は、3日前のこのニュース。
3元米兵の妻は拉致女性 レバノン・ルーマニア・タイ人 北の犯行規模裏付け(産経)
<曽我ひとみさん>タイなど3カ国の女性被害者の存在証言(毎日)
 北朝鮮による拉致被害者の支援団体・救う会は7日、拉致被害者の曽我ひとみさん(46)が、拉致されたタイ、ルーマニア、レバノンの女性3人と平壌で一緒に暮らしていたなどと話していたことを明らかにした。いずれもジェンキンスさんと同様に北朝鮮に脱走した米兵の妻となっていた。同会によると、タイとルーマニアの被害者の存在が判明したのは初めて。
 救う会メンバーが今年5月、曽我さんと新潟県佐渡市で面談した際に語った。3人は78年7月に、それぞれ「日本へ行く」などとだまされ拉致された。
 タイの女性は、仕事でマカオにいて連れて来られ、80年に米兵の男性と結婚したが3年後に男性が死亡した。ルーマニアの女性はイタリアで絵を勉強中だった。結婚し2人の男児をもうけたが、97年がんで死亡した。レバノンの女性は同国内から拉致された。政府が抗議し、79年11月にともに拉致された他の3人のレバノン人女性と帰国したが、その後自分の意思で北朝鮮に戻ったという。
 曽我さん一家と拉致された女性3人の家族は、84年以降に平壌の同じ2階建てアパートに入っていたという。
 曽我さんは拉致直後の78年10月ごろ、平壌市内の墓地を参観した際、指導員と一緒にいた増元るみ子さん(行方不明時24歳)とみられる女性を目撃したとも話している。


 他の国の人間が拉致されていることをことさら取り上げるのは、実はあまり気が進まない。日本人救出も実現できていないのに、他の国のことなんて気にする資格も余裕もないと考えるからだ。そりゃ他の国の拉致事件も解決するといいねとは思うが、何よりも日本人が優先。それは偏狭でも何でもなく、「身の回りのことがしっかりできないのに他人のことを気にするな」というごく常識レベルの話であろう。

 だが、取り上げざるを得ない。「この件をきっかけに北朝鮮の拉致という犯罪行為を国際社会にアピールせよ」と書かなければならない。本来はこのような件に関係なく、日本が己の意志で為すべきことを粛々と為すのみであろうが、今の日本には「国際的な流れ」がなければ動けないように見えてならない。正直に言えば、政府の取り組みの遅さに「自主解決は無理じゃないか」という思いが強くなりつつあるため、利用できる話にはすぐに飛びついてしまう状態になってきている。

 ただ忘れてはならないのは、他国の拉致被害を取り上げようと北朝鮮の人権侵害を取り上げようと、日本が自身の意志を明確に示さねば、流れに身を任せるばかりで日本の利益は全く得られないこともあり得るということ。仮にアメリカ頼みであっても、日本が本気であることが示されねば、アメリカも本気で協力はしない。ましてやアメリカが真の友人として協力してくれる保証などどこにもない。日本が方針を明確に定めていなければ、論点を拡散するだけで終わってしまう可能性が高まるだけだ。
 と、やはり原理原則に戻ってくる。日本が自主自立の道を踏み出すこと、これが拉致問題解決の必要条件であると。それが為されるならば、引用した記事のような話がそこで初めて「武器」となりうる。

 憲法改正、自衛隊の国軍化、スパイ防止法の制定、諜報組織の発足、パチンコ業界へのきちんとした課税、朝鮮総連の解体、経済制裁…やらねばならないことはたくさんある。しかし、憲法に関してはようやく具体的に動きが見えてきた感があるが(文章末に産経の記事を引用)、全体的にやはり動きは鈍いと思わざるを得ない。


 ってことで産経の記事の引用で終了。

自民新憲法草案前文 天皇・国防の意志盛る 日本らしさ表す(産経)より。
 自民党が立党五十年記念大会で報告する新憲法草案の前文原案が明らかになった。同党新憲法起草委員会の「前文」小委員会(委員長・中曽根康弘元首相)が七日の会合で提示した。天皇を前文に書き込んで日本らしさを表し、「国を愛する国民の努力によって国の独立を守る」と明記して、「国際常識」(党幹部)の愛国心、国防の意志を盛り込んだのが特徴だ。
 原案は中曽根氏らが中心に起草した。天皇は長い歴史を有する日本の国柄そのものとの観点から、「天皇を国民統合の象徴として戴(いただ)き」とした上で、和を尊ぶ精神など歴史、伝統、文化にも触れた。
 占領期にGHQ(連合国軍総司令部)が九日間でつくった現憲法の前文は「どこの国の憲法か分からない」との批判が強かったため、冒頭に「アジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々」との文学的表現で日本の憲法前文であることを明確にした。末尾では「自ら日本国民の名に於(お)いて、この憲法を制定する」と、自主憲法を宣言した。
 また「日本国は自由、民主、人権、平和、国際協調を国の基本として堅持」するとし、現憲法の三原則(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)に「自由」と「国際協調」を付け加えた。
 「国政は国民の信任に基づき国民の代表が担当し、その成果は国民が受ける」との表現で、議会制民主主義の大切さを強調。さらに「日本国民は正義と秩序による国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現の為(ため)協力する」として、一国平和主義ではなく、国際協力に取り組む「能動的で積極的な平和主義」(党幹部)を打ち出した。
 会合では平和主義の部分の「国際平和」を「平和と安全」に改める意見などが出され、中曽根氏と委員長代理の安倍晋三氏に対応を一任したため、微修正のうえ十二日の起草委総会へ報告する。二十八日には全条文案とともに党議決定される。
     ◇
 【自民党新憲法前文原案】
 日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に、天皇を国民統合の象徴として戴(いただ)き、和を尊び、多様な思想や生活信条をおおらかに認め合いつつ、独自の伝統と文化を作り伝え多くの試練を乗り越えて発展してきた。
 日本国は国民が主権を持つ民主主義国家であり、国政は国民の信任に基づき国民の代表が担当し、その成果は国民が受ける。
 日本国は自由、民主、人権、平和、国際協調を国の基本として堅持し、国を愛する国民の努力によって国の独立を守る。
 日本国民は正義と秩序による国際平和を誠実に願い、他国と共にその実現の為(ため)協力し合う。国際社会に於(お)いて圧制や人権の不法な侵害を絶滅させる為の不断の努力を行う。
 日本国民は自由と共に公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実をはかり教育の振興と文化の創造と地方自治の発展を重視する。自然との共生を信条に豊かな地球環境を護(まも)るため力を尽くす。
 日本国民は大日本帝国憲法及び日本国憲法の果たした歴史的意味を深く認識し現在の国民とその子孫が世界の諸国民と共に更に正義と平和と繁栄の時代を内外に創(つく)ることを願い、日本国の根本規範として自ら日本国民の名に於いて、この憲法を制定する。


将来の被害者を生まないために (10/7)

 拉致は、被害者だけの問題でもないし、今生きている人間だけの問題でもない。

 拉致事件の解決は、もちろん一義的には拉致被害者をすべて救出することが目的だ。しかし、同時にそれは、将来の拉致被害者を生まないようにすることにも繋がる。
 仮に拉致問題を解決できないまま時間が過ぎてしまったとすれば、「日本は国民を誘拐されても何もできない国」と、北朝鮮のみならず全世界がそう認識する。となれば、北朝鮮が日本をなめて「また拉致をやっても有耶無耶にできる」と思うだけでなく、中国やテロリストも「日本はその主権を侵してもまともな対応を執ることができない」と考える。このまま拉致問題を放置し続ければ、新たな拉致被害者を生むことになりかねない。いや、拉致のみならず、様々な主権侵害に晒されることにもなる(現実に既にそうなっている面もあるが)。

 その意味で、拉致問題は今生きている人間だけの問題ではない。国家の行為はすべて時間を超えて影響を及ぼすものであり、後世の日本人のことを思うのならば今きちんとした対応を執らねばならない。もちろん、日本が毅然とした態度を示せばすべての主権侵害がピタッとやむわけではなかろうが、しかしその可能性は格段に低くなるだろう。

 拉致に関心はあるけど所詮は他人事…この考えが正しくないと私が考えるのは、上記の理由による。確かに事件に直接関わっているわけではないが、日本人ならば拉致事件の推移に等しく影響を受ける。放置が続けば、自分の子供が拉致被害者になる可能性もある…言い方は悪いがこのような「不安をあおる」言い方でないと、理解してもらえないのかもしれない。もちろん、今現在北朝鮮にとらわれている拉致被害者を奪還するのが第一なのだが、同時に「将来の被害者を生まないために」という視点を拡大することが、拉致問題に対するスタンスとして必要なことではなかろうか。


男系継承の維持を望む (10/7)

<皇室典範>「男系継承維持を」 大学教授らが緊急声明(毎日)
 政府が改正を検討中の皇室典範について、男系男子による皇位継承継続を求める大学教授らが「皇室典範問題研究会」(代表・小堀桂一郎東大名誉教授)を結成し、6日、東京都内で緊急声明を発表した。
 声明は、現行の男系男子による継承を維持するための旧皇族の皇籍復帰などの方策がまず検討されるべきだと指摘。現在改正を検討している小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」については「わずか10カ月余の論議で結論を出そうとしており、当然検討されるべき重要な論題が検討されていない」と批判した。


 当然だ。少なくとも1500年以上男系継承が続いてきたのを、今になって変えると言うからには相応の理由が必要だろう。旧皇族の皇籍復帰や、宮家の数を増やして皇族の規模を大きくするなど、検討すべき事項は数多あるというのに、「継承順位のわかりやすさ」といった安直な理由で伝統を覆そうとする意見が出ているのだから、話にならない。
 男系継承には合理性がないという向きもあるかもしれぬが、伝統や文化の重みは合理性のみで判断されるべきものではなかろう。


清美伝説に新たな1ページ (10/7)

 週刊新潮にも記事なっている辻元の話。
 「mumurブログ」にて、辻元清美の「エロイベントに参加し、バイブにサイン」事件が報告されている。しかも「国会議員って言うのは、国民の生命と財産を守るといわれてるけど、私はそんなつもりでなってへん。私は国家の枠をいかに崩壊させるかっていう役割の国会議員や」という暴言までカマすのだから、清美ちゃんのサービス精神には脱帽である。こんなのを税金使って飼ってるんでっせ、日本は。
 しかし、恥ずかしいことを敢えて誇ることが格好いいと勘違いする馬鹿は、とても格好悪い>ジェンフリ馬鹿。


憲法改正を早急に (10/6)

<憲法世論調査>9条改正「反対」は62%(毎日)
 毎日新聞は憲法問題について、全国世論調査(面接)を実施した。憲法改正に「賛成」と回答した人は58%で、「反対」の34%を上回った。戦争放棄や戦力の不保持を定めた9条については「変えるべきでない」が62%で、「変えるべきだ」の30%の2倍に達した。衆参両院の憲法調査会や自民、民主、公明各党による論議で国民に改憲への支持が広がる一方で、自民党が重視する9条改正についてはなお慎重な国民意識を示した。
 調査は9月2日から4日まで全国の4550人を対象に実施し、2418人から回答を得た。調査方法が異なるため単純に比較はできないが、昨年4月と今年4月の電話調査では、憲法を「改正すべきだ」が6割程度、「改正すべきでない」が3割で、ほぼ同じ傾向となっている。
 男女別では、男性は改憲派62%、護憲派33%であるのに対し、女性は改憲派54%、護憲派36%だった。世代別では30、40代で改憲派が各65%と最も多く、20〜60代の各年代で5割を超えた。70代以上では賛成44%、反対40%と拮抗(きっこう)している。
 同時に、9条改正について聞いたところ「変えるべきでない」との答えが男性で57%、女性は67%に達した。「変えるべきだ」は、男性が38%、女性は23%にとどまった。世代別では、20代の70%が9条改正に反対したのをはじめ、30、50、70代以上の各世代で6割を超えた。改正賛成派は40代の36%が最高。
 9条改正賛成派にどの部分を変えるべきかを聞いたところ、戦力不保持と交戦権否認を規定した2項だけを「変えるべきだ」と答えた人が50%と最多。戦争放棄を定めた1項と2項の「両方とも」が35%と続き、1項だけを「変えるべきだ」は13%にとどまった。
 憲法96条の規定で、改憲には(1)衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成による発議(2)国民投票で過半数の賛成――が必要。今回の衆院選で自民、公明両党は衆院の3分の2を超える327議席を獲得している。


 新聞の世論調査の問題点は、質問の仕方によってある程度数字が変わってくるという点がまず一つ。そして回答するか否かの時点である種の意見表明である場合がある、つまり「朝日だから答えたくない」という場合があり得るという点が二つ。今回の調査も、4550人中2418人の回答だそうで、6割にも満たない数字。
 また、選挙のたびに痛感するのだが、マスコミの世論調査と実際の議席数はほとんど一致しない。マスコミの世論調査の制度に疑問を持っても、当然だろう。実際に国民投票を実施しないことには、正確な数字などわからぬ。

 現在、憲法改正の国民投票について「条項ごとでの投票」と「改正に対する投票に一括」とどちらにすべきかで、意見が分かれているという。自民党は後者だと朝日の朝刊(先週のいつだったかは失念した…ネットにもソースなし)に書かれていたのだが、今回の毎日の世論調査のような「改憲には国民は賛成しているが、9条改正には反対する人が多い」という結果を受けて、「条項ごとの国民投票にすべきだ」という批判が、今後目立つことになりそうだ。まぁ朝日の場合は、改憲自体にまず反対しまくり、改憲が現実的レールに乗ったてから先述の方策で来るだろうが。

 衆院で与党が2/3を超える今、改憲の絶好の機会。政府、自民党には積極的に改憲に動いてほしいと希望するのだが…10/1の記事。
国民投票法案提出を見送り 特別国会で自公(産経)
 公明党の東順治国対委員長は三十日、憲法改正手続きのための国民投票法案の特別国会提出を見送ることを明らかにした。衆院憲法調査特別委員会の中山太郎委員長が、東氏に見送り方針を伝えた。自民、公明両党は来年の通常国会での提出、成立を目指す。

 いい加減な内容で決めていくのもまた拙速と言うことで問題ではあろうが、しかし完璧を期さずともある程度の形であればともかく改憲への流れを作ることの方を優先すべきではないのか。改憲論議に具体性を持たせることは、北朝鮮への牽制にもなる。
 「拉致問題解決に必要」と強く訴えて改憲を推し進めようとする人はいないのか。そうであれば、国民の理解も得られると思うのだが。
 横田めぐみさんの41回目の誕生日を昨日に迎えてもなお、日本はこのような状態…今まさに日本は岐路にある。アメリカが北朝鮮を追い込もうという動きを見せたり、国連でも拉致問題が取りざたされるようになってきた。日本がはっきりと意思表示をし主体的に行動しようとすれば、大きく拉致問題解決へ前進できる好機だと思われる。しかし、この機を逃せば、拉致はその他核などの問題に埋没してしまう。


 ただ、こういう輩がいるのを見ると、改憲への道も険しく見えてしまう(だからこそ、改憲の必要性について首相自らきっちり説明してグイグイ引っ張ってほしいんだけど)。

衆院 正副議長が会見 憲法改正の動きには慎重姿勢(毎日)
 衆院議長に再任された河野洋平・元自民党総裁と新たに副議長に選任された横路孝弘・元民主党副代表が21日、国会内で就任記者会見を開いた。両氏は護憲派の代表格とあって、与党が衆院議席の3分の2超を占め、憲法改正に向けた動きが具体化しつつあることについて「まだまだ議論すべきところがある」(河野氏)などと慎重な姿勢を強調した。
 横路氏は、就任の抱負を「少数意見の尊重も議会の大事な点だ。しっかり議論できるよう、議長を補佐して頑張っていきたい」と述べ、「審議時間を十分かけて野党の質問権を確保することが大切だ」と主張。河野氏も「数の多い少ないということがベースとしてあったとしても、問答無用だというわけにはいかない。どういう状況になるか不安に思っている方もいる」と述べ、与党が慎重な国会運営を行うべきだとの考えを示した。
 そのうえで憲法改正問題について、河野氏が「与党が3分の2を占めたから『そこで結論が出れば大体いいんじゃないか』と思われると、これはちょっと注意を喚起しなければならない。国民が見守る中での議論が行われることが大事だ」と述べると、横路氏も「国民投票法案一つ見ても論点がたくさんある。慎重に議論していただきたい」と語った。


 日本の国会議員でありながら日本を向いていない者たちの言動は、これから一層やかましくなることだろう。


 もう一匹売国奴の話。
講談社が「大江健三郎賞」創設 選考は大江氏1人(朝日)
 講談社は4日、「大江健三郎賞」の創設を発表した。ノーベル賞作家の大江健三郎氏(70)が1人で選考にあたり、可能性、成果を最も認めた「文学の言葉」を持つ作品を受賞作とする。
 賞金はなく、英語への翻訳と、世界での刊行を賞とする。第1回は06年1月から12月までの1年間に刊行された作品を対象とし、07年5月に受賞作を発表する。選評の代わりに、大江氏と受賞作家の公開対談を行い、「群像」誌に掲載する。
 大江氏は、「世界に向かって日本のいい文学の言葉を押し出したい。日本の国内で純文学は話題にされなくなっているが、社会の中心にいる人に、もういちど小説を本気で読んでみませんか、と伝えたい」と話した。

 「一人で選考」って……大江の遊び場をわざわざ用意してあげるなんて、講談社も太っ腹よのぅ。どんな愚物でも、ノーベル賞を取るとこういうことがあり得るのな。今回ほどノーベルを恨んだことはない(いやノーベル自身は悪くないけど)。


 最後に牛の話。「あなたの脳みそをスカスカにする恐れがあるので、食べ過ぎにご注意下さい」と注意書きを貼れ。それでも食いたいやつは食えと。その代わり、どうしても米産牛を食べたくない人のために、産地表示はしっかりしてもらわにゃ困るし、原料として牛肉を使う場合にも必ず「原材料名」のところで産地表示をするようにしてほしい。拙者としては、中国の野菜や魚の方がよっぽど怖いですわ。


細切れ世迷い言 (10/5)

 タイトルは「ぼやきくっくり」さんの「細切れぼやき」のインスパイアと言うことで。


特定失踪者問題調査会 北へ短波ラジオ放送 今月中にも拉致被害者に家族の声(産経)
 北朝鮮に拉致された可能性を排除できない行方不明者を調べている「特定失踪(しつそう)者問題調査会」(荒木和博代表)は、北朝鮮にとどめられたままの拉致被害者らに向けて、短波ラジオ放送を始める準備を進めている。一見、“奇策”にも映るが、調査会は北朝鮮では米国の「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」などの短波放送が聴取できることに目を付けた。早ければ十月中にも放送開始に踏み切るという。(冒頭抜粋)

 多くの人が述べていることだが、この活動に対して政府はなにがしかの援助をしないものかね。「民間にできることは民間で」というのをこういう分野にまで適用する必要はないと思うのだが。
 北朝鮮向けのラジオ放送はすばらしいアイディアだとは思うが、これとて政府が拉致事件解決に積極的に動いてこそ大きな意味を為す。拉致被害者に希望を持たせるのならば、なお一層の迅速な行動が必要不可欠だ。その意味では、これは拉致被害者向けであるのと同時に、我が国政府への働きかけの効果があるかもしれない。というか、これを受けて政府も何らかのアクションを起こしてくれないと困る。


鳥越俊太郎さん、直腸がん手術のため入院(読売)
 ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(65)が直腸がんのため3日入院し、今週中にも手術することが分かった。
 コメンテーターを務めるテレビ朝日系の朝の情報番組「スーパーモーニング」に同日、電話出演し、明らかにした。
 番組で、鳥越さんは「自分なりに闘う姿勢を示し、同じ境遇にいる人に『ああすれば治るんだ』と思ってもらえれば、私の心の支えにもなる」と心境を語った。


 私にとっては批判対象と考えることが多いこの人だが、警察の裏金問題とか、役人の不正を暴く姿勢には共感できる部分があるし、必要な存在ではないかと思う。何の理念も持たずいい加減にその場その場をやり過ごしているだけの筑紫なんかに比べれば、よほど有意義な存在、ということで。


■いわゆる「のまネコ」問題についての当グループの考え方
 この度、私たちが販売しております「のまネコ」に関して、これまで皆様に混乱を招いたことを反省しつつ、「のまネコ」にかかわって今まで私たちがしてきたことをすべて見直しました。
 結論から言いますと、現在CDに特典としてつけているマイアヒ・フラッシュを今後はもうつけないことにしようと思います。また、「のまネコ」の図形商標の登録出願を有限会社ゼンに中止してもらおうと思います。こうすれば、多くの方々が共有財産として楽しんでいる「モナー」等について、私たちが何らかの権利を持っているかのような誤解を完全に払拭できると考えたからです。
(冒頭抜粋)

 こういう、口語だらけで敬語も巧く使えていない常識知らずな文章を公表できる時点で、この会社のアホさ具合が痛感できる。誰か「親密とは言わないまでも他人ではない」くらいの知人にメールを出したときの文体ですわ、これ。


 最後に。logさんがblog休止だそうで…。
 これまでお世話になりました、そしてお疲れ様でした。要望されるのはお嫌かもしれませんが、また再開される日をお待ちしておりますと申し上げたい。

 彼を強硬派のように見る向きもあったようだが、私はそうは思っていなかった。むしろ、北朝鮮の問題を人権問題とリンクさせることを早くから指摘されていたし、救う会の絶対視や経済制裁の目的化に対して危機感を持たれていた点で、バランス感覚を有しておられたように思う。その考えや感覚を、どれだけ参考にさせていただいたかわからないくらいだ。
 確かに「その用語だと反発あるかも」とか「ちょっと感情的かな」と感じたことがないわけではないが、日本に対する思い入れの強さゆえと理解できる範囲であったし、妄信的に自己の意見に固執する者が点在する中で、努めて他者の意見にオープンであろうとされていた。
 当然僅かではあれ意見の異なる部分もあったが、彼の「情」が強く感じられたからこそ、私は強く信頼・信用していた。腹立たしいまでに冷めた意見が必要なのと同様、彼のように情深き意見も必要不可欠だ(理論的でないという意味ではない、念のため)。また良質blogが一つ消える…寂しいことだ。


無宗教と嘯けど (10/4)

 私は宗教など信じていない。神も仏も信じていないし、死後の世界だとか霊という存在も全く信じていない。死んだらすべての細胞が活動を止める、無になる、それだけのこと。ゆえに、死ぬのがたまらなく怖い。

 しかし、主観的には別だ。
 霊的存在をまったく否定してもなお、私の心の中には、ご先祖様は存在しているし、先祖によって見守られているという感覚はある。お墓参りをすれば、ご先祖と語らえるような感覚を得るし、「お天道様が見ているぞ」という感覚ゆえに自らを律することも多い。科学的には霊などいないと考えても、心の片隅にある一種の宗教観は、決して消すことはできない。
 理屈という部分を超えたところで、私はやはり宗教的感覚でものごとを捉えているし、情念の部分では宗教的感覚を否定しきれない。「宗教的感覚」という言葉を用いたが、何かを能動的に信じる「宗教」というよりは、日本人として生活する中で自然と身につけてきた「文化的感覚」といった方が正確であるかもしれない。

 「天皇」という存在についてもそうだ。天皇陛下が神の子孫であるという話は、決して信じちゃいない。しかし、1500年以上も(神話を含めれば2600年ほども)脈々と続いてきた天皇の「血」に対しては、「神話」を前にしたのと同じ感覚を覚える。理論的には矛盾する事実と神話が、概念としては一体化している。

 日本のために戦い亡くなった方も、心の中で神として存在している。

 日本に生きてきた者として、理屈がどうこうと言う以前に、日本のために亡くなった方々への敬意や先祖に対する尊敬の念は、拭い去ろうとしても消し去れるものではない。理念を超えたところに存在する「(キリスト教のような唯一神とは違う概念での)神」に対する思いは、私にとっては日本人としてのアイデンティティであると思われる。


 てことで、そういった日本人的な感覚を持っていない…というか、なにがなんでも「日本が悪い」ということにせねば気が済まない方々の話。

世界連邦日本大会:「世界連邦」の実現を目指す 行程表作りを討議−−中区 /広島(毎日)
 ◇岡本・広島修道大名誉教授「基礎に憲法9条の理念を」
 戦争や環境汚染などを根本的に解決するため、世界共通の議会や裁判所などを備えた「世界連邦」の実現を目指す集会「第25回世界連邦日本大会」が1日、中区加古町のアステールプラザであった。被爆60周年を記念した今大会では、世界連邦実現に向けての行程表作りを討議。広島修道大の岡本三夫名誉教授は「EUのような地域連合が、発展統合して世界連邦になるのが自然だ。その基礎には、日本の憲法9条の理念を置くべきだ」と述べた。
 同連邦を設立する運動は、第二次大戦で広島、長崎に原爆が投下された反省などから、46年に始まった。各国政府が独立を保ちながら、戦争や環境汚染など地球規模の問題を解決する組織作りを目指している。今年8月には衆議院が採択した戦後60年決議の中で「政府は世界連邦実現への道の探求など最大限の努力をすべき」としている。
 この日は、同連邦推進日本協議会(植木光教会長)の主催で、約600人が参加。核兵器の完全廃絶のため核拡散防止条約(NPT)などの充実▽難民や女性などの人権を保障する条約の普遍化▽世界各地での地域的共同体の形成――など8項目を各国政府に求める大会宣言を採択して閉幕した。


 「同連邦を設立する運動は、原爆が投下された反省から46年に始まった」…ってどういうこと?「投下した反省から」じゃないの?(反省する主語が日本からアメリカに変わるが)
 原爆を落とされ多くの民間人が虐殺されたのに、それでもなお「反省」が必要ってか?原爆を落とされた被害者側が悪いって、あまりにも非道な物言いではないか。

 というか、「世界連邦」って響きだけはかっこいいね。宇宙から異星人が大挙して侵略してこなければ、こんなの実現不可だと思うが。

 こういう輩を粉砕して、憲法改正の道を早急に歩んでほしい。与党が2/3超なんて滅多に訪れないチャンスなのだから。


慰霊は首相の義務、政教完全分離は不可能 (10/1)

 燎原の火のごとく様々なサイトで話題になっているこの話。
<首相靖国参拝>大阪高裁、初の違憲判断 職務行為と認定(毎日)
 小泉純一郎首相の靖国神社参拝は憲法が定めた政教分離に違反し、精神的苦痛を受けたと主張し、旧日本軍の軍人・軍属として戦死した台湾先住民族の遺族ら188人が首相と国、靖国神社に1人1万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪高裁(大谷正治裁判長)は30日、参拝は首相の職務行為と認定したうえで「憲法の禁止する宗教的活動にあたる」と高裁段階で初の違憲判断を示した。賠償請求は認めず、原告側の控訴を棄却した。原告側が「実質勝訴」とみて上告しなければ、請求は棄却されているため、国側が判決理由を不服として上告することは事実上難しく、判決は確定することになる。(冒頭抜粋)

 いい加減、「傍論」という「裁判長の独り言」で、わけの分からん主観を入れるのはやめてもらいたいものだ。せめて、判決主文と筋を通してもらいたい。判決は「原告の訴えを却下」、でも「靖国はイクナイ!」…意味が分からん。左巻きに洗脳されたバカ裁判長か、或いはこやつ自身がスパイじゃねぇかと疑わしく見える。「国内外の強い批判にもかかわらず参拝を継続しており参拝実施の意図は強固だったとして「国は靖国神社と意識的に特別のかかわり合いを持った」なんてことも言ってるし。他国の内政干渉に屈しなさいと言う、画期的な発言ですよ、こりゃ。

 同じ手法は、昨年の福岡地裁でも使われた。「首相の靖国参拝で精神的被害を受けた」という理解に苦しむ訴えに対し、訴えそのものは却下しつつも靖国参拝は違憲と判断。「判断」であって「判決」ではなく、判例としても何の役にも立たない話なのだが、朝日のような売国マスコミが「違憲」の部分ばかり騒ぎ立て、なぜか「違憲判決」が出たかのような印象を与えて実状ははっきりと伝えず。
 訴えた左巻き野郎どもは、訴えは退けられても「違憲」という言葉を得たから、控訴(或いは上告)しない。ゆえに国は「違憲」という部分に不満を持っても控訴することができない。残されるのは、「違憲判決」という誤った印象操作の結果のみ。

 今回も、朝日は必死の印象操作。
「首相の靖国参拝は違憲」大阪高裁判決、賠償は認めず(朝日)

 見出しからして、「違憲判決が出た」と錯覚させるようなものとなっている。さらには社説で「靖国違憲判決 参拝をやめる潮時だ」と、機会を得たりとばかりに首相を批判。一応、違憲とはしなかった東京高裁について冒頭で触れてはいるが、文全体は大阪高裁の違憲判断を下敷きにして、事実上東京の方は無視。「原告の権利侵害こそ認めなかったが、実質的には首相の敗訴である」と、左巻きの考えをみごとに代弁。そのうち、投稿欄で「裁判所の判決に従うべき」という意見がワラワラわいてくるだろう。
(東京高裁については、「首相の靖国参拝は私的行為」 千葉の住民の控訴棄却(朝日)を参照。これとて、首相の参拝を「私的」だから「合憲」としている点については、問題有りだ。首相が戦没者を慰霊することはまさしく公的行為であるし、公的行為でなければならない。)

 ちなみに、原告団長の高金素梅の怪しさについては、『正論』での在日台湾同郷会顧問林建良氏による「靖国特集 靖国を訴えた台湾の女性国会議員の背後関係(1)」や、「「台湾の声」【論説】高金素梅の来日は台湾人を代表しない」を、ご覧いただきたい。


 しかし、「国およびその機関は、宗教教育及びいかなる宗教活動もしてはならない」という憲法20条を厳格に適用すると上記のような判断が下される、というのであれば、この条文自体を考え直す必要があるのではないか。
 確かに国家が特定の宗教に肩入れし、対立する他の宗教を弾圧するようでは問題があろう。しかし、政治と宗教を「完全に」分離することなど不可能であるし、決してやってはならない。現憲法を作ったアメリカにしても、大統領は就任式で聖書に手を乗せて宣誓するではないか。アメリカの場合、「キリスト教自体は肩入れしても良く、特定の宗教団体への肩入れはダメ」という意味での政教分離だと述べ、特定の神社を参拝対象にする靖国参拝はダメだという意見もあるのだが、靖国神社を「特定の宗教団体」と考えるのには無理があろう。靖国神社は布教活動を行っているわけではないし、特殊な教義で宗教団体を形成しているわけではない。
 だいたい、アメリカの考え方が日本にそのまま援用できるわけでもあるまい。文化的背景が全く異なる。

 国のトップが国策によって命を失った人々を慰霊するのは当然のこと。そこに「宗教を絡ませない」ようにするのは不可能だ。「慰霊」自体が、宗教的意味合いを有しているのだから。手も合わせずどんな宗教的儀礼にも抵触しないような慰霊方法…そんなのあり得るか?
 首相が戦没者慰霊をするのが当然であるならば、政教分離を原理主義的に適用するのは明らかに間違った考え方だ。あくまで政教分離を唱えて靖国参拝を非難するというのであれば、そもそも「国家のリーダーが戦没者慰霊をすること自体に問題がある」と考えることに他ならない。

 「政教分離」の意味を考え直さねばなるまい。原理主義的にこの概念を敷衍するのであれば、文化遺産として神社仏閣を国策として守ろうとするのも違憲になってしまう。あほらし。

 靖国問題に限らず、政教完全分離などという戯言を現実のものにしようとするのが、左巻きの狙いかもしれない。宗教的儀礼を政治から徹底的に分離させれば、例えば自治体が儀礼的行為を行うのにも障害が出て来て、宗教は公の場からどんどんと姿を消すことになる。日常生活と完全に一体化した部分、葬式や結婚式などは当然消えることはないだろうが、それらはあくまで宗教心とは別次元の形式的な物ばかり(キリスト教の神様信じて教会で結婚式をやる人は殆どいないだろ)。実際、学校で宗教について触れることも全くなく、宗教的心情に起因する道徳観は完全に廃れてしまった。「お天道様が見ているぞ」なんて死語ですがな。いずれ、日本人の心から日本的アミニズムの概念が消えていき、真に「無宗教」の国民ができあがるかも知れない。宗教を否定するマルクス・レーニン主義者としては、願ったりかなったり。


 首相も、堂々と参拝してよ。戦没者慰霊は首相の職務だ。
<首相靖国参拝>小泉首相「違憲ではない、理解に苦しむ」(毎日)
 小泉純一郎首相は30日の衆院予算委員会で、首相の靖国神社参拝について違憲判断を示した同日の大阪高裁判決について「私の靖国参拝が憲法違反だとは思っていない。首相の職務として参拝しているのではない。それがどうして憲法違反なのか、理解に苦しむ」と述べ、反論した。松本剛明氏(民主)の質問に対する答弁。首相は同日夕、判決が自らの参拝に与える影響を記者団に問われ、「ま、ないですね、(判決自体は)勝訴でしょ」と述べ、否定した。
 答弁で首相は「私は戦没者に対する哀悼の誠をささげるということと、二度とあのような戦争を起こしてはならないという気持ちで参拝している。それが憲法違反であるというのはどういうことか」と判決を批判。年内の参拝の予定については「適切に判断する」との立場を改めて示した。




 おまけ。
NHK番組改変報道 朝日、取材不足認める 訂正・謝罪はせず(産経)
 取材不足なら謝罪しろよ。