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機熟さず? (9/30)

 マインスイーパ、70秒到達。60秒台に突入できるのはいつのことやら。


「機熟さず」と官房副長官 経済制裁で家族会に回答(共同)
 杉浦正健官房副長官は29日夕、首相官邸で拉致被害者の家族らと面会し、北朝鮮への経済制裁発動を求めて家族会が8月に提出した質問状に対し「タイミングや方法は考えているが、機が熟していない」と回答、理解を求めた。
 家族会代表の横田滋さん(72)、妻早紀江さん(69)、副代表の飯塚繁雄さん(67)ら6家族10人が参加。杉浦副長官は、6カ国協議で日朝両国が政府間協議の再開を合意した経緯を説明し「制裁はあくまで手段で、目的であってはならない。いかに救出するかはタイミングが大事だ」と述べたという。
 家族からは「なぜ今まで制裁しなかったか説明してほしい」「日朝協議がまた不調に終わったら必ず制裁するのか」との声が上がり、杉浦副長官は「お気持ちは首相に伝える」と答えた。


 仮に機が熟していないにしても、機が熟すのを待つのではなく、機が熟すようにエチレンぶっかけるなり何なり努力してくれよ。

 昨年12月の官房長官会見以降、1月に「横田めぐみさんの遺骨が偽者と言うなら返せ」と言ってきた以外、北朝鮮からは反応が無いという。それなのに、日本は1年近くも待ち続けている。これで強い態度に出なくて、いつ圧力をかけるつもりなのだろうか。圧力をかける状況に国際状況に至っていないと言うなら、拉致を国際社会に認識させる努力を不断におこなってきたのか。
 しばらく無視していても日本は行動に出ない、そろそろ我慢の限界かなと見えたら「協議をやりましょう」とエサを見せる、そして適当なところでまた無視を決め込み…北朝鮮の立場から考えると、何とも楽な相手だわな。

 日本の意志をはっきりと、とは何度も書いてきていることだが、杉浦の「機熟さず」というのも、状況を窺うだけで状況を作ろうとしない情けなさを象徴していると感じる。


 おまけ。
石原知事:「国連憲章バカ」答弁 共産、民主、ネットが抗議−−知事再び反論 /東京(毎日)
 石原慎太郎知事が27日の都議会本会議で「国連憲章なんてまともに信じてるバカはいませんよ」と答弁した問題で、共産党は28日の一般質問で「国連は第二次世界大戦の痛切な反省にたって設立されたもの。知事の発言は、多くの戦争犠牲者を出した首都東京の代表として許されるものではない」と抗議し、発言の撤回を求めた。
 これに対し、石原知事は「国連憲章に何がうたわれていようとですよ。内部が腐敗しきった国連の実態。戦後60年たってなお戦勝国(旧敵国)条項なるものがまかり通っているいびつな仕組み、運営とその実態。そろそろ国連信仰はお捨てになったらいいんじゃないでしょうか」と再反論した。

 「信じてるバカ」がいたってことで。


国際理解の獲得に人権問題を利用せよ (9/29)

脱北女性を北朝鮮軍人が虐待…ネットで画像公開(読売)
 【ソウル=福島恭二】脱北者らがソウルを拠点に北朝鮮の民主化を訴えているインターネットラジオ局「自由北韓(北朝鮮)放送」は26日、ホームページに、脱北した女性を北朝鮮の軍人が虐待しているとする画像14枚を公開した。
 同放送によると、女性は8年間、中国に潜伏した後、今年8月17日に中朝国境の鴨緑江をわたって北朝鮮に戻ったところを警備兵に捕まった。その後、軍施設で取り調べを受けているところを、隠しビデオカメラで撮影されたという。
 映像は約25分間で、女性が土下座させられて棒のようなもので殴られ、足げにされる場面などがある。ホームページでは、それらの画像とともに、音声で尋問の様子や女性の泣きじゃくる声なども一部公開している。

拷問で両足切断された女性 ついに脱北成功(朝鮮日報)

 これら画像の信憑性には確かに疑問がないわけではないが、これまでの各種報道から、今回の件自体の真偽がいかなるものであれど、北朝鮮の特質を考えれば「同様の事例は腐るほどに存在する」と考えるのが自然。ゆえに、「真」と前提して話を進める。

 はじめは、記事から少し離れた話題から入る。


 拉致の解決パターンを大雑把に分けると、次のようになる。
1.日本単独で解決
2.日本が主導権を握りつつ他国の協力も得て解決
3.アメリカなどの他国の主導で解決
4.独自に動けず協力も得られずに解決できず

 もちろん、ここからさらに、「金正日体制崩壊を伴う解決」や「外交交渉による解決(あり得るか疑問だが)」など枝葉に別れていくのだが、極めて大雑把にくくるならこうなるだろう。

 日本独自に拉致事件解決が行えれば最善。自国の主権は自国で守るのが国家存立の大原則であるからだ。

 しかし、それは果たして可能なのだろうか。
 不可能と現時点で断言する気は毛頭ない。楽観論ではなく、日本そして日本人には大変革を行えるダイナミズムがあると私は確信している。
 しかし、拉致事件を単独で解決するのに必要な基盤…憲法の問題やスパイ活動を排除できるような法律の制定に関し、政府の動きは鈍いと言わざるを得ない。おそらくそれらが為されるには、何年もかかることになる。拉致被害者家族の年齢を考えれば、最善の策を採るためにさらに待つ時間を家族に求めるわけにはいかない。
 勿論、そういった法整備の必要性は訴え続ける必要があるし、日本という国家が存立するには避けては通れない問題であると思う。
 ただし同時に、最善の策では決してないと断りつつも、「日本という国家の再生が為されずとも拉致被害者を救出する方法」があるのであれば、拉致被害者救出を優先する考えも「控え」として取っておかねばならないとも考える。理想的手段と現実的手段を同時並行で訴える柔軟さも、拉致を考える上で必要では無かろうか。国家再生を目的に拉致をその理由付けと位置づけるのは、倒錯した論ではあるまいか。

 そこで出てくるのが、2の選択肢だ。
 こう書くと、「国際社会に真の友人などいない」と批判する向きもあろうが、協力という言葉でなく「利用」という言葉に置き換えて構わない。
 さらにいえば、1の選択肢を実行するにしても、国際的な理解が無いよりは、理解を得た上で行動した方が得策なのは言うまでもない。これは外国に譲歩・妥協するという意味ではなく、日本の姿勢を世界に認めさせる必要がある、という意味だ。中国や韓国の北朝鮮支援を封じる意味でも、効果がある。

 ここで、冒頭に引用した記事に繋がる。
 国際社会と連携するうえで、「北朝鮮の人権問題」は非常に重要なツールになるということだ。
 何も、「北朝鮮人民の人権を救うことを最優先にしろ」などとは言っていない。仮に北朝鮮と武力衝突した場合に、仮に私が北朝鮮人と(拉致被害者を含む)日本人のいずれかの生命を選べと迫られる場面に出くわしたならば、迷わず日本人を選ぶだろう。あくまで、私は日本人として、日本人の人権を北朝鮮人のそれよりも優先させる。「全ての市民は平等」という地球市民的な考え方は持っておらず、ゆえに北朝鮮人民を救うことを拉致被害者救出と同列或いはそれ以上に考えることはあり得ないが、しかし金正日政権の問題点を国際社会に認知させ日本の行動の正当性を主張するには、「北朝鮮の人権問題」を主要イシューの一つに取り上げることは、非常に有用であり、選択肢から外すべきではない。
(また、北朝鮮で行われている人権侵害は、筆舌に尽くしがたい物である。拉致事件解決の妨げでないならば、それを解決することを厭う理由など全く無い。)

 3つ目の選択肢は、できれば避けたい。自国の主権を他国に守ってもらうようでは、日本の将来に禍根を残す。しかし、4つ目は「絶対に」避けねばならない選択肢であり、それを避けるために、1と2が為されないのであるならば3は捨ててはならない選択肢だと言える。他国主導で「全面解決」は可能性が低いという問題もある。


 いずれにせよ、北朝鮮の悪事を世界に知らしめるのは、日本が拉致事件を解決するのに必要不可欠な行動であろう。ましてや単独で解決する能力を持たず、その能力を持つための政府の動きも鈍いとあれば、なおさらである。
 念のために述べておくが、日本が事態を傍観していて良いわけではない。4よりは3の選択肢の方がマシだが、1や2に至るべく努力せねばならないのは当たり前の話だ。日本が意志をはっきり示さねば、3を狙いつつ結局4の結果という可能性も高まるのだから。

 そして、今こそ、その意志を示す絶好の機会ではないかと思われる。長いが産経の記事を引用する。

国連、北に横田さん「死亡」根拠要求 総会で審議へ(産経)
 国連は27日、北朝鮮の人権状況に関する最新の報告書を発表し、北朝鮮側が生存している拉致被害者の帰国を求める日本の主張に迅速に回答するとともに、「死亡」としている横田めぐみさんら安否不明者について「信頼できる客観的根拠」を示すよう勧告した。報告書は、開会中の第60回国連総会に提出されており、10月3日から始まる総会第三委員会(人権)で初めて本格的に審議される。
 報告書は、国連人権委員会のビチット・マンターポーン特別報告者(タイ)がまとめたもので、人権をめぐる北朝鮮の姿勢は「言語道断」と非難。第三委員会の審議で、北朝鮮非難決議案の策定要求など同国に対する批判が高まれば北朝鮮側が反発するのは必至で、国連との関係悪化が懸念される。
 報告書は北朝鮮の人権状況について(1)大幅な食料不足や子供の栄養不良率の高さ(2)政治・思想犯やその家族に対する迫害(3)犯罪者収容施設などでの女性への暴行(4)厳しい移動の自由の制限―などが認められると批判。状況改善のため、北朝鮮が加盟する4つの人権条約順守など15項目を勧告した。
 その上で、マンターポーン氏が今年2月から3月に日本を訪れた際の調査を踏まえ、横田さんの「遺骨」として北朝鮮側から提供された骨がDNA鑑定で別人のものと判明した問題などを念頭に、安否不明者に関する「あいまいさや矛盾点」を明確に説明するよう北朝鮮側に要求した。
 同氏は昨年7月に初代北朝鮮問題担当特別報告者に就任し、今回が2回目の報告。北朝鮮が調査協力を拒否しているため、北朝鮮との関係が深い国の政府や非政府組織(NGO)の情報などに基づいてまとめた。

 ■北朝鮮の人権状況と国連 北朝鮮は「子どもの権利条約」など4つの人権条約に加盟しているが、履行上の問題点が指摘されており、国連人権委員会(ジュネーブ)は2004年、タイ・チュラロンコン大のビチット・マンターポーン教授(国際法)を初代の北朝鮮問題担当特別報告者に任命することを決議。マンターポーン氏は同年の国連総会で最初の口頭報告を行った。05年に入って最初の報告書をまとめ、訪日調査などを踏まえて今回、日本人拉致問題などに関する勧告を盛り込んだ2回目の報告書をまとめた。国連人権委は03年以降、3年連続で北朝鮮非難決議を採択している。(共同)

 国連が27日発表した北朝鮮の人権状況に関する報告書の要旨は次の通り。

 一、生存している拉致被害者の帰国を求める日本の主張に効果的かつ迅速に回答するよう要求。
 一、北朝鮮が拉致し、同国が「死亡」したと主張する(横田めぐみさんら)日本人の安否不明者に関し、信頼できる客観的根拠を示すよう勧告。
 一、迅速かつ効果的なプロセスを通じ、外国人拉致などの罪の償いを行うよう勧告。
 一、建設的な進展も一部に見られるが(日本人安否不明者などに関する主張には)あいまいさや矛盾点がある。それらの幾つかは言語道断と呼べるたぐいのものだ。
 一、北朝鮮国内の食料は大幅に不足し子供の栄養不良率は依然高い。政治・思想犯として処罰されると「連座の罪」で家族も迫害される。犯罪者収容施設や家庭では女性への暴行が見られ、移動の自由は厳しく制限されている。
 一、北朝鮮は「子どもの権利条約」など4つの人権条約に加盟、これらの取り決めに沿ってさまざまな報告書を提出するなど国連機関との協力を行い、近年は法改正にも取り組んでいる。

≪人権で対立深まる 北朝鮮と国際社会≫
 国連が27日、北朝鮮の人権をめぐる姿勢について「言語道断」と非難するマンターポーン国連人権委員会特別報告者の最新報告を発表したことで、人権をめぐる北朝鮮と国際社会の対立がさらに深まる見込みとなった。

 国連緊急援助調整官室(OCHA)のエグランド室長によると、北朝鮮は今月上旬、農業生産が向上、食糧事情が改善されたなどとして、国連や外国の非政府組織(NGO)による「人道支援事業」を年内で打ち切るよう通告してきた。
 しかし、北朝鮮の崔守憲(チェ・スホン)外務次官によると、打ち切りを求める大きな理由は人権問題。次官はブッシュ米政権が人権状況の改善を食糧支援の条件とすることもあり得ると示唆している点を念頭に「米国は人道支援を政治的に利用しようとしている」と非難した。
 次官は、国連加盟国が先に「人権理事会」を新設する方向で合意したことについても、人権保護という名目で他国に干渉しようとする一握りの国の行動を正当化することになるなら「今後の議論は全く意味がない」と批判。人権をめぐる隔たりの大きさを浮き彫りにした。(共同)

 27日発表された北朝鮮の人権状況に関する国連報告書は、北朝鮮からの脱出住民(脱北者)をめぐり「保護を求めている人々を危険地域に送り返してはならない」と述べ、脱北者を強制送還しているとされる中国を間接的に批判した。
 報告書は脱出の主な理由について、政治的迫害や食料不足から逃れるためだとした上で、強制送還しないことが難民保護の基本原則と強調。脱出先となっている一部の国が「こうした原則を順守していない」と指摘した。
 中国政府は「脱北住民は不法入国者であり、難民ではない」としており、双方の主張は平行線をたどっている。(共同)

 国連人権委員会の報告書であるが、アメリカのボルトンさんがかなり動いているんじゃなかろうか。中国への間接的批判など、アメリカの意志が見え隠れしている。

 これだけで事態が動くわけではないが、利用しない手は無かろう。
 言ってみれば、アメリカから絶妙なパスが出されている状況。これに応じ、日本も機会を失ってはならない。こうした北朝鮮の人権侵害を訴える声をさらに増幅し、その人権侵害の象徴として「拉致事件」を前面に押し出すという方法を採るべきではなかろうか。

 なお、この国連の報告書に100%「良くやった」と言う気はない。
 「安否不明者に関する信頼できる客観的根拠」を求めることがナンセンスだからだ。北朝鮮は、「めぐみさんの遺骨を寄越せ」と言えば腕を切って焼き「遺骨です」と出してくる可能性も考えられる極悪非道な国。あくまで「被害者全てを返せ」と要求せねばならない。
 まぁ、日本がはっきりと「被害者全て返せ」と言っていないのに国連の報告書に文句を言うのも、順序が違うとは思うが。


 しっかし、朝日の記事だと、報告書の内容について受ける印象が全然違うなぁ。
「拉致、即時帰国を」 家族補償も求める 国連報告書(朝日)
 「北朝鮮に拉致され、同国内に生存する被害者が即時、安全に日本に帰国できる」ことを要求。さらに北朝鮮が家族の再会を保証し、安否不明の被害者を「死亡」としている点についても説明責任を果たす▽拉致の責任者を裁判にかけ、被害者家族に補償する――ことも求めた。

 朝日の書き方だと、「北朝鮮はとっとと尻尾切りと適当な賠償をやって、国交樹立を急げ」と言っているように見えるな。


 ともかく。
 事態は動きつつある。この国際的な流れの中で日本が存在感を示すためにも、国連の動きを利用し、経済制裁の実行或いはそれを示唆する言動をとって、国際世論をリードする立場に立って欲しい。


タイゾーしおらしくなる (9/28)

 タイゾーが謝罪の記者会見したらしいね。麻生さんの言葉に、大きく頷く。
 若い人がしゃべるからと言って、記事にしようとすることの方が面白い。国会議員で新しく来たやつをみんなでテレビで追うかねえ。26年前は、おれに一人も来た人(記者)はいなかった。だからよほど有名人なんだと思って。

 最後の一言は皮肉だろう。大々的に取り上げるほどの価値もないニュースだと私も思うが。というか、杉村を選んだのは国民と言うよりは自民党なのだから、彼が謝るのならば、まず自民の比例名簿作りの責任者が謝るべきなんじゃないのか。

 杉村を責めていた記者(ワイドショーのレポーターが多かったらしいが)も、こんなネタに食いつくようでは彼を批判する資格など無いし、失言を狙った質問をするなど人間性にも疑問符が付く。だが、杉村を責める記者を批判することで「囲魏救趙」となり、結果的に自民党や杉村への援護射撃になるのはイヤなのでここでやめておく。

 こういう話題に、こんなニュースがかき消されるのな。
ヤミ献金「心当たりない」=青木氏証言、村岡被告公判−東京地裁(時事)


イルカ兵器 (9/28)

軍用イルカ、ハリケーンで逃げ出す=毒矢装備、ダイバーに危険も−英紙(時事)
 英紙オブザーバー(電子版)は26日までに、超大型ハリケーン「カトリーナ」が8月末に米南部を襲った際、米海軍が飼育する軍事用イルカがメキシコ湾に逃げ出した可能性があると報じた。イルカは水中でウエットスーツを着た人間に向けて毒矢を放つ訓練を受けており、ダイバーやサーファーが襲われる恐れがあると懸念されている。

 アメリカっていろんなことを考え実行してるんだねぇ…と、イルカの頭の良さよりも、そっちの方に興味が。そりゃ二次大戦の時にコウモリ爆弾を考案した国だもんな。


国交正常化の前に賠償の危険性 (9/27)

 CDの購入枚数が下降の一途を辿っている。今年はまだ10枚くらい。かといって音楽を聴くのが嫌いになったわけではないので、聞くのはもっぱら旧譜になってくる。久々に聴くRAINBOWが新鮮に感じたり。よく、「夏目漱石の『こころ』ような古典的名作は、高校の時に読むのと大学生の時に読むのと三十代以降になって読むのとでは、感じるものが違う」なんてよく言われるが、ポピュラー音楽でも似たようなことがあるのだろうか。確かに、10年くらい前にはじめてLED ZEPPELIN聴いたときには良さが理解できなかったもんなぁ。
 近々、自分の好きな曲を50曲くらいピックアップして少しづつ述べてみようかと考えている。最近時事ネタをものす意欲が減退気味ゆえ(一時的な物とは思うが)、更新ままならない時の控えネタとしておく。これなら30分もあれば更新できるし。


 さて。
 今朝、テレビ朝日を見ていたら「スーパーモーニング」に田中均が出ていた。
 これまで様々な場で彼が話したことをなぞっているだけのものだったが、今日新たに感じたのは、「戦後賠償も北朝鮮との国交正常化の前提」というニュアンス。曰く、「拉致、核、植民地支配の賠償など、あらゆる問題を包括的に解決せねばならない」と。(おそらくどこかのblogが発言要旨をアップされると思うので細かい表現はそちらを参考に)

 平壌宣言の第一項を見ると、
1.双方は、この宣言で示された精神と基本原則に沿って、国交正常化を早いうちに実現させるためにあらゆる努力を傾けることにし、そのために2002年10月中に日・朝国交正常化会談を再開することにした。双方は、相互信頼関係に基づき国交正常化を実現する過程においても、日・朝間に存在する諸般の問題に誠意を持って臨む強い決意を表明した。
 と、ある。「諸般の問題」に拉致が含まれるかどうかはよく議論されるところだが、この「諸般の問題」の中には北朝鮮側から見れば「戦後補償」の話も入っているということが、田中均の発言から匂ってきた。

 第二項には、
2.(略)…双方は、国交正常化を実現するうえで1945年8月15日以前に発生した理由に基づく両国および両国国民のすべての財産および請求権を互いに放棄する基本原則に基づき、国交正常化会談においてこれについて具体的に協議することにした。
 とあるのだが、「基本原則」「国交正常化会談に於いて具体的に協議」という逃げの言葉があることから、戦後補償をするかしないかについては、またそれを行うのは国交正常化の後か前かについても、確かにいかようにも取れる文面となっている。

 田中均はもしかしたら北朝鮮に余計なカードを一つ与えていたのではないか。拉致の解決に「戦時の賠償」が絡んでいるとすれば、日本はまた一つ問題解決に難物を抱えたことになる。表沙汰になっていないだけで、拉致事件解決と賠償が実は田中均の手でセットにされてしまっているのではないか。
 小泉首相の歴史観で、「朝鮮半島の植民地支配という罪への賠償が必要」という考えを打ち壊すことができるのだろうか。北朝鮮が戦時賠償の問題を取り上げてきた場合に、それを跳ね返すような信念を彼は持っているのだろうか。

 そこで、昨日行われた小泉首相の所信表明演説を見てみる。北朝鮮問題についてはわずか9秒しか発言していないが、その内容は、

北朝鮮との間では、拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決して国交正常化を目指す
 というもの。はっきり「国交正常化を目指す」と言い切りましたな。(全体の時間の短さや、憲法や自衛隊の問題についても全く踏み込んだ発言をしなかったことなど、批判すべき点は多々あるがここでは措いておく)

 山崎拓も、国交正常化を視野に入れた発言をしている。
自民党:山崎前副総裁、首相の靖国参拝で「年内に実行」(毎日)
 自民党の山崎拓前副総裁は25日のフジテレビ報道番組で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題について「年内に実行すると思う。この政治信条は変えないんじゃないか」との見方を示した。そのうえで靖国問題の解決策に関連し、A級戦犯の分祀(ぶんし)や国立追悼施設建設は「時間がかかる」との理由から「今年の問題ではない」と指摘した。
 山崎氏はまた、日朝国交正常化交渉について「小泉政権が選挙で大勝して、非常に安定した力を持ったことを北朝鮮は評価していると思う。(小泉首相と金正日(キムジョンイル)総書記の)2人が両国の政権担当者である間に平壌宣言に基づく国交正常化が行われることが、大事な政治日程上の目標になる」と述べ、今後の進展に期待を示した。ただ「拉致問題が現状のままであれば、国交正常化に向けて踏み出すことはできない」と強調した。

 これらの発言はおそらく観測気球であり、これを以て即座に日朝国交正常化へ動き出すという見方はしないが、おそらく国交正常化をしたいという思いは、小泉総理も山崎氏も持っているのだろう。
 金を払って全ての拉致被害者が帰ってくるのであれば、全く何も進展せぬまま年月だけが過ぎていくよりは確かにマシな選択肢ではあろうが、相手が譲歩すればより強気に出るのが北朝鮮の基本姿勢。ゆえに、賠償をしようとか金を払おうとかといった柔軟姿勢を日本が見せるのは、問題解決を逆に遠のかせることになろう。

 国交正常化へ動くのではないか、その危惧は以前から持っていた。そこにさらに、交渉の過程で北朝鮮への賠償が行われるんじゃないかという危惧も追加された。安心して政府に任せられる、そんな国になって欲しいのだけどねぇ…。


引用いくつか (9/26)

 痛みで眠れないくらいに肩こりが酷いので、手抜き内容で。

 引用でお茶濁しその1。
 「Let's Blow! 毒吐き@てっく」9/23付やその翌日分、或いは「log」9/24付で、衆院選で自民党から当選した川条志嘉について語られている。細かい内容はリンク先を見ていただくとして、前回更新時に取り上げた杉村タイゾーよりもよっぽど危うい。意見は変化し移ろうものとは言え、同じ月に小泉批判と小泉賛美を行うようでは、何の信念も無いコウモリと見られて仕方あるまい。(逆パターンではあるが)「自民党で公認もらえないから民主党で」という人は多かったという話はよく聞くし、自分の政治信念と矛盾がないなら政党を移ろうのもアリかとは思うが、小泉政権や郵政民営化に対する意見をここまでコロリと変えられると、信用できないわな。人畜無害な杉村よりもたちが悪い。


 引用でお茶濁しその2。
 「あんた何様?日記」9/23付に引かれていたこの記事。
自民党「支配」中朝と同一視 米紙NYタイムズ報道 外務省、不公正と“抗議”(産経)
 オオニシ・ノリミツは、左巻きウォッチャーにとっては有名人でありますな。ニューヨークタイムズに反日記事を乗しし続ける、不屈の反日闘士でございます。わざわざニューヨークの日本総領事館経由で投書をせずとも、朝日新聞の入っている築地のビルにNYTの日本支社は存在しているのだから、電車で赴いて直接掛け合えば良かろうて。
 しかし、「マスコミはみな自民党路線」って、朝日新聞を右翼呼ばわりする同志社大の浅野健一と同じような認識。立ち位置が偏ると、全ての物が右寄りに見えてしまうものなのか。


2/3占有の好機を活かしてほしい (9/23)

 カミさんから「サンボマスターの人に似ている」と言われ、どんな顔か知らないのでgoogleでイメージ検索し、少々落ち込み気味でございます。確かに、自分でも似ていると思えてしまうので、ぐぅの音も出ません。


 話は変わるが、どうも杉村太蔵は拙者は苦手だ。
 26にもなって、人前で両親のことを「お父さん、お母さん」なんて有りか?と思う拙者は古い考え方かのぅ…3つしか違わんが。確かに政治家らしくなく永田町の常識に風穴を空けるという可能性はあるかもしれないが、一般の常識もないようにしか見えない。「若いからはしゃぐのも仕方ない」という見方も、同年代の私には不愉快な意見だし。
 政治家として立派に成長したり、或いは今の雰囲気をそのまま貫いたり、ならばまだ良いのだが、永田町の壁にぶつかって鬱々としちゃわないかなと、そっちの面でも心配になる。てか、気がかりになってしまう時点で、タイゾーの罠にはまってるのか?
 確かに気になる存在ではあるな。


 さて、憲法改正のための国民投票法案、少しづつ現実味を帯びてきたようで。

衆院、憲法特別委を設置…国民投票法案調整へ(読売)
 衆院は22日の本会議で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案を審議する憲法調査特別委員会の設置を決めた。
 委員長には自民党の中山太郎・元外相が就任した。自民、公明両党は今国会に同法案を提出する方針で、民主党との共同提案に向けた調整を週明けから本格化する方針だ。
 同委員会の設置は、共産、社民両党を除く賛成多数で了承された。民主党は、今国会召集前の各派協議会などで、「衆院だけが先行するのは拙速だ」などとして委員会設置に慎重な姿勢を見せていたが、22日の本会議採決では「憲法改正の議論から逃げるつもりはない」(野田佳彦国会対策委員長)として賛成した。共産、社民とともに憲法改正に抵抗していると取られることを警戒したものだ。
 同委員会の設置を巡っては、与党と民主党が「常任委員会」とすることでいったん合意したものの、公明党内から「常任委員会では憲法改正を進めるというイメージが強すぎる」との声が上がり、「特別委員会」とすることで落ち着いた経緯がある。自民党としても「自民党が衆院選で大勝したことで、公明党がかえって慎重になる可能性がある」(新憲法起草委員会幹部)として丁寧に対応していく方針で、同法案成立を確実なものにする「受け皿」作りをまず優先させた格好だ。
 与党としては今後、民主党と国民投票法案の提出に向けた協議に入りたい意向だが、投票権者の年齢やメディア規制の是非など、双方で意見の異なる点も多い。自民党国対幹部は22日、「(民主党と事実上の共同提案となる)委員長提案ができるようなら、与党案は出さないが、ある段階で与党案を出すことになるかもしれない」と述べ、場合によっては与党だけで提出に踏み切る可能性も示した。
 一方、共産党の志位委員長は同日の記者会見で、「強く抗議する。国民投票法制定は、憲法9条を改正し、日本を海外で戦争をできる国にするためのものだ」と批判。社民党の又市幹事長も「憲法改悪を政治主導で促進しようというものだ。強い危機感を抱く」との談話を発表した。


 与党が2/3越えの議席を確保するなど滅多にあることではなく、憲法改正に関しては千載一遇のチャンス。朝日新聞が社説や選挙結果の解説記事などで、ことあるごとに憲法改正の危険性を訴えているし、投稿欄も「このままでは戦争のできる国になる」という意見が多く出てきている。こういった左巻きからの反発は予想されるが、だからこそ今やらねば今以上の改正の機会はもう来ないのではないか。小泉批判派の私だが、ここは小泉政権に一縷の望みを賭ける。

 また、こんな話も。民主党のお株を奪ってしまう行為で民主党潰しの一環かも知れないが、国民にとってはどういう意図があろうとやってほしいことをやってくれれば、とりあえず文句はない。
<小泉首相>与党幹部と会食 議員年金廃止案作りを指示(毎日)
 小泉首相は22日夜、自公両党の幹部と会食した。公明党の神崎代表が議員年金について、将来の廃止を前提に国庫負担を引き下げるなどの同党案を説明し「早急に与党で合意したい」と求めたのに対し、首相は廃止に賛意を示したうえで「暫定的にどうするか自公で早急に案を」と自民党の与謝野政調会長らに指示した。

 こういう動きは歓迎。
 権力を得ることよりも、得た権力をどう使うかに問題がある。日本に本当に必要だと思うことなら、(勿論説明責任をしっかり果たした上で)バシバシ権力を行使してほしい。今の日本を変えて戦後民主主義の総括を行うには、多少の独裁的手法が必要ではないか、と。確かに小泉自民党の数を背景にした暴走に不安がないわけではないが、平和ボケが日本の生活・思考・文化・法律などのあらゆる分野に浸透している現状を考えるに、荒療治でなければ変化など起こり得ないように思われる。その際、小泉首相の国家観・歴史観が問題になるのだが、彼が首相として選挙に圧勝としたという事実は厳然として存在しており、それを背景に施策を繰り出すことを淡く期待する。
 もちろん、日朝国交正常化のような妙な方向に走り出せば、容赦なく批判する。小選挙区制における世論の重みが今回の選挙で明白となった今、小泉首相も世論の動向には細心の注意を払うだろう…と、ここも期待。


思ったより早かった (9/21)

北朝鮮、軽水炉が供給されるまで核兵器は廃棄せずと表明=KCNA(ロイター)
 [ソウル 20日 ロイター] 北朝鮮は、軽水炉が供給されるまで核兵器は廃棄しない方針を示した。朝鮮中央通信(KCNA)が北朝鮮外務省スポークスマンが出した声明として伝えた。
 19日に共同声明を採択して閉幕した6カ国協議で最大の懸案だった事項について、北朝鮮側の主張をあらためて示した。
 声明は、米国が、北朝鮮に軽水炉をできるだけ早く提供することにより北朝鮮が民生用核計画を遂行する権利を認めることを証明しなければならない、としている。


 予想通りの北朝鮮の動きだが、ちょいと早すぎるぞ。
 北朝鮮は核放棄の時期をカードに弄んでくるだろうと予測していたが、まさにその通りに動きを示してきた。ほとんどの人の予想通りの動きでは無かろうか。ただ、わずか一日後にこのような声明が出てきた意味合いが、分からない。いつもの瀬戸際外交の故か、他に何か特別な意図があるのか。

 六カ国協議が北朝鮮に言うことを聞かせるのに何の役割も果たせないことは明らかになった。話し合いの舞台を安保理に移す流れはできあがりつつある。
 …というのはアメリカを中心に見た考えで、しかも非常に楽天的予測でもある。こういった流れの中で、日本がどう行動するのかが私たちには非常に気になるところ。アメリカの動きに乗っかるのではなく、利用するくらいの強かさが欲しいのだが。

日朝対話、早期再開で合意 北、日米分断狙う? 「拉致」進展は不透明(産経)

 協議が再開されるということ自体は歓迎しないでもないが、問題はその中身。
 北朝鮮としては、強硬姿勢を貫くアメリカと日本とを分断したいのは当然であるし、次の六カ国協議前に日本と協議し何らかの譲歩を引き出すことで、次の六カ国協議でのアメリカの攻撃をかわす狙いもあるだろう。日本としては原則論を堅持し続け、北朝鮮に「交渉の武器」を与えることがないようにせねばならない。下手な妥協をするようでは、安保理付託への流れすら断絶しかねない。
 むしろ、「次の協議を約束」することすら、北朝鮮の時間稼ぎに乗ることになる。北朝鮮の思惑に乗る部分があるくらいなら、北朝鮮の要求をことごとくつっぱね、日朝協議を決裂させた方が効果的ではないかと思える。可能ならば、北朝鮮がゴネたせいで決裂したように見せかける方向で(六カ国協議後の北朝鮮の動きで、それも容易になったと思うのだがねぇ)。日本が怒って席を蹴る…北朝鮮の我が儘ぶりと日本の怒りを示すのに、格好の場ではなかろうか。北朝鮮が望んでいるのは日本のカネ、日本が席を立とうとしたら泡喰って譲歩してくると思われる。

 仮に北朝鮮が拉致被害者の返還に応じたとしても、「数人返して幕引き」という結果にならないよう気を付けねばならない。要するに、北朝鮮がどのような対応をしようとも、日本は原則論を貫くべきだということ。

 日本政府のいちばんの問題点は何かといえば、「拉致問題の解決」をどの地点と定めているのかはっきりしていないこと。目標地点を明確にすることで交渉の足下をすくわれると言う見方もあるかも知れないが、「すべての拉致被害者を帰すこと」を要求し、拉致の「疑い」の域を出ない失踪者も含めてすべての「拉致が疑われる人」を「返還要求の対象」と位置づければ、妙な妥協を結ばされる可能性はない。その前に、特定失踪者もすべて拉致被害者に認定するか、特定失踪者の調査を政府管轄の組織が行うようにするか、国内でちゃんと対応してくれと思うが。
 そこがはっきりしていないから、「日朝国交正常化へ走るんじゃないか」という疑念を呼ぶわけだ。「仮に残りの『拉致被害者』が帰ってきても『特定失踪者』は無視されるんじゃないか」と。



 テレビでは、このニュースあんまりやらないねぇ。
東シナ海石油ガス田 中国の生産開始確認(産経)
 中国政府系の石油開発会社「中国海洋石油(CNOOC)」が東シナ海で開発を進めている石油ガス田で、本格的な生産が始まったことが二十日わかった。
 生産が始まったのは、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の日中中間線付近の複数の石油ガス田のうち、やや中国寄りに位置し、施設整備が先行していた「天外天」石油ガス田。中川昭一経済産業相が同日の閣議後会見で明らかにした。
 日本政府は「日本側の地下資源とつながっている可能性がある」として開発中止などを求めてきたが、中国側はこれを無視して生産に踏み切った形で、政府は新たな対応を迫られることになる。
 中川経産相は会見で、天外天の施設の煙突から石油や天然ガスの生産時に余剰成分を焼却する「フレア」という炎が上がっているのが確認されたことを指摘したうえで、「石油かガスかわからないが(生産が)確認された。きちっとした対応をとるべく政府部内で準備している」と述べた。
 東シナ海の資源開発をめぐっては、日本側の要請で両国の局長級会談が行われたが、中国側は今年五月を最後に協議に応じていない。

 やっぱり国家主権を守るためには、相応の軍事力が必要ですわ。話し合いに応じるような相手じゃないからね。


妥協か計算か〜六カ国協議共同声明 (9/20)

北、核放棄を確約…6か国協議が共同声明採択(読売)
 【北京=加藤隆則、池辺英俊】北朝鮮の核問題を巡る第4回6か国協議は、再開7日目の19日正午(日本時間同日午後1時)過ぎから北京の釣魚台国賓館で全体会合を開き、北朝鮮の完全核放棄や、核拡散防止条約(NPT)への早期復帰、国際原子力機関(IAEA)の査察(保障措置)受け入れなど6項目の共同声明を採択して閉会した。
 米朝、日朝が国交正常化のための措置を取ることも約束した。ただ、声明は、非核化実現に向けた原則的な目標を定めたにとどまるもので、北朝鮮が固執していた軽水炉に関する議論や核放棄の具体的な時期、検証方法については先送りとなった。
 次回の第5回協議は11月上旬、北京で開かれる。共同声明は、2003年8月の協議開始以降、北朝鮮の核問題解決に向けた初の合意で、一定の拘束力を持つ。(冒頭抜粋)

 共同声明の内容はこちら。
【中国】第4回6カ国協議共同声明(全文)
 
 第4回6カ国協議共同声明(全文)

 2005年9月19日 北京

 2005年7月26日から8月7日まで及び9月13日から19日まで、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本国、大韓民国、ロシア連邦、アメリカ合衆国は中国・北京で第4回6カ国協議を行った。
 中国外交部・武大偉・外務次官、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)外務省・金桂冠(キム・ケグァン)外務次官、日本外務省・佐々江賢一郎アジア大洋州局局長、韓国外交通商省・宋旻淳(ソン・ミンスン)次官補、ロシア外務省・アレクセーエフ次官、米国国務省(東アジア・太平洋担当)・クリストファー・ヒル国務次官補がそれぞれ代表を務めた。
 中国外交部・武大偉・外務次官が協議を主催した。
 6カ国は朝鮮半島及び北東アジアの平和と安定という観点から出発し、相互尊重、対等な関係による協議の精神に基づき、これまで3回の6カ国協議の共通認識の基礎として、朝鮮半島の非核化という目標を実現するために、真剣で、実務的な協議を行い、以下の合意に達した。

【1】
 6カ国は、平和的な方法による、核査察を行い、朝鮮半島の非核化を実現することが6カ国協議の目標であることを重ねて申し合わせた。
 北朝鮮は、一切の核兵器及び現在の核計画を放棄し、早期に「核拡散防止条約」(NPT)に復帰し、及び国際原子力機構(IAEA)の監督の下に戻ることを承諾した。
 米国は、朝鮮半島に核兵器がなく、核兵器や通常兵器を用いて、北朝鮮を攻撃したり、侵攻したりする意思がないことを確認する。
 韓国は、1992年の「朝鮮半島非核化宣言」に基づいて、核兵器を搬入・配備しないことを承諾し、韓国内に核兵器がないことを確認する。
 1992年の「朝鮮半島非核化宣言」を遵守・実行すべきである。

【2】
 6カ国は、「国連憲章」の主旨と原則および各国が公認する国際関係に基づいて、お互いの関係を処理することを承諾する。米国と北朝鮮は、相互の主権を尊重し、平和共存し、各自の政策に基づき、徐々に関係正常化を実現することを承諾した。日本と北朝鮮は、「日朝平壌宣言」に基づき、過去の歴史を清算し、懸案を適切に処理するという基礎に基づいて、徐々に関係正常化を実現することを承諾した。

【3】
 6カ国は、2カ国間および多国間において、エネルギー、貿易、投資分野の経済協力を促進することを承諾した。中国、日本、韓国、ロシア、米国は、北朝鮮にエネルギーを援助することを望んでいることを示した。韓国は、2005年7月12日に提示した北朝鮮への200万キロワットの電力援助案を再度申し出た。
 
【4】
 6カ国は、東北アジア地域の持続的な平和と安定に向けて、共同で努力することを承諾した。当該国は、個別に交渉を行い、朝鮮半島の永久的な平和メカニズムを構築するよう努力する。6カ国は、東北アジアの安全協力を強化するための道を模索することに同意した。

【5】
 6カ国は、「承諾には承諾で、行動には行動で応じる」という原則に基づき、一致協調した歩調で、段階的に上述の共通認識を実現していくことに同意した。

 全体に曖昧な書き方になっている。外交文書だから当然と言えば当然かも知れぬが。
 NPT復帰やIAEA監督下に戻ることを北朝鮮が承諾したとあるが、その前に係る「早期に」という言葉は非常に曖昧であり、北朝鮮からすれば一定のフリーハンドを得た感触だろう。核廃棄の時期を巡ってまた交渉を弄ぶことが可能になっている。
 ただ、日米からしても「早期」の意味は主観的に受け止めることが可能で、この言葉を元に圧力をかけることも可能。

 第二項でも、「徐々に関係正常化」と、具体性を避けている。「相互の主権を尊重」とは、北朝鮮の核の平和利用も含んでいるのだろうが、軽水炉提供に関して、上記引用の読売記事によれば、以下のような状況。
 米朝間で最大の争点だった核の平和利用、軽水炉建設問題については、「核の平和利用の権利を有する」との北朝鮮の声明を各国が尊重すると表明し、「適当な時期に北朝鮮に軽水炉を提供する問題を議論する」と北朝鮮に一定の配慮を示した。ただ、米首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)や日本首席代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は閉会式で、「適当な時期」について「北朝鮮が核兵器と核計画を取り除き、NPTに戻り、全面的なIAEA査察を受け入れた後のことだ」と厳しい条件を付けた。
 やはり「適当な時期に議論」と言うことで、軽水炉提供に関する確約は与えられていない。北朝鮮が核廃棄に関して真摯な対応をしていないと見れば、軽水炉提供に関して「無かったことにする」のも可能。

 見てみると、具体的な期限などが示されているわけではなく、合意を演出するための共同声明、と言う感じがする(あとは中国の面子を立ててやったというところか)。当欄で何度も書いてきたように、アメリカにとって六カ国協議は「妥協したことを示すための儀式の場」であり、その観点で見れば、北朝鮮に譲歩したように見せかけ重要な部分はアメリカの態度でいかようにも対応できる、という形になっている。「儀式のための文書」とすればアメリカの思惑通りか或いはかなり近い形の文書では無かろうか。
 この見方は、アメリカが北朝鮮に対して宥和することはあり得ないという仮定を前提としているが、それは強ち外れてはいないだろう。

北朝鮮の核放棄合意、初めの一歩に過ぎない=ライス米国務長官(ロイター)
 [国連 19日 ロイター] ライス米国務長官は19日、核問題をめぐる6カ国協議で北朝鮮が核放棄に合意したことは初めの一歩に過ぎず、北朝鮮が合意を履行し、合意の順守を実証していくという難題が控えていると述べた。
 ライス長官は国連で記者団に対し、北京で行われていた6カ国協議で合意にたどり着いたことは前進だったものの、「初めの一歩に過ぎない。今後の焦点は合意の履行であり、北朝鮮が核兵器と核開発計画を放棄したことを実証するという難題に取り組まなくてはならない」と述べた。

北朝鮮の合意順守、検証が必要=ブッシュ米大統領(ロイター)
 [ワシントン 19日 ロイター] ブッシュ米大統領は19日、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議で合意に達したことを歓迎するとしながらも、合意順守の検証が必要という考えを示した。
 大統領は、北朝鮮が核兵器開発を放棄すると約束したことが「世界をより安全な場所にする上で前進」と言明した。
 ブッシュ大統領は、「われわれが真剣であり、検証可能なプロセスを期待していること」を北朝鮮が理解することが重要とも語った。


 今回の共同声明は安保理付託への一里塚、といったところか。ブッシュ政権がクリントン政権の失敗を踏襲するなどあり得ない、と私はこの点に関しては楽観視しているのだが。


 さて、日本ですよ。
 六カ国協議は核問題を話し合う場、それゆえに拉致問題の進展がこの協議で見られると言う期待は、ほとんどしていなかった。だが、何も言わなくて良いことと同義ではない。アメリカは協議の最中でも、北朝鮮の資産凍結検討を発表するなど、様々な牽制を行っている。日本も圧力となるような意志表示、例えば「拉致解決が為されなければ一切の援助は行わない」といった意志表示はしてほしかった。
 もちろん、今回の協議が「譲歩したことを示すための儀式」として必要であったとするならば、ともかくも声明を発表するために今は臥薪嘗胆、というのも分かる。それならば、11月に行われるとされている次の協議で、日本は強い姿勢を見せなければならない。今回の日本の姿勢が弱腰なのか計算に基づくものなのかは、次の協議での態度を見てから決定する。これまでの行動を見るに、前者の可能性が高いように思われてならないが。

 アメリカに頼らなければならない状況は歯がゆいが、しかし日本の現状を考えればそうせねばならないのも現実(それを脱するべく日本独自で動けるような法整備を早急におこなって欲しいものだが)。しかし、その中でも日本の意志を示すことを怠っては、全てがアメリカの思惑の元に進む。たしかにアメリカは北朝鮮人権法などで北朝鮮の人権侵害について強い関心を持っていることは窺えるが、究極的には日本人の拉致問題については「他人事」である。日本人拉致について主体的に動けるのは、そして動くべきなのは日本しかない、ということは忘れてはならない。場合によっては六カ国協議の枠組みを破綻させても日本の意志を示すことを優先する必要がある。今の日本の外交姿勢に最も必要なのは、この「主体性」では無かろうか。基本姿勢が見えないゆえに、拉致被害者家族の方たちは苛立ちを覚えるのではないか。
「拉致問題は?」被害者家族、危機感あらわに(読売)

 ともかく、国交正常化に向けて動き出すことがないよう、私たちは注視する必要がある。


期待は常に有り、されど… (9/19)

 土曜日は毎週更新不可、昨日日曜日はカミさんの祖父母の家に出かけていたので更新できず。更新はおろかニュースのチェックもしていないので、古い話が中心になるが、それでもめげずに書く。


 まずは、小泉首相の第一回訪朝から3年という話。だが、9月17日という日をことさら取り上げるのにも、なんか違和感が。
 被害者家族の戦いはまさに被害者が拉致されたその日から始まっているわけだし、9/17に拉致が解決したわけではない。確かに小泉首相が訪朝し、それまで政府が無視していた問題に風穴を空けた日であり、拉致という国家犯罪が犯人によって明らかになった日ではある。しかし、それ以後殆ど進展無く現在まで至っていることを考えると、9/17をことさら取り上げるのも何か違う感じが。あくまで個人的感覚の問題なので、これを理由に他者を批判する気は毛頭ないのだが。
 拉致が解決し、そのきっかけとなった日として、9/17が記憶に刻まれる…そうなることを心から望む。

 ワイドショーもここのところ、アリバイ工作のごとく拉致を扱う番組が見られるしな、選挙前にやれよ。

 北朝鮮問題と言えば六カ国協議。

中国が6次草案、きょう合意の可能性…6か国協議(読売)
〈1〉北朝鮮が「すべての核兵器・核計画の廃棄」や核拡散防止条約(NPT)への復帰、国際原子力機関(IAEA)保障措置協定の履行などを実施するとの手順を明確化
〈2〉軽水炉は将来、米朝間で信頼が醸成された場合の検討課題であること
(一部抜粋)

<6カ国協議>中国新案で合意へ 北朝鮮も受け入れ(毎日)
協議筋によると、北朝鮮首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は、中国の第6次案を代表団レベルで受け入れると述べたという。これは、北朝鮮指導部の了承は得ていないという意味で、19日に平壌から「訓令」が届くという。このため、北朝鮮代表団が受け入れ表明をしたとしても、指導部の判断で覆される可能性がある。(一部抜粋)

 かなり「含み」を持たせた合意案だが、結局北朝鮮の思い通りになるか否かはアメリカの態度にかかっている。「米朝間での信頼」などあり得ないし、米朝枠組み合意で裏切られたアメリカが北朝鮮の軽水炉要求に応じることはあり得ないだろう。9/11に書いたように、アメリカは北朝鮮の麻薬収入を断とうとしているし、また次のような話もある。

米国務長官、北朝鮮の資産凍結の可能性を示唆(ロイター)
 [ニューヨーク 16日 ロイター]  ライス米国務長官は、6カ国協議が今後5日間で進展しない場合、北朝鮮の資産を凍結することもあり得る、との考えを示した。
 同国務長官は、北朝鮮に核保有計画を断念させる手段について、6カ国協議だけに頼っているわけではないとし、懲罰的な選択肢として資産の凍結を検討していることを明らかにした。
 15日に行われたニューヨーク・ポスト紙とのインタビューで述べたもので、国務省が内容を明らかにした。 
 ライス国務長官は、「ブッシュ大統領は大統領命令に署名した。資産の凍結は、核拡散防止条約(NPT)で認められていると考えている」とした上で、「北朝鮮が自国の核兵器プログラムについて戦略的選択をする用意があるか、6カ国協議で成果があるか、今後5日間で結果が出る」と語った。


 アメリカ主導の圧力は次善の策として歓迎できるが、日本がこれに後れをとることの無いように望む。核を持つ国家へ対する危惧ではなく、「拉致や人権抑圧を行うような独裁国家が核を持つ」という危惧で国際社会にアピールし、安保理に舞台が移った際に拉致が埋没しないように働きかけて欲しい。外務省の国際的アピール能力のなさは周知の事実だが、そこに期待をかけないことには何も始まらない。

 本当に合意が為されそうだったら、日本は椅子を蹴って協議を破綻させてもいいのではないか。日本の金が手に入らなくなって焦るのは北朝鮮のみならず、北朝鮮よりの中韓露も同じこと。いざという時には強気に出てもらいたいものだ。
 まさか6次案での合意を受けて日朝国交正常化へ進むということはないだろうが…。


 次に民主党の代表の話。私は断然「河村たかし派」なのだが、推薦人が集まらず代表選出馬を断念。河村を選べないなら分裂した方が出直しは速いと思うのだがなぁ。
 で、前原さんが選ばれたのだが、彼の政治スタンスは以下の通り。「あんた何様?」さんから拾ってきました。

外国人労働者の受け入れ・・・・・・賛成
首相の靖国神社参拝・・・・・・・・・・・反対
定住外国人に参政権を与える・・・賛成
中国へのODA供与終了・・・・・・・・・反対
北朝鮮への経済支援打ち切り・・・反対
独自憲法作成・・・・・・・・・・・・・・・・・賛成
憲法九条改正独自軍化・・・・・・・・・賛成
自主防衛&核配備・・・・・・・・・・・・・賛成


 「同和推進副委員長」という肩書きをサイトのプロフィールから外したってのも話題になってますな。京都ってことだし、野中と繋がりあるのかな…。同和推進でも「差別利権にどっぷり」と同意ではない可能性も考えられるが、削除したことに疑問がわく。後ろめたさがないなら削除する必要もなかろうて。

 外交に関してはアジア重視と言うことで社会党的、安保に関しては自民党的といった感じ。「首相の靖国神社参拝に反対」「外国人参政権に賛成」「北朝鮮への経済支援打ち切りに反対」といった辺りの政治信条には同意できないが、菅直人に比べればはるかにマシか。彼の詳しい考え方をまだ知らないので、軽々に判断するのは控えよう。

 で、彼の代表選出に関しては、彼の政治スタンスに疑問を持ちつつも、私は概ね歓迎する。理由は三つ。

 一つは民主党代表の若返りが、自民党に影響を与えるのではないか、と言う点。
 ポスト小泉で名前が挙がる福田や麻生などは皆六十代。若いとされる安倍氏も五十歳。前原氏が43歳ということで、自民党も対抗上、次の総裁は若手を起用する(=安倍氏擁立)可能性は高まったのではないか。勿論、小泉辞任時の政治状況によって何が起こるかは分からないが、「前原民主党に対抗するには若手の総裁を」という意見が自民党の多数を占める可能性は、前原氏が代表になったことによって上がったのではないかと思われる。安倍首相を期待する身としては、民主党党首の若返りは歓迎するところである。

 二つ目の理由は、前原氏が憲法改正論者である点。
 自民党が圧勝したとはいえ、衆議院の2/3を制するには公明党の力が必要。となると、憲法改正に関して、公明党が足枷となると思われた。しかし、民主党代表に前原氏が就任したことで、民主党と自民党が協力して憲法改正に取り組む可能性が高まった。もちろん民主党内部に護憲を訴える化石がまだまだ多く存在してはいるが、憲法改正論議が活発化することは間違いないし、自民と民主で妥協係に成立すれば、公明党を無視して衆議院の2/3を制することも可能となる。
 確かに民主と自民が手を組むかどうかという大問題があるので楽観視はできないが、少なくともこれまでよりは状況は整ったと言えるだろう。国対委員長の野田は、有事法案で自民党と妥協した歴史を持っているし、多少期待してもいいんじゃないかな。

 三つ目は、二つ目に少し関連するが、前原氏が憲法改正論者であると言うことで、民主党で左右の分裂が起きるのではないか、そしてそれを引き金に政界再編が為されないだろうか、という期待(希望?妄想?)である。民主党内の化石どもを一掃してくれれば、反日分子をゴミ箱へ送り込むことも可能なのだが…。

 ただ、一つ目の理由に関しては、安倍氏が「首相候補の立場で居続けること」が前提になるのだが。安倍さんの支持基盤が今回の総選挙で一定数失われたのは事実である。
教科書・拉致・靖国…メンバー相次ぐ落選 自民「保守派」思わぬピンチ(産経)
 安倍叩きが小泉首相の能動的意図による物かは、次の内閣改造を見てからでないと見極められまい。仮に結果論だったとしても、厳しい状況であることには変わりない。これを乗り越えて権力闘争にも強い政治家となって次の首相となることを期待する。


 西村眞悟発言についても書こうと思ったが、それは別の機会に…書くかも知れないし、書かないかも知れない。


拉致は党派を超えて取り組むべき課題 (9/16)

 横田滋さんが民主党候補の応援をしたことについて、こんなことを書いているblogがあった。

 それまで日本人に殆ど忘れられていた(或いは半信半疑だった)北朝鮮による拉致事件。それを金正日に認めさせ、被害者の奪還を果たしたのは小泉の功労であるし、彼によって刷新された外務省の力によるものであろう。にも関わらず恩を仇で返す真似をすれば、今後どのような政府が出来ようと、拉致事件にまともに取り組もうとは思うまい。
 それ以上に憂慮すべきは、国民の感情が拉致被害者から一気に引く事。実際地村などの(エロネタはともかくとして)怪しげな政治活動のおかげで俺なんかはとっくに引いちゃってるし、2chニュース速報+のこのスレでも横田に対する非難のレスが圧倒的に多くなっている。
 少なくとも、せっかく小泉の手によって「北朝鮮による拉致被害者の救出」は日本国民にとっての絶対善となったにも関わらず、被害者家族が自らの手でそれを否定してしまった事は確かだ。
北朝鮮による拉致被害者家族会代表の横田滋さん、娘の奪回を断念する(「恐怖!猫屋敷」)

 「党派ではなく個人を見て投票」というのは多くの拉致問題を扱うblogでも言われたことだし、横田さん自身も「党派を絞らず拉致に取り組んでいる人を応援する」と語っておられた。ご家族からすれば、自民党だろうが民主党だろうが、「拉致について取り組む人」が多く国会に存在して欲しいと願うのは当たり前で、応援先が「民主党の人」であったことは、主たる事象ではなく付随的な事実に過ぎぬ。

 小泉首相が拉致問題の扉を開けたのは確かであり、それは功労といえば功労であろう。だが、拉致被害者家族がそれを理由として小泉首相を崇め奉る必要など全くない。他国に誘拐された国民を取り返すのは当事国政府の責務であり、「恩」などでは決して無い。身内を誘拐されて警察が犯人を捕まえたときに、道徳的にはまだしも義務として警察に感謝せねばならない謂われなど無い。「何十年と続いていた不作為を途絶えさせた」ことは確かに功績かも知れないが、「拉致被害者を5人取り戻した」ことは「当たり前」であり、むしろ全ての被害者が帰ってきていない以上「まだ不十分」ですらある。

 だいたい、拉致問題を「党派」という概念を通して考えること自体が間違いでは無かろうか。本来は保守だろうが革新だろうが左翼だろうが右翼だろうが、拉致問題は国全体を挙げて取り組むべきイシューのはずで、「民主党を応援したから拉致被害者救出を否定したことになる」という見方は全く理解できない。

 「小泉批判=拉致問題の進展を阻む」なんて見方もあるらしいが、倒閣を求める意見はともかくとして、より早急かつ確実な進展を望むべく批判することが、どう転べばそうなるのか。確かに民主よりは自民の方がマシではあるが、マシであるからそこで止まってよいわけがないし、未だに多くの被害者は帰ってきていないのだ。事態の進展を求めて意見を述べるのは、当然のことではないか。


「造反」それぞれ (9/16)

特別国会:古屋圭司氏も「指名選は首相に」(毎日)
 衆院選で自民党非公認となり無所属で当選した郵政民営化反対派から、次期特別国会では郵政民営化法案賛成に転じるか、首相指名選挙で小泉純一郎首相に投票するとの意思表明が相次いでいる。将来の復党につなげる狙いがあるとみられ、野田聖子元郵政相(岐阜1区)が13日に小泉首相に投票する考えを示したのに続き、14日には古屋圭司氏(岐阜5区)も同様の意向を表明。両氏とも郵政法案に賛成する可能性に含みを残した。
 また、反対派の保利耕輔元文相(佐賀3区)と今村雅弘氏(佐賀2区)を支援した党佐賀県連は同日、留守茂幸県連幹事長が武部勤幹事長を訪ね、両氏が法案賛成と小泉首相への投票の意向を固めたと伝え、両氏の復党を認めるよう要請した。武部氏は郵政法案の採決後に党紀委員会を開いて処分する方針に変わりないことを強調した。

 もともと古屋さんは、選挙戦の時も「郵政民営化自体には反対ではない」と、含みを持たせていたからねぇ。ある意味一貫しているとも言える。別に「小泉政権では拉致は解決しない」という信念の元に造反したわけでも無い。それなのに「首班指名は小泉に」と言った瞬間に「コウモリめ!」と罵るのは、少し筋が違うような。信念貫いても実行力持たなきゃ何の意味もないのではないか。これまで支持していたのに一つの言動だけでバッサリ切り捨てるような見方をする人って、物事何でも白か黒かに二分されるとでも思っているのかね。
 確かにここに来て自民党に未練があるような言動には違和感が無いわけではないが、これ一つで古屋氏への評価を180度転換する気はない。しばし様子見。

 こっちの方が、言うこと変わって何だかなぁという感じ。
小泉首相には投票せず=平沼前経済産業相(時事)
 平沼赳夫前経済産業相は14日、岡山県庁で記者団に対し、特別国会での首相指名選挙について「(自民党が)刺客を立ててきたのだから(小泉純一郎首相に投票しないのは)当然ではないか」と述べ、首相の続投を支持しない考えを明らかにした。(一部抜粋)
一転、小泉首相に投票示唆=「県連に迷惑掛けられぬ」−平沼前経済産業相(時事)
 平沼赳夫前経済産業相は15日午後、特別国会での首相指名選挙への対応について「選挙で応援してくれた(岡山)県議は自民党員だ」と指摘した上で、「軽々に私憤にかられてやるべきことではない。(党岡山)県連に迷惑を掛けてはいけない」と述べ、小泉純一郎首相に投票する考えを強く示唆した。都内で記者団に語った。(一部抜粋)

 あと、野田聖子を叩く意見もよく見る。私も彼女は好きではないし、うちの嫁さんも「お姫様扱いされて態度がでかかった」とか言っている。だが、野田叩きの意見の中には、選挙の圧勝で抵抗勢力を失った自民党に新たな敵対勢力を作ろうという考えの基に為されているのでは、という疑念を抱かせる物もある。まぁ疑念だから根拠があるわけではないのだが。


スーパーおやじ (9/15)

 数合わせで名簿に載っていただけじゃないか、ただのスーパーのオッサンに議員なんてできるのかよ、てな声もあるようだが…。

え〜っ!安井氏 選挙運動せず当選(デイリー)
 衆院選で自民党の比例代表、東京ブロックの27位ながら当選を果たした安井潤一郎氏(55)は、予想以上の自民圧勝で思わぬ議員バッジを手にした。同党武部幹事長から直接の出馬要請を“ふたつ返事”で受けたため「まさか当選するなんて…」とビックリ。「なんにもしなくていいから」という同幹事長の言葉を受け、選挙事務所なし、街頭演説なし、ポスターも作らずに終わった。人数合わせにすぎなかった選挙参戦が、驚きの結果につながった。

 この記事にあるこの部分、
地元、早稲田商店会長(出馬前、会長を退く)として長年、空き缶、ペットボトルの資源リサイクルや地域活動の支援を進め、同商店会を活性化したアイデアマン。スーパーを経営し、年間100本以上の講演で全国を飛びまわる。
 これだけで、菅の息子よりはマシに思える。

 さらに、ある講演会に関するサイトで書かれた彼の肩書きを見ると、けっこうすごい。
http://www.city.chita.aichi.jp/soumu/soumu/bousaikouenkai/bousai-waseda1.htmより)
内閣府中央防災会議委員
内閣府地域産業おこしに燃える会委員
総務省消防庁「防災・危機管理e−カレッジ」開発協力者
東京都「心の東京革命」推進会議委員
新宿区清掃リサイクル推進委員
東京都食肉事業協同組合本部理事
新宿区生鮮三品特販組合理事長
江戸開府400年記念事業商店街まつり実行委員長
早稲田いのちのまちづくり実行委員会委員長
循環型まちづくり推進協議会代表
早稲田商店会会長
鰹、店街ネットワーク代表取締役会長
NPO法人・東京いのちのポータルサイト理事長

 堀江よりも地道に活動しているように見える。

 また、このblogの3/27の文章によると、
 福岡、佐賀県で震度6弱の地震があり、一人がなくなった。地震はいつどこで起きるか分からない。特に不安なのは首都圏の住民だろう。地震で家屋を消失した場合、避難するふるさとがない人も多いからだ。
 その不安感に挑戦したのが、早稲田商店会。空き缶とペットボトルを回収し、ラッキーチケットの当たるエコ・ステーションで、全国の注目を集めた商店会だ。その早稲田商店会で、安井潤一郎会長たちが開発したのは、「震災疎開パッケージ」。年間5万1千円(小学生以下3万1千円)を支払うと、被災時に最高30万円の疎開費用が支給され、提携した受け入れ地域に疎開できるというものだ。そして1年間、震災がなければ、提携先から3万1千円分の特産品が送られてくる。だからかけすてにはならない。そして提携先から見れば、特産品の販路開拓にもなる。つまり、みんな得するシステムだ。
 同じ潤一郎でも、ペパーダイン古賀とはエライ違いだ。

 最後に、このblogの9/13の文章にはこんな話が。
 昨年の中越地震。商店会会長はさっそく救援活動を始めた。
その発想がユニークだ。例えば床屋ボランティアが被災地に入って散髪サービスをしたら地元の床屋はどうすりゃいいんだ。
大事なことは被災者の自立を助けることだと考えた社長は、自ら被災地の肉屋に自分の店の仕入れの発注を出す。
そしてこの活動への賛同を呼びかけ、大きな輪に育て上げていくのだ。


 小選挙区で汲み取れないようなタイプの議員を国会に送り込むには、比例区という制度は適しているのかも。小選挙区は幅広く国政を扱える人、比例区は専門職、と言うような棲み分けができるといいな、と感じた。


Now or Never ? (9/14)

定率減税、07年全廃の方針示す 財務相と政府税調会長(朝日)
 所得税・住民税の定率減税が、07年にも全廃される可能性が強まった。99年に景気対策で導入され06年からの減税額半減は決まっていたが、谷垣財務相は13日の記者会見で「(定率減税は)異例の措置で、整理する必要がある」と述べ、今年末に決める06年度税制改正での全廃に意欲を示した。政府税制調査会(小泉首相の諮問機関)の石弘光会長も、朝日新聞社のインタビューで同様の意向を表明。自民党は総選挙の政権公約で「サラリーマン増税」を否定しており、批判も出そうだ。

 先日も書いたが、圧倒的勝利を得た小泉首相には、とっとと増税などの「嫌がられる政策」をかましておいてもらって、次の政権(安倍ちゃん)に余計な苦労をさせないよう配慮して欲しい。増税で自民党に対する支持が下がり安倍政権どころではなくなるという見方もあろうが、そんなものは選挙戦略で幾らでも挽回できようて。
 確かに「サラリーマン増税を行わない」とした公約に反しているという批判は有りだろうが、「減税の廃止」と「増税」は、言葉遊びのようではあるがやはり似て非なる物であるのは事実ということで。


 さて、タイトルに関わる本題に。
 まずは、log氏のblogで紹介されていたニュースを。

米、北朝鮮の核開発資金源の根絶に着手(朝鮮日報)
 米国が北朝鮮の核兵器開発を阻止するための“資金源”の根絶に本格的に乗り出した。
 アジアン・ウォールストリート・ジャーナル(AWSJ)は8日、米国の司法当局が、北朝鮮の偽札と覚せい剤・武器取り引きに関連した疑いで、中国最大の銀行バンク・オブ・チャイナ(BOC)とマカオに位置するバンコ・デルタ・アジア銀行、恒興銀行など、3行を調査していると報道した。
 これらの銀行は、米国が麻薬、偽札、偽造品のタバコなどを密輸入してきた北朝鮮企業の閉鎖を図る活動を行う過程で、北朝鮮と違法な取り引きをした事実を摘発された。もし違法資金取引、マネーロンダリング(資金洗浄)などが確認されれば、厳しい制裁措置に直面するだろうと同紙は報じた。
 今回の捜査は、来週再開される予定の6か国協議とバンク・オブ・チャイナの来年中のニューヨーク証券市場への上場を前にした時点で、米国の司法当局がアジア諸国とここ3年間北朝鮮の偽札と闇市場での武器取り引きの流通網を調べた末、行なわれるもので、その結果が注目される。
 AWSJは、米国の財務省検察局(Secret Service)と移民関税執行局(ICE)などは最近、合同調査を通じて、いわゆる“スーパーノート(super note)”と呼ばれる100ドルの偽札500万ドルを米国や台湾で押収した。米当局はほとんどの偽札が北朝鮮で作られたものと見て、捜査を進めていると明らかにした。
 これと関連し、米国のロバート・ゼーリック国務副長官は8月初旬、中国を訪問して北朝鮮に偽札と核開発問題などを取り上げ、北朝鮮を「犯罪国家( criminal state )」と断定したことがある。
 とりわけ、米国は今回の調査で、金などを売って北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の裏金調達の窓口役を果たしており、核開発プログラムの部品獲得にも一部関与していきたマカオに位置する朝光(チョグァン)貿易にも注目していると伝えられる。朝光貿易の銀行口座は、金大中(キム・デジュン)前大統領の北朝鮮への送金口座としても利用された。
 朝光貿易の取り引き先として目されているマカオの2行は、ともに香港とマカオの大富豪の所有で、大きな波紋が予想される。
 香港金融界の大物であり、立法議員であるスタンレー・アウ(Stanley Au)氏が所有しているバンコ・デルタ・アジア銀行は、1994年北朝鮮の朝光貿易によるドルの偽札持ち出し事件の当時、マネーロンダリングに関連し、現在、米財務省のブラックリストに載せられた。
 また、恒興銀行のオーナーのスタンレー・ホー(何鴻桑/83)氏は、マカオの最大カジノ富豪で、金正日総書記と親密な関係にあり、93年には平壌(ピョンヤン)にカジノをオープンしている。
 AWSJは、「先月、捜査チームの偽装要員が、武器取引組織からの違法な地対空ミサイル取引提案の動きをつかんだことを手がかりに、これを一網打尽にする構えでいる」と明らかにした。

 9/11に、北朝鮮の生命線は通常の貿易ではなく、麻薬・偽造紙幣・万景峰などによる総連からの持ち出し、と当欄で指摘した。麻薬収入は5億ドル、偽造ドルによる収入は数千万ドルから億単位(世界中で毎年摘発される偽造ドルは2億ドル)、万景峰によって持ち出される金は年間推定で数十億円(単位の違いに注意)。この記事では、それらに加え、偽造タバコや武器取引、資金洗浄などが取り上げられている。
 
 麻薬・偽造紙幣に関してアメリカが動き出したとすれば、日本が万景峰などによる総連の送金を止める、すなわち経済制裁を開始する絶好のタイミングが来たと言える。他国との連携が必要という意見に対しても、言うことを聞くはずがない中韓を除けば連携の相手は当然アメリカ、そのアメリカが動き始めたのだから、経済制裁のタイミングを見計らうべき時期に来たと言えまいか。

 六カ国協議が再開されたが、アメリカは北朝鮮に譲歩する気はさらさら無いと思われる。
北は「核から手を引け」、米首席代表が強硬姿勢(読売)
<6カ国協議>米朝会談など、2国間協議で本格化(毎日)
 北朝鮮の核問題解決を目指す第4回6カ国協議の再開2日目の14日、米朝会談など2国間協議を相次いで行い、第4次共同文書草案の修正などについて本格的な協議に入る。今回も米朝会談の進展具合が、核問題解決のカギを握っており、米国側は北朝鮮が核兵器用の物質の生産も含め、核計画を放棄するよう強く迫る方針だ。

(一方で食えないヤツが一匹。ロ、軽水炉提供に関心 利権絡みか、6カ国協議(共同)

 六カ国協議は、アメリカにとっては「ここまで譲歩したんだもん、もう無理だよ。あとは安保理でやろうね」と言うための儀式に過ぎない。

 何度も書いてきたように、北朝鮮の核問題を話し合う舞台が安保理に移れば、拉致を核問題に埋もれさせないために日本の意志表明として拉致による経済制裁を行う必要がある。アメリカが北朝鮮の資金づくりを締め付ける動きを見せているため、経済制裁の効果は日本単独の場合よりも上がる。この機会を逃したら、これ以上のチャンスはないのではないか。
 で、制裁の準備としてせねばならぬことは、制裁と同時進行で行いましょうや。恫喝的効果はこれでも十分でしょ。制裁しながら次の準備を進める、北朝鮮にとっては怖い動きだと思うけど。

 これまでの小泉首相の言動を見ていると、小泉首相に動きを期待するのは期待というよりも願望でしかないのかもしれないが、状況が日本にプラスに働く方向で動いているのは事実。今は批判を抑え、様子を見守ってみたい。…と言いつつ明日には批判しているかも知れないが゚∀゚)


 おまけ。
http://www.diary.ne.jp/user/31174/
 裏にどんな意図があろうとも、その表現でないと表せないというわけでもなかろうて。何でもかんでも「言論弾圧」に持っていくのは、左巻きのやり方と同じだぞ。


笑い事でないタナボタ (9/13)

棚ぼた議席「天から贈り物」 比例東京の社民・保坂氏(朝日)
 「天からいただいた贈り物だと思う。護憲、平和を求める声や、『社民党に消えてほしくない』という思いが結実した」
 社民党の保坂展人氏(49)は12日午前、東京都世田谷区にある事務所で話した。
 自民党は比例東京ブロックでは8議席を獲得できるはずだったが、重複立候補した候補者の多くが小選挙区で当選、比例名簿に7人しか残っていなかった。候補の追加が認められないため、最後の1議席が社民党に回ってきた。

 「珍事」として面白おかしく取り上げているマスコミもあるくらいだが、決して笑い事ではない。

 自民党に投票した東京都民の意志が踏みにじられた結果である。公選法の規定による物であるが、これは公選法を即座に改正すべく動くべきだろう。
 小選挙区に関しては、2位以下に投票された票が(比例区との重複候補に対する惜敗率を計算する時以外は)無意味になってしまう「死票」が話題となることがあるが、自民に入れた票が社民の議席になってしまうという今回の事態は、「死票」以上に大問題だ。死票は無効になるだけだが、今回のケースでは多党を利する結果になってしまうからだ。「社民は絶対にイヤだ」という意志表示で自民に入れた人にとっては、憤懣やるかたない結果ではないか。
 ただちに、他の選挙ブロックの候補への振り分けを可能にしたり、名簿への追加を例外的に可能にする必要があるのではないか。

 さらに救いがたいのが、タナボタで議席を得た保坂が「天の贈り物」などとほざいていることである。民意を得ていない議席を手にしたことについて、何ら後ろめたさを感じていないらしい。平和とか平等とか民主主義とかいつもは様々な理念を声高に主張している輩に限って、自分に利益となる場合は口をつぐむ。


伝え方 (9/13)

 自民党を大勝させた国民を愚民呼ばわりすることは、自分のその国民の一部であるという事実を棚に上げた無責任な論にしか見えない。だいたい「民主よりも自民がマシ」というのは事実で、多くの人がそう考えれば今回の結果も当然といえば当然、むしろ賢くなったんじゃないかと言えなくもない。勿論雰囲気だけで選ぶ人もいただろうが、そういう人間の意志を排除する選挙制度は民主主義体制である限りあり得ない。
 愚民扱いしたところでその多くの「愚民」はそのような人物の意見など受け付けられず聞こうとはしない。結局その論も自己満足の域を出ないという結果に、真意はどうあれ事実はそうなる。正しい考えならば正しいと受け入れられる世の中だったら、こんな楽なことはない。
 拉致の話もそうではなかろうか。具体的な見通し無しの小泉退陣要求や経済制裁要求では、伝えたいことすら伝わらなくなってしまうのではないか。自分と異なる意見を排除しているようでは、意見の広がりは望めないのではないか。演出巧者の小泉から学ぶべき点も、確かにある。正しいか正しくないかも大切だが、どう伝えるかも重要ではないか…今回の選挙では強くそのことを感じた。


やはり大勝でした (9/12)

2005年総選挙結果
- 自民 公明 民主 社民 共産 国民 日本 その他
今回 296 31 113 7 9 4 1 19
選挙前 212 34 177 5 9 4 3 33


 仮に郵政法案がまた参議院で否決されても、衆議院で2/3以上の賛成で通る。「自公で2/3以上取れねば辞任する」と言った方が悲壮感増加でもっと議席を伸ばせたんじゃないかね。

 発言や行動の中身はさておき、小泉首相の巧さが光りまくった選挙だった。そこに、民主党の拙さが重なり、20年ぶりの自民圧勝となった。民主主義体制をとる日本なればこそ、政策を国民にどう訴えかけるかは、政党・議員にとって非常に重要なファクター。その点で小泉自民党のやり方は正しいし、それに対して洗脳だの催眠術だの言っている綿貫や亀井は稚拙極まりなかったし(亀井は当選したが、まぁ堀江が相手だしな。しかし堀江が8万票以上獲得って…)、政策をきまじめに訴えるだけで全く訴求力の無かった岡田民主もまた稚拙(中身にも問題があるのは当然だが)。

 私はどちらかといえば小泉批判派ではあるが、楽観的に考えれば、自公で2/3の議席を獲得したことで、憲法改正を押し進める素地が作られたことはプラスかと考えている。圧倒的な議席数を元に、小泉首相が施策を繰り出すことを期待する。
 私は小泉首相のやり方はヒトラー的だとは考えていないので(国民に訴えるやり方や国民に信を問う解散というのは間違ってはいない、訴えている中身や争点設定に問題があるだけだ)、この圧倒的な数の力で以て有効な施策をしてくれれば文句はない。要するに、国民がこの自民圧倒多数というツールをどう利用するかの問題だ。
 日朝国交正常化へ動き出すのではないかという懸念はあるが、選挙結果は結果として受け入れ、今後も政府の行動を注視し、批判すべきだと思えば批判させてもらう。
 圧倒多数の内に、増税もやっとくれ。でないと、次の総理が増税をやらなきゃいけなくなり、おそらく早期退陣になる。安倍さんの出番を早めるためにも、小泉さんは増税を任期の内にやってくれ。

 民主党にとっては、小選挙区という制度の怖さを思い知らされた選挙だったろう。ただ、民主党も、政策をより明確に(自民より右寄りの方が分かりやすかろう、出ていくヤツも増えようが)して、かつ小泉首相の手法を取り入れれば、同様のチャンスがあるとも言える(チャンスどころか民主党が今後分裂してしまう危険性すらあるのだが…)。今回の自民圧勝で「自民政権は永久的な物か」とは思えない。むしろ、政治の流動性、ダイナミズムが確かに存在することを知らしめてくれたと思う。

 ただ、自民党の圧倒的勝利に昂揚したのか、訳の分からぬ言説を述べる人がいるね。
 どこか忘れたが、「新しい時代がきた。反日主義の世界は終わりを告げた」とか言う文を見たのだが…河野洋平や片山さつきや藤野真紀子や辻本清美なんかが国会議員となっている状況を見て、よくそんな寝ぼけたことが言えるなと感心する。松原仁や西村眞悟は比例区でようやく当選、城内実も衛藤晟一も落選という状態で、何を盛り上がっているんだか。大島令子や首藤信彦が落ちているのには喜びを感じるが。
 まだまだ日本のために働かない議員は数多く存在する。希望を持つのはいいことだが、楽観的すぎる思考は現実逃避にしかならない。

 あと、この男みたいに選挙に行かないくせに(本当かどうか知らんが)政治を語るのはねぇ…。自らも日本国民という総体の一部であることを棚に上げて国民を愚民扱いする無責任ぶりも疑問。


経済制裁考・改 (9/11)

北朝鮮、対中貿易額が大幅増 今年上半期、対日は減(産経)
 北朝鮮の今年上半期の対外貿易は、対中国の貿易額が前年同期比で約43.3%増の一方、対日貿易は25.9%減だった。韓国の聯合ニュースが同国統一省や韓国貿易協会などのまとめとして8日報じた。
 それによると、対中輸出は2億3000万ドルで33.8%増、輸入は5億1000万ドルで48%増だった。輸出は水産物、鉱石、鉄鋼などが多く、輸入は鉱物性燃料、肉類、穀物、機械類などが占めた。
 対日貿易では特に水産物輸出が60.1%減となったのが響き、貿易額は約9000万ドル。韓国との貿易総額は4億5000万ドルと39.5%増加しており、対日貿易が減少する一方で対中や南北貿易が増え続ける構図が鮮明となった。(共同)


 予告通り、この記事を元に文章をものす。

 引用の記事から計算すると、対中輸出額は5810万ドルの増加、となっている。対日輸出額は3150万ドルの減少。対韓輸出額は書かれていないが、貿易総額については1.3億ドルの増加となる。日本との貿易が減じると中韓との貿易額が増える…予想通りではあるが、日本が蛇口を閉めたときに助け船を出す国が明らかになった。

 ついでに書いておくと、中国へ迂回してきた朝鮮の水産物が流入している可能性も高く、中国の「支援」は貿易額以上に大きいものだろう。
日朝貿易額4割減3月統計でアサリ輸入ゼロに(中日:05/05/01)
 日本と北朝鮮の3月の輸出入を合わせた貿易総額が、約15億8千万円と昨年同月比で4割減ったことが財務省の貿易統計(速報)で分かった。
 100トン以上の一般船舶に保険加入を義務付けた船舶油濁損害賠償保障法が3月に施行された影響とみられる。
 特に拉致被害者の支援団体「救う会」が不買運動を提唱、農林水産省も原産地表示の厳格化を指導しているアサリの輸入はゼロ。昨年3月は約5200トン(約6億6千万円)の輸入があった。
 一方で、中国産アサリの3月の輸入は約5900トン(約7億4千万円)と昨年の4倍に急増し、日本市場の価格上昇の抑制に一役買っている。ただ、政府関係者の中には北朝鮮からの「迂回(うかい)輸入」の可能性を指摘する声もある。
 貿易統計によると、北朝鮮籍の船舶の日本入港は29隻と、昨年3月の116隻から激減。北朝鮮に対する輸出額は、約6億5500万円で12・5%減。
 北朝鮮からの輸入額は約9億2600万円で52・3%減った。



 以前にも経済制裁については何度か文章を書き、「北朝鮮にとっては中韓が支援して補えるほどの損失ではあるが、何年も援助し続けられるような額でもない」と述べてきた。ただこれは、表に出てくる貿易額やGDPなどの数字から考えた結果に過ぎず、北朝鮮が果たして普通の国のような財政システムを有していればその考え方もズレてはいないだろうが、そうでなければ前提が崩れる。

 ということで北朝鮮の財政の仕組みについて調べている内に金曜日は更新する時間を失ったのだが、調べてもかの国の内情はなかなか知る術が無く、結局は「よく分からない」という結論となった。ただ、貿易額やGDPなど「表の指標」では推し量れない部分があるのは確かなようだ。
 それは、北朝鮮が麻薬製造や紙幣偽造などに手を出していることから窺える。仮に普通の財政システムで国が成り立つのであれば、これら国際的に非難を浴びるような行動に手を染める必要はないからである。必要があるから、やるのである。

 04年8月4日の産経の記事を引く。
【ワシントン=古森義久】北朝鮮が長年、国家ぐるみで続けてきた麻薬の生産と密輸が、最近の世界的な薬物犯罪の取り締まり強化で逆に急増し、現在、一般の輸出全体の七割ほどにあたる年間約五億ドルの外貨を獲得して、軍事費などに転用しているという実態が米国議会調査局の報告書でこのほど明らかにされた。北朝鮮の麻薬密輸は取り締まり強化の中で日本も含む周辺諸国の犯罪組織との共謀を迫られ、利益も折半となって、従来どおりの利益をあげるには密輸の量を増やさねばならなくなったのだという。

 この記事によれば、麻薬による北朝鮮の収入は、5億ドルだそうな。
 また、世界中で毎年摘発される偽造ドルは2億ドルだそうで(参考サイト:あなたが所持するドルは偽札ではありませんか?)、北朝鮮の偽札製造による収入は(ドル以外の偽札も大量作っているとしてかなり多く見積もっても)数億ドル。

 一方、日本からの送金についてだが、log氏が、元・朝鮮総連中央部財政局副局長の韓光煕氏の『わが朝鮮総連の罪と罰』から引いて語るところによれば…
 万景峰号には、金正日の側近であり「指導船長」とよばれる最高責任者・姜周一が平壌から乗り込んでくる。そして朝鮮総連の責任副議長・許宗萬を「指導船長室」に呼びつけ、様々な工作活動を口頭で伝える。また平壌へと渡航する朝鮮人たちは、朝銀の裏口座や商工人の懐の中からかき集められた現金を、1人およそ2000万〜3000万ずつ持たされ平壌入り。それ以外にも、祖国に残された家族と面会するための「手数料」として、200万〜300万あるいは1000万もの大金を持っていかなければならないのだ。
 万景峰号を1回往復させれば、許宗萬が用意した裏金以外にも2億から3億ものカネが集まる。年間10〜15回も訪朝団があれば、20億〜45億にもなるのである。


 01年度の、日本の金融機関から北朝鮮への送金は約4億円、万景峰などでの手持ちでの送金が約36億円の、合わせて40億円(=約3800万ドル、1$=105\換算)。引用した文とほぼ合致する。現在送金額が減少したと考えても、おそらく20〜30億円くらいは持ち出されているであろう。

 麻薬や偽札の収入と比較しても、朝鮮総連主体での日本からの送金額は、決して小さくはないと分かる。先述した「麻薬や偽札が北朝鮮の生命線である」という仮定が正しければ、(国際非難を浴びにくい)日本からの送金はそれらにもまして重要な資金源であり、北朝鮮にとっては第一の生命線であると考えられる。

 
 「日本単独の経済制裁は効果がない」というのは、間違いであると私は結論する。


 他に経済制裁に慎重な意見としては、
1.日本国内の準備(自衛隊の国軍化やスパイ防止法)が先
2.六カ国協議など国際協調の枠組みを破壊する
3.いや実は政府は事実上の制裁をやっている
 といった辺りが思い浮かぶ。


 1.については、私もそうすべきだと考える。武力行使の可能性を残した上での経済制裁のほうが、恫喝としての効果は上がる。
 ただし、「準備してから制裁」「準備しないで制裁」「準備してないから制裁もしない」と選択肢を並べた場合、準備が進まないから制裁もしないというよりは、日本の拉致に対する意志を鮮明にするために制裁を行うことは、次善の策として有効だと考える。
 対北朝鮮外交の舞台が国連に移れば、核問題や人権問題に拉致が埋没する可能性がある。核や人権を利用して国際世論の喚起を求めることは有効だと思うが、それで拉致が霞んでしまっては意味がない。日本が態度を明確にすることが必要であり、状況によっては国内準備が行われていなくても制裁を発動する必要があると思われる。

 私は経済制裁を交渉のツールと言うよりは原則的には金政権打倒の嚆矢とすべきと考えているのだが、(制裁で困らせて交渉の場に引きずり出すという)交渉のツールと考えるのならば、経済制裁の後の方策、具体的には武力行使能力の有無という問題は、無関係となる。

 また、国内準備を進めない政府の様子を見るに、「準備してから制裁」が期待できないという考えから「せめて経済制裁を」という思いも強くなる。


 2.については、確かに国際的な協調は必要ではあろうが、もとより六カ国協議では孤立しているのだから、何を恐れることがあろうか…というのは暴論か?六カ国協議を破綻させたことを責められると不安を抱く前に、北朝鮮こそが諸悪の根元だと主張し理解される方向性をなぜ考えないのか、不思議でしょうがない。中国や韓国は、日本が何をやっても文句を言うのだから、放っておけばいい。彼らの声の大きさに国際世論が靡くというのであれば、それをうち消すような行動を日本外務省が執ればよい。「状況を見ながら」というのは確かに大切だとは思うが、今の日本はそれが高じてただの「日和見」になっているのではないか。
 日本の経済制裁に対して北朝鮮を支援したら、国際的信用の観点から見てマイナスだ、と中国や韓国に思わせるような国際世論形成が必要。そのために、拉致と同時に北朝鮮の人権問題にも焦点を当て、欧米諸国がより日本寄りの感情を抱くように努める必要がある。北朝鮮の人権問題を云々するのは日本にとっては二次的な論題でしかないのだが、事態の解決のためには(語弊を招く言い方かも知れないが)カードとして利用するのが得策であろう。(人権問題に「傾倒」するのと「利用」するのと区別が付かない人もいるようだが)

 アメリカも、日本の経済制裁に対しては支持の意志を何度となく示している。恐れているほどには日本は孤立しないと思うのだが。


 3.について。
 経済制裁の目的は、「経済的打撃を与えること」と「国家としての態度を示す」ことの二つがあると思われるが、例えば油濁法などが仮に「事実上の制裁」だとしても、こっそりやるようでは経済制裁の意義の一つを放棄することになるのではないか。
 まぁ確かに油濁法で制裁した場合のシミュレーションを行うという考えはアリかも知れないが、では政府がそのデータを元に制裁を視野に入れているかと言われると、疑問だ。


 私の考えをまとめる。
 最上の策は、国内の法整備を行い、経済制裁後の手段を構築したうえで経済を実行。
 ただし、北朝鮮問題を話し合う場が国連に移ったりするなど、状況によっては日本の態度を明確にするために即刻経済制裁を実行するのも、次善の策として妥当。


 おまけ。
米フロリダ沖に新たなハリケーン発達
 【マイアミ8日】米フロリダ沖で熱帯低気圧「オフィーリア」が8日、ハリケーンに発達した。先週米南部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」の被害との闘いが続く中、同国にとって新たな脅威となっている。

 「ハムレット」で溺死した女の名前たぁ、縁起でもねぇぞ。


週末に改めて書きます (9/9)

 日本との貿易が減って、どこが北朝鮮を支援するのかが明確になったニュース。まぁ予想通りと言えば予想通りだが。

北朝鮮、対中貿易額が大幅増 今年上半期、対日は減(産経)
 北朝鮮の今年上半期の対外貿易は、対中国の貿易額が前年同期比で約43.3%増の一方、対日貿易は25.9%減だった。韓国の聯合ニュースが同国統一省や韓国貿易協会などのまとめとして8日報じた。
 それによると、対中輸出は2億3000万ドルで33.8%増、輸入は5億1000万ドルで48%増だった。輸出は水産物、鉱石、鉄鋼などが多く、輸入は鉱物性燃料、肉類、穀物、機械類などが占めた。
 対日貿易では特に水産物輸出が60.1%減となったのが響き、貿易額は約9000万ドル。韓国との貿易総額は4億5000万ドルと39.5%増加しており、対日貿易が減少する一方で対中や南北貿易が増え続ける構図が鮮明となった。(共同)


 これについて今日は書こうと思っていたが、いろいろ調べている内に時間が過ぎてしまった。明日は更新不可なので、日曜日か月曜日に、この記事を元に経済制裁について書いてみたい。
 ちなみに、経済制裁の効果については、昨年の12/20に私見を述べている。


信頼失墜は進行形でなく完了形でしょ (9/8)

 朝日新聞の、記者捏造メモ事件〜亀井と田中会談Ver.〜に絡む朝日新聞取締役・箱島の辞任劇(ちなみに他にも〜安倍・中川追い落としVer.〜や〜伊藤律Ver.〜など、お客様のニーズにあわせて各種取りそろえてございます)。

 朝日自身の記事と他者の記事を比較すれば、そのデタラメぶりは一発で分かる。

虚偽報道 朝日新聞社長が謝罪 箱島取締役、辞任 新聞協会会長職も(産経)
 朝日新聞が総選挙での新党結成をめぐり、虚偽の取材メモに基づいて虚偽報道を行った問題で、同社の秋山耿太郎(こうたろう)社長は七日、記者会見を開き、「読者と関係者に深くおわびする。事件が朝日新聞のみならず、新聞全体に対する信頼を傷つける結果になって申し訳なく思う」と陳謝した。自身の進退問題については言及を避けた。また、箱島信一取締役相談役も同日、この問題の責任を取って取締役を辞任するとともに日本新聞協会会長も引責辞任することを表明した。 
 秋山社長は、虚偽報道が発覚した際に記者会見しなかったことに触れ、「メディアとしての説明責任に対する認識の甘さがあった。反省している」と述べ、判断ミスを認めた。
 また、今回の問題だけでなく、取材テープや内部資料の流出、消費者金融大手からの資金提供問題など不祥事が相次いでいることに対し、「記者の中にはモラルの低下があるのではないか。新聞記者の誇りの部分が失われているのではないかと感じる」とした。同紙の体質の問題を指摘する声には「根本的に洗い直して再建策を講じたい」と述べるにとどまった。
 進退問題については、「責任はすべて自分にある」としたが、秋山社長は「逃げることなく立て直しに全力投入するのが務め。改革を軌道に乗せ、成否を見極めてから判断したい」とした。
 一方、箱島氏も同日会見し、虚偽報道について「ジャーナリズムの信頼と名誉を傷つけ、深く陳謝する」と謝罪する一方で、「歴史が長くなると硬直的なものが出てくる」と、不祥事の背景に朝日新聞の「構造的な問題」があるという認識も示した。
 箱島氏は昭和三十七年に入社。経済部長、編集局長、専務などを経て平成十一年二月から今年六月まで社長。新聞協会会長には十五年六月に選任され、今年六月に再任されたばかりだった。
箱島氏は相談役にはとどまる
     ◇
 《朝日の虚偽報道問題》総選挙での新党結成をめぐる亀井静香元自民党政調会長と田中康夫長野県知事の会談に関し、確認取材を命じられた朝日新聞長野総局の県政担当記者(28)が8月20日、実際は田中知事に直接取材できなかったのに「長野県内で会談した」などと取材したようにメモを作成。これに基づき、朝日新聞は21日付、22日付の朝刊で虚偽の内容を報道した。田中知事の指摘で発覚、同社は29日、この記者を懲戒解雇、木村伊量(ただかず)東京本社編集局長を減給、更迭するなど関係者を処分した。


本社前社長の箱島新聞協会長が辞任へ 虚偽メモ問題陳謝(朝日)
 日本新聞協会会長の箱島信一・朝日新聞社取締役相談役(前社長)は7日、朝日新聞記者による虚偽のメモにもとづく選挙報道問題について、「新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つける不祥事」だとして陳謝し、協会長を辞任すると表明した。
 辞任は同日開かれた新聞協会の運営委員会と理事会で了承され、新聞大会が終了する10月下旬にも正式に辞任する。後任人事は未定。
 箱島協会長は理事会後の記者会見で、今回の問題について「偶発的なこととは思っていない」としたうえで「(組織の)体質的、構造的問題ととらえていかないと再発防止策も出てこない」と述べた。
 この問題は、亀井静香元自民党政調会長らによる新党設立の動きに絡み、本社長野総局の記者(28)が、実際は田中康夫長野県知事に直接取材していないにもかかわらず、亀井氏と田中知事の会談の場所や会談での田中知事の発言について虚偽のメモを作成。メモに基づく情報が盛り込まれた記事が掲載された。
 本社は、記者を懲戒解雇としたほか、東京本社編集局長と長野総局長を減給・更迭処分にするなど編集幹部を処分。社内に「信頼される報道のために」委員会を設置し、今回の事件の内部調査を進めるとともに、取材現場の実態や問題点の点検、記者教育などの見直しを進めている。
 箱島協会長は03年6月に選任され、今年6月に2年の任期で再任された。協会長辞任に伴って、本社取締役も辞任する。
 《箱島協会長のコメント》朝日新聞社は虚偽のメモによる選挙関連記事掲載に関して紙面で経緯をご説明しお詫(わ)びしましたが、この不祥事は新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つけるものであり、深く陳謝します。私はこの事態を重大なものと受け止め、日本新聞協会会長を辞任することを決意しました。本日の運営委員会ならびに理事会でその旨を伝え、ご了承をいただきました。新聞界が多くの課題に取り組んでいる中、任期を全うできず心苦しい限りですが、私の会長辞任が新聞の信頼回復のため意味ある一歩となることを心から願っています。
       ◇
 朝日新聞社の秋山耿太郎社長は7日、東京本社で記者会見し、今回の虚偽メモ問題について、「朝日新聞のみならず、新聞全体に対する信頼を傷つける結果になった」と陳謝したうえで、「『解体的な出直し』に不退転の決意で臨む」と述べた。
 秋山社長は、「創刊126年を数える朝日新聞は今、不祥事が続発するという大変な危機にある」「失いかけた信頼を取り戻すための最後のチャンス」などと強調。自らの進退については、「今は大変な危機にあるので、逃げることなく立て直しに全力投球するのが自分の務めだろうと判断した」などと述べた。
 また、今回の問題を最初に公表する際、記者会見を開かなかったことについて「メディアとしての説明責任に対する認識の甘さがあった。私の判断ミス」と述べた。
 また、秋山社長は問題発覚後に社内に設けられた「信頼される報道のために」委員会の調査結果を9月中にまとめるとの考えを表明。「記者教育や会社の風土、制度など根本的な再建策を考える。新聞づくりを土台から改革していく」と述べた。改革の期間については「半年か1年はかかると思うが、短期決戦で道筋をつけたい」と話した。

 朝日は、箱島の「相談役留任」には一言も触れていない。朝刊でも、触れていなかったはずだ。そこを敢えて書かなかったのは、「相談役留任」が隠したい事実だからであり、「辞任」ばかりを強調すれば「それなりに責任をとっているような錯覚を読者に引き起こす」ためではないのか。

 朝日の感覚のズレは、秋山社長の言葉にも現れている。曰く、「失いかけた信頼を取り戻すための最後のチャンス」と。失いかけではなく、既に失っていると思われるのだが。

 従軍慰安婦民衆法廷に絡む捏造事件に関しては、未だに事件当初の言い訳を引きずっているのに、今回の長野の件ではやけに迅速な動き。捏造手法の嫌らしさで言えば圧倒的に前者の方こそ改めなければならない筈だが、「相対的」には大したことがない今回の件で見せた朝日の責任の取り方(見せかけだけではあっても)は、非常に気になる。
 大したことのない件だからちゃんと対応をしているだけ、ならば、「まぁ本多や本田は朝日の体質そのものだしな」と理解できる。また、選挙期間中にどさくさ紛れに謝っておけという背景であれば、これまたいつもの朝日クオリティ。
 だが、何かもっと大きな不祥事を隠すために長野の西山記者を早急に解雇したり箱島を辞任させるなどの手を打っているのではないか…そんな気もしてくる。


被害者家族にそこまで言わせるもの (9/8)

 昨日のフジテレビ「ニュースJAPAN」では拉致問題を特集していた。私はその時出かけていて見られなかったのだが、横田さんご夫妻の密着取材とインタビューも流れたようだ。ぼやきくっくりさんの9/8付エントリーを参考に横田滋さんの言葉を拾ってみると…
外交とか年金、税金、重要なことがありますので、そういったことに含めて、皆さんには投票の参考にしていただきたい
六者協議などで向こうが出るか出ないかという、微妙な段階の時に制裁をやって、協議に出ないとなると日本のせいにされるので、考えてやってほしい

 犯罪の被害者家族が述べる言葉ではない。娘さんを拉致された親が、なぜ「(他にも)重要なことがありますので、そういったことに含めて」と謙虚に人を気遣うような発言をせねばならないのか。被害者家族がなぜ「今制裁をやると日本の立場が悪くなるから考えてやって欲しい」とまで考えねばならないのか。横田さんがこんな言葉を出す前に、本来は国家が率先して動かねばならないし、政府が積極的に拉致問題解決を進めようとしない現状では、横田さんが憤りを露わにしても誰にもそれを責める資格はない。

 横田さんにかような発言をさせてしまう日本の政治家、(自分も含め)国民、日本総体の現状に、腹立たしさと苛立ちと悲しさを覚えずにはいられない。

 前回の選挙では「拉致」に前向きな発言を繰り返して当選したのに、今回は「拉致」の「ら」の字も発さぬ候補が多い(参考:電脳補完録)。勿論拉致を取り上げようと言う意図のない候補者に問題有りだが、候補者たちに拉致を取り上げさせないのは国民の側の問題でもある。国民が拉致を争点とすべきだと考えれば、候補者もそれを取り上げざるを得ない。当然、票目当ての候補者も拉致を語り出すが、それでも他の争点に埋没してしまう事態よりは遙かにマシだ。さらに言えば、票目当ての拉致語りかどうかを見極める目を我々が持てるようになれば、完璧ではあるが…。
 あくまで前向きに今回の状況を捉えれば、争点になっていないのに拉致を取り上げるか否かで、その候補者の拉致問題に対する態度がより鮮明になった…ということか。


小泉後を意識して (9/7)

 物理的な忙しさはとっくに一段落しているのだが、その反動か何となく無気力気味。時間的余裕はあるのだが、行動に移すまでに至らない。久々に曲でも作るかと譜面にデッサンし始めたらまた10分越える物になりそうなんでちょいと放置中。郵政についても、拙い経済知識をフル動員して様々な意見を読もうとしているのだが、読むたびごとに疑問が湧いてくるのでキリがなく、ちょいと放置中。

 そんなこんなで、小選挙区で誰に入れるかも、比例区でどこに入れるかも、まだ決まっていない。

 小選挙区に関しては、「悩ん」でいる。まぁマシかなと思われる人物が二人、訴える・訴えてきた政策も郵政以外はほぼ同じ。
 比例区は、悩んでいるというより「決める気が起こらない」。昨日も書いたことだが、小泉自民も岡田民主も、大した差異はない。プラスの意味で差異がないのならいいのだが、党首の国家観に疑問があるのと党内に売国奴が混じっているというマイナス面で差異がないから、積極的に選ぶことができない。売国奴の占拠率がより低い自民がマシ、程度のもので。積極的に自民を支持する気なんて起きないッス。

 一人の人間が矛盾する政策(靖国参拝と靖国反対というような)を訴えることはあり得ないが、党の場合は矛盾する政策を訴える人間が入り交じっている。小選挙区は比較的決めやすいが、比例区は決め難い所以。

 政界再編への希望は、過去にないほどに私の中で膨らんでいる。
 

 小泉首相を批判することの多い拙者だが、かつての自民党とは「別の姿の自民党を作り上げている」というのは認めている。明らかに、55年体制下の自民党は、姿を消した。「過渡期の政治家」としては、一定の役割を果たしたという評価はできる。
 考えねばならないのは「小泉後」だ。先の戦争でなくなった方々をひと括りに「心ならずも亡くなった人」と表現するような小泉首相では、日本の戦後政治の総決算はできない(と少なくとも私は考えている)。その土壌作りに小泉首相が役割を果たしたのは確かだが、過渡期ゆえか中途半端であるのも確かだ。小泉首相の任期が切れるあと1年(選挙で自民党が勝つとして…おそらく勝つだろうと推測するが)、来るべき国家主権を主眼に置く政権へ仕事を受け継ぐ橋渡しとしての役割が果たせるか、その視点で私は小泉首相のやり方やその他議員の方たちの行動を注視することになろう。

 そのためにも、いわゆる保守系議員をより多く国会に送り込みたいし、小泉首相の力が増す=古屋氏や平沼氏の影響力を削ぐ結果となりそうな自民大勝は避けたいところ。


 んで、あの男がこんな発言。

<堀江貴文社長>『天皇は日本の象徴』に違和感、大統領制に(毎日)
 衆院選広島6区に無所属で立候補しているライブドアの堀江貴文社長は6日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、天皇制について「憲法が『天皇は日本の象徴である』というところから始まるのには違和感がある。歴代の首相や内閣が(象徴天皇制を)何も変えようとしないのは多分、右翼の人たちが怖いから」などと指摘した。
 そのうえで日本の国家体制について「大統領制にした方がいい。特にインターネットが普及して世の中の変化のスピードが速くなっている。リーダーが強力な権力を持っていないと対応していけない」と語った。


 自民党半公認という立場を全く分からずにのたまう彼の空気の読めなさ具合は、ある意味ステキすぎる。まぁ思想や言論の自由はあるから彼がどう思おうがそれを「否定」はしないが、こっちにも批判する権利はあるわな。

 この発言を支持しようが批判しようが、「合理的な考え方」のゆえに現れた発言という見方は間違いではないかと私は思う。精神的支柱としての天皇制については措くとして、合理的に考えても、外交面でもたらす利益に関して天皇制の恩恵は計り知れない。堀江発言は、合理的に考えられた結果とも思えない。
 とりあえず、このような思考法をとる男を公認しようとした自民党執行部は、少なくとも「保守」ではない。公認してなくて良かったね、と嫌みを言っておく。


 そしてまた、工作船がやってきた。

北朝鮮・万景峰号:国交省が安全検査 今年2回目−−きょう入港 /新潟(毎日)
 国土交通省は、北朝鮮の貨客船・万景峰(マンギョンボン)号が6日に新潟市の新潟西港に入港する際、船の安全検査「ポート・ステート・コントロール(PSC)」を実施する。1日から始まった集中検査キャンペーンの一環で、同船へのPSC実施は今年2度目。
 今回のキャンペーンは、旅客船の船員が救命・消火設備などを適切に操作する能力や知識を備えているかどうかを重点的に調査する。人為的ミスによる海難事故を減らすため、昨年11月にアジア・太平洋周辺の18カ国・地域が参加するPSCの会議で決まった。PSCは通常、船の円滑な運航を確保するため、6カ月に1度しか行われないが、今回は6カ月以内にPSCを受けた船にも実施する。
 万景峰号は今年5月18日にPSCを受けた際、船室を密閉する扉の油圧装置の油漏れなど3点の軽微な違反を指摘され、改善を指導された。今回のPSCでは、船員の操作能力に加え、この3点の改善状況と通常の検査項目もチェックする予定。


万景峰号に軽微な不適合=PSC検査、船長に改善指導(時事)

 検査のついでに、密かにネジの1・2個でも抜いておいてくれないかな、なんて不謹慎なことを考えてしまう…。


未だに投票先を決めかね (9/6)

 自民党のマニフェストを見てみる。
http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2005_seisaku/120yakusoku/pdf/yakusokuText.pdf

 テーマ5の「凛とした日本外交の推進」(31ページ)に、こんな文言が。120の約束の107番目。

107.中国・韓国等近隣諸国との関係の改善強化とアジア「共同体」構想の推進
 中国・韓国との未来志向型の連携強化を進めることによって、アジアにおける「共同体」構築を推進します。


 民主党がのたまう「主権委譲」や「沖縄一国二制度」の危険性はかなりのものだろうが、自民党公約の上記引用部分もかなり危険ではなかろうか。「共同体」がどういった姿を夢想しての物なのか判然としないため一概に否定することもできないが、反日を国是とした強大な軍事覇権国家といかなる共同体を作ろうというのか、詳しい説明が待たれる。
 ただ、日本はアジアにあまり肩入れしない方がいいのでは、というのが私の考え。大陸に強く関われば、あちらのドタバタに巻き込まれて結局は支那勢力に漁夫の利を得られるってコトになりかねない。中共の崩壊もいずれ訪れるだろうことを考えれば、大東亜の教訓は今こそ生かされるべきだろう。

 言ってしまえば、自民党も民主党も、愛国と売国が入り乱れている様はたいして変わりない。違っているのは、安倍氏のような人物がそれなりの発言力を持っている自民党と、西村氏のような人物が党に影響力を殆ど与えていない民主党、という部分のみ。だが、この差異は決定的な差異でもあり、ゆえに民主党を支持することは決してできないのではあるが。
 結局比例は消去法で自民党、か。


 小選挙区については救う会が行った「経済制裁」に関するアンケートも参考に。
http://www.sukuukai.jp/H17enquete/

 「反対」や「その他」に関しては、その真意についても詳しく聞いてみたい。例えば「自衛隊の国軍化やスパイ防止法が先」と「北朝鮮とは仲良くやるべき」とでは、同じ「反対」でも意味合いが全く異なる。

 とはいえ、うちの選挙区は、自民党に関して言えば郵政賛成派も反対派も「賛成」なので、また悩むことになるのだが。


 拉致といえば、こんなニュースが。
拉致問題対策官新設へ 警察庁、来年度に組織改正(朝日)
 北朝鮮による拉致問題の解明を目指し、警察庁は外事課に「拉致問題対策官」を新設することを決め、来年度の組織改正要求に盛り込んだ。
 政府認定の拉致被害者は、今年4月に78年に消息を絶った神戸市の元ラーメン店員田中実さん(不明当時28)が新たに加わり、11件で16人(うち5人が帰国)になっている。
 拉致問題対策官は、各都道府県警同士の連絡調整を行うとともに、警察内部では、家出人を担当する生活安全局や鑑識・鑑定などの刑事局と連携する際、情報の取り扱いや活動の要となる。
 拉致問題は外事課が担当してきたが、安否不明者の消息について進展がみられないことなどから、警察庁は体制強化を進めるという。
 具体的には、拉致被害者の家族らに対し、捜査経過の報告や心のケアにあたるほか、収集した情報の整理や分析を行う。
 また、警察庁は、拉致の可能性が指摘されたり、国外移送目的誘拐容疑で告発を受理したりしている失踪者約430人のなかには、拉致被害者として追加認定できるケースもあるとみており、真相究明への捜査指揮を執るという。

 進歩といえば進歩だが、なぜ今の時期なのかという疑問はわいてくる。
 しかし、拉致被害者家族に対する捜査経過の報告はまだしも、心のケアは警察が行う仕事なのかなぁ。


 最後に。
 日本赤十字が、アメリカのハリケーン被害に対する義捐金受付を開始した。
米国ハリケーン災害救援金を受付開始
1.受付期間
    平成17年9月6日(火)〜平成17年10月6日(木)・・・1ヶ月間
2.受付方法
    郵便振替
3.口座名義及び口座番号
    日本赤十字社 00110−2−5606
4.通信欄の記載
    振替用紙の通信欄に必ず「米国ハリケーン救援」とご記載下さい
5.振替手数料
    郵便局窓口での取扱いの場合、振替手数料は免除されます
6.受領書の発行
    受領書を希望される場合は、振替用紙の通信欄に「受領証希望」と明記のうえ、
   所定欄に必ず氏名と住所をご記入下さい。


ちゃんとやってた (9/5)

 3日に書いた、ハリケーン被害に対するアメリカへの支援の話。
ハリケーン被害の米国に20カ国以上が支援を表明(ロイター)
<米ハリケーン>世界各地に広がる支援 津波被災国からも(毎日)

 ちゃんと支援は為されているようですね。


自民圧勝だそうで (9/5)

 選挙を一週間後に控えての各紙世論調査は、軒並み自民の圧勝を予測している。

自公、過半数超す勢い…読売調査(読売)
自民優勢、過半数の勢い 与党安定多数も 本社情勢調査(朝日)
衆院選世論調査:自民党、単独過半数の勢い 中盤情勢(毎日)

 昨年の参院選も前の衆院選も、小泉首相の支持率が8割あったときの参院選も、世論調査は「自民優勢」と出ていたのに実際には「圧勝」とは言い難い結果。世論調査の数字などアテにならないとは思うが、しかし小泉首相の手法が成功しているのは周囲の話を聞くと強く感じる。小泉首相が「改革」を訴えるために、本来改革を訴える立場の野党の姿が霞んでしまっている。
 何か動きがあるとすれば、これで自民支持者が「投票に行かなくてもいいや」と棄権したり、「自民が勝ちそうなら他に入れるか」と心変わりしたり、という理由か。ただ、今回の小泉旋風は今までになく強力、というか民主党が今までになく無風状態。自民党の議席数は、世論調査−1〜2%にとどまるんじゃないかな。

 ともかくも、選挙に行きましょう。ここを読む人で選挙に行かない人は少ないと思うので、周りを巻き込んで選挙に行かせましょう、と呼びかけておきますか。
 投票率が上がれば、創価学会の効力が弱まる。日蓮宗を冒涜する大作党の力を弱めるべく選挙に行きましょう、行かせましょう。


 なお、最高裁判所裁判官の国民審査についての情報がこちらでまとめられている。非常にありがたいサイトですね。
2005年9月11日 「最高裁判所裁判官 国民審査」に、キチンと参加したいあなたへ


平壌宣言 (9/5)

 日朝平壌宣言に「拉致」の文言が入っていない件について。

 「懸案事項を解決し」と書いてあり、当然日本側としては拉致は「懸案事項」なのだから、拉致についても書いてあると読みとる向きがある。一方、拉致について明記していないのだから北朝鮮に付け入る隙を与えるという意見もある。

 日本政府が拉致に関して断固とした姿勢を示しているのなら、拉致を明記していない平壌宣言も大きな意味を有する。個別の事項を箇条書きしていないことは、逆に言えば「あらゆる懸案を『日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題』とする」ことが可能なわけで。

 要するに、平壌宣言を中途半端だと見なす意見は、小泉首相ら官邸が、拉致に関して積極的な施策を繰り出していないことについて相当な疑問を持っており、平壌宣言の曖昧さを理由に日本政府が「半端な形での拉致事件の幕引き」を行うのではないかと危惧していることに拠る。ちなみに私はこの考え方だ。
 確かに小泉首相は、「拉致問題の解決無くして国交正常化はない」という内容の発言をしている。平壌宣言の誠実な履行がなければ二年経っても三年経っても国交正常化はない、と。しかし、小泉首相の口から、拉致事件の解決はどの地点まで到達した場合かという具体的な話は出ていない。具体的に言えば、小泉首相は「すべての拉致被害者が帰ってくるまでは拉致事件の解決とは言わない」と述べたことがない。ここに、彼に対して「北朝鮮が認めた被害者が帰ってくれば幕引きじゃないか」とか「横田めぐみさんが帰ってきたら終わりになるんじゃないか」とかさらには「被害者5人帰国で幕引きにならないだろうか」という危惧を抱くのだ。

 私は、平壌宣言には拉致の文言を入れるべきだったと考える。ただ、平壌宣言に記される「懸案問題」の中に拉致が含まれるという意見は、それはそれで理解できる。しかし、それは小泉首相や官邸を信用するという前提ではじめて成立する見方である。小泉首相の拉致問題への取り組みを批判的に見る考え方の人間には、受け入れがたい見方だ。小泉首相のことばから垣間見られる歴史観・国家観を考えれば、彼が北朝鮮の主権侵害に対して強い気持ちを持っているとは、私には見えない。少なくとも、彼が拉致事件に対して(郵政に関して語ったように)殺されても構わないほどの覚悟を有している証拠は存在せず、むしろそれを疑わせる言動ばかりが目立つ。

 だいたい、核開発を宣言した時点で、平壌宣言は無効だと思うのだがね。それを日本政府が強く非難した様子もないし。平壌宣言を対北朝鮮戦略の基盤に置くのなら、核開発が露見した段階で平壌宣言を盾に詰問する日本政府の様子が見られるはずなのだが。

 それでも平壌宣言を妥当と考える人はそう考えればいいのだが、それを問題にしている私としては、文言だけを問題にしているのではなく、それを考える前提となる小泉首相の姿勢を疑問視している。
 首相の拉致に関する言動を評価する人と批判する人で、平壌宣言の文言に対する見方が大きく異なるのも当然の話。

 小泉首相、或いは自民党に対しては、期待があるからこそ批判しているんですわ。全く期待が持てない奴らだったら、3日の社民党についての文のように、茶化して終わりだからね。


たまに話題になればこんな話 (9/3)

社民候補の比例登載抹消 選管、公民権停止中で(共同)
 総務省は2日、衆院選の比例中国ブロックで、社民党が単独5位に登載していた羽熊直行氏(61)が、詐偽投票などの罪で公民権停止中のため立候補資格がなかったことが判明したと発表した。報告を受けた比例中国ブロックの足立良平選挙長は同日、名簿から羽熊氏を抹消した。これで社民党の候補者は45人、候補者総数は1131人となった。
 衆院選での比例代表名簿からの候補者抹消は1996年、兵庫11区と比例代表近畿ブロック(1位)に重複立候補していた自民党の戸井田三郎氏が死去したケースがあるが、立候補資格がないことが判明し抹消されたのは初めて。


 辻本のみならず、社民党は犯罪を犯し未だ償いを終えていない人間を立候補させるのが好きなようで。比例代表名簿からの立候補資格がないことに因る候補者抹消は初めてということで、記録に残る存在となったことで良かったね、と。当選するかどうか分かったもんじゃないし。

 というか、こんな話題で社民党の方へ目を向けさせようなんて、なかなかの戦略。
 又吉イエスと合流したら比例の得票数が上がるかもよ。


ハリケーン (9/3)

市長「SOS」 ニューオーリンズ、水・食料底突き(産経)
 【ニューヨーク=長戸雅子】米南部を直撃した大型ハリケーン「カトリーナ」による被害は日を追って拡大し、最大の被災地となったルイジアナ州ニューオーリンズ市では一日、水や食料の不足のため避難所内で衰弱死する市民が出る一方、略奪や暴行が相次ぐ極限の状況に直面している。米メディアの報道では、冠水した同市内では多数の被災者の遺体が水面に漂う惨状を呈し始めており、ネーギン同市長は市内の状況を「絶望的なSOSだ」と語った。
 死傷者の数について、ルイジアナ州のブランコ知事も、数千人が死亡したとの見方を明らかにした。同州内での死者については、ニューオーリンズ市長も同様の見方を示していた。推計の通りとなれば、一九〇〇年のハリケーン「ガルベストン」(最大で死者一万二千人)に匹敵する米史上最悪のハリケーン被害になる。
(前半抜粋)

 インドネシア沖の地震・津波の時は、すぐに各国が支援を表明し、義捐金も集められた。今回は企業レベルでは援助活動を行っているようだが、国レベルではそういう動きはあまり見られない。私が知らないだけかなぁ…金持ちのアメリカだから助けるまでもないって考えがあるのか。
 ニューオリンズなどでは火事場泥棒が横行しているようだが、日本では地震や台風の被害があってもそういう話は殆ど聞かない。かつての日本人が持っていた道徳心は、そういう面では未だに生き残っているということか。

 ところで、日本も、風速ではカトリーナ(これ聞いてチョチョリーナを思いだした私はオッサンか?)には劣るが、大きさは2倍ほどの台風14号が接近中。来週6日頃に九州から四国に近づきそう。注意されたし。


佐々さん (9/3)

 佐々淳行さんのblog、更新頻度が低いのに載せている理由は、ただ一つ。彼が、佐々成政の子孫だから。勿論、氏の言論も支持しているのだが、中学の時或るPCゲーの監修をやっている佐々氏に出会い、その時から氏のファンになってしまったということで。


盧武鉉の唯一の楽しみかも (9/1)

“親日派”3090人発表 韓国の研究所 名簿第1弾 故朴正煕大統領も(産経)
 【ソウル=久保田るり子】韓国の盧武鉉政権下で「歴史の清算」の動きが官民で進むなか、民間の「民族問題研究所」は二十九日、一九一〇年の日韓併合から四五年までの日本統治時代に日本に協力した「親日派」名簿の第一弾として、三千九十人の実名を発表した。
 名簿は併合条約時の李完用首相はじめ、日本から爵位を受けた百三十三人を含む対象人物を「売国」「官僚」「警察」「メディア」「文化芸術」など十三の分野に分類。旧満州国軍の将校だった故朴正煕元大統領や、朝鮮日報元社長ら報道関係者、さらに韓国の代表歌曲「故郷の春」の作曲者の洪蘭坡、国民的小説家だった李光洙も「親日団体に所属した」などの理由で「親日派」のレッテルを張られた。
 朴大統領の長女、朴槿恵氏が党首の野党ハンナラ党は「名簿発表は政治的だ」と反発、与党ウリ党は「歴史を正す作業」などと評価している。同研究所は来年、二次名簿を発表、二年後に「親日人名辞典」を出版の予定だ。
 韓国政府も親日派調査の特別法を昨年末、国会で成立させ、調査が続いている。「親日派」は現在の保守、財閥系に関係者が多く、親日派調査には保革対決の背景が色濃い。 (産経新聞) - 8月30日2時46分更新


 当時の状況…朝鮮半島が「日本かロシアか」という選択を迫られていたこと、日本の元で近代化へ邁進するのが朝鮮発展の唯一と言って良い選択肢だったことを、果たして理解した上での「魔女狩り」なのか。さらには、日本統治時代の功労者が、そのまま建国直後の韓国を支えたという側面も忘れてはならない。はっきり言ってしまえば、親日派なくして今の韓国は存在しない。親日派の糾弾は、実は韓国の存立基盤自体を否定することにも繋がるのだが、そこまで分かっているのやら。反日であることが愛国であることの必要条件と考えているようにしか見えない。

 しかし、洪蘭坡や李光洙まで名簿に載っているようでは、余計な心配ながら、親類に全く親日派がいない韓国人が一体どれだけいるのか、それら全て追求していたら「全国民が糾弾対象」になってしまわないかと考えてしまう。

 朴槿恵氏が指摘しているように、これは「歴史認識」に基づく問題と言うよりは、政治的問題であろう。ただ、政治的問題とは言っても、親日派が多い保守や財閥関係者の追い落としを狙っただけではない。
 盧武鉉は金正日の工作にやられ、赤化統一を目論んでいるフシが見られる。反日で民族主義精神を刺激して、北朝鮮との合一へ対する動きを加速させようと言う意図があるのではないかとも思われる。財閥系人物の糾弾と聞くと、それこそマルキシズムの発露に見えるし。

 この件に関しては、日本は様子見するしかなかろう。赤化を止めるようなスパイ工作を行うというのはアリだろうが、日本にはその手段はない。この件に関わらず、日本の国益を侵害された場合は強く主張し、そうではない場合は距離を置いた方が良かろう。ヘタに関わると藪蛇になる恐れもある。

 ノムたんは辞めたがっているようだし、親日派の糾弾しかもう楽しみがないのかも知れないね。


 韓国にいるのは自分の国への偏狭な愛国心から他国(この場合日本)を否定する者たち。
 日本にいるのは、韓国のような偏狭な右翼が少々と、他国に媚びて自国を否定する左巻きがある程度。見ようによっては、日本の方が酷い気がしないでもないな…。


 おまけ。
 某サイトが勇ましい発言をしておられる。

 先鋭化がどうの、政治運動化がどうのと言うが、それでは国家の主権が侵害されているのになんら具体的なアクションも起こさず、見て見ぬふりをしている政治体制の存在を容認しても、我々自身や次代を担う後世の「平和で安全な生活」が担保されるならばそれもよかろう。
 しかし、現実には全く逆であり、拉致問題のように同胞を見捨て、謝罪談話のように父祖を断罪する、即ち国家・国民に対し水平の情念も垂直の情念もない政治体制こそが、人権擁護法や在日参政権、靖国神社に変わる代替施設などを画策しているではないか。
 拉致問題を巡り思想的な対立が起きるという事は、どちらか一方の主張が敵=北と日本政府に利する事になる。
(一部抜粋)

 その前日には、自民と民主という選択自体が無意味なことのように論じていたが、日本政府を敵と論じたり今の政治体制を容認しないと言ったりするあたり、政権転覆テロでも狙っているんじゃないかと見えるのだが。