この項では、現在形・過去形・未来時制、進行形、完了形について見ていきます。
現在形、過去形、現在完了形などそれぞれの「形」が、どのような「意味合い」を持つのかを整理しながら覚えていきましょう。
暗記はあまり役に立たない分野です。ちゃんと理解していきましょう。
まず、前提として、英語の述語部分は「時制+相」の組み合わせでできているということを押さえておきましょう。時制は現在か過去か、相は単純(普通)か進行か完了か完了進行か、を表します。I went to Kyoto yesterday.だったら「過去・単純」、He is studying
in his room.なら「現在・進行」、I have just finished my work.なら「現在・完了」です。
時制・相の基本
時制 × 相
現在 単純
過去 進行
(未来) 完了
完了進行 |
まず、各時制の単純相の意味合いを軽く確認しておきましょう。
状態動詞の場合、現在なら「現在の状態」、過去なら「過去の状態」です。簡単ですね。
動作動詞の場合、現在なら「現在の習慣」、過去なら「過去の一度限りの動作」になります。こちらは少しひねりがありますから気をつけましょう(あとで詳しく説明します)。ちなみに、「過去の習慣」はwould や used to doを使います。
さて、以下詳しく見ていきます。
1.現在形
現在形は、1人称・2人称、3人称複数では動詞の原形、3人称単数では「s/es」が付いた形の動詞を使います。現在形には、以下のような用法があります。
(i) 現在の状態
これは何の問題もないですね。
(ii) 現在の習慣
ex.1 I always carry a notebook in my bag.
「私はいつも鞄にノートを入れて持ち歩いている」
状態動詞の現在形は現在の状態を、動作動詞の現在形は現在の習慣を、それぞれ表します。
気を付けるのは、「現在の習慣」は、日本語に訳すと「〜している」、となることです。
「〜している」を英訳すると、多くの高校生が何も考えずに「現在進行形」を使ってしまいます。しかし日本語の「〜している」には、進行の意味合いと習慣の意味合い、さらに言えば既に終わっている=完了の意味合い、3つの意味があるのです。英語ではそれを区別していますから、日本語だけで判断せずに意味合いをしっかりイメージする必要があります。
「〜している」という日本語があったら「進行」か「習慣」か「完了」かを考える癖を付けましょう。
(iii) 不変の真理・社会通念(諺)
ex.2 Water boils at 100 degrees centigrade.
「水は摂氏100度で沸騰する」
過去だろうが現在だろうが未来だろうが、常に変化のない物理法則のようなもの(富士山の上では100度じゃないぞという屁理屈は無しです)。また、多少の時間経過では変化しないような社会通念は、現在形で表現します。
これに関しては、常に現在形というのを頭に入れておいてください。どういう意味かは、「時制2」で説明します。
(iv) 確定した未来
ex.3 The new supermarket opens tomorrow.
「その新しいスーパーは明日開店します」
未来のことでも、100%確定の場合は、現在形が使えます。
ちなみに、現在進行形でも「予定」の意味になることがありますね。
ex.4 She's leaving at 5:30.
「彼女は5:30に出発する予定だ」
往来発着を表す動詞が進行形になっている場合は、「進行」ではなく「予定」の意味であることが多いです。
(v) 時・条件を表す副詞節中の未来
ex.5 Wait here until I come back.
「僕が戻ってくるまでここで待ってて」
これが「現在形の用法」の中ではいちばんテストで狙われます。
時や条件を表す副詞の中では、未来の内容であろうと、willやwouldは使えず現在形を用いるというルールがあるのです(※1)。では、「時・条件を表す副詞節」とはどういう物か、以下にまとめておきます。
時・条件を表す副詞節を導く接続詞
when 「〜するとき」/if「〜するならば」/unless「〜する場合を除いて」
till・until「〜するまでずっと」/by the time「〜するときまでに」/
as soon as「〜するとすぐに」/before「〜する前に」/after「〜後に」/
as long as「〜する限り」/in case「〜する場合に備えて」 |
ちなみに、when節には、副詞節と名詞節があります。「〜とき」と訳せれば副詞節、文の主語や動詞の目的語になって「いつ〜するか」という間接疑問になっていれば名詞節です。
「名詞節のwhenの中では未来形は使えますか?」という質問をよく受けますが、名詞節の場合は、当然ながら副詞節ではないので、willやwouldが使えます。紛らわしいので、他の「名詞節と副詞節の両方を取り得る接続詞」と併せてまとめておきましょう(whetherは時・条件の副詞節を導く接続詞ではないですが、名詞節と副詞節のどちらも取れるということで、一緒にまとめておきます)。
名詞節・副詞節どちらも導ける接続詞
when
名詞節「いつ〜するか」/副詞節「〜とき」
if
名詞節「〜かどうか」/副詞節「〜ならば」
whether
名詞節「〜かどうか」/副詞節「〜であろうと」 |
文の主語や動詞の目的語になっていれば名詞節、そうでなければ副詞節と読み取りましょう。
※1 もともとは仮定法の一種で、動詞の原形を使うルールでしたが、現在は現在形を使うことになっています。
2.進行形
「be動詞+現在分詞」の形を進行形と呼びます。進行形というのは文字通り「形」ですので、意味は「進行」以外にもあります。一つはさっきやりましたね。進行形で「予定」を表すパターンです。他にもいくつかあるので、見ていきましょう。
ex.6 You are being kind to me.
ふつう、状態動詞は進行形にはできません。状態というのは或る程度の時間継続するものであり、初めから進行の意味合いが内包されているからです。
しかし、その状態動詞を敢えて進行形にすると、「いつもと違って」「今だけは」のニュアンスが表現できるのです。だからex.6は、「いつもと違って今日はやけに優しいね」というような訳になるのです。
ex.7 You are always missing a ball.
be always doingやbe doing〜all the timeで、「いつも〜ばかりしている」という話者の不満や苛立ちを表現できる用法もあります。
3.未来を表す表現
所謂未来形は、will+動詞の原形や、be going to不定詞などで表します。
be going to doはあらかじめ決まっていた予定を表す場合に、willはその場で決まった予定を表す場合に、それぞれ使うのが基本です。
未来形という物は無いという考え方があります。willは元来は「欲する、そうなるよう望む」という意味を表す助動詞(「望む」の主体が話者なら「意志」の意味となり、第三者或いは神であれば「推量」となる)であり、つまりwillはあくまで助動詞の一つであり、原理的には現在形のwillと過去形のwouldしか無い、という考え方です。もちろん、その通りですが、文法学者でなければ、「will+動詞の原形」を「未来形」と考えるのには一定の理があります。何より分かりやすい。未来形など無いという話に納得できるレベルの人はそれで理解すればいいですし、そうでなければ、「未来形」という覚え方でも構わないと私は考えます。
4.現在完了形
「have/has+過去分詞」の形を現在完了形と呼びます。
日本語にはない用法でイメージを掴めていない高校生も多いのですが、次の例文を見ると分かるのではないでしょうか。
ex.8−1 I lost my key.
ex.8−2 I have lost my key.
両方とも日本語に訳せば「鍵をなくした」と同じになってしまいますが、違う形で表現している以上、意味合いは異なります。8−1は「鍵をなくした」という過去の事実しか述べていないのに対し、8−2は「今もその鍵は見つかっていない」、つまり「現在のその状態が保持されている」ことを示しています。まさに、haveによって、過去に起こったことの影響を現在も「持っている」ことを表現しているのです。
要するに、現在完了形とは、「過去に起きたことが現在にも影響していること」を示す形です。よって、基本的には現在形であり、現在の状況について述べる表現です。過去形は過去の動作について述べるわけですから、意味合いが全く違います。
文法問題を解くという観点で言えば、「時を表す語がなければ現在」ということを押さえておきましょう。逆に言えば、過去形を使う場合には、時を表す言葉があったり、前後に過去だと明確に示している文がある、ということです。
日本語に訳す場合には、主に以下の3つに分類します。
1.完了・結果「〜した」「〜したところだ」
ex.9−1 I have just cleaned my room.
「私はちょうど部屋を掃除したところだ」
2.経験「〜したことがある」
ex.9−2 I have visited Kyoto three times.
「私は京都を3回訪れたことがある」
3.継続「〜している」「〜し続けている」
ex.9−3 He has been reading for two hours.
「彼は2時間本を読んでいる」
ex.9−3を見て疑問に思った人もいるかもしれません。現在完了の形とはちょいと違うぞ、と。
状態動詞の場合、have doneで完了も経験も継続も表せます。
しかし、動作動詞の場合は、完了と経験はhave doneで表現できるのですが、継続の場合のみhave been doingという完了進行形を使うのが原則なのです。継続ということは今もその動作をおこなっているわけで、現在完了形だけでなく、進行形も一緒に表現してやらなければいけないのです。
ちなみに、現在完了は、述語動詞のhaveが現在形であることから分かるとおり、現在時制の一種です。ですから、過去を表す副詞と一緒に用いることはできません。まぁthree years agoのような分かりやすいものは大丈夫でしょうが、just now「たった今」とか疑問詞whenも過去を表す副詞ですので、注意してください。
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