助動詞 1 前のページへ戻る
1.助動詞の基本的用法 基本的用法は、推量の意味と推量以外の意味、に分けて覚えると分かりやすいです。
可能性が高い順に並べておきました(アメリカではmustよりwillの方が可能性が高いという研究報告もありますし、また、mayよりもcanの方が上という見方もあるようです。しかし、日本人の英語初学者は上の図の理解で問題ないでしょう)。
以下、補足すべき点について述べていきましょう。 (i) mustとhave to mustとhave to不定詞は、ほぼ同じ意味です(※1)。ただし、mustには過去形がないので(※2)、過去の義務を表す場合にはhad toを使います。 また、否定文になった場合には、さらに大きな差異が現れます。 ex.1 You must not enter this room. 「あなたはこの部屋に入ってはいけない」 ex.2 You don't have to enter this room. 「あなたはこの部屋に入る必要はない」 must not「〜してはいけない」=Don't 動詞の原形.(禁止の命令文)、don't have to「〜する必要はない」=need not/don't need toと覚えましょう。 notは後ろ全体を否定します。ゆえに、ex.1では、「enter this room」を否定します。つまり、「部屋に入らないこと」を「must=しなさい」ということで、「部屋に入るな」という意味になるのです。 一方ex.2では、notは「have to this room」を否定しています。つまり、「部屋に入らなければならない」ことを否定するので、「部屋に入らなければならない、ということはない」から「部屋に入らなくていい」という意味になるのです。 notが後ろ全体を否定するというのは、比較の項(not more thanなど)や、so-that...にnotが付いた形を理解するときにも使えるので、ちょっと頭に入れておいてください。 ※1 厳密に言えば、本人や相手の意思によって生じる義務はmust、 外部から与えられた義務はhave toを使う傾向があります。 ※2 motという古英語助動詞の過去形moste/mostonが変化してmustになったので、must自体が元々過去形です。 ただし、現在ではmustを過去形と考える必要はありません。 (ii) 意思のwill 意思のwillに関しては、否定の形「will not」がよく問題に出てきます。 ex.3 This door will not open. 「このドアはどうしても開かない(←このドアはどうしても開こうとしない)」 否定の意思を表すwill notと呼ばれ、「どうしても〜しない」と訳します。無生物主語を取ることも可能で、その点は日本語話者の感覚になじまない部分なので、きっちり押さえておく必要があります。 (iii) 話し手の意思を含んだshall shallには、話し手(書き手)の意思を含んだ未来を表す用法があります。「〜だろう」と訳せばいいのですが、そこに「私の意思によってそうなるのだ」というニュアンスが加わると言うことです。例文で見てみましょうか。 ex.4 You shall have much money. 「あなたは大金を手にするでしょう」ということですが、そこに話し手の意思が加わるので、厳密に訳せば「あなたは私の手によって大金を手にする」という意味になり、「I will give you much money」とほぼ同じ意味になります。 I shall、we shallに関しては、「私(私たち)は〜だろう、私(私たち)の意思によって」ということで、結局は「〜するつもりだ」と解釈できますから、I willやwe willと同じと考えて差し支えないでしょう。 (iv) 「〜できた」 「その問題を解くことができた」という文を英訳させると、多くの生徒は「I could solve the question.」と書いてきます。 can/could は能力を示す助動詞です。逆に言うと、実際にその行動をしたかしてないかは表現できないわけです。 日本語で「〜できた」と述べる場合は、実際にその行動をしているわけで、能力の有無について述べているわけではありません。ですから、「〜できた」はcouldを使わずただの過去形を使えば良いのです。どうしても「苦労して〜できた」というニュアンスを出したければ、manage to do「何とか〜できる」を使いましょう。 なお、否定文の場合は「〜できなかった=〜する能力が無かった」と言うことになるので、could not を使って問題ありません。 2.その他の助動詞 高校で初めて見る、助動詞的表現をおさえていきましょう。 (i) 過去の習慣・状態 ex.5 I would often go to the movies with him after school. ex.6 We used to play baseball when we were children. wouldとused toには、過去の習慣を表す用法があります。「〜したものだ」とか「(かつては)〜していた」と訳します。 日本語にした場合、wouldもused toも同じ訳になるのですが、used toには現在と対比させるニュアンスがあるがwouldにはそのようなニュアンスがない、という違いがあります。used to の方には、「今はそうじゃないんだけど」という意味合いが込められているのです。 また、wouldにはoftenやon Sundays、three times a weekなどの、頻度を表す言葉を伴うことも多いです。かつては「would often」という形で載せている参考書もあったくらいです。 そして、もう一つ、wouldとused to には大きな違いがあります。 ex.7 There used to be a movie theater around here. 「この辺りに(かつて)映画館があった」 この例文では、used to の代わりにwouldを入れることはできません。 どういうことかと言うと、used toには過去の状態を表す用法もあるのに対し、wouldにはそれがない、ということです。後ろが状態動詞の場合は、wouldは使えないということです。 まとめましょう。
なお、used to do と be used to A(doing)「〜に慣れている」とを混同しないように。 (ii) had better ex.8 You had better call her at once. 「すぐに彼女に電話した方がよい」 had betterは「〜した方がよい」と訳します。mustとshouldの間くらいの、けっこう強いニュアンスを持ちます。betterがありますから、「〜した方が良いよ、〜しなかったら困ったことが起こるよ」という雰囲気が出てきます。この「〜しなかったら困ったことが…」というニュアンスが、相手に強く迫る雰囲気を出すわけです。 had betterの否定形はhad better notになります。 ちなみに、他にnotの場所が問われるのはought toです。ought toの場合、to不定詞を用いています。不定詞の否定はtoの前にnotを置くので、ought to の否定形はought not to 不定詞という形になります。 (iii) need ex.9 You need not leave this room. 「この部屋を出て行く必要はない」 そのまんまの訳ですね。need to 不定詞と同じ意味合いで、助動詞のneedを使うことができます。ただ、助動詞の方のneedは肯定文では使えないので、注意が必要です。 (iv) mayを使った表現 ex.10 He may well be angry because you did not apologize to him politely. 「丁寧に謝らなかったのだから、彼が怒るのも当たり前だよ」 ex.11 You may as well study hard to pass the exam. 「試験に受かるために一生懸命勉強した方が良いよ」 ex.12 He might as well die as do it. 「あいつはそんなことをやるくらいなら死んだ方がましだね」 これらは、まとめて覚えてしまいましょう。
(v) cannot... too ex.10 We cannot be too careful in the choice of our friends. 「友達を選ぶ際には幾ら注意してもしすぎということはない」 cannot 〜too…で、「…しすぎという状態はあり得ない」という意味から「いくら〜してもしすぎということはない」という訳をすることになります。 (vi) would rather〜 (than...) ex.11 I would rather go out than stay at home. 「家にいるよりもむしろ外出したい」 would ratherには「むしろ〜したい」「〜した方が良い」という意味があります。「than+動詞の原形」をくっつけて、「…するよりも」と比較対象を示すこともあります。would soonerも同意です。 (「would rather +主語 過去形」で、「むしろ〜だといいのに」という意味を表す構文もあります。これは「仮定法」の分野の話なのですが、ここで併せて覚えておきましょう) |