文型 3                          前のページへ戻る

基本5文型
1.SV
2.SVC
3.SVO
4.SVOO(SV IO DO)
5.SVOC

S:主語 V:動詞 C:補語 O:目的語
IO:間接目的語 DO:直接目的語
 

 ここでは、第5文型の中でも特殊と言える、「知覚動詞(感覚動詞)」と「使役動詞」を見ていきましょう。
 何が特殊かと言えば、この2種類の動詞は、補語に動詞の原形を取ることができるのです(causeなどはto不定詞しか取らず、厳密には「使役動詞の一部は補語に動詞の原形をとる」と言うべきだが、ここでは簡潔に「使役動詞は原形不定詞をとる」としておく)。補語は形容詞か名詞しか来られないはずなのに、動詞の原形とは奇妙ですね。この動詞の原形のことを、ただの動詞の原形じゃないぞということで原形不定詞と呼びます。


1.知覚動詞

 具体的には、まずはsee / hear / feel の3つを覚えておけばいいでしょう(他にもnoticeやobserveなどを感覚動詞として使うこともありますが、それは余裕ができてから覚えればいいです)。

ex.1 I heard someone call my name. 「誰かが私の名を呼ぶのを聞こえた」

ex.2 I heard someone calling my name. 「誰かが私の名を呼んでいるのが聞こえた」

ex.3 I heard my name called. 「私の名が呼ばれるのが聞こえた」

 知覚動詞に関してまず覚えておかねばならないのは、訳すときに目的語を「〜を」ではなく「〜が」と訳すことです。

 下2つの例文は難しくないと思います。補語の部分に現在分詞と過去分詞…ふつうのSVOC動詞と同じですね。目的語が後ろの動作(この場合はcall)をする側かされる側かによって、使い分けます。someoneはcallする側だからcalling、my nameはcallされる側だからcalled、ということです。
 1つ目の例文が、原形不定詞を使った形です。これも、目的語が後ろの動作をする側の場合に使います。現在分詞との違いをどう認識するかですが、文法問題のような短い文では「する」と「している」の違いは文脈判断が難しいため、ex.1とex.2を区別させるような問題(選択肢にcallとcallingの両方があるような問題)は、普通出ません。

 まとめましょう。

知覚動詞
 see do(原形不定詞)「Oが〜するのを」 Oは後ろの動作をする側
 hear  + O + doing(現在分詞)「Oが〜しているのを」
 feel done(過去分詞)「Oが〜されるのを」 Oはされる側

 ※ 分かりやすく図式化するために上記のように表現しましたが、feel O doneという構文は存在しません。

2.使役動詞

 使役とは「〜させる」という意味で、英語ではmake / have / let の3つがあります。これも、補語に原形不定詞が来るという点で、特殊な第5文型の動詞と言うことになります。
 覚えることが多いので、順番に細かく見ていき、最後に囲みでまとめます。覚え込む際には、「ニュアンス→語法→類似表現」の順で整理すると良いでしょう。

−make−
 makeは強制のニュアンスを持ちます。

ex.4 My mother used to make me help her with her work. 「母は私に仕事を手伝わせたものだった」
(used to 不定詞は「〜したものだ」、詳細は助動詞の項で。また、helpは目的語に人しか置くことができず、help her workは誤用です。「help 人 with 物」で覚えましょう)

 このように、強制力を持って「〜させる」というのが、makeの基本的なニュアンスです。
 ただし、主語が無生物の場合は、強制の意味合いはありません。

ex.4−2 This medicine will make you feel better. 「この薬はあなたを気分よくさせるでしょう(この薬を飲めば気分が良くなるでしょう)」

 さて、makeには、make A domake A doneの2構文があります。Aがうしろの動作をする側の場合が原形不定詞で、される側が過去分詞ということです。ただし、「make A done」は入試では以下の3つのイディオムを覚えておけば十分です。
 make oneself understood 「(自分自身が理解されるようにする→)理解してもらう、話が通じる」
 make oneself heard 「(自分自身が聞いてもらえる状態にする→)声が届く」
 make A known 「(Aが知られる状態にする→)Aを知らせる」


 もう一つ、makeはforce A to docompel A to doに書き換えることが可能です。両方とも、「(強制的に)Aに〜させる」という意味です。うしろが原形ではなくto不定詞になっていることに注意して下さい。

−have−
 haveは基本的に依頼のニュアンスを持ちます。仕事として手続きを踏んでやってもらう感覚です。

ex.5 I had the barber cut my hair. 「私は床屋に散髪してもらった」

 使役動詞のhaveには、have A dohave A donehave A doingの3構文があります。
 まず、出題頻度の少ない「have A doing」を軽く覚えておきましょう。「Aに〜させておく」という意味です。

ex.5−2 I can't have you speaking like that about my father. 「父のことをそんな風に言わせておくわけにはいかない」

 次に「have A do」と「have A done」ですが、これも、Aが後ろの動作をする側なら原形不定詞、される側なら過去分詞とおさえましょう。
 なお、「have A do」は依頼の意味(「Aに〜してもらう」)のみで良いのですが、「have A done」は3パターンの訳がありますので、これはしっかりとおさえておかねばなりません。

  1.依頼「Aを〜してもらう」…ex.5−3 I had my watch repaired. 「私は時計を修理してもらった」
  2.受身「Aを〜される」…ex.5−4 I had my wallet stolen. 「私は財布を盗まれた」
  3.完了「Aを〜してしまう」…ex.5−5 I had my homework finished. 「私は宿題を終えてしまった」

 最後に、使役動詞haveとほぼ同じ意味を持つ動詞を覚えましょう。それはgetです。
 getは、「get A to do」の形で「have A do」の意味を、「get A done」の形で「have A done」の3つの意味を、それぞれ表します。get A to doの方は仕事で依頼するような場合以外にも、たとえば「彼女に話を聞いてもらう」というような場合でも使えます。「have A do」と違い「get A to do」とto不定詞を使うことはしっかり覚えておきましょう。get A doneはhave A doneと「ほぼ同じ」です。
 

−let−
 letは基本的に許可・認容のニュアンスを持ちます。

ex.6 She always lets her children do what they want to. 「彼女はいつも子供にしたいことをさせている」

 構文としてはlet A do のみ覚えれば良いでしょう。訳は「Aに〜させる、Aが〜するのを許す」です。
(Aがされる側の場合は「let A be done」という表現を使いますが、ほとんど出題されないのと、「be」も動詞の原形ですので「let A do」でまとめてしまって構わないでしょう)。
 「let A do」はallow A to dopermit A to doと書き換え可能です(細かく言うと、allowはletと非常に似た意味ですが、permitは権威ある機関や人が許可するイメージです)。


 さて、使役動詞で覚えねばならないことを、まとめましょう。

使役動詞
make 強制
  make A do 「Aに〜させる」≒force/compel A to do

  make A done 3表現を暗記
     make oneself understood 「話が通じる」
     make oneself heard 「声が届く」
     make A known 「Aを知らせる」
 

have 依頼
  have A do 「Aに〜してもらう」≒get A to do
  have A done 「Aを〜してもらう、〜される、〜してしまう」≒get A done
  have A doing 「Aを〜させておく」≒get A doing


let 許可・認容
  let A do 「Aに〜させる」≒allow/permit A to do

 なお、他にもhelp A do「Aが〜するのを助ける」という構文があります。これは元々はhelp A to doだったのが、米語でtoが省略されるようになってきたために現れた形です。使役動詞として一緒に覚えておくといいかもしれません。


3.受動態の場合

 最後に。
 補語に原形不定詞が来る知覚動詞や使役動詞が、受動態になった場合は、原形不定詞がto不定詞に変化することをおさえておきましょう。
 これには2つ理由があります。
 1つは、元々たとえばmake A doはmake A to doでしたが、若者がtoを省略するようになり、それが一般化してmake A doという表現が生まれたのです。よく使われる能動の方はtoが省かれるようになりましたが、受動態の方は、かつての表現が残っているというわけです。
 もう1つの理由はアクセントの問題。強弱を繰り返して喋るのが基本の英語において、受身でも原形不定詞を使った場合には文強勢が連続してしまうのでそれを嫌い、toという弱勢単語で強弱のリズムを整えたから、という説もあります。

ex.7 I hear her play the piano.
 → She is heard to play the piano.


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