この項では、注意が必要な従位接続詞を見ていきます。
1.unless
unlessは「〜しない限り」「〜する場合を除いて」と訳します。
ひとむかし前までは、「unless = if not」という教え方がまかり通っていました。しかし15年ほど前に、センター試験の文法問題で、選択肢にif
notとunlessの両方が存在する問題が出てからは、そのような教え方をする人はほとんど消えました(いまだに「unless
= if not」としている化石のような人もいるみたいですが)。
正確には、unless は except when 或いは except if とイコールです。「〜する場合を除いては」と訳すのが良いでしょう。if notに比べると、条件の排他性が非常に強い感じがします。
「彼が事故を起こさなかったら驚きだよ」と述べたい場合、unlessを使ってしまうと、「事故を起こさない限り驚く→事故を起こしたら驚かない」というニュアンスが出てしまいます。つまり、unless
X, Y.という文だと、「XでないならY」と同時に「XならYでない」という意味合いまで出てくるのです。
そこまで強い意味でない場合は、unlessではなく if notで表現すべきです。
ex.1 I'll be surprised if Tom doesn't have an accident. He drives too fast.
「トムが事故を起こさなかったら驚きだね。あいつはスピード出し過ぎるから。」
ex.2 × I'll be surprised unless Tom has an accident.
「トムが事故を起こす場合を除いて、私は驚くだろう(?)」
先ほど「unless = if not」は間違いだと言いましたが、unless の文を if notに書き換えることは可能です。正確に言いますと、if notで表現される範囲の中に、unlessで表現できる事象は含まれるということです。「動物」という枠の中に「犬」という範囲が全て含まれるように、「if
not」で表現できる枠の中に「unless」で表現される範囲は収まっているのです。unless→if
notは可ですが、if not→unlessは常に可とは限らないということです。ずるい覚え方ですが、文法問題でどちらか迷った場合は、if
notにしておけば間違いはありません。
2.thatとwhat
that SV も what SV も、「〜なこと」と訳します。どちらも名詞節になりますし、混同する人は多いです。しかしながら、文法的にはまったく別物ですし、当然ながら意味も違います。混同しやすいと言うことは、問題にもよく出ますね。
まず、that は接続詞、what は関係代名詞ということをきっちり認識しましょう。
関係代名詞は、うしろのSVが不完全になるのでした。whatも、先行詞が無い辺りはふつうの関係代名詞とは違いますが、うしろが不完全になると言う性質は他の関係代名詞と同じです。例えば「彼の言ったこと」は、「what he said」となりますが、本来saidのOに来るべき名詞が what に変わって前に出てきています。つまり、saidのOが無く、不完全というわけです。
一方that は接続詞です。接続詞(従位接続詞のことです)は原則的に、うしろは完全な状態になります。thatのうしろは完全な文なんですね。
ex.3 I don't understand what he said.
「彼が言ったことは私には分からない」
ex.4 That there is a difficulty in the plan is quite understandable to me.
「その計画には困難があるということは、私はむしろ理解できることだ」
ex.3ではsayの後ろが欠けていますが、ex.4では、SもOも、何も欠けている物がないということを確認しておいてください。
なお、that SVは「事実」、what SVは「内容」を示すという説明をする先生もいるようですが、訳に頼るよりは、文法的(つまりは見た目)で判断する方が確実ですので、「うしろのSVが完全か不完全か」で、thatとwhatの使い分けをするようにしましょう。
「SVすること」
that SV はうしろが完全
what SV はうしろが不完全 |
3.as far asとas long as
as far as(so far as)も as long as(so long as)も、「〜する限り」と訳すことが多いようです。
しかし、同じ訳になるからといって、この2つが同じ意味であるというわけではありません。
far と long という違いに注目して考えましょう。
far は本来「距離が遠い」という意味です。ですから、as far asは、距離に関係する意味合いになります。例えば、「私の目が届く限り」というような場合。「目が見える距離は」、「目が見える範囲は」という意味ですね。このように、距離や範囲を表す場合はas far as を使います。
一方long は、「how long」を思い浮かべれば分かるように、本来は「時間が長い」ことを表します。ですので、as long as は、「私が生きている限りは」というような時間と関わりがある場合に用いることになります。また、英語では、「時」と「条件」はセットで考えることが多いですね(「時・条件を表す副詞節ではwillを使わない」というのを思い出しましょう)。というわけで、「大切に扱う限り」というような条件を表す意味合いの時も、as long as は使われます。
〜する限り
as far as …… 距離・範囲
as long as …… 時・条件 |
ex.5 You may borrow my bicycle, as long as you are careful with it.
「気を付けて使うという条件で、僕の自転車を使っても良いよ」
ex.6 As far as I know, he lives near the center.
「私の知る限り、彼は都心近くに住んでいます」
なお、よく使われる表現として、as far as A is concerned という表現を覚えておきましょう。「Aに関する限り」と訳します。
ex.7 As far as I am concerned, you may leave whenever you like.
「私に関する限り、好きなときに出て行ってもらって構いませんよ」
4.It is not until SV that...
まず「否定文until SV」から押さえましょう。
ex.8 I didn't learned it until I came to Japan.
「日本に来るまでそれを知らなかった」と訳すこともできますが、「日本に来るまで知らなかった」ということは、逆に言えば、日本に来てからは知っているということです。つまり、「日本に来て初めてそれを学んだ」と訳しても良いわけです。
すなわち、否定文until SVは「SVしてはじめて〜」と訳せるのです。
では、次に、これを強調構文にしてみましょう。「SVしてはじめて」の部分、つまりuntil節を強調します。
It is と that で挟めばよいので、It was until …… that I didn't learn〜となりますが、否定語はなるべく前に置くのが英語の基本的な特徴なので、主節のnotをit
wasの部分に持ってきます。
すると、It was not until I came to Japan that I learned it.という文ができあがります。これがいわゆる「It is not until〜that…」の構文です。この構文は丸暗記ではなく、「否定文+until SV」から強調構文にする道筋をきちんと理解しておいた方が、頭にも残りますし、応用も利きます。
「〜してはじめて……」の構文
否定文 until SV = It is not until SV that 肯定文. |
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