接続詞 3                          前のページへ戻る

 
 この項では、注意が必要な従位接続詞を見ていきます。


1.unless

 unlessは「〜しない限り」「〜する場合を除いて」と訳します。

 ひとむかし前までは、「unless = if not」という教え方がまかり通っていました。しかし15年ほど前に、センター試験の文法問題で、選択肢にif notとunlessの両方が存在する問題が出てからは、そのような教え方をする人はほとんど消えました(いまだに「unless = if not」としている化石のような人もいるみたいですが)。

 正確には、unless は except when 或いは except if とイコールです。「〜する場合を除いては」と訳すのが良いでしょう。if notに比べると、条件の排他性が非常に強い感じがします。
 「彼が事故を起こさなかったら驚きだよ」と述べたい場合、unlessを使ってしまうと、「事故を起こさない限り驚く→事故を起こしたら驚かない」というニュアンスが出てしまいます。つまり、unless X, Y.という文だと、「XでないならY」と同時に「XならYでない」という意味合いまで出てくるのです。
 そこまで強い意味でない場合は、unlessではなく if notで表現すべきです。

ex.1 I'll be surprised if Tom doesn't have an accident. He drives too fast.
    「トムが事故を起こさなかったら驚きだね。あいつはスピード出し過ぎるから。」

ex.2 × I'll be surprised unless Tom has an accident.
    「トムが事故を起こす場合を除いて、私は驚くだろう(?)」

 先ほど「unless = if not」は間違いだと言いましたが、unless の文を if notに書き換えることは可能です。正確に言いますと、if notで表現される範囲の中に、unlessで表現できる事象は含まれるということです。「動物」という枠の中に「犬」という範囲が全て含まれるように、「if not」で表現できる枠の中に「unless」で表現される範囲は収まっているのです。unless→if notは可ですが、if not→unlessは常に可とは限らないということです。ずるい覚え方ですが、文法問題でどちらか迷った場合は、if notにしておけば間違いはありません。


2.thatとwhat

 that SV も what SV も、「〜なこと」と訳します。どちらも名詞節になりますし、混同する人は多いです。しかしながら、文法的にはまったく別物ですし、当然ながら意味も違います。混同しやすいと言うことは、問題にもよく出ますね。

 まず、that は接続詞what は関係代名詞ということをきっちり認識しましょう。

 関係代名詞は、うしろのSVが不完全になるのでした。whatも、先行詞が無い辺りはふつうの関係代名詞とは違いますが、うしろが不完全になると言う性質は他の関係代名詞と同じです。例えば「彼の言ったこと」は、「what he said」となりますが、本来saidのOに来るべき名詞が what に変わって前に出てきています。つまり、saidのOが無く、不完全というわけです。

 一方that は接続詞です。接続詞(従位接続詞のことです)は原則的に、うしろは完全な状態になります。thatのうしろは完全な文なんですね。

 ex.3 I don't understand what he said. 
    「彼が言ったことは私には分からない」
 ex.4 That there is a difficulty in the plan is quite understandable to me. 
    「その計画には困難があるということは、私はむしろ理解できることだ」

 ex.3ではsayの後ろが欠けていますが、ex.4では、SもOも、何も欠けている物がないということを確認しておいてください。

 なお、that SVは「事実」、what SVは「内容」を示すという説明をする先生もいるようですが、訳に頼るよりは、文法的(つまりは見た目)で判断する方が確実ですので、「うしろのSVが完全か不完全か」で、thatとwhatの使い分けをするようにしましょう。

「SVすること」
 that SV はうしろが完全
 what SV はうしろが不完全



3.as far asとas long as

 as far as(so far as)as long as(so long as)も、「〜する限り」と訳すことが多いようです。
 しかし、同じ訳になるからといって、この2つが同じ意味であるというわけではありません。

 far と long という違いに注目して考えましょう。

 far は本来「距離が遠い」という意味です。ですから、as far asは、距離に関係する意味合いになります。例えば、「私の目が届く限り」というような場合。「目が見える距離は」、「目が見える範囲は」という意味ですね。このように、距離や範囲を表す場合はas far as を使います

 一方long は、「how long」を思い浮かべれば分かるように、本来は「時間が長い」ことを表します。ですので、as long as は、「私が生きている限りは」というような時間と関わりがある場合に用いることになります。また、英語では、「時」と「条件」はセットで考えることが多いですね(「時・条件を表す副詞節ではwillを使わない」というのを思い出しましょう)。というわけで、「大切に扱う限り」というような条件を表す意味合いの時も、as long as は使われます

〜する限り
 as far as …… 距離・範囲
 as long as …… 時・条件

ex.5 You may borrow my bicycle, as long as you are careful with it.
    「気を付けて使うという条件で、僕の自転車を使っても良いよ」

ex.6 As far as I know, he lives near the center.
    「私の知る限り、彼は都心近くに住んでいます」


 なお、よく使われる表現として、as far as A is concerned という表現を覚えておきましょう。「Aに関する限り」と訳します。

ex.7 As far as I am concerned, you may leave whenever you like.
    「私に関する限り、好きなときに出て行ってもらって構いませんよ」



4.It is not until SV that...

 まず「否定文until SV」から押さえましょう。

ex.8 I didn't learned it until I came to Japan.

 「日本に来るまでそれを知らなかった」と訳すこともできますが、「日本に来るまで知らなかった」ということは、逆に言えば、日本に来てからは知っているということです。つまり、「日本に来て初めてそれを学んだ」と訳しても良いわけです。
 すなわち、否定文until SVは「SVしてはじめて〜」と訳せるのです。

 では、次に、これを強調構文にしてみましょう。「SVしてはじめて」の部分、つまりuntil節を強調します。

 It is と that で挟めばよいので、It was until …… that I didn't learn〜となりますが、否定語はなるべく前に置くのが英語の基本的な特徴なので、主節のnotをit wasの部分に持ってきます。
 すると、It was not until I came to Japan that I learned it.という文ができあがります。これがいわゆる「It is not until〜that…」の構文です。この構文は丸暗記ではなく、「否定文+until SV」から強調構文にする道筋をきちんと理解しておいた方が、頭にも残りますし、応用も利きます。

〜してはじめて……」の構文
 否定文 until SV = It is not until SV that 肯定文.


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