関係詞 4                          前のページへ戻る


 この項では、複合関係詞について見ていきましょう。


1.複合関係詞とは

 複合関係詞とは、見た目から言えば、関係詞にeverがくっついた物を言います。
 複合関係詞については、きちんと理解していない高校生が多いのですが、whateverだのwhichieverだのの訳を丸暗記していたり、文法的な役割を理解していないがゆえの混乱のようです。まぁその責任の多くは、学校の先生のいい加減な教え方によるものですが。

 まず、複合関係詞を関係詞の一種と考えるのをまずやめましょう。「関係詞4」と銘打って複合関係詞を扱っているのに何事だ、とお思いかもしれませんし、関係詞でなければ複合関係詞という名前が付いているのは何事だ、と疑問いっぱいかもしれません。

 もちろん、複合関係詞は関係詞の一種です。しかし、はじめに複合関係詞を理解する上で、「関係詞の一種」という感覚は、むしろ邪魔になります。関係詞の一種であることに由来する複合関係詞の性質はひとつ、複合関係代名詞なら後ろのかたまりは不完全複合関係副詞なら後ろのかたまりは完全、ということだけです。
 その性質を除けば、複合関係詞は、文法的には接続詞、訳は疑問詞と理解した方が分かりやすいでしょう。文法的には、複合関係詞は、名詞節や副詞節を作る接続詞です。また、訳も関係詞であることは完全に頭から消した方が分かりやすいでしょう。たとえば、whoeverは、「〜するのは誰でも」「誰が〜しようとも」という訳です。whoを疑問詞と捉えた方が、その訳に納得できるでしょう。

 名詞節や副詞節を作る接続詞と理解して、しかも訳は疑問詞の場合の訳を念頭に覚え、まずは訳す練習をしましょう。訳がきちんとできるようになれば、文法問題ではそれほど苦労しません。ともかく、複合関係詞は関係詞の一種だ、と言う感覚をはじめは忘れて挑みましょう。


2.複合関係詞の訳しかた

 複合関係詞には、複合関係詞、複合関係形容詞、複合関係副詞の3種類があります。

複合関係詞

複合関係代名詞 …… whatever SV / whichever SV / whoever SV

複合関係形容詞 …… whatever 名詞 SV / whichwever 名詞 SV

複合関係副詞 …… whenever SV / wherever SV / however 形/副 SV / however SV

※ whomeverを使うべき場合でも、whoeverの方が好まれます。

 この種類分けはまず頭に叩き込んでおきましょう。

 訳ですが、3種類とも、2つの訳しかたがあります。
 中から訳すパターン外から訳すパターン、と押さえます。
 「wh-ever SV」について、中から訳すパターンとは「SVするのはwh-でも」、外から訳すパターンとは「wh-〜しようと」と訳すものです。例えばwhoever SVの場合、中からパターンは「SVするのは誰でも」という訳になりますし、外からパターンは「誰が(を)〜しようと」という訳になります。

 では、その2種類の訳しわけについて。

 複合関係代名詞と複合関係形容詞の場合、その複合関係詞節が文の主語や目的語、つまり名詞節になっている場合は、必ず中から訳すパターンになります
 一方、複合関係詞節が副詞節の場合、必ず外からパターンで訳します

 なお、複合関係副詞節の場合は、どちらの訳しかたをする場合も、副詞節になってしまいますので、見ただけで訳の区別をすることはできません。実際に訳してみて通じる方にするしかありません。

 厳密に「中から」「外から」を区別すると、日本語としてこなれない訳になることもありますが、はじめはぎこちない訳になっても良いので原則を押さえてください。訳しわけが100%大丈夫になってから、きれいな和訳を考えればいいでしょう。

 まとめておきます。

複合関係詞節の訳しかた

複合関係代名詞 …… whatever SV / whichever SV / whoever SV
  1.名詞節の場合→中から訳パターン
         「SVするのは何でも」「SVするのはどれでも」「SVするのは誰でも」
  2.副詞節の場合→外から訳パターン
         「何が(を)SVしようと」「どれが(を)SVしようと」「誰が(を)SVしようと」
複合関係形容詞 …… whatever 名詞 SV / whichwever 名詞 SV
  1.名詞節の場合→中から訳パターン
         「SVするのはどんな…でも」
  2.副詞節の場合→外から訳パターン
         「どの…が(を)SVしようと」
複合関係副詞 …… whenever SV / wherever SV / however 形/副 SV / however SV
  1.名詞節の場合→なし
  2.副詞節の場合→中から訳パターン
         「SVするのはいつでも」「SVするのはどこでも」「SVするのはどんな風でも」
               外から訳パターン 
         「いつSVしようと」「どこでSVしようと」「どんなに…SVしようと」「どのように〜しようと」

※ whateverとwhicheverの使い分けは、whatとwhichの使い分けと同じく、
   選択肢が限定されていればwhich、限定がなければwhatです。
※ however の後ろに形容詞・副詞がある場合と無い場合の訳し分けは、疑問詞のhowと同じく、
  後ろに形容詞・副詞があれば程度「どのくらい」の訳、なければ手段・状態「どのように」という訳です。
※ however 形・副 SVは、外から訳パターンしかありません。

 例文で訳の練習をしておきましょう。

複合関係代名詞
ex.1 Whoever leaves the office last should switch off the light.
ex.2 Whatever has a beginning also has an end.
ex.3 Whoever is responsible, we should seek the best solution of this difficulty.
ex.4 Whichever you decide, I'll back you up.
ex.5 Whatever they said to him, Joe would not change his mind.

複合関係形容詞
ex.6 Whatever decision you make is all right with me.
ex.7 I think you will enjoy whichever one you choose.
ex.8 Whatever problems you have, you can always come to me for help.
ex.9 The game will be very exciting, whichever side wins.

複合関係副詞
ex.10 Come whenever it is convenient for you.
ex.11 Tommy followed his grandpa wherever he went.
ex.12 Wherever you are, remember that we will be thinking of you.
ex.13 Whenever you come, I am glad to see you.
ex.14 However much he eats, he never gets fat.
ex.15 However you do it, the result is the same.


 同じ文でも練習になりますから、順番をシャッフルしたりして、繰り返し訳を練習しておきましょう。これから訳を示していきますが、原則を明らかにするため、少しぎこちない訳になっています。

 ex.1は、lastまでがかたまりで、文の主語=名詞節になります。ですから中から訳のパターンですね。「最後に職場を出る人は誰でも、電気を消すべきです」となります。
 ex.2は、beginningまでがかたまりの名詞節。「始まりがある物は何でも、終わりもある」。
 ex.3は、副詞節なので外から訳。「誰に責任があろうと、我々はこの問題の最善の解決策を探すべきだ」。
 ex.4も副詞節、「どれにあなたが決めようと、私はあなたを支えます」。
 ex.5も副詞節、「何を彼らがジョーに言おうと、彼は考えを変えるつもりはなかった」

 ex.6は、makeまでかたまりで名詞節。make a decisionで「決心する」ですから、「あなたがするのはどんな決断でも、私には問題ないよ」。
 ex.7は、whichever以下がenjoyの目的語。「私が思うに、あなたが選ぶのがどんな物でも、あなたは楽しめるでしょう」。
 ex.8はコンマまで副詞節、「どんな問題をあなたが抱えていようと、助けを求めにいつでも私の元に来て良い」。
 ex.9も副詞節、「どちら側が勝とうと、その試合はとてもおもしろい物になるだろう」。

 ex.10は、whenever以下がかたまり。「あなたが都合が良いときはいつでも、来て下さい」。it is convenient for A「Aが都合がよい」は覚えておきましょう。人 is convenientとは言えません。
 ex.11はwherever以下が副詞節。「トミーは、祖父が行くところはどこでもついていった」。
 ex.12は外から訳の方がきれいに訳せます。「どこにあなたがいようと、私たちがあなたのことを思っているということを忘れないで下さい」。
 ex.13は、「いつあなたが来ようと、会えたら嬉しいです」。
 ex.14は、「どれだけたくさん食べようと、彼は決して太らない」。
 ex.15は、「どのようにあなたがそれをやろうと、結果は同じだ」。


3.複合関係詞節の書き換え

 中から訳の「〜しようと」という言い方を譲歩と呼びます。相手にいったん主張を譲るような言い方で、「〜だけれども」とか「〜としても」「〜であろうと」という表現です。
 複合関係詞のうち、その譲歩の訳しかたをする方は、wh-ever = no matter wh-という書き換えができますので、覚えておきましょう。no matter whatなら、「何が〜なのかは問題なく→何が〜であろうと」となるわけですね。たとえば、

ex.14 However much he eats, he never gets fat.
    = No matter how much he eats, he never gets fat.

 よく勘違いしている受験生がいますが、wh-everはすべてno matter…に書き換えられるわけではありません。譲歩の訳をする場合のみです。気を付けてください。

 なお、中から訳のパターンも一応書き換えができますが、問われることは、譲歩の場合ほど多くはありません。「誰でも」「何でも」「いつでも」という意味だからanyを使うんだ、ということをまず頭に入れた上で、以下のようにまとめておきましょう。

複合関係詞節の書き換え

複合関係代名詞 …… whatever SV / whichever SV / whoever SV
  1.名詞節の場合(中から訳パターン)
         anything/anyone that SV
  2.副詞節の場合(外から訳パターン)
         no matter wh- SV
複合関係形容詞 …… whatever 名詞 SV / whichwever 名詞 SV
  1.名詞節の場合(中から訳パターン)
         any 名詞 that SV
  2.副詞節の場合(外から訳パターン)
         no matter wh- 名詞 SV
複合関係副詞 …… whenever SV / wherever SV / however 形/副 SV / however SV
  2.副詞節の場合→中から訳パターン
         in/at any time when SV / in/at any place where SV / in any way that SV
               外から訳パターン 
         no matter wh- SV



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