関係詞 2                          前のページへ戻る


 この項では、関係代名詞や関係副詞について、「関係詞1」で説明しきれなかった用法を見ていきましょう。


1.関係代名詞what

 関係代名詞としてwhatを使うことがあります。
 これはかなり特殊な関係代名詞で、まず、先行詞がありません。whatは書き換えるならばthe thing whichとできますが、つまりwhatの中に既に先行詞のthingが隠れており、先行詞が関係代名詞の中に含まれてしまっているのです。先行詞が含まれているので、what SVは名詞節ということになります。

 まとめるとこういうことです。

関係代名詞what
 what SV(=the thing which SV)
  「〜すること
  名詞節を形成

ex.1 I was surprised to know what he had said.
   「私は彼が言ったことを知って驚いた」

 間接疑問の場合と区別が難しいと思うかもしれませんが、通じればどちらで訳しても構いません。元々は同じ物です。上の例文も、「何を言ったかを知って驚いた」と訳しても、間違いではありません。

 関係代名詞whatを使った慣用表現も、幾つか覚えておきましょう。

関係代名詞whatの慣用表現
 what A is 「今のA」「Aの性格・性質」(Aが何であるか、という意味
 what A was/used to be 「昔のA」(Aが何であったか、という意味
 what A has 「Aの財産」(Aが持っている物、という意味
 what is called A
 what we/they/you call A
 「いわゆるA」(Aと呼ばれる物、みんながAと呼んでいる物、という意味
 what is more 「さらに」
 what is worse 「さらに悪いことには」
 what with A and B 「AやらBやらで」
 A is to B what C is to D(= What C is to D< Ais to B)
     「AとBの関係はCとDの関係と同じだ」(AはBに対して、CがDに対する物と同じである、という意味

2.前置詞+関係代名詞

 「関係詞1」のex.5で使った文を、ここでも利用します。
 The bed wasn't very comfortable. + I slept in it last night.の合成を考えてみましょう。

 まず、「関係詞1」でもやったように、ふつうに関係代名詞を使って合成することができますね。

ex.2−1 The bed which I slept in last night wasn't very comfortable.

 他にも、関係詞を使った書き換え方があるのです。
 合成前の文をもう一度見てみましょう。「I slept in it」ですが、意味から考えると、「in it」でひとつのかたまりになっています。となると、「in it」で場所を表す副詞句ですから、関係副詞を使うことも可能です。

ex.2−2 The bed where I slept last night wasn't very comfortable.

 さらに、「in it」で一つの意味の塊になっていることから、「it」を「which」に変えたうえで、関係代名詞だけでなく前置詞も一緒に接続部へ持ってくる用法もあるのです。

ex.2−3 The bed in which I slept last night wasn't very comfortable.

 3つ並べてみましょうか。
ex.2−1 The bed which I slept in last night wasn't very comfortable.
ex.2−2 The bed where I slept last night wasn't very comfortable.
ex.2−3 The bed in which I slept last night wasn't very comfortable.

 理解できましたか?

 ここで押さえておくことは、まず、前置詞+関係代名詞が形容詞節を導く目印として使われることがある、ということです。「前置詞+which」や「前置詞+whom」を見たら、他の関係詞と同じように形容詞節を形成、と押さえておきましょう。
 また、関係副詞は前置詞+関係代名詞に書き換えることができるということも覚えておきましょう。whenならin whichやat which、whereもin whichやat which、whyならfor whichに書き換えることができます。


 ちなみに、前置詞の後ろに関係代名詞のthatを置くことはできません
 上の例の場合、「The bed that I slept in last night wasn't very comfortable.」は可能ですが、「The bed in that I slept last night wasn't very comfortable.」は不可です。

 関係代名詞に限らず、that SVは前置詞の前には置けません。例えば、be surprised at Aという表現はみなさん知ってると思いますが、Aにthat節が来た場合、atが消えて、be surprised that SVとなりますよね?これは、前置詞の後にはthatがおけないため、that節が目的語に来ると前置詞が消えてしまったのです。


3.連鎖関係詞節

 この2文の合成はどうやりますか?

ex.3 The boy deceived me. + I thought he was a friend of mine.
   「その少年は私を騙した」  「私は彼が友人の一人だと思っていた」

 先行詞はthe boyで、その後ろに説明部分を挿入します。説明部分の中で、先行詞と重なっているのはheです。heは人を表す代名詞で主格ですから、関係詞はwhoになります。それが接続部分に来ますから、

ex.3→ The boy who I thought was a friend of mine deceived me. となりますね。

 順番に説明されれば何てことはない話なのですが、これが空所補充問題などになると話は別です。

 The boy (   ) I thought was a friend of mine deceived me.
 これだと、選択肢問題であっても、whomを入れる人がかなりいるのです。空欄の後に「主語+動詞」があるために、「うしろが主語+動詞だったら関係代名詞は目的格」と適当な覚え方をしている人は、罠にかかります。

 さらに、並び替えだともっと悲惨な結果になります。原因は、thoughtとwas、つまり動詞が2つ連続していることです。動詞が連発している様子は、確かに気持ち悪い物です。

 これは、合成前の説明部分が、SV (that) S'V'で、先行詞とS'が重なっているときに発生します。
 関係詞は接続部分に飛んでいくため、「先行詞+関係詞+S V V'」という形が発生するのです。こうして生まれた関係代名詞は、まずthat節から飛び出し、さらにもう一度、説明部分の前に飛んでいくので、この2段階飛び出す状況から連鎖関係代名詞と呼ばれます。

 この辺りは公式丸暗記ではなく、きちんと理解をしてください。理解しておけば、問題が出るたびに理解が深まっていき、類題で間違えることが無くなっていきます。

 分かりにくいなと思った人は「I thought」を挿入句のように考える方法もありますし、問題を解く上ではそれでも支障がない場合が多いですが、理屈としては挿入ではないので、上に書いた説明を理解して欲しいと思います。

 ちなみに、連鎖の場合は、主格であっても関係代名詞を省略することができます。つまり、うしろにSVが来る場合は関係代名詞を省略できる、というのが正確なルールなんですね。


4.関係副詞の省略

 「関係詞1」で説明したように、関係副詞のwhenとwhyは、常に省略可能です。
 訳す場合は、「名詞+SVとなっていたら、うしろのSVは名詞を修飾する形容詞節」と理解しておけば、日本語には関係詞という物がないですから、省略されている物が何であろうと影響ないですね。

 さらに、関係副詞には、先行詞を省略できるような場合もあります。
 まずはポイントをまとめておきましょう。

関係副詞の省略
the time when
the place where
the reason whyは、
 先行詞か関係副詞のいずれかを省略できる

 例文を挙げておきましょう。

ex.4 That is why I don't like him.
   (=That is the reason why Idon't like him.)
   「そういうわけで私は彼が嫌いだ」

ex.5 He visited where the big fight broke out.
   =He visited the place the big fight broke out.
   (=He visited the place where the big fight broke out.)
   「彼は、大きな戦いが起こった場所を訪れた」 

 関係詞の方が省略されているパターンは、さっきも言ったように「名詞+SVとなっていたら、うしろのSVは名詞を修飾する形容詞節」ということを覚えていれば、問題ありません。
 問題になるのは、先行詞が省略されたパターンです。

 まず、the reason whyで先行詞省略になる場合として「That is why SV(そういうわけで…)」とその類似表現はよく見かけますから、これを重要構文として覚えておきましょう。

 問題はwhen SVとwhere SVですが、これも、神経質になる必要はありません。
 「名詞のかたまり」ということが分かれば、間接疑問で訳しても先行詞省略の関係詞として訳しても、通じればどちらでも構いません。というより、元来は同じ物を別の物と分類しているだけなのです。where he goesを「彼が行く場所」と訳しても「どこに彼が行くか」と訳しても、意味は変わりませんよね?中学校の時に、how to doを「どう〜すべきか」という訳だけでなく「〜する方法」とも訳したと思いますが、それと同じ考え方で構わないのです。

 when SVには「いつ〜するか(間接疑問)」だけでなく「〜するとき(先行詞の省略)」の意味もある、where SVには「どこで〜するか(間接疑問)」以外にも「〜する場所(先行詞の省略)」という意味があるということを、きっちりと覚えておきましょう。あとは、通じるように訳せれば……という適当な姿勢で問題なしです。(なお、whereには、それ以外にも「〜する場所で」という接続詞の用法もあります。イメージ的には、先行詞のみならず、それに付いていた前置詞まで省略されたような物です。when SVに「〜とき」という意味の接続詞があることと重ねて押さえると分かりやすいでしょう


 もう一つ説明しておきます。
 実は、ここまで説明しませんでしたが、関係副詞にはさらにhowがあります。ただこいつはかなり特殊な使われ方をするので、他の関係副詞と区別して押さえましょう。

 関係副詞howは、先行詞がthe wayの時に使われます。ただし、このthe way howは、先行詞か関係詞のいずれかを必ず省略するのです。「省略可能」ではないですよ、「必ず省略」です。
 つまり、こういうことです。

関係副詞howの用法
「〜する方法」「どのように〜するか」
 the way SV
 how SV
 the way in which SV

 the way that SV
 
 the way+SV in that wayですから、in that wayを先行詞と重なる副詞と見れば、howに変化させて接続部へ飛ばします。ただし、先行詞か関係詞のいずれかを必ず省略しますから、the way SVかhow SVとなるのです。
 また、in that wayのうち、that wayだけを関係代名詞に書き換えれば、in whichを使った3番目の形が生まれるのは分かると思います。さらに、howは、whenやwhyと同じくthatで代用できますが、このthatは「必ず省略」のルールが適用されませんので、書いてもかまいません。



5.疑似関係代名詞

 少し特殊な関係代名詞を見ていきます。まぁ、butとthanは覚える必要はないと思いますけどね。念のため。

(i) as

 先行詞にsuchやas、the sameがあった場合、関係代名詞としてasを使います。

ex.5 She is not such a girl as you imagine.「彼女は君が想像するような女の子じゃないよ」

 such A as B「BのようなA」the same A as B「Bと同じA」はよく出てくる表現ですから覚えておかねばなりません。このBの部分に、SVが来ることがあるのだ、と覚えておけばいいでしょう。
 ちなみに、the sameについては、the same A that SVもよく使われます。

 また、関係代名詞asには、文を先行詞として、補足説明をする文を導く、という場合があります(補足説明部分を導く用法を非制限用法と呼びますが、これは「関係詞3」で詳しく見ます)。

ex.6 As is often the case with Tom, he was late for class.

 直訳気味に訳せば、「これから述べることはトムにしばしばあることだが、彼は授業に遅れた」となります。意訳すれば、「トムにはしばしばあることだが、彼は授業に遅れてきた」ですね。先行詞は「he was late for class」で、asがそれを受ける関係代名詞です。このように、先行詞がうしろに来ることがあるのも、このasの特徴です。先行詞というのに後ろにあるのは気持ち悪いですけどね。
 「…なことなのだが」と訳せばきれいな訳になります。

 なお、このasについては、慣用表現として幾つか覚えておくと良いでしょう。

非制限用法asの慣用表現
as is often the case with A 「Aにはよくあることだが」
as is usual with A 「Aにはいつものことだが」
as was expected 「予想されていたことだが」

 
(ii) but

 先行詞にnoなどの否定語が来た場合に関係代名詞としてbutを使えますが、このbutは、that〜not〜に書き換えられます。つまり、no 名詞 but SV「〜しない(名詞)はない」という二重否定の構文になります。

ex.7 There is no rules but has some exceptions.
   「例外のない規則は無い」

 これは古めかしい言い方なので、自由英作文などで書くのは危険です。

(iii) than

 先行詞に比較級がある場合、関係代名詞としてthanを使います。

ex.8 She gave his son more money than he needed.
   「彼女は、彼が必要とする以上のお金を息子にあげた」

 needの目的語が欠けており、直前の名詞であるmore moneyがその目的語にあたるので、thanを関係代名詞と捉えることが可能です。ただ、問題で問われることも少ないですし、訳すこと自体は普通の接続詞と考えようが問題ないので、「先行詞に比較級があったらthanを使うことがある」とだけ覚えておけばじゅうぶんでしょう。



6.関係形容詞

 これは公式を覚えてしまいましょう。

関係形容詞what
what 名詞 SV 「SVする全ての〜」
what few/little 名詞 SV 「SVする少ないながらも全ての〜、なけなしの〜」

ex.9 I gave her what little money I had.
   「私は彼女になけなしのお金をあげた」



7.前置詞+関係代名詞+to不定詞

 これは非常に難度が高い問題で出ますね。

前置詞+関係代名詞+to不定詞
名詞+to不定詞+前置詞
= 名詞+前置詞+関係代名詞+to不定詞

 公式では分かりにくいので、例を。

ex.10 the pen to write with = the pen with which to write

 不定詞に前置詞が残る形については準動詞 1の不定詞形容詞的用法を参照のこと。それの同意表現としてまとめて頭に入れておくと良いでしょう。


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