関係詞 1                          前のページへ戻る

1.関係詞とは

 関係詞については苦手にしている人も多いですし、文章読解でも重要項目ですので、中学レベルの話から順にやっていきましょう。

 関係詞を理解するには、まず「2つの文の足し算」を「日本語と英語の違い」という観点から理解するのがよいでしょう。

ex.1 「私には友人がいる」+「彼はカナダ出身だ」→「私にはカナダ出身の友人がいる」

 これは日本語ですから問題ないですね。
 「私には友人がいる」の「友人」がどんな人かを説明するのが、「彼はカナダ出身だ」という文です。修飾される語である「友人」の前に、「カナダ出身だ」という説明文を挿入しています。この際、修飾される「友人」と意味内容が被る「彼は」の部分は、省略されますね。
 つまり、日本語の場合、1.説明する文は説明される語の前に置く2.説明される語と重なる語は説明部分からは省く、ということになります。

 一方、英語ではどうなるでしょうか。

ex.2 I have a friend. + He comes from Canada. → I have a friend who comes from Canada.

 細かい説明はおいおいやっていきますので、まずは日本語との違いを大まかに理解しましょう。
 まず、説明する文が、説明される語の後ろに来ています。英語の場合、修飾部分が長い場合は、語の後ろに回すルールがあります。また、説明部分のはじめに「who」が来ています。これが関係詞です。日本語では、説明文はそのまま説明される語の前に置けば良かったのですが、英語では、「ここから説明部分ですよ」という目印となるべく、関係詞という語が置かれるのです。
 まとめると、英語の場合、1.説明する文は説明される語の後ろに置く2.説明される文の頭には関係詞という語を置く、ということになります。つまり、関係詞は、説明する文を導くための接続詞、なのです。説明する文=名詞を修飾する文なので、関係詞以下のかたまりは、形容詞節となります。
 ちなみに、関係詞を使った際、説明される語のことを先行詞と呼びますので覚えておきましょう。

 では、具体的に、ex.2の合成された文がどのようにして作られたか、見てみましょう。
 先に、ルールをまとめておきます。

関係詞を使った、文の合成
1.先行詞の後ろに説明する文を入れる
2.先行詞と重なる語を関係詞にする
3.関係詞を接続部分に持ってくる

 ex.2で実際に手順を見てみます。

 まず、先行詞の後ろに、説明する文を挿入します。「I have a friend he comes from Canada.」ですね。
 つぎに、先行詞と重なる語、この場合は「he」を関係詞にします。「関係詞にはどのような語があるか」「どの場合にどの関係詞を使うか」は後でまとめます。この場合は、「who」です。「I have a friend who comes from Canada.」となります。
 最後に、関係詞を接続部に持ってきます。今回は、たまたま接続部に関係詞が来ていますので、そのままで完成です。

 もう一つ例を挙げておきましょうか。

ex.3 This is the book. + I bought it yesterday.

 まず先行詞の後ろに文を挿入。この場合、説明されているのは「本」ですから、bookの後ろに「I bought〜」を入れます。次に、先行詞と重なる語、この場合は「it」を関係詞にします。今回は「which」を使います。「This is the book I bought which yesterday.」となりますが、関係詞を接続部に持って行って完成です。

ex.3−2 This is the book which I bought yesterday.


2.関係代名詞

 さて、先ほど説明を省いた「どの関係詞を使うか」の話をしましょう。

 まず、先行詞と重なっている部分が名詞の場合からいきます。ex.2もex.3も、先行詞は「a friend」「the book」で、その先行詞と重なっていた「he」も「it」も名詞でしたね。

 このように、先行詞と重なっている名詞を関係詞にする場合は、関係代名詞を使います。関係「代名詞」というくらいですから、名詞の代わりに使うのですね。

 さらに、先行詞が人か物か、また、先行詞と重なっている語が主格か所有格か目的格かで、関係代名詞は使い分けが為されます。
 先行詞が人の場合、先行詞と重なる語が主格ならwho、所有格ならwhose、目的格ならwhomを使います。
 先行詞が物の場合、先行詞と重なる語が主格でも目的格でもwhich、所有格ならwhoseを使います。

 具体例を幾つか挙げておきましょう。合成前の文を例文の下に書いておきます。先行詞と、先行詞に重なる語には、それぞれ下線を引いておきます。

ex.4 The boy whom I met in the park yesterday is Tom.
   「昨日私が公園であった少年はトムです」
   (The boy is Tom. + I met him in the park yesterday.)
   目的格で先行詞と重なっているパターン

ex.5 The bed which I slept in last night wasn't very comfortable.
   「昨日眠ったベッドはあまり快適でなかった」
   (The bed wasn't very comfortable. + I slept in it last night.)
   前置詞の目的語が先行詞と重なっているパターン。

ex.6 He is the boy whose money was stolen.
   「彼がお金が盗まれた少年です」
   (He is the boy. + His money was stolen.)
   所有格が先行詞と重なっているパターン。

 なお、目的格の関係代名詞は省略することができます

ex.3−2→ This is the book I bought yesterday.
ex.4→ The boy I met in the park yesterday is Tom.
ex.5→ The bed I slept in last night wasn't very comfortable.

 また、主格と目的格の関係代名詞は、thatで代用することもできます(微妙なニュアンスの違いが無いわけではありませんが、そこまで問われません)。

ex.2→ I have a friend that comes from Canada.
ex.3−2 This is the book that I bought yesterday.
ex.4→ The boy that I met in the park yesterday is Tom.
ex.5→ The bed that I slept in last night wasn't very comfortable.

 基本的に「thatはいつでも使える」という感じなのですが、逆にthatでなければダメという場合がいくつかあります。使用頻度は高くないので実際の会話や書籍などで見かけることは殆ど無いのですが、なぜか学校や一部私大の入試だと問われるので、念のためにやっておきます。

関係代名詞thatを使うべき場合
1.先行詞が人と物の両方
2.先行詞が疑問詞
3.先行詞と重なる語が補語の場合
 
 1は、例えば「歩いている男性と犬」のような場合。男性だけならwhoですが、犬(英語では普通物扱い)もいるのでそういうわけにはいきません。「a man and a dog that are walking」というように、thatを使います。
 2は、「ここにいる誰が…だろうか」というような文の場合。whoを使うと「Who who…」となって気持ち悪いですからね。「Who that is here…」という言い方になります。
 3は分かりにくいですが、例えば「He is not the man that he was when I first know him.」のような場合です。説明部分の「he was」の後ろ、つまり補語の所に元々先行詞は入っていたはずですよね。このように合成前が補語のばあいも、thatを使わねばなりません。

 また、先行詞に最上級や序数があるような場合も、thatが使われることが多いです。問題に出る頻度は高くなくなってきていますので、「最上級や序数のような、限定するニュアンスが強い語が先行詞に付いていたら、thatを使うことが多い」という理解をしておけばじゅうぶんでしょう。


 ここまでよろしいでしょうか?
 これが、関係代名詞の基本的な用法です。



3.関係副詞

 ここまで、「先行詞と重なっている部分が名詞」の場合に限って話を進めてきました。では、先行詞と重なっている部分が名詞でない場合があるんでしょうか?

 あり得るんですね。例えば、こういう場合です。

ex.7 She came from the country. + It snows a lot there.
    「彼女はその国出身だ」      「そこではたくさん雪が降る」

 先行詞は「the country」で、説明文の先行詞と重なる部分は「there」です。thereは名詞ではなく、副詞ですね。となると、thereを関係詞にするときには、関係代名詞は使えません。
 そこで使われるのが、関係副詞です。先行詞と重なる部分が副詞の場合には関係副詞を使うのです。

 先行詞と重なる部分が…
  時を表す場合→when
  場所を表す場合→where
  理由を表す場合→why
 を使います。

 ex.7の場合、「there」は場所を表すので、関係副詞「where」にして、接続部に飛ばします。

ex.7→ She came from the country where it snows a lot.

 他にも例文を挙げておきましょう。

ex.8 Now is the time when I must try hard.
   「今こそ一生懸命挑戦すべき時だ」
   (Now is the time. + I must try hard that time.)

ex.9 Pat is very talkative. This is the reason why I don't like him.
   「パットはとてもおしゃべりだ。これが私が彼を嫌う理由だ(こういうわけで私は彼が嫌いだ)」
   (This is the reason. + I don't like him for the reason.)

 ちなみに、関係代名詞の目的格と同様、whenとwhyは省略ができますし、また、学校文法ではあまりやりませんし頻度も低いですがthatで代用することも可能です。whereは、通常は省略しませんし、普通はthatで代用することもできません。特別な場合には省略も可能ですが、それは「関係詞2」でやりましょう。


 さぁ、ここまで説明した、関係代名詞と関係副詞の用法について、要点をまとめておきましょう。

関係代名詞
 − 主格 所有格 目的格
先行詞が人 who/that whose whom/that
先行詞が物 which/that whose which/that
※ 目的格は省略できます
※ whomは、前置詞の目的語でない限り、あまり使われません。
  省略してしまうか、whoを代用する場合が多いです。


関係副詞
合成前の先行詞と重なる部分が…
  時を表す場合→when(省略可)
  場所を表す場合→where
  理由を表す場合→why(省略可)



4.関係代名詞と関係副詞

 ひとつ、問題を解いてみましょうか。

空欄に関係詞を入れよ(thatは不可)。
 New York is a city (   ) I have long wanted to visit.
 「ニューヨークは、私はながいこと訪れたいと思っていた都市だ」


 都市は場所だからwhere……とやってしまう人が多いものです。
 合成前を考えると、後半は「I have long wanted visited the city」ですよね。つまり、先行詞と重なっているのは「the city」、名詞ですから、関係代名詞を使わなければならないのです。答えは、whichです。

 関係詞の問題で少し難しいと思った場合は、合成前の状態を考えると解ける場合が非常に多いです。しかし、すべての問題で合成前の文を考えるのは大変です。
 そこで、こんなルールを覚えておきましょう。

関係代名詞節と関係副詞節のちがい

 関係代名詞節は文構造が不完全
 関係副詞節は文構造が完全
 
 どういうことか。
 関係代名詞は、名詞が関係詞に変化して接続部へ飛んだ物です。つまり、関係代名詞以下の部分は、名詞が前に飛んでいってしまっているのです。名詞は、文の中では、必ず主語なり目的語なりの文の要素になります。ということは、文の要素になる名詞が関係詞に変化して前に飛んでいってしまった「関係代名詞節」は、名詞が欠けた、主語か目的語のない不完全な文になっているのです。このページで挙げた関係代名詞の例文を、もう一度見直してみてください(所有格のwhoseのみ例外的に主語や目的語の欠落はありません。しかし、主語に付くべき冠詞がないという意味では、不完全と言うことは可能です)。

 一方関係副詞は、副詞部分が関係詞に変化した物です。副詞は、文の要素にはなりません。つまり、副詞部分が接続部へ飛んでいこうと、文構造には何ら影響がないのです。関係副詞節は、主語も目的語もきちんと残った完全な文になるのです。

 うえの問題では、「visitの目的語が欠けているから、関係副詞ではなく関係代名詞だな…」と考えて、whichを入れることになります。

 ただし、この考え方をするためには、動詞が他動詞(目的語が必要な動詞)か自動詞(目的語が不要な動詞)かの区別が付くことが前提です。動詞は、日本語訳だけではなく、どんな文型をとるのかを覚えていなければならないのです。


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