準動詞 2 前のページへ戻る
では、動名詞に行きます。 1.動名詞の用法 「動名詞の品詞は?」と問われれば、「名詞」と答えることになります。動詞から生まれた物ですが、役割はまったく名詞のそれです。文の主語や目的語、補語、そして前置詞の目的語にもなれます。前置詞の目的語にもなれるというところが、不定詞の名詞的用法との大きな違いですね。 動名詞の訳ですが、名詞的用法不定詞と同じように「〜すること」と訳すのが基本です。 さて、ここで「名詞的用法の不定詞と動名詞には違いがあるのか?」という疑問が生じるかもしれません。 違いは、確かにあります。 to不定詞は、前置詞のtoを使っているので、基本的に「その動作へ向かっていく」という意味合いがあります。つまり、「これからその動作をする」「まだ現実になっていない仮定の話」というニュアンスがあるのです。そういえば、「It is dangerous to swim in this river.」という文を考えてみると、「この川でもし泳いだ場合、危険である」という訳し方も可能ですね。to不定詞に仮定の意味合いが込められていることの証拠です。 動名詞は、既に名詞として固定されているイメージがあります。動詞は様々な形に変化しますが、名詞はせいぜい複数の時に「s」が付くくらいですね。名詞には固定・確定のイメージがあるのです。 だから、動名詞の方は、不定詞と違い、基本的に「既に行った動作」というようなニュアンスが生じます。 2.動名詞の意味上の主語 「私の友人は、私がレースに勝つと確信している」という英文を作ってみましょう。「確信している」はbe sure of Aを用います。 ex.1−1 My friends are sure of winning the race. 「私の友人はレースに勝つと確信している」 これだと、何だか「友人がレースに勝つ」みたいですね。winningという動名詞の動作が誰なのかを明記していないために、誤解が生じる文になってしまっています。これを修正すると次のようになります。 ex.1−2 My friends are sure of my winning the race. もしくは、こういう書き方もできます。 ex.1−3 My friends are sure of me winning the race. 動名詞は「名詞」ですから、「動名詞の動作の主語」は、言ってみれば「その名詞の所有者」と考えることができます。つまり、動名詞の意味上の主語は、動名詞の前に所有格で表せばよいのです。 ただし、動名詞は動詞や前置詞の目的語になります。ということは、意味上の主語は動詞や前置詞の直後に書かれることになります。動詞や前置詞の直後に代名詞を書く場合、普通は目的格ですね。というわけで、本来所有格で動名詞の意味上の主語を表していたものが、目的格で表す場合も出てきて、それが正しい用法として定着してしまいました。 まとめると、動名詞の意味上の主語は、動名詞の前に所有格もしくは目的格で表す、ということになります。 ちなみに、特殊な事例として、 ●無生物が意味上の主語の場合は目的格を用いる(代名詞でなければ普通の形ということ) ●文頭の場合は所有格を用いる この2パターンは頭に入れておきましょう。まぁ理屈で考えれば当たり前なんですけれどもね。無生物が何かを所有することはあり得ないので、所有格は使えない、ということになりますし、文頭だと、動詞や前置詞の後ろではないので「目的格を使う理由」が存在しないですしね。 それぞれのパターンの例文を挙げておきます。 ex.1−4 They complained of the room being too hot.(彼らは部屋が暑すぎると不満を言った) ex.1−5 His getting up early is unusual.(彼が早起きするのは珍しい) それぞれ、「the room's being...」「Him getting...」とは、普通言いません。 3.時間差を表す動名詞 考え方は不定詞と同じですので、さらりと行きましょう。 述語動詞より前のことを不定詞で表す場合、to have doneという完了不定詞を使うんでしたね。 動名詞も同じで、述語動詞よりも前のことを表す場合、つまり述語動詞の時制とズレがある場合、having doneという完了動名詞を使うのです。 例文で確認しましょう。 ex.2−1 Jim is proud that he was a cook.→ Jim is proud of having been a cook. 「ジムは料理人だったことを誇りに思っている」 be proud that SV =be proud of Aを利用した書き換えです。 料理人だったのは過去、誇りに思っているのは現在、そのズレを示すため、右側の動名詞を使った文では、動名詞が完了不定詞になっています。 4.不定詞のみOにとる動詞・動名詞のみOにとる動詞 名詞的用法不定詞も、動名詞も、動詞の目的語になることができます。 しかし、動詞によっては、動名詞しか目的語にとれない物、逆に不定詞しか目的語にとれない物、さらには両方とれるけど意味が変わってしまう物が存在します。受験に頻出ですので、しっかり押さえておきましょう。
先ほど、「不定詞は『これからその動作をする』というニュアンスがある」と説明しましたが、ここに列挙した動詞は、ほとんどが「これからその動作をする」あるいは「まだその動作をやっていない」という意味合いの物ですね。丸暗記だと大変ですので、「to不定詞は未来指向」なのだと意識して覚えるようにしましょう。
語呂合わせもありますが、似たような意味の動詞をまとめて覚える方が効率がいいと思います。 to不定詞に対して、動名詞は「確定・過去」のニュアンスがあります。finish、stop、give up、admit、deny、enjoy、practice辺りは、「それまでやっていた動作・やっている動作」に対して使うものなので、動名詞をとることも納得できると思います。 「avoidやmind、postponeはまだやってない動作に対して使うからto不定詞の方がいいんじゃ?」と思う人もいるかもしれませんが、これら「避ける」「気にする」「延期する」というのは、その動作に対して気持ちが向かっていっているわけではない、つまり「to」を使うのにふさわしくないので、動名詞しかとらないのです。 considerは、理屈に合わないので丸暗記で対処します(consider = think of なので、うしろにto doを採れない、という理屈は一応ありますが…)。
これこそ、不定詞は未来・不確定のニュアンス、動名詞は過去・確定のニュアンスということを念頭に置いて覚えるべきです。そうすれば「あれ、to doの時はどっちの訳だったっけ」と悩むことはあり得ません。 |