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武部さんの発言に思う (11/29)

 町内会長さんくらいなら適任なんだろうけど、政治家として信頼できるかどうかは別。

<耐震偽造>武部自民幹事長が冷静な対応求める(毎日)
 自民党の武部勤幹事長は26日、北海道釧路市で講演し、姉歯建築設計事務所による耐震データ偽造問題について「悪者捜しに終始するとマンション業界がつぶれ、不動産業界もまいってくる。景気がおかしくなるほどの大きな問題」と、冷静な対応の必要性を示し、さらに「安全性の問題と悪者捜しは別」と強調した。

 もしかしたら、真意は別のところにあるのかもしれない。しかし、言葉を武器にすべき政治家が、誤解を招く発言をするだけでも不用心と非難されるべきだろう。

 大きな地震が起きれば死者が出るかもしれない。仮に補償をしてもらっても生活環境を変えることを余儀なくされ、特に子どもへの影響は計り知れない。そういった点に対する想像力が、明らかに欠如している。責任を所在を曖昧に済まそうとしている、もしかしたら関係者から献金もらってるんじゃないか、と勘ぐりたくもなってくる。悪者探しを徹底的に行い、問題の原因を追及せずして、今後の安全性に対する私たちの不安は払拭できない。

 その武部氏、火消しに躍起の様子。

耐震偽装で「自民は業界寄り」批判…武部氏ら釈明躍起(読売)
 マンションなどの耐震強度偽装問題をめぐる自民党幹部らの言動に対し、「業界寄りだ」との批判が噴出し、武部幹事長らは釈明に躍起になっている。
 批判されているのは、伊藤公介・元国土庁長官が、関係する開発会社社長を問題公表前に国土交通省の担当者に引き合わせたことと、武部氏が26日の講演で「悪者捜しに終始すると、マンション業界はつぶれ、景気がおかしくなる」などと発言したことだ。
 民主党の前原代表は、武部氏の発言について「だれの目線で考えているのか」と痛烈に批判。28日には、伊藤氏の問題を徹底的に追及する考えを示した。
 伊藤氏は、中川政調会長に「住民のことを心配してやった」と釈明したという。中川氏は、事実関係が明らかになるまで、この問題での活動の自重を求めた。伊藤氏は党住宅土地調査会長を辞任する方向だ。
 武部氏も28日の名古屋市での講演で、「(強度偽装の判明は)氷山の一角ではないか。不安が広がっており、(発言は)放置していたら大変だという意味で、業界寄りなど、とんでもない」と釈明した。
 しかし、自民党の高村正彦・元外相は28日、「事前チェックで失敗したから、事後チェックを徹底的にやらないと命にかかわる。悪者捜しをしないと景気が悪くなる」と記者団に述べ、武部氏の発言を皮肉った。


 先日の発言のどこをどう読み取ったら「放置していたら大変だ」という意味になるのか、教えて欲しい。報道されていない重要な文言でもあると言うのだろうか。


 経済を何にもまして優先する戦後日本のなれの果ての姿にも見える。ただ、吉田茂にはまだ日本の復興のためというヴィジョンがあったと思うが、武部氏の発言にはそれも感じられない。政治家として、日本国民の命をどう考えるかという使命感や倫理観が、そこにはない。それは、姉歯やヒューザーなども同様。政治家が最もそういう感覚を持ち合わせるべき存在であるのは確かだが、私たち一人一人も、おのれの職責に関わる範囲で、社会に貢献すべく努力する倫理観を持たねばならない。それが愛国心というものだと、私は考えている。

 右寄り思想だろうが左寄り思想だろうが、思想に関係ない合理的思考だろうが、倫理観が基盤になっていないと足元がふらついた考えにしかならない。


そういえば (11/29)

 西村眞悟氏を支持する人の中に、彼を信じていたが故に憤る、という人をあまり見かけないのが、少し不思議に感じる。別にそうすべきと思ってる訳じゃないけど。


残念ではあるが擁護はしない (11/28)

 西村眞悟氏の話。辻元支持者のように不当逮捕などと見苦しいことは言わない。弁護士法違反という罪にとどまらず、多くの支持者の信用を裏切ったという部分も批判せねばなるまい。もちろん、ご本人が最も身にしみて感じてらっしゃることと思うが。

 拉致問題があまり知られていない頃から、氏は拉致被害者家族のために働き、拉致について取り上げてきた。座り込みの際もご家族のそばに常におられたという、もちろん一緒に座り込むことは議員としての仕事ではないというのも正論であるが、ご家族の支えになっていたということもまた事実だ。その点に関して、氏を口だけだとか民主党のガス抜き役とさげすむつもりはない、むしろ氏の果たした役割の大きさには敬意を表するし、信頼していた。

 しかし、それを理由に、「西村逮捕は北朝鮮の陰謀だ」とか「小泉の陰謀だ」とか「正論を吐く彼を狙った逮捕だ」などと言うつもりはないし、氏を擁護するつもりはない。容疑が事実であれば罪を償うべきであるし、議員辞職となっても仕方ないと考えている。氏が日本に必要な存在だと考えるからこそ、適当なけじめの付け方ではいけないと思う。
 仮に誰かの陰謀であったとしても、西村氏の何の容疑もなければ、今回の騒ぎにはならなかった。それがすべてだ。陰謀論に乗っかるとしても、付け込む隙があったのは紛れもない事実だ。

 西村氏がこのようなことになったのは、拉致問題に関して痛手、という意見を見かける。確かに、拉致問題に関して最も熱心で、最も被害者家族に近しかった議員の一人であり、私もそう思う。ただ、それに対して、残念だと思うと同時に、西村氏一人の損失を痛手と感じねばならない状況に対しても残念だと思う。拉致は日本人すべてが関心を持たねばならない事案であり、彼がいなくともすべての国会議員がその問題の解決に邁進せねばならない。彼の損失を痛手と感じるのは、他の国会議員の働きが満足いくものでないことを示している。そのような事実に対して、非常に残念だと感じる。西村眞悟一人が政界から去ろうと拉致事件の解決に影響がない、そのような状態が本来あるべき姿なのではないかと感じる。


人権担当大使を新設へ、拉致問題などの交渉を担当(読売)
 政府は26日、北朝鮮による日本人拉致問題を始めとする人権問題の交渉にあたる「人権担当大使」を新設する方針を決めた。
 米政府が8月にジェイ・レフコウィッツ元大統領副補佐官(内政問題担当)を北朝鮮の人権問題担当特使に任命したことに呼応した動きだ。拉致問題に関する国際的な連携を強化する狙いがある。


 とりあえずは歓迎したいが、拉致担当大臣を新設していただきたいというのが心からの願い。さらには、情報を一括して管理する諜報機関も設立し、北朝鮮問題も含めた情報収集・情報処理を一カ所に集中して行える状態を作って欲しい。


頼られる国日本? (11/25)

 「われわれは日本から受けている恩は決して忘れない」と、イラクのジバリ外相は語ったという(参照記事)。ネットやってる人なら多くの人がご存じだろうエルトゥールル号の逸話(知らない方はこちらをどうぞ)のように、中近東の方たちは義理堅いようだ。すぐに何か見返りがあるわけではないだろうが、我が自衛隊の方々が働かれている成果が、日本にとって大きな財産となることを期待する。

イラク債務7000億円削減 麻生氏、ジバリ外相と署名(共同)
 麻生太郎外相とイラク移行政府のジバリ外相は24日午前、外務省飯倉公館で、イラクの対日債務約76億ドル(約8890億円)の80%に当たる約61億ドル(約7100億円)を削減する合意文書に署名した。
 債務削減は、イラク復興支援の一環として昨年11月のパリクラブ(主要債権国会議)合意に沿った救済措置で、イラク側は残りの債務については23年で償還する。
 イラク復興支援の足かせだった債務問題が整理され、政府が本年度中に実施を目指す最大35億ドルの対イラク円借款再開へ向けた地ならしとなった。


 61億円の削減をどうとるかは意見が分かれるかもしれないが、感謝される相手であれば、決して高くはないと見る。幾ら援助しても感謝しない中国のODAはやめるとか、北朝鮮非難決議に反対した国への援助は減らすとか、そういう打算的な、打算という言葉を嫌うのであれば戦略的外交が、日本には足りなかった。
 まぁ戦略云々以前に、倫理観を有する相手と持たない相手では、対応を変えて当然ではある。

 で、その倫理観を全く持たない国の話。

北朝鮮、米制裁で核協議拒否マカオの資産“凍結” 日本に助け求める (中日)
 【ワシントン=共同】米国が9月にマネーロンダリング(資金洗浄)などに関与した疑いがあるとして北朝鮮関連の口座があるマカオの銀行に制裁を科したことに対し、北朝鮮が今月の第5回6カ国協議で「この問題が解決するまで核問題を議論しない」と協議を拒否していたことが18日、分かった。一方で解除に向けた対米工作を日本に要請。制裁により北朝鮮「上層部」の経済活動に大きな支障が出ていると主張したという。複数の協議筋が明らかにした。
 北朝鮮は制裁解除に向け、ヒル国務次官補と金桂冠外務次官の米朝首席代表が双方の財務、司法担当者を率いた形での協議を早急に行うよう要求。米国は「ニューヨーク・チャンネル」を通じ法的根拠を説明する考えだが、協議筋は「北朝鮮が第5回協議の早期再開に応じない恐れもある」としており、対話プロセスの阻害要因になる可能性が出てきた。
 複数の協議筋によると、金次官は協議2日目の今月10日の全体協議で、米財務省が「資金洗浄の主要懸念先」に指定したマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」の問題を提起、米国の敵対姿勢を批判し「制裁解除まで核問題を協議しない」と表明、協議は空転した。
 同日午後の日朝協議では日本代表団に「上層部が預金を引き出せない」と訴え、米国への働き掛けを求めた。別の協議筋は「北朝鮮代表団は本国から『資金洗浄問題の解決まで核問題を議論するな』との訓令を受けていた」としている。さらに北朝鮮は「制裁問題が収拾しない段階で日程調整に応じることはできない」とし協議再開日程の調整を拒否、議長声明に再開時期を盛り込むことができなかったという。
 米財務省は9月、同行が北朝鮮の政府機関や企業の資金洗浄などに関与した疑いを指摘、米金融機関との取引を禁止。この措置を機に取り付け騒ぎが起きるなど業務が混乱したため、同行はマカオ政府の管理となった。

 日本に助けを求めるたぁ舐めた真似をしやがる。というか、アメリカに締め上げられて日本を頼る…これ、日本人なら怒らなきゃいけないところ。日本は泣きつけばアメリカへの仲介役をやってくれるお人好しだ、そう思われてるわけで、それに応じる応じないの話以前に、非常に恥ずかしいことではないか。


保守 (11/25)

 うちも、「保守」系サイトというカテゴリーに入ることになるのだろうか。

 左巻きを批判すれば保守、つまり朝日新聞や日教組や一部弁護士などのような空想平和主義・人権主義の対立軸としての保守、ということであれば、それを批判することが多い私は保守ということになるのだろう。しかし、左巻きが、一般に保守の対義語とされる革新や左翼に該当するかと問われれば、それもまた違うように感じる。彼らの主張は一貫して中韓朝寄りの空想平和主義で、愛国心が前提となるはずの左翼ではあり得ない。
 
 要するに、保守の定義が私の中ではっきりしていない。確かに伝統や歴史を重視する傾向はあるかなとは思いつつも、結局は思想的カテゴライズなどどうでもいいという感覚の方が強く。仮に保守的思想の持ち主だと自認していたとしても、「保守はこうあるべき」というような言葉は恥ずかしくて口にできないだろうが。

 「真の保守は」などとおっしゃるご高説を聞いては、へへぇと平伏すより他にない。真の保守などという概念が私には分からないし、客観的なものとしてそれが存在するとは思えないからだ。主観に拠ればそういうものも存在し得るだろうが、個人的な尺度を基準にして人の意見を「これはいい、あれはだめ」などと評価するほど私は傲慢にはなれない。

 思想的には一致していても、そこから出てくる理論がおかしければ、やはり批判の対象になる。大切なのは、思想よりも思考…って当たり前の話か。勿論、或程度の倫理観と、日本という国を愛する気持ちは何よりも前提になるのだが。過去の先祖と未来の子孫にも責任感を持つ左翼ってのもあり得ると思うんだけどなぁ。

 当然、朝日の人間の意見でも、まともであれば支持する。
 皇位継承に関する有識者会議の報告書について、11月25日付朝日社説と同日第2社会面の岩井克己編集委員の論が真っ向から対立しているが、薄っぺらな男女平等意識で書かれた社説よりも、拙速な議論を避けるべきとする後者に私は概ね同意する。



 おまけ。平成59年に山一に入った未来人


やるべきことをやれば (11/24)

 「もぐら優子」という差出人名でエロ業者メールが来て、その名に不覚にもクスリときてしまった。しかし、いろいろ考えるもんだね。毎日のようにこういうメールが来ているのだが、引っかかる割合はどれほどのものなのだろうか。
 こっちとしちゃ、粛々と削除するのみ。


朝銀系信組、不良債権 整理回収機構、きょうにも貸付金と認定(産経)
総連に628億返還要求
 整理回収機構(RCC)は、「朝銀東京信用組合」など破綻(はたん)した在日朝鮮人系の十六信用組合から引き継いだ不良債権のうち、個人・団体向けの債権三百九十四件、総額六百二十八億円が実質的に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)への貸付金だったと認定し、二十二日にも朝鮮総連などを相手取り、全額返還を求める訴訟を東京地裁などに起こす。朝鮮総連をめぐっては北朝鮮への不透明な資金の流れが指摘されてきただけに、北朝鮮に対する「圧力」ともなりそうだ。 

 RCCはこれまでも預金保険機構と連携しつつ、不正融資案件二十二件(総額百二十九億円)について、旧経営陣などに対し民事・刑事両面から責任追及を続けてきたが、朝鮮総連を相手取ったケースは一件だけだった。一連の民事・刑事の判決はすべてRCC側が勝訴している。
 関係者によると、RCCでは、不良債権化した個人・団体向けの融資の流れを徹底的に解明。「迂回(うかい)」や「名義貸し」などの手口による事実上朝鮮総連向けの融資だった可能性が高いと判断した場合は、朝鮮総連に対して債務承認を求めてきた。この結果、三百九十四件については朝鮮総連から債務承認が得られたと判断し、貸付金返還請求訴訟を起こす準備を進めてきた。
 在日朝鮮人系信組は平成九年に三十八信組だっが、十六信組が破綻、十九信組が合併するなどして、現在七信組に減少した。破綻した十六信組については、RCCが二千九億円で不良債権を買い取った上、預金者保護のために、受け皿となる七信組に対し、公的資金一兆千四百四億円を投入した。RCCは今年三月までに千四百七十億円を回収したが、回収率は73・2%にすぎない。
 在日朝鮮人系信組をめぐっては、焦げ付いた融資の一部が朝鮮総連などを通じて、北朝鮮へ不正送金されたとの疑惑があり、国会でも度々追及されてきた。
 ほかにも架空・仮名口座の存在や担保価値のない物件への巨額融資など多くの疑惑が浮上しており、「公的資金投入を見込んだ計画破綻だった」との見方が今も根強い。

 時間かかったなぁ、朝銀に注入した1兆円以上と比べて628億は少なすぎるなぁ、とか不満がないわけではないが、ともかく一定の前進があったことに安堵。
 朝鮮総連に対しては、別に新しい法律を使って取り締まらずとも、現行法を厳格に適用するだけで締め付けになる。税金面で優遇されているのは有名な話だが、そういった点を「日本人並」にするだけで彼らには圧力になる。本来これは怒るべき事柄なのだが、今となっては圧力と銘打たずに圧力をかけられることを利用すべきじゃなかろうか。「圧力じゃないよ、優遇をやめただけ」と嘯きながら締め上げる良い機会だ。朝鮮総連など、叩けば叩くだけ埃が出てくる。問題は、総連を叩くかどうかという話で。日本の政治の裏舞台を覗くことになるかもしれず、総連を叩いて埃を出そうという勇気が政治家や捜査機関に必要になる。

 しかし、当たり前のことをやっただけの記事に「前進」と感じてしまう自分の思考回路も、なかなかに腹立たしいものだったりする。


 ついでに。
浜田沖・隠岐島北方 韓国船の密漁巧妙化、レーダー・漁具改造 取締船増強(産経)
 これも、きっちり取り締まる、やるべきことを粛々とやっていくしかないな。


最近、長文と短文入れ替わりだな (11/22)

 昨日長めだったので今日は短め。


「西村法律事務所」名乗る 無資格で活動、元職員を摘発 議員本人も聴取(産経)
 民主党の西村真悟衆院議員(57)=比例代表近畿ブロック=が弁護士として開いていた法律事務所の男性元職員(52)が、退職後も弁護士資格がないのに事務所長を名乗って弁護士活動を行い報酬を得ていたとして、大阪府警が弁護士法違反容疑(非弁活動)で書類送検、西村議員からも事情聴取していたことが十七日、分かった。元職員は西村議員の印鑑などを使用、報酬の一部が法律事務所に流れたとみられるが、西村議員は関与を否定したもようだ。
 調べでは、元職員は平成十三−十五年、知人の男女ら数人が被害者になった交通事故で、弁護士でないのに代理人の依頼を受け、相手側の損保会社へ賠償請求や示談交渉を行い、保険金の一部から報酬を得た疑い。
 元職員は依頼者や保険会社に、西村議員の事務所名が印刷された名刺を使い、「所長」「事務局長」などと名乗っていたという。
 西村議員事務所の説明では、西村氏と元職員は十年に知人を通じ知り合い、法律事務所の事務職員として採用。保険金請求などの事務業務で、保険金の10%にあたる報酬のうち半分を給与として渡していた。元職員が政治団体の元構成員だったことが十三年に判明し、雇用関係を終わらせたという。
 元職員は今回の事件でも弁護士としての西村氏の印鑑を使い、保険金の振込先に同事務所の口座を指定。結果的に報酬の一部を同事務所に入れていたとみられている。
 西村議員事務所の話「元職員は十三年にやめてもらった。法律事務所も事実上閉鎖し、新規依頼を受けずに残務処理を頼んでいた。その間に勝手に新規案件を受けていたようだ。(非弁護士活動の報酬の一部が事務所に入っていた可能性については)驚いている。通帳などを精査して事実関係を明らかにしたい」


 現時点では、批判も擁護もしない。おそらくは、西村氏の知らないところで動いていた話だとは思うのだが…。
 ただ、朝日のはしゃぎぶりには触れておく。昨日も社会面で紙面を大きく割いて記事にしていた。

西村真悟議員側と「報酬折半」 元職員が事務所解雇後に(朝日)
 民主党の西村真悟衆院議員(57)の弁護士事務所元職員による弁護士法違反事件で、逮捕された鈴木浩治容疑者(52)が事務所を解雇された後、残務として任された約10件とは別に不正受任した示談交渉で得た報酬を、西村議員側と折半していたことが20日、大阪地検特捜部の調べでわかった。鈴木容疑者は調べに対し、「解雇後に非弁活動(無資格の弁護士活動)をしていることを西村議員側も知っていた」と供述。特捜部は同議員側が受領したとされる報酬額の算定を急ぐとともに、鈴木容疑者の非弁活動について認識していたかどうかを慎重に捜査している。
 西村議員は18日に開いた記者会見で、「弁護士として非弁活動を容認することなどあり得ない。まったく知らなかったことだ」と関与を全面的に否定している。
 鈴木容疑者はほかの3人と共謀し、西村議員の法律事務所を解雇された後の01年2月〜04年10月、弁護士資格がないのに多数の交通事故関係者から依頼を受け、損害保険会社に対して交通事故の保険金増額を請求するなどの示談交渉を受任。依頼人に振り込ませた計約4200万円の犯罪収益を、74回にわたって別の口座に移したなどの疑いで逮捕された。
 特捜部が押収資料などを分析したところ、不正な示談交渉によって増額された保険金は、いったん大阪市中央区の銀行に開設された「預かり金口座弁護士西村真悟」という名義の口座に入金。その後、鈴木容疑者らが全額を引き出し、そこから報酬分の1割と西村議員側に渡す「手数料」を差し引いた金額を依頼人に渡していた。
 鈴木容疑者は西村議員側に「手数料」を支払った上、同議員側と報酬分の1割を折半。鈴木容疑者は自分の取り分を別の銀行口座に入れていたという。
 特捜部の調べに対し、鈴木容疑者は「西村議員から00年暮れに解雇された後、残務として任された案件以外にも不正に受任していた。西村議員側は(私が)非弁活動をしていることを知っていた」と供述。西村議員側は不正に受任した示談交渉の関係書類に目を通し、損保会社から支払われる保険金や報酬の額を確認していたという。
 この際、西村議員の弁護士印も関係書類に押されていた。
 弁護士法27条は弁護士に対し、弁護士資格がないのに法律事務をする者に自分の名義を使わせることを禁じている。

 西村氏を事件の中心人物として描き出したいという思惑が伝わってくる。他紙の記事を見ればなおさら違和感を感じる。

 確かに彼は脇が甘い。そこが魅力といえば魅力なのだが、用心深さを得た上でもっと大きな仕事をして欲しいというのが私の願い。

 ただ、民主党を批判する勢い余って「何もしていない」と評価するのはどうかと思うがな。拉致被害者家族の支えとなるべく動いている彼の行動を全否定する気には、私はなれない。
 ついでに、今回の騒ぎは西村氏を疎ましく思う小泉の陰謀だとかいう意見も見かけるが、何かそう思わせるだけの根拠があるのならともかく、推測だけで陰謀論を唱えるのは胡散臭く見える。ましてやそれを事実であるかのように述べるとなると…。自ら意見の質を落とさずとも良かろうて。


 次はこれ。

「無防備地域」宣言 国防協力を拒否? 21自治体、条例化へ署名運動(産経)

 国家防衛の方針にも逆らうようだったら、外患誘致にならないのかね。自分たちの町だけ安全ならそれでいい、という感覚は、裏返せば、他の日本人はどうなってもいい、ということ。浅ましい。

 占領されることがどういうことか分かっていない。文化も伝統も根絶の方向に進められ得るということは、今のチベットを見れば分かろうて。日韓併合を非難して「日本は朝鮮の文化を奪った!」という輩が、平気で「占領されましょう」と言う感覚は全く理解の埒外だ。また、あらゆる秩序が崩壊してしまう可能性があるのが戦争。無防備宣言していることを理解してくれる国に占領されるとは限らない。
 一度、ラオウ様に「笑ってみろ!」と叱られねば分からんか。ガンディーの非暴力は、不服従という不屈の精神に支えられていたものなのだが、彼らの非暴力は、人としての矜恃を失った奴隷の平和そのもの。人として軽蔑の対象にしかならない。当然、侵略してくる敵国も、軽蔑しつつ嬉々として占領することになろう。


 最後はこの話。

皇位継承、長子優先 内親王は宮家創設へ 有識者会議、24日最終報告(産経)

 八方手を尽くして、それでもうまくいかない場合は、女系天皇も当然考慮すべきだとは思う。しかし、少なくとも1500年以上の伝統を覆すことになる、それに対する懊悩や苦しみや畏れや申し訳なさが、この有識者会議からはほとんど感じられない。


小泉首相をどうしても孤立させたい朝日 (11/21)

 拉致問題に関する10の質問への回答、設問2の回答番号を間違えておりました。付記した文章を読んでいただければ分かるとおり、1ではなく3です。しょうもないミスを犯したことをお詫びし、訂正させていただきます。


 APECの首脳会談、その際に我が国の総理は盧武鉉と会談したのだが、ほとんどが靖国や歴史問題についての話だったらしい。他の話に時間を割かないと言うことは、あんまり深刻な問題は無いってことでいいんですかね。だったらいい関係なんじゃねーの?
 韓国が、日韓協約の内容を無視して「個人賠償は求め続ける」とのたまったことなどは、他のサイトにお任せして、私は朝日の方に注目。中国や韓国の援護射撃をしているつもりらしく、鼻息が荒い。

(小泉外交)取り繕えぬ靖国の影(11/20付朝日新聞社説)
 小泉首相にとって気の重い韓国訪問だったのではないか。韓国の盧武鉉大統領とは短い会談を持てたが、中国の胡錦涛主席とは会えずじまい。冷たい関係は深刻さを増している。
 韓国・釜山で開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が閉幕した。
 年に1回、21の国と地域から首脳が集まり、貿易・投資の自由化や経済の活性化を話し合う。今回は、じわじわと広がる鳥インフルエンザの脅威への対策で合意した。
 この集まりは、会議の合間に2国間の首脳会談を開いて意思疎通を図る、貴重な外交の場でもある。
 盧武鉉大統領との会談は、先月、首相が靖国神社に就任以来5回目の参拝をしてから初の顔合わせだった。予想通り、厳しいやりとりがあった。
 日本政府によれば、「韓国に対する挑戦」と靖国参拝に強い不快感を示した大統領に対し、首相は参拝に込める思いを改めて説明した。だが、大統領はにべもなかった。「いくら首相の考えを善意に解釈しようとしても、韓国民は絶対に受け入れることはできないだろう」
 靖国問題でのやりとりに時間を取られ、年内までにと日本側が働きかけている大統領の訪日について、正式に招請することもできなかった。
 中国との間では、4年にわたって首脳同士の相互訪問が途絶えている。首相はAPECなどの国際会議の際に会談できているから問題ないと主張してきたが、今回はそれさえ実現しなかった。外相会談もなかった。
 せっかくのAPECなのに、これは深刻な事態というほかない。
 首相は、胡主席ら首脳がそろった席で、日中関係に触れ「心配している国があるかもしれないが、全く心配はいらない。自分は日中関係を重視している」と発言した。その言葉にうなずいた首脳がいったい何人いただろうか。
 締めくくりの記者会見で、首相は「一つの問題があるから(といって)、全体の関係を損なうようなことにはしない」と述べた。ならば、と中韓両国は言い返したいのではないか。首相も靖国参拝という一つのことに固執せず、全体を見たらいかがかと。
 それを一方的に突き放して、果たして外交は成り立つのか疑問である。ましてこの「一つの問題」は、首相自らが作り出したものだ。自分が決断すれば取り除ける問題である。
 日本と中韓の間がここまでこじれてしまっては、周辺の東南アジア諸国なども懸念を抱かざるを得ない。
 来月には東南アジア諸国連合と日中韓3カ国との首脳会議がマレーシアで開かれる。共同体づくりも視野に入れた初の東アジアサミットもある。
 世界の成長センターと言われるこの地域の将来図を描こうというときに、大きなマイナスになるのは間違いない。

 いきなり「小泉首相にとって気の重い韓国訪問だったのではないか」と勝手な妄想からスタートしているのはさておき、まず気になったのがこの部分。

 日本政府によれば、「韓国に対する挑戦」と靖国参拝に強い不快感を示した大統領に対し、首相は参拝に込める思いを改めて説明した。だが、大統領はにべもなかった。「いくら首相の考えを善意に解釈しようとしても、韓国民は絶対に受け入れることはできないだろう」 

 朝日社説では、盧武鉉は靖国参拝のみに関して「韓国への挑戦」「韓国民は受け入れない」と発言したかのように読める。しかし、メディアの記事に当たると、どうもそうではないようだ。産経と朝日、毎日の該当記事を載せてみる。(ちなみに読売はこちら。今回の検証には不適だったので引用はしない)

日韓首脳会談平行線 大統領「靖国は韓国への挑戦」 首相「戦争の美化ではない」(産経)
 【釜山=阿比留瑠比】小泉純一郎首相は十八日夕、釜山市内の会議場で韓国の盧武鉉大統領と会談した。大統領は(1)首相の靖国神社参拝(2)歴史教科書(3)竹島問題−の三点について、「韓国への挑戦でもあり、日本が過去に戻るのではとの懸念がある」と指摘。これに対し、首相は「靖国参拝は戦争の美化、正当化では決してない。誤解だ」と反論し、両首脳の主張は平行線をたどった。北朝鮮問題では、日米韓三カ国が協力して平和的解決を目指すことで一致。大統領は日朝国交正常化にも言及したが、首相は「拉致問題の解決が重要だ」と応じた。
 会談で、
大統領は靖国参拝問題など歴史認識問題について「韓国民は決して受け入れることはできない。ぜひとも解決する必要がある」と強調した。ただ「過去についてこれ以上の謝罪や国としての賠償を求めてはいない」とも述べた。靖国神社とは別の国立・無宗教の追悼施設建設については触れなかった。(前半抜粋)

靖国参拝は「韓国への挑戦」 日韓首脳会談、溝埋まらず(朝日)
 首脳会談は6月のソウル以来。約30分間の会談の半分を歴史問題に費やした。日本側の説明では、盧大統領は「首相の靖国参拝や最近の多数の政治家による参拝は韓国に対する挑戦でもあり、日本が過去に戻るのではないかとの懸念がある」と強い調子で批判した。
 (中略)
 大統領は、前回の首脳会談で新たな追悼施設建設の検討を進めるよう要請したが、今回はこの話題に触れなかった。逆に前回会談で言及しなかった竹島(韓国名・独島(トクト))領有権問題を、靖国参拝や歴史教育問題とともに取り上げた。韓国側の説明では、大統領は
この3点について「いくら小泉首相の考えを善意に解釈しようとしても、韓国国民は絶対に受け入れることはできないだろう」と述べた(一部抜粋)

<日韓首脳会談>靖国など平行線 12月の大統領訪日触れず(毎日)
◆小泉純一郎首相と韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の会談要旨は次の通り。
 <歴史認識など>
 大統領 韓国国民の持っている考えを日本国民に伝えたい。韓国はこれ以上の謝罪を日本に要求しない。個人に対する賠償は別にして国家としての賠償を求めていない。ただし、
靖国神社参拝、歴史教科書、独島(竹島の韓国名)問題に対する日本の主張は受け入れられない。首相や多数の政治家が靖国参拝を繰り返すのは韓国に対する挑戦で、日本が過去に戻るのではないかとの懸念がある。韓国国民の考え方を理解してほしい。
 首相 大統領の率直な意見に感謝する。靖国神社参拝は過去の栄光や戦争の美化、正当化だというのは誤解だ。決してそうではない。過去の戦争を反省し、二度と戦争をしない決意だ。同時に心ならずも戦争に赴いて命を失った人々の犠牲の上に今日の平和がある。私はそういう戦没者に対する哀悼の念から参拝している。
 大統領 どんなに首相の考えを良い意味に解釈しようとしても、
わが国民たちは決して受け入れることはできないだろう。(一部抜粋)

 まとめるとこんな感じ。

朝日 産経 毎日
「韓国に対する挑戦」 靖国参拝 靖国・歴史・竹島 靖国参拝
「国民は受け入れられない」 靖国・歴史・竹島 靖国参拝など歴史問題 靖国・歴史・竹島


 「韓国に対する挑戦」という言葉が、靖国参拝にだけかかっているのか他の問題にもかかっているのかについては、見解が分かれている。しかし、少なくとも「韓国の国民は受け入れられない」という言葉は、靖国のみならず歴史問題や竹島問題にも掛かっていくという点については、3紙はほぼ一致していると言ってよかろう。

 となると、朝日の社説には問題がある。

 日本政府によれば、「韓国に対する挑戦」と靖国参拝に強い不快感を示した大統領に対し、首相は参拝に込める思いを改めて説明した。だが、大統領はにべもなかった。「いくら首相の考えを善意に解釈しようとしても、韓国民は絶対に受け入れることはできないだろう」

 「韓国民が受け入れられないだろう」という文言で盧武鉉が言及するのは靖国参拝だけでなく、歴史教科書問題や、さらには竹島の問題にも及んでいる。つまり、盧武鉉が述べたのは、「靖国も歴史も竹島も、韓国民の言うとおりに譲歩しろ」ということである。
 しかし朝日社説は、それを靖国問題に一点集中させている。「竹島を寄越せ」という傍若無人な物言いをしたことを隠蔽しているように思われるが、穿ちすぎな見方だろうか。竹島に関しては、韓国には全く理はない。国際司法裁判所へ出向こうともしないのがその最たる証拠であろう。思うに、朝日としても、竹島の話を出すと盧武鉉の分が悪くなると思ったのではないか。

 まぁ、「韓国への挑戦」についてはこんな話もあるのだが。
日本の説明「事実と違う」=首脳会談の発言−韓国政府(時事)
 【釜山19日時事】韓国の青瓦台(大統領官邸)関係者は19日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて18日に釜山で行われた日韓首脳会談をめぐって、盧武鉉大統領が小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、「韓国に対する挑戦でもあり、日本が過去に戻るのではないかという懸念がある」と語ったと日本側が説明したことに対し、「事実と異なる」と反論した。

 事実がどうなのかは分からない。しかし、朝日社説子が、自社の記事すら歪曲して社説をものしたことを、今回は問題にしたい。


 今回の朝日社説、もう一つ問題にしたい点がある。

 首相は、胡主席ら首脳がそろった席で、日中関係に触れ「心配している国があるかもしれないが、全く心配はいらない。自分は日中関係を重視している」と発言した。その言葉にうなずいた首脳がいったい何人いただろうか。

 小泉総理が総スカン食らったかのような記事だが、こんな話もある。

小泉首相:独自の「日中友好論」展開 APEC全体会議(毎日)
 【釜山・伊藤智永】アジア太平洋経済協力会議(APEC)の21カ国・地域の首脳がそろった18日の全体会議で、小泉純一郎首相は議題と関係なく独自の「日中友好論」を展開した。中国に胡錦濤国家主席との会談を断られたが、胡主席も列席する国際会議の場で、一方的に自分の立場を主張してしまう政治パフォーマンスだった。
 「全体会合で、皆の聞いてる前で、私が発言したんだ」。18日夜、同行記者団が盧武鉉(ノムヒョン)韓国大統領と会談した感触を尋ねたところ、小泉首相は質問をよそに、全体会議での発言について約10分間、身ぶりを交えて熱弁を振るった。
 米中タイ3カ国の冒頭発言後、各国数分ずつ順に発言。小泉首相は議題の経済問題を外れ、唐突に日中関係を論じた。
 「一つの意見の違いとか対立で、全体の友好関係を阻害してはならない。中国、韓国と政治的首脳の交流は途絶えているが、他の関係は良好だ。どんなに批判しても結構だ。私は何らわだかまりを持ってない」
 ブッシュ米大統領、プーチン露大統領の来日について紹介。ペルーのトレド大統領と「フジモリ問題」があっても握手したことなど、円卓を囲む各首脳との関係を引き合いに持説を強調。中国の会談拒否を当てこするかのような論法だったが、会議後、何人かの首脳から「いい話だった」と声を掛けられたという
 胡主席は反論できず、議長の盧大統領も聞き役に回るしかない状況。小泉首相は記者団に「してやったり」の表情で高揚感を隠さなかった。2日間にわたるAPEC首脳会議の全体4時間半のうち、小泉首相が発言したのは、この時と鳥インフルエンザ対策を述べた2度だけで、計10分足らず。「日中友好演説」が、APEC外交のハイライトだった。
毎日新聞 2005年11月19日 18時19分 (最終更新時間 11月19日 20時18分)
(なお、翌20日の東京朝刊の記事だと、後半部分がごっそり削られているようだ。今日の文章の最後に、その記事を引用しておく)

 まったく印象が変わる。ちなみに、朝日新聞は20日付朝刊で「孤立する小泉流」との見出しで、以下のような記事を書いている。

 【釜山(韓国)=栗原太郎、山根祐作】釜山で開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が19日閉幕した。小泉首相は対米関係最優先の姿勢を貫いたが、中韓両国との溝は一歩も埋まらなかった。一方、中国は地域での存在感を高め、1ヶ月後の東アジアサミットで一層の影響力拡大を狙う。首相が「小泉流」にこだわるだけで、中国と対等に渡り合えるのか。
(中略)
 首相は18日の首脳会合でも、話題を中韓との関係にふって「全く心配はいらない」と発言。韓国政府関係者は「突然、アジアの国々やペルーとの仲は問題ない、などと名指しして言い始めたので、あっけにとられた」。
(以下略)


 韓国以外の関係者がどういう反応だったのか、全く記していない。朝日の記事を見ていると、日本はアジアの中で孤立し、中国がアジアの盟主としての指導力を発揮しつつあるように見えてくる。確かに中国がアジアの覇権を握るべく動いているのは確かなのだろうが、朝日記事では覇権国家としての中国の恐ろしさは全く伝わってこない。一応、中国の軍事力に対して懸念するカナダのマーティン首相の言葉を引用してはいるが、それも記事の最後。それどころか別の部分では「大国主義との視線の一掃に必死」という書き方をしており、中国脅威論は言いがかりであるかのような印象すら与えている。


 中国や韓国との関係を良好にするには、靖国問題や歴史問題で譲歩すればよいのか。そうではない。むしろ、相手の要求に取り合わずこちらの意志を貫くことで、外交カードとしての靖国問題・歴史問題を無効化することが必要だ。靖国に関して、たとえばA級戦犯の分祀を行えば、次はB・C級戦犯も分祀しろと中国は言ってくるだろうし、総理大臣の参拝をやめれば次は他の閣僚もやめろと言ってくるだろう、さらにはすべての国会議員の参拝を批判してくるかもしれない。今は確かに中韓は歴史認識などで文句を言ってくるが、外交的に意味がないとなれば少なくとも中国はこの話を外交カードとして使うことをやめるだろう。韓国は分からんが。

 だいたい、中韓に譲歩することがすなわち友好というわけではあるまい。「アメリカに対して物言わない日本」というものに批判の舌鋒鋭いメディアや評論家ほど、中韓に対して物言う日本の姿を批判するのはどういうわけだろうか。



 参考:20日毎日東京朝刊の記事
小泉首相:全体会議で「日中友好論」 唐突発言、中韓は反論できず−−APECで(毎日)
◇APECでもサプライズ
 【釜山・伊藤智永】アジア太平洋経済協力会議(APEC)の21カ国・地域の首脳がそろった18日の全体会議で、小泉純一郎首相は議題と関係なく独自の「日中友好論」を展開した。中国に胡錦濤国家主席との会談を断られたが、胡主席も列席する場で、一方的に自分の立場を主張してしまう政治パフォーマンスだった。
 「皆の聞いてる前で、私が発言したんだ」。18日夜、同行記者団が盧武鉉(ノムヒョン)韓国大統領と会談した感触を尋ねたところ、小泉首相は質問をよそに、全体会議での発言について約10分間、熱弁を振るった。
 米中タイ3カ国の冒頭発言後、各国数分ずつ順に発言。小泉首相は議題の経済問題を外れ、唐突に日中関係を論じた。
 「一つの意見の違いとか対立で全体の友好関係を阻害してはならない。中国、韓国と政治的首脳の交流は途絶えているが、他の関係は良好だ。どんなに批判しても結構。私は何らわだかまりを持ってない」
 ブッシュ米大統領、プーチン露大統領の来日など、円卓を囲む各首脳との関係を引き合いに持説を強調。中国の会談拒否を当てこするかのような論法だったが、胡主席は反論できず、議長の盧大統領も聞き役に回るしかない状況。小泉首相は記者団に「してやったり」の表情だった。
毎日新聞 2005年11月20日 東京朝刊


人権担当大使 (11/18)

北朝鮮人権担当大使を検討へ 安倍官房長官(電脳補完録)
 安倍官房長官は、17日開かれた衆議院の拉致問題特別委員会で、国連人権委員会などの場で、拉致事件をはじめとする北朝鮮の人権問題を専門的に扱う大使などの担当者を新たに設けることも検討する考えを示しました。
アメリカ政府は、北朝鮮の人権問題を担当する大統領特使のポストを新たに設け、ことし8月、ホワイトハウスで内政担当の次席補佐官だったジェイ・レフコウィッツ氏が初めての特使に就任しました。これに関連して、安倍官房長官は17日の特別委員会で「政府は、北朝鮮の人権状況に大きな関心を払ってきた。今後も、国連人権委員会や各国との協議の場で北朝鮮による人権問題を提起していきたい」と述べました。そのうえで、安倍官房長官は今後の取り組みについて、「拉致事件の解決を含む北朝鮮の人権状況の改善に向けて効果的な方策を検討したい。アメリカで新たに任命された大統領特使の活動状況を参考にしながら検討したい」と述べ、北朝鮮の人権問題を専門的に扱う大使などの担当者を新たに設けることも検討する考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/2005/11/17/d20051117000146.html


 北朝鮮の人権問題を国際的な批判対象に据え、その中心に拉致問題を置けば、経済制裁を行うにしろ仮に北朝鮮の体制転換を目論むにしろ、仕事がやりやすくなる。北朝鮮への「人権状況改善の圧力」は、そのまま金正日体制への揺さぶりにもなる。最終的には、拉致の全面解決と金体制の崩壊はセット。となれば、拉致の解決と北朝鮮の人権問題の解決も、セットと言える。気をつけねばならないのは、人権への意識が走りすぎて、北朝鮮への援助を行おうという動きになってしまうことであり、それを防ぐためにも「いかに援助が無意味か」「いかに金体制が非道か」を、日本が率先して世界に知らしめ続ける必要があろう。そして何より、日本国内にいるエセ人権屋に利用されないように気をつける必要もある。

 早く、拉致担当の大臣も置いて欲しい。特定失踪者の情報、拉致被害者の情報、拉致被害者救出のプラン作成など、一カ所に情報が集中し専門的に戦略を練られる場所を作ってほしい。拉致事件解決への意欲も、示すことができる。

 なお、「人権を利用せよ」という私の意見に違和感を感じる向きもあるだろう。個人的感情を言えば、北朝鮮の人民も金正日体制の犠牲者であり、彼らの元に自由が訪れればよいと考えている。そして、拉致事件の解決と人権問題の解決は密接にリンクしており、拉致が解決するような状況はすなわち人権問題が解決する状況となる可能性は極めて高いと思っている。しかし、あくまでも日本人拉致被害者を救うことが一義的目的であって、北朝鮮の人権問題解決は副次的なものと考えるべきだと思う。勇ましい言葉を使ってしまえば、北朝鮮との対峙は火のない戦争に他ならず、日本人を救うためには北朝鮮の人間を見捨てねばならない場面もあるだろうというのは覚悟せねばならないと思うからだ。


 「善ポコのタコ部屋」さん11/17エントリーにて、「拉致問題解決に対する立ち位置・主張を伝える為の 10 個の質問」に回答した方へのリンクを載せておられる。自分と違う意見でも、幾らかは自分に足りない考えが示されているはず。多くの方の意見を参考にして、あらゆる可能性を考えられるようにしたい。


殺人の理由 (11/17)

<岡崎女子大生殺人>被告の心理鑑定申請 名古屋地裁初公判(毎日)
 愛知県岡崎市で02年6月、同市に住む大学生、下村麻由美さん(当時19歳)を刺殺したとして、殺人の罪に問われた同市内の短大1年の男(20)=事件当時、高校3年の17歳=の初公判が16日、名古屋地裁岡崎支部(堀毅彦裁判長)であった。被告は起訴事実を「間違いありません」と認めた。弁護側は動機の解明を進めるため心理鑑定を申請した。
 冒頭陳述で検察側は、事件の動機について「(被告は)人を殺すという普通の人ではできないことをすれば自身の弱い性格を直すことができ、自信がつくと思った」と指摘。当時17歳の少年が「人を殺してみたかった」との動機で女性を殺害した愛知県豊川市の事件(00年)や、同じ17歳による西鉄バスジャック事件(00年)を思い出し、今回の事件を起こしたという。
 また、面識のない若い女性を狙ったことに関しては「夜に出歩いているのは男と遊んでいると思い、そういう女性を軽べつしていたからだ」とした。被告は普段、平日の夜に出歩くことがないことから、「事件は両親に怪しまれない土日にしようと思っていた」などとも話しているという。
 さらに、被告は小学校高学年の時のいじめなどで友人が一人もいない生活を送っていた上、進路についても家族に相談出来ず、悩みを募らせていた。こうした悩みを自身で解決出来ない意思の弱さに自己嫌悪を抱いていたという。
 起訴状によると、被告は02年6月23日午後8時15分ごろ、岡崎市福岡町の路上で、自転車で帰宅途中の下村さんを襲い、刃物で胸や背中をなどを刺して殺害した。愛知県警が現場に残されたサンダルから採取したDNA型を鑑定するなどし、事件発生から3年2カ月後の今年8月、短大生を殺人容疑で逮捕した。


 「自信を付けたい」→「普通の人はできないことをすればいい」→「人を殺す」という、実にアクロバティックな思考。人を殺すほどの覚悟が持てたのならば、他に幾らでも自信を得られる行動はあろうに。普通の人がしないことと考えて「人を殺す」ことしか思い浮かばない発想の貧困さよ。で、自信が持てたのかね。進路に悩み相談できないことに自己嫌悪を感じるのに殺人を犯したことに自己嫌悪を感じない辺り、ただの言い訳なのか、頭が完全にイカれてるのか。
 また、こんな論理的思考のカケラも無いような頭の持ち主が、(短大ではあれど)大学に行けてしまうということから、日本の高等教育の裾野は広すぎやしないか、ということにも思いが至る。大学に進む人数が多すぎ。

 「夜に出歩く」→「男と遊んでいる」という考え方も、犯人の思考範囲の狭さを示している。要するに、夜に出歩くには様々な理由があり得ると言うことすら想像できないバカガキってことだ。当時高校生でそれくらいの想像力もなかったこともアホだし、それだけの常識無い子どもに育ててしまった親の責任も当然問われねばなるまい。

 こんな理不尽な話で死なねばならなかった被害者のことを思うと、いたたまれない。

 んで、偶然見つけた記事に、似たような思考回路の人間がいた。

レノン殺害「どうにも止まらなかった」=犯人が動機詳述(時事)
 【ニューヨーク15日】1980年にニューヨークで起きた元ビートルズ、ジョン・レノンの射殺事件から12月8日でちょうど25年。殺害犯のマーク・チャップマン受刑者(50)は、NBCテレビが近日放映するドキュメンタリー番組の中で、「レノン殺害は自分の人格を見出す上で、止めることのできないミッションだった」などと、犯行の動機を生々しく語っている。
 チャッマン受刑者は25年前、ニューヨーク・マンハッタンのダコタ・ビル前で、銃の引き金を5回引いてレノンを撃ち、絶命させた。

 「自分の人格を見出す上で止めることのできないミッション」。自信を付けるために人を殺さねば、という思考と似ている。

 岡崎の事件に戻るが、動機の解明はやはりしっかり進めていただきたい。精神鑑定の結果無罪になったなどというのはご免だし、家庭環境やあまつさえ学歴社会などに責任転嫁するようなことは望まない。しかし、同じようなキチガイを生み出さないために、学校や家庭で何が必要なのかを提示するような裁判にして欲しいし、取材するジャーナリストはその辺りを分析して欲しい。この犯人に対しては死刑にしても構わないと思うが、彼個人の刑をどうこうするという次元にとどまらない、有意義な何かが得られる裁判であってほしい。


 おまけ。
<北京五輪>先日発表された商品人形、早くも横流し品登場(毎日)
 【北京・大谷麻由美】先日発表されたばかりの08年北京五輪のマスコットキャラクターの横流し品が、早くも北京の有名な偽ブランド店「新秀水街」に現れた。北京紙「新京報」が報じた。キャラクター発表からわずか3日後に横流し品が発覚したことを重視した北京市朝陽区工商分局は、五輪商標権の保護強化を目指して、新秀水街に職員を常駐させて監視に当たらせている。

 さすが中国人、仕事が速い。
 「ドーピング 中国で横行 五輪控え勝利至上主義過熱(産経)」なんてニュースもあったし、まともなオリンピックになるのだろうか。ま、中国が世界中に赤っ恥を晒すのも一興だが。「台湾の独立のタイムリミット」くらいしか開催の意義はないんじゃないか。


細切れ世迷い言 (11/15)

 明日はうちの地区が停電になるようで、更新はできませんのでご了承下さい。


 さて、昨日はかなりの長文(当社比)だったので、今日は軽い話から。

国内で市販の韓国産キムチから回虫の卵…厚労省発表(読売)
 厚生労働省は14日、「国内で市販されていた韓国産キムチから回虫の卵2個が見つかった」との報告が東京医科歯科大の研究チームからあったと発表した。
 同省輸入食品安全対策室によると、10月中旬ごろ輸入された400グラム入りパック1個を研究チームが購入して調べたところ、卵が見つかった。ブタ回虫かヒト回虫の卵とみられるが、食べても人体に影響はないという。
 韓国と中国でキムチから寄生虫卵が検出されたことから、同省は10月下旬以降、検疫所で輸入時に抜き取り検査などを行っているが、この検査では寄生虫卵は見つかっていない。

 栄養満点の卵入りキムチ、人体に影響ないから問題なし……とは言えんだろ。虫の卵付きキムチ。まぁ家の畑で取れた野菜には虫の死骸などがついているもんだから「虫の卵」自体にそれほど嫌悪感があるわけじゃないが、寄生虫の卵だもんなぁ。やっぱり気持ち悪い。
 卵だから、通風の人は食べない方がよろしいでしょう。

 しかし、「1個を研究チームが購入して」とあるが、つまりは的中率100%ってことですな。かなりの割合で「寄生虫の卵入りキムチ」が売られていることになりはしまいか。

 ちなみに、寄生虫をお腹の中に飼っていると花粉症にならない、なんて話を聞いたことがある。花粉症の方は、一度お試しあれ。


 お次はこれ。
板橋区:「障害」→「障がい」へ 区文書や組織名など−−来年から /東京(毎日)
 板橋区は11日、来年1月から区が作成する文書で、障害者など人にかかわるものは「障害」ではなく「障がい」とすると発表した。組織名の「障害者福祉課」も、「障がい者福祉課」に改める。都内では町田市や多摩市が実施しており、23区では初めて。
 「害」の字に「そこなうこと」「わざわい」など否定的な意味があることから、区は人権尊重の観点から改めることにした、と説明する。区の条例・規則に150件程度の該当部分があるが、こちらも順次改定する。

 無用な気遣いとしか私には思えない。実際の障碍者の方々がそれを求めておられるなら、口出しすることではないのだが…。
 「『害』の字に否定的な意味がある」と言うが、「障」の字にも否定的意味合いがある。言葉狩りや平仮名化(子供を子どもと書くような)の是非はさておいても、「しょうがい者」にしなければつじつまが合わないだろうに。というか、平仮名にしたからといって言葉の持つニュアンスが変化することも無かろう、日本人の頭の中では、音を聞いた瞬間に漢字への変換を行い、それによって意味を理解するのだから(音を聞いただけで意味が理解できるのは、ほぼ大和言葉に限られる。「キシャノキシャハキシャデキシャシタ」なんてのは有名な例ですな)
 漢字の語源まで辿って否定的意味を探り出すと、きりがないんだけどなぁ。



 最後に。
<横田めぐみさん>突然の失跡から28年 親友も待ち続け…(毎日)

 私が生まれた頃の事件が未だに解決されていないという事実、そのことは当然普段から認識していることなのだが、それでも改めて考えると、その時間の長さにやるせなさや憤りがないまぜになった感情を抱かざるを得ない。


拉致問題に関する10の質問 (11/14)

 善ポコのタコ部屋さんが、「拉致問題解決に対する立ち位置・主張を伝える為の 10 個の質問」というエントリーを立てられ、拉致問題へのスタンスを問う質問を列挙されている。志を同じくする方の案に応えるため、そして自分の立ち位置を確認してみるという意味も込め、私も回答してみた。回答を通して自分の主張の不足部分、問題点も見えてきたため、良い経験になったと感じている。


1. 拉致被害者家族会が北朝鮮への経済制裁を訴える事に違和感を感じる。
1 とても違和感を感じる。
2 違和感を感じない事も無いが、心情は理解出来る。
3 この様な主張を行うのはある意味当たり前である。
4 拉致を解決できず、(経済)制裁が出来ないのは、私たちの力が足りないからである。申し訳ないと思う。
5 その他。
(#ご家族に対して、どれだけその心情を汲み取り、感情移入しているか?)


 私の回答:3
 2と3の間かな、という感じ。違和感というのも、「本来このようなことは被害者家族が訴えることではない」という感覚であり、どちらかというと、ご家族の訴えに対して反応しない政府の方に違和感を感じるといった方が正確か。
 4についてだが、「申し訳ない」という感情はあるのだが、「私の力が足りないから」と言い切れるほどの行動を取れていない私が、このような言葉を述べるのは傲慢だろう。

 経済制裁自体について述べておくと、もはや「経済制裁するぞ」という脅しにすら制裁カードは使えないような気がしてきた。今まで、あまりにも制裁について言及し無さ過ぎで、今更脅しに使っても現実味に乏しい。もはや、実際に行使するしかカードとしての使い道はないのではないか。経済制裁解除のために北朝鮮が交渉してくるような状況を作り出すためであれば、経済制裁の外交カードとしての利用価値は残っていると思う。
 また、表の金の流れを止めると同時に、裏の金の流れ(パチンコ屋への正当な課税など「制裁」と銘打たなくとも可能な方法はあろう)も締められれば、効果がないわけではない。また、北に援助する中国や韓国とて、いつまでも援助し続けることは負担になるだろうから、制裁をすることによって中韓が何らかの働きかけをする可能性もある。
 さらに、北朝鮮へ対する国際世論の変化にあって、日本が「拉致事件に対する」経済制裁を行うことが、日本のイニシアティヴを確保するのに有効な手段であると考える。日本が率先して行動せずに、他国の支持を集められるはずがないし、協力など仰げようはずもない。


2. 例え拉致問題が解決しなくとも、今後、同じ出来事が自分の身に降り掛かるとは思えない。
1 現実的に考えて、自分の身に降り掛かるとはとても思えない。今日において北朝鮮による拉致が明るみになった以上、迂闊に工作活動を行う事は出来ないと考える。
2 何とも言えない。
3 自分の身に降り掛かる可能性は十分にある。拉致に関わった北朝鮮工作員が、処罰される事無く現在も日本社会において根を下ろしている現状を考えるべき。
4 その他。
(#拉致問題を、どれだけ身近なものとして捉えているか?)


 私の回答:3(11/20訂正)
 これまでも当欄で書いてきたとおり、「拉致事件を解決できない日本」という結果を残すことは、「日本は自国の主権問題も解決できない国」と示すことになってしまう。これは、北朝鮮が工作活動・拉致を継続する可能性を高めるだけでなく、(具体的にどの国というわけではなく)他の国が今後そういった行為を行う可能性を高めると言える。ましてや朝鮮総連は存在したまま、土台人や工作員の問題も何ら解決していない。拉致問題の解決は、今現在の被害者を救出するという話であるのみならず、未来の被害者を生まないようにするという話でもあると認識すべきではなかろうか。
 なお、拉致問題への関心を広げるには、「この問題を放置すると自分の子供がさらわれる可能性がある」と認識させ、決して他人事ではないと考えてもらうことが有効ではないかと思っている。なんだか不安を煽るようなやり方だし、自己利益に結びつける嫌らしさは感じるが、所詮は他人事と考える人には必要な言説ではないだろうか。


3. 小泉政権による対拉致問題への取り組みは、生ぬるいと考える。
1 生ぬるいと考える。拉致被害者に残された時間はそう長くは無い事を踏まえるべき。
2 何とも言えない。
3 生ぬるいとは考えられない。多少時間が掛かっても、着々と地に足の付いた取り組みを行うべき。
4 その他。
(#拉致問題に取り組むにあたり、急進的な思考に立脚した論考を積極的に行うスタンスにあるかどうか。)


 私の回答:1
 確かに拉致被害者5人を帰国させたというのは功績だと認める。しかし、その後、事態が進展していないのは事実。拉致被害者を救出することが現在困難だとしても、そのための準備すら遅々として進んでいない。自衛隊を北朝鮮に送る方法も、実際に送るかどうかは措いたとして、そうした法律を整備しておくだけでも圧力にできように。イラクに復興支援とはいえ自衛隊を派遣するよりも、自国民の救出に当てる方がよっぽど現行憲法の枠内に収まる話だと思うのだが。郵政のように、国民に訴えて支持を集めてくださいよ。


4. 小泉政権による対拉致問題への取り組みが、拉致問題の解決へ大きく寄与していると考える。
1 寄与していると考える。
2 何とも言えない。
3 寄与しているとは考えられない。
4 その他。
(#政府の取り組みに対して、どれだけ信頼を置いているか?)


 私の回答:4
 北朝鮮問題を動かした首相として「全く寄与していない」とは言えない。しかし「大きく」寄与しているとも思わない。理由は、設問3にも書いたとおり。
 ただ、飢餓にあえいで日本の支援を当てにしていた2002年当時の北朝鮮の状況を考えると、小泉首相でなくとも5人を帰国させていたとは思う。


5. 国際社会における米国との連携が、拉致問題の解決へ大きく寄与していると考える。
1 米国と連携した北朝鮮への締め付けが、今後の拉致問題の進展に大きく寄与していく。
2 逆効果、中韓と連携して融和政策を取るべき。
3 法整備も含め、日本単独で解決する道を探るべき。
4 その他。
(#他国との連携のあり方をどう考えるか?)


 私の回答:3→1
 1と3ではなく、あくまで3を前提とした上で、1の手段を執るべき、という考え。
 日本が自力で解決するにしても、「黙認、支持、協力」のうちの「支持」までは取り付けておきたいところで、とりわけ超大国アメリカの動向は他の国々にも大きな影響を与えるため、アメリカとの連携は必須。また、拉致事件の解決という観点で考えれば、他国の協力を得て解決という選択肢は捨てるべきではない。もちろん、利益を度外視して友情だけで日本のために動いてくれる国があるはずもなく、日本が単独で動けるような状況を作らねばならないのは言うまでもないが。利用できるものは利用するという強かさが欲しいんだけどね。

 設問は、回答に合わせて「寄与していくと考える」にした方がいいんじゃないかなぁ。


6. 北朝鮮問題は日本の安全保障としての核の問題が第一優先事項。ここで対応を間違うと数千万人の単位で被害が出るから。数十人、最大でも数百人の拉致被害は優先順位では二番目だ。
1 冷酷だがその通り。もちろん拉致被害者には同情するし解決して欲しいと思うけど…。
2 何とも言えない。
3 反対。核の脅しに屈して妥協することは北朝鮮の狙いにはまることでしかない。国家の尊厳を失うことは国家としての自殺なのだ。
4 その他。
(#現実主義的思考の度合いは?)


 私の回答:3
 国家の尊厳を失うくらいならば何千万人死のうが構わない、というような「破滅の美学」にとらわれた考えは持たないが、核の危険性ならば北朝鮮という存在が無くとも既に中国によって脅かされた状態。今更ビビることでもあるまい。北朝鮮の核が全く危険性を持たないわけではないが、北朝鮮が核で攻撃すれば日米安保条約に抵触するし、何よりも日本の自衛権発動の理由となる。北がミサイル攻撃すれば毅然とした対応をとるということを明確にしておけば、北が攻撃してくる可能性は非常に少ないだろう(ゼロと言い切ることはできないが)。追いつめられて戦いを挑んだ国というのは、歴史上殆ど無いのではないか。
 また、北朝鮮の核保有は、アメリカのみならず中国も嫌がっていると思われる。でなければ、あの国が6者協議で面倒な調停を行うことは無いだろう。核は他の核保有国に任せれば、非核化の方向で収束していくだろう。早期の解決を望むか、長期的解決を望むかの違いはあろうが。日本は日本しか進展させることのできない拉致に焦点を絞るべきだと考える。


7. 拉致被害認定者である残り 11 人の帰還を以って、「拉致問題の解決」と考える。
1 拉致認定被害者が帰ってさえくるのであれば、「解決」と考えても良い。
2 拉致被害者の数は 11 人とは限らないかもしれないが、結果として妥当であると考えても良い。
3 拉致の可能性が濃厚な特定失踪者を含めた残り 100 人以上に上る人々はどうなるのか。とても「解決」と考える事は出来ない。
4 その他。
(#何を以って「拉致問題の解決」とするのか?)


 私の回答:3
 説明不要だろう。


8. 日本人拉致被害者のみならず、その他外国人の拉致被害者、また、北朝鮮国内における人権問題の解決も併せて目指していくべきだ。
1 当然である。自分達だけ助かれば良いという考えは、道徳的にも国際的にも、到底受け入れられる事ではない。
2 もちろん、これらの問題が解決するに越した事は無いし、日本政府も取り組んでいくべきだとは思うが、優先順位は考慮されて然るべき。
3 まずは自国の拉致被害者を救出する事が先決である。あれこれ手を広げた結果、拉致被害者救出に支障をきたしてしまっては本末転倒である。
4 その他。
(#自国以外における北朝鮮問題をどの様に捉えているか?)


 私の回答:2(少し3)
 北朝鮮の人権問題は、国際的な世論を動かし、日本への支持ないし協力を取り付けるには利用価値がある。よって、「人権問題を視野に入れることが拉致事件の解決の支障となる」とは思わないため、2を選んだ。当然、拉致事件解決の障害になるのであれば、日本人が日本人の人権や日本の主権を優先して考えるのはエゴでも何でもなく当然のことであり、その前提で言えば3ということになる。主権侵害を受けた時点で、銃弾が飛ばずとも既に北朝鮮とはある種交戦状態にあると考えるべきであり、何にもまして優先するのは「日本が勝利すること=拉致被害者をすべて取り戻すこと」である。拉致被害者も、北朝鮮の人民も、両方得られればそれに越したことはないのだが、優先順位は明確に意識しておくべきだ。この辺り、人権を持ち出すことと、北朝鮮人民の人権を優先するような論を混同することのないようにされたい。北朝鮮人民の人権を守るために食料援助しようなどと主張する気は毛頭無い。
 だいたい、自国だけでは何ともできない日本の状況を考えるに、他国の支持を得るというのは現実的に必要不可欠であり、そのツールとして人権問題を喧伝するのは、しかるべき手段だと思われる。もちろん、拉致問題が人権問題の中に埋没してしまうことの無いように、日本が拉致問題解決の意志を常に明確に示し続ける必要があるのは言うまでもない。国連の非難決議なんかも、歓迎はするけれども、過信は禁物なり。


9. 北朝鮮の体制が崩壊しない限り、この問題は解決しないのでは?
1 そう思う。アメリカに対する強力な外交カードを握って武力制裁に踏み切らせるしかない。
2 そう思う。でも中国と韓国がそれを許さないだろう。どうしたらいいのか分からない。残念だけど長引きそう。
3 ある意味そう思う。しかし拉致問題はある程度のところでいったん手を打って国交正常化を先に行うべきである。北朝鮮に市場経済が導入され、不可逆的に日本への依存度が高まれば自ずと政治的自由を求める声が高くなり先軍独裁体制は実質的に変化する。そのとき、拉致の解明は一気に進むであろう。
4 そうは思わない。このまま対話と圧力だ。圧力として経済制裁が必要。
5 その他。
(#北朝鮮体制の現状に対する認識、体制崩壊への方法論。)


 私の回答:1と2
 金正日独裁体制が崩壊せねば、拉致被害者全員は帰ってこられないだろう。北が頑なに被害者の返還を拒んでいるのは、おそらく体制の根幹と拉致事件或いは拉致被害者が大きく関わっているからだろう。金正日が存在している限り、断続的な被害者返還はあり得ても、全面解決はあり得ないと思われる。
 ゆえに、最終的には金正日体制の崩壊を戦略目標として戦術を練らねばならないのだが、国一個を吹き飛ばす行為ゆえ、私の頭では追いつかない部分が出てくる。理想的には、内部から崩壊して、新政権が「すべて前政権が勝手にやったことです」とすべての事実を明らかにするのが理想かと思うが、それは虫が良すぎるか。現状ではアメリカが武力制裁を行う可能性は非常に低いだろうし、中国も現時点では北朝鮮を(韓国や日本に兵を置く)アメリカとの緩衝地帯として利用価値があると見ているだろうし、韓国は斜め上に飛んでいく国なので期待など持てないし…。つまりは、周囲の状況によってどんな手段が有効か、どんな手段が使えるかは変化し、私のへっぽこな頭では回答することはできない。ただ、どういう状況でも対処できるように、日本が「金正日体制の崩壊を最終的には狙う」という意志をはっきりと持ち、そのためのシミュレーションを綿密に行っておく必要があるとだけ、主張しておく。もうやっているのならいいけど。


10. この運動をきっかけに日本の愛国心の高揚を図り、他の様々な問題に対しても応援に向かい団結していくべきである。
1 その通り。拉致問題と他の国益に関する問題は直接は関係ないが間接的には関係している。問題は愛国心だ。
2 何とも言えない。
3 反対。政治的なイデオロギーを持ち込むと運動の方向性が拡散するし、敬遠する人も出てくる。むしろリベラルな人でもこの問題には賛同するし怒りを覚えるという立場が大事。
4 その他。
(#「運動」のあり方に対する考え方、日本国においての拉致問題の位置付けをどの様に考えるか?)


 私の回答:3
 この運動をきっかけとして、「結果的に」他の問題も動いていけばいいなとは思っているが、この運動を能動的に利用して他の問題の解決の契機にするのは、問題があると考える。拉致被害者救出の運動は、右も左もなく、「被害者を救出する」という一点で一致すべきであり、主張一つ一つに政治的思想が出てくることはあろうがそれを前面に出すのは、支持を広げるという観点から見れば危険だろう。


流れが変わった?変わっていない? (11/11)

 30分くらいしか空き時間がないので、今日も軽めの更新。ご容赦を。

 んで、この話から。

「すべての被害者帰国して初めて解決」安倍官房長官(朝日)
 ――日朝国交正常化の前提として、拉致問題をどこまで解決する必要がありますか。また、経済制裁をどう考えますか。
 政府が認定している拉致被害者は、まだ安否が定かではない。さらに特定失踪(しっそう)者と言われる方々も含め、拉致被害者を全員日本に帰していただいて初めて解決されたと言える。経済制裁は目的ではない。目的はすべての日本人の拉致被害者の救出にあり、結果を出さなければいけない。結果を出すために今ベストの努力をしている。

 小泉首相の口からも、同じ言葉を聞きたいものだ。官房長官の言葉は首相の考えの代弁…そう楽観的には思えないものでね。
 特定失踪者とされている人に対する拉致認定を急ぐことを、とにかく政府にはお願いしたい。民間の調査組織が認定したものを鵜呑みにしたくないというのであれば、拉致被害の全貌を調査する専門の機関を早急に創設していただきたい。

 やれるはずのことをやろうとしないから、政府の姿勢に懐疑的になるわけで。次の記事も、似たような類の話だ。

タイ女性家族を日本へ招待 面会の拉致被害者家族会(共同)
 【チェンマイ(タイ北部)10日共同】タイ国籍の女性アノーチャー・パンチョイさん(50)が北朝鮮に拉致された可能性があるとされる問題で、タイ北部チェンマイ近郊で10日、アノーチャーさんの兄スカムさん(59)らと面会した拉致被害者家族会の増元照明事務局長は、東京で12月22日に開く北朝鮮への制裁発動を求める集会にスカムさんを招待したことを明らかにした。
 増元さんは支援団体「救う会」の西岡力副会長とともに、スカムさん宅で1時間半近く面会。
 拉致被害者の曽我ひとみさん(46)が証言したタイ人女性は、アノーチャーさんと同一人物かどうかスカムさんが尋ねたのに対し、増元さんは家族構成などが一致しており、「間違いない」と回答。スカムさんは救出などについて支援を要請したという。


 なぜに政府の関係者がこういう行動を採らず、被害者家族である増元さんが動かれねばならないのか。タイ政府やタイの拉致被害者家族と連携できるか否かは不透明だろうが、それでもあらゆる可能性を考えて俊敏に動かねばならぬのは、まず政府ではないのか。

 てことで、ついでにこんな話も。

■めぐみさん拉致の11月15日までに解決を−拉致問題でハイド米下院委員長(電脳補完録)
 既報の通り、家族会・救う会訪米団は、10月27日、ヘンリー・ハイド米下院国際関係委員長と面談した。その際同委員長は、拉致問題解決を迫るため、今後、北に対し米議会がもつ予算承認権などを行使し一層圧力を掛けていくこと、その旨を北朝鮮政府に対し速やかに警告すると約束した。
 本日、ハイド事務所より救う会に対し、同委員長が、11月4日付で、パク・キルヨン北朝鮮国連大使に対し、警告書簡を送ったとの連絡が入った。
 書簡の骨子は、以下の通りである。従来より、一段と具体的かつ踏み込んだ内容となっている。
・北朝鮮は横田めぐみさんが拉致されてちょうど28年目となる今月15日までに問題を解決すべきこと
・韓国人拉致被害者や朝鮮戦争時の韓国軍捕虜をただちに家族の元に帰すこと
・拉致問題を解決しなければ、米朝正常化、テロ支援国家指定解除、将来のエネルギー支援・経済援助などを、米議会が承認する見込みはない旨、認識すべきこと
・米議会の招きにより公聴会で証言した脱北者に対し、居合わせた北朝鮮国連次席大使が恫喝を加えた事件は、議会人として容認できないこと
(注:10月27日午後、対北向けラジオ「自由北韓放送」主催者キム・ソンミン氏が、下院ビル内で行き会った北朝鮮官吏ハン・ソンニョルに、「金正日追放こそが朝鮮半島平和への道だ」と述べたところ、ハンが「死にたいのか」とすごんできたという。『ワシントン・タイムズ』11月1日付参照)
 なお、書簡の原文(英語全文)は、救う会英文ホームページUpdates 欄に掲載する予定。


 アメリカ人からすれば日本の拉致なんてのはあくまで「他国の話」であって、ブッシュ大統領の個人的感情はいざ知らず、アメリカという国家としては、「アメリカ国民に犠牲を強いるような事態に陥ってまで」日本のために動くということは、何かのバーターでもない限りまずあり得ない。
 この記事のハイド氏の言葉も心強いが、あまり当てにしてもいけない。確かに人権に関して敏感なアメリカではあるが、拉致被害者救出はあくまで日本を主語として考えねばなるまい。

 6者協議も、小さくまとまってしまいそう。作業部会が置かれてしまうと、さらに北朝鮮の時間稼ぎが容易になってしまう。日本は、6者協議をあてにしない独自の動きを本気で考えねばならない。対北朝鮮の世界的世論の動きを、日本はどうも上手く掴めていないように見えるのだが。

議長声明の草案提示 6カ国協議、休会へ(共同)
 【北京11日共同】北朝鮮核問題をめぐる第5回6カ国協議は11日午前(日本時間同)、釣魚台迎賓館で全体会議を開く。同日中に休会する見通し。協議筋によると、議長国中国は10日深夜から11日未明にかけ、各国に対し、今回の協議内容を整理、再開時期などを盛り込んだ議長声明の草案を提示した。各国の意見の取りまとめを図るとみられる。
 別の協議筋によると、草案は4項目からなるという。
 草案には、今回の協議では設置が先送りされるものの、必要との認識で各国が一致している作業部会の方向性や性格付けが盛り込まれているとみられる。中国としては議長声明を休会後に再開される協議でのたたき台としたい意向。
 午前中に休会となるかどうかは流動的で、米首席代表のヒル国務次官補は「おそらく午後まで続く」との見通しを示している。2国間協議が行われる可能性もある。


ディエン、武者小路、北朝鮮 (11/10)

対北朝鮮人権非難決議案を上程…国連総会委員会(読売)
 【ニューヨーク=大塚隆一】欧州連合(EU)は8日、北朝鮮の人権状況を非難する決議案を国連総会第3委員会(人権)に上程、審議が始まった。
 日本、米国、カナダ、オーストラリアも共同提案国になった。
 EUを代表して提案理由を説明した英国は、過去3年間、人権委員会に同様の決議案を提出したが、改善が見られないため、初めて国連総会に持ち込んだ、と明らかにした。
 北朝鮮はこれに対し、「政治的動機に基づく決議案で、中身もいかさまだ」などと強く反発した。

 外堀が埋まってきているのを日本が利用できるのか否か。不安材料ばかりをこの数日取り上げてきたが、6者協議の破綻〜国際的な圧力モードという流れを期待する向きとしては、とりあえずは今行われている協議の行方を見守りたい。
 こういった国際的な動きについて、勿論歓迎はするのだけども、素直に喜べない感情も私の内にはある。小泉首相がどういう方針を描いているのか或いは描いていないのか、見えてこないからだ。拉致問題の解決とはどういう状況を指すのかも明確に伝わってこない。確かに彼が国交正常化で名を売ろうとしているという説に、断言できるだけの根拠があるとは言い切れない。しかしながら同様に、拉致事件を解決しようという明確な意志を持っているとも言い切れないのではないか。日本が解決せねばならない問題なのに、肝心の日本の姿勢がいまいち明らかにならない、この歯がゆさ。
 確かに小泉首相によって(いかなる思惑があったかはさておき)5人の拉致被害者は帰ってきた。しかし、それで彼を名宰相と賞賛する気にはなれない。他にも拉致被害者は大勢いるのだ。他の拉致被害者を救出するために、何か施策を繰り出したのか…拉致問題に関する特命大臣を置かないのはなぜか、拉致被害者の認定や特定失踪者の調査に政府が力を割かないのはなぜか、などなど。年内に大きな動きがあることを期待するが…。


 さて、国連の場では、こんな話もあったようで。

人種差別禁止法制定を 国連報告者、日本に要請(共同)
 【ニューヨーク7日共同】国連人権委員会のドゥドゥ・ディエン特別報告者(セネガル)が7日、国連総会第3委員会(人権)で日本における差別の状況について報告、同和問題やアイヌ民族、在日韓国・朝鮮人らに対する差別が実在しているとして、包括的な人種差別禁止法の制定を訴えた。
 ディエン氏は来春の国連人権委に具体的な対日勧告を盛り込んだ報告書を提出する予定。日本は憲法で人種や信条などによる差別を禁じているが、同氏は人種、外国人差別に特化した法律制定を求めており、日本政府は対応を迫られそうだ。


 夏にもこのディエンなる人物は来日し、ウトロ地区などを視察。民団のサイトにもそのときの様子が記されている。

http://mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?corner=2&page=1&subpage=1414
 ディエン氏は同じウトロ地区で高齢者と障害者の福祉事業に取り組んでいる「在日コリアン生活センターエルファ」にも足を運び、在日韓国人の無年金問題について京都造形大学の中尾宏客員教授から説明を受けた。
 積極的に質問を重ね、関係者の発言を熱心にメモに取っていたディエン氏は「私の報告書は人権委員会を経て国連総会にまであがる。今日の話はとても貴重なもので、なんらかの形で報告書に生かしていきたい」と語った。
 今回の視察調査に同行していた国連人権高等弁務官事務所のミラノ・バレンティナ人権担当官も在日韓国人の人権状況の深刻さには驚きを隠せない様子で、日本側コーディネーターに追加資料の提出を求めたほどだった。
 2人は国連NGOにも登録されている反差別国際運動(IMADR)の仲介で3日、関西入りした。在日同胞問題の視察行程は大阪の特定非営利活動法人コリアNGOセンターが調整し、京都には同センターの金光敏事務局長が同行した。

 「反差別国際運動」の仲介でやってきたお方だそうな。
 反差別国際運動のサイト(http://www.imadr.org/japan/)を覗けば、日本の理事長に武者小路公秀(日本) 世界人権宣言中央実行委員会副代表/中部大学教授/元国連大学副学長の名前。武者小路といえば、これ。

http://www.cnet-ta.ne.jp/juche/News/jnews200311-3.htmから一部抜粋。
実践の要求に即したチュチェ思想研究活動を
―チュチェ思想国際研究所が研究会を開催―
 11月10日
(2003年:引用者注)、チュチェ思想国際研究所の主催により、チュチェ思想に関する研究会が東京において開催された。
 研究会には、日本の学者、社会活動家、青年、朝鮮総連の活動家などが参加した。
 研究会ではまず、チュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長が挨拶をおこない、つづいてチュチェ思想国際研究所理事である武者小路公秀・中部大学教授、日本キムイルソン主義研究会会長である田代菊雄・ノートルダム清心女子大学教授、朝鮮大学校のハンドンソン助教授が報告をおこなった。
 武者小路公秀教授は、つぎのように述べた。


 武者小路さんはチュチェ思想国際研究所理事だと書かれている。ちなみにこの団体は、よど号の妻らが在籍していた「日本青年チュチェ思想研究会」を母体とする団体。

 ここで、ディエン−反差別国際運動−武者小路公秀−チュチェ思想国際研究所−北朝鮮、というラインができあがる。武者小路公秀という人物を通して、おそらくは北朝鮮がディエン氏に働きかけ、「日本の差別」とやらを糾弾するように働きかけたのではないか…という見方も可能。まぁ憶測にすぎないが。

 ついでに言えば、武者小路公秀は「人権フォーラム21」の代表を務めていた(この団体は97年から5年間活動)。(参考サイト:http://www.jca.apc.org/jhrf21/About/aym2002.html
 サイトを回っていただければ分かるとおり、この団体は「人権擁護法」の推進団体でもある。


 よど号の話がちらりと出たが、こんな話も。

よど号家族らの帰国再開へ 拉致疑惑の関連捜査へ(朝日)
 日航機「よど号」のハイジャック事件で、北朝鮮に残る元赤軍派メンバーの家族6人が、年明けにも帰国を再開することが関係者の話でわかった。80年に欧州で失跡した石岡亨さん(当時22)、松木薫さん(当時26)の拉致事件への関与が指摘されるメンバーの妻2人も含まれる。旅券法違反容疑で国際手配している警視庁公安部は2容疑者が帰国すれば逮捕し、関連を調べる方針。
 帰国するのは、若林盛亮容疑者(58)の妻佐喜子容疑者(50)と故・田宮高麿元幹部の妻森順子容疑者(52)ら6人。佐喜子、森両容疑者は石岡さんらが失跡した当時、スペインで行動をともにしていた疑いが持たれ、石岡さんと2容疑者が一緒に写った写真も見つかっている。
 来年1月中旬にメンバーの妹の子供が帰国し、その後、順次数回に分かれて帰国するとみられる。関係者は「9月までに全員を帰国させたい」としている。

 クズどもは帰ってこられるのに、無理矢理連れて行かれた人たちは帰ってこないという理不尽な話。せめて、逮捕して徹底的に追求、事件解決のための情報を吐いてもらいましょ。


無宗教の追悼施設 (11/10)

追悼施設促進に積極提言 日韓改善へ議連発足(共同)
 新たな国立戦没者追悼施設の在り方を検討する超党派の議員連盟「国立追悼施設を考える会」の設立総会が9日午前、衆院議員会館で開かれ、自民、民主、公明各党から約100人が参加した。小泉純一郎首相の靖国神社参拝で悪化した日韓、日中関係の改善を目指すのが狙いだ。
 会長に就任した山崎拓前自民党副総裁はあいさつで「戦没者に対しわだかまりなく追悼の誠をささげるにはどうしたら良いか。新しい施設について提言していきたい」と強調。副会長の鳩山由紀夫民主党幹事長は「民主党も3、4年前から関心を持ってきたテーマ。積極的に議論していきたい」と述べた。
 副会長には冬柴鉄三公明党幹事長も就任。官房長官当時に私的諮問機関から追悼施設建設の提言を受けた福田康夫氏のほか、公明党の神崎武法代表も出席した。


 首相が靖国神社に参拝することが崩れ得ぬ前提であるならば、他にいくら追悼施設が存在しようと問題はなく、「作りたきゃ作れ」という思いくらいしか湧かぬ。あとは「税金を無駄使いするな」くらいか。
 ただ、その前提を崩そうとするための「追悼施設建設案」だから問題なんですな。記事にもあるが、中韓の内政干渉に対して「日中関係の改善を目指すのが狙い」などと思われるだけで大問題。圧力が功を奏したと思えばさらに強い態度に出るのが、特定アジアのやり口だからだ。

 もし追悼施設ができたら「追悼施設があるのだから、靖国ではなくそこに行け」と言う輩が現れることだろう…と思っていたら、できてもいないのに、朝日タンが社説で吠えていた。

11月10日付朝日社説「追悼施設 実現してこその議連だ」

 とりわけ気持ち悪い部分だけを引用する。

 戦没者に敬意と感謝をささげ、二度と戦争を起こさないことを誓う。そうした首相の思い自体は、私たちも共感する。政府の代表であればなおさら、ということなのだろう。
 ならばこそ、靖国神社にこだわるのではなく、首相が訪問するにふさわしい新たな施設を早くつくるべきだ。
 新施設は
追悼の対象を「具体的な個々の人間が含まれているか否かを問う性格のものではない」と位置づける。敵味方を問わず、将兵、民間人も問わない。A級戦犯を合祀(ごうし)する靖国神社への首相参拝を批判している中国や韓国も、この施設なら理解してくれるはずだ。
 
あらゆる宗教に開かれた無宗教の施設なら、憲法の政教分離原則に合致する。政府の追悼行事もできるし、A級戦犯の合祀後、一度も靖国神社に参っていない天皇も訪れることができるだろう。外国の賓客にも足を運んでもらえる。

 はじめに緑字にした部分、よく意味が分からない。要するにその場には魂は存在せず、ご先祖様との対話という役割は靖国神社でないと果たせない、ということでいいのか?ならば意味無いんじゃないか?A級戦犯の扱いをどうしたかが明確にならないのであれば、中国様も「理解してくれるはずだ」とは言い切れないんじゃないかね?しかし、なんで日本の戦没者の慰霊について「理解してくれるかな?」と下手に出なければならないのか。
 「あらゆる宗教に開かれた無宗教の施設」という部分に至っては、何度読み返しても考えても、理解不能。「あらゆる宗教に開かれた多宗教の施設」だったら分かるのだが…。


本日は細切れで (11/8)

<皇位継承>女系天皇前提に「長子優先」提案 有識者会議(毎日)
 小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は7日、首相官邸で第15回会合を開き、吉川弘之座長(元東京大学長)が、女性・女系天皇容認を前提に、皇位継承順位を「長子優先」とし、現行の「永世皇族制」を維持する方向を強く打ち出した「たたき台」を示した。同会議はこれを基に意見集約を図り、今月末に最終報告をまとめる。
 皇位継承順位をめぐっては、男女にかかわらず出生順に順位が決まる長子優先案と「兄弟姉妹の中で男子優先」案で議論が分かれていたが、たたき台は、早期の「帝王教育」がしやすい長子優先案に力点を置いた。これまでの同会議の議論で男子優先案は、現行制度には近い半面、女子が先に生まれても弟ができると継承順位が逆転するため安定性に欠けるとされ、この日の会合でも、長子優先案が大勢を占めた。
 一方、たたき台は皇族の範囲について、天皇との世数を限定しない永世皇族制が望ましいと提案。女性・女系天皇を認めるためには、女性皇族が結婚後も皇族にとどまるよう制度改正する必要があるとしている。
 吉川座長の提案に対し委員から大きな異論はなく、最終報告の骨格は固まったが、「国民が納得できる説明が必要」との立場から、意見集約は行わず、文案調整を続けることになった。
 有識者会議は同日で今月末の最終報告決定前の公式会議を終了。今後は、吉川座長が各委員から個別に意見を聴き、非公式会議を重ねて最終報告をまとめる。
 「皇室典範に関する有識者会議」の吉川弘之座長は7日、寛仁親王殿下が同会議の「女性・女系天皇容認」方針にエッセーで疑問を投げかけたことについて、首相官邸で記者団に対し、「それによってどうということはない」と語り、最終報告の取りまとめに向けた議論に影響はないとの認識を示した。小泉純一郎首相も同日夜、記者団に「個人個人の発言は発言として、そういう点も踏まえて議論しているわけですから」と述べ、有識者会議の結論を尊重する考えを示した。


 「継承の安定性」が何より優先された形で進められている、「有識者」会議。側室制度の復活は現実味を持たないにしても、旧宮家の皇族復帰など、継承の安定性を図るための方策は長子相続以外にもあり得るのではないかと思うのだが、まともに議論したようには見られない。女系天皇を認める方向ありきで議論を進めているようにしか見えない。
 皇族のあり方を巡る議論なのに、寛仁親王殿下のお言葉を「それによってどうということはない」とあしらうのも、何だか不遜な態度に思えるのだが。

 勿論、最悪の場合まで考えれば、「天皇家の断絶<女系天皇」であろうが、その前段階での議論が「有識者」会議で話されていないと見る。何よりも、伝統を覆すときに感じられるべき申し訳なさや心の痛みというものを全く感じないのが、私の抱く不信感の根源。


「拉致」突っ込んだ議論せず=6カ国協議で谷内外務次官(時事)
 外務省の谷内正太郎事務次官は7日夕の記者会見で、9日から始まる北朝鮮の核問題に関する6カ国協議に関し、「(拉致問題は先の)日朝協議でかなり時間をかけて議論した。(今回も)取り上げなければいけないという事情はちょっと違うのではないか」と述べ、拉致問題で突っ込んだ議論はしない方針を示した。

 「この間話したから、もういいよね」ってか?
 確かに事務的に考えれば「その話に進展が無いと確言できるならば他の話をした方が実を取ることになる」という面は一万歩くらい譲ればあるのかもしれない。しかし、それでも拉致については突っ込み続けねばならないし、一定数の時間が取れればこと足れりとするような谷内氏の言葉に人間性を疑ってしまう。
 怪しい動きばかりで不安ばかりが募っていく。小泉総理が国交正常化に進まないように、首相に意見を言い続けねばなるまい(首相官邸HPの右下の「ご意見募集」欄からメールが送れます)。

 確かに核問題は大事だとは思うのだが、日本にとっては、核は何にもまして優先せねばならない問題というわけではあるまい。北朝鮮の核を怖がる前に、既に中国の核ミサイルは何百発も日本の方を向いているわけで。まぁ中国の方が相対的には抑制の利いた国だという違いはあるけれども。一応、北朝鮮に核攻撃された場合に自衛行動としてどのような軍事行動を行うのか、明確に示しておく必要はあろうが、中国の核のことを忘れて北朝鮮の核だけを恐れるのもおかしな話。


分科会の設置、拉致解決前の国交正常化交渉 (11/7)

 昨日久しぶりに行ったボウリングで、自己最高の249点を取ったので非常に上機嫌。二度とあり得ないだろうから、記録のためにここに書く゚∀゚)
 しかし北朝鮮がらみのニュースを見れば、すぐに不機嫌になれる。

「期待」「棚上げの恐れ」 日朝協議で拉致被害者家族(産経)
 1年ぶりの日朝政府間協議は4日、対話を継続することで合意したが、拉致問題の主張は対立したまま。拉致被害者の家族からは「次回に期待したい」「拉致問題が棚上げされる恐れがある」などの声が上がった。
 横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)=の父親で拉致被害者家族会代表の横田滋(よこた・しげる)さん(72)の川崎市の自宅には同日午後10時半ごろ、協議を終えた斎木昭隆(さいき・あきたか)外務省アジア大洋州局審議官から直接電話があり「拉致問題の解決なくして国交正常化交渉はありえないとの基本的な立場は先方に伝えた」と話したという。
 斎木審議官は「お互い突っ込んで意見交換できた」として次回協議を早期に行う考えを示し、横田さんは「今回は拉致問題で日朝双方の見解を主張するにとどまり、具体的な進展がなかったのは不満が残るが、今後も継続していくのなら次回に期待したい」と語った。
 ただ、協議では「拉致問題」や「安全保障」などを「分科会」で並行して議論する方法が提案され、家族会事務局長の増元照明(ますもと・てるあき)さん(50)は「被害者全員の帰国があって初めて次のステップに進むべきで、経済協力や核の問題と同時並行で進めると、拉致問題が棚上げされる恐れがある」と懸念を示した。
 家族らは、週明けの7日に斎木審議官から協議の詳しい内容について説明を受ける予定。(共同)

 北朝鮮とのパイプを絶やさないようにという配慮からか、「拉致問題」「過去の清算を含む国交正常化」「核・ミサイルなどの安全保障問題」という内容の3分科会の開催を提案した日本の外務省。先々週末頃から出ていた話ではあったが、実際にそんな提案をしてしまうとは……。「過去の清算」がクローズアップされる状況を見るにつけ、やはり田中均が去った後も、外務省は田中均プランに基づいて動いているかのように見える。「拉致」と「植民地支配」を相殺しようとする北朝鮮の思惑に乗るなど言語道断の話ではないか。

 外務省は、北朝鮮に「分科会」という時間稼ぎのカードをタダでくれてやってしまったことになる。分科会を開くか否か、分科会の枠組みを日本の提案通りにするのか、「本国で検討してきます」と言えば何度でも交渉の引き延ばしが可能になってしまう。
 もちろん、次の6者協議の行方によってはこの分科会の話も吹っ飛ぶ可能性はあるので、「外務省許すまじ」と断言するにはまだミジンコ程度の躊躇はあるが、それでも北朝鮮に安易にカードを渡してしまう「交渉力の拙さ」は北朝鮮と対峙するうえで不安の種になるのは間違いない。

 さらに不安を醸す記事がこちら。

日朝対話 「時間稼ぎ」鮮明 北ペースにはまる恐れ(産経)
 【北京=笠原健】進展がないまま全日程を終えた日本と北朝鮮との政府間対話では、時間稼ぎに徹しようとする北朝鮮の態度が改めて浮き彫りになった。北朝鮮側は「拉致事件は解決済みだ」との従来の主張を展開する一方、日本側がこれまで主要課題にするのを避けてきた「過去の清算」を前面に押し出す戦術をとってきた。日本政府も対話継続に“前のめり”の姿勢をみせ、国交正常化交渉の早期再開をにらむ北朝鮮側のペースにはまる恐れもある。
 北朝鮮代表の宋日昊外務省アジア局副局長は四日夜、拉致事件について「われわれと日本との見解には違いがある」と述べ、日本側の主張は受け入れられないとの考えを示した。宋氏は三日、記者団に「解決方法についても提起しようと思う」と語ったことから、日本側にも一時、何らかの前進があるのではとの淡い“期待感”もあった。しかし、北朝鮮が急に姿勢を変えるはずもなく、予想通りの対応だったといえる。

 日朝双方は今後、日本側が提案した「拉致問題」「過去の清算を含む国交正常化」「核・ミサイルなどの安全保障問題」の三つの分科会設置について協議していく。「分科会を設置すれば、拉致事件で大きな前進がなくても対話を継続しようという機運は維持できる」(外務省筋)というのが、日本側の狙いだ。
 日本側は「拉致問題が最優先の課題」(斎木昭隆・外務省アジア大洋州局審議官)として、打開の道を模索していく方針だ。しかし、交渉筋は四日夜、「拉致事件が解決しなくても国交正常化交渉には入れるのか」との記者団の質問に対し、「それはその通りだ。懸案が解決しなければ、国交正常化交渉を行わないという方針ではない」と明言した。
 これでは「拉致問題で誠意ある対応を示さなくても国交正常化交渉はできるとのメッセージを、北朝鮮に与えてしまう」(日朝関係筋)というおそれがある。
 北朝鮮の最終目標は「金正日体制を維持するため、米国から『安全の保証』を取り付けることと、疲弊した国内を立て直すために日本から巨額の経済協力を確保すること」(日朝関係筋)にあるのは、間違いない。二度訪朝し、国交正常化交渉に強い意欲をもつとされてきた小泉純一郎首相の在任中に、「後戻りできない道筋をつけた方が得策だとの判断を固めた」(同)との見方もある。日本側には、冷静で慎重な見極めと判断が求められそうだ。

 「『懸案が解決しなければ国交正常化交渉を行わない』という方針ではない」。
 「国交正常化」ではなく「国交正常化交渉」となっているのがせめてもの救い…か?ただそれも、「国交正常化」のための露払いにしか見えぬ。個人的心情を正直に申せば、拉致が解決したら二度と接触したくない国だがな。

 なんだか「国交正常化してからでも拉致問題解決の方策はある」という意見が出てくる予感が。国交を正常化し、日本との行き来ができるようになれば、人も情報も流入し、北朝鮮は変化する、というような。
 たしかに、情報統制を解除してからソ連は崩壊した。国交正常化によって自由主義国の情報が北朝鮮に流入すれば、北朝鮮の体制が変わるかもしれないというのは、可能性としては決して無いわけではない。
 しかし、日本や欧米と国交を結んでいる中国を見れば、その考えの危険性にはすぐに気付きそうなものだ。国交どころか、自由経済に片足をを突っ込んではいるが、情報統制は厳格であり、未だに共産党による独裁政治を行い覇権国家の道を邁進している。
 北朝鮮と国交を結ぶことによるメリットは、日本には全くないと言ってよかろう。相互交流が行われるようになれば拉致被害者も帰ってくるなど暴論。情報漏れの危険性があれば、逆に拉致被害者を殺害する可能性の方が高まるのではないか。

 
 小泉首相が北朝鮮との国交正常化に踏み出すまでにアホとは未だに思えず、「国交正常化を目指す小泉は退陣を!」と主張する気は今のところないのだが…仮にもし小泉さんが暴走を始めた場合、安倍氏が抗議の官房長官辞職をすれば、逆に、小泉退陣の声が現実味を帯びるようになるかもしれない。安倍氏をストッパーとして期待する所以。

 しかし、国交正常化へ進むことを危惧せねばならない現状には憤りと落胆を感じざるを得ない。拉致被害者をどう救出するか、救出のための準備は何が必要かを話し合い、そのための行動を実際に進めねばならないはずなのに、そういった「プラス方向への進め方」を云々せずに「マイナス方向に行かないように」と気をつけねばならない…理不尽極まりない話ではないか。こういう次元の低い話をせねばならないのが、つらい。


妥協はしないでね (11/4)

 日朝政府間協議が昨日から始まっている。

拉致、過去の清算で議論 日朝政府間協議2日目(共同)
 【北京4日共同】日本、北朝鮮両政府は4日午前、日本人拉致問題などをめぐる2日目の協議を北京市内のホテルで行う。日本が求める拉致問題の真相解明、北朝鮮側が重視する植民地支配など「過去の清算」をめぐり、引き続き議論する見通しだ。
 初日の協議で、北朝鮮は拉致問題に関し「解決方法についても提起しようと思う」(宋日昊(ソンイルホ)外務省アジア局副局長)と軟化の兆しをみせたのに加え、日本も従来は主要議題としない方針だった「過去の清算」の議論に柔軟に応じた。
 これを受け日本は、年内にも次回協議を開いて対話を継続することで合意した上で、今回協議は4日で終えたい意向。
 日本は、北朝鮮が横田めぐみさんのものとして提出した「遺骨」を別人とした鑑定の正当性をあらためて主張するとともに、引き続き拉致問題に関し(1)生存者の早期帰国(2)真相の解明(3)拉致容疑者の引き渡し―を要求する。


 次の6者協議の行方を見てから対北朝鮮の動きを検討することになろうから、今回の協議では大きな進展はないだろう。記事では「(北朝鮮の態度について)軟化の兆し」とあるが、これはあくまで北朝鮮から見ての「解決方法の提出」についてであり、日本が望むような話題提起は為されないだろう。おそらく、出すにしても、例の遺骨が「横田めぐみさんのものである」とする(北朝鮮から見ての)証拠を出すくらいだろう。
 日本としては、今回は原則論を述べるにとどめ、妙な妥協案を絶対に出さない方向で進めてほしい。もちろん、今回の協議で強い姿勢を示すというのが理想的ではあるが、やはり6者協議の決裂が決定的になってからの方が、強硬姿勢を示すのにも効果が高いだろう。今回の協議に関しては、「妥協しなければ良し」と私は見たい。

 心配の種はその「妥協」なのだが、やはり「過去の清算」という話題が今まで以上に大きく扱われているように感じる。田中均プランでは、日朝国交正常化の前段階として、拉致問題と日本の過去の清算はセットになっているようで、協議の内容も田中プランに沿ったものになってしまっているように見受けられる。最近とみに田中均の発言を様々な媒体で目にすることが多くなった。「過去の清算」と「日朝国交正常化」の露払いを行っているようにしか見えない。「田中均外交の再評価」は依然としてネットでは有力な「世論」とはなり得ていないが、その声が大きくなってくると危険信号だろう。


 さて、日朝協議を前後していろいろな動きが出てきているが、まずはプラスの話題から。

北朝鮮非難決議案を提出 日本人拉致で国連総会に(共同)
 【ニューヨーク2日共同】欧州連合(EU)と日米などは2日、北朝鮮による日本人を含む外国人拉致について「組織的な人権侵害」として非難する決議案を国連総会第3委員会(人権)に提出した。欧州の国連外交筋によると30カ国以上による共同提案で、外国人拉致問題で北朝鮮を名指しして非難する決議案が総会に提出されたのは初めて。
 日本は共同提案国に名を連ねることで、3日の北京での日朝政府間協議再開に合わせ、拉致問題解決への決意をあらためて示した。総会決議は法的拘束力こそないものの、国連加盟191カ国の意思表示としての政治的重みがあり、採択されれば拉致問題解決に向けた国際世論の広がりに寄与しそうだ。
 決議案はEU議長国の英国が中心となって策定、日米韓などとの調整を経て提出された。第3委員会の会期終了の23日までに採決を求め、採択されれば総会本会議に送られ正式採択される。


 電脳補完録の該当記事より、さらに詳しく引用。
欧州連合(EU)が国連総会第3委員会(人権)に提出する北朝鮮非難決議案の要旨は次の通り。
 一、国連総会は、北朝鮮の組織的で広範囲かつ重大な人権侵害に深刻な懸念を表明。これに含まれる具体例は次の通り。
 (1)政治犯らを収容する多数の強制収容所の存在や強制労働、公開処刑など。
 (2)外国から送還された脱出住民(脱北者)への虐待や死刑などの懲罰など。
 (3)宗教、表現、平和的集会や結社の自由に対する厳しい制限など。
 (4)売春や強制的な結婚のための、女性の人身売買など。
 (5)強制的失踪(しっそう)という形の外国人拉致に関連する未解決の諸問題。
 (6)人権状況を調査するビチット・マンターポーン国連人権委員会特別報告者への協力拒否。
 一、総会は、乳幼児の栄養不良がまん延し、危機的な人権状況となっていることを深く憂慮。
 一、総会は、援助物資をくまなく行き渡らせるため、世界食糧計画(WFP)を中心とする国連機関の完全で自由かつ円滑な活動を認めるよう要請。


 拉致は人権侵害の5番目。国連という枠組みでは、それも致し方なかろう。決議が出ること自体をまずは歓迎すべき。それを利用するのは当然として、やはり結局は日本自身が能動的に取り組まねばならないということだろう。北朝鮮を攻める武器はたくさんあればあるほど良いが、それを有効に使うかどうかは結局日本の行動にかかってくる。他の人権問題に埋没させないためにも、日本が「拉致を解決する意欲」を目に見える形で示さねばならないだろう。国際社会が助けてくれるという感覚では、利用どころか取り残されてしまう。米デトラニ大使の援護射撃もあったが、それに喜ぶだけでなく、それを利用していくだけの力と姿勢を日本政府が持つよう、期待せねばならないし訴えねばならない。


 次は、おそらくは北朝鮮の揺さぶり工作と思われる話を。

<北朝鮮入国女性>仕事せず散歩や買い物… 帰国会見(毎日)
 中国経由で2年前に北朝鮮へ亡命したとされる北川和美さん(31)が3日、ロシア・ウラジオストク発新潟着の航空機で帰国した。新潟市内で記者会見した北川さんは「日本が恋しくて帰りたくなった」と話した。
 北川さんは03年8月24日、中国・丹東市を旅行中に中朝国境の鴨緑江を泳いで渡り、北朝鮮に亡命申請した。理由については「いろいろと事情があり、日本を離れたいと思った」と話した。
 北朝鮮では、平壌市内のホテルで日本語を話す北朝鮮の若い女性と暮らし、散歩や買い物をしたり、ホテル内でボウリングなどをして過ごしていた。仕事はせず、北朝鮮当局からの教育も受けなかったという。
 帰国は本人が望み、日本の支援者が直接北朝鮮政府と交渉して実現した。ホテルの滞在費も支援者らが立て替えたという。北川さんは「日本政府と国民の皆様に迷惑をかけ、反省している。北朝鮮政府は人道的に助けてくれた。感謝している」と述べた。
 帰国は、日朝政府間対話の再開日と重なった。北川さんは「(ホテルで見た)ニュースで再開は知っていた」と話した。「北朝鮮当局から、対話再開について何か言うような指示はあったか」との問いには「何もありませんでした」と答えた。


 「北朝鮮政府は人道的に助けてくれた」…北朝鮮が最も訴えたいのはここだろうね。世界のどの国がこれを信じるか、と思うのだが、念のため、彼女に関してしっかりと調べて、北朝鮮の怪しい動きを世界に知らしめてほしいものだ。

 この北川和美。元オウム信者で、脱退後には公安調査庁から強要されてアレフに入信しスパイ活動を行っていた、なんて話も出ていた(参照記事)。それが事実か否かはともかく、彼女が「公安の権威を失墜させる」という目的を帯びて帰国している可能性がある。そうできれば、総連への捜査の矛先を鈍らせることも期待できよう。

 しかし、自分の意志で北朝鮮に行った人間は日本に帰ってこられて、無理矢理連れて行かれた人は帰ってこられない。理不尽極まりなし。


 もう一つ、何とも評価の難しいニュース。

スクープ!めぐみさんの"夫"も韓国人の拉致被害者(ANNニュース)
 拉致被害者・横田めぐみさんの夫とされるキム・チョルジュン氏も拉致された韓国人であると、複数の関係者が話していることが明らかになりました。
 キム・チョルジュン氏は、去年11月の日朝実務者協議の際に姿を見せ、当時の日本政府代表団と面会しています。日朝関係者はANNの取材に対して、「北朝鮮高官から『キム・チョルジュン氏が韓国人である』と聞かされた」としています。また、別の家族会関係者によると、キム・チョルジュン氏は韓国から拉致された被害者で、名前についても偽名だということです。キム・チョルジュン氏は日本政府代表団との面談の際に、「工作員である」という理由で、写真など身元確認につながるものの提供を一切、拒否しています。
 横田滋さん:「どこの国の人であっても、めぐみが強制的にかもしれないが、一緒に生活した人で、今でもキム・ヘギョンさんを育ててくれているので、感謝しないといけない」
 北朝鮮による韓国人の拉致被害者については、500人近くに上るとみられています。しかし、キム・チョルジュン氏の顔写真や実名が明らかになっていないため、被害者のなかに該当者がいるかどうかは確認されていません。


 「複数の関係者」という情報ソースの信憑性が分からないこと、この時期に伝えられることに何か恣意的なものを感じるということ、以上からこのニュースを評価することは今の私には難しい。


朝日社説でまたも安倍叩き (11/3)

 朝日新聞の安倍さんへの警戒感は、予想以上のものだったようだ。11月1日付社説「内閣改造 アジア外交が心配だ」において麻生氏とともに対特定アジアに強硬な姿勢を批判したのは予想通りであったが、今日付社説においてまた「安倍人気 首相候補への試金石」というタイトルで、安倍氏の政治姿勢に警鐘を鳴らしている。

 それにしても、他のポスト小泉候補を差し置いて、安倍人気がここまで盛り上がったのはなぜなのか。
 51歳という若さ。首相の座を目前に病に倒れた非運の政治家・安倍晋太郎氏を父に、岸元首相を祖父に持つ毛並みの良さもあるだろう。
 だが、世間が注目するようになった大きな理由に、その「毅然(きぜん)とした」発言ぶりがあることは間違いない。


 この辺りの分析は、的外れではない。しかし、この後はいつもの朝日通り。

 代表例は北朝鮮に対する強硬姿勢だ。経済制裁の必要性を訴え、対話を重視する官邸や外務省と対立した。そのことが拉致被害者家族らの絶大な信頼を勝ち得たし、北朝鮮への不信感が強まる世論にも受け入れられた。
 首相の靖国神社参拝では、推進派の急先鋒(きゅうせんぽう)に立ってきた。A級戦犯を裁いた東京裁判に対する批判でも知られる。
 中国で反日デモが起きたあと、首相の靖国参拝への支持が減った時には、月刊誌の対談で「それでもなお参拝を支持している人たちは『中国に横車を押させてはいけない』と考えている意識の高い人たち」と述べた。
 私たちは、政治家が信念に基づいて発言をするのが悪いとは思わない。だが、これはバランスを失していないかと首をかしげたくなる発言も目につく
 この春のシンポジウムで、政府や自治体が推進する男女共同参画をめぐり「家族を破壊する」と行き過ぎを批判するなかで、カンボジアで大虐殺をしたポル・ポトになぞらえたのもその例だ。
 保守的な価値を主張するのはいいとしても、次代のリーダーとして危うさを指摘する声は自民党内でも少なくない

 安倍氏の発言は「バランスを失している」「リーダーとして危うい」ものだと、朝日は言う。確かに朝日イデオロギーとは正反対の言動であり、朝日が安倍氏を「危険人物」と捉えているのは間違いなさそうだ(だからこそ「NHK番組に関する捏造報道」で安倍氏を狙い打ちしたのだろうが)。しかし、その具体例として引かれている発言が、中国・北朝鮮・ジェンダーフリーであることは興味深い。図らずも朝日がどことつるんでいるかを自ら露呈している。

 ここまでは、安倍氏個人への執念はすごいなと感じつつも、いつもの朝日クオリティと言える。が、その後が不気味。

 安倍新長官は就任後の記者会見で、靖国参拝に対する中韓両国の反発について「心情的には十分理解できる」と語った。新しく担うことになった役割の重さを自覚した表れとすれば歓迎したい。
 この重責を果たせるかどうか。それが将来への試金石になる。


 ここで安倍氏を評価している。朝日が歓迎するような安倍発言はどういうものかと言えば…

安倍官房長官、中韓両国の反発「心情的には十分理解」(朝日)
 安倍官房長官は1日の記者会見で、小泉首相の靖国神社参拝に中韓両国が反発していることについて「心情的には十分理解できる。誠意をもって説明していかなければならない」と述べ、両国に首相の真意を説明していく考えを強調した。これまで安倍氏は中国に対しては毅然(きぜん)とした態度で臨むべきだとの見解を示してきたが、政府を代表する立場となったことから、外交上の配慮をにじませたものとみられる。
 首相の参拝について安倍氏は「一国のリーダーとして、国のため殉じた方々のために手を合わせる、ある種の責任感からの行為であると思う」と語った。そのうえで「そのことは、しっかりと誠意を持って説明していくことが大事だ」とした。
 政府が検討している新たな戦没者追悼施設については「国民世論の動向をよく見つつ、諸般の状況を見極めながら検討していきたい」と語った。
 ただ、安倍長官は「靖国神社を代替する概念で検討していたわけではない」とも語り、「首相の参拝と施設の検討は、ある意味では別問題なんだろうと思う」と述べた。

 強調部分が、朝日社説で引かれていた発言部分。
 これが、産経の記事(共同配信)だと、こうなっている。

追悼施設と靖国参拝は別 安倍氏「代替とならず」(産経)
 安倍晋三官房長官は1日午後の記者会見で、2002年に当時の福田康夫官房長官の私的懇談会が打ち出した新たな国立戦没者追悼施設に関し「懇談会は靖国神社を代替する概念で追悼施設を検討したわけではない。小泉純一郎首相の参拝と施設の検討はある意味では別問題だ」と指摘した。
 中国、韓国が問題視している靖国神社でのA級戦犯の合祀(ごうし)については「かつて大平正芳首相が『歴史家が判断することではないか』と述べたが、わたしもそうではないかと思う」と述べた。
 両国が首相の靖国参拝に反発していることには「気持ちは十分に理解できるが、一国のリーダーとして国に殉じた方に手を合わせるのは責任感からの行為であり、各国のリーダーが行っている」と強調した。(共同)

 「中韓の気持ちは分かるが、首相が靖国に参拝するのは当然であり、それを曲げるつもりはない」という内容の発言に受け取れる。1日の記者会見の内容ではないが、韓国メディアに対しても安倍氏はこう発言している。

安倍幹事長代理:靖国参拝理解求める 韓国メディアと懇談(毎日)
 【ソウル堀山明子】訪韓中の自民党の安倍晋三幹事長代理は29日、ソウル市内で韓国メディアの元東京特派員らと懇談し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「韓国側が不快感を持つのは理解できる」と述べた。ただ、そのうえで「首相は恒久平和を祈る気持ちで行っており、それ以上ではない」と説明し、理解を求めた。新たな追悼施設建設には「遺族の意見を聞く必要がある」と慎重な姿勢を示した。安倍氏は28日に韓国入り。29日にはソウル大学日本研究所主催のセミナーで講演した後、李明博(イミョンバク)ソウル市長、韓国経済界関係者ともそれぞれ懇談した。

 朝日の言うような「外交上の配慮」は感じられない。確かに官房長官という立場上、表現が軟らかくなっている感はあるが、しかし韓国の言い分を聞きますという姿勢は微塵も感じられない。

 つまり今日の朝日社説は、安倍氏発言の一部を切り取って勝手に「外交上の配慮」と解釈し、「新しく担うことになった役割の重さを自覚」と評価していることになる。故意に発言を歪めて捉えたか、或いは天然ボケか…当然前者だろう。
 朝日の恐ろしいのは、敵をやみくもに叩くのではなく、評価したフリをかますところ。ちょいと持ち上げておけば、後で叩くにも叩きやすいし、その反動も大きい。「安倍はおそらく政治信条は曲げないだろう」と考えた上で、「外交上の配慮をした」というでっち上げの「功績」を作り出しておき、今後に叩く際の材料にしようという腹が透けて見える。今日の社説を書くための1日の捏造記事だとすれば、朝日、恐るべし。

 北朝鮮から指令でも出ているのかね、「安倍を叩きのめせ」と。

 北朝鮮と対峙するのも大事だが、国内の掃除をしておかなきゃやはり何ともならないんじゃないか。まだ北朝鮮で助けを待っている人はたくさんいるというのに…。

<拉致被害者>蓮池、地村さんの近くに日本人男性?(毎日)
 拉致被害者の蓮池薫さん(48)と地村保志さん(50)が北朝鮮にいた85年暮れごろ、それぞれ近くに日本人らしき男性がいたと関係者に話していることが分かった。
 関係者の話によると、蓮池さんが証言した男性は、中年で背が低く小太り。また、地村さんが話した男性は、中華料理が得意だったという。
 蓮池さんらの話では当時、蓮池さん夫妻や地村さん夫妻、横田めぐみさん、田口八重子さんが平壌郊外の同じ地区の招待所に別々に暮らしていたとされる。



 そういえば、ジェンキンズさんが話していたタイ人拉致被害者の話。少し進展があった模様。

ジェンキンスさん証言のタイ人拉致、当局「記録なし」(読売)
 【バンコク=太田誠】1日付タイ各紙によると、北朝鮮による拉致被害者・曽我ひとみさんや夫チャールズ・ジェンキンスさんが、1978年に北朝鮮に拉致されたと指摘していたタイ人女性について、タイ警察当局や情報機関が「(そのような)女性の記録はない」としていることが分かった。
 ジェンキンスさんが10月に出版した自伝「告白」や、同月の米CBSテレビの同氏インタビューによると、女性は「アノーチャ・パンジョイ」という名前で、78年、働いていたマカオで帰宅途中に北朝鮮の工作員2人に連れ去られ、船で北朝鮮に送られた後、ジェンキンスさんと同様、在韓米軍から脱走した元米兵と結婚したなどとされる。 タイ各紙によると、同国外務省スポークスマンは「自伝の中にそのような記述があると日本外務省が在日タイ大使館に連絡してくるまで、タイ人女性の拉致情報を聞いていなかった」とし、タイのカンタティ外相はさらなる情報収集を命じた。
拉致のタイ人はチェンマイ出身か=おいが地元テレビに証言(時事)
 【バンコク2日時事】北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(46)と夫のジェンキンスさん(65)が平壌で暮らしていた際、同じアパートに住んでいたと証言した「アノチャ」というタイ人女性は、同国北部のチェンマイ出身の女性である可能性があることが2日、分かった。女性のおいを名乗る男性が2日、タイの地元テレビに語った。
 おいの説明によると、女性はブッパー・パンジョイさん。ブッパーさんは10代後半にバンコクに滞在した後、1978年から79年までの間、香港に滞在し、その間2回帰郷したという。
 ブッパーさんはその後、再び出国。最後に家族に送って来た手紙には「マカオにいる」と書かれていたが、香港の消印が押されていたという。
 ジェンキンスさんが拉致されたと証言したタイ人女性の拉致前の状況とおいの証言に一致点があることなどから、タイ外務省は情報の確認を急ぐ。


 拉致が明確に北朝鮮の仕業だと判断できる状況になったとき、タイはどのような行動に出るのか。日本よりも毅然とした対応をとったりして。



おまけ1
食薬庁「問題提起されたキムチ、中国に輸出されず」(朝鮮日報)
 食品医薬品安全庁は1日、韓国産キムチなど食品から寄生虫卵が検出されたという中国国家質量検査総局の発表に対し、「取り上げられた国産キムチ製品の場合、正式に輸出された実績がない」と明らかにした。
 食品医薬品安全庁によれば、中国現地で販売されているキムチのうち、斗山(トゥサン)の製品だけ現地工場で生産しており、東遠(トンウォン)F&Bの場合、中国内にキムチ工場を運営しているものの、生産された製品は全量日本に輸出されている。
 このほか、CJなどその他のメーカーは今年、中国に公式輸出した実績がないと把握された。


 日本向けだったら問題ないのかよ。まったく、ゴミ餃子の時と同じような反応しやがって。「日本向けだから問題ないニダ!」「確かにそうアルな」か?


おまけ2
前原代表 新内閣を一転批判、前日の「エール」を軌道修正(毎日)
 民主党の前原誠司代表は1日の常任幹事会で、新内閣について「昨日エールを送ったが、さまざまな問題がある。衆院選で勝った数のおごりが表れている」と批判。「期待を込めてエールを送りたい」との前日の発言を事実上軌道修正した。

 せっかく一昨日ほめたのに…。


おまけ3
 本家「世迷言」、東海新報のコラム。もうここに任せて、わしは引退しようかな。
東海新報「世迷言」
 朝日新聞というのはよっぽどの心配性らしい。小泉改造内閣が発表された翌日の社説は「アジア外交が心配だ」というタイトルで、外交の布陣に「大きな懸念」を抱いている▼常日頃の論調からして予想通りの内容だが、外相に麻生氏、官房長官に安倍氏を起用したことが腹に据えかねたようである。首相を含め三人とも靖国参拝組だから、中国、韓国の逆鱗にふれることをおそれたのだろう。そして「穏健派」と目される福田康夫前官房長官がはずされたことが不満のご様子▼なるほど外交も大事だが、それより何より大事なのは内政である。国内が千々に乱れたら外交などは成り立たない。まず家庭を円満に、家計をきちんと整えてからの近所づきあいである。そういう意味で、今回の人事はバランスがとれているように思う。新内閣に「頑張ってくれ」とエールを送り、それからご近所とも仲良くしてね―というのが常道であろう▼だが、心配性というのは、取りこし苦労をしたがるものである。靖国参拝三人組の揃い踏みでは中韓が納得すまいというのが社説の要旨。お説ごもっともだが、なに中韓ともそんなことは気にしていまい。なぜなら人間とは毅然とした相手を尊敬するものだからだ▼人間は「ご注進」「ご注進」と近寄ってくる相手を利用はしても信用はしない。是は是、非は非とたしなめてくれる相手にこそ心を開くのである。「小泉はけしからん奴だ」と表面はののしりながら、いままでの首相と違って骨のある男だと内心は舌を巻いているはずである。そしてこの男なら信用できると胸襟を開く▼そういう展開になると思う。断じて行えば鬼神もこれを避く。総選挙の結果がそうだった。その自信を深めた首相は外交でも自分流を貫くだろう。


続・内閣改造について (11/1)

「死刑執行のサインせぬ」と発言、すぐに撤回 杉浦法相(朝日)
 杉浦正健法相は31日、就任後の記者会見で、死刑執行について「(命令書には)サインしない」と表明した。しかし、その約1時間後、「発言は個人としての心情を吐露したもので、法相の職務の執行について述べたものではない」と、発言を事実上撤回するコメントを発表した。法務省側は「サインをしたくないという趣旨だった」と説明。明確にNOを宣言した直後の「変心」に、関係者は振り回された。
 法相は会見で「哲学、宗教、生命に対する考え方はいろいろある」と述べたうえで、トルコが04年に欧州連合(EU)加盟にむけて死刑制度を廃止したことなどに触れながら、「文明論的に言えば、方向としては長いスパンをとれば(死刑制度は)廃止の方向に向かうと思う」と述べた。その理由として「私の心の問題。宗教観や哲学の問題だ」と語った。(冒頭抜粋)

 死刑に賛成だろうが反対だろうが、後先考えずにとりあえず真情を吐露してしかもそれをすぐに翻すってだけでも、その資質を疑ってしまうがね。しかし人権を大切に扱っているように見せかけて、大切にするのは加害者の人権のみで、被害者側の人権なんて意識には無いんじゃないか?拉致問題に対する態度を思い出すに、つくづくそう感じる。


 さて、安倍氏が官房長官に就任したことで、拉致議連会長代行は辞することになろう。政府に請願(10/2に誤字訂正「誓願→請願」)する立場と政府のスポークスマンという立場は、相容れるものではない。
 ということで、「安倍氏の入閣は裏切り行為」とか評する人が出てくるんだろうね。自分の考えとぴったり一致しなければ許せないという考えの人。

 「反小泉」とばかりに小泉首相を外部から攻撃するのと、内部にあって牽制するのと、どちらがより影響力を有することができるかを考えれば、「安倍官房長官の誕生」はひとまず歓迎すべきではないのか。それとも、反対の声は上げるけれども何の影響力も持たない社民や共産のような存在に、安倍氏を仕立てたいのだろうか。安倍氏が権力におもねったと断罪するのはまだ早い。彼はまだ官房長官としての仕事を始めてすらいないのだ。前にも書いたが、「入閣」という事実は、これまでの安倍氏の言動を全否定するに値する行動なのか、冷静に考えてから意見を述べてもらいたいものだ。

 もちろん、結果的に安倍氏が小泉首相にすり寄るという可能性は無いわけではない。だがそれは結果論であり、現時点で安倍氏を断罪するには材料が無さすぎるだろう。国交正常化への妙な動きを牽制し、小泉首相をせっつくような役割を果たすことを、安倍氏に強く期待する。


内閣改造 (11/1)

 普段は午前中(だいたい11時頃)に更新を行うのだが、内閣改造に関してはおそらく夜に皆さん何かを書かれることだろう。明日になって「書くことが無くなった」とならないように、私も今日は夜に更新してしまう。「取り急ぎ」という感じなので、あんまり丁寧な文にはならないだろうがご容赦されたし。

安倍・官房、猪口・男女共同参画相…小泉改造内閣(読売)
 ◆首相 小泉純一郎
 ◆総務・郵政民営化 竹中平蔵
 ◆法務 杉浦正健
 ◆外務 麻生太郎
 ◆財務 谷垣禎一
 ◆文部科学 小坂憲次
 ◆厚生労働 川崎二郎
 ◆農水 中川昭一
 ◆経済産業 二階俊博
 ◆国土交通 北側一雄
 ◆環境・沖縄北方 小池百合子
 ◆官房 安倍晋三
 ◆国家公安委員長・防災 沓掛哲男
 ◆防衛 額賀福志郎
 ◆経済財政・金融 与謝野馨
 ◆規制改革・行政改革 中馬弘毅
 ◆科学技術・食品安全・IT 松田岩夫
 ◆少子化・男女共同参画 猪口邦子


肯定的に評価する点
・安倍官房長官
・麻生外務大臣

 実質的に外交を取り仕切る官邸に安倍氏が食い込んだこと、そして名目上の外交担当として「ちゃんと物が言える」麻生氏が関わることに、やはり期待を待たずにはいられない。町村氏は、たまにまともな発言をしたかと思うといきなり弱腰発言をしたりと、その軸足がなかなか見えづらいところがあった。麻生氏にはガス田開発などの対中問題でガツンとかましていただきたい(とりわけ経済産業相が媚中派の二階だけに)。
 安倍さんには、やはり拉致問題進展を期待する。小泉首相はじめ総理官邸が妙な動きをしたときには歯止め役として動いてもらいたい(一回目の訪朝の際の安倍氏の行動を思い出されたい)。官房長官と言うことで功績を挙げにくい=ポスト小泉を狙う点では少々不利であるというところは、ちょいと難ありか。


微妙な点
・竹中総務大臣
・杉浦法務大臣
・猪口少子化・男女共同参画担当大臣

 すっかり政治家の顔になってきた竹中氏。数年前まで民間人だったのに、いつの間にか小泉改革の顔。ポスト小泉に最も近いのは、この人のように思える。この人に関しては「微妙」というのは評価が微妙というのではなく、この配置が「怪しい」という意味でありまして。
 曽我さんとジェンキンスさんを北京で会わせようと画策した男、杉浦に関しては入閣していること自体が気に入らぬ。法務大臣としての能力はあるのか無いのか分からないため否定的評価でなく「微妙」としておいたが、ともかく彼を重用するという小泉首相の考えが納得できない。
 猪口氏だが、少子化対策は国家存立の基盤に関わる問題で確かに重要。しかし、現在、各省庁にまたがってしまっている「少子化対策予算」を、どのように統合するのか。彼女にそれをまとめるような腕力があるようには感じられない。政治家としてのセンスもあるようには感じられない、なんか優等生ではあるけどソツが無さすぎて何の影響力を持てないような。まぁいい意味で予想を裏切ってくれれば言うこと無いのだが。ヘミニズム路線に走らないようお願いしたい…って虚しいお願いかな。この点での「微妙」は限りなく「否定」に近い微妙。しかし楽だな、このビミョーって言葉。


 最も私が期待するのは、麻生外相。安倍氏に関しては、期待と言うよりは「私が期待するほどの実力を本当に持っているのか」見極めようといった感じ。とりあえず、山崎拓外務大臣、なんてことにならなくて良かった。

 あとは、「拉致問題担当大臣」をなぜ置かないのか、と。それが、今回の内閣改造で最も批判したい部分だ。


 ついでに、こき下ろしをしない前原氏にも触れておく。こういう反応が当たり前なのだろうが、今までの党首が党首なだけに、すんごくまともに見えるから不思議だ。

<内閣改造>野党反応 前原氏「エール」共社はこき下ろし(毎日)
 第3次小泉改造内閣の発足について、民主党の前原誠司代表は31日、「期待を込めてエールを送りたい。我々も真の改革を競い合う形で、一生懸命負けないように頑張っていきたい」と記者団に語った。人事の印象に関しては「奇をてらうような人事はあまりなかった。実力者が多いのでは」と批判を避けた。
 安倍晋三官房長官が記者会見で靖国神社参拝を継続する意向を示したことについては「A級戦犯が合祀(ごうし)されている限り参拝は慎んでいただきたい」と自重を求めた。
 共産党の市田忠義書記局長は会見で「暮らしと平和を壊す反国民的改革を強力に推し進める意味で適材適所。『悪政推進適材適所内閣』だ」とこき下ろし、社民党の福島瑞穂党首も「大増税改憲内閣だ。女性(閣僚)が2人だったのも残念」と批判。3党の温度差が表れたが、新閣僚の所信を聞くための臨時国会開会を求める点では足並みをそろえた。



 おまけ。中国の性格を把握するには、もってこいの教材になりそうな記事。

遺棄化学兵器処理費 中国要求丸のみ巨額化(産経)
 法外な森林伐採代償/プール付き宿舎
 中国に旧日本軍が遺棄したとされる化学兵器の廃棄処理問題で、中国側の要求を丸のみした結果、日本が拠出する処理費用が野放図に巨額化している実態が、内閣府の資料などからわかった。例えば施設建設に伴う森林伐採では、国際価格の数十倍という法外な代償を認め、要員宿舎はプール付きの豪華版としている。事業は今冬にも施設建設に入るが、費用の不透明性を残したまま見切り発車すれば、予算の垂れ流し、税金の無駄遣いにつながるのは必至だ。(長谷川周人)
 内閣府の予算関連資料によると、吉林省敦化市郊外のハルバ嶺で建設が予定される処理施設の「インフラ整備諸費」(共通施設分)に今年度、十八億五千万円近い予算が計上されている。
 避難路や要員宿舎の整備費用の一部に充当されるが、関係者によると、用地造成に伴う森林伐採で中国が要求した代償は「シラカバ一本百ドル」。しかし、シラカバは一般に製紙用以外に用途がなく「樹齢にもよるが二、三ドルが国際相場」(製紙業界関係者)とされ、日本は常識はずれの費用負担を強いられている。
 また、要員宿舎は「事業終了後の払い下げを見越し、地元当局から強い要望があった」(関係者)として、2LDKの豪華版で、プールなどのスポーツ施設が併設される予定だ。
 また、「環境関連諸費」(約千五百三十万円)の内訳をみると、「マクロ気象観測費」(約三百三十万円)と「ミクロ観測機器・機材整備費」(千二百万円)だが、気象観測といっても、中国軍の「気象専門員」が百葉箱を使い、気温や風向などを定時放送するというもの。日本側が「無意味に近い」と改善を要求したところ、中国側は「ならば地表温度なども計測しよう」と提案、新たな資材購入費として千二百万円を計上することになったという。
 このほか、中国はハルバ嶺に軍医療班を派遣しているが、絆創膏(ばんそうこう)一枚でも、日本人スタッフには「(解毒剤などが入った)段ボール三箱分の医薬品がセット売り」となる。しかも、なぜか産婦人科医を含む医師団は北京から送り込まれ、これら全経費が日本負担となっている。
 遺棄化学兵器の処理事業で、日本は今年度までに約九百七十億円を投入。処理方法を検討するなど準備を進めてきた。外務省によると、保管作業は昨年七月までに三万七千発分を終えた。
 今後は残る砲弾の回収と並行し、実処理を行う施設の建設に移るが、回収施設だけで九百七十三億円の建設費がかかることが判明している。このほか燃焼処理を行うメーンの前処理施設のほか、燃焼時に発生する汚染ガスの処理に環境対策費なども必要で、総事業費は「一兆円規模」との試算も出ている。
 しかし、遺棄砲弾数は二百万発と主張する中国は、その根拠すら示さず、情報開示を先送りしている。七十万発と主張してきた日本は独自調査に基づき三十万−四十万発と下方修正する方向だが、遺棄兵器の全容は見えていない。
 関係者からは「中国にとって処理事業は“金のなる木”。中国の機嫌ばかりを気遣う官僚の事なかれ主義を是正しなければ、いつまでも無駄な予算を垂れ流すことになる」と批判も出ている。