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世論調査に考える (5/31)
靖国参拝「首相は中止を」49% 本社世論調査(朝日)
 靖国神社参拝問題などを巡り日中関係が悪化する中、朝日新聞社が28、29の両日実施した全国世論調査(電話)で、小泉首相の中国に対する姿勢を「評価しない」人が48%と半数近くを占め、「評価する」は35%にとどまった。首相の靖国神社参拝を「やめた方がよい」は49%とほぼ半数にのぼり、「続けた方がよい」の39%を上回った。一方、靖国参拝を問題視する中国の姿勢についても「理解できない」は51%に達し、「理解できる」は37%。日中関係について首相、中国双方に厳しい見方が示された。 (冒頭抜粋)

 朝日新聞の世論調査故、質問の段階でどのような誘導が行われているかを吟味する必要があるが、それを差し引いたとしても、靖国参拝に否定的な意見が49%は多いと言わざるを得ない。
 ちなみに、他メディアの調査ではどうなのか。

靖国A級戦犯分祀論 参拝継続へ世論見極め 解決に懐疑的見方も 自民(産経)
 実際、世論は首相にとって逆風だ。フジテレビ「報道2001」が二十六日に行った首都圏五百人調査で「今年は公式参拝すべきではない」が54・0%と、「参拝すべきだ」の38・8%を大きく上回るなど、報道各社の調査で慎重論が急増している。(一部抜粋)
「今年は断念を」57% 首相の靖国参拝で急増 (共同通信)
 共同通信社が27、28の両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「今年は見送るべきだ」との回答が57・7%に上り、昨年12月調査より16・9ポイント増加した。「今年も参拝すべきだ」は16・7ポイント減の34・3%だった。日中関係改善に向けた政府の取り組みに関しては「十分だとは思わない」が50・8%で、「十分だと思う」の11・5%を大幅に上回った。(冒頭抜粋)

 実は朝日の世論調査と、数字は殆ど同じ。朝日の世論調査を「朝日の調査だから」と一蹴するわけにはいかない。

 「参拝すべきでない」の意見の中には、もしかしたら「謝罪をやらかすような小泉は靖国に行くべきじゃない」という考えのものも入っているかも知れず、ただ半数以上が靖国問題を理解できていないと断ずることはできない。しかし、中韓の言動はただの内政干渉であること、中国にとって「A級戦犯の合祀」は名分に過ぎずここで譲歩すればB・C級についても言及してくるであろうこと、内政干渉に屈するのはテロリストの要求に屈するのと同様であること、それらの認識はまだ多数派とは言い難い状況にあるように考えるべきではないか。「日本は悪いことをしたのだから、戦争を美化する靖国に首相が行くのは、良くないことだ。中韓が怒るのも当たり前だ」と考える人は、まだまだ一定の数を占めていると見るべきだろう。

 ネットを情報源として生活していると、保守系の意見が多数であって、左巻きの思考は絶滅寸前、朝日新聞などはもはや信用されていないと見る向きが主流のように錯覚することがあるが、数年前とは雲泥の差とはいえ、まだまだそのように見るのは危険だろう。「じっくり順を追って正論を説明」すれば理解・納得されるかもしれないが、「結論をいきなり示すだけ」では理解されにくい状況、言ってみれば戦後民主主義からの脱却への過渡期にあると見る。正論を主張しても通じない、という意味ではない。例えば「憲法改正?当たり前!」ではなく、何故憲法改正が必要なのかをその都度丁寧に説明せねば、一般的言論として受け入れられない可能性もあるということを、肝に銘じておく必要がある、ということだ。ターゲットは、そんな意見を聞くはずもない左巻きでも、それが認識できている人でもなく、中間に位置する大多数。

 正論が正論として通じるとは限らないのが現状のようだ。

座り込みに考える (5/31)
 6/24から3日間、10時から16時まで、家族会が座り込みを行うことが決定した。決まったからには応援する。しかし、昨日も触れたがメディア対策は万全に、とお願いしたい。他のニュースに埋もれてしまったり、反政府運動の一つと取られては、世論の喚起すらままならない。やるからには最大限の効果を引き出せるよう、救う会などの直接の支援者の方々にお願いしたい。昨年5/22の小泉訪朝後の家族会への不当なバッシングのようなことが二度と起きないよう、対策を練っていることを願う。
 「話の花束」でのぴろん氏の意見に、私は全面的に同意。「やらなきゃ分からない」という無責任な言には与したくない。

7世紀のロケット (5/31)
 愉快な話題を。
7世紀にロケット開発? 北朝鮮「世界最初」と主張(共同)
 【ソウル30日共同】北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、朝鮮半島で高句麗期(紀元前1世紀後半−668年)に「ロケット」兵器が開発されたとし「朝鮮が世界最初にロケットを製造した」と主張した。核実験の可能性が指摘される中、北朝鮮の兵器開発の正当性を示唆したものと思われる。
 同通信によると、高句麗期に製造されたとされるのは噴射推進式の「クァンフィ」。7世紀の唐との合戦で威力を発揮、高麗期(918−1392年)には「ファジョン」と呼ばれた。火を付けて発射する方式で「現代式に比べると、単純だが原理は同じ」という。
 同通信は「ロケットのすべての属性を備えた世界最初の『ロケット』は、朝鮮民族の知恵と創造、愛国心を示す貴重な歴史遺物である」としている。


 つくづく、ファンタジーな歴史が好きな民族だな。こういうのを作らないと誇りを保てないか?
 仮にそういうのがあったとしても、たぶんロケットではなく、ロケット花火のようなモンだと思われ。しかも、火薬じゃなくて水を使ったペットボトルロケットのレベルかと。中国でもロケット花火は10世紀になってからだったと記憶している。とりあえず史料が見たいな。
 てか、朝鮮民族の知恵とか言っているが、高句麗はツングース系で朝鮮民族とは別系統だったと思うが。
 今回もまた、2ちゃんのジョークスレの人たちの中に死者が出たことだろう。


基本的には賛成だけど (5/30)
 日本海海戦について書いているblogはやはり多かったが、一つ気になることが。T字じゃなくて丁字ですから。

 で、昨日は更新するつもりだったが出来なかった。
 小泉純也絡みの某blogコメント欄での議論とか、家族会の座り込みに関する議論についてとか、草稿は昨日の段階で作っていたのだが、論点が多すぎて収拾がつかなくなったのと、量が多くなりすぎたために思い切って削除。そのうち、他の話題に絡めて話すでしょう。
 なんか最近精神的に疲れているのか、文章をまとめるのにいつも以上の体力を要する。普段の調子で書くとどんどんグダグダになっていく。不眠症気味で食欲不振、しかし「出されたカロリーは全て摂取する」という掟に従い全く痩せないから難儀なものだ。こんな状態で朝日社説など読む気力はなく、昨日の愉快な社説もリンク先の方々にお任せ゚∀゚)「書かない」=「関心がない」では、決して無い。

 とりあえず、座り込みに関して私の意見を書いておくと、基本的には賛成。家族会が決めたことならば、それを支持し応援したい。ただし、座り込みをいかに世論の広がりに繋げるかという戦略は重要で、メディア対策は救う会などに是非とも練り上げていただきたい。やるならば、可能な限り大きな効果を期待したい。
 ただ、ご家族の方々が座り込みをせざるを得ない状況、それに思いを馳せると、諸手を挙げての賛成という気分にはなれない。

侍の戦死 (5/30)
ネット映像の男性、斎藤さんとほぼ断定(読売)
 まだDNAなどによる確実な特定は行われていないが、映像からはほぼ間違いないらしい。侍の最期に、敬礼。

 弟さんは政府の対応に感謝しているが、情報収集に関して、香田君の時から進歩があったのか、私は疑問を持っているし、メディアにはその辺りのツッコミを期待したい。国として情報収集の末端を広げることは大きな利益になる、少しでも多くの情報を収集し、そしてそれを集約できる体制を作り上げて欲しい。北朝鮮や中国と対峙するうえでも、「情報戦」は重要な要素となるだろう。

住所晒しの責任者が社長に (5/30)
朝日新聞社 秋山耿太郎常務が社長に昇格へ(毎日)
 
 むかつくから、朝日ソースじゃなく毎日ソースで。
 この男、曽我さんの家族の北朝鮮の住所を盗み見して報道した事件の時の、編集局長ですわ。2003年5月に「30%の減給」+「取締役東京本社編集局長から取締役販売担当への降格」を喰らったのに、9月になると常務取締役になるという、無反省人事でも当時非難の的だったが、今度は社長ですわ。人権侵害以外の何者でもない犯罪行為をしておいて、結局は社長さんですか。エリートコースはどんな不祥事があっても外されないわけですな。

 とりあえずこいつらに、JR西日本などを責める資格はないわな。

李朝に逆戻りですか (5/30)
上位10%の月所得額776万ウォン 最下位の18倍(朝鮮日報)
国内の貧困層、500万人突破模様(朝鮮日報)

 他の国の数字と比較していないので、いかほどの状況かよく理解できないが、貧富の差が拡大し、しかも貧困層が増加しているという話を聞くと、李朝の時代に戻ろうとしているのかなとも思えてしまう。少なくとも、政治的姿勢は李朝そのものになりつつあるのだが。


本日天気晴朗なれど波高し (5/28)
 5/27は、日本海海戦でバルチック艦隊を破って100年。有色人種が白人の帝国主義国を破るという歴史的快挙から100年なわけだ。

 左巻きだけにとどまらず、日露戦争を、その後の日本帝国主義の端緒を開いた戦争と捉える向きもある。しかし、戦前日本を如何に捉えようとも、日本がロシアを破ったことによるアジア諸国への影響、しかもプラスの影響を無視するわけにはいかないし、またこの戦争が欧米列強の帝国主義政策に強烈な一撃を喰らわせたという側面を忘れてはいけない。

 日本がロシアに勝った。この知らせは、多くのアジアの人々を歓喜させた。インドのネルーが感銘を受けたのは有名な話であるし、トルコでも子供の名前に「トーゴー」「ノギ」と付けるのが流行したと聞いたことがある。アジアのみならず、ロシア支配下にあったフィンランドでも独立運動が盛んとなった。
 一次大戦後のヴェルサイユ体制で、アジア・アフリカに対しては民族自決が適用されなかったことが民族運動の激化を招いたのは確かであろうが、ヴェルサイユ体制に幻滅するほどに独立への意識を高めたのは、日露戦争がきっかけの一つと考えていいだろう。

 日本にとっても、弱肉強食の当時の国際政治にあって、ロシアの南下は大きな脅威であり、それを食い止めたことは日本が近代国家として一人立ちしていることを示すのに十分だった。ロシアの南下を阻止できなければ、満州そして朝鮮はロシアの支配下に入り、日本は列強の脅威を直接感じなければならなくなっていた。また、日露戦争の勝利が日本へ対する敬意をもたらしたことも忘れてはならない。敬意にお釣りが来て、イギリスなどには警戒されてしまったのだが。
 民族運動の昂揚は結果論だったとしても、少なくとも日本の国益を守ったという部分は結果論ではない。日露戦争の勝利無くして今の日本はない。先人の努力と犠牲には素直に敬意を表すべきだろう。今の価値観で当時の戦争を批判するのは愚か極まりないことだ。

 日露戦争は、もっと日本人が誇りに思っていい戦いではないか。仮に二次大戦までの日本を非難する立場であっても、日露戦争が持つ意義を評価することとは決して矛盾しない。

問題あるなら具体的事実で反論を (5/28)
<靖国問題>「A級戦犯はもう罪人ではない」と自民・森岡氏(毎日)
 自民党の森岡正宏厚生労働政務官は26日の同党代議士会で、靖国神社参拝問題に関し「戦争は一つの政治形態であり、国際法のルールで行った。日本ではA級戦犯はもう罪人ではない」と述べた。小泉純一郎首相の靖国参拝は問題がないとの考えを示したものだが、政府の一員の発言であり、中国などが反発を強める可能性がある。
 森岡氏は「中国に気遣いをして、A級戦犯が悪い存在であるという処理のされ方をしているが、残念でならない」とも指摘。戦犯を裁いた極東国際軍事裁判についても「一方的な軍事裁判」と批判した。
 森岡氏の発言に対し、細田博之官房長官は26日の記者会見で、「事実関係に誤りも含まれ、論評する必要はない」と問題視しない姿勢を示した。
 森岡氏は、88年に日中戦争に関し「日本には侵略の意図はなかった」と発言し国土庁長官を辞任した奥野誠亮氏の秘書を経て、衆院議員になった。


 最終文は蛇足だろ。妄言吐いたヤツの秘書も妄言、って構図を示したいのかね。

 内容は、まさしく正論。刑が執行された段階でもう罪人ではないのは当然であるし、ましてや戦犯に関しては国会で名誉回復が為されている。マスコミは、こういう意見を非難するだけでなく、国会の名誉回復の歴史を共に述べるなど事実を明確にすべきだ…朝日や毎日には無理な注文か。
 民主党も「議員辞職しろ」と息巻いているようだが、発言の中のどの部分が誤りなのか、具体的な指摘はない。「断じて許されない」のなら、何がどう許されないのか、事実関係を明確に述べて反論するのが責務だろう(民主国対委員長、靖国発言で森岡厚労政務官の辞職要求(日経))。同様の理由で、細田さんも「何が誤りなのか」しっかり説明しないと、「戦犯は未だに罪人」という認識が正しいことになってしまうぞ。

 そりゃ中国も、恫喝外交を嬉々として仕掛けてくるわ。

虚構 (5/28)
 シャドーボクシングが得意なのは、筑紫だけの専売特許ではなかったということで。


没論理性がカルトの本質 (5/27)
 かつて1998年だったか、竹入義勝氏元公明党委員長が、朝日新聞に手記を連載したことがある。「秘話・55年体制の狭間で」というタイトルの回顧録である。
 様々な政治の裏話を通じ、創価学会と公明党との関係について論じていた文章であった。一宗教団体の手先となって動く公明党のあり方に疑問を呈したものであって、決して創価学会の存在を否定するようなものではなかった。筆致も穏やかで、創価学会或いは池田大作を直接非難するような文言は見当たらなかったと記憶している。

 しかし、池田大作はこれに反応した。回顧録の冒頭、「田中角栄元首相に対しては野党の立場から厳しく追及したが、政治的にも、人間的にもすばらしい人だった」という部分で池田大作への感謝が表現されていなかったというのが、彼の怒りの理由だなどと言われている。そのような馬鹿馬鹿しい理由が推測されるほど、池田の反応は感情的だった。
 回顧録連載の翌日に池田は、「自分の力で偉くなったと錯覚する者は馬鹿者である」「恩知らずです、畜生」「大胆に行動せよ、大胆に発言せよ。もうやろうじゃないか。戦おうじゃないか」とスピーチで述べている。
 これが口火となったのか、創価学会による竹入批判はヒートアップしていく。

 先程も述べたように、竹入氏は創価学会の存在自体については何の批判もしていない。あくまで、公明党と創価学会の関わりについて言及するのみであり、文章の本題は「政治と宗教の関わり方」にあった。「創価学会には独特の論理がある。『辞めるか辞めないかは、自分で決めることではない。任免は池田大作会長の意志であり、勝手に辞めるのは不遜の極みだ』というものだ」という言説に見られるように、池田の意志にコントロールされる公明党のあり方に疑問を投げかけているに過ぎない。
 しかし、竹入批判は、そのような言説とは無関係に繰り広げられる。

 「聖教新聞」などで竹入氏に貼られたレッテルを列挙してみよう。
 畜生以下の非道、欺瞞の天才、天下の変節男、泥棒野郎、銭ゲバ、天性の嘘つき、粉飾人生。
 もはや、竹入氏の回顧録の内容など問題にはなっていない。問題になっているのは、池田の意志に反した人間に対する憎悪のみであり、竹入氏がどんな内容の話をしたかなど関係ない。

 カルトに対する批判は、創価学会に限らずこのようなものになる。
 言ってもいないことを言ったようにでっち上げられ、あとは主張の内容の吟味など無く、教祖様の言うことは正しくそれに反するものは悪であるとされる。
 政教一致の恐れ大の公明党が、政教分離の原則に反すると靖国参拝を批判するというダブルスタンダードも、池田の意志であればその論理性に関わりなく正しい意見となる。カルトに論理は全く通用しない。

 カルト思想にどっぷりハマっているわけではないけど嫌悪感は感じていない人、そこに対してアプローチを仕掛けるようにしないと、本丸を攻めても小田原並の難攻不落なわけで。左巻き対策と同じだな。

やるべからざることのライン (5/27)
 小泉首相の総連へのメッセージについて、それを評価する人は内容だけを見て評価。朝鮮総連がメッセージを送るべき組織なのかどうかの言及はまるで無し。それとも、内容さえ多少まともならメッセージを送っても構わないという考えかな。小泉謝罪演説の時もそうだが、「これはやったらイカンだろ」というラインが人によってあまりにも違いすぎるのな。別にそんなモンは個々人の自由だし、それに対して否定はしない(批判はするけど)。しかし、個人的にはそういうのは節操がないようにも見える。まぁ夫婦だっていろいろ諍いが生じることもあり、他人同士ならなおさら見解の相違は出てくるものではあろうが。


総連へのメッセージ (5/26)
 昨日の最後に紹介したこの記事について。
首相が総連にメッセージ 拉致・核に言及(産経)
 小泉純一郎首相は24日夜、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が結成50周年を記念して都内のホテルで開いたレセプションに、拉致、核などの問題に言及した上で北朝鮮との対話再開に向けた協力を要請する自民党総裁としてのメッセージを寄せた。
 朝鮮総連の行事に対するメッセージは昨年5月の全体大会に続いて2回目だが、前回は拉致、核問題などに具体的に触れておらず、一歩踏み込んだ内容となった。
 メッセージは自民党の佐田玄一郎副幹事長が代読した。
 「拉致問題に誠意ある対応が見られず、6者会合が再開されない間に核兵器の保有が表明されるなど、国際社会全体の懸念を生じさせている」と指摘し「拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決し、国交正常化を実現するため、対話の再開を含め前向きな対応を強く求めている。朝鮮総連の皆さんもそれぞれの立場で可能な限りご協力を」と締めくくった。
 レセプションには政党関係者や各国の在日大使館関係者らが招かれ、約900人が出席。自民党のほか公明、民主、共産、社民各党の幹部らが姿を見せた。(共同)

 昨日テレビ朝日の「ワイドスクランブル」で全文が紹介されていたので、意見を述べる。

 まず、文章の内容以前に、総連に対してメッセージを送ること自体に問題がある。

 拉致問題には何の進展も見られないが、その拉致事件に朝鮮総連は深く関わっているとされている。いわば総連は、我が国の人間を不当に誘拐した犯罪国家の出先機関であり、主権を心がされた側たる日本の首相が、その犯罪組織の祝賀行事にメッセージを送るなど理解の範疇を超えている。家族会の抗議はその意味をふまえての物であろう。内容を知らずに批判、などという意見も目にするが、まずスパイ団体にメッセージを寄せることの異常さを認識すべきだ(その前に、拉致幇助団体がパーティ開けるという状況が異常なんだが)。

 首相の訪朝に関しては、総連とのパイプが大きく影響を与えたと言われているが、首相の昨年に続く今回のこの行動は、それを裏付ける動きと見られても仕方ないものだ。
 「首相は何か弱みを握られているのか」と妄想を続けていたが(まだ妄想でしかないという意識はあるんですわ)、首相の父親、小泉純也氏が帰国事業に深く関わっていたことと関係があるのかとも思い始めた。在日朝鮮人帰国協力会には、浅沼稲次郎社会党委員長、宮本顕治日本共産党書記長などとともに、小泉純也氏も参加していた。その時から、朝鮮総連との繋がりが深かったのか。ただ、この協力会には鳩山一郎氏も参加しており、左巻き一辺倒の組織ではなく、内情についてはまだまだ調べる必要があると思う。ゆえに、この段落の話は「メモ」ということで。メモならチラシの裏に書いてればいいのだが、誰か先にこの辺りの話を論評してくれないかなという期待も込めて←他力本願。
(参考リンク:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-12-02/05_0202.html

 話が逸れた。
 総連にメッセージを送ること自体が問題ではあるが、総連を通じて、北朝鮮に何らかのメッセージを発することが出来れば、無駄と断ずるのは早計だろうということで、内容を見てみると…。
 確かに、共産党の不破さんたちのように「お祝いの言葉」は入れてはいないが、平壌宣言を未だに生きた宣言であるという前提で話を構築し、日朝国交正常化を視野に入れた文言が入っていたりといった部分は、かなり融和的。「対話」と「圧力」の内の「対話」ってことですかね。「まだ日朝の繋がりは切れてませんよ、ボールを投げ返して下さいね」というところか。
 拉致や核について言及している部分を見れば、首相としては初めて総連にメッセージを送った昨年の物と比べると、相対的に強い態度を示していると見ることも可能。「核放棄や拉致問題解決が日朝国交正常化の前提」という考えには、私も異論はない(拉致問題が解決したら北朝鮮という国は存在し得ないと思うが)。ただ、不破さんの挨拶でも拉致問題に関する言及はあるわけで、とりわけ小泉首相が強い姿勢を示したとは言えないのではないか。

 この程度の内容ならば、総連のレセプションを利用せずとも、何か機会があった時に首相談話の形で発表しても問題なかったのではないだろうか。拉致幇助団体のパーティに挨拶を寄越してまで伝える内容ではない。記者会見で「総連に対して」という前置きで話をすれば、おそらくは本国に情報も行くであろうし。
 総連に拉致問題解決の働きかけを求めるという意図があるとしても、本国の指示通りに動く総連が「日本の利益になるような行動」を採ることはあり得ず、小泉首相の今回の行動に何か意味があるとは思い難い。メッセージの内容についてはとりたてて批判することも無いとは思うが、「総連のイベントで挨拶」というマイナスを補うほどのプラスがあるようには、私は感じない。



蓮池薫さん、翻訳家デビュー会見(読売)

 李舜臣を題材にした韓国の小説「孤将」の翻訳で、多少反日風味が入っているのは韓国のデフォルト。しかし、それを以て蓮池さんを批判するのは当たらない。翻訳は相手国のありようをありのままに紹介するのが仕事であろうし、だいたい仕事を選べるような一流翻訳家はごくわずかだろう。ここは素直にお祝いしたい。

 おまけ1。
「生産的でない」呉儀氏帰国に官房長官コメント避ける(読売)

 会話の噛み合わない中国に対してはそれでいいが、この件に関して「許す」という態度を示すのはやめていただきたい。中国のバカっぷりを世界に晒すいい機会ですから。

 おまけ2。
個人の判断と国益は違う 奥田会長が小泉首相に苦言(共同)

 経済的利益が国益の全てと勘違いしている男が、ここに一人。


内部の混乱が表面化か? (5/25)
 ヒロさん日記にて「闇のブログ」にご指名あずかりました。うちはブログではないのですが、「闇のブログ」、かっこいい響きです。そのカテゴライズに恥じないドスの利いた文を書きたいものです。

 で、今日も中国のドタキャン外交について。

 一日経過していろいろ情報が出てきた。
 まずは、ドタキャンの理由。

中国副首相、突然の帰国 「靖国発言」が原因 報道官、対日強硬に転換(産経)
 【北京=伊藤正】中国の呉儀副首相が二十三日、小泉純一郎首相との会談を急遽(きゅうきょ)取りやめて帰国した問題は、改善軌道に乗りつつあった日中関係を再び緊張させた。中国外務省は二十四日、靖国神社参拝をめぐる小泉首相や武部勤自民党幹事長の発言が副首相の緊急帰国の理由だったと認め、日本側の批判に真っ向から反論、対決姿勢をにじませた。国内の反日世論を背景に胡錦濤政権が今後、対日圧力を強めるのは必至な形勢で、民間交流にも影響は避けられないとみられている。(冒頭抜粋)

 昨日も「中国の意図は分からぬ」と書いたが、上記記事を読んでもやはり理解できない。

 理由については、はじめ「緊急の公務」と述べていたのに、一日空けて「靖国が原因」だったと日本を非難。本当に靖国が原因であれば、はじめから堂々と「軍国主義的考えを明らかにした小泉首相とは有益な会談は出来ない」と宣言して帰った方が効果大であった(中国ならやりかねん話だしな)。その方が日本の反日組織も動きやすかろう(そんなことお構いなしに中国を庇い日本を責めるアノ新聞はこんな調子)。「緊急の公務」と言ってドタキャンしておきながら「実は靖国が理由でした」というのは、あまりスマートなやり方ではない。韓国レベルの斜め上っぷりであり、中国らしくないような感じもする。要するに、「靖国が本当に原因なのか疑わしい」ということ。

 他にも不可解な動きがある。
 反日暴動のエスカレートは中共も望んではいない。ゆえに、今回のドタキャン外交や小泉発言に関しては、中国国内向けには情報を流さない方が政府には有利のはず。しかし、中共は日本の靖国参拝に関する発言を非難する孔泉外務省報道局長の声明を一斉に報道した。
 「靖国発言」非難声明を一斉報道=反日感情高まりも−中国各紙(時事)
 反日暴動のスイッチを入れたとも言えるのだが、反日暴動が反政府暴動に転化するのを恐れる中共が、なぜこのような報道を行ったのか。天安門みたいに戦車を出せば抑え込めると踏んだのか。


 愚考するに、中国国内でも相当の混乱があるのではないか。江沢民派と胡錦濤派の確執があるという話はよく聞くが、その対立が今回のちぐはぐな言動に出てきているのではないか。

 日本としては、中国を非礼と非難しつつ、それに同調するような姿勢を採らないよう毅然としていればよい。今回の件に関しては、小泉首相や閣僚らの対応は、評価できる。
 本音はどうあれ、靖国問題については中国がトンズラしたという形になったため、靖国カードは「中国の手から日本に移った」或いは「カードは無効化した」と見ることも可能(個人的には慰霊をカードにすべきでないと思うので後者の感覚だが、前者の感覚も許容範囲内で批判するつもりはない)。わけのわからん譲歩で、すぐに中国にカードをお返しすることの無いように願う。

 ただ一つ問題があるとすれば、この人。
「内政干渉」発言と撤回認める=中国側対応に不満−武部自民党幹事長(時事)

 中国の王家瑞中国共産党対外連絡部長との会談で、武部さんが「靖国批判は内政干渉という意見もある」と言ったところ、王家瑞が激怒し、武部さんがそれを撤回したという話。これは昨日午前の段階から一部で報道されていたが、本人が認めたという話はなく、「単なる憶測」「中国側の情報操作」の可能性もあったため様子見していた。しかし、本人がついに認めたようだ。
 「内政干渉という意見もある」と他人事のような意見を述べ、怒らせたらそそくさと撤回。本人の意見はどこへやら…と思っていたら、記者会見では「私は内政干渉とは思っていない」と。この人はやっぱり町内会長さんくらいが適任じゃなかろうか。

 ここまでいろいろ書いたが、このニュースを見ると、「首相に会わないと貰えないと思っていた物が、会わないでも頂けたので、帰らせていただきますわ」てのが真相のような気もしてきた゚∀゚)
中国人観光客へのビザ発給、全土への拡大を決定(読売)


 最後に、この件について。
首相が総連にメッセージ 拉致・核に言及(産経)
 小泉純一郎首相は24日夜、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が結成50周年を記念して都内のホテルで開いたレセプションに、拉致、核などの問題に言及した上で北朝鮮との対話再開に向けた協力を要請する自民党総裁としてのメッセージを寄せた。
 朝鮮総連の行事に対するメッセージは昨年5月の全体大会に続いて2回目だが、前回は拉致、核問題などに具体的に触れておらず、一歩踏み込んだ内容となった。
 メッセージは自民党の佐田玄一郎副幹事長が代読した。
 「拉致問題に誠意ある対応が見られず、6者会合が再開されない間に核兵器の保有が表明されるなど、国際社会全体の懸念を生じさせている」と指摘し「拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決し、国交正常化を実現するため、対話の再開を含め前向きな対応を強く求めている。朝鮮総連の皆さんもそれぞれの立場で可能な限りご協力を」と締めくくった。
 レセプションには政党関係者や各国の在日大使館関係者らが招かれ、約900人が出席。自民党のほか公明、民主、共産、社民各党の幹部らが姿を見せた。(共同)

 全文の内容が判明してから、意見を書くことにします。


中共は国際世論を気にしているのか? (5/24)
 中国が欧米の目を気にするのは、欧米が直接関わる問題のみの話で、対日本に限っては国際社会の目など微塵も気にしていないのではないか。

期限定めず中国全土へ拡大 団体客の訪日ビザ発給(朝日)
小泉首相との会談中止、中国副首相が急きょ帰国へ(読売)
小泉首相との会談中止 中国副首相「緊急の公務」(産経)
中国副首相帰国:国際的ルール軽視と不快感 町村外相(毎日)
 町村信孝外相は23日夕、中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を中止して帰国したことについて「最低限の国際的なマナーは守ってもらいたい」と強い不快感を表明した。同首脳はさらに「一国の首相が会う日程を、理由もよく分からずに土壇場でキャンセルする。ちゃんと説明すべきだ。国際的なマナーやルールをどう考えているのか」と批判。「先般の大使館などへの破壊活動と一脈、通じるものがある」と述べ、反日デモの破壊活動と同じように国際的ルールを軽視した動きだとの認識を示した。
 一方、同首脳は、小泉首相の靖国神社参拝問題が影響している可能性があるとの指摘について「憶測はできるだけしないようにしている」と述べるにとどめた。
 呉副首相は23日午後、羽田空港発の特別機で帰国した。24〜26日のモンゴル訪問は予定通り行われるという。副首相は当初、24日午前に訪日日程を終え、日本から直接ウランバートルに向かう予定だった。

 中国側の意図は、正直言えばよく分からぬ。大連へ入りその後そこからモンゴルへ向かうという話になっているようで、本当に「緊急の公務」が生じたとも考えにくい。「靖国参拝に難癖を付けるのは内政干渉だ」と突っぱねた小泉首相に会っても、意味はないと判断したのか、その言葉に対する鞘当てなのか。

 しかし、こうして国際的ルールを破って平然としている中国の行動を見るに付け、私たちが考えているほどには中国は国際世論など気にしていないのでは、と感じた。
 反日暴動の取り締まりに関しては、確かに欧米の評価を気にしているように見えた。だが考えてみれば、それは「欧米の評価」を気にしてのことと言うよりは、「北京五輪への懸念」を気にしてのことではないかという見方も成り立つ。

 ここで日本に対して無礼をはたらいたことで、中共がいかほどのダメージを受けるのか、ダメージと感じるのか(ダメージにならないとは思わないが、中国がそう感じるのかどうか…)。世界中が常に中国と日本の行動を注視しているわけではなく、日本が今回の件を世界中にアピールせねば(直接的言動のみでアピールするという意味ではない、この件を以て以後の会談の設定に影響を与えるなど間接的方法も含んでいる)、国際世論が中国に対し一気に冷めた見方をするようになるとは限らない。ヨーロッパ諸国も、直接自分に関わることでなければ即座に真剣に「今後の対中外交を再考する」というところまではいかないだろう。日本の動き次第では、ダメージを与えられるかも知れないが…。


 ある掲示板で、私の文に対する批判が書かれていた。それに反論させていただく。
(私のサイトの掲示板やその方の自サイトに述べていたわけではないので、場所は伏せる。本人様は読んでらっしゃると思いますので)

 仮想敵は中共政府だけでは有りません。朝日新聞の厚顔無恥を見れば反共を自覚する人ならばAA謝罪演説に関係なく中共政府が馬鹿げた行為をやるのは最初から目に見えている。それぐらい判ってますって言いたくなります。
 私は反日主義者への囲い込み戦法を想定して言っているのですが、反日主義者が厚顔無恥な言動をすればするほど国民の人心は反日主義者から離れていく。ついでに南北朝鮮以外のアジア諸国の支持が中共政府から離れていく。中共政府は無理矢理な国家体制だと見られるのがオチでありましょう。
 逆に言えば、どのみち反日主義者がこういう行動をすることは誰にも判っているので石原知事も安倍晋三氏も特に首相を批判しないのでしょう。菅直人氏や岡田克也氏は知りませんが(笑)肝心なのは反日主義者に言質を与えない事、件の3馬鹿国家以外の支持を取り付ける事ですね。最低でも敵対しない事。
 まあ、欧米宜しく支那を「恫喝」するのも一手でありましょうが、国家戦略は剛柔兼ね備えたいものです。
(改行などは引用者による)

 中国が国際世論を気にしているのかどうか、それについて私は上記のように疑問を持ったわけですが、そんな中で「中国の孤立」を望む戦術は効果があるのでしょうか。また、中国が孤立するような策を、実際に日本政府は採っているのでしょうか。武部&冬柴の珍道中を見ても、新幹線とODAの抱き合わせ販売も、そのような日本の戦略を読みとれるような動きではありません。政府が実際にそういう動きをとっている、という根拠があるのだとしたら、是非教えていただきたい。
 また、「無理矢理な国家体制だと見られる」とありますが、既に極東以外のアジア諸国はそれを知っているでしょう。むしろ東南アジアの国々は、スプラトリー諸島の問題で日本以上に骨身にしみて実感しているかも知れません。

 結局、国際世論がどうこう以前に、日本の問題なのです。日本が、中国の言動を認める動きをとってしまったことが問題なのです(小泉演説の意図は別にあるという推測は無意味だ、謝罪は相手の言い分を認めたことを意味すると受け止めるのは至極当然の話)。中国の述べる「日本は60年前まで酷いことをしまくっていた」という歴史観を受け入れるということは、中国のそのような歴史観に対する批判の資格を失うことになる…当たり前の論理ではないのでしょうか。小泉演説を評価するというのは、そういう意味合いがあるということです。
 中国の孤立を望むにしても、日本が中共に媚びる動き(新幹線などの話)をしてしまっては、国際世論を「反中国」の方向へ持っていくのは難しいのではないでしょうか。日本が「中国のプロパガンダ歴史観」に対して毅然とした態度を採っていないのに、他の国が日本の味方になると思うのは、甘えでしかないように私には感じられます。

 中国の馬鹿げた行為は折り込み済みということですが、それならば小泉演説の意義は何だったのでしょうか。東南アジアの国々は、戦前の日本に対してそれほどマイナスの感情を抱いてはいない、むしろ敬意を持っている感すらあります。それなのに中国が不条理な言動を採ってきたのは、今も10年前も同じこと。つまり、謝罪演説によって周囲の状況はほとんど何も変わっていない。靖国問題に関して、去年と今年で何が変わったというのでしょうか。
 もちろん、小泉首相が8/15に参拝するようであれば、私はそれを評価します。しかし、演説も同時に評価するには、参拝後の中共の難癖に小泉首相がどう対応するかを見なければなりません。そこで演説に関し「戦略があった」と認めるようなものが出てくれば、私もこれまでの発言を撤回し首相を大いに評価するでしょう。

 最後に。私は「恫喝せよ」などとは一言も言っておりません。AA会議では「何も言うべきではなかった」という認識です。
 もしよろしかったら、うちで話し合いませんか?

お知らせ (5/24)
 電脳補完録でアンケートを実施中。家族会・救う会が経済制裁を求めて座り込みの抗議活動をすることについての、賛否を問うています。ぜひご投票を。


ヘタレと断定してもいい頃合いか (5/23)
 政府の対中外交に最近積極的な動きが見られる。しかし、そのどれもが今までの「媚中外交」を踏襲したものとなっている。

期限定めず中国全土へ拡大 団体客の訪日ビザ発給(産経)
 政府は20日までに、中国人団体観光客への査証(ビザ)発給対象地域を北京市など3市5省から中国全土に拡大する問題で、当初予定していた「愛知万博(愛・地球博)期間中」との期限は設けず、恒久的措置として実施する方針を固めた。政府筋が明らかにした。
 中国側が強く要望していたもので、小泉純一郎首相が23日の呉儀・中国副首相との会談で伝える方向。ただ、観光客が日本にとどまり不法就労などの問題が続発すれば見直すこともあり得るとしている。

 韓国のビザ免除恒久化に続くような流れ。「問題が続発すれば見直し」としているが、現段階で日本に訪問する外国人の内の10%たる中国人が外国人犯罪の45%を占めている状態を考えれば、すでに「問題続発」であると言える。
 さらに気になるのは同内容を扱った朝日の記事にある首相の言葉。記事には「政府関係者によれば、首相から「とにかくやれ。やってみて駄目なら直せば良い」と指示があったという。」とある。確かに、小泉首相のこの言葉は事実かどうか、朝日の記事と言うことで眉に唾付けて見る必要があろう。しかし、こういう言葉が出てくるような文脈もまた確かに存在している。国内向けには勢いのいい言葉を述べている首相だが、実際の政府の動きにはそれに反するものが多い。

中国新幹線にODA 政府、採用なら供与方針(産経)
 政府は二十一日、中国が北京−上海間で建設を計画している高速鉄道に日本の新幹線を採用した場合、その建設を支援するための政府開発援助(ODA)を供与する方針を固めた。新幹線採用への呼び水としたい考えだが、政府・与党内の一部などには、日中関係がぎくしゃくしている折、中国は高速鉄道への採用問題を日本に対する新たなカードに使っているとして、ODA供与方針を懐疑的にみる向きもある。

 新幹線を中国に採用されることが日本のプラスである、という前提がなければ成り立たない話だ。
 しかし、中国が望んでいるのは「日本の技術をタダで手に入れること」であり、日本としては中国が新幹線を導入することで得られる物は何もない。それどころか、もし故障や事故が起きれば、日本の責任だとして謝罪や賠償を求めてくる可能性が大いにある。
 しかし、政府は、新幹線の技術をタダで叩き売りし、なおかつODAを供与するという。さらには、こうして中国に対して「新幹線を買ってくれないかな?」と媚びる姿勢を見せることで、この問題に中国にとっての新たな外交カードとしての有用性を付与してしまった。これがもし、冷え込んだ日中関係を改善するためのものだとすれば、愚かとしか言い様がない。関係改善とは、中国に媚びへつらい利益を与えることと同義ではない。
 中国としちゃこんな美味しい話はないわな。カモがネギと鍋とだし汁を持ってきたようなモンだ。


 そしてそんな中、自公幹事長のタケシバによる支那道中膝栗毛。みごとに説教を喰らっており、ガキの遣いにすらなっていない。
唐国務委員、首相の靖国参拝中止改めて求める(読売)
靖国参拝中止を再度要求 胡主席、与党幹事長に(共同)
 【北京22日共同】自民党の武部勤、公明党の冬柴鉄三両幹事長は22日午後(日本時間同)、北京の人民大会堂で中国の胡錦濤国家主席と会談した。胡主席は歴史認識問題に関し「目にしたくない動きが日本にある」と指摘。具体的に(1)日本の指導者層の靖国神社参拝(2)台湾問題への対応(3)歴史教科書問題−−の3点を挙げ、小泉純一郎首相の靖国参拝中止などを再度要求した。
 その一方で、胡主席は「中日関係の友好発展は両国の根本的な利益にかなう」と述べ、両国の関係強化に努める考えを表明した。
 武部氏は歴史問題について「過去の過ちを二度と繰り返さないよう、歴史を風化させてはならない。こうした考えを若い人たちに伝えたい」と強調。4月の日中首脳会談で胡主席が示した、日中共同宣言の順守や歴史の反省など日中友好に向けた5つの提案に「対応する」との小泉首相のメッセージを伝えた。


 冬柴は、靖国に反対し朝鮮寄りの思考回路を持つ池田大作党の人間だから放置するとして、武部は「自民党内部の左巻き勢力」の代表のような発言をしている。武部の発言に、日本の考えを主張する毅然とした態度など存在しない。中国の述べる歴史観を是とし、それを受け入れることを確認した言質だ。
 小泉首相がAA会議で謝罪を確認したことなど、中国にとっては殆ど難の意味もなかったことは既に明らかだろう。小泉演説を評価しながら中国のこの動きを批判できる厚顔無恥な人も出てくるのか、少し楽しみでもある。謝罪をしたら行動で示すよう要求する、中国の行動は至極当たり前のものだ。首相を批判するのは対中・対朝鮮に囚われすぎな近視眼的な見方という意見を当時見かけたが、近くすら見えていなかっただけではないのか。

 「謝罪の次は行動」と言っているのは中国政府だけではない。
日本に謝罪と補償求めるアピール 過去の清算求める集会(朝日)
 東京都内で開かれていた「戦後60年・被害者とともに日本の過去の清算を求める国際集会」が21日閉幕した。中国、韓国、台湾、フィリピン、インド、オランダ、米国から戦争被害者や国会議員ら約200人が参加した。
 分科会では元慰安婦や被爆者、民間抑留者、元BC級戦犯ら戦争被害者や研究者が発言。在米韓国人や在米中国人らの団体がインターネットで「過去の清算をしていない日本の国連安保理常任理事国入りに反対する」との趣旨での署名を募ったら、2カ月で4千万人分が集まったという。韓国政府が日本の植民地支配時代の被害を調査する「真相糾明委員会」を発足させ、2月から戦争被害の申告を受け付けたところ、13万件を超えたとの報告もあった。
 全体集会ではアピールを採択した。4月22日に小泉首相がジャカルタで、95年の村山首相談話を繰り返す形で表明した「おわびと反省」について「誠実な謝罪として受け入れることはできない」と批判。「求められるのは村山談話を超えた真摯(しんし)な謝罪と、それを裏付ける措置と行動」として、8月15日までに、政府には戦争被害者への直接の謝罪、国会には謝罪と補償のための立法を求めた。歴史教科書については「歴史の真実に忠実な、近隣諸国からも評価される内容に改めるべきだ」とした。

白黒反転 (5/23)
 サイトの白黒反転の話が出ていた。読みにくいということなのだが。
「ヒロさん日記」5/23付エントリー

 うちも白黒反転ですね、ってか反転使っているところって最近はあまり見ないですな。blogが主流になりつつあるからかな。
 拙者としては、黒地の方が目が疲れないのと、「PC画面は黒地に白字だろ」というイメージがあるため、このやり方。白地だと長文読んでいてつらくなる時があるんですわ。逆の人もいるようで、結局は「人それぞれ」って結論にせにゃならんのでしょうけど。


小泉後について (5/22)
 日曜日は軽めに、夢想も含めて主観的な文章で。

 土曜日の朝日朝刊に載っていた記事。

朝鮮総連パーティー招待に首相苦慮 日朝進展なく慎重(朝日)
 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が小泉首相や岡田民主党代表らに対し、24日に開く結成50周年記念パーティーへの招待状を送っていることが明らかになった。首相は昨年の朝鮮総連の「全体大会」にはメッセージを送って日朝国交正常化への意欲を伝えたが、今回は北朝鮮情勢が悪化している状況。首相は出席を見送る見通しで、メッセージを送るかどうかを含めて対応に苦慮している。

 「対応に苦慮」って、今頃総連の大会に出席するか祝賀メッセージを送るか否かで苦慮する神経が、私には全く理解できない。日本人拉致の日本国内の拠点として工作活動を行い、在日朝鮮人に対し民族教育を施し将来の反日闘士を養成するような、そんな組織に対してなぜ日本国首相が祝賀を述べることを選択肢に入れねばならないのか。はじめの訪朝でマツタケ以外も貰ったか?
 子供が誘拐されたのに、誘拐犯グループに対して「結成5周年、おめでとう」なんて祝賀の電報を打つ親が、どこにいる?
 昨年5月に開かれた第20回全体大会に歴代首相として初めて総連に祝賀メッセージを送っている小泉首相。核問題で騒がしくなっている状況で、もはや北朝鮮に何の誠意も見られないことがアホの目にも明白となっている状況で、またもや総連に尻尾を振るマネをしでかすのか。そんなことなら、私も「小泉首相退陣」を要求するようかもしれない。

 北朝鮮とのパイプが朝鮮総連を通じた物しかないため、そこを塞ぐと二進も三進もいかなくなるのか。もうやる気がないんだったら、いっそ怪しげなルートなど断ってしまった方がいいんじゃないかな。
 だいたい、突っぱねるにしても「家族会の反発を招くから」という理由であるとするならば、これほど情けないことはない。国民感情や家族会の感情には関係なく、一国の首相としてどう行動すべきかなど自明の理であるはずなのだから。


 しかし、小泉退陣を求める際に問題になるのは、誰が後がまになるのかということ。安倍さんがなるといいだろうなという希望は持つことが出来るが、首相公選ではないため、実際に安倍さんが首相になれるかどうかは分からない。町村さんや麻生さんが出てくればまだマシかとは思うが、訳の分からん政治力学が働いて古賀みたいなのが首相になってしまったら目も当てられぬ。
 また、安倍さんが首相になるにしても、党内の基盤をもう少し固めてからでないと、彼がやりたいことができないまま失速してしまう可能性もある。期待する人物なので、力が発揮できない状態で首相になって欲しくないという思いもある。

 理想としては、拉致議連が政党という形に昇華してくれたら、という願いを持っている。拉致に対して真正面から取り組もうとすれば、必然的に日本の国家主権や防衛についても現実的な政策を考えることになる。民主党は話にならない、自民党も北朝鮮や中国に媚びる連中を抱えている、となれば、もう一度「国家主権」を軸にした政界再編が為され、現在のねじれ状態を解消した上で様々な改革が断行されるべきだ。

 その意味でも、民主党には本当にしっかりしてもらいたいのだが…。
政権交代への道筋付けた 代表就任1年で岡田氏(共同)
 民主党の岡田克也代表は17日の記者会見で、18日で代表就任1年を迎えることについて「政権交代への道筋を付けることができた。次の総選挙の準備は着々と進んでいる」と強調した。
 その上で「山のふもとから登り始めて6、7合目だ。年内に8合目まで持っていく。来年に想定される解散・総選挙で、300小選挙区のうち170選挙区で確実に勝てる体制をつくりたい」と意気込みを述べた。
 小泉純一郎首相が靖国神社の参拝問題で、中国、韓国の反発に不快感を示したことに関しては「日本国の首相としての自覚を欠いている。(靖国に)行くことに正当性があるならば、中国や韓国をきちんと説得する責任がある」と批判した。


 「中韓を説得する責任がある」などと出来るはずもないスットコドッコイな言説を述べているようでは、政権交代への道筋など夢物語だ。


経済制裁について (5/20)
 北朝鮮に対する経済制裁には、賛否両論がある。

 昨日私は、「国内の準備が整わぬのに特攻精神で制裁を行うべきではない」という内容を述べた。いくさは勝たねばならないからだ。拉致問題解決のための経済制裁とは、北朝鮮との対決を精神的にも物理的(法的)にも覚悟し、拉致被害者救出手段を現実的に考慮できる段階になって行うべきものだ。

 北朝鮮と対決する体制が整っていない状態で全面的経済制裁に踏み切れば、北朝鮮の情報戦を防御することも出来ず、メディアが困窮する朝鮮人を報道して日本人の同情を誘ったり、或いは国内テロで世論を恐慌に陥れたり、或いは北朝鮮がしぶとく生き残り続けて次の手だてが見出せないという可能性も出てくる。やるならば、情報戦に勝てるだけの準備を整え、経済制裁の次の手段すなわち武力行使を行うことが出来るような法体系整備もしくは憲法改正を行い、勝てる準備をしてからでなければ最大限の効果を生まない。実際に武力行使をするかどうかは別としても、そういう手段が可能性としてあり得ることになれば、経済制裁の「恫喝力」も増す。

 私の結論としては、経済制裁を実行する前にやらねばならないことが山ほどある、ということだ。

 では、即時の経済制裁を求める意見に反対か…となると、そうは割り切れなかったりもする。

 上記に述べたのは理想だ。準備をしている時間が存在することが前提となっている。今、それだけの時間が許されているかについては、疑問がある。

 ここ数日何度も書いてきたように、北朝鮮の「核」に注目が集まっている現状において、時間をかけて準備をしていたら、核問題が解決もしくは妥協が図られて拉致については国際世論から置き去りにされてしまう可能性がある。北朝鮮に絡む問題は「核だけではない」ということを訴えるべきだ。

 また、国連の安保理に北朝鮮問題が付託され、核問題で経済制裁が行われるということになった場合。核問題で解決の道筋が立てば当然、制裁は解除ということになる。その場合、日本が拉致問題に関して何の行動も起こしていなければ、拉致問題で国際的圧力を与える機会は失われ、日本の単独制裁で臨む以外に方策が無くなってしまう。つまりは、現在の状況に逆戻りということになる。
 安保理付託の前、或いは少なくとも国連による制裁が行われるよりも前に日本が「拉致による制裁」を行っておかねば、国連による拉致問題に関する経済制裁という「使える手」を逃すことになる。それどころか、拉致問題解決にとってはまた数年間を無駄にしてしまうということになりかねない。

 ゆえに、日本が拉致問題を世界にアピールするためにも、少なくとも経済制裁の構えは見せておかねばならないし、核問題で米朝が妥協しそうになった場合や安保理付託で核問題による国連の経済制裁が行われそうになった時には、準備不足であろうとも経済制裁を行って日本の立場を主張せねばならない。「各国との協調して制裁を」と述べる人ほど、今の政府の姿勢は非難してしかるべきだと思うのだが。

万景峰 (5/20)
 しかし、万景峰の入港を阻止するのは、拉致事件に絡む経済制裁に拠る必要はないような気もする。万景峰のような工作船の入港、或いは朝鮮総連のようなスパイ組織の存在、それらを放置するのは拉致事件の解決とはまた別の次元の話にも思える。
 仮に拉致がなかったとしても、日本に対して不利益を与えるような活動は、日本の国益を考えれば取り締まるのが当然。万景峰や朝鮮総連は、拉致問題に関わる経済制裁で抑え込むという以前に、日本政府が国家・国民の利益を考えているのならばその排除を考えるべき性質のものでは無かろうか。


工作船が堂々と入港できる日本 (5/19)
 工作船が堂々の入港。今日午後80tの荷物を載せて帰っていく。

<万景峰号>新潟に入港 拉致家族会ら抗議の声上げる(毎日)
 北朝鮮の貨客船・万景峰(マンギョンボン)号が18日午前8時50分、新潟市の新潟西港に接岸した。昨年12月1日以来の入港で、今年3月の改正油濁損害賠償保障法施行後は初めて。港内では拉致被害者の家族会のメンバーらが「家族を返せ」などと抗議の声を上げた。
 万景峰号は当初、4月の入港を予定していたが、同法で適正な船主責任保険への加入が義務付けられたため延期した。その後、保険会社と契約し、国土交通省が今月11日、入港に必要な証明書を交付していた。
 同船は乗客24人を乗せ、貨物19トンを積載。接岸後、国交省の担当官が船内に入り、証明書を確認する一方、海上人命安全条約などに基づき、昨年7月以来となる船の安全検査「ポート・ステート・コントロール(PSC)」を実施。救命設備などに問題がないかチェックした。船は19日午前10時、北朝鮮の元山港に向け出港する予定。
 港内で入港に抗議した増元照明・家族会事務局長(49)は「北朝鮮の船を自由に出入りさせる政府に、拉致事件を解決する気が本当にあるのか」と国の対応を批判した。
 一方、在日本朝鮮人総連合会の担当者は「同胞たちは祖国の家族との再会を楽しみにしていた」と運航再開を歓迎した。【前谷宏】


 家族と再会できず何十年も経つ拉致被害者を棚に上げ、「同胞たちは祖国の家族との再会を楽しみにしていた」とは厚顔無恥な物言い。拉致被害者やその家族の心情を想像するに、「暴言」としか表現できぬ言葉だ。
 しかし、そのような言説を許しているのは日本の姿勢の故であったりもする。万景峰は、入港できなかった6ヶ月を取り返そうと、6月までに6回の入港を行う予定という。

 多くの物資を北朝鮮に輸送し、工作員との連絡にも使われていると言われるこの工作船が、合法的に入港できるという事態は、どう考えても異常だろう。
 日本国民を誘拐したということで北朝鮮は日本の主権を侵している、少し煽った言い方をすれば宣戦布告と同等の行為をしているわけだ。しかし日本は、北朝鮮の工作活動の手助けをしている船に対し、「法に則っているから」ということで堂々と入港することを許してしまっている。感情的に許せる話ではない。

 また、日本が北朝鮮のこうした活動に対して何ら歯止めをかけないようであれば、国際的にも「日本は拉致問題を本気で解決しようとしていない」という態度をアピールすることにならないだろうか。即時経済制裁が必要とは言わないが、経済制裁の「構え」すら見せない政府の姿勢や、制裁の実行、つまり北朝鮮との「対決」に必要な準備(憲法改正やスパイ防止法など)を早急に進めようとしない政府の態度は、拉致問題解決の大きな阻害要因になるのではないか。自然発生的に「拉致問題解決への国際的な流れ」を期待しても、拉致問題が究極的には日本独自の問題である以上、まわりがお膳立てをしてくれるのを待つのは得策ではない。

 日本は、日本自身の意志を示さねばならないと、何度も書いてきた。
 アメリカに頼りきることは大きな危険をはらむからだ。

「6カ国」復帰 北、来月後半回答か 専門家ら米朝折衝の進展指摘
【ワシントン=樫山幸夫】北朝鮮が近い将来、六カ国協議に復帰してくるとの期待感が米国内で台頭しているが、ワシントンの朝鮮半島専門家は、北朝鮮が遅くとも来月中、下旬までに何らかの前向きの回答をしてくるとの見方を強めている。復帰条件をめぐり現在、米朝の水面下の折衝が行われているという。
 六カ国協議に近いワシントンの外交筋は十七日、北朝鮮がこれまで求めてきた、主権国家容認、米朝二国間対話の拡大をめぐって、米朝間の協議が行われており、何らかの合意に達した場合、北朝鮮が協議復帰を決断するとの見方を明らかにした。北朝鮮の動向に詳しい別の外交筋も、「舞台装置が整いつつある」と述べ、やはり米朝の話し合いが進展していることを指摘した。

 アメリカは北朝鮮に対して「核実験したら制裁するぞ」と圧力をかけつつも、水面下で交渉を行っている様子(これこそ「対話と圧力」なんだが)。アメリカにとって北朝鮮に絡む懸案事項は核問題であり、その点で妥協ができるのならば、米朝の緊張は緩和される可能性がある。勿論、人権問題、拉致問題に関して、アメリカは「それが解決されねばテロ支援国家の指定は外さない」としているが、多くの日本人が期待しているであろう「武力行使を含めた北朝鮮へのコミットメント」までアメリカが実行するかは不透明。可能性を考えれば、核問題で解決が図られて拉致問題は置き去りに、という状況もあり得る。
 イラク情勢が落ち着けば本腰を入れるかも知れないが、まだそのような状況ではないと私は見る。アメリカでは、「イラク村」なるものをつくり、イラク人役者を住まわせ、そこで米軍の訓練を行っている。イラク人は、時には米軍の要求を拒否したり、(実弾は使わないが)銃撃戦を行ったりする。イラクの文化を知り、イラク人とのコミュニケーションを円滑に行おうという意図らしい。その訓練は未だに行われているらしく(月曜か火曜にフジテレビでやっていたと記憶している)、イラク情勢がまだ予断を許さないものであることを示しているように思う。

 ともかくも、拉致問題解決には、日本が自分の足で立って自分の意志で行動することが求められる。拉致問題解決に最も本気になれるのは、当事者たる我が日本しか無いのだから。
 しかし、我が国の首相はこんな発言をしている。

北朝鮮経済制裁に慎重 首相「効果ばかりでない」(共同 5/16)
 小泉純一郎首相は16日の衆院予算委員会で、北朝鮮に対する経済制裁発動について「拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決するには日本独自の動きだけでなく関係諸国との協力が重要だ。経済制裁を発動して拉致問題に効果的か考えると、必ずしもそういう面ばかりでない」と述べ、あらためて慎重な考えを示した。
 さらに、首相は「6カ国協議の場で平和的解決を目指すべきだ」と強調。北朝鮮で核実験の兆候があるとの情報に関し「事実かどうか確認してないが、核問題を政治的道具として、自らの立場を有利にしながら各国との関係を考えていこうとしている」と指摘した。


 北に取り込まれた韓国、日本を外交的に格下げしたロシア、世界一の軍事覇権国家たる中国、そんな国々とどう協力するのか、具体的な青写真は存在するのだろうか。拉致問題解決に向けて、何か準備一つでもおこなっているのか。

 日朝国交正常化で名を残すことができなくなったから、今は常任理事国入りで名を残すことに躍起になっている…そんな穿った見方もしたくなる。


小泉首相批判、報道せず=対日世論悪化に対応−中国各紙(時事)
 【北京18日時事】18日付の中国共産党機関紙・人民日報など中国主要各紙は、小泉純一郎首相が靖国神社参拝について「他国が干渉すべきではない」と述べたことを強く批判した孔泉・中国外務省報道局長の発言を報じなかった。

 これは小泉外交の成果でも何でもない。中国が反日の目を封じざるを得なくなった背景に、小泉首相の行動はほとんど影響していない。小泉さんが何もしなくても、中国としては反日の皮をかぶった反政府分子を抑え込む必要性は消えないし、暴動に対する国際世論の冷たい目も変化無かっただろう。


 最後に。
 こういうのは、情報攪乱と言うべきではないのか。
クライン孝子の日記(5/18付)

 「元北朝鮮工作員脱北者の安明進」さんが4月に中国に入国してから行方不明」というメールを紹介。しかし、すぐに、別の人からのメールでその内容を撤回。
 先日も、メールの垂れ流しを批判され、「私のスタンスは読者の人には分かってもらっている」と開き直っていたが、偽情報を流したことに関して責任の所在がどこにあるのか明確にしていないのはやはり問題だろう(実際にクライン氏は謝罪をしていない)。寄せられた情報に対する吟味も行わないようでは、ただの掲示板と変わりない。
 情報工作の発信基地とならないことを願うばかりだ。

 この情報は15日付の日刊ゲンダイにも載っていたらしい。偽情報を垂れ流して恥としないメディアには、制裁を加えられるようにしなきゃいかんよ。


戦犯はもはや戦犯ではない (5/18)
 久しぶりに朝日新聞の社説を取り上げることとする。靖国参拝に関する中国の言動は内政干渉だという小泉首相の言葉に、一日遅れで噛みついている。冒頭部分を抜粋しておく。

靖国参拝 孔子が嘆いていないか(5/18付朝日社説)
 「どの国でも戦没者への追悼を行う気持ちを持っている。どのような追悼の仕方がいいかは、他の国が干渉すべきでない」「A級戦犯の話がたびたび論じられるが、『罪を憎んで人を憎まず』は中国の孔子の言葉だ」
 小泉首相は衆院予算委員会でこう述べて、靖国神社参拝を続けることに改めて意欲を見せた。
 中国や韓国は「A級戦犯がまつられている靖国神社への参拝は絶対にしないようにしてほしい」と繰り返し求めてきた。A級戦犯は日本の侵略戦争などの責任を負うべき人物だ。被害者の立場からすれば当然の気持ちだろう。
 それを「干渉」とつっぱねてしまっては、実のある対話は成り立たない。それが分かっているからこそ、互いの感情を傷つけないような形を模索する動きが自民党内にもあった。
 A級戦犯がまつられていない靖国神社なら近隣国も異を唱えないのではないか。そんな読みから自民党有力者がA級戦犯の分祀(ぶんし)を神社側に働きかけた。

 「A級戦犯がまつられていない靖国神社なら近隣国も異を唱えないのではないか」という、見事なまでの楽観論。分からずにバカを晒しているだけなのか、中国への忠誠を見事に尽くす確信犯か。

 中国も韓国も、一度要求を飲んでしまえばとことんそれにつけ込んでくる国だ、というのはまともな知識と知恵がある人なら分かり切っている話。靖国に首相が参拝することの是非は措くとしても、中韓のその姿勢のゆえに、靖国に関しては日本は譲歩を許されない。靖国は靖国にとどまる問題ではなく、対中・対韓外交において譲ってはならないデッドラインでもある。
 仮にA級戦犯を分祀したとしても、次にはB・C級戦犯の扱いについても言及してこようし、首相や外相らの参拝には様々理由を付けて干渉し続けるだろう。日本が中途半端に譲歩し続けてきたことで、中国にとって旨みのある外交カードになってしまっているからだ。中国の性格と合わせて考えれば、分祀で大人しくなるわけがない。

 仮に「A級戦犯が悪い」という主張に対し65536歩ほど譲ったとしよう。しかしそれでも、中国の言い分に理は無い。A級戦犯という概念は、現在はもう存在しないからだ。
 以前にも書いたと思うが、戦犯に関しては日本の国会において名誉回復が行われている。旧軍人軍属への恩給は1952年「戦没者遺族等援護法」によって復活し、1953年にはさらに拘禁中に死亡した戦犯に対しても公務死と扱うことが決められた。52年から55年にかけて「戦犯在所者の釈放等に関する決議」「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」などが圧倒的多数で可決されており、A級戦犯は既に50年前にその罪を非難される存在ではなくなっているのだ。国際的にも、サンフランシスコ講和条約第11条に基づきその罪は免責されている。

 さらに言えば、極東軍事裁判自体にも問題があり、A級戦犯なる用語は戦後でっち上げられた代物。通例の戦争犯罪や人道に対する罪に該当する者がB・C級戦犯とされたが、A級は「平和に対する罪」という国際法にも書かれていないような概念で裁かれた者たちであり、そのような罪は大戦終了後に作られ、「法の不遡及」にも抵触する概念だ。つまりは、開戦時などに偶々日本の指導層にあった人間を裁いたに過ぎない。当然、A級だから罪が重い、などということはない。
 戦勝国が「勝てば官軍」の原則を遺憾なく発揮しただけのことであり、日本がその判決を受諾したとしても、そのような見方まで受け入れる義務はない。

 さらにさらに言えば、中国共産党は戦勝国ですらなく(戦勝国と言えるのは国民党)、A級戦犯がどうのこうのと難癖を付ける資格など無い。

 日本に非があれば検討する必要もあろう。中国が本当に心情的にA級戦犯を問題視しているのなら、もしかしたらそれを斟酌する必要があるのかも知れない。
 しかし、靖国に関して言えば日本に非があるわけではなく、また中国がA級戦犯を問題視しているのもあくまで外交戦略として利用しているだけのことだ。そうでなければ、A級戦犯の合祀後すぐに文句を言ってきたはずだ(実際には首相の参拝やA級戦犯合祀と中国の干渉にはタイムラグがある)。

 …と、仮にA級戦犯は悪者だったと考えても、中韓の言い分に理はない。ましてや、A級戦犯とされた人たちに対し「罪を犯した」と断罪するのも、非常に短絡的な見方なわけで。
 日本としては、原則を曲げず毅然とした対応で臨む以外に無い。

 チベットなどで現在進行形で虐殺を行っている中共の方こそ、戦犯として罪を問うに相応しい存在ですわ。


暴動の死者? (5/17)
 続報が出てこないと、何とも判断しがたいのだが…。

日本人と間違え?北京で比人父娘が殺害・香港紙報道(日経)
 【香港=佐藤一之】15日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、反日デモが起きた直後、北京・天安門広場でフィリピン人父娘が中国人の若者に襲われて死亡し、日本人と間違われた襲撃だった可能性もあると伝えた。
 事件発生は4月19日。この父娘はツアー旅行中で、一緒にいた母親も重傷を負って病院に運び込まれた。フィリピンの外交官が中国側から入手した情報によれば、加害者は中国江蘇省出身の25歳の男で殺害後直ちに逮捕された。動機などは明らかではない。
 北京では4月9日に反日デモが発生、日本大使館が投石されるなどの騒ぎとなった。殺された父親の会社の同僚は「彼は日本人に外見が似ていた」などと同紙に証言しており、フィリピンの外交官も「日本人の家族と間違えられたのではないかという憶測について早くはっきりさせたい」と話している。


 香港紙の報道であること、事件から1ヶ月近くたっての報道であること、フィリピン人と日本人を間違える可能性は高くないだろうこと、これらからこの報道を鵜呑みにするのは危険だと判断すべきだろう。
 ただ、これが事実であった場合、反日暴動により(間違われたとはいえ)死者が出ていたことになり、非常に大きな問題となりうる。日経以外は伝えていないこのニュースだが、続報を待ちたい。

慰霊は国内問題 (5/17)
 いつも首相を批判ばかりしている拙者だが、これに関しては評価したい。

靖国参拝継続の意向 首相が中韓に不快感(共同)
 小泉純一郎首相は16日午前の衆院予算委員会の外交問題などに関する集中審議で、今年中の靖国神社参拝の有無について「いつ行くか、適切に判断する」と参拝継続の意向をにじませた。
 同時に、首相は「戦没者の追悼でどのような仕方がいいかは、他の国が干渉すべきでない。靖国神社に参拝してはいけないという理由が分からない」と述べ、首相の参拝に反発する中国や韓国に強い不快感を表明した。
 また、首相は「中国側は『戦争の反省』を行動に示せというが、日本は戦後60年間、国際社会と協調し、二度と戦争をしないという、その言葉通りの行動によって、戦争の反省を示してきた」と強調し、靖国参拝の取りやめを求める中韓に反論した。


 戦没者の慰霊に関して、他国が言い募る権利など無い。戦没者慰霊は、極めてドメスティックな問題とするべきだ。
 他の慰霊施設を作るという案や、靖国を他宗教或いは無宗教の追悼施設にするという案が、何年も前から政治家の中から出てきている。隣国の干渉に屈した形でなく日本国内での議論の結果生まれてきた案であれば、個人的賛否は別として検討の価値はあると私は考える(無宗教の慰霊なんてものは絶対に存在しないとは思うが)。
 だが、現段階で現状の靖国以外の形を求める声は、殆どが中韓の声を基盤にしており、それを実行すれば中韓の声に屈することになる、つまり更なる譲歩を要求されることになるため、絶対に今のラインを後退させてはならない。仮に靖国以外の形を探るのならば、中韓が黙った時以降にせねばならない。ま、そんなことはあり得ないから、やはり靖国は維持すべきって結論になるのだが。

 8/15の参拝を望む。中韓の声をはねつけるには、この日以外に無い。言うことを聞いたらいかんですよ、相手はこんなコトする覇権国家ですから。
建国後最大の海洋調査始動=日本との摩擦海域も−中国

 ついでに、小中国の方は、こんなことをしでかしている。
韓国漁船が接触、追跡の巡視艇船首に穴 長崎・対馬沖(朝日)
 漁船が日本領海に入ってしまった、という話ではなく、韓国人は「対馬は韓国領」と認識しているのだという文脈で見るべきだろう。彼らは「対馬も独島(竹島)もウリのもの」と本気で思っている。朝鮮戦争勃発の時には、対馬侵攻のために軍を南に集め、そのせいで北の侵攻を招いたという話もある。
 日本も、こういう馬鹿野郎には容赦なく銃撃して、魚の餌にできるようにしないといかんですな。特攻船の被害は今回だけではないのだから。日本は、敵性国家に囲まれているのが現実、アジアの隣人と仲良くなんてのはお花畑の妄想以外の何者でもない。

NW紙の誤報 (5/17)
 次は、海の向こうの誤報事件。
「Newsweek」の報道をきっかけにイスラム教徒の反発。

「コーランをトイレに流した」と報道、反米抗議広がる(読売5/13)
【イスラマバード=平本秀樹】キューバのグアンタナモ米軍基地で、聖典「コーラン」をトイレに流すなど、イスラム教を冒涜(ぼうとく)する行為があったとの米誌報道に、アフガニスタンやパキスタンで多くのイスラム教徒が猛反発し、アフガニスタン東部のジャララバードで、抗議集会の参加者4人が警察に射殺されるなど、同国内で7人が死亡した。
 発端は、米誌ニューズウイークの最新号が掲載した短い記事。複数の情報筋の話として、グアンタナモ基地で、イスラム教徒の被拘束者の平静を失わせるために、取調官が、コーランをわざとトイレの上に置いたり、トイレに流したりしていたと報じた。


コーラン冒とく記事「誤り」 ニューズウィークが謝罪(共同5/16)
ニューズウィーク、コーラン冒とく記事を取り消し(ロイター)
Newsweek retracts Quran abuse story

 謝っているだけ日本のアノ新聞よりマシ…とは言えないわな、死者出てるわけで。
 
 はじめに読売の記事を見たとき、「コーランって水に溶ける紙に書かれてるのか」とアホな疑問を持ったのを端緒に、何となく胡散臭い記事に思えたので放置していたのだが、やはり誤報だった。ニューズウィークは謝罪し、記事の取り消しを行ったが、死者まで出ているためそれで済むのかどうか。上記最後の記事のリンク先には「May 16: The Bush administration says Newsweek's apology for its story that U.S. interrogators flushed a copy of the Quran down a toilet is not enough. NBC's Pete Williams reports.」という映像記事が出ており、アメリカ政府の対応も注目したい。
 そう言えば、ニューズウィークだったと思うが、少し前に「竹中氏が小泉後継に浮上」なんて記事があったと記憶している。いい加減な雑誌ってどこの国にもあるものなんですね。


定見無き政府の姿勢 (5/16)
 本音というのは隠していても出てくる物で、いくら表を取り繕っても内面は用語ににじみ出てしまう。北朝鮮の無法ぶりを指摘した後で、日本のガス抜きはどこでしたらいいのか、などと宣うサイトあり。日本人の北朝鮮への要求はガス抜きレベルの物かよ。日本政府を批判する人間の意見は感情論、としか見ていないってことな。論理的推測と希望的観測とを混同してるだけ。

 まぁ、10年前に比べれば保守系の意見がネット上では多く見られるようになってきた(自分も、保守系という認識はないのだがおそらくはそう判断されるのだろう)ゆえに、その中でも多くの意見に細分化されてきているってことなのか。それならば悪い話ではないが、ただ、小泉支持ありきで話を持っていこうとする意見であれば、社会党がダメだから自民党は何でも支持って姿勢と何ら変わらず、所詮は戦後民主主義思想の揺籃から脱却できていないということになる。

 
 さて、今回も政府の対応を批判せねばならない。
 万景峰が契約した保険会社が胡散臭いという話は以前から出ており、産経は2月にそれを早くも記事にしていた。しかるに、国交省はそれを理解できていなかったのか、何なのか。

北朝鮮船18隻 国交省ずさん審査 契約の保険会社、支払い拒否“常習”(産経)
 国土交通省が「改正船舶油濁損害賠償保障法」(改正油濁法)に従って日本への入港に“お墨付き”を与えた北朝鮮船と「船主責任保険(PI保険)」契約を結んでいる保険会社が、これまでに度々、保険金支払いを拒否し、訴訟を起こされていることが、分かった。国交省関係者は「無保険船の“逃げ得”を防ぐための改正油濁法の実効性を損なう恐れもある」と懸念するが、「入港証明書(保障契約証明書)」を交付した国交省の審査の杜撰(ずさん)さこそ、問題になりそうだ。(一部抜粋)

 この体たらくから、日本外交のどんな戦略を読みとることが出来ようか。日本政府が、油濁法を少なくとも事実上の制裁として利用しようとしていたとは、全く考えられない。国交省や北側氏を批判するだけでは済まない。首相がもし本気で北朝鮮問題を考えているならば、国交省にもその意志は伝わっているはずで、今回のような話は出てくるべくもないからだ。

 政府が、小泉首相が北朝鮮に対しどうコミットしていくのか、全くその姿勢が見えてこない。幾ら裏読みして擁護的に見ようとしても、表に出てくるニュースが悉くその見方を否定している。
 北朝鮮の核問題が安保理に付託されそうということで、「北朝鮮ももう追いつめられたね」などという意見も目にするが、そんなに単純な話ではない。

 核問題で安保理に付託され、仮に国連による制裁が行われたとしても、核問題で北朝鮮が譲歩すれば、国連の制裁は解除される。世界的に関心が高いのは核問題であり、拉致問題は究極的には日本独自の問題である。昨日安倍晋三氏がフジテレビの番組で述べていたように、日本がまず拉致問題に対して断固とした姿勢を示さねば、拉致問題は核問題の中に埋もれてしまい、解決を困難にしてしまう可能性がある。日本が拉致問題解決への意欲を見せていないのに、どうして他の国が日本のために動いてくれようか。

 アメリカは確かに拉致問題に関して協力的姿勢を見せてはいるが、最後まで協力的かどうかなど誰も保証は出来ぬ。アメリカはアメリカの国益のために動くのであり、アメリカが日本の国益のために動くかどうかは結果論に過ぎない。日本が主体的に拉致問題解決への青写真を描き行動に移さねば、事態の進展は無い。
 個人的感情を開陳させてもらえば、スパイ防止法の制定くらいは「強行採決」でやってほしいものだ。できれば、拉致被害者の救出が出来る自衛隊法の改正も。岸信介の安保条約改定の時のように、本当に必要な政策ならば左巻きの反発がいかに強かろうと、政治声明を賭けて動いて欲しいものなのだが…。

 今のような状態では、日本が拉致問題解決に本気で取り組んでいるとは、世界のどの国も思わないのでは無かろうか。

 外交戦略が見えないのは、北朝鮮問題に限らない。
 いや、「常任理事国入り」っていう戦略のためには手段を選んでないだけか。しかし、拒否権がない、敵国条項が残るまま、での常任理事国入りにいかほどの意味があるのか、常任理事国入りして果たさねばならなくなる義務に関してどれほど認識をしているのか、何とも心許ない。


 この記事もその文脈で読むべきだろう。9日にモスクワで行なわれた「対独戦勝利60周年記念式典」に出席しながら、実はこんな扱いを受けていた。
 ロシアが外交で日本格下げ 領土で嫌気、中印を優先(共同)
【モスクワ12日共同】ロシア大統領府が、外交の優先度に応じてアジア諸国を2つのグループに区分し、日本は最近、中国、インドなど第1グループから第2グループに格下げされたことが、関係筋の証言で12日までに分かった。北方領土返還要求に嫌気がさし、対ロ投資も低迷していることが理由とみられる。
 第1グループには、中国、インドと並びロシア製兵器の輸入国であるインドネシアなどが含まれる。経済的利益の大小が、区分けの大きな基準となっている。
 4月にも想定されていたプーチン大統領の訪日が実現せず、同月の大統領外交がイスラエルやシリア訪問に代わったのは、日本の格下げと関係があるとみられている。


 日ソ中立条約の無視、シベリア強制労働、北方領土の占領と、ソ連の無道は枚挙に暇無く、未だに日本との平和条約も成立していない。二次大戦も、ナチスドイツとソ連のポーランド分割によって始まったと言えるし、さらに遡ればナチスよりも社会民主党攻撃にうつつを抜かしたスターリンの戦略ミスがナチス台頭の原因とも言える。
 そのような国の戦勝式典に出席した意図は何なのか。二次大戦時に占領されたバルト三国のうち、リトアニアとエストニアは出席していない。国家の意思とはそのように体現されるものであるが、小泉首相は式典に出席した。おそらくは常任理事国入りを含めた外交上の理由だろうが、結果としては記事のように、何の意味もなかった出席だった。
 ロシア外交の中で日本の立場が格下げとなったことについて、日本政府に責任を求める気持ちは無い。しかし、式典出席はどのような意図があったのか、どのような効果があったのかを是非とも知りたい。数多くの惨禍を我々に与えたソ連という国の戦勝式典に出席するということで、その屈辱的行為に見合った効果はあったのか否か。ただ「仲良くしておくべきだから」という理由で出席し、ソ連の悪事を不問に付すというのであれば、その姿勢は批判せざるを得ない。


 首相の思いつきでこんなことされたら、かなわんのですが。

韓国人観光ビザ、免除恒久化へ 関係修復狙い/治安対策カギ (産経)
 政府は14日、愛知万博開催期間限定で実施している韓国人観光客の査証(ビザ)免除措置を万博終了後も継続、恒久化する方針を固めた。6月に韓国で行われる日韓首脳会談で、小泉純一郎首相が盧武鉉大統領に表明する。観光振興に加え、韓国が強く求める観光ビザの恒久免除を実現し、領土問題や歴史認識などで冷え込む両国関係の修復を図る狙いもある。今後、韓国人スリ組織の入国阻止など治安をどう確保するかが課題となる。
 観光ビザをめぐっては、韓国が日本人向けは免除しているのに対し、日本側の免除は韓国人修学旅行者に限っている。このため、韓国には「不平等で相互主義の原則に反している」との不満が強かった。日本側は万博期間中の実績で判断する方針だったが、「日韓関係早期修復のテコにしたい」(政府筋)という首相の判断で恒久免除を前倒しする。
 今月、日韓両国の職員が相手国の空港で入国審査を行う「プレクリアランス(事前審査)」に日韓が合意したことも恒久免除の後押しをした。

 関係が冷え込むからビザ免除を恒久化、ではなく、普通は関係が良好だからビザ免除を恒久化、ではないのか。考え方が逆のような気が。少なくとも、万博期間中の実績を見てからの判断にしていただきたい。さらには、外国人犯罪への対策をさらに強化した後で出すべき話だ。過去に犯罪を犯した人間じゃないと、プレクリアランスも通用しないだろうし、関係修復の手段として安易にビサ免除を利用するのは、危険ではないか。


 おまけ。
 日本も、この国よりは外交ってモノが分かっているかとは思うが、下を見ればキリが無いしねぇ。
「親書の内容を話して下さいますか?」(朝鮮日報)
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が6日、日本・自民党の武部幹事長を通して小泉純一郎首相の親書を伝達された後、記者らが見る前で、「親書の内容を話してもらえるか?」と言った。
 武部幹事長は「親書を読んでいないので何とも言えない」とし、答えを避けたという。大統領府スポークスマンは「盧大統領の質問に特別な意味はなかったと聞いている」とした。
 しかし、どんな意向があったにせよ、盧大統領は今回の事で再び重要な外交慣例のひとつを壊した。トップの間で交わされる親書は、大統領が1人で読み、必要なことがあれば政府関係者に見せるのが数百年にわたる慣例だ。


バッシング (5/14)
 あの3人の家族の様子と、今回拘束されている斎藤さんの弟さんの様子を比較すれば、何に批判が集まっているか理解できようものなのだが。

イラク日本人人質映画 カンヌ登場 (スポーツニッポン)
 南フランスのカンヌで開催中の第58回カンヌ国際映画祭で12日、日本から唯一コンペ部門に出品されている「バッシング」の小林政広監督(51)、主演の占部房子(27)、大塚寧々(36)が会見した。
 昨年のイラクの日本人人質事件を題材に、ボランティアに行った中東で人質となり、帰国後、社会から非難を浴びた日本人女性を主人公にしたフィクション。10日にイラクの武装勢力に日本人が拘束される事件が発生したため、人質事件に関しての質問が集まったが、小林監督は「政治的なことを取り上げたかったのではなく、弱い者をたたくという日本の社会と、たたかれたヒロインの感情を描きたかった」と説明した。
 占部は「出演を決めるときにあの事件を背負うことになるんだと、ほんの一瞬だけ迷ったが、この役をとても愛した。(人質になった)高遠菜穂子さんに会って、彼女がどう思っているのか聞きたい」と話した。小林監督は念願のコンペ進出について「コンペという舞台で世界から注目されることは映画にとって幸福なこと」と笑顔を見せた。会見後に公式上映が行われた。

 読売も記事にしており、監督は「海外のメディアには、日本でこのような“バッシング”があったことが不思議なようだ。観客に理解してもらえないのではという不安もあったが、反応はそれほど悪くなかった」と述べた旨が書かれている。
 映画ゆえ、現実よりも高遠は美化して描かれている可能性が高いし、逆に彼女に対するバッシングはより強烈に描かれている可能性が高い。そうなれば、海外のメディアが「高遠叩き」を理解するのは、この映画ではさらに難しくなる。それどころか、「日本は弱者を叩く文化」と単純化して理解してしまう可能性もある。映画を見ていないために今語るべきではないのかも知れないが、日本を貶める役割しか担っていない映画になってはいまいか、危機感を覚える。

 仮に映画であまり「物語化」が行われていないとしても、高遠のような存在は日本に特有の存在で、海外メディアがそれを理解することには困難がつきまとうのは当然の話だ。左巻き自体は欧米にもいようが、周囲に多くの胡散臭さを纏ってなおかつそのような人間がイラクで拘束され、家族が必死に政治信条である自衛隊撤退を訴える、こんな構図は滅多にあることではない。
 欧米には、自己の欲求を最優先して公を軽んじるような輩は少ない。自由や権利の裏には責任や義務が付いて回ることは、市民革命を経た欧米なら常識として染みついていよう。しかし、日本にはまさしくあの高遠らのように、自由や権利を主張しながら責任を放棄して恥じない人種が左巻き中心にわんさか存在する。
 
 「自己責任」という語が当時多く使われた。中には、「あの事件を機に自己責任という語が生まれた」とアホなことを言う人もいたが、それは自己責任という当たり前すぎる概念が日本人の幾らかには馴染みがなかったということを示す。利己的行動の責任を取るのは原則自分自身であるべきで、政府を含む他者の助けを得ることを当然の前提とする考えは誤りだ、という当然の概念が抜け落ちている人間が少なからず存在した、日本の異常さを示している。
 崇高な活動をしている気になってイラクに入り捕まったからといって、国策を変更してまで助けを要求するのを当たり前とする感覚、それに多くの人は違和感を感じたはずだ。
 それに違和感を感じない人間が、違和感を感じた人間を批判する映画を作り、世界に発信する。これも日本を貶めるための立派な情報工作だ。高遠周辺の胡散臭さを伝えようという努力は…おそらくしてないんだろうね。

田舎が大騒ぎ (5/14)
 万博で治安が心配、などと戯れ言を今年初めに書いた気がするが、現実の物となったのだろうか。外国人風という情報は出ているが、国籍などは分からず、断定はできないけども。

<拳銃強奪>巡査殴られ男2人逃走、実弾3発入り 岐阜(毎日)

 防災無線で知らせるのはいいけど、なぜに事件が起きて2時間近く経ってからよ。すぐにとっ捕まえるつもりだったのか。あと、犯人の特徴や逃走手段もちゃんと伝えろ。何にどう気を付けたらいいか、分からないじゃないか。


情報戦のまっただ中 (5/13)
 「log」5/10付エントリーで触れられている、「偽遺骨の鑑定結果」に関する問題。北朝鮮が出してきた遺骨に関して日本政府が「横田めぐみさんの物と断定できる要素はない」としていることについて、その鑑定結果に英科学雑誌「Nature」が反論記事を載せたという話だ。今日のテレビ朝日「スーパーモーニング」でも取り上げ、「日本政府や、鑑定を行った帝京大講師の吉井氏(当時)は、説明を行うべきだ。日本の国際的信用性に関わる」という論調で、この問題を扱っていた。

 log氏も言及されているように、遺骨のDNA鑑定は様々な要素の内の一つであり、一度土葬したのを掘り返しただの、1200度の高温で焼いただの、「遺骨」に関わる全ての話が奇妙としか言い様のないものばかりであり、それらを総合して考えれば北朝鮮の話を事実と受け止める合理性など全くない。
 「Nature」の指摘自体は間違いでも不思議でもない。DNA鑑定の確度が問題になることはよくあることだし、遺骨のDNA鑑定について科学的に検証するのは当然の態度だと思う。しかし、遺骨の汚染という一要素のみを見れば問題に思える政府の見解も、それに付随する様々なファクターを総合すれば、少なくとも横田めぐみさんの遺骨と断定することは不可能と言わざるを得ない。「Nature」の指摘が、即北朝鮮の言い分が正しいことにはなり得ない。

 DNA鑑定のみで北朝鮮の言い分をウソと言っている人など、日本にはいないだろう。鑑定結果が出る前から、北朝鮮から出てくるあり得ない話のオンパレードに、みな辟易していたのだ。

 こんな話に煽られていたら、北朝鮮との情報戦には惨敗するしかない。立ち位置を北朝鮮に置いていたり、自分の意見に信念がないと、こういうのに踊らされることになる。今のところ、踊っているのは北朝鮮シンパの愚者どもばかりのようで安心しているが。

 情報戦といえば、少し前の話題になるが、この話。

つくる会 英訳で教科書説明 中韓記者ら100人に(産経)
 西村幸祐氏の「酔夢ing Voice」5/11付エントリーに、会見の様子が詳しく描写されている。

 誰もが思うだろう、歴史事実を正確に発信し中韓のプロパガンダを否定するのは外務省の仕事だと。

 しかし、つくる会のこの会見は非常に有意義だったという評価はせねばならない。終始冷静に質問に答え、つくる会の教科書が決して偏狭的ナショナリズムの産物でないことを示してくれたと思う。あとは、これを海外メディアがどう伝えるかだろう。
 なぜつくる会の教科書の採択率が前回低かったのかという質問に対し、「皆さんには信じられないかもしれないが、日本の教育界ではマルクス・レーニン主義がいまだに力を持っていて、国民の感覚との間に大きなギャップがある」と八木会長が答え、会見場にはざわめきが広がったらしい。そりゃそうだ、未だにマルクス主義が幅を利かせている先進国は日本くらいのものだろう。日本の教育界は世界から見れば、未だ非常識な状態が続いているということ。男女平等とか自由とか権利を訴えておきながら、実は最も時代遅れの空気の中にあるということだ。予備校にもマルクス信奉者がいたりするしなぁ…。


 情報工作といえば(無理矢理な繋ぎだが)、中国の台湾取り込み作戦。
 連戦氏が北京を訪問したのに続いて、宋楚瑜氏が北京詣で。独立志向の与党に揺さぶりをかけるため、中国は台湾の野党党首を招いていたのだが…。
中国誤算、「民主化」若者に衝撃 連戦・宋楚瑜氏の講演(産経)
 副作用があったようで。

 ただ、陳水扁氏に対する支持が急落していることも記事は書いており、台湾が取り込まれるかもという懸念は消えるわけではない。北京五輪の開催日前後に、台湾が独立するだけの状況にあるかどうか。上記記事を見ると中国の民主化という期待も全く無いわけではないが、現時点でこれを希望するのは夢想に過ぎるだろう。


 北朝鮮の話に戻る。

 昨日、曽我ひとみさんの母、ミヨシさんの救出を求める集会が行われた。
電脳補完録より

 拉致被害者は殆どが未だ帰ってこられない状態。北朝鮮は核開発を進めている。それなのに、万景峰は合法的に入港できるようになり、経済制裁についても具体的な目処は立っていない。憲法改正はまだ当分先のことになりそうだし、スパイ防止法は話題にもなっていない。

 経済制裁についてはこんな話もあるが…。
今月末までに経済制裁案 自民、北朝鮮の核実験想定(共同)
 素直に喜べない理由が二つ。
 一つは、核問題も勿論大きな問題だが、核実験によって経済制裁を行うとするならば、経済制裁を行わなかった拉致に関しては、相対的に重要度が低いことを示すことになりはしないか、という懸念。
 二つ目には、これまでの経済制裁案と同様に、自民のシミュレーションチームが幾ら制裁案を練ったからといって、小泉首相が決断せねば張り子の虎。小泉首相が決断を下せるかという疑念のゆえに喜ぶにはまだ早いと感じる。

掃討戦のまっただ中 (5/13)
 マインスイーパ。
 初級4秒、中級30秒、上級78秒。もうこれ以上はつらい。


工作船入港に許可 (5/12)
 ちょっと忙しいので、短めの更新で。


 最近喧しい北朝鮮の核の問題について。
北朝鮮 燃料棒8000本取り出し 終了表明、核兵器増産を誇示(産経)
 【ソウル=久保田るり子】北朝鮮外務省スポークスマンは十一日、「われわれは最近、五千キロワットの実験用原子力発電所(寧辺の黒鉛減速炉)から八千本の使用済み核燃料棒を取り出す作業を終了した」と述べた。韓国の聯合ニュースが伝えた。実験用原子炉の中断は先月中旬、韓国などが確認していたが、北朝鮮による事実確認と燃料棒取り出し終了の公表は初めて。

 「われわれは自立的な核動力工業の発展を基本に、自衛的な目的で核武器庫を増やすのに必要な措置を取る」と北朝鮮外務省スポークスマンは述べている。「核兵器を作る」ではなく、相変わらず「核武器庫を増やす」という言い方をしており、核実験を実行するための行動と言うよりは、やはり交渉カードとして核をちらつかせているのが実態のようだ。
 使用済み燃料8000本からは核兵器2個相当のプルトニウムを取り出すことができる。

 そんな中、日本はこんな動き。
北朝鮮の貨客船「万景峰」に入港証明書(日経)

 死にたくなるわ。

 記事末尾にはこんな一文がある。
 万景峰と同時に交付申請をしていた北朝鮮の貨物船にも11日、証明書が交付された。これで申請のあった北朝鮮船20隻すべての入港が認められた。

 日本の主権を侵害し、すなわち北朝鮮は日本に対し宣戦布告と同様に考えるべき行動を採っているのに、その国の工作船が堂々と入港できる日本っていったい何なのだ…と嘆息せずにはいられない。万景峰だけでなく、申請のあった20隻すべてに入港許可が下りた。事実上の制裁でも何でもねぇ。
 多くの人が指摘しているが、イラクでの斎藤さんの拘束事件に関しても、日本政府の人間が発する言葉は香田さんの事件の時から何も変わっていない。曰く「情報がない」と。情報収集の部署を作るなり、対策を立てるなりの行動を全く採らなかったということだ。イラクでの情報収集を端から諦めているフシが感じられまいか。
 万景峰も同じような話で、奴らが様々な手を使って油濁法をくぐり抜けてくることは分かっていた話だ。それに対して日本政府は何ら手を打たないのであれば、もはや政府には北朝鮮の工作船に対して何か策を講じようという意図は存在しないことになる。

 JR西日本みたいに何かが起こってからようやく手を打つのではなく、あらゆる可能性を想定した上で、起こりそうになった時点で先手を打って施策を繰り出す、という姿勢が政府には求められる。


TBSまたも死亡 (5/12)
 TBS、ボロボロ。
TBSのコラム盗用、執筆は部長…3紙から計17件も(読売)

 記事の盗用→発覚し、フリーライターが執筆したことにして責任転嫁→実は盗作記事の本数もフリーライターが書いたというのもウソでしたと会見。
 ライターが書いたってウソも、「編集長コラム」と銘打ってある欄を外部の人間が書いていたとしたってかなりの恥になるはずなんだが、責任転嫁のためにまともな判断ができなくなっていたらしい。
 Irregular Expressionでコラムや盗作元が紹介されているが、こりゃ確かに酷い。ただ、盗作を指摘したのが、あの「ヒゲ記者」を雇っていた読売新聞ってことで、TBSを批判する気持ちよりも、マスコミは皆そんなんかい、とゲンナリ。

笛吹き男 (5/11)
ジェスロ・タル、12年ぶり来日公演…英バンド

 イアン=アンダーソン、見てぇ。


未だ日本に巣くう友好議連 (5/11)
 中川の答えを見ると進みそうな期待が持てない。
拉致議連、本会議でも経済制裁決議を(日経)
 超党派の拉致救出議員連盟の平沼赳夫会長は10日、国会内で自民、公明、民主3党の国対委員長と相次いで会談し、北朝鮮への経済制裁を求める決議を衆参両院の本会議で採択するよう要請した。自民党の中川秀直国対委員長は「検討する」と答えた。経済制裁決議は、衆参両院の拉致問題特別委員会では採択済み。

 「検討します」「善処します」は、政治の世界では「No」の意味と承知しているが。
 先の日曜日の「たかじんのそこまで言って委員会」で、西村眞悟氏が、日朝友好議連は拉致議連の1.5倍の数を未だに有していると発言していた。おそらく、「名前だけ」拉致議連に入っているような人は除外しているのでしょう。拉致議連と日朝友好議連のメンバーについては、電脳補完録のこちらで。中川秀直も、友好議連の方のメンバーです、やっぱ「検討」は「ノー」の意味だな。
 しかし、我が国の人間を拉致し、あまつさえ核実験までやらかそうという国と、どんな友好関係があり得るのか…日朝友好議連の人の頭の中身はとんと理解できぬ。やっぱり過去の買収のネタでも握られてるってことですかね。

 選挙で日朝友好などとほざいている人間が悉く落選するようじゃないと、事態の進展は望めないのかも知れない。

弟さんの記者会見に物思う (5/11)
「まさかイラクに…」 ネット写真、家族確認 「邦人拘束」(産経)

 イラクで拘束されていると言われる斎藤昭彦さんの弟さんの記者会見。
 象徴的なのがこの部分。
 イラクからの自衛隊撤退について問われると、博信さんは「政府の自主的判断でしてほしい。それが兄の生命に合致すればうれしいし、反対の場合でも政府の決定を支持します」と落ち着いた口調で話したが、「でも、無事でいてほしい」と本音ものぞかせた。

 どこぞのバカ家族とは違い、あくまで「公」の感覚を忘れることはない。個人的には「無事でいて欲しい」と願いつつも、自衛隊撤退をすることは日本全体の利益に適わないという意識も保っている。政治信条を吐露する場と勘違いしたあの家族は論外としても、身内を助けて欲しいという心情を全面に出すことは、決して批判されるものではないはずだ。それであるのに、この弟さんの言葉は、それを抑制したもので誤解を恐れずに言えば高潔さすら感じる。
 一方、それと対局にあるのが記者の質問。犯人から何の要求も出ていない時点で「自衛隊撤退」を質問するという了見が腹立たしい。記者の頭には、「自衛隊がいるから日本人は拘束された」という固定観念でもあるのだろうか。
 さらに腹立たしいのが、あの3人のうちの一人による、この発言。
 「昨年四月の日本人人質事件当時、銃の所持を理由に殺された人質がいた。自分たちは丸腰の民間人だから助かったとの思いがあり、立場が違いすぎる」と話すのはイラクの学校再建などに取り組むボランティアの高遠菜穂子さん(35)。
 丸腰の民間人だけど殺されてしまった香田さんのことは意識の枠外にあるらしい。「丸腰=平和=相手も分かってくれる」という固定観念は未だに彼女を縛り付けたままのようだ。

 ただ、「立場が違う」という高遠の言葉は、正しい。安っぽい理想主義でイラクに行ったわけでもなければ、物見遊山の気分で赴いたのでもない。傭兵として斎藤さんはイラクへ出向いた。

 あの3人が拘束されたときに活発に動いていた左巻きの方々に対し、今回は動かないのかという皮肉としての意見がある。
 確かに、彼らの「日本政府は日本人を助ける責務がある、なのに自衛隊撤退を否定するとはどういうことだ」という発言を考えれば、今回も「政府は日本人を助ける責務がある」と発言し、行動すべきだ。しかし、それは彼らの論理の整合性の問題に過ぎず、個人的には今回は左巻きに「動かないのか?」と言う気分にはあまりなれない。
 斎藤さんは傭兵としてイラクへ赴いた。イラクの危険を知りつつも、それでも覚悟をして敢えてイラクにいたのだ。それは「民間人」ではなく、軍人の心意気によるものだ。だから、高遠の「立場が違う」という言葉は全く正しい。左巻きが妙な除名運動をやれば、軍人としての斎藤さんを貶めることになりはしないか、私はそう考えてしまう。だから、今回は左巻きは黙っていて欲しいと思う。

消すかも (5/11)
 サーバの容量が気になり始めたので、過去のコンテンツや古い世迷い言をもしかしたら一部消すかも知れません。


イラクで日本人拘束 (5/10)
 イラクで日本人拘束。
イラクで日本人拘束か 武装勢力が犯行声明(産経)
 拘束された齋藤昭彦さんは、米軍関連の民間警備関係者と見られているらしい。日本の民間人であるのに米軍施設で働いていたとはどういう人物なのか、現時点ではよく分からない。

 犯人のアンサール・スンナ軍は、昨年8月にはネパール人12人を拉致殺害しその映像をウェブで公表したり(記事)12月にはイスラム教シーア派の有力指導者ハキム師を暗殺しようと彼の事務所近くで自動車爆弾を使ったテロを行い15人を殺害(ハキムは無事)、他にも数多くのテロを起こしている。また、朝日の2月の記事によれば、自衛隊宿営地の攻撃を計画していたという話もある。

 実際に拘束されているのか否かも含め、情報が少なく判断しづらい事件。

言行不一致 (5/10)
 尼崎の列車脱線事故に関するマスコミの横暴に対して、違和感を覚える人は少なくない。遺族の代表を気取って記者会見の場で恫喝を行うヒゲ記者や、電車の様子を撮影しようと、ヘリは自粛しつつもクレーンを持ち出して、さながら「出初め式」のように取材している姿に奇異感を感じた人も多かろう。
 尼崎だけではなかった。東京湾に鯨が迷い込んだという話があったが、それに対してもマスコミは手前勝手な取材方法を採っていた。「LOHAS in 房総」というblogにその様子が描かれている。

 取材ヘリが低空飛行で鯨の様子を追っている。鯨の真上でブンブカ飛ぶヘリ、鯨にはたまらんだろうな…とヘリを見れば、それは朝日新聞のヘリ。その時に撮ったと思われる写真を使った記事がこちら。千葉・袖ケ浦沖の東京湾にクジラ 回遊途中迷い込む?
 記事の末尾には「同市は「そっと見守って」と呼びかけながら、ホームページにクジラ情報コーナーも登場。知名度不足に悩む市は「小型でも、各地で人気になったアザラシよりずっと大きい」」と。自分がヘリで騒音まき散らしながら、「そっと見守って」という声を載せることが出来る厚顔無恥ぶりは、さすがサンゴの前例を持つ朝日新聞。別にヘリ飛ばして撮影すること自体は、相手が鯨ってこともありそれほど腹立たしく感じるわけではないが、やってることと言ってることが違うのは、やはり違和感を覚える。まぁこれが朝日クオリティなのだが。

米朝の動きに日本はどう対応するか (5/10)
 北朝鮮が核実験を行うという話が出ているが、日本の反核団体はそれに対して抗議を行っているのかね。そんな話はとんと聞かぬが。原水協のHPも更新されてないぞ。

 地下にトンネル掘っているとか、いろんなニュースが出ているのだが、北朝鮮は地下実験をちゃんと出来るような技術力を持ってるのか、地下でやったつもりがキノコ雲があがっちゃいましたなんてことはあり得ないのか、そう思っていたらこんな記事が。
北朝鮮の核実験で「死の灰」 IAEA事務局長が懸念(朝日)

 実験がそのまま攻撃になるってことか。

 アメリカが「実験やるなら攻撃するよ」という姿勢を見せているが、日本に何ら対抗策がないのが露見して、何とも情けない気分。実際の被害を被る日本が、北朝鮮に対して牽制する手段を持たず、アメリカの力を頼りにせねばならないのは歯がゆい。憲法9条の改正を怠ってきたツケがボロボロと出てきている。発言の背景となる力=軍事力を持たずして、今のような事態に対応することは出来ない。経済力は有事の時にはほとんど有効な力を持ち得ない。

 アメリカが仮に軍事行動を行うとして、日本に今できるのは、拉致事件や工作活動など北朝鮮の非道な部分を世界中にアピールし、アメリカが軍事活動を行う際に世界が味方に付けるような方向に、国際世論を持っていくことくらいしかない。つまりは、北朝鮮に対する対決姿勢を鮮明にせねばならない。
 そして、可能な限り早急に憲法改正や国内の工作活動を排除できる法整備を進め、対北朝鮮の世界的な動きの中で、日本が埋没することのないように足枷を解いておくことが必要。最終的な拉致被害者の救出まで米軍にお任せというわけにはいかない。
 たとえ今すぐ米軍が動かずとも、いずれはそういう事態が起こる可能性は高い。

 事態の変化を見極めて、というのは確かに正論かも知れぬが、思っているほどには事態は待ってはくれない。
北朝鮮の協議復帰へ働き掛け強化=「主権国家」「直接対話」強調−米(時事)
 状況は次の段階に移ったのかもしれない。アメリカにとって最大の関心事は核問題であり、それに関して一定の解決が図られるなら、一時的に妥協することもあり得る。

 日本が先手を打って、状況に機敏に対応できる姿を見たい。


軸足を自分に持たぬ日本外交 (5/9)
 中国はいつもの調子。

「靖国」中止を要求 日中外相会談 デモ破壊謝罪なし(産経)

 町村外相の「(中国の歴史教科書について)戦後の日本の平和国家としての歩みに関する記述が少なすぎる」という指摘は「よく言った」とは思うが、それ以外に関しては日本の要求はほとんど通らず。
 反日暴動に関する謝罪も賠償もなく、AA会議での小泉演説を評価しつつも「首相の靖国参拝は絶対にないように」と要求。謝罪をしたら次は行動で、というのは当たり前の流れだから、中国としては当然そう要求するわな。
 国益だか戦略だか思いつきだか分からないが、そのためには「日本の悪行」を認めて恥じない小泉首相に靖国参拝して慰霊を行う資格など無いと思う。思うがしかし、私たちとしては中国の要求に屈しないためにも首相の参拝を支持せねばならない。感情に従って「小泉は靖国に行くな」と言えば、それは結果的に中国の思惑に乗ることになってしまう。悩ましい話だわさ。

 しかし、「謝らない中国」を演出するためにも、大使館の復旧は中共の謝罪後、彼らの賠償によって行われるまで待たねばならない。謝罪させられればそれで良し、謝罪しなくても中国の無法ぶりを示すことが出来る。外務省系業者の現状回復を受け入れてちゃダメなんだが…。

 歴史の共同研究に関しては、中国の歴史教育のウソを暴くような形で追いつめようという姿勢を持つならば、大いに意味がある。中国の言説の虚構を暴き、それを世界に発信すれば、今や事実と認識されてしまっている南京虐殺や日中戦争での日本軍の蛮行についても、その認識を覆すことが可能かも知れない(「かもしれない」と言ったのは、事実が国際的に認知されるようになったときに、「日本は自国の歴史も知らない人間が首相になれるのか」「中国の言う事実がないのになぜ謝罪をしたのか」「常任理事国入りのためなら過去をねじ曲げても恥じないのか」といった疑問全てに矛盾なく回答できるかという危惧のためだ)。
 当然、向こうの言い分を拝聴するためだけの共同研究なら、要らぬ。


 日中外相会談でも話題になった靖国参拝。以前、中曽根時代に「首相・官房長官・外相は参拝しない」という紳士協定が結ばれていたという話が王毅駐日大使から出ていたが、高村氏がそれを否定した。

靖国参拝の紳士協定否定 高村元外相(共同)
 自民党の高村正彦元外相は8日午前のフジテレビ報道番組で、中国の王毅駐日大使が1985年の中曽根康弘首相(当時)の靖国神社公式参拝後、首相らは参拝しないという日中間の「紳士協定」があったと指摘したことについて「何月何日に両国政府で取り決めたということは紳士協定としてもなかったと思う」と否定した。
 同時に「ただ、現実問題としてそういう形が続いていたことは事実ではないか」と指摘。村山内閣で経企庁長官を務めた高村氏が8月15日に靖国神社を参拝し、直後に訪中した際に「(中国側から)当然何か言われるだろうと思って相当構えて行ったが、ひと言も触れなかった。帰国後、外務省の人間から『あうんの呼吸でそういうことになっている』と聞いたことがある」とも述べた。


 イヤな「阿吽の呼吸」だな。しかし、高村発言が事実だとすれば、紳士協定が無かったにしろ、外務省内部や或いは中国では、そのような取り決めが存在するのと同等の空気が存在していたことになる。
 ちなみに、毎日の記事はこんな見出し。
<高村元外相>靖国参拝の紳士協定「あうんの呼吸あった」(毎日)
 紳士協定に準じる物があったという書き方ですな。
 紳士協定のような物があったかのような、いやらしい見出しの書き方とは思うが、結果的には間違いとも言い切れなかったりする。

 協定があったなかったは別としても、中国に阿った形の約束(或いはそれに近い物)は、表に出ていないだけでそれこそ無数に存在し、なおかつこれからその多くが明らかになってくるだろうね。目に見えてる部分でもヘタレだが、見えない部分でもとことんヘタレだった、と。そういうものを全て断ち切っていかねば、中国とまともに付き合うことなど出来ない(仲良くしろという意味ではない)。

 しかし、ゴールデンウィーク中の各党の代表レベルがスットコドッコイな外遊をしていれば、そりゃ日本はなめられるわな。まともな外遊をしていたのは安倍さんくらいなものじゃないか。

訪韓中の自公幹事長、独立記念館を視察(読売)
 韓国のファンタジー史観に基づき「植民地時代の慰安婦などの人形」が存在する蝋人形の館を訪れ、あまつさえ「深い反省と二度と間違いを犯してはならないということをこの場で誓った」などとほざいた武部。この人は町内会長くらいが適任じゃなかろうか、頭はアレだが人はよさそうだし。
 いくら「竹島問題などで、日韓両政府が主張をぶつけ合っているため、与党幹部が韓国側の訴えに耳を傾けるという“役割分担”もあったようだ。」という理由があろうとも、韓国の主張を完全に認めるような形の言質を取られるのは、非常にまずいのではないか。「役割分担」どころか、ちぐはぐな対応と言うしかない。

 さらに公明党幹事長冬柴はこんなことも言っている。
冬柴公明幹事長、靖国参拝で首相に再考を促す(読売)
 靖国については「第2次大戦の精神的中心施設に日本の首相が参拝することは、戦争被害を受けた者に耐えられないし、中国や韓国は自国民に説明がつかなくなる」、竹島については「話し合いや国際司法裁判所に提訴する以外の方法として、領土問題を棚上げして漁業問題として解決する方法もある」と述べた。創価学会としちゃ神道による慰霊施設を認めるわけにはいかんし、韓国では布教活動で便宜を図ってもらわにゃならんということか。しかし、「漁業問題として解決」ってアホかいな。韓国漁船が島根の漁船に対して妨害行為をやらかすものだから、漁業問題としての解決すら不可能になり、やむなく島根県が立ち上がったという経緯があるのを、冬柴さんは全く理解していないらしい。既に日本が譲歩した上でなおかつ韓国はそれ以上の無法な要求をしてきているのが現実。韓国には譲歩は無効だということが何故に理解できないのか。分かっていなかったらバカだし、分かっているのならば売国行為としか言い様がない。

 再選したあの人も意味不明なことを宣っている。
靖国問題は日中で知恵を 山崎氏、要人と協議の意向(共同)
 戦没者慰霊という国内問題について、中国のお知恵を拝借せねばならんのですと。向こうの知恵は「靖国やめろ」だけでっしゃろ。


 「まわりのみんなと仲良くしましょう、そのためには向こうの言い分を聞いてあげましょう」という譲歩=外交の思考は、譲ってはならない最低ラインが見えず、善隣外交とは似て非なる物だ。自己の立ち位置もなくただ闇雲に譲歩しようとすれば、つけ込まれるのみに終わる。


 北朝鮮問題も、風雲急を告げている印象だ。本気なのかブラフかは分からないが、アメリカは核実験阻止のための先制空爆も辞さずという構えを見せている。
 北朝鮮も核実験の動きを見せているが、核実験すればアメリカとの関係も最悪となり、中国から見放される可能性すらあるため、核実験準備の動きは見せかけの可能性は高い。それでも、金正日のバカが「核を持てば米と対等に話せる」と思いこんでいたら、独裁政治の悲しさで何をしでかすか分からないから、もしかしたら本気かも知れない。今のところ、判断のしようがない。(参考記事:北の核実験現実味 保有を国際社会黙殺 「認知迫り強行」専門家分析(産経)

 北朝鮮の核問題に関しては、ニュースを追い切れていないので、細かい意見を書くのは保留。現時点では、「アメリカの先制攻撃のために、W杯予選の試合場所が変わったのかな」などという妄想を吐くくらいしかできぬ。テレビがやたらJR事故の報道に拘ってばかりいるのも気になるし(被害者の人生を追うのも悪いとは言わぬが107人全員分やるつもりなのか?)。

 しかし、そんな中でも何をどうしたいのかさっぱり見えてこない日本の外交戦略には落胆してしまう。拉致被害者救出のための方策を準備しないと、事態の流れに置いてけぼりを喰らうことにならないか、その危惧は消えない。日本外交の軸足を日本に置かず、中国や韓国や北朝鮮やアメリカを中心に考えるから、国益を損ねることばかりになってしまうのだ。


五輪まで放置すればいいのに (5/7)
 中国との我慢比べに負けたようだ。

北京日本大使館、「原状回復」受け入れへ(読売)

 大使館建物を所有する中国外務省系の不動産会社からの、現状回復の申し出を受け入れる方向で進んでいるらしい。これに関して外務省幹部は「賠償というよりも原状回復だ。国と国との賠償にはこだわらない」と言っているとのこと。中国が謝罪に応じようとしないことから、謝罪よりも現状回復を優先させる考えで進めているということのようだ。

 大使館破壊=日本の主権の及ぶ場所への攻撃に対し、謝罪を求めることを諦め、復旧を優先させる。常任理事国入りを目指して謝罪をかましたアレに通じる精神だ。すなわち、利益のためなら国が持つべき矜持さえ捨て去る。
 日本側が幾ら「違う意図だ」と叫んだところで、中国の思惑を受け入れた時点で、「中国の言い分を聞き入れました」という意志を行動で示したことになってしまう。

 瀋陽領事館に中国の警官が侵入したときも、潜水艦が日本領海を侵犯したときも、中国は決して謝ることはなく、今回も同じ状況を繰り返しそうだ。毎日新聞の記事には、末尾に「反日デモによる被害は、上海や瀋陽の日本総領事館でも発生しているが、これらについては中国側から原状回復の申し出はない」と書かれており、「今回の中国は今までと違いますよ」と言わんばかりだが、暴動に対する欧米の目が気になっているだけのことで、こと日中間のみに目を遣れば、何の違いも存在しない。他国の主権を侵害して謝罪一つしない中国と、それを受け入れてしまう日本という構図だ。

 国益のためなら国の威信を失っても構わないと言う考えが、絶対に悪いとは言わない。危急存亡の秋ならば、国家存続のためにそれこそ「耐え難きを耐え」という精神が必要な場面もあろうからだ。しかし、それには大きな苦痛が伴うべきではないのか。上記記事にある外務省幹部の言葉に、国の威信を失ってしまったという葛藤は全く見られない。


対北制裁 安保理付託へ日米協調 「6カ国」困難 月末にも手続き(産経)

 6ヶ国協議での問題解決は不可能だと考えているのは、日米露(記事に「ロシアもロシュコフ駐日大使が四月十三日に開かれた日露友好議員連盟の総会で、六カ国協議での「問題解決は不可能だ」との認識を示している」とある)。アメリカに関しては、増元照明氏らが訪米した際に国務省高官から「拉致問題が解決しない限り、北朝鮮をテロ支援国の指定から外すことはない」と言質を取ったこともあり(参考記事)、日本に協力的と言える。(しかし、こういうことを政治家でなく民間人である増元さんが行われるということに、政治家たちは恥を感じないのだろうか)
 ただし、拉致問題は究極的にはアメリカの問題ではなく、日本の問題だ。アメリカにとって最優先事項は核問題であり、拉致問題はその次以下に来る問題だろう。拉致問題に関してアメリカがどこまでも日本に協力的でいてくれるという保証はどこにもない。
 複数国の経済制裁の方が単独制裁よりも効果があり、安保理付託は喜ぶべきことだとは思うが、それでも不安は残る。日本がその流れの中でどれだけ主導権を握ることが出来るのかという問題と、制裁後の日本が採るべき方策について日本政府がどれだけ戦略を練っているのかという問題だ。

 安保理付託は核問題が理由。拉致問題をそこにどれだけ絡ませることが出来るか、政府の手腕が問われる。結果的に国連による経済制裁になるのだから問題ないという向きもあろうが、仮に核問題に関してのみ北朝鮮が譲歩し国連が制裁を解除するということになったとき、日本はどう動くのか。拉致問題を理由に制裁の継続を求めたり、或いは日本単独で制裁を続けるということが、その時の日本にできるのか。結局は、日本が己の意志を明確に示さねば、国際社会の流れの中で日本の主張は埋没してしまう。
 また、最終的に拉致被害者の救出は日本が行わねばならない。スパイ防止法や憲法改正など、国連が制裁しようがしまいが、やっておかねばならないことは山積している。

 こいつの扱いも改めて考える時期だ。
万景峰号、ロイズと再保険=月内にも入港可否判断−改正油賠法で国交省(時事)

 工作船が、また入港できるようになる。まずは、北朝鮮が工作活動を行えないように現行法の実行(特定船舶入港禁止法)や、その他の法整備を早急に進めて欲しい。北朝鮮は、未だに日本で工作活動を行っている。拉致が明らかになっても、日本はそれに対策を立てられずにいるのが現状だ。平島筆子さんの再拉致も、同じ文脈で語るべき事件である。


ただの戯れ言サイトです (5/6)
 サイト名でこちらにやってくる方が少なからずおられる。どうやら、シェイクスピアの「お気に召すまま」を調べようとしてうちに来てしまうようだ。サイト名でググってみると、一番上。シェイクスピアを抜いてしまった、すまん、シェイクスピア。
 サイト名の由来がシェイクスピアならまだ救われる話かもしれんが、サイト開設の時に聴いていたのがJOURNEYの「Anyway You Want It(邦題:お気に召すまま)」って話だったりするから、申し訳ない気分でいっぱい。ウソです。申し訳ない気分は三分目くらいです。

妄想でものごと成就すりゃ世話ない (5/6)
 ベトナム戦争の頃から変わってないんだね、この人は。
「イマジン・ピース」ヨーコさんが演説 NPT再検討会議(産経)
 国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で4日午後(日本時間5日未明)、ビートルズの元メンバー、故ジョン・レノンさんの妻で、芸術家のオノ・ヨーコさんが「イマジン・ピース(平和を想像してみて)」と演説した。
 12歳のとき、広島や長崎の原爆被害を知ったというオノさんは、「被爆者は勇敢に自らの経験を『ノーモア・ヒロシマ、ナガサキ』という世界への警告へ変えた。今ほど彼らの警告が重要な時はない」と強調。レノンさんが残した名曲「イマジン」の歌詞を踏まえて、「1人で見る夢はただの夢だけど、みんなで一緒に見る夢は現実だ」と呼び掛けた。(共同) 

 想像して平和になるなら苦労はない。

 平和屋・護憲屋の主張は基本的に、「神社でお参りすれば願いは叶う」というもの。平和憲法を崇め奉れば日本は平和だと思いこんでいる。日本を無力化して中韓の手先に、という謀略家もいるだろうけど、殆どは宗教団体の信徒みたいなものさね。「攻撃されなきゃ防衛行動がとれません」ってのは、「一撃は喰らうのを覚悟しようね」と、かなり残酷なものなのだが。

 軍隊を持たないという選択は、警察を持たないという選択に近い。戦争が起こらない世界の実現可能性は、人殺しが出てこない世界の実現可能性に近い。平和を希求するのは悪いことではないが、「備えずとも崇めれば平和」という感覚のせいで、日本では北朝鮮の工作活動が好き放題に行われている。想像だけで平和が訪れるのなら、それを金正日に説いてもらいたいものだ。


 妄想と言えば、これも妄想の類ではないか。

韓国側、教科書記述への反映主張 日韓歴史共同研究(朝日)
 異なる国では歴史も当然違う。同じ事実であっても、それに価値観を付与させた真実においては、すり合わせなど不可能だ。アメリカから見れば独立の父であるワシントンも、イギリスから見れば反乱の首謀者。
 しかも韓国側は、日本の教科書記述への反映まで主張している。つまりは、韓国の歴史観を日本に強要する姿勢をまたもや示しているのだが、韓国がそう言うということはこの研究では韓国寄りの結果が出たということになる。

ここによれば、「日韓歴史共同研究委員会委員」は、
日本側
 三谷太一郎(委員長、成蹊大学教授、日本政治外交史)
 小此木政夫(慶応義塾大学教授、朝鮮政治論、国際政治論)支援委員兼任
 北岡紳一(東京大学教授、日本政治史)支援委員兼任
 佐藤信(東京大学教授、日本古代史、山川出版・日本史教科書著者)
 田代和生(慶応義塾大学教授、日本近世史)
 浜田耕策(九州大学教授、朝鮮史)
 原田環(広島県立女子大教授、朝鮮近現代史、東アジア近代国際関係史)
 森山茂徳(東京都立大学教授、韓国政治、日韓関係史)
韓国側
 趙東杰(チョウ・ドンゴル)(委員長、国民大学名誉教授、韓国独立運動史)
 金鉉球(キム・ヒョング)(高麗大学教授、古代史学会、任那日本府専攻)
 李萬烈(イ・マンヨル)(淑明女子大学教授、韓国近代史)
 金泰植(キム・テシク)(弘益大学教授、韓国古代史)
 鄭玉子(チョン・オクチャ)(ソウル大学教授、朝鮮後期)
 姜昌一(カン・チャンイル)(培材大学教授、日本近代史・韓国近代史、「日本の教科書を正す運動本部」運営委員長)
 兪炳勇(ユ・ビョンヨン)(韓国精神文化研究院、韓国近現代史)
 趙b(チョウ・クァン)(高麗大学教授、韓国中世史)
 廬重国(ノ・ジュングク)(啓明大学教授、韓国古代史)
 孫承(ソン・スンチョル)(江原大学教授、朝鮮時代・韓国関係史)
 鄭求福(チョン・グボク)(韓国精神文化研究院教授、高麗史・朝鮮前期史)
 金長權(キム・ジャングォン)(ソウル大学教授、日本近現代史)支援委員兼任

という面子。
 北朝鮮への食糧支援を訴え、経済制裁に猛反対し、日朝国交促進国民協会理事の小此木がいる時点で既に怪しい。他の人についてはググってみたが思想心情についてはよく分からなかった。ただ、三谷委員長の名が丸山眞男追悼関係文献目録の中に見えたので、彼が丸山系の思想の持ち主という可能性もある(ただ追悼しただけかも知れないけど)。ちなみにその中には、姜尚中とか大江健三郎とか加藤周一とかの名もあった。

 お互いの相違点を出し合い、それについて資料・史料をもとに検証し、なおかつその結果を逐一メディアが報道するのであれば、それなりの効果があるとは思う。真実のすり合わせでなく事実検証を行うのであれば、意味がないとは言えない。しかし、韓国からすれば「韓国製事実」に反する事実の存在は許されないだろう。ゆえに、このような共同研究は、韓国側の態度が改まらないことには、日本が一方的に譲歩するだけの形になってしまう。

 こんな報道が為されるような国と、事実の検証など出来ようか。
「日本軍要求に応じない朝鮮女性を釜に...」(中央日報)
  「要求に応じない朝鮮(チョソン)の女性を殺し、釜に入れて煮た後、それを肉汁だと騙して飲ませました」。北朝鮮に生存中の元従軍慰安婦が、日本軍のぞっとする蛮行を証言し、真偽をめぐる波紋が広がっている。
  在日本朝鮮人総連合会(総連)の機関紙、朝鮮新報(チョソンシンボ)は27日「日本を告発する−強制連行被害者の証言」と題付けたシリーズの1回目の内容として、パック・ヨンシム氏(83)の証言を紹介した。
  パク氏は、体験談で「日本人が、ある日『君たちの働きぶりが思わしくないから、きょうは肉汁を提供する』とし肉汁を飲ませた。事情も分からず汁を飲んだら『その汁は朝鮮の女の肉で作ったスープ』としゲラゲラ笑い出した」と伝えた。
  パク氏は2000年、日本のフリーライターの追跡によって、北朝鮮にいる元従軍慰安婦としては初めて生存が確認された。また、1933年に連合軍が撮った慰安婦捕虜の写真に、妊婦姿で撮影されていることが確認されたりもした。

 今83歳なら、1933年には11歳。11歳の妊婦か…あり得ない話ではないが、かなり無理があるだろ。てか、人肉スープは大陸の文化よ。

 あと、「−5>−7」も分からないのか!と騒がれたこのニュース。
「高句麗壁画の製作技法、日本の古墳に大きな影響」(朝鮮日報)
 下地に鉛を使用する高句麗(コグリョ)古墳壁画の製作技法が、日本の古墳壁画に強い影響を与えたことを示す手がかりが発見された。国立中央博物館(館長:?健茂(イ・コンム))は21日、同博物館が所蔵している紀元前5世紀の高句麗・雙楹塚(サンヨンチョン)壁画の断片に、白い鉛の顔料である鉛白(塩基性炭酸鉛)が使用されていたことが確認されたと伝えた。この顔料は壁画を彩色する際、下塗りに使用されていた。
 鉛白を塗る技法は、1972年に発見された日本・奈良県の高松古墳壁画(紀元前7~8世紀)でも確認されている。ユ博士は「高松古墳は発見された当初から、墓に描かれた人物の服装などの点で高句麗や百済(ペクジェ)の影響を受けていると判断されていた」とし、「鉛白を塗る高句麗古墳壁画の製作技法が日本に伝わったと見られる」とした。


 高松塚古墳は紀元後7世紀から8世紀ッス。紀元前8世紀じゃ縄文時代だ。ついでに言えば、高句麗も紀元後の勢力なので、おそらくは紀元後5世紀かと。だから結果的に時間の前後関係は正しく、確かに日本に技法が伝えられたとは思うが、紀元前と紀元後の区別が出来ないようではいかんだろ。


よく謝るね (5/5)
 謝るのが好きだね、この人。
陸自活動への協力に謝意=戦時中の捕虜強制労働でおわび−小泉首相(時事)
 【アムステルダム2日時事】オランダ訪問中の小泉純一郎首相は2日夕(日本時間3日未明)、ライデン市内でバルケネンデ首相と会談した。小泉首相は陸上自衛隊が活動しているイラク・サマワでオランダ軍が治安維持に当たったことに謝意を表明。両首脳はイラクの復興に向けて、今後も協力していくことで一致した。
 また、小泉首相は第2次世界大戦中にインドネシアで起きたオランダ人捕虜の強制労働事件を念頭に「多くの国々の人々に多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受け止め、これまでも深い反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と改めて謝罪した。
 

 戦略があるのか無いのか分からんが、その実行手段が謝罪ばかりってのは芸がない。世界各国に謝罪して廻って、そうまでして常任理事国になりたいってことか?もしそうならば、なりふり構わないってのはこういうことを言うんでしょうな。そのうち、アメリカにも戦争してごめんなさいって言うかもな。

 そもそも、敵国条項の削除が先決で、常任理事国入りはその後の話。さらに言えば、拒否権のない常任理事国なんて張り子の虎。日本の常任理事国入りなんて、現段階では殆どの国にとっては「さらにODAや国連分担金頼む」って話でしかないのだが、それでも常任理事国は魅力か。United Nations=連合国という、二次大戦の戦勝国が作った安全保障の枠組みは、確かに戦勝国のみならず多くの国の加盟を経てはいるものの、拒否権を持った戦勝国の利害がぶつかる場という根本的性質は何も変わっていない。国連は決して国際平和の維持機関ではない。中途半端な気持ちで常任理事国になったら、各国のエゴにカネを吸い取られるだけですわ。

 オーストラリアの友人によると、(勉強上の理由で地方局中心に聞いているらしいが)AA会議の小泉演説について「謝罪」の部分が簡単に報道されただけだそうな。演説の後半はあまり話題になってないらしい。幾ら小泉首相の「意図」を読みとろうとしたって、受け取る側はこんなものだということか。

第三次天安門事件は起こるか (5/5)
 中国はこんな感じ。 

反日デモ関与を理由に民主活動家拘束…米人権団体発表(読売)

 記事によると、反日デモの封じ込めを口実に、民主活動家も逮捕しているという。転んでもタダでは起きない中国の面目躍如。
 5/4には何も起きなかったが、6/4はどうなるだろうか。第三次天安門事件はあり得るか。7月には蘆溝橋事件、8月には終戦の日と、イベント目白押し。バラクーダの「酒が飲めるぞ」みたいだ。

護憲勢力の断末魔 (5/5)
 ついでと言っちゃ何だが、朝日紙面はこの数日間憲法祭りだった。
 天声人語では、5/3には尼崎電車事故を長い前フリとして阪神支局襲撃事件に絡め、5/4には襲撃事件を書いたオチに「憲法の本」を取り出し、今日はその憲法の本にはじまり「改憲論者は深く憲法を考えていない」と妄言。社説でも、今の改憲ムードは「漠たる世直し気分」だそうで。(詳しくは、朝日新聞・社説、コラム補完録にて)
 5/3には左巻き系による全面広告が2つか3つ載せられ、社会面では不法侵入ビラ配り事件に絡めて「統制の恐ろしさ」を5回に渡って連載中。読者投稿欄の横では、識者゚∀゚)が憲法について意見を開陳。

 とりあえず朝日の必死さから見て、改憲の動きは確かなもののようです。


遺族冒涜の報道 (5/3)
 尼崎の電車脱線事故のマスコミの報道姿勢が気に入らない。
 JR西日本が悪いってのは分かるんだが、JR西日本を叩くために遺族を利用してるように見えて不快。遺族の怒りの感情は当然のものなのだが、しかしそれを撮影して何度も何度も放送するのはどうよ?遺族感情を伝えるのも使命だと言うかもしれんが、感情をむき出しにした状態を何度も流される遺族の身にもなれ、と。スカポンタンが遺族バッシング始めますよ、マスコミが「おいしい素材」と何度も繰り返し放送することによって。
 というか、高見運転士や被害者の方の人生を辿っても、感傷的なドラマにはなっても、それ自体私たちには何の意味も無いでしょ。必要なのは事故を未然に防ぐための方策であり、今後の対応だ。

 こういうクズをどうにかしてくれ。
5/3付朝日新聞「天声人語」
 脱線事故を、朝日新聞阪神支局襲撃事件の前フリに使うたぁいい度胸じゃねぇか。

短距離なら良し? (5/3)
 仮に「大したこと無い」と言いたいんであれば、もっと他の言い方無いのかね。
短距離なら平壌宣言に違反せず・谷内外務次官(日経)

 「短距離なら問題なし」って、朝日新聞の「一発なら誤射かも知れない」と大差ないって。
 短距離だろうが中距離だろうが長距離だろうが、ミサイル発射を行っている時点で平壌宣言違反だろ。てか、拉致事件に対する北の対応見てれば、平壌宣言なんてとっくに破棄されて然るべきモンだが。
 政府の中では未だに平壌宣言って「生き」なんですな。崩壊後のことを考えるべき段階なのに、国交正常化に固執ですか?北朝鮮との繋がりは平壌宣言しかない、それを維持するのは外交上得策ですか、そうですか。

その言葉の重み (5/3)
 耐え難きを耐え忍び難きを忍びってのは、国が滅びるか滅びないかの瀬戸際の時に、やむなく発する言葉でないかね。降伏は開戦以上の覚悟を求められる、ゆえにその言葉の重みも存在するってものでね。


変革は遠いか近いか (5/2)
 ゴールデンウィークって何?おいしいの?
 てな感じで、カレンダー通りの休みすら取れず、計算したら(休みないくせに暇だな)今年度の休日数が100日を大幅に下回り、あまつさえ住宅手当が無くなって給料まで減ってかなりゲンナリの拙者です。てか、アパート暮らしには手当が出てローン地獄には出ないってのは通常のことなのか?

 休みがないから遠出も出来ぬ。娘通信♪さんの「関ヶ原」の記事(4/29付)を読んで、また関ヶ原に行きたくなってきたのだが。笹尾山に登ると、各軍の兵士が目に浮かぶんだよな…で、狼煙は上がるわ鉄砲ぶっ放すわ逃亡するわ弁当喰うわと、静かな関ヶ原が俄に騒がしくなる…脳内妄想によって。拙者も石田治部少輔三成が好きです。

 そんなサラリーマンの悲哀と歴史ロマンを感じさせる前置き(?)から一転、ガキの喧嘩。
米大統領の「危険人物」発言に北朝鮮が猛反発(読売)
ブッシュ「金正日は危険人物だ」
金正日「お前なんか人間のクズだ!」


 金正日は放置して、ブッシュの発言、実は羨ましかったりする。日本がこんなことをやっているとなおさら、ね。

町村外相、中国への“注文”を演説直前に削除(読売)
 外相同行筋は「全体の分量が多くなりすぎたため削除した」と説明しているんだってよ。中国への配慮があったと考える方が自然だわな。ただ、その配慮が媚中姿勢から出たものか、胡錦濤に配慮=江沢民勢力の排除を考慮した上でのものかは、断定できないな。後者ならいいんだけどねぇ…あんまり期待してないけど。
 言いたいことを言えてしまうアメリカと、言うべきことも言えない日本。ついでに、言ったらいけないことを言ってしまった日本の首相、てのも追加。小泉演説も、「謝罪は冒頭だけ」って意見をよく聞くが、演説直前に冒頭部分を追加したって可能性は無いのかね?

 「家族会」の増元さん自ら渡米し一層の支援を要請せねばならない日本の政治って何なのだろうか、とむなしさを感じる。米下院外交委員会ハイド委員長が「現在の状況が続くようであれば、次の段階として国連安全保障理事会への付託も検討しなければならない」と述べたことを、ただ喜んでいる場合ではない。
 さらに言えば、北朝鮮による平島筆子さんの拉致について、政府は詳細の調査を行ったり、日本人妻らへの対応の改善を図っているのだろうか。北朝鮮のアホな宣伝は誰も信じないから問題ないが、脱北した日本人妻への支援が日本ではしっかり為されていないという印象が発信されたこと、そしてそれが事実であることは、深刻に受け止めねばならない。平沢勝栄の秘書が北京への飛行機チケットを買ってあげたという話もあるが、支援すべき立場にある人間が北朝鮮の罠に協力していたとなれば到底許すまじき話だ。

 北朝鮮の拉致は過去の犯罪ではない。工作活動は今も行われているし、工作員の一部は今も日本でのうのうと生活を続けている(参考記事:電脳補完録log)。日本は国家犯罪の実行犯が犯行後も平然と暮らせる国なのだ。


 現状では拉致問題の解決は遠いと言わざるを得ない。先述したような事実を見てもそう思えるし、小泉首相のAA会議での演説を是とする人が多いようでは、到底拉致問題など国家主権に関わる問題は解決できようはずもないとも思う。

 バンドン会議の意義を考えれば、例え戦略的に効果があろうとも(それすら長期的に見れば怪しいモンだが)あの演説は「超えてはならないラインを超えた」と見るべきではないのか。たとえアジア諸国へ向けた謝罪は効果があると言うことを認めたとしても、中国が「反日暴動は謝罪しない日本のせいだ」と喚いていたという文脈を考えると、あのタイミングは「中国の望みに応じて謝罪した」という受け止めをされても当然であり、最悪のタイミングではなかったか。
 しかし、それを是とするということは、結局は国の威信や誇りという物を「利益になると言う計算」の元では簡単に捨て去ることが出来る精神性を示している。「失ってはならぬ物(というより取り戻さねばならぬ物か)」が何であるのか分かっていないということになりはしまいか。

 拉致被害者を「何の犠牲も被害もなく」取り返す方策はあり得るのか。私の考えでは、そんなものはない。脱北者の保護や難民発生による経済的コストや治安上のリスクは少なからず発生しようし、北朝鮮によるテロ活動も懸念される。しかし、それらの可能性を全くゼロにしてから拉致事件を解決させようという姿勢は、現実として成立するのだろうか。
 もちろん、ただ闇雲に経済制裁を発動して武力行使も辞さずと宣言し、北朝鮮に突撃をかますような事態は望んでいない。防げるはずの被害すら防がずに実力行使を望む危うさは、ただの無責任な言説であり、救出できるはずの被害者を救出できない可能性という危うさに繋がる。事前にやらねばならぬことはたくさんある。
 しかし、「何の犠牲も被害もなく」解決する方法は存在し得ない。国家の主権を維持するのに、何のリスクも払わないわけにはいかない。この点で、決して精神論という話ではなく、「覚悟」だとか日本への思い入れというものの重要性が持ち上がってくる。「拉致事件の解決は願う」けれども「自分のみに火の粉が降りかかる可能性があるのは絶対にいやだ」というのは、成立しない。


 「犠牲のない平和」を享受できているように感じていても、実際には拉致被害者という犠牲者が存在している。拉致被害者の犠牲の上に自らの平和を築き上げているのが、今の日本の姿ではないか。それを良しとするのならば、北朝鮮の理不尽な発言や中韓の歪んだ歴史観を非難する資格など無い。

 私も、本当にその辺りの覚悟が出来ているのか、もしかしたら上辺の覚悟ではないのか、という自問は常にし続けている。76年生まれで裕福ではないが貧しくもない環境に育ち、生死を分かつような困難もなく(病気では何度か死にそうにはなってるが)、いわば戦後民主主義の思想や体制の中にどっぷり浸かって生きてきた。60年前まで日本人が持っていた誇りや矜持、そして覚悟というものを私がどれだけ理解しているのか、実際に60年前を経験したわけではないので、はっきり言えば分からない。さらに正直に言えば、「テポドンが飛んでくるのはいや〜ん」という心情も、理解できる。何の苦労も困難もなく今のような生活が続けばどれだけ幸せなことか、という気持ちは私もあるからだ。
 しかし、それを個々人が乗り越えて初めて日本はまともな国になるのではないのか。戦後民主主義からの脱却は大きなパラダイムシフトであり、そのただ中に身を置く自分を想像するのは、確かに不安を伴う。それでも、それを克服できなければ、日本は根本的には何も変わらないではなかろうか。