文型 4                          前のページへ戻る


 文型を一通り学んだので、ここで英文の構造について、もう一度確認しておきましょう。

 英語は、語順が命です。

 日本語は、ある程度なら語順を入れ替えても問題ありません。「彼は私にプレゼントをくれた」は、「私に彼はプレゼントをくれた」でもいいですし、「プレゼントを彼は私にくれた」でも「彼はプレゼントを私にくれた」でも問題ありません。
 しかし、「He gave me a present.」は、決して「Me he gave a present.」や「A present gave me he.」とはなりません(toという前置詞を使えば「He gave a present to me.」は可能ですが)。

 英語は、まず「主語+動詞」が置かれます
 そして、動詞によって、うしろにどんな形が来るのか決定します(ここでは動詞のうしろに来る型のことを「構文」と呼びます)。

 たとえばgiveであれば、give+[名詞(に)]+[名詞(を)]もしくはgive+[名詞(を)]+to[名詞(に)]のいずれかの構文をとると、決まっているのです。動詞によって決まっている構文にあわせて、私たちは必要なパーツを埋め込み、文を完成させるのです。日本語には、「動詞によって後ろに来る形式が決まっている」という感覚は殆ど無いですね。でも、英語では、この「動詞によって構文が決まる」という考え方は、絶対的な真理であり、英語を理解する上で最も重要な概念なのです。
 動詞による構文を押さえておかないと、英作文や会話は不可能なんです。動詞については、意味を覚えるだけでなく、後ろに来る構文をきちんと覚えていきましょう。
 なお、「構文」とは、文型をさらに細かく分類した物と考えて良いでしょう。たとえば、「SV名詞+名詞」や「SV名詞+形容詞」、「SV名詞+分詞」や「SVO to do」という構文を、まとめてSVOCと分類しているわけです。

 ちなみに、構文だけでは表現できない事項、たとえば「いつ」「どこで」「なぜ」などの補足説明的な事項は、前置詞+名詞接続詞+SVという形で随時補充することになります。

 また、構文は動詞の意味に大きく影響を及ぼします。つまり、動詞は、その単語だけを見ても決して意味は分からないのです……と言われても、「?」かもしれません。
 たとえばmakeの意味は何でしょう。「makeなんて『作る』に決まってるじゃん」と言うかもしれません。しかし、make OOなら「人に物をつくってあげる」になりますし、make OCなら「OをCにする」になります。また、少し特殊な用法ですが、She made a good wife.だと、make Cの文型で「Cになる」です(make herself a good wifeというSVOCのOが省略されているという考え方も広く為されています。make him a good wifeというSVOOのhimが省略されているという考え方もあるようですが)。
 つまり、うしろに来ている構文によって、動詞の意味は多彩に変わるのです(逆に、意味によって構文が変わると理解しても構わないでしょう)。

 makeのように、構文によって意味が変化するのが動詞の特徴ですが、「それじゃぁ覚えるのが大変だ」と思うかもしれません。
 たしかに、動詞については、後ろにどんな構文をとるのかを覚えなければ、いくら意味だけを覚えても使い物になりません。英作文で困るのはもちろんのこと、文章を読む際にも、うしろの構文によって意味が変わるのですから、構文を知らなければ訳を決定することさえ不可能です。

 しかしながら、都合のいいことに、英語の動詞には「うしろの構文によってある程度意味が似てくる」という性質もあるのです。例えばSVCの場合、大雑把には「〜だ(状態)」と「〜になる(変化)」の2つの意味しかありません。

 まとめてみましょう。

文型と意味のパターン
1.SV →「〜にいる(存在)」「現れる・消える・変わる」
2.SVC →「〜だ(状態)」「〜になる(変化)」
3.SVO 
文型による意味の特徴は無し
4.SVOO(SV IO DO) →「(人)に(物)を与える」
5.SVOC →「OをCにする(→OがCになる)」「OをCと認識する」

 大雑把にまとめると、このようになります。仮に見たことがない動詞でも、後ろの構文から、ある程度意味を類推することができるのですね。

 SVO型や、SV型でも前置詞を挟んで目的語をとる物は、これらほど単純ではありません。しかし、共に用いられる前置詞によって、ある程度分類することが可能です。

SV型のうち「SV+前置詞+目的語」パターン
 SV at A 「Aを狙う」
 SV for A 「Aを求める」
 SV on A 「Aに基づく、集中する、頼る」 
 SV into A 「Aに変わる」
 SV to A 「Aに向かう」
 SV from A 「Aから来る・生じる」
 SV by A 「Aに従う」

 第1文型動詞は、基本的には「存在」か「出現・消失・変化」ですが、「前置詞を挟んで目的語をとるパターン」や「副詞が付くパターン」はその限りではありません。まずは、「前置詞+目的語」がついて、群動詞としては第3文型になる物。前置詞によって、意味を類推できるパターンです。

 次に、「自動詞+副詞」パターン。

SV型のうち「SV+副詞」パターン
 SV on 「つづく」
 SV off 「離れる」
 SV up 「現れる」
 SV away 「遠ざかる」
 SV out 「生じる」
 SV by 「通過する、そばにいる」

 副詞によって意味を類推します。

 次は、バリエーション豊富な第3文型。しかしこれも、文型としては意味を統合できなくとも、構文レベルで見れば、ある程度意味をグループ分けすることができます。

SVO型のうち「SV+副詞+目的語」パターン
 SV on A 「Aを続ける、Aを身につける」
 SV off A 「Aを外す」
 SV up A 「Aを取り上げる、Aを作り上げる」
 SV away A 「Aを遠ざける」
 SV out A 「Aを生み出す、見つける」
SVO型のうち「SV+目的語+前置詞+名詞」パターン
 SV A with B 「AをBと結びつける、AにBを与える」
 SV A on B 「AをBに与える」
 SV A for B 「AをBと交換する、AをBのことで評価する(批判する)」
 SV A from B 「AをBから得る、AをBから離す」
 SV A in B 「AをBの中に入れる」
 SV A into B 「AをBに変える」
 SV A to B 「AをBと結びつける」
 SV A of B 「AにBを伝える、AからBを奪う」
 SV A as B 「AをBとみなす」


 もちろん、例外がないわけではありませんが、わずかな例外に気をとられるよりも、多くの物に適用できるルールは知っておいて損ではありません。まずはこれらを頭に入れ、少ない努力で効率的に英文が読めるようにしましょう。細かいニュアンスの違いを覚えるのは、その後で構いません。


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