準動詞 3                          前のページへ戻る


 この項では、分詞について触れていきましょう。

 本題に入る前に、ここでももう一度準動詞についてまとめておきます。

準動詞
不定詞
 to+do:名詞・形容詞・副詞
動名詞
 doing:名詞(名詞の前に付いた場合形容詞的用法有り)
分詞
 doing/done:形容詞(分詞構文の場合のみ副詞)

 では、分詞を見ていきましょう。


1.分詞の用法

 分詞には、現在分詞(doing)過去分詞(done)の2種類があります。
 原則として、現在分詞は「〜している」過去分詞は「〜された(受身)」「〜した(完了)」で訳します。過去分詞の訳し分けですが、元の動詞が自動詞(目的語を取れない動詞)の場合は、受身はあり得ませんので(目的語が主語になるのが受身の基本概念です)、そのような場合に完了の訳を当てます。例えば、「fallen leaves(落ち葉)」が有名ですね。

 また、分詞は基本的に形容詞の役割を果たします。形容詞には、名詞を修飾する用法(限定用法)と、文の補語になる用法(叙述用法)の2種類がありますが、分詞も同様に限定用法と叙述用法のそれぞれをとり得ます。例文を見てみましょう。

ex.1 He was looking at the setting sun.
   「彼は沈んでいく太陽を見ていた」
ex.2 This is the comic read by a lot of young girl.
   「これは多くの少女に読まれている漫画です」

 これらは限定用法の例。修飾語が分詞のみの場合は修飾される名詞の前に置きますが、分詞に前置詞句などがくっついて修飾部分が長くなる場合は、被修飾語の後ろに分詞句がまわります。

ex.3 The gate remained closed for a week.
   「その門は一週間閉められたままだ」

 これは叙述用法、SVCのCになっている例です。
 Sが、その動作をする側だった場合はdoing、される側だったらdoneを用います。補語に現在分詞と過去分詞のどちらを入れるか、という問題は、頻出パターンですので気を付けましょう。

ex.4 She kept me waiting for an hour.
   「彼女は私を一時間待たせた」
ex.5 Jimmy had his wallet stolen in the bus.
   「ジミーはバスで財布を盗られた」

 これらは叙述用法で、SVOCのCになっている例です。
 Oから見て、その動作をする側だったらdoing、される側だったらdoneを用います。これまた受験には頻出の事項ですので、きっちり頭に入れておきましょう。
 
 なお、CではないけれどもCのように訳す分詞もあります。

ex.6 She came running to me.
   「彼女が私の方に走ってきた」

 第1文型動詞に分詞をくっつけて「〜しながら」という意味を表します。これを補語と捉える見方もありますし、後述する分詞構文と解釈する向きもあります。とにかく、第1文型動詞に分詞が付いていたら「〜ながら」と訳す、と頭に入れておけば、後の解釈はどのようにしても問題ありません。


2.分詞構文

 分詞は基本的に形容詞ですが、「準動詞1」で少し触れたように、副詞の役割を果たす場合もあります。それが、ここで説明する分詞構文です。
 分詞構文というのは、ざっくりと言えば、接続詞+SVから接続詞を取り除いてしまったものです。接続詞を取り除く理由は、接続詞の意味を曖昧にぼかしたいというものだったり、詩などで語数や韻の制限があるから、という場合もあります。

 具体的に、分詞構文はどのようにして作られるのか、見ていきましょう(正確には、分詞構文ははじめから分詞構文として存在しており、これから説明するように「接続詞SVを変換して作られた物」ではありません。しかし、このように理解すると分詞構文を理解しやすくなるため、言語史とは異なる説明を敢えてしています)。

ex.7 As he studied hard, he passed the exam.
   「彼は熱心に勉強したので、試験に合格した」

 これを分詞構文を使った文にしてみましょう。

 まず、接続詞+SVから接続詞を取り除いたものが分詞構文ですから、前半部分から接続詞をとります。

ex.7→ He studied hard,

 もちろんこれは非文です。接続詞も無しに2組のSVを1文に入れることはできません。
 ですので、その問題点を解消するために、動詞を現在分詞にしてしまいます。動詞が消えてしまえば、「1文に2組のSV」という問題点は解消しますね。

ex.7→ He studying hard,

 最初のHeは、主節の主語と同じですので、無くても問題ないですね。ということで、潔く消してしまいましょう。

ex.7→ Studying hard, he passed the exam.

 これで分詞構文のできあがりです。
 まとめておきましょう。

分詞構文の作り方

1.接続詞を消す
2.動詞を現在分詞にする
3.主節の主語と同じ場合は主語を消す

 では、ちょいと特殊な場合を幾つか見ておきましょう。

(i)主節の主語と異なる場合

 上の囲みで「主節の主語と同じ場合は主語を消す」とありますから、主語が異なる場合は消さずに残せば良いわけです。

ex.8 As there was no bus service, I had to go back home on foot.
   →There being no bus service,……

 なお、主語が残っている分詞構文を独立分詞構文と呼びます。

(ii)接続詞の意味をどうしても入れたい場合

 本来は接続詞の意味をぼかすために分詞構文を使うのですから、接続詞の意味を入れたいというのは矛盾している気もしますが……接続詞を入れないと誤解を生じる可能性がある場合は、接続詞を残すこともあります。while、when、before、after、though、althoughなど、時・条件や譲歩の場合に限られます。

ex.9−1 If you travel north, you must change at Morioka..
      →If traveling north,……
ex.9−2 While I was watching TV, I fell asleep.
      →While watching TV,……

(iii)beingで始まる場合

 分詞構文がBeingで始まる場合は、Beingを省略する習慣があります。有名なのは、受身の文を分詞構文にした場合です。

ex.10 As he was born in England, he is a good speaker of English.
    →Born in England, ……
    (×Being born in England,)

 こうして過去分詞で始まる分詞構文が生まれます。「過去分詞の分詞構文」という言い方をする人がいますが、間違いとは言わないまでも、不正確な表現と言わざるを得ません。beingが省略されて初めて過去分詞が文頭に出てくるだけであって、あくまで元々はbeingという現在分詞を使っており、分詞構文は現在分詞で書くのが原則なのです。
 この辺りがいい加減だと、つまり「beingが省略されて…」というのを理解していないと、次のような分詞構文が理解不能になってしまいます。

ex.11 As he is kind to everyone, he is liked by them.
    →Kind to everyone,……

 「Being kind」の「being」が省略された物ですね。このように、形容詞から始まる分詞構文というのもあるのです。

(iv)否定の分詞構文

 否定の場合は、分詞の直前にnotを置けばOKです。

ex.12 Not knowing what to do, 「何をすべきか分からないので」


 さて、分詞構文の作り方を理解したら、次は訳し方です。

分詞構文の訳し方

文頭の場合
〜して、そして/
〜とき(=when)/ 〜ので・〜すると(=as)/ 〜ながら
文中・文末の場合
そして〜 / 〜ながら この2つの訳でダメなら文頭の場合の訳

 文頭にある場合は、まず「〜して、そして」と後ろに繋げる訳を押さえましょう。速読の場合はこれでじゅうぶんです。下線部訳の場合、あるいは「〜して、そして」で通じにくい場合は、「とき」と「ので」のいずれかを入れてみましょう。「〜ならば」「〜けれども」という訳を覚えさせる参考書もたまにありますが、現代ではほとんど使われないので覚える必要はありません。

 ちなみに接続詞による書き換え問題が出ますが、分詞構文は本来「接続詞の意味をぼかす物」なので、問題としてはちょっと的外れです。ただ、学校では未だに出る場合がありますのでそれぞれの訳と接続詞をセットで頭に入れておきましょう。まぁ、中学レベルの接続詞なので、訳を覚えれば接続詞まで覚える必要はないでしょうが。気を付けるのは理由を表す場合で、書き換えるなら「because」ではなく「as」を使ってください。理由を表す接続詞としては、becauseはかなり強い意味合いを持っています。意味をぼかした分詞構文の書き換えとしては、少し意味合いの弱いasを使うのが適当だということです。

 文中や文末にある分詞構文は、基本的に補足説明のニュアンスになりますので、「そして」と繋いで前から訳し下ろすか、後ろから付帯状況「〜ながら」で訳し上げるか、どちらかになる場合が殆どです。

 英作文で使うのは、自信があるときだけにしておきましょう。普通に接続詞を用いて書いた方が無難です。訳せるレベルに持って行ければ受験対策としては十分だと思います。
 ただ、「〜しながら」という内容の場合は、分詞構文を使わないと表現できないので、その時だけは分詞構文を使いましょう。with doingを使う人がいますが、without doing「〜しないで」はありますが、with doing「〜しながら」はありませんので、注意してください。


3.付帯状況のwith

 関連事項として、付帯状況のwithについて勉強しておきましょう。

付帯状況のwith

with O C 「OがCの状態で」
 
Cには形容詞、副詞、分詞、前置詞+名詞が入る

 第5文型みたいな形をとるwithです。
 Cに分詞が入る物は、人によっては、「独立分詞構文の頭にwithが付いた」と解釈する場合もあるようですが、Cに形容詞や副詞、前置詞句が入ることもあるので、「with OC」で覚えた方が良いでしょう。ちなみに、「前置詞+名詞」や「副詞」の場合は、場所を表す場合に限られます。

ex.12 She was sitting with her eyes closed.
    「彼女は目を閉じて座っていた」


4.準動詞関連の慣用表現

 最後に、準動詞絡みの慣用表現をまとめておきます。どれもよく出る物ばかりなので、頑張って頭に入れておきましょう。

動名詞を使った慣用表現

feel like doing 「〜したい気がする」
cannot help doing(=cannot but do)
 「〜せざるを得ない」
look forward to doing
 「〜するのを待ち遠しく思う」
It goes without saying that〜 
「〜は言うまでもない」
Would you mind doing ? 
「〜していただけませんか?」
Would you mind my doing ?
 「〜してもかまいませんか?」
be used to doing/be accustomed to doing
 「〜するのに慣れている」
when it comes to doing 「〜するということになると」
What do you say to doing ? 「〜するのはどうですか?」
make a point of doing 
「〜するよう心がけている」
There is no doing
 「〜できない」
It is no use doing 「〜しても無駄だ」
be busy doing
 「〜するのに忙しい」元々はbe busy in doing「〜するときには忙しい」でした
have difficulty doing 「〜するのが難しい」元々はhave difficulty in doing「〜するときに困難さがある」でした

独立不定詞
 すべて文修飾の副詞として使います。
to begin with 「まず第一に」
to make matters worse
 「さらに悪いことには」
to be frank(with you)
 「率直に言うと」
to tell the truth
 「実は」
to make a long story short 「手短に言えば」
to be sure 「確かに」
to do A justice 「Aを公平に判断すると」
strange to say
 「奇妙なことに」
needless to say 「言うまでもなく」
to say nothing of A/not to speak of A/not to mention〜 
「Aは言うまでもなく」
so to speak
 「いわば」

独立分詞構文の慣用表現

considering 〜 「〜を考えると」
taking A into consideration
 「Aを考慮に入れると」
giving〜
 「〜と仮定すると」
supposing〜
 「仮に〜ならば」
providing〜/provided〜 「〜ならば」
granting〜/granted〜 「たとえ〜としても」
judging from A
 「Aから判断すると」
generally speaking 「一般的に言うと」
talking of A
 「Aと言えば」
strictly speaking 「厳密に言えば」
frankly speaking 「率直に言えば」


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