基礎から英文法6                     前のページへ戻る


 名詞の様子を説明する形容詞には2つの役割があります。

 1つは、名詞を直接修飾する用法です(限定用法と呼びます)。

ex. This is a expensive car.「これは高価な車です」
 expensive(高価な)という形容詞は、後ろにある名詞carを修飾しています。

 もう1つは、be動詞などの後ろについて主語の内容を説明したり、make A B「AをBにする」のBの部分に入るなど、文に必要不可欠な要素としての役割を果たす物です(叙述用法と呼びます)。動詞ごとの文の型については「基礎から英文法2」あるいは高校英文法の文型 1文型 2を参照してください。

ex. This car is expensive.「この車は高価だ」
   The story made her sad. 「その話は彼女を悲しませた」


 さて。

 基本的な形容詞の用法を理解したところで、次に、単語としての形容詞以外に形容詞に相当する物にはどんな物があるか、まとめておきましょう。

英文の形容詞相当語句
 to不定詞
 分詞
 関係代名詞+文

 (関係副詞については中学レベルではないのでここでは省略)

 「前置詞+名詞」も形容詞句となる場合がありますが、of A以外は圧倒的に副詞句となる場合が多いので、副詞と捉えておいて、「おかしいな」と思ったら形容詞句に修正すれば良いでしょう。



1.形容詞に相当するto不定詞

 不定詞全般の説明については基礎から英文法4をご覧ください。

 to 不定詞が直前の名詞を修飾する場合があります。「〜すべき名詞」「〜するための名詞」と訳せばよいでしょう。

ex. I want something to drink. 「何か飲む物(←飲むための物)が欲しい」
ex. I have a lot of books to read. 「読まねばならない本がたくさんある」

 副詞的用法と紛らわしい場合があるのですが、とりあえず副詞的用法で訳してみて、おかしな訳になったら形容詞的用法で訳してみる、とすれば良いでしょう。一応理論的に判別する方法はあるのですが、中学生レベルでは厳しいです。どうしても理解しておきたいという人は、高校英文法の準動詞 1を参照ください。



2.分詞

 現在分詞は「be動詞+現在分詞」で進行形を、過去分詞は「be動詞+過去分詞で」受動態、「have+過去分詞」で完了形になりますが、それ以外にも、名詞を修飾したり文の要素になるなどの用法があります。中学レベルでは、名詞を修飾する用法を押さえます。

分詞の修飾
 名詞+〜ing 「〜している名詞」
 名詞+〜ed 「〜された名詞」

ex. Look at the baby sleeping in the bed. 「ベッドで眠っている赤ちゃんを見て」
ex. This is a car made in Japan. 「これは日本で作られた車です」

 修飾部分が1語ではない場合、修飾部分は名詞の後ろに来ます。「sleeping in the bed baby」だと切れ目が分かりにくいですからね。
 なお、修飾する語が分詞一語の場合は、普通の形容詞のように名詞の前に置きます

ex. Look at the sleeping baby.


 分詞の修飾が付いている名詞が主語の場合、「切れ目がどこかよく分からない」「巧く訳せない」という声を聞きますが、分詞のかたまりの中に動詞が入るはずがない、ということを頭に入れておきましょう。
 つまり、分詞の修飾が始まったと思ったら、動詞が出てくるまで待ちます。その動詞の直前までが分詞のかたまりと言うことになるのです。

ex. The boy standing at the corner is my brother.
    1.standing からかたまり開始
    2.動詞 is の直前までがかたまり
  → The boy (standing at the corner ) is my brother.



3.関係代名詞+文

 名詞について詳しく述べた文を、その名詞の後ろにくっつけてしまう表現法があります。その時に用いる語が、関係代名詞です。
 ともかく、「名詞を説明する文を合成する方法」をまず説明しましょう。

(i) 説明部分の合成法

 まず、英語ではなく日本語で考えてみましょう。

ex. 「私には友達がいる」+「彼はアメリカに住んでいる」
  →「私にはアメリカに住んでいる友達がいる」

日本語で、名詞説明の文を合成する場合は、
1.説明される語の前に説明部分を入れる。
2.説明される語と重なっている語(この場合「彼」)を省く)
 となります。

 では、英語の場合はどうでしょうか。

ex. 「I have a friend」+「He lives in England.」 
  →「I have a friend who lives in England.」 

 whoがなぜか入り込んでますね。これが実は関係代名詞です。ある言葉を説明する文を繋ぐ役割を果たす語を関係代名詞と呼ぶのです。詳しい説明は後回しにして、まず名詞説明の文の合成法をまとめてみます。

名詞説明の文の合成法
 1. 説明される語の後ろに説明部分を入れる
 2.説明される語と重なっている語(この場合「he」)を、
   関係代名詞にして、つなぎの部分に持ってくる

 なお、説明される語のことを、説明部分の先に現れる語ということで、先行詞と呼びます。


(ii) 関係代名詞の使い分け

 さて、関係代名詞には幾つか種類があります。

関係代名詞
 先行詞が人のとき
   合成前がSならwho、Oならwhom
 先行詞が物のとき
   合成前がSでもOでもwhich

 ちょいと例を挙げておきましょう。

ex. I have a book.+It is read by many people.
  (説明部分をbookの後ろに置き、itが重なるので、whichにして接続部へ飛ばす)
  → I have a book which is read by many people.

ex. I have a book.+I bought it yesterday.
  (説明部分をbookの後ろに置き、itが重なるのでwhichにして接続部へ飛ばす)
  → I have the book which I bought yesterday.

ex. I know a lot of people.+They live in New York.
  (説明部分をpeopleの後ろに置き、theyが重なるのでwhoにして接続部へ飛ばす)
  → I know a lot of people who live in New York.

ex. The doctor gave her the wrong prescription.+She visited him. (prescription:処方箋)
  (説明部分をdoctorの後ろに置き、himが重なるのでwhomにして接続部へ飛ばす)
  → The doctor whom she visited gave the wrong prescription.

 ただし、合成前が目的語だった場合、関係代名詞は省略することが多いです。

ex. I have the book I bought yesterday.
ex. The doctor she visited gave the wrong prescription.

 また、これらの関係代名詞は、すべてthatで代用することもできます

ex. I have a book that is read by many people.
ex. I know a lot of people that live in New York.


(iii) 訳しかた

 以下の手順で訳します。

関係代名詞のかたまりの訳しかた
 1.関係代名詞のかたまりの範囲を確定する
 2.メインの文と、関係代名詞のかたまりを別個に訳す
 3.日本語を合成

 1の「かたまりの範囲を確定する」ですが、「The man who is standing at the corner is my brother.」なんて文をきれいに訳せない中学生は結構いますね。次の方法論をマスターしましょう。

関係代名詞のかたまりの見抜き方
 1.名詞 の後にwho、which、thatがあれば関係代名詞
   あるいは、名詞の後にいきなりSVが現れたら、関係代名詞省略
 2.二つ目の動詞の前 までがかたまり
   二つ目の動詞がなければ 文末 まで固まり
     ※英語では、一文あるいはひとつのかたまりには、動詞が一つしか使えない。
      よって、関係代名詞から数えて二つ目の動詞が出てきたら、
      それは関係代名詞のかたまりからはずさねばならないのである。

 先ほどの文で説明すれば、
ex. The man who is standing at the corner is my brother.
  1.whoからかたまり開始
  2.二つ目の動詞、つまりisの前までかたまり
→The man (who is standing at the corner ) is my brother.

 よろしいでしょうか。

 では訳を施してみますと、

2.メインの文と、関係代名詞のかたまりを別個に訳す
 →The man is my brother と who is standing at the corner に分けて訳す
 →「その男は私の兄だ」「角に立っている」
3.合成
 →「角に立っているその男は、私の兄だ」


 なお、速読の場合は、関係代名詞を「その人」「それ」と訳して、後ろに訳し下ろしても意味を取ることは可能です。
 さっきの文なら、「その男、角に立っている、私の兄だ」と前から切りながら訳しても、意味は取れますね。しかし、どこで切るかというのは結局「きちんと訳す方法」を理解していないと分からない物ですから、ちゃんとした訳の方法論をまずは身につけましょう。


前のページへ戻る