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第3位へ陥落 (2011 3/3)

 CNNから、日本がGDPで中国に抜かれた記事を。

Japan: Economy slips to third in world, behind US and now China
By Kyng Lah, CNN
February 14, 2011 -- Updated 0226 GMT (1026 HKT)


Tokyo (CNN) -- Japan has slipped to the world's third largest economy, falling behind the blistering speed of China's manufacturing growth, according to Japanese figures released Monday.

Japan's cabinet office released its nominal gross domestic product figures for 2010. Japan's economy was valued at US $5.4742 trillion dollars while China was at US $5.8786 trillion.

Japan's economy did grow in 2010, but only 3.9%, according to the government. China's is expected to grow more than 10%. At the speed China is growing, Japan's government predicts China will overtake the United States as the world's largest economy in less than 20 years.

China has expanded domestic industries and infrastructure, driven by a surge in exports. Multinational corporations have expanded in China, taking advantage of low labor costs.

Japan, meanwhile, has been stuck in stagnation and deflation for two decades. Decisive economic policy has been lost in the revolving door of the country's top leader, with Japan seeing six prime ministers in just five years. Looking ahead, Japan is facing a demographic tsunami, with the world's fastest aging population and one of the globe's lowest birth rates.

On the national debt issue, Japan's parliament is struggling to cap its GDP-to-debt ratio, which is nearing 200% -- the world's highest among developed nations.

The size of an economy does not tell the entire picture: Japan's GDP per head is around $40,000 while China's is $4,500. The standards of living remain remarkably different in the two countries. But the economic size of a country gives a snapshot of not just the financial influence of a nation, but its power in the world's political sphere.




Japan has slipped to the world's third largest economy, <falling behind the blistering speed of China's manufacturing growth>, <according to Japanese figures released Monday>.
月曜日発表された日本の指標によると、日本は世界第3位の経済規模へ転落し、膨れ上がる勢いの中国の製造業成長の後塵を拝した。

 Japan has slipped「日本は滑り落ちた」。to the world's third largest economy「世界の3番目に大きな経済に」。the 序数+最上級で「〜番目に…」という表現。economyは「経済」。形容詞形はeconomic「経済の」economical「経済的な、節約の」の2つがあります。
 falling以下は分詞構文。「そして」で繋いでしまいます。falling behind「後れをとった」。fall behind「遅れる、後れをとる」は「後ろに落ちる」と直訳でイメージをつかんだ上で覚えてしまいましょう。 behindの後ろはその目的語。何に後れをとったか。the blistering speed of China's manufacturing growth「膨れ上がる速度の中国の製造業の成長」。blisterは「水膨れになる」。blistering speed ofは直訳すれば「水膨れになるスピードの」ですので、「急激に膨張する」という意味だと解釈します。manufactureは「製造する」。manuが「手」、factが「作る」という意味ですが、経済用語の「マニュファクチュア=工場制手工業」という辺りに、語源を考えて訳を作った明治人の知性が感じられますね。growthはgrowの名詞形。
 according to以下は<  >。according to Aは「Aによれば」。according to Japanese figures 「日本の数字によれば」。released Mondayは分詞の後置修飾で「月曜日に公表された」。



Japan's cabinet office released its nominal gross domestic product figures for 2010.
Japan's economy was valued at US $5.4742 trillion dollars <while China was at US $5.8786 trillion>.

日本の内閣府は、2010年一年間の、名目上の国内総生産(名目GDP)の数字を発表した。
中国の5兆8786億ドルに対し、日本経済は5兆4742億ドルと見積もられた。


 Japan's cabinet office released「日本の内閣府は発表した」。cabinetは「内閣」、releaseは「解放する、(情報を)放出する」。its nominal gross domestic product figures for 2010「日本の2010年の名目GDPの数字を」。nominalは「名目上の」。nameと同語源です。gross domestic productは「国内総生産」ですが、とりわけdomestic「国内の、家庭の」とprosuct「生産」は覚えておきましょう。
 Japan's economy「日本経済は」、was valued「評価される、見積もられる」。valueは名詞(「価値」)のみならず動詞としても使われます。at US $5.4742 trillion dollars「5.4742兆ドルと」。while以下は<  >。このwhileは「一方」で訳しましょう。「一方で」の訳の場合は、「〜する一方…」とやっても「…する一方から」としても、どちらでもかまいません。while China was at US $5.8786 trillion「中国が5.8786兆ドルである一方」。



Japan's economy did grow <in 2010>, but only 3.9%, <according to the government>.
China's is expected to grow more than 10%.

日本政府によれば、日本経済は2010年は成長はしたがわずか3.9%成長である。中国は10%以上成長すると予想される。

 Japan's economy「日本経済は」、did grow in 2010「2010年には成長した」。動詞の直前にdo(もちろん過去ならdidです)があった場合は、動詞の強調になります。相手が否定的に思っていると思われる場合、それを打ち消すようなニュアンスを込めるときに使います。ここでは、「成長していない」と思われているかも知れない読者の思いを打ち消すために、didを置くことで「成長はしたんだ」と強調しているわけです。ただ、日本語にはなかなか訳しづらいので、無理に強調の意味を含めた訳を作る必要はありません。
 but only 3.9%「しかしわずか3.9%の成長だった」。according to the government「日本政府によれば」。
 China's is expected to grow more than 10%「中国経済は10%以上成長すると予想されている」。expect A to do「Aが〜すると予期する」、その受身の形ですが、be expected to do「〜すると予期される」という形でよく使われますので、それでも覚えておくと良いでしょう。また、China'sと所有代名詞になっていることに注意。



<At the speed (China is growing)>, Japan's government predicts [China will overtake the United States (as the world's largest economy) <in less than 20 years>].
中国の成長速度だと、中国は20年以内に世界最大の経済大国であるアメリカに追いつくと、日本政府は予想している。

 At the speed China is growing「中国が成長する速度で」。the speedという名詞の後ろにあるSVなので、China is growingは(  )。Japan's government predicts「日本政府は予測する」。そのうしろ、動詞の後ろのSVなので文末まで[  ]。China will overtake「中国は追いつくだろう」。the United States「アメリカに」。そのうしろ、as以下は名詞しかないので、前置詞のas。前置詞のasは、イディオムでない限りは基本的に「〜として」となります。この場合は、「〜としてのアメリカ」というように、アメリカの説明になっています。asは様々な用法がありますが、基本的な意味は「イコール」だと押さえておきましょう。as the world's largest economy「世界最大の経済としての」。in less than 20 years「20年以内に」。in+時間は「〜経ったら」ですので、直訳すれば「20年未満が経ったら」です。



China has expanded domestic industries and infrastructure, <driven by a surge in exports>.
Multinational corporations have expanded <in China>, <taking advantage of low labor costs>.

中国は、輸出の急増に支えられて、国内産業とインフラを成長させてきた。
多国籍企業は低賃金を利用しながら中国で拡大してきた。


 China has expanded「中国は膨張させてきた」。expandは「膨張する」。似たような語にextendがありますが、こちらは「広がる」。イメージとしては、expandは立体的で、extendは平面的な感じでしょうか。
 domestic industries and infrastructure「国内産業とインフラを」。industryは「工業、産業」。industrialが「工業の、産業の」industriousだと「勤勉な」になります。industryにも「勤勉」という意味はありますが、あまり使われず、diligenceの方が使われることが多いようです。
 driven以下は分詞構文です。補足説明なので、このまま訳し下ろしていきます。driven by a surge in exports「輸出の急増に動かされて」。driveには「動かす、駆り立てる」の意味合いがあります。surgeは「(波の)うねり」の意味、そこから感情のうねりや人のうねりも表現できるようになりました。ここでは「輸出でのうねり」ですから、「輸出の急増」と意訳しておきます。
 Multinational corporations「多国籍企業は」。multiは「多くの」という意味の接頭辞。have expanded in China「中国で膨張してきた」。taking以下は分詞構文。taking advantage of low labor costs「低い労働者の費用を利用して」。ここは「そして〜」と訳し下ろすより、「〜ながら」と訳し上げた方がきれいになりますね。take advantage of Aは「Aを利用する」。advantageは「利点」。



Japan, <meanwhile>, has been stuck in stagnation and deflation <for two decades>.
Decisive economic policy has been lost <in the revolving door of the country's top leader>, <with Japan seeing six prime ministers <in just five years>>.

一方日本は、20年にわたる景気の停滞とデフレに直面している。
断固とした経済政策は、わずか5年で6人の総理を目撃するという、国の指導者の回転ドアの中に失われてきた。

 Japan「日本は」、meanwhileの部分は副詞なので<  >しておきましょう。meanwhile「その間に、一方で」。一方日本は、has been stuck in stagnation and deflation「スタグネーションとデフレーションに直面してきた」。現在完了の継続ですね。
 be stuck in Aは「Aに直面している」。stickが「突き刺す」ですので、「〜の中に突き刺さっている→〜にとらわれている」というイメージを描いておきましょう。スタグネーションは「景気停滞、不景気」。デフレは貨幣価値が下がることを示します。対義語はinflationですね。
 for two decades「20年間」。decadeは「10年」です。化学を学んでいる人、学んだことがある人は知っているでしょうが、decaが「10」を表します。

 Decisive economic policy「断固とした経済政策は」。decisiveはdecideの形容詞です。「決断するような」という意味合いですから「断固とした、決定的な」と訳します。
 has been lost「失われてきた、迷ってきた」。in the revolving door「回転ドアに」。revolveは「回転する」。re(再び)+volve(巻く)です。revolutionが名詞形ですが、「回転」以外にも「革命」という意味があります。政権が回転してひっくり返るイメージですね。何の回転ドア?of the country's top leader「国の指導者の」。
 この回転ドアは比喩表現なので、わかりにくかった人のために、後ろに補足説明が続きます。with OC「OがCの状態で」という付帯状況のwithが使われています。
 with Japan seeing「日本は見ている状態で」。何を?six prime ministers in just five years「わずか5年で6人の首相を」。prime ministerは「総理大臣」。primeが「第一の、主要な」、ministerが「大臣、牧師」です。



<Looking ahead>, Japan is facing a demographic tsunami, <with [the world's fastest aging population] and [one of the globe's lowest birth rates]>.
前方を見れば、日本は、世界最速の高齢化と世界的な低出生率という、人口統計の津波に直面している。

 文頭のLooking aheadは分詞構文ですから<  >。動名詞と考えた場合に主語にも目的語にもなりそうにない場合は、分詞の可能性を考えましょう。Looking ahead「前方を見ると」。
 Japan is facing「日本は直面している」。faceは動詞だと「直面する」。be faced with Aでも同じ意味です。a demographic tsunami「人口統計の津波に」。demoが「民衆」を表します。graphは「描いた物」ですから、絵面で人について示した物ということからdemographyは「人口統計」を示します。-icで形容詞形。
 with [the world's fastest aging population] and [one of the globe's lowest birth rates]。「世界最速の高齢化と世界的にもかなり低い出生率を伴って」。aging populationは直訳すれば「年をとる人口」、要するに「高齢化」です。one of〜は「〜の一つ」ですが、最上級を少し弱めるはたらきをすると考えてもかまいません。globeは、すぐ前にすでにworldが使われているので、別の単語に変えただけで、worldと同じ意味です。



<On the national debt issue>, Japan's parliament is struggling to cap its GDP-to-debt ratio, <which is nearing 200% -- the world's highest <among developed nations>>.
国債発行額に関しては、GDPと借金の比率を改善することに苦闘している。その比率は、ほぼ200%という、先進国中で世界最高の状態だ。

 on以下コンマまでは<  >。On the national debt issue「国の借金の発行について」。debtは「借金」。issueは、「出す」が原義で、そこから「発行する、発行、問題」といった意味が出てきます。
 Japan's parliament「日本の議会は」、is struggling to cap「覆い被せようともがいている」。struggle to doで「〜しようと苦闘する」。capは「帽子」の意味ですが、動詞だと「帽子をかぶせる」という意味。そこから「覆う」という意味が出てきます。何を覆うのか?its GDP-to-debt ratio「GDPと借金の比率」。ratioは「割合、比率」。「収支の比率に覆いをかぶせる」ということですから、この場合はcapを「改善する」と意訳しておきます。
 which以下は非制限用法の補足説明。which is nearing 200%「それは200に近づこうとしている」。つまり、the world's highest「世界の最も高いレベル」、among developed nations「先進国の中で」。developed countriesは「発展してしまった国」と言うことから「先進国」。developing countriesだと「発展している国」と言うことで「途上国」の意になります。



The size of an economy does not tell the entire picture: Japan's GDP per head is around $40,000 <while China's is $4,500>.
The standards of living remain remarkably different <in the two countries>.
But [the economic size of a country] gives a snapshot of not just [the financial influence of a nation], but [its power in the world's political sphere].

経済規模は全体像を伝えてはいない。すなわち、日本の一人あたりGDPは4万ドルほどで、一方中国は4500ドルである。
生活水準は、2国で明らかに異なったままである。
しかし国家の経済規模は、国の財政的な影響のみならず、世界の政治的領域での力を示してくれる。


 The size of an economy「経済の規模は」、does not tell「伝えない」、the entire picture「全体像を」。entireは「全体の」。
 コロンは「つまり」という意味で、直前の内容を詳述します。
 Japan's GDP per head「日本の一人当たりGDPは」。per headは直訳すれば「頭あたり、頭につき」ですが、これで「一人当たり」です。is around $40,000「およそ4万ドルだ」。aroundは副詞のaboutと同様の使い方ができます。
 while以下は<  >。while China's is $4,500「中国が4500ドルである一方で」。

 The standards of living「生活水準は」。この言い方は覚えてしまいましょう。remain remarkably different「かなり異なったままだ」。remain C「Cのままだ」は必須の語法。remarkablyは「顕著に」。動詞remarkが「述べる」、形容詞remarkableが「(わざわざ述べることができるくらいに)著しい」。in the two countries「2つの国の間では」。theが付いてますから、当然ここでの2国は日本と中国です。
 But the economic size of a country「しかし経済規模は」、gives a snapshot「スナップショットを与える」。意訳すれば、「〜を分かりやすく示す」といった感じですね。
 of以下ですが、not just A but Bの形になっています。justはonlyの類義語ですので、not only A but (also) B「AだけでなくB」の構文と同じように訳しましょう。of not just the financial influence of a nation「ある国の経済的な影響力だけでなく」、but its power in the world's political sphere「世界での政治的な世界での力を示す」。financialは「財政の」。名詞はfinance。influenceはin(内に)+flu(流れる)で「影響、影響する」。powerは「力」ですが、「権力」や「大国」と訳すと通じる場合もあります。politicalは「政治の」。sphereは「球」ですが、そこから「球のようなまわりの世界」というイメージに派生して「世界、領域」の意味が出てきます。