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スーダン南部独立の国民投票に関する基礎知識 2 (2011 1/20)

 では、前回の記事の後半を見ていきます。

Oil and power at center of vote to split Sudan
By Peter Wilkinson, CNN
January 9, 2011 -- Updated 1431 GMT (2231 HKT)




Do observers believe [voting will be fair]?
立会人は投票が公正になると信じてるのか?

 observeは、「観察する、(法などを)遵守する」。observerは直訳すれば「観察者」ですが、会議には直接関与しないが会議には参加している「オブザーバー」の意味がそこから出てきます。
 believeのうしろ、つまり動詞の後ろがSVですので[  ]。fairは「公平だ」ですが、fairlyと副詞になると、「かなり、まぁまぁ」という意味になりますので気を付けましょう。



Many southerners fled to the north <for safety> <in recent decades> <as one of Africa's longest running civil wars played out <in their homeland>>.
アフリカで最も長く続いた内戦の一つが故国で終焉を迎えたとき、多くの南部人が、ここ数十年安全を求めて北部に亡命した。

 many southernersが主語、「多くの南部人が」。fledはflee「逃げる」の過去形。to the northが<  >で「北へ」。for safety in recent decadesで「安全のために、最近数十年」。
 asはうしろがSVなので接続詞。ここは「とき」で訳しておきましょう。「とき、つれて、ので、ように」を覚えておくんでしたね。
 runは「走る」という意味ですが、「走っている内戦」……「続いている内戦」と推測できましたか?それが、play outした、と。「(劇などを)最後までやる」という意味ですが、outに「すっかり、完全に」といったニュアンスがありますので、そこから推測しましょう。



Khartoum itself has numerous voter registration facilities, /and the deadline was extended <by a week> but southerners are wary, <with many opting to leave town rather than sticking around <to vote>>.
ハルツーム自体膨大な投票者登録の施設を持っており、〆切は一週間延期されたが、南部人は用心深く、多くが、投票するために近くに待機するより町を出ることを選んでいる。

 numerousは「膨大な」。numberの形容詞とイメージすればいいでしょう。registrationはregisterの名詞形。「記録する、登録する」ですね。facilityは「施設」「能力」と「便利さ」を覚えておきましょう。
 deadlineは「締め切り」。たしかに越えるとマズい、「死の線」ですね。
 extendは「広がる、延ばす」。tendが「伸びる」で、exが「外へ」という意味です。名詞形はextent。to some extent「(何らかの広がりへ→)ある程度」という重要熟語があります。
 byは「〜の分だけ」という差分を表す用法があります。
 waryは難度の高い語ですが、「警戒している」という意味で覚えましょう。awareと関連づけると、覚えやすいかも知れません。

 with以下は、manyをO、opting以下をCとする、付帯状況のwith「OがCの状態で」です。
 optは「選択する」ですので、「多くの人が〜を選んでいる状態で」というのが直訳。optは、名詞形のoptionにすると、馴染みのある語ですね。
 A rather than B は「BというよりむしろA」。A rather than B = A more than B = less B than A = not so much B as Aです。
 stickは、元来は「突き刺す」という意味ですが、突き刺した棒は動かないというところから「動かなくする、離れない」という意味が出てきます。standやstillのstも同じ事です。stick aroundは直訳すれば「辺りで動かない」ということなので「近くで待機する」という意味になります。



A satellite surveillance project spearheaded <by actor George Clooney's organization> will monitor <for violence> <in Sudan> <during the vote>.
俳優ジョージ・クルーニーの組織が陣頭指揮を執っている衛星監査プロジェクトが、投票の際のスーダンでの暴力行為を監視している。

 A satellite surveillance project「衛星監視プロジェクト」。spearheaded は「先頭に立つ」という意味ですが、入試レベルでは不要です。直後にbyがありますので、そこだけをもらい、「〜による監視計画」としておけば問題なしです。
 byからorganizationまで<  >。will monitorが文の述語ですね。monitorは「監視する」。
 for以下は、3つの前置詞句が並んでます。全て<  >でいいでしょう。



The program will use satellite images <to assess the situation (on the ground) <for any signs of conflict>>, monitor hotspots in real time, and post the findings online, /organizers said.
その計画は衛星画像を使って衝突の兆候はないか地上の状況を査定し、リアルタイムで衝突の現場を監視し、発見したことをオンラインで公表する、と組織の創設者は述べている。

 to assess以下は、目的を表すto不定詞。ただ、to do部分が非常に長い場合、下線部訳などで「〜ために」と後ろから訳し上げると日本語としての収まりが悪くなることがあります。そういう場合は、to doを「そして〜する」とやる方法があります。たとえば、「I bought a book to study English.」は「英語を勉強するために本を買った」というところを「本を買って英語を勉強した」でも、同じような意味合いになります。今回は、どちらでも訳せますが、勉強のために「そして〜」で繋ぐ方で訳しておきます。
 assessは「査定する、分析する」。名詞形のassessmentはもはや日本語ですね。「計画は衛星画像を使い、〜を査定する」と訳せます。何を?「地面の状況」を。うしろのforは「〜を求めて」のforです。「何か兆候を求めて」。

 コンマが出てきましたが、さらに後ろの方を見ると、もう1つコンマがあってandも見えます。「A, B, and C」の形ですね。接続している物が動詞の原形なので、will useのuseと並列なのか、to assessのassessと並列なのかは迷うところですが、ここは文脈から前者でしょう。「発見を公表するために衛星画像を使う」だと変ですから。
 monitorは「監視する」。hotspotは直訳すれば「熱い場所」。この場合は、衝突がないか監視しているわけですから、hotspotは「衝突の起こった場所」のことですね。「紛争地域」とか「夜の繁華街」という意味があるのですが、覚えなくても良いでしょう。
 postは「ポスティング」という言葉にすれば、日本語で理解できるでしょう。「投稿する」とか「掲示する」という意味です。



<If the south does split>, what are the dangers?
もし南部が分離した場合、何が危険となるか?

 if以下コンマまでは< >。splitは「分かれる」。dangerは「危険」という名詞。形容詞はdangerousですね。



[The main rebel force in the south, the Sudan People's Liberation Army] has dominated politics in the south <since the fighting ended in 2005>.
主な南部の反政府勢力であるスーダン人民解放軍は、2005年に戦争が終結して以来、南部の政治を支配してきた。

 forceは動詞だと「強制する」。force A to do「Aに〜させる」という語法をとります。make A doとほぼイコールです。名詞だと、「強制力」というところから「力、暴力、勢力、軍隊」という意味が出てきます。ここでは、「rebel force」となっているので「反乱勢力」としておきます。
 liberationはliberate「解放する」の名詞形。liberty「自由」も同語源です。
 dominateは「支配する」。politicsは「政治」。policyは「政策、政治信条」になります。「南部の政治を支配してきた」のですね。
 since以下は<  >。前置詞ではなく、今回は接続詞として使われています。「戦いが終わって以来」です。



But the area is still awash <with weapons, militias and mistrust>.
しかし、その地域は依然として、武器、民兵、不信で溢れている。

 awashは入試レベルではないです。washに叙述用法(補語になる用法)の形容詞を作るaが付いた形と見抜ければ「洗われている→水浸し」の意味合いが読み取れるかも知れませんが、ここはむしろ、うしろのwithに注目した方がいいでしょう。withは「〜をともなって」ということですから、「武器、民兵、不信をともなっている」と解釈しておけば問題ないです。
 militiaも入試レベルとは言い難いですが、「militaryと似ているな」と考えて、「軍隊関係かな?」と推測できれば御の字です。



The whole process is precarious. Experts say [a fresh conflict is a real possibility].
全過程は不安定だ。専門家は、新しい衝突が現実にあり得ると述べている。

 wholeは「全体の」。precariousは「不安定だ」、これは余裕があったら覚えておこうというレベル。分からなくても、後ろを先に読んでいけば、マイナスイメージの単語というのは掴めると思います。
 real possibilityは「現実の可能性」。主語が、「現実に起こりうる」と述べているわけです。



Alex Vines, <of London-based think tank Chatham House>, said: "The referendum is a risky affair.
ロンドンに拠点をもつシンクタンク「チャタム・ハウス(王立国際問題研究所)」のアレックス・ヴァインズはこう述べている。「国民投票は危険を伴う。

 , of以下はAlex Vinesの補足説明(being省略の分詞構文であるが、把握しておく必要はない)。of+名詞は、形容詞のような役割を果たします。
 riskyはrisk「危険性」の形容詞。affairは、多くの意味がありますから、まず「為したこと、起きたこと」という原義を覚えておきましょう。あとは文脈に合わせて意訳するのがよいでしょう。



<If it's managed wisely by leaderships of the south and north> then maybe an amicable separation can take place.
もし南部と北部のリーダーシップによって賢く運営されれば、おそらく友好的な分離を行うことができるだろう。

 ifからnorthまで<  >。If〜then…「〜ならば…」という形ですが、thenは「ここからが主節ですよ」という目印として使われているだけなので、無視して構いません。漢文の「〜スレバ則ち」のようなものです。
 manageは「運営する」。manage to do「なんとか〜する」も頻出です。wiselyはwiseの副詞。lyが付いたら副詞と思いましょう。lyが付くのに形容詞になるのは、friendlyやlikelyなど、ごくごくわずかです。 
 「もし南と北のリーダーシップで賢く運営されれば」となります。

 amicableは「友好的」という意味ですが、入試では必須ではありません。「賢く運営されれば〜な分離が起こる」となるので、「たぶんプラスの意味だろう」と推測できればいいでしょう。分からない単語を、とりあえずプラスかマイナスかで判断するというのは、英語のみならず古文や漢文などでも利用できます



There's a lot of danger [it could backfire spectacularly] -- we could see a renewed civil war, <which is nothing new for Sudan>."
壮大に裏目に出る危険性がある。新しい内戦を見ることになるかもしれない……スーダンにとっては新しい物ではないが。

 There's a lot of dangerで「多くの危険がある」。うしろのSVはdangerの中身の説明ですね。the danger that SV「〜という危険」です。同格のthatです。
 backfireは文字通り「後ろ向きに出てくる火・砲火」です。そこから、「裏目」という意味が生まれました。
 spectacularlyですが、lyを取ったspectacularはspectacleの形容詞。spectが「見る」という意味で、spectacleは「見るべき物→壮大な物」の意。spectacularは「壮大な」です。「壮大に裏目に出る可能性がある」と訳せます。
 ――のうしろは、その「裏目」の内容が記されています。「新しい内戦を見ることがあり得る」と言っています。で、内戦について、, whichの後ろで補足説明です。



What is likely to happen <in the rest of the country>?
国内の他の地域では何が起こる可能性が高いか?

 be likely to doは「〜する可能性が高い」という重要表現。
 restは「休憩」以外にも、「残り」という意味があります。



Bashir is already an international pariah -- he is wanted for genocide and crimes against humanity <by the International Criminal Court> -- for his alleged involvement in killings <in Darfur>, <in the far west of the country>.
バシルは既に、国の極西部、ダルフールでの殺人への関与を言われているため、国際的な鼻つまみ者だ。大量殺人や人道上の犯罪を理由に、国際刑事裁判所に手配されている。

 まず「バシルはすでに国際的なpariahだ」。pariahは必須単語のレベルではありませんので、無視して後ろを見ます。――がありますから、後ろにpariahの内容について説明があるはずだからです。
 he is wanted forですから「彼は〜の理由で求められている」となります。wantedは手配されているという意味合いですね。genocideは「大量殺人」。cideは「殺す」という意味です。suicide「sui(自分)+殺す→自殺」、pesticide「pest(やっかいな物)+殺す→殺虫剤」。crimeは「犯罪」。crimeは法的な犯罪で、sinは道義的な罪のイメージですね。against humanityですから、「人道に対する罪」です。humanityは、ここでは「人道、人間性」と訳しましたが、「人類」の意味で使われることが最も多いでしょう。humanity「人類、人間性、人文科学」と押さえておきましょう。どこによって手配されているか。the International Criminal Court「国際刑事裁判所」です。
 ここまで読むと、priahがマイナスイメージの語というのは見えてきます。

 さらに後ろに行きます。forはpariahに掛かっていきますね。allegeは「断言する、申し立てる」。法的事案について証拠がないがそうだと主張する、という感じです。involvementはinvolveの名詞形。inが「中に」、volveが「巻く」という意味なので、「巻き込む」が原義。そこから、「関わらせる、含む、没頭させる」といった意味が出てきます。for his alleged involvementで「言われている関与を理由に」ということですから、「関与したと言われているので」と訳しておきます。
 その後ろは問題ないですね。



<There>, the Janjaweed militia, <with government backing>, has been engaged in a scorched earth policy, <destroying villages, raping and killing>, <according to the United Nations, Western government and human-rights groups>.
国連や西部政府、人権団体によれば、そこでは、政府が支援するジャンジャウィード民兵が、焦土作戦に従事し、村を破壊し、強姦・殺人を行ってきた。

 コンマがたくさんあってわかりにくい文ですが、順に見ていきます。
 Thereは、there is構文の可能性もありますし、副詞のthere「そこで」の可能性もあります。the Janjaweed militiaは、大文字で始まるので固有名詞。militiaから「民兵」、あるいは軍隊関係かなと思っておけばいいです。with government backingは「政府の支援をともなって」ということで、これはthe Janjaweed militiaについての補足説明と思われます。<  >しておきます。その次にhas been engaged。there is構文と考えるとthe Janjaweed militiaが浮くので、thereは通常の副詞、the Janjaweed militiaが主語と考えるとつながります。「そこでは、the Janjaweed militiaが、政府の支援を受けて、〜してきた」ということです。

 engageはさまざまな意味がありますが、gageが「抵当、質草」を表し、enは動詞化の接頭辞なので、engageは「抵当に付ける、縛りをかける」というのが原義です。そこから、「従事させる、雇う、約束する、婚約する、戦わせる……」といった意味が出てきます(受動態で使うことが多いです)。ここは「従事する」でいきます。
 何に従事したか、それがin a scorched earth policyです。scorchは「焦がす」ですから、scorched earth policyは「焦がされた大地の政策」ということで、「焦土作戦」のことになります。destroyingとrapingとkillingは分詞構文。文中、文末の場合は、「そして〜」でつなげばいいでしょう。
 according to Aを<  >。according to Aは「Aによれば、Aによって」。accordが「一致する」ですので、「〜の言うことに一致させると」ということです。うしろには3つの名詞が並んでいます。



More than 300,000 people have been killed <in the desolate region>, <the United Nations says>, <though Sudan says the toll is lower>.
その荒涼とした地域では30万人以上が殺害された、と国連は主張している。一方、スーダン政府は犠牲者はもっと少ないと述べている。

 more thanは「〜以上」。
 desolateは動詞で「荒廃させる」、形容詞で「荒廃した」。
 the United Nations saysは挿入句です。
 though以下は「接続詞SV」ですので<  >。「スーダンは〜と言っているが」となります。語順を考えて、上記のような訳にしました。
 tollは「使用料金」「被害者数」という意味があります。



Hopes for peace have gone up and down <over the last few months>.
平和への希望はここ数ヶ月に渡って上下している。

 hopeは動詞、名詞ともに、望む対象が後ろに来る場合はfor Aを使います。in the hope of A「Aという希望を持って」のofは同格のof。希望の対象ではなく、希望の内容が後ろに来ます。



<If the south does go it alone>, it may embolden rebels in Darfur (who oppose Bashir's government in distant Khartoum).
南部が単独でやりきるなら、そのことによって、遠くハルツームにあるバシルの政府に対立するダルフールでの反乱は、より大胆な物になるかもしれない。

 ifからコンマまで<  >。go it aloneには「単独でやる」という意味があります。
 emboldenはなじみがない語かもしれませんが、emがenと同じく動詞を作る接頭辞と分かれば、「boldにする」という意味だと分かります(ここでは接尾辞としても動詞化するenが使われてますね。enlighten「光を与える→啓蒙する」と同じ構造です)。boldは「大胆な」。
 who以下は、rebels in Darfurを修飾。関係詞の直前に「前置詞+名詞」があった場合は、その前置詞句の前にある名詞に関係詞節がくっつく可能性を、忘れないようにして下さい。
 opposeは「反対する」。oppose Aもしくはbe opposed to Aの形で使われます。似たような意味のobjectは、object to Aです。



The Darfur region would remain in Sudan, not be a part of Southern Sudan.
ダルフール地域は、南スーダンの一部ではなく、スーダンに残るだろう。

 remainは、後ろに形容詞がないので、ここは「〜のままだ」ではなく、「残る」の方で訳します。また、not A but B = B, not Aも覚えておきましょう。ですからここは、「南スーダンの一部ではなくスーダンに」となります。



There are also other challenges, <such as what to do with displaced people>, <according to Vines>.
ヴァインズによると、他にも、たとえば難民をどう処遇するかというような問題がある。

 there is構文に、such as〜とaccording to Aの、2つの<  >がくっついています。
 challengeは、「朝鮮」以外にも「難題」の意味があります。
 such asは、具体例を挙げるための前置詞です。例示という点で言えば、for exampleやfor instanceと同じ役割ですね(こちらは副詞ですが)。
 do withは、what〜do with A「Aをどう処理するか」で覚えましょう。what to 不定詞やwhat SVの間接疑問の形、あるいはwhatの疑問文で使われます。whatは文法的にはdoの目的語です。
 according to Aは先程も出てきましたが、「〜によれば」の意。



"There's the issue of population (that live along the border area). Some of them are migrant cattle herders.
国境地域沿いに暮らす住民の問題がある。彼らの中には、遊牧民もいる。

 populationは通常「人口」ですが、うしろのthat以下で「国境沿いに住む」とありますので、「国境沿いにする人口→国境沿いに住む人」と解釈しましょう。ちなみにthat以下は、名詞の後ろのSVになりますから、(  )です。

 some of them areですが、主語にsomeがあった場合は、「いくつかの…は」と訳すより、「〜な人(物)もいる(ある)」と訳すと日本語らしくなります。主語にnoがあった場合もそうですね、というより「〜な人はいない」としか訳せませんが、someの場合も同様にやるとこなれた日本語になる場合があります。同様の物に、many(much)、few(little)などがあります。直訳でおかしい場合に思い出せるようにしておきましょう。
 また、some〜のうしろに、others…となった文が来ることがあります。これは、Some〜. Others…「〜な人もいれば…な人もいる」とすると、日本語らしくなります。
 migrantは「移住者」あるいは「移住性の」。入ってくる(in)移民がimmigrant、出ていく(ex→e)移民がemigrantです。herdは家畜などの「群れ」。herderだと「家畜を群れさせる人」ですので「牧畜を営む人」でしょう。つまり、「移住性の牛を育てる人」ということで、「遊牧民」となります。



It's going to be quite difficult [to define citizenship for them], so these are really difficult issues (which need to be considered).
彼らの市民権を定義するのは非常に難しいだろう。その結果、考慮すべき非常に困難な問題が存在することになる。

 itは仮主語、to do以下が真主語の形式主語構文です。主語にitがあったら、うしろにto doやthat SVがないかを確認する癖を付けておきましょう。
 defineは「定義する」。de「下に」+fin「終わり・限界」で、「制限をかける、限界をもうける」という意味です。「言葉を使う限界を設ける」ということから「定義する」という意味になるわけです。また、「定義する」以外に「限定する」という意味もあります。こちらは語源通りですね。形容詞はdefinite「限定された、明確な」、名詞はdefinition「定義、限定、解像度」。definiteの対義語がinfiniteで、限界がはっきりしないというところから「無限の」という意味になるわけです。名詞形はinfinity。
 citizenは「市民」、アクセントはいちばん前。−shipは抽象名詞を作りますので、citizenshipは「市民であること」。friendshipやrelationshipも同様です。
 
 which以下はissuesを修飾する(  )。need to be consideredのbe consideredの部分は思い切って能動態に訳してしまいます。これについては後で説明します。



"There are lessons historically out of Africa elsewhere. <For example> <when Eritrea become independent from Ethiopia> ... some of these issues could be learned from the Eritrea example /I think."
歴史的に、アフリカからの教訓はほかの場所にある。
たとえば、アリトリアがエチオピアから独立したとき、これらの問題の中にはエリトリアの例から学習できることがある、と私は思う。


 There are lessonsで「教訓がある」、historicallyで「歴史的に」。out of Africaで「アフリカから」。elsewhereはelse+whereですから「ほかの場所に」です。
 for exampleは「たとえば」。whenから...まで<  >。be independent of Aが「Aから独立して」ですが、ここではbe動詞の代わりにbecomeが入っています。なお、本文のように「independent from」も使われますが、受験的にはofの方が無難なように思います。そのうち受験でも「どちらでもいい」となっていくとは思いますが(ofは「関係性が絶たれているニュアンス」でfromが「分離のニュアンス」という違いはあるようですが、少なくとも大学受験でそこを問うことはあり得ません)。

 some of these issues は、先程も出てきた、主語にsomeがある形ですので、「これらの問題の中には〜な物もある」と訳します。could be learnedですが、受動態と助動詞がセットになった場合、直訳するとおかしな日本語になりがちです。ここも「学ばれることができる」だと気持ち悪い。そういう場合は、能動態で訳してしまいましょう。「目的語が主語になるのが受動態」なので、主語を目的語に、つまり主語を「〜を」とすればOKです。もしくは、思い切って受動態の部分だけ能動態にしても(つまり主語を「〜は」のままにしても)、助動詞が付いている場合は、実はかなりの場合問題ない訳ができあがります。日本語の「は」は厳密には主語につくとは限りません。たとえば「ふぐを食べることができる」を「ふぐは食べることができる」としても、どちらでも通じますよね。1つ前の文でのneed to be consideredを「考慮する必要がある」と訳したのも、この考え方を使った物です。



Will the referendum lead to a better standard of life <for those (who live in one of the poorest countries in the world)>?
国民投票は、世界の最貧国の一つに住む人々に、よりよい生活水準をもたらすだろうか?

 lead to Aは「Aという状態に導く」ということですから「Aをもたらす」という意味です。bring aboutとほぼ同じ意味。
 standard of lifeは「生活水準」と覚えます。for以下は「誰にとって」を表す部分。those who SVは「〜する人々」という意味の頻出表現。



<If it is created> Southern Sudan will be one of the poorest countries in the world <despite its oil wealth> and will face huge challenges.
もし南スーダンが生まれれば、石油の収益にも関わらず世界の最貧国の一つになるだろうし、巨大な難問に直面するだろう。

 ifからcreatedまでが<  >です。be createdと受動態ですので、「目的語は不要だ、Southern Sudanはcreatedとくっつかないぞ」と判断して下さい。
 despiteは「Aにもかかわらず」という意味の前置詞。in spite of Aとイコールです。
 andのうしろがwillですので、will beとwill faceを結んでいると読めます。faceは動詞だと「直面する」。be faced with Aでも「Aに直面する」となります。



The charity World Vision says [children in Southern Sudan are three times more likely to die than kids in the north, <while 90 percent live on less than $1 a day>].
慈善団体「ワールド・ヴィジョン」は、南スーダンの子供達は北部の子供よりも3倍死ぬ可能性が高く、そのうえ90%が1日に1ドル未満で暮らしていると述べている。

 The charity World Vision saysがSV、children以下はSVになっているので、動詞の後ろのSVですから[  ]とします。
 three times more likelyですが、「X times as〜as…(…のX倍〜)」の類似表現として「X times 比較級 than…」もあるのだと覚えておきましょう。
 be likely to doは「〜する可能性が高い」。than kids in the northで「北部の子供より」ですね。

 while SVはとりあえず接続詞SVですから<  >。whileは同時性を表す接続詞ですが、日本語で訳す場合、同時であっても順接か逆接かを区別させるため、「〜する間」「〜する一方、〜するけれども」と訳し分けます。今回は、「3倍死にやすい」のと「1ドル未満で暮らす」という内容が、逆の内容というわけではないので、「〜する間」の方で考えますが、それでも日本語としてはしっくりこないので、「同時性」をふまえて「そのうえ」と訳しておきました。

 live on Aは「Aで生計を立てる、Aを食べて生きる」という意味。Aの上に乗っかって生きるということですね。



[The future of the oil-rich Abyei area] will be decided in a second referendum /and the people (in the Nuba Mountains and the Blue Nile areas) are to have a "popular consultation" on their future.
石油の豊かなアビエイ地域(南北スーダンの境界周辺)の未来は、次の国民投票で決定されるだろう。ヌバ山脈や青ナイル地域の人々は、将来についての「国民協議会」を持つことになるだろう。

 The future of the oil-rich Abyei areaが主語。will be decidedで「決められるだろう」。どこで?「次の国民投票で」。secondなど序数は、ふつうはtheを伴います。しかしここでは不定冠詞のaになっていますので、「第2回」というわけではなく、「不特定だが2番目になるような」という意味合いですから「次の」と意訳しました。

 andで真っ二つに分けられます。
 次の文の主語はthe people in the Nuba Mountains and the Blue Nile areas。be to 不定詞が述語に来ていますが、速読のためなら、be toを無視するのも一つの手です。be to doは助動詞的な意味合いですので(後で説明します)、最低限の意味をとらえる上では、無視しても支障がないからです。あるいは、直訳の「〜すべき状態にある」で訳して雰囲気を掴むのもアリです。
 下線部訳などできっちり訳さねばならない場合。先程も言ったように、be to doは「〜すべき状態にある」というのが直訳です。to doのtoは元来、普通の前置詞のtoですので、「〜するという方向に向かっている」という意味合いです。「まだやってないけど、その動作をする方向にある」ということになります。その結果、「これからやるよ」という意味合いで「予定」「意志」、「これからやらなきゃ」という意味合いで「義務」、「やろうと思えばやる方向でいけるよ」という意味合いから「可能」、「これからそうなるよ」ということで「運命」の意味が出てきます。

 「Sは〜することだ」と訳す場合のS is to doも含めて、まとめておきましょう。


be to 不定詞

1.S is to do 「Sは〜すること」 Sが抽象的な名詞の場合に限られる
2.いわゆる「be to do」
   予定「〜だろう」、義務「〜すべきだ」、可能「〜できる」、
   意思「〜するつもりだ」
(if節内で使われる場合が多い)、運命「〜する運命にあった」

 ここでは「予定」で訳しました。

 popular consultationは「国民協議会」としました。popularは「人気のある」ではおかしいので「民衆の」の方で訳し(popはpeopleと同語源です)、cosultationはconsultの名詞形ですので「相談」とでも訳す語です。あわせて「民衆の相談会」です。on their futureのonは、consultationからつながる語で、「〜についての相談」ということです。このaboutと同じような意味のonは、ちょっと固めの物、たとえば「〜についての調査」とか「〜についての書物」という場合に使います。