前のページへ戻る
マグロの話 (2011 1/6)

Not working for scale: Tuna sets record
By the CNN Wire Staff
January 5, 2011 -- Updated 1058 GMT (1858 HKT)

Tokyo, Japan (CNN) -- This could amount to some pretty pricey sushi.

A giant bluefin tuna caught off the coast of northern Japan went for a record 32.49 million yen (about $396,000) at an auction Wednesday, the Tokyo Metropolitan Central Wholesale Market said.

The price was the highest for a tuna since the market began keeping track in 1999.

It all breaks down to about 95,000 yen per kilogram, or about $527 a pound, for the 342-kilogram (754-pound) fish.

The bluefin, caught off Hokkaido in northern Japan, was "an excellent quality" said Yosuke Imada, the owner of the high-end Kyubei sushi restaurant in Tokyo.

The catch will be split by Imada and Hong Kong's Itamae Sushi chain.

"It became a bit too expensive," Imada said answering questions after the record bidding. "But the people would talk about it a while."

The New Year auction, the first of 2011, typically brings some of the highest prices of the year and is considered to be very symbolic.

The record price reflects the increasing demand for high-quality fresh tuna, especially throughout Asia, with competition between Japanese and Chinese buyers intensifying in recent years.






This could amount to some pretty pricey sushi.
これならかなり高価な寿司になるだろう

 amountは普通は名詞で、数えられない物の「量」を表しますが(ちなみに数えられる物の「数」を表すのはnumberです)、動詞として使う場合は、amount to Aで「Aになる」という意味になります。Aの部分は、金額以外にも、状態を表す語が来ることがあります。仮に動詞のamountの意味が分からなくても、to Aの部分から、「Aへ到達する」というイメージは付くと思います。動詞の意味がよく分からない場合は、後ろの副詞や前置詞を参考に読み解くと良いでしょう(ここを参照のこと)。
 prettyは、形容詞の前に置くと、「かなり」という強調の意味になります。
 priceyは、priceの形容詞ですね。「かなり高い寿司」となります。

 couldは、canの過去形ですが、過去の意味で使われるのは、文章全体が過去形で書かれている場合くらいです。まわりが現在形の文ばかりなのに、一箇所だけ過去形助動詞だった場合、仮定法(事実に反する内容を表すときに使う表現法です)として使われている可能性や、canの意味をさらに弱めた婉曲表現の可能性を考えましょう
 「いや、couldは過去形なんでしょ?」という人は、shouldを思い浮かべてください。shouldはshallの過去形ですが、shouldを過去形と思って訳す人はいないでしょう。couldやmight、wouldも同様に考えてください。
 ここでは、主語に仮定の意味を当てはめるときれいに訳せるので、それでいきましょう。「でも意味合いを考えたら、現実に反するとまでは言えないんじゃないか、仮定とは少し違うのでは」ということまで気になる方がいるかもしれません。そういう人は、「仮定のように訳せるが、現実に反しているとは言いがたいような場合が、婉曲と言われる用法なのだ」と理解しておきましょう。まぁ、細かいことが気にならない人は、そこまで確認しておく必要はないと思いますが。



[A giant bluefin tuna (caught off the coast of northern Japan)] went for a record 32.49 million yen (about $396,000) at an auction Wednesday, the Tokyo Metropolitan Central Wholesale Market said.
東京中央卸売市場によれば、北日本の沖で獲られた巨大なクロマグロは、水曜日の競りで3249万円(約39万6000ドル)という記録を取った

 A giant bluefin tuna caught off the coast of northern Japanまでが主語ですね。finは魚などのヒレ、bluefin tunaは直訳すれば「青いヒレのマグロ」、これはクロマグロ(本マグロ)のことです。
 caughtを動詞の過去形と解釈すると、「マグロが(何かを)捕まえた」ことになっちゃいますので、ここは当然過去分詞、すなわち、caught off the coast of northern Japanの部分が後ろからA giant bluefin tunaを修飾しています。
 offはスイッチのオンとオフを思い浮かべれば分かるように、「離れている状態」を示しますから、off the coastで「岸から離れて」というのが直訳、要するに「沖合で」ということですね。
 合わせて、「北日本沖で捕まえられたクロマグロ」となります。

 go for Aは、辞書を引けば10個以上の訳を見つけることができると思います。全部覚えるのはイヤですね。ですから直訳で「Aに向かって行く」としておき、文脈に応じて適当な日本語に変換すればいいです。ここでは、「記録に向かっていった」わけですから、「記録を取った」「記録に至った」でじゅうぶんです。

 the Tokyo Metropolitan Central Wholesale Market saidに関しては、S said (that) SVのthat SV部分が文頭に出てきた、と考えれば分かると思います。SVOののOを文頭に出して、OSVという語順になる場合があるんですね。Oを強調したい場合、文の流れからそうしたい場合、理由は様々ですけどね。
 ちなみに、SVCのCを文頭に出した場合はCVSSVMのMを文頭に出した場合はMVSの語順になります(Mは副詞のことと思ってかまいません。前置詞+名詞が文頭に来てMVS語順になる物をよく見ます)。
 なお、the Tokyo Metropolitan Central Wholesale Marketは固有名詞ですが、wholesale marketが「卸売市場」というのは覚えておいて良いでしょう。whole「まるごと」sale「売る」、つまり「大規模に売る」というのが元々の意味ですね。



The price was the highest for a tuna <since the market began keeping track in 1999>.
It all breaks down to about 95,000 yen per kilogram, or about $527 a pound, <for the 342-kilogram (754-pound) fish>.

その値段は、市場が1999年に動向を記録しはじめて以来、マグロに対する最高値であった。
それは、342kg(754ポンド)の魚に対し、キログラムあたり約95000円、あるいは1ポンドあたり527ドルに分割できる


 接続詞のsinceは、「〜以来」と「〜ので」の2つの意味を押さえておきましょう。
 trackは、基本的な意味は「跡」です。「市場は跡を保持し始めた」となりますね。競りの値段に関する「跡」をキープするという話ですから、競りの値段の動きを記録したという意味だと理解できます。多義語は、辞書で見かけた全ての意味を覚えるのではなく、中心となる意味をまず把握しましょう。その中心的な意味から類推できそうな意味は、暗記するのではなく、「イメージの繋がり」を理解しておけばいいのです。はじめはきれいな和訳が浮かばなくてイライラするかも知れませんが、勉強を重ねていけば、丸暗記よりもよっぽど効率的で効果的な学習法だと分かるはずです。
 
 break downは、breakが壊れる、バラバラになると言うイメージ、downが下方向のイメージですので、直訳すれば「下方向にバラバラにする・なる」です。そこから、「壊れる・壊す」「分類する・分解する」「鎮圧する」「失敗する」「衰える」という多くの意味が出てきます。これも全部を丸暗記するのは大変なので、中心的な意味合いだけ押さえておきます。
 今回は、うしろに「to A」がありますから、「Aに至る」という意味合いを読み取れれば問題ないです。break downのニュアンスも加味すれば、「〜に分解できる」というような意味でしょう。ただ、繰り返し言いますが、多義語を全て網羅するのは非効率です。「なるべく少ない暗記で多くの事項に対応できるように」という意識で取り組みましょう。
 「95000円になる、分けられる」としておけばOKです。

 perは「〜あたり」「〜につき」という語。three times per week = three times a weekというように、「a」で言い換えることもできます。orの後ろはそうなっていますね。



The bluefin, <caught off Hokkaido in northern Japan>, was "an excellent quality" said Yosuke Imada, the owner of the high-end Kyubei sushi restaurant in Tokyo.
そのクロマグロ、北日本の北海道沖で漁獲された物だが、それは素晴らしい品質だ、と東京の高級寿司店「久兵衛」の店主、イマダヨウスケさんは語る

 , caught off Hokkaido in northern Japan,の部分を飛び越して読んでも、The bluefin was〜ですから意味がとれます。このように、コンマとコンマの間を無視しても問題ない場合は、その部分は挿入句、すなわち副詞のかたまりです。<  >を付けておきましょう。
 副詞のかたまりでcaughtですから、これは分詞構文ですね。-ingや-edで副詞のかたまりとなれば、分詞構文しかありません文中の分詞構文は、補足説明として使う物なので、「そして」「それ(その人)は」で繋いでいくか、それでおかしければ「〜しながら」と訳しましょう。挿入句の場合、最後に「〜だが」と訳すと、きれいに後ろに繋がります。ここは「北日本の北海道沖で漁獲されたそのクロマグロは」と訳しても良いのですが、分詞構文だと言うことを確認するために、わざとそれをアピールした訳しかたにしておきます。
 「クロマグロ、それは北日本の北海道沖で捕まえられたのだが、」となります。

 Yosuke Imadaの後のコンマは、同格のコンマです。「名詞, 名詞」となっていたら、後ろの名詞は前の名詞を説明する部分だと考えましょう。コンマは「つまり」と訳せば直訳になります。「イマダヨウスケ、つまり久兵衛の店主」というのが直訳です。



The catch will be split <by Imada and Hong Kong's Itamae Sushi chain>.
"It became a bit too expensive," Imada said <answering questions after the record bidding>. "But the people would talk about it a while."

その掘り出し物はイマダと、香港の「板前寿司」で分けられるだろう。
イマダさんは記録的な入札の後の質問に答えて言う、"少し高くなりすぎたが、みんなしばらくは話題にするでしょう"


 catchはこの場合theが付いてますから名詞ですね。「捕まえたもの」と考えれば問題ないでしょう。
 splitは「分割する」という意味です。ボウリングの「スプリット」をイメージすれば分かりやすいですね。

 a bitは「少し」という意味の副詞。元々はbitは「かけら」といった意味の言葉です。
 tooは、訳すときには「とても」でも行けますが、ただ強調するだけのveryと違って、「過剰に」というニュアンスがあります。very expensiveだと、ただ「とても高い」というだけですが、too expensiveだと、「予算を超えた」とか「予想以上だ」というニュアンスが出るのです。
 また、expensiveは、物に対して使います。priceの場合にはhighを使います。同様に、cheap「安い、安っぽい」も物に対して使います。

 answering以下は、無くても文の意味は通じるので副詞のかたまりです。つまり、ここは分詞構文です。「〜ながら」と訳すとここはきれいになりますね。直訳だと、「〜に答えながら言う」です。前から訳して、「イマダは言った、質問に答えながら、記録的な競りの後で」と訳せば意味はとれますね。
 動詞のanswerは他動詞ということも覚えておきましょう。決して「answer to A」などとやってはいけません。名詞のanswerは、answer to Aで「Aの答え」となります。ofではありませんね。「the key to A」や「the gates to A」と同じ意味合いのtoですね。

 wouldは、冒頭に出てきたcouldと同様に、過去の意味とは思われません。婉曲と考えれば辻褄が合います。
 a whileはfor a whileのforが省略された物です。whileは、名詞の場合はtimeと同じような意味と思っておきましょう。



The New Year auction, <the first of 2011>, typically brings some of the highest prices of the year /and is considered to be very symbolic.
2011年の初め、正月の競りは、例によってその年の最高値を幾つかもたらし、とても象徴的に考えられている

 typicallyは、typicalの副詞形です。typicalは、「典型的だ」が基本の意味。典型的というのはよく見かける状態だということで、「よくあることだが、概して」という意味も出てきました。
 is considered to be very symbolic.の部分は、consider O to be C「OをCと考える」の受動態です。「to be」が省略されて、「consider OC」となることもあります。considerは形容詞の派生語が重要で、よく問題に出ます。considerateは、「考えるような」という意味合いから「思いやりのある」という意味になりますが、considerableは、「考えることができる限りの」という意味合いから、「かなりの」という意味になります。全く異なる意味になりますので、きっちり区別して覚えてください。



The record price reflects the increasing demand for high-quality fresh tuna, especially <throughout Asia>, <with competition (between Japanese and Chinese buyers) intensifying in recent years>.
今回の最高価格は、とりわけアジア全体で、日本と中国のバイヤー間での競争が近年激化している中での、高品質の新鮮なマグロへの需要の増大を反映している

 reflectは「反射する」「反映する」がよく使われる意味ですね。また、reflect on Aで「Aを振り返る」というのもありますので、覚えておきましょう。「記録的な値段は〜を反映する」となります。
 increasing Aという言い方はよく使われますが、「増大しているA」と言うより、「Aの増大」とした方が日本語らしくなる場合が多いです。increaseの対義語はdecreaseです。
 demandは、動詞にしろ名詞にしろ、「〜を求めて」の意味を表すforを伴いますので、demand for Aの形で覚えてしまいましょう。「〜を求める需要の増大を反映している」と訳せます。
 qualityは「質」です。quantityが「量」になります。
 especiallyは「特に」という意味の必須単語ですね。specialが隠れているので、覚えやすいと思います。

 with以下ですが、intensifying以下を現在分詞の後置修飾と考えることも不可能ではありませんが、そうなると、intensifyingが直前のbuyerを修飾するのかcompetitionを修飾するのか、分かりにくくなります。欧米では、誤解を招くような文構造は極力回避するように教育されるものなので、ここでは、with OCの付帯状況と考えた方が良いでしょう。そう考えれば、competitionがO、intensifyingがCと決定できます。「競争が激しくなっている状態で」というのが直訳ですね。
 細かいところを見ておくと、between〜buyersはcompetionを修飾しています。betweenを見たら、「between A and B」である可能性が高いので、andを後ろから探す癖を付けておきましょう。

 competitionの動詞形はcompeteで、「競争する、匹敵する」という意味です。
 intensifyはちょいと難度の高い語ですが、intense「激しい」やintensity「激しさ」は必須単語なので、「-fy」が動詞を作る接尾辞と分かっていれば、類推は可能だと思います。